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JPH0914416A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

Info

Publication number
JPH0914416A
JPH0914416A JP7184906A JP18490695A JPH0914416A JP H0914416 A JPH0914416 A JP H0914416A JP 7184906 A JP7184906 A JP 7184906A JP 18490695 A JP18490695 A JP 18490695A JP H0914416 A JPH0914416 A JP H0914416A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
pulley
motor
time
gear ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7184906A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Yamashita
佳宣 山下
Tatsuji Mori
達治 森
Akiyoshi Morishita
秋吉 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aichi Machine Industry Co Ltd
Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Aichi Machine Industry Co Ltd
Suzuki Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aichi Machine Industry Co Ltd, Suzuki Motor Corp filed Critical Aichi Machine Industry Co Ltd
Priority to JP7184906A priority Critical patent/JPH0914416A/ja
Publication of JPH0914416A publication Critical patent/JPH0914416A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、次の発進に備えて強制的に変速プ
ーリを変速比フルロー位置に戻すとともに、必要最小限
のモータ駆動量で変速プーリをフルロー位置に戻すこと
を目的としている。 【構成】 このため、強制ダウンシフト制御への制御入
場時の変速比を算出する変速比算出手段と、強制ダウン
シフト制御への制御入場時の減速度を算出する減速度算
出手段と、強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を、
変速比と減速度とにより設定する設定手段とを制御手段
に設けている。また、強制ダウンシフト制御への制御入
場後に時間経過に伴い前記強制ダウンシフト制御のダウ
ンシフト量を減量させる時間減量手段を制御手段に設け
ている。更に、強制ダウンシフト制御を、制御入場後に
変速比と減速度により予め設定される所定時間が経過し
た後に終了させる時間設定手段を制御手段に設けてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は無段変速機の変速制御
装置に係り、特に車両停止時または車両が略停止してい
る際に、次の発進に備えて強制的に変速プーリを変速比
フルロー位置とするものであり、必要最小限のモータ駆
動量で変速プーリをフルロー位置に戻すとともに、モー
タ駆動量を車両の走行状態や無段変速機の状態に応じて
設定する無段変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】無段変速機の変速制御装置としては、直
流モータ(DCモータ)を使用して駆動側プーリ、つま
り駆動側プーリの駆動側可動プーリ部片のプーリ部片位
置を調整するものがある。
【0003】すなわち、特開平3−213762号公報
に開示されるものがある。この公報に開示されるVベル
ト型無段変速機の制御装置は、駆動プーリ側もしくは従
動プーリ側の可動プーリの移動手段として、直流モータ
の回転により可動プーリを軸方向に移動させるものであ
り、可動プーリ位置を検出するプーリポジションセンサ
を備えている。
【0004】また、特開平6−123349号公報に開
示されるものもある。この公報に開示されるVベルト式
無段変速機におけるシーブ制御装置は、変速比が小の場
合の発進を防止するとともに、前進から後退への操作時
のギヤ切換を実現している。また、略停止状態で変速シ
ーブをフルロー位置に戻す、いわゆる強制ダウンシフト
制御を行っている。
【0005】更に、特開平6−300101号公報に開
示されるものもある。この公報に開示されるVベルト式
無段変速機における変速制御方法は、強制ダウンシフト
方法ではなく、アップシフト時のモータ電流値の範囲を
限定したものである。しかし、モータ電流値を設定する
際に、一意的な設定は行われていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の無段
変速機の変速制御装置においては、プーリが特定の変速
比位置であることを検出するために、プーリポジション
センサの代わりに、スイッチを使用するものがある。
【0007】また、直流モータの代わりに、ステッピン
グモータを使用し、モータ回転とプーリ位置とに相関関
係を与え、モータ回転からプーリ位置を検出するものも
ある。
【0008】例えば、クラッチを変速部の前段に配設し
た無段変速機においては、車速の停止中は変速比を調整
することができないため、車両の停止時に、次の発進に
備えて強制的にフルロー位置にする制御たる強制ダウン
シフト制御が不可欠である。この制御の終了は、所定時
間経過後であったり、推定プーリ位置が所定の状態に達
した場合であったりする。
【0009】そして、フルロー状態で更に直流モータを
ダウンシフト方向に駆動する場合に、直流モータの発生
トルクが変速部部品に加えられるものであり、直流モー
タや変速部部品の耐久性を劣化し、特にベアリングの劣
化が顕著である。
【0010】更に、フルロー検出手段の不備に備え、所
定時間経過したか否かを判断する終了方策を併用する。
【0011】上述の例としては、特開平6−12334
9号公報に開示される。
【0012】上述したプーリ位置のフルロー状態を検出
する目的は、モータロック発生を検出し、モータの焼き
付きを防止することにある。つまり、強制ダウンシフト
を行い、フルロー状態に達すると、これ以上にプーリを
動かすことができず、モータロック状態になる。このモ
ータロック状態は、モータのインピーダンスが低く、モ
ータを損傷する惧れが大きく、モータの使用寿命が短く
なり、経済的に不利であるという不都合がある。
【0013】また、前記プーリポジションセンサは、高
い検出性能を有しているが、反面以下の如き短所を有し
ている。 1)センサ素子の個体差が存在し、信頼性が低下する。 2)無段変速機の生産時に調整や管理が必要となる。 3)車両の経時変化により調整ズレや故障の発生する惧
れがある。 4)高価であり、コストが大となって経済的に不利であ
る。 5)システム、制御が複雑化する。
【0014】更に、プーリ位置を検出する手段を備えて
いない場合、従来の強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量やダウンシフト時間は、無段変速機の状態や車両の
状態が反映されていないことにより、必要以上に強制ダ
ウンシフト制御が行われる傾向にあり、実用上不利であ
るという不都合がある。
【0015】更にまた、車速が低い場合には、被駆動変
速プーリの出力軸回転速度の検出が困難であったり、不
可能であったりするため、正確に車両の減速度や変速比
を算出することができないとともに、変速プーリがフル
ロー位置に戻っていることを検出する際に、誤検出を防
止しつつ検出することにより、判定に大なる時間が必要
となり、検出遅れが生ずるという不都合がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、無段変速機の変速プーリ位
置を直流サーボモータを駆動させて調整するとともに車
両停止時または車両が略停止している際に強制的に前記
変速プーリを変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシ
フト制御を行う制御手段を有する無段変速機の変速制御
装置において、前記強制ダウンシフト制御への制御入場
時の変速比を算出する変速比算出手段と、前記強制ダウ
ンシフト制御への制御入場時の減速度を算出する減速度
算出手段と、前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト
量を、変速比算出手段からの強制ダウンシフト制御への
制御入場時の変速比と減速度算出手段からの強制ダウン
シフト制御への制御入場時の減速度とにより設定する設
定手段とを前記制御手段に設けたことを特徴とする。
【0017】また、無段変速機の変速プーリ位置を直流
サーボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時
または車両が略停止している際に強制的に前記変速プー
リを変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御
を行う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置にお
いて、前記強制ダウンシフト制御への制御入場後に時間
経過に伴い前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量
を減量させる時間減量手段を前記制御手段に設けたこと
を特徴とする。
【0018】更に、無段変速機の変速プーリ位置を直流
サーボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時
または車両が略停止している際に強制的に前記変速プー
リを変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御
を行う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置にお
いて、前記強制ダウンシフト制御を、制御入場後に前記
強制ダウンシフト制御入場時の変速比と減速度により予
め設定される所定時間が経過した後に終了させる時間設
定手段を前記制御手段に設けたことを特徴とする。
【0019】
【作用】上述の如く発明したことにより、強制ダウンシ
フト制御時には、この強制ダウンシフト制御のダウンシ
フト量を、変速比算出手段からの強制ダウンシフト制御
への制御入場時の変速比と減速度算出手段からの強制ダ
ウンシフト制御への制御入場時の減速度とにより設定
し、必要最小限のダウンシフト量にて変速プーリを変速
比フルロー位置としている。
【0020】また、強制ダウンシフト制御への制御入場
後には、時間経過に伴い強制ダウンシフト制御のダウン
シフト量を効果的に減量させ、無駄な直流サーボモータ
の回転速度の増加を低減している。
【0021】更に、強制ダウンシフト制御を、制御入場
後に予め設定される所定時間が経過した後に終了させ、
強制ダウンシフト制御の信頼性を向上させている。
【0022】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。
【0023】図1〜図20はこの発明の第1実施例を示
すものである。図2において、2は無段変速機、4は内
燃機関、6は無段変速機2の変速制御装置である。
【0024】前記無段変速機2は、図示しない車両に搭
載された内燃機関4の発生する駆動力を運転状態に応じ
て適切に取り出している。
【0025】また、無段変速機2は、内燃機関4により
駆動される駆動側軸8に駆動側プーリ(プライマリプー
リ)10を設け、被動側軸12に被動側プーリ(セカン
ダリプーリ)14を設けている。
【0026】前記駆動側プーリ10は、駆動側軸8上に
固設される円錐面を有する駆動側固定プーリ部片16
と、駆動側軸8上に円錐面を有し且つ駆動側固定プーリ
部片16に対向して移動可能に設けられる駆動側可動プ
ーリ部片18とからなる。
【0027】同様に、前記被動側プーリ14は、被動側
軸12上に設けられる被動側固定プーリ部片20と被動
側可動プーリ部片22とからなる。
【0028】前記内燃機関4と駆動側軸8とは動力伝達
経路24によって連絡される。この動力伝達経路24
は、駆動側軸8と平行に配設される内燃機関4の出力軸
26と、駆動側軸8と平行且つ駆動側軸8と出力軸26
間に配設される中間軸28とを有し、内燃機関4と出力
軸26間に電磁パウダ式クラッチ30を配設する。
【0029】また、出力軸26上に第1、第2ドライブ
ギヤ32、34を配設し、この第1ドライブギヤ32に
噛合する第1中間ギヤ36を中間軸28上に配設すると
ともに、中間軸28上には第2ドライブギヤ34に噛合
する第2中間ギヤ38を配設する。そして、この第2中
間ギヤ38に噛合する駆動側ギヤ40を前記駆動側軸8
上に配設する。
【0030】前記第1中間ギヤ36近傍には、プライマ
リ側、つまり駆動側用の回転センサ42を配設する。
【0031】また、第1ドライブギヤ32は、2ウェイ
クラッチ44を介して前記被動側軸12に連絡されてい
る。つまり、第1ドライブギヤ32に噛合する2ウェイ
クラッチドリブンギヤ46を設けるとともに、2ウェイ
クラッチドライブギヤ48を設け、この2ウェイクラッ
チドライブギヤ48に噛合する第1被動側ギヤ50を被
動側軸12上に設け、この被動側軸12上には第2被動
側ギヤ52を設ける。
【0032】そして、第2被動側ギヤ52に噛合する第
1中間ギヤ54を中間軸56上に設けるとともに、この
中間軸56上に第2中間ギヤ58を設け、第2中間ギヤ
58に噛合する車軸ドリブンギヤ60を車軸62上に配
設し、タイヤ64に前記被動側軸12からの駆動力を伝
達させる構成とする。
【0033】また、前記第1中間ギヤ54近傍には、セ
カンダリ側、つまり被動側用の回転センサ66を配設す
る。
【0034】前記駆動側プーリ10に、無段変速機2の
変速プーリ位置、つまり駆動側プーリ10の駆動側可動
プーリ部片18のプーリ部片位置を調整する直流サーボ
モータ(DCモータ)68を設ける。
【0035】この直流サーボモータ68は、減速歯車群
70により駆動側プーリ10の駆動側可動プーリ部片1
8の調整歯車群72に連絡される。
【0036】前記減速歯車群70は、モータ軸74上に
設けたドライブギヤ76と、このドライブギヤ76に噛
合するドリブンギヤ78を介して連絡すべく中間軸80
上に配設した第1中間ギヤ82と、中間軸80上に配設
した第2中間ギヤ84と、第2中間ギヤ84に噛合すべ
く減速軸86上に配設した第1減速ギヤ88と前記調整
歯車群72に連絡すべく減速軸86上に配設した第2減
速ギヤ90とを有する。
【0037】また、調整歯車群72は、図3に示す如
く、第2減速ギヤ90から駆動力が伝達されるスライダ
ギヤたるプーリ歯車92を有する。このプーリ歯車92
は、前記無段変速機2のケース部2aに固定されるウォ
ームギヤ94に噛合するとともに、前記駆動側プーリ1
0の駆動側可動プーリ部片18にはベアリング96を介
して接続すべく設ける。
【0038】そして、前記プーリ歯車92を、駆動側可
動プーリ部片18の回転動作と無関係に回転可能とし、
駆動側軸8の軸方向には駆動側可動プーリ部片18と連
動するものである。
【0039】このため、前記直流サーボモータ68から
プーリ歯車92に伝達された回転力は、ウォームギヤ9
4によりプーリ歯車92を軸方向に移動する。
【0040】また、このプーリ歯車92と駆動側可動プ
ーリ部片18とが駆動側軸8の軸方向に連動して移動す
ることにより、前記直流サーボモータ68から回転力に
よって前記駆動側固定プーリ部片16と駆動側可動プー
リ部片18との溝幅を変更させることができ、変速比の
調整が行われる。
【0041】前記無段変速機2の変速制御装置6に、図
1に示す如く、直流サーボモータ68を駆動させて駆動
側可動プーリ部片18のプーリ位置を調整する制御手段
98を設ける。
【0042】この制御手段98は、車両停止時または車
両が略停止している際に、強制的に変速プーリたる駆動
側可動プーリ部片18を変速比フルロー位置とすべく強
制ダウンシフト制御を行う。
【0043】更に、前記制御手段98には、電磁パウダ
式クラッチ30と、駆動側用の回転センサ42と、被動
側用の回転センサ66と、直流サーボモータ68とが夫
々接続され、エンジン回転信号やスロットル開度信号、
アクセルスイッチ信号、パワーモードスイッチ信号、ブ
レーキスイッチ信号、そしてシフト位置P、R、N、
D、Lのシフトスイッチ信号が入力されるとともに、パ
ワーモード表示信号やダイアグレーシス表示信号が出力
される。
【0044】なお符号Vは前記駆動側プーリ10と被動
側プーリ14とに捲回されるベルト、TCは被動側プー
リ14の被動側可動プーリ部片22に配設されるトルク
カムである。
【0045】ここで、図4に沿って前記直流サーボモー
タ68の特性を説明する。なお、図4〜図9において使
用される記号は、以下の如くである。 Dm :直流サーボモータの駆動デューティ値 A :電流検出手段 M :直流サーボモータ Ra :直流サーボモータの巻線抵抗 L :直流サーボモータの等価インダクタンス Ec :直流サーボモータの逆起電圧 Im :直流サーボモータ電流 ImF:フィルタ処理(一次遅れ処理)後のIm
【0046】図4は、図5の回路によって直流サーボモ
ータ68を駆動した場合の特性を示すものであり、直流
サーボモータ電流Imは、直流サーボモータ68の回転
速度が低いほど大きく、直流サーボモータ68の回転速
度が0rpmの場合に最大となる。
【0047】図6は直流サーボモータ68の等価回路を
示すものである。
【0048】また、直流サーボモータ68の回転速度が
0rpmの場合には、直流サーボモータ68の逆起電圧
Ecが発生しないため、直流サーボモータ電流Imは、
オームの法則によってインピーダンスたる直流サーボモ
ータ68の巻線抵抗Raと印加電圧とにより与えられ
る。
【0049】直流サーボモータ68の回転速度が0rp
m以外の場合には、直流サーボモータ68の逆起電圧E
cが印加電圧を低減する方向に発生する。このとき、直
流サーボモータ68の逆起電圧Ecは、直流サーボモー
タ68の回転速度の増加に伴って増加する。このため、
直流サーボモータ電流Imは、図4に示す如き特性とな
る。
【0050】また、前記直流サーボモータ68を制御す
る場合には、直流サーボモータ68を電流源に接続し、
電流値そのものを調整する方策があるが、デューティ
(パルス幅変調、PWM)制御を行う方策もある。
【0051】図8にデューティ制御のシステムを示し、
その特性を図7に示すとともに、タイムチャートを図9
に示す。
【0052】デューティ制御は、直流サーボモータ68
に通電する時間を変化させることで直流サーボモータ電
流Imを調整するものであり、直流サーボモータ68の
駆動デューティ値Dmが大きいほど直流サーボモータ6
8に通電する時間が長くなり、直流サーボモータ電流I
mが増加する。
【0053】なお、直流サーボモータ68の通電と非通
電との繰り返し、つまり駆動周波数が緩慢な場合には、
直流サーボモータ電流Imの脈動たるリップルが大きく
なるため、駆動周波数はリップルを無視できる値に設定
する。
【0054】前記直流サーボモータ68の駆動デューテ
ィ値Dmが大きくなると、直流サーボモータ電流Imが
大きくなり、過電流状態となる惧れがあるため、所定の
電流値に達した場合に、直流サーボモータ68の駆動デ
ューティ値Dmを減少させる過電流制限が併用される。
例えば、直流サーボモータ68をデューティ駆動する場
合に、直流サーボモータ電流Imの目標値たるIm目標
値Imspから駆動デューティ値Dmを算出する。この
算出方策としては、図16のマップを使用するものや、
直流サーボモータ電流Imをフィードバック制御してI
m目標値Imspと直流サーボモータ電流Imとの関係
が、Imsp=Imとすべく駆動デューティ値Dmを調
整するものがある。
【0055】上述の図4及び図7の特性よりモータロッ
ク状態(つまり、直流サーボモータ68の回転速度が0
rpm)の判断は、直流サーボモータ電流Imを監視す
ることによって行う。
【0056】モータロック時には、直流サーボモータ電
流Imは直流サーボモータ68の駆動デューティ値Dm
に依存するため、各駆動デューティ値Dmに対するモー
タロック時の直流サーボモータ電流Imを求め、この直
流サーボモータ電流Imを勘案してモータロック判定I
mトリガ(ImTR)カーブを作成する。
【0057】そして、直流サーボモータ電流Imがモー
タロック判定Imトリガ(ImTR)カーブよりも大で
ある場合には、モータロック状態であると判断できる。
このとき、モータロック状態を放置すると、直流サーボ
モータ68が焼損する惧れが大となる。
【0058】また、変速比フルロー状態をモータロック
にて検出するためには、変速プーリたる前記駆動側プー
リ10の駆動側可動プーリ部片18が変速比フルロー位
置に達した場合に、それ以上は駆動側可動プーリ部片1
8がダウンシフト方向に動かない構造とし、モータロッ
ク状態とする必要がある。具体的な構造としては、変速
ストッパを設ける等の方策がある。
【0059】前記制御手段98によるダウンシフト制御
は、車両の走行状態と運転者の運転操作により車両停止
時または車両が略停止状態となった場合に一度だけ行わ
れる。
【0060】このダウンシフト制御の目的は、車両停止
後、次の発進に備えて駆動側可動プーリ部片18を変速
比フルロー位置に戻すことであるが、常に同じダウンシ
フト操作では変速比フルロー位置に戻すことができない
ことがある。
【0061】そこで、前記制御手段98に、強制ダウン
シフト制御への制御入場時の変速比を算出する変速比算
出手段100と、強制ダウンシフト制御への制御入場時
の減速度を算出する減速度算出手段102と、強制ダウ
ンシフト制御のダウンシフト量Imdを、変速比算出手
段100からの強制ダウンシフト制御への制御入場時の
変速比と減速度算出手段102からの強制ダウンシフト
制御への制御入場時の減速度とにより設定する設定手段
104とを設ける。
【0062】詳述すれば、この設定手段104は、前記
変速比算出手段100からの強制ダウンシフト制御への
制御入場時の変速比と、減速度算出手段102からの強
制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度とにより、
図11に示す如く、強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量Imdを設定し、車両の走行状態において減速度が
大きいほど迅速にダウンシフト制御を行うものである。
また、変速比が変速比フルロー位置から離れるほど迅速
にダウンシフト制御を行う必要があり、ダウンシフト量
は、変速比が変速比フルロー位置から離れるほど大とな
る。
【0063】つまり、図11に示す如く、変速比と減速
度とによって強制ダウンシフト制御のダウンシフト量I
mdを設定することで、最適な強制ダウンシフト制御を
実現できる。
【0064】また、前記強制ダウンシフト制御を、制御
入場後に予め設定される所定時間が経過した後に終了さ
せる時間設定手段106を設ける。
【0065】前記時間設定手段106に予め設定される
所定時間は、図12に示す如く、変速比と車両の減速度
とにより設定されるトリガTdTRである。このトリガ
たる所定時間TdTRは、強制ダウンシフト制御の制御
時間であり、図12に示す如く、車両の走行状態におい
て減速度が大きいほど小なる値に設定され、また、変速
比が変速比フルロー位置から離れるほど、大に設定され
る。
【0066】そして、前記時間設定手段106におい
て、所定時間TdTRと強制ダウンシフト制御入場後の
実際の時間Tdとの関係が、Td≧TdTRの場合に、
直流サーボモータ電流Imの目標値たるIm目標値Im
spを0として強制ダウンシフト制御を終了させるべく
信号を出力するものである。
【0067】また、前記時間設定手段106において、
所定時間TdTRと強制ダウンシフト制御入場後の時間
Tdとの関係が、Td<TdTRの場合且つ変速比フル
ロー状態でない場合には、Im目標値Imspを強制ダ
ウンシフト制御時のダウンシフト量Imdとする。
【0068】このIm目標値Imspの設定は、図13
に示す如く、スロットル開度THRから第1マップ11
0によって目標NEたる目標エンジン回転速度NESP
Rを求め(図14参照)、車速Vsから第2マップ11
2によって目標エンジン回転速度NESPRの上限たる
NESPR上限NESPRHを求める(図15参照)と
ともに、車速Vsから第3マップ114によって目標エ
ンジン回転速度NESPRの下限たるNESPR下限N
ESPRLを求める(図15参照)。
【0069】そして、MIN116にて目標エンジン回
転速度NESPRとNESPR上限NESPRHとの小
さい方を選択して採用し、MAX118にてこの採用し
たものとNESPR下限NESPRLとの大きい方を採
用する。
【0070】また、採用したものに運転操作や車両の走
行状態による過渡修正処理120を施し、エンジン回転
速度NEと比較処理122した後に、比例積分制御(P
I制御)124を行い、Im目標値Imspと直流サー
ボモータ68の回転方向とを設定する。
【0071】次に図1のメイン制御用フローチャートに
沿って作用を説明する。
【0072】メイン制御用プログラムが開始(200)
すると、強制ダウンシフト条件が成立したか否かの判断
(202)を行う。
【0073】そして、判断(202)がNOの場合に
は、判断(202)の成立時に備え、強制ダウンシフト
制御入場後の時間Tdを0とする処理(204)に移行
させ、判断(202)がYESの場合には、所定時間T
dTRと強制ダウンシフト制御入場後の時間Tdとの関
係を比較判断(206)する。
【0074】上述の強制ダウンシフト制御入場後の時間
Tdを0とする処理(204)の後に、前記変速比算出
手段100によって強制ダウンシフト制御への制御入場
時の変速比を算出(208)するとともに、減速度算出
手段102によって強制ダウンシフト制御への制御入場
時の車両の減速度を算出(210)する。
【0075】また、変速比と減速度とによって図11か
ら強制ダウンシフト制御のダウンシフト量Imdを設定
(212)し、変速比と減速度とによって図12から前
記時間設定手段106によって強制ダウンシフト制御の
所定時間TdTRを設定(214)する。
【0076】その後、図13によってその他のIm目標
値Imspを設定(216)し、図16によってIm目
標値Imspと直流サーボモータ68の駆動デューティ
値Dmとの変換処理(218)を行い、メイン制御用プ
ログラムを終了(228)させる。
【0077】また、上述の所定時間TdTRと強制ダウ
ンシフト制御入場後の時間Tdとの関係の比較判断(2
06)において、 Td≧TdTR の場合には、終了条件の成立によって直流サーボモータ
電流Imの目標値たるIm目標値Imspを0とし(2
20)、図16によってIm目標値Imspと直流サー
ボモータ68の駆動デューティ値Dmとの変換処理(2
18)を行い、メイン制御用プログラムを終了(22
8)させる。
【0078】更に、比較判断(206)において、 Td<TdTR の場合には、終了条件が不成立のため、強制ダウンシフ
ト制御入場後の時間Tdに1を加算して新たな時間Td
とし(222)、その後に変速プーリたる前記駆動側プ
ーリ10の駆動側可動プーリ部片18が変速比フルロー
位置の状態にあるか否かの判断(224)を行う。
【0079】この判断(224)において、YESの場
合には、終了条件が成立し、直流サーボモータ電流Im
の目標値たるIm目標値Imspを0とし(220)、
制御用プログラムを終了(228)させ、逆に判断(2
24)がNOの場合には、終了条件が不成立によりIm
目標値Imspを強制ダウンシフト制御時のダウンシフ
ト量Imdとし(226)、図16によってIm目標値
Imspと直流サーボモータ68の駆動デューティ値D
mとの変換処理(218)を行い、メイン制御用プログ
ラムを終了(228)させる。
【0080】なお、このメイン制御は微小時間、例えば
10msec毎に行われる。
【0081】前記強制ダウンシフト条件が成立したか否
かの判断(202)は、図10に示す如く、強制ダウン
シフト条件用プログラムが開始(300)すると、スロ
ットル開度が略全閉状態にあるか否かの判断(302)
を行い、この判断(302)がYESの場合には、車速
Vsと車速Vs用トリガVsTRとの比較判断(30
4)に移行させ、判断(302)がNOの場合には、エ
ンジン回転速度NEとエンジン回転速度NE用トリガN
ETRとの比較判断(306)に移行させる。
【0082】そして、車速Vsと車速Vs用トリガVs
TRとの比較判断(304)において、 Vs<VsTR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立したと判定
(308)し、強制ダウンシフト条件用プログラムを終
了(312)させるとともに、 Vs≧VsTR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立していないと
判定(310)し、強制ダウンシフト条件用プログラム
を終了(312)させる。
【0083】また、エンジン回転速度NEとエンジン回
転速度NE用トリガNETRとの比較判断(306)に
おいて、 NE<NETR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立したと判定
(308)し、強制ダウンシフト条件用プログラムを終
了(312)させるとともに、 NE≧NETR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立していないと
判定(310)し、強制ダウンシフト条件用プログラム
を終了(312)させる。
【0084】なお、この制御は微小時間、例えば10m
sec毎に行われる。
【0085】また、前記駆動側プーリ10の駆動側可動
プーリ部片18が変速比フルロー位置の状態にあるか否
かの判断(224)は、図17に示す如く、判断用プロ
グラムが開始(400)すると、図18によってモータ
ロック判定ImトリガImTRの設定(402)を行
い、フィルタ処理後の直流サーボモータ電流ImFとモ
ータロック判定ImトリガImTRとの比較判断(40
4)を行う。
【0086】この判断(404)においてフィルタ処理
後の直流サーボモータ電流ImFとモータロック判定I
mトリガImTRとの関係が、 ImF>ImTR の場合には、モータロック判定用カウンタTbとこのモ
ータロック判定用カウンタTb用トリガTbTRとの比
較判断(406)に移行し、フィルタ処理後の直流サー
ボモータ電流ImFとモータロック判定ImトリガIm
TRとの関係が、 ImF≦ImTR の場合には、モータロック判定用カウンタTbを0とす
る処理(408)に移行させる。
【0087】また、モータロック判定用カウンタTbと
Tb用トリガTbTRとの比較判断(406)におい
て、モータロック判定用カウンタTbとTb用トリガT
bTRとの関係が、 Tb≧TbTR の場合には、変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆
動側可動プーリ部片18が変速比フルロー位置の状態に
あると判定(410)し、判断用プログラムを終了(4
16)させるとともに、モータロック判定用カウンタT
bとTb用トリガTbTRとの関係が、 Tb<TbTR の場合には、モータロック判定用カウンタTbに1を加
算し、新たなモータロック判定用カウンタTbとする
(412)。
【0088】そして、このモータロック判定用カウンタ
Tbに1を加算する処理(412)と上述のモータロッ
ク判定用カウンタTbを0とする処理(408)との各
処理の後に、変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆
動側可動プーリ部片18が非変速比フルロー位置の状態
にあると判定(414)し、判断用プログラムを終了
(416)させる。
【0089】なお、この制御は微小時間、例えば10m
sec毎に行われる。
【0090】これにより、車両の走行状態や前記無段変
速機2の変速操作状態に応じて前記制御手段98の設定
手段104によって強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量Imdを設定でき、必要最小限のダウンシフト量I
mdにて変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆動側
可動プーリ部片18を確実に変速比フルロー位置の状態
とすることができ、動力性能を確保し得て、実用上有利
である。
【0091】また、必要最小限の強制ダウンシフト制御
を行うことができることにより、直流サーボモータ68
による電力消費を低減し得るとともに、省燃費に寄与し
得る。
【0092】更に、強制ダウンシフト制御を、変速プー
リたる前記駆動側プーリ10の駆動側可動プーリ部片1
8が変速比フルロー位置の状態であると検出された際に
終了すれば、必要以上の強制ダウンシフト制御が行われ
ることがなく、強制ダウンシフト制御の信頼性を向上し
得る。
【0093】更にまた、前記時間設定手段106によっ
て強制ダウンシフト制御を制御入場後に、変速比と変速
比フルロー位置との離間関係、つまり変速比と変速比フ
ルロー位置との差の大きさによって予め設定される所定
時間が経過した後に終了させることにより、確実な強制
ダウンシフト制御を実現し得る。
【0094】また、前記制御手段98のソフトウェア上
の変更のみで対処し得ることにより、構成が複雑化する
惧れがなく、製作が容易であり、コストを低廉に維持し
得て、経済的に有利である。
【0095】更に、モータロック状態の継続による直流
サーボモータ68の焼損を防止できることにより、直流
サーボモータ68の耐久性を向上し得て、経済的に有利
である。
【0096】更にまた、前記駆動側プーリ10の駆動側
可動プーリ部片18のプーリ位置を検出するセンサを使
用する必要がないことにより、以下の如き利点が生ず
る。 1)部品点数を減少させることができ、コストを低廉と
し得る。 2)システムが簡素化できる。 3)無段変速機の生産時の調整や管理を低減し得る。 4)調整ズレや故障の発生に対する配慮を低減し得る。 5)プーリ位置を検出するセンサの故障による不具合を
防止し得る。
【0097】図21はこの発明の第2実施例を示すもの
である。この第2実施例において、上述第1実施例と同
一機能を果たす箇所には同一符号を付して説明する。
【0098】この第2実施例の特徴とするところは、ダ
ウンシフト量Imdの減少係数たるImd減少係数Cd
(0<Cd<1)を設定した点にある。
【0099】すなわち、強制ダウンシフト制御への制御
入場後に時間経過に伴い強制ダウンシフト制御のダウン
シフト量Imdを減量させる時間減量手段を制御手段9
8に設け、この制御手段98を時間減量手段としても機
能させるものである。
【0100】前記直流サーボモータ68の発生トルクτ
mは、次式 τm=Km×Im (Km:トルク定数) によって表され、図4の直流サーボモータ68の特性か
ら明らかな如く、直流サーボモータ68の回転速度が高
いほど、一定の回転速度に保つために必要な直流サーボ
モータ電流Imが減少する。
【0101】そして、必要以上の直流サーボモータ電流
Imが印加されている場合には、余裕トルクが発生する
ため、直流サーボモータ68の回転速度を増加するもの
である。
【0102】このため、前記制御手段98は、直流サー
ボモータ68の通電時間から直流サーボモータ68の回
転速度の増加を予測し、直流サーボモータ68の回転速
度の増加分を低減すべく補正する信号を出力すればよ
い。
【0103】実際の方策としては、図21に示す如く、
メイン制御用フローチャート中の強制ダウンシフト制御
入場後の時間Tdに1を加算して新たな時間Tdとする
処理(222)の後に、ダウンシフト量ImdにImd
減少係数Cdを乗じて新たなダウンシフト量Imdとす
る処理(500)を追加する。
【0104】なお、その他の制御動作は、上述第1実施
例のものと同様であるので、説明は省略する。
【0105】さすれば、強制ダウンシフト制御への制御
入場後に、微小時間、例えば10msec毎に行われる
メイン制御用フローチャートにおいて確実に強制ダウン
シフト制御のダウンシフト量Imdが減量されることと
なり、効果的にダウンシフト量Imdをカットすること
ができ、無駄な直流サーボモータの回転速度の増加を低
減し得るとともに、変速比を滑らかに変化させることが
できる。
【0106】また、ソフトウェア上の変更のみで対処し
得ることにより、上述第1実施例のものと同様に、構成
が複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、コストを
低廉に維持し得て、経済的に有利である。
【0107】
【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、無段変速機の変速プーリ位置を直流サーボモータを
駆動させて調整するとともに車両停止時または車両が略
停止している際に強制的に変速プーリを変速比フルロー
位置とすべく強制ダウンシフト制御を行う制御手段を有
する無段変速機の変速制御装置において、強制ダウンシ
フト制御への制御入場時の変速比を算出する変速比算出
手段と、強制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度
を算出する減速度算出手段と、強制ダウンシフト制御の
ダウンシフト量を、変速比算出手段からの強制ダウンシ
フト制御への制御入場時の変速比と減速度算出手段から
の強制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度とによ
り設定する設定手段とを制御手段に設けたので、車両の
走行状態や無段変速機の変速操作状態に応じて制御手段
の設定手段によって強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量を設定でき、必要最小限のダウンシフト量にて変速
プーリを確実に変速比フルロー位置の状態とすることが
でき、動力性能を確保し得て、実用上有利である。ま
た、必要最小限の強制ダウンシフト制御を行うことがで
きることにより、直流サーボモータによる電力消費を低
減し得るとともに、省燃費に寄与し得る。更に、強制ダ
ウンシフト制御を、変速プーリが変速比フルロー位置の
状態であると検出された際に終了すれば、必要以上の強
制ダウンシフト制御が行われることがなく、強制ダウン
シフト制御の信頼性を向上し得る。更にまた、前記制御
手段のソフトウェア上の変更のみで対処し得ることによ
り、構成が複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、
コストを低廉に維持し得て、経済的に有利である。ま
た、モータロック状態の継続による直流サーボモータの
焼損を防止できることにより、直流サーボモータの耐久
性を向上し得て、経済的に有利である。更に、変速プー
リのプーリ位置を検出するセンサを使用する必要がない
ことにより、以下の如き利点が生ずる。 1)部品点数を減少させることができ、コストを低廉と
し得る。 2)システムが簡素化できる。 3)無段変速機の生産時の調整や管理を低減し得る。 4)調整ズレや故障の発生に対する配慮を低減し得る。 5)プーリ位置を検出するセンサの故障による不具合を
防止し得る。
【0108】また、無段変速機の変速プーリ位置を直流
サーボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時
または車両が略停止している際に強制的に変速プーリを
変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行
う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置におい
て、強制ダウンシフト制御への制御入場後に時間経過に
伴い前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を減量
させる時間減量手段を制御手段に設けたので、強制ダウ
ンシフト制御への制御入場後に、時間経過に伴い確実に
強制ダウンシフト制御のダウンシフト量が減量されるこ
ととなり、効果的にダウンシフト量をカットすることが
でき、無駄な直流サーボモータの回転速度の増加を低減
し得るとともに、変速比を滑らかに変化させることがで
きる。また、ソフトウェア上の変更のみで対処し得るこ
とにより、構成が複雑化する惧れがなく、製作が容易で
あり、コストを低廉に維持し得て、経済的に有利であ
る。
【0109】更に、無段変速機の変速プーリ位置を直流
サーボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時
または車両が略停止している際に強制的に変速プーリを
変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行
う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置におい
て、強制ダウンシフト制御を、制御入場後に前記強制ダ
ウンシフト制御入場時の変速比と減速度により予め設定
される所定時間が経過した後に終了させる時間設定手段
を制御手段に設けたので、時間設定手段によって強制ダ
ウンシフト制御を制御入場後に、予め設定される所定時
間が経過した後に終了させることができ、確実な強制ダ
ウンシフト制御を実現し得る。また、前記制御手段のソ
フトウェア上の変更のみで対処し得ることにより、構成
が複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、コストを
低廉に維持し得て、経済的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す無段変速機の変速
制御装置のメイン制御用フローチャートである。
【図2】無段変速機の変速制御装置の概略構成図であ
る。
【図3】無段変速機の変速制御装置の駆動側プーリ部分
の概略拡大断面図である。
【図4】直流サーボモータの特性を示す図である。
【図5】直流サーボモータの駆動回路を示す図である。
【図6】直流サーボモータの等価回路を示す図である。
【図7】直流サーボモータのデューティ制御を示す図で
ある。
【図8】直流サーボモータのデューティ制御回路を示す
図である。
【図9】直流サーボモータのデューティ制御のタイムチ
ャートである。
【図10】強制ダウンシフト条件の判定用フローチャー
トである。
【図11】強制ダウンシフト量の設定用マップを示す図
である。
【図12】強制ダウンシフト制御の制御時間用マップを
示す図である。
【図13】その他のIm目標値Imspの設定用ブロッ
ク図である。
【図14】目標エンジン回転速度とスロットル開度との
関係を示す図である。
【図15】車速と目標エンジン回転速度の上下限値との
関係を示す図である。
【図16】Im目標値Imspと直流サーボモータの駆
動デューティ値Dmとの変換用マップを示す図である。
【図17】変速プーリたる前記駆動側プーリの駆動側可
動プーリ部片が変速比フルロー位置の状態であるか否か
の判定用フローチャートである。
【図18】モータロック判定ImトリガImTRカーブ
を示す図である。
【図19】変速比による影響を示す無段変速機の変速制
御装置のタイムチャートである。
【図20】減速度による影響を示す無段変速機の変速制
御装置のタイムチャートである。
【図21】この発明の第2実施例を示す無段変速機の変
速制御装置のメイン制御用フローチャートである。
【図22】変速プーリたる前記駆動側プーリの駆動側可
動プーリ部片が変速比フルロー位置の状態であるか否か
の判定用タイムチャートである。
【図23】無段変速機の変速制御装置のタイムチャート
である。
【符号の説明】
2 無段変速機 4 内燃機関 6 変速制御装置 8 駆動側軸 10 駆動側プーリ(プライマリプーリ) 12 被動側軸 14 被動側プーリ(セカンダリプーリ) 16 駆動側固定プーリ部片 18 駆動側可動プーリ部片 20 被動側固定プーリ部片 22 被動側可動プーリ部片 24 動力伝達経路 30 電磁パウダ式クラッチ 42 駆動側用の回転センサ 44 2ウェイクラッチ 66 被動側用の回転センサ 68 直流サーボモータ(DCモータ) 70 減速歯車群 72 調整歯車群 92 プーリ歯車 94 ウォームギヤ 98 制御手段 V ベルト TC トルクカム 100 変速比算出手段 102 減速度算出手段 104 設定手段 106 時間設定手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無段変速機の変速制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は無段変速機の変速制御
装置に係り、特に車両停止時または車両が略停止してい
る際に、次の発進に備えて強制的に変速プーリを変速比
フルロー位置とするものであり、必要最小限のモータ駆
動量で変速プーリをフルロー位置に戻すとともに、モー
タ駆動量を車両の走行状態や無段変速機の状態に応じて
設定する無段変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】無段変速機の変速制御装置としては、直
流モータ(DCモータ)を使用して駆動側プーリ、つま
り駆動側プーリの駆動側可動プーリ部片のプーリ部片位
置を調整するものがある。
【0003】すなわち、特開平3−213762号公報
に開示されるものがある。この公報に開示されるVベル
ト型無段変速機の制御装置は、駆動プーリ側もしくは従
動プーリ側の可動プーリの移動手段として、直流モータ
の回転により可動プーリを軸方向に移動させるものであ
り、可動プーリ位置を検出するプーリポジションセンサ
を備えている。
【0004】また、特開平6−123349号公報に開
示されるものもある。この公報に開示されるVベルト式
無段変速機におけるシーブ制御装置は、変速比が小の場
合の発進を防止するとともに、前進から後退への操作時
のギヤ切換を実現している。また、略停止状態で変速シ
ーブをフルロー位置に戻す、いわゆる強制ダウンシフト
制御を行っている。
【0005】更に、特開平6−300101号公報に開
示されるものもある。この公報に開示されるVベルト式
無段変速機における変速制御方法は、強制ダウンシフト
方法ではなく、アップシフト時のモータ電流値の範囲を
限定したものである。しかし、モータ電流値を設定する
際に、一意的な設定は行われていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の無段
変速機の変速制御装置においては、プーリが特定の変速
比位置であることを検出するために、プーリポジション
センサの代わりに、スイッチを使用するものがある。
【0007】また、直流モータの代わりに、ステッピン
グモータを使用し、モータ回転とプーリ位置とに相関関
係を与え、モータ回転からプーリ位置を検出するものも
ある。
【0008】例えば、クラッチを変速部の前段に配設し
た無段変速機においては、車速の停止中は変速比を調整
することができないため、車両の停止時に、次の発進に
備えて強制的にフルロー位置にする制御たる強制ダウン
シフト制御が不可欠である。この制御の終了は、所定時
間経過後であったり、推定プーリ位置が所定の状態に達
した場合であったりする。
【0009】そして、フルロー状態で更に直流モータを
ダウンシフト方向に駆動する場合に、直流モータの発生
トルクが変速部部品に加えられるものであり、直流モー
タや変速部部品の耐久性を劣化し、特にベアリングの劣
化が顕著である。
【0010】更に、フルロー検出手段の不備に備え、所
定時間経過したか否かを判断する終了方策を併用する。
【0011】上述の例としては、特開平6−12334
9号公報に開示される。
【0012】上述したプーリ位置のフルロー状態を検出
する目的は、モータロック発生を検出し、モータの焼き
付きを防止することにある。つまり、強制ダウンシフト
を行い、フルロー状態に達すると、これ以上にプーリを
動かすことができず、モータロック状態になる。このモ
ータロック状態は、モータのインピーダンスが低く、モ
ータを損傷する惧れが大きく、モータの使用寿命が短く
なり、経済的に不利であるという不都合がある。
【0013】また、前記プーリポジションセンサは、高
い検出性能を有しているが、反面以下の如き短所を有し
ている。 1)センサ素子の個体差が存在し、信頼性が低下する。 2)無段変速機の生産時に調整や管理が必要となる。 3)車両の経時変化により調整ズレや故障の発生する惧
れがある。 4)高価であり、コストが大となって経済的に不利であ
る。 5)システム、制御が複雑化する。
【0014】更に、プーリ位置を検出する手段を備えて
いない場合、従来の強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量やダウンシフト時間は、無段変速機の状態や車両の
状態が反映されていないことにより、必要以上に強制ダ
ウンシフト制御が行われる傾向にあり、実用上不利であ
るという不都合がある。
【0015】更にまた、車速が低い場合には、被駆動変
速プーリの出力軸回転速度の検出が困難であったり、不
可能であったりするため、正確に車両の減速度や変速比
を算出することができないとともに、変速プーリがフル
ロー位置に戻っていることを検出する際に、誤検出を防
止しつつ検出することにより、判定に大なる時間が必要
となり、検出遅れが生ずるという不都合がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、無段変速機の変速プーリ位
置を直流モータを駆動させて調整するとともに車両停止
時または車両が略停止している際に強制的に前記変速プ
ーリを変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制
御を行う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置に
おいて、前記強制ダウンシフト制御への制御入場時の変
速比を算出する変速比算出手段と、前記強制ダウンシフ
ト制御への制御入場時の減速度を算出する減速度算出手
段と、前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を、
変速比算出手段からの強制ダウンシフト制御への制御入
場時の変速比と減速度算出手段からの強制ダウンシフト
制御への制御入場時の減速度とにより設定する設定手段
とを前記制御手段に設けたことを特徴とする。
【0017】また、無段変速機の変速プーリ位置を直流
モータを駆動させて調整するとともに車両停止時または
車両が略停止している際に強制的に前記変速プーリを変
速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行う
制御手段を有する無段変速機の変速制御装置において、
前記強制ダウンシフト制御への制御入場後に時間経過に
伴い前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を減量
させる時間減量手段を前記制御手段に設けたことを特徴
とする。
【0018】更に、無段変速機の変速プーリ位置を直流
モータを駆動させて調整するとともに車両停止時または
車両が略停止している際に強制的に前記変速プーリを変
速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行う
制御手段を有する無段変速機の変速制御装置において、
前記強制ダウンシフト制御を、制御入場後に前記強制ダ
ウンシフト制御入場時の変速比と減速度により予め設定
される所定時間が経過した後に終了させる時間設定手段
を前記制御手段に設けたことを特徴とする。
【0019】
【作用】上述の如く発明したことにより、強制ダウンシ
フト制御時には、この強制ダウンシフト制御のダウンシ
フト量を、変速比算出手段からの強制ダウンシフト制御
への制御入場時の変速比と減速度算出手段からの強制ダ
ウンシフト制御への制御入場時の減速度とにより設定
し、必要最小限のダウンシフト量にて変速プーリを変速
比フルロー位置としている。
【0020】また、強制ダウンシフト制御への制御入場
後には、時間経過に伴い強制ダウンシフト制御のダウン
シフト量を効果的に減量させ、無駄な直流モータの回転
速度の増加を低減している。
【0021】更に、強制ダウンシフト制御を、制御入場
後に予め設定される所定時間が経過した後に終了させ、
強制ダウンシフト制御の信頼性を向上させている。
【0022】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。
【0023】図1〜図20はこの発明の第1実施例を示
すものである。図2において、2は無段変速機、4は内
燃機関、6は無段変速機2の変速制御装置である。
【0024】前記無段変速機2は、図示しない車両に搭
載された内燃機関4の発生する駆動力を運転状態に応じ
て適切に取り出している。
【0025】また、無段変速機2は、内燃機関4により
駆動される駆動側軸8に駆動側プーリ(プライマリプー
リ)10を設け、被動側軸12に被動側プーリ(セカン
ダリプーリ)14を設けている。
【0026】前記駆動側プーリ10は、駆動側軸8上に
固設される円錐面を有する駆動側固定プーリ部片16
と、駆動側軸8上に円錐面を有し且つ駆動側固定プーリ
部片16に対向して移動可能に設けられる駆動側可動プ
ーリ部片18とからなる。
【0027】同様に、前記被動側プーリ14は、被動側
軸12上に設けられる被動側固定プーリ部片20と被動
側可動プーリ部片22とからなる。
【0028】前記内燃機関4と駆動側軸8とは動力伝達
経路24によって連絡される。この動力伝達経路24
は、駆動側軸8と平行に配設される内燃機関4の出力軸
26と、駆動側軸8と平行且つ駆動側軸8と出力軸26
間に配設される中間軸28とを有し、内燃機関4と出力
軸26間に電磁パウダ式クラッチ30を配設する。
【0029】また、出力軸26上に第1、第2ドライブ
ギヤ32、34を配設し、この第1ドライブギヤ32に
噛合する第1中間ギヤ36を中間軸28上に配設すると
ともに、中間軸28上には第2ドライブギヤ34に噛合
する第2中間ギヤ38を配設する。そして、この第2中
間ギヤ38に噛合する駆動側ギヤ40を前記駆動側軸8
上に配設する。
【0030】前記第1中間ギヤ36近傍には、プライマ
リ側、つまり駆動側用の回転センサ42を配設する。
【0031】また、第1ドライブギヤ32は、2ウェイ
クラッチ44を介して前記被動側軸12に連絡されてい
る。つまり、第1ドライブギヤ32に噛合する2ウェイ
クラッチドリブンギヤ46を設けるとともに、2ウェイ
クラッチドライブギヤ48を設け、この2ウェイクラッ
チドライブギヤ48に噛合する第1被動側ギヤ50を被
動側軸12上に設け、この被動側軸12上には第2被動
側ギヤ52を設ける。
【0032】そして、第2被動側ギヤ52に噛合する第
1中間ギヤ54を中間軸56上に設けるとともに、この
中間軸56上に第2中間ギヤ58を設け、第2中間ギヤ
58に噛合する車軸ドリブンギヤ60を車軸62上に配
設し、タイヤ64に前記被動側軸12からの駆動力を伝
達させる構成とする。
【0033】また、前記第1中間ギヤ54近傍には、セ
カンダリ側、つまり被動側用の回転センサ66を配設す
る。
【0034】前記駆動側プーリ10に、無段変速機2の
変速プーリ位置、つまり駆動側プーリ10の駆動側可動
プーリ部片18のプーリ部片位置を調整する直流モータ
(DCモータ)68を設ける。
【0035】この直流モータ68は、減速歯車群70に
より駆動側プーリ10の駆動側可動プーリ部片18の調
整歯車群72に連絡される。
【0036】前記減速歯車群70は、モータ軸74上に
設けたドライブギヤ76と、このドライブギヤ76に噛
合するドリブンギヤ78を介して連絡すべく中間軸80
上に配設した第1中間ギヤ82と、中間軸80上に配設
した第2中間ギヤ84と、第2中間ギヤ84に噛合すべ
く減速軸86上に配設した第1減速ギヤ88と前記調整
歯車群72に連絡すべく減速軸86上に配設した第2減
速ギヤ90とを有する。
【0037】また、調整歯車群72は、図3に示す如
く、第2減速ギヤ90から駆動力が伝達されるスライダ
ギヤたるプーリ歯車92を有する。このプーリ歯車92
は、前記無段変速機2のケース部2aに固定されるウォ
ームギヤ94に噛合するとともに、前記駆動側プーリ1
0の駆動側可動プーリ部片18にはベアリング96を介
して接続すべく設ける。
【0038】そして、前記プーリ歯車92を、駆動側可
動プーリ部片18の回転動作と無関係に回転可能とし、
駆動側軸8の軸方向には駆動側可動プーリ部片18と連
動するものである。
【0039】このため、前記直流モータ68からプーリ
歯車92に伝達された回転力は、ウォームギヤ94によ
りプーリ歯車92を軸方向に移動する。
【0040】また、このプーリ歯車92と駆動側可動プ
ーリ部片18とが駆動側軸8の軸方向に連動して移動す
ることにより、前記直流モータ68から回転力によって
前記駆動側固定プーリ部片16と駆動側可動プーリ部片
18との溝幅を変更させることができ、変速比の調整が
行われる。
【0041】前記無段変速機2の変速制御装置6に、図
1に示す如く、直流モータ68を駆動させて駆動側可動
プーリ部片18のプーリ位置を調整する制御手段98を
設ける。
【0042】この制御手段98は、車両停止時または車
両が略停止している際に、強制的に変速プーリたる駆動
側可動プーリ部片18を変速比フルロー位置とすべく強
制ダウンシフト制御を行う。
【0043】更に、前記制御手段98には、電磁パウダ
式クラッチ30と、駆動側用の回転センサ42と、被動
側用の回転センサ66と、直流モータ68とが夫々接続
され、エンジン回転信号やスロットル開度信号、アクセ
ルスイッチ信号、パワーモードスイッチ信号、ブレーキ
スイッチ信号、そしてシフト位置P、R、N、D、Lの
シフトスイッチ信号が入力されるとともに、パワーモー
ド表示信号やダイアグレーシス表示信号が出力される。
【0044】なお符号Vは前記駆動側プーリ10と被動
側プーリ14とに捲回されるベルト、TCは被動側プー
リ14の被動側可動プーリ部片22に配設されるトルク
カムである。
【0045】ここで、図4に沿って前記直流モータ68
の特性を説明する。なお、図4〜図9において使用され
る記号は、以下の如くである。 Dm :直流モータの駆動デューティ値 A :電流検出手段 M :直流モータ Ra :直流モータの巻線抵抗 L :直流モータの等価インダクタンス Ec :直流モータの逆起電圧 Im :直流モータ電流 ImF:フィルタ処理(一次遅れ処理)後のIm
【0046】図4は、図5の回路によって直流モータ6
8を駆動した場合の特性を示すものであり、直流モータ
電流Imは、直流モータ68の回転速度が低いほど大き
く、直流モータ68の回転速度が0rpmの場合に最大
となる。
【0047】図6は直流モータ68の等価回路を示すも
のである。
【0048】また、直流モータ68の回転速度が0rp
mの場合には、直流モータ68の逆起電圧Ecが発生し
ないため、直流モータ電流Imは、オームの法則によっ
てインピーダンスたる直流モータ68の巻線抵抗Raと
印加電圧とにより与えられる。
【0049】直流モータ68の回転速度が0rpm以外
の場合には、直流モータ68の逆起電圧Ecが印加電圧
を低減する方向に発生する。このとき、直流モータ68
の逆起電圧Ecは、直流モータ68の回転速度の増加に
伴って増加する。このため、直流モータ電流Imは、図
4に示す如き特性となる。
【0050】また、前記直流モータ68を制御する場合
には、直流モータ68を電流源に接続し、電流値そのも
のを調整する方策があるが、デューティ(パルス幅変
調、PWM)制御を行う方策もある。
【0051】図8にデューティ制御のシステムを示し、
その特性を図7に示すとともに、タイムチャートを図9
に示す。
【0052】デューティ制御は、直流モータ68に通電
する時間を変化させることで直流モータ電流Imを調整
するものであり、直流モータ68の駆動デューティ値D
mが大きいほど直流モータ68に通電する時間が長くな
り、直流モータ電流Imが増加する。
【0053】なお、直流モータ68の通電と非通電との
繰り返し、つまり駆動周波数が緩慢な場合には、直流モ
ータ電流Imの脈動たるリップルが大きくなるため、駆
動周波数はリップルを無視できる値に設定する。
【0054】前記直流モータ68の駆動デューティ値D
mが大きくなると、直流モータ電流Imが大きくなり、
過電流状態となる惧れがあるため、所定の電流値に達し
た場合に、直流モータ68の駆動デューティ値Dmを減
少させる過電流制限が併用される。例えば、直流モータ
68をデューティ駆動する場合に、直流モータ電流Im
の目標値たるIm目標値Imspから駆動デューティ値
Dmを算出する。この算出方策としては、図16のマッ
プを使用するものや、直流モータ電流Imをフィードバ
ック制御してIm目標値Imspと直流モータ電流Im
との関係が、 Imsp=Im とすべく駆動デューティ値Dmを調整するものがある。
【0055】上述の図4及び図7の特性よりモータロッ
ク状態(つまり、直流モータ68の回転速度が0rp
m)の判断は、直流モータ電流Imを監視することによ
って行う。
【0056】モータロック時には、直流モータ電流Im
は直流モータ68の駆動デューティ値Dmに依存するた
め、各駆動デューティ値Dmに対するモータロック時の
直流モータ電流Imを求め、この直流モータ電流Imを
勘案してモータロック判定Imトリガ(ImTR)カー
ブを作成する。
【0057】そして、直流モータ電流Imがモータロッ
ク判定Imトリガ(ImTR)カーブよりも大である場
合には、モータロック状態であると判断できる。このと
き、モータロック状態を放置すると、直流モータ68が
焼損する惧れが大となる。
【0058】また、変速比フルロー状態をモータロック
にて検出するためには、変速プーリたる前記駆動側プー
リ10の駆動側可動プーリ部片18が変速比フルロー位
置に達した場合に、それ以上は駆動側可動プーリ部片1
8がダウンシフト方向に動かない構造とし、モータロッ
ク状態とする必要がある。具体的な構造としては、変速
ストッパを設ける等の方策がある。
【0059】前記制御手段98によるダウンシフト制御
は、車両の走行状態と運転者の運転操作により車両停止
時または車両が略停止状態となった場合に一度だけ行わ
れる。
【0060】このダウンシフト制御の目的は、車両停止
後、次の発進に備えて駆動側可動プーリ部片18を変速
比フルロー位置に戻すことであるが、常に同じダウンシ
フト操作では変速比フルロー位置に戻すことができない
ことがある。
【0061】そこで、前記制御手段98に、強制ダウン
シフト制御への制御入場時の変速比を算出する変速比算
出手段100と、強制ダウンシフト制御への制御入場時
の減速度を算出する減速度算出手段102と、強制ダウ
ンシフト制御のダウンシフト量Imdを、変速比算出手
段100からの強制ダウンシフト制御への制御入場時の
変速比と減速度算出手段102からの強制ダウンシフト
制御への制御入場時の減速度とにより設定する設定手段
104とを設ける。
【0062】詳述すれば、この設定手段104は、前記
変速比算出手段100からの強制ダウンシフト制御への
制御入場時の変速比と、減速度算出手段102からの強
制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度とにより、
図11に示す如く、強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量Imdを設定し、車両の走行状態において減速度が
大きいほど迅速にダウンシフト制御を行うものである。
また、変速比が変速比フルロー位置から離れるほど迅速
にダウンシフト制御を行う必要があり、ダウンシフト量
は、変速比が変速比フルロー位置から離れるほど大とな
る。
【0063】つまり、図11に示す如く、変速比と減速
度とによって強制ダウンシフト制御のダウンシフト量I
mdを設定することで、最適な強制ダウンシフト制御を
実現できる。
【0064】また、前記強制ダウンシフト制御を、制御
入場後に予め設定される所定時間が経過した後に終了さ
せる時間設定手段106を設ける。
【0065】前記時間設定手段106に予め設定される
所定時間は、図12に示す如く、変速比と車両の減速度
とにより設定されるトリガTdTRである。このトリガ
たる所定時間TdTRは、強制ダウンシフト制御の制御
時間であり、図12に示す如く、車両の走行状態におい
て減速度が大きいほど小なる値に設定され、また、変速
比が変速比フルロー位置から離れるほど、大に設定され
る。
【0066】そして、前記時間設定手段106におい
て、所定時間TdTRと強制ダウンシフト制御入場後の
実際の時間Tdとの関係が、 Td≧TdTR の場合に、直流モータ電流Imの目標値たるIm目標値
Imspを0として強制ダウンシフト制御を終了させる
べく信号を出力するものである。
【0067】また、前記時間設定手段106において、
所定時間TdTRと強制ダウンシフト制御入場後の時間
Tdとの関係が、 Td<TdTR の場合且つ変速比フルロー状態でない場合には、Im目
標値Imspを強制ダウンシフト制御時のダウンシフト
量Imdとする。
【0068】このIm目標値Imspの設定は、図13
に示す如く、スロットル開度THRから第1マップ11
0によって目標NEたる目標エンジン回転速度NESP
Rを求め(図14参照)、車速Vsから第2マップ11
2によって目標エンジン回転速度NESPRの上限たる
NESPR上限NESPRHを求める(図15参照)と
ともに、車速Vsから第3マップ114によって目標エ
ンジン回転速度NESPRの下限たるNESPR下限N
ESPRLを求める(図15参照)。
【0069】そして、MIN116にて目標エンジン回
転速度NESPRとNESPR上限NESPRHとの小
さい方を選択して採用し、MAX118にてこの採用し
たものとNESPR下限NESPRLとの大きい方を採
用する。
【0070】また、採用したものに運転操作や車両の走
行状態による過渡修正処理120を施し、エンジン回転
速度NEと比較処理122した後に、比例積分制御(P
I制御)124を行い、Im目標値Imspと直流モー
タ68の回転方向とを設定する。
【0071】次に図1のメイン制御用フローチャートに
沿って作用を説明する。
【0072】メイン制御用プログラムが開始(200)
すると、強制ダウンシフト条件が成立したか否かの判断
(202)を行う。
【0073】そして、判断(202)がNOの場合に
は、判断(202)の成立時に備え、強制ダウンシフト
制御入場後の時間Tdを0とする処理(204)に移行
させ、判断(202)がYESの場合には、所定時間T
dTRと強制ダウンシフト制御入場後の時間Tdとの関
係を比較判断(206)する。
【0074】上述の強制ダウンシフト制御入場後の時間
Tdを0とする処理(204)の後に、前記変速比算出
手段100によって強制ダウンシフト制御への制御入場
時の変速比を算出(208)するとともに、減速度算出
手段102によって強制ダウンシフト制御への制御入場
時の車両の減速度を算出(210)する。
【0075】また、変速比と減速度とによって図11か
ら強制ダウンシフト制御のダウンシフト量Imdを設定
(212)し、変速比と減速度とによって図12から前
記時間設定手段106によって強制ダウンシフト制御の
所定時間TdTRを設定(214)する。
【0076】その後、図13によってその他のIm目標
値Imspを設定(216)し、図16によってIm目
標値Imspと直流モータ68の駆動デューティ値Dm
との変換処理(218)を行い、メイン制御用プログラ
ムを終了(228)させる。
【0077】また、上述の所定時間TdTRと強制ダウ
ンシフト制御入場後の時間Tdとの関係の比較判断(2
06)において、 Td≧TdTR の場合には、終了条件の成立によって直流モータ電流I
mの目標値たるIm目標値Imspを0とし(22
0)、図16によってIm目標値Imspと直流モータ
68の駆動デューティ値Dmとの変換処理(218)を
行い、メイン制御用プログラムを終了(228)させ
る。
【0078】更に、比較判断(206)において、 Td<TdTR の場合には、終了条件が不成立のため、強制ダウンシフ
ト制御入場後の時間Tdに1を加算して新たな時間Td
とし(222)、その後に変速プーリたる前記駆動側プ
ーリ10の駆動側可動プーリ部片18が変速比フルロー
位置の状態にあるか否かの判断(224)を行う。
【0079】この判断(224)において、YESの場
合には、終了条件が成立し、直流モータ電流Imの目標
値たるIm目標値Imspを0とし(220)、制御用
プログラムを終了(228)させ、逆に判断(224)
がNOの場合には、終了条件が不成立によりIm目標値
Imspを強制ダウンシフト制御時のダウンシフト量I
mdとし(226)、図16によってIm目標値Ims
pと直流モータ68の駆動デューティ値Dmとの変換処
理(218)を行い、メイン制御用プログラムを終了
(228)させる。
【0080】なお、このメイン制御は微小時間、例えば
10msec毎に行われる。
【0081】前記強制ダウンシフト条件が成立したか否
かの判断(202)は、図10に示す如く、強制ダウン
シフト条件用プログラムが開始(300)すると、スロ
ットル開度が略全閉状態にあるか否かの判断(302)
を行い、この判断(302)がYESの場合には、車速
Vsと車速Vs用トリガVsTRとの比較判断(30
4)に移行させ、判断(302)がNOの場合には、エ
ンジン回転速度NEとエンジン回転速度NE用トリガN
ETRとの比較判断(306)に移行させる。
【0082】そして、車速Vsと車速Vs用トリガVs
TRとの比較判断(304)において、 Vs<VsTR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立したと判定
(308)し、強制ダウンシフト条件用プログラムを終
了(312)させるとともに、 Vs≧VsTR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立していないと
判定(310)し、強制ダウンシフト条件用プログラム
を終了(312)させる。
【0083】また、エンジン回転速度NEとエンジン回
転速度NE用トリガNETRとの比較判断(306)に
おいて、 NE<NETR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立したと判定
(308)し、強制ダウンシフト条件用プログラムを終
了(312)させるとともに、 NE≧NETR の場合には、強制ダウンシフト条件が成立していないと
判定(310)し、強制ダウンシフト条件用プログラム
を終了(312)させる。
【0084】なお、この制御は微小時間、例えば10m
sec毎に行われる。
【0085】また、前記駆動側プーリ10の駆動側可動
プーリ部片18が変速比フルロー位置の状態にあるか否
かの判断(224)は、図17に示す如く、判断用プロ
グラムが開始(400)すると、図18によってモータ
ロック判定ImトリガImTRの設定(402)を行
い、フィルタ処理後の直流モータ電流ImFとモータロ
ック判定ImトリガImTRとの比較判断(404)を
行う。
【0086】この判断(404)においてフィルタ処理
後の直流モータ電流ImFとモータロック判定Imトリ
ガImTRとの関係が、 ImF>ImTR の場合には、モータロック判定用カウンタTbとこのモ
ータロック判定用カウンタTb用トリガTbTRとの比
較判断(406)に移行し、フィルタ処理後の直流モー
タ電流ImFとモータロック判定ImトリガImTRと
の関係が、ImF≦ImTRの場合には、モータロック
判定用カウンタTbを0とする処理(408)に移行さ
せる。
【0087】また、モータロック判定用カウンタTbと
Tb用トリガTbTRとの比較判断(406)におい
て、モータロック判定用カウンタTbとTb用トリガT
bTRとの関係が、 Tb≧TbTR の場合には、変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆
動側可動プーリ部片18が変速比フルロー位置の状態に
あると判定(410)し、判断用プログラムを終了(4
16)させるとともに、モータロック判定用カウンタT
bとTb用トリガTbTRとの関係が、 Tb<TbTR の場合には、モータロック判定用カウンタTbに1を加
算し、新たなモータロック判定用カウンタTbとする
(412)。
【0088】そして、このモータロック判定用カウンタ
Tbに1を加算する処理(412)と上述のモータロッ
ク判定用カウンタTbを0とする処理(408)との各
処理の後に、変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆
動側可動プーリ部片18が非変速比フルロー位置の状態
にあると判定(414)し、判断用プログラムを終了
(416)させる。
【0089】なお、この制御は微小時間、例えば10m
sec毎に行われる。
【0090】これにより、車両の走行状態や前記無段変
速機2の変速操作状態に応じて前記制御手段98の設定
手段104によって強制ダウンシフト制御のダウンシフ
ト量Imdを設定でき、必要最小限のダウンシフト量I
mdにて変速プーリたる前記駆動側プーリ10の駆動側
可動プーリ部片18を確実に変速比フルロー位置の状態
とすることができ、動力性能を確保し得て、実用上有利
である。
【0091】また、必要最小限の強制ダウンシフト制御
を行うことができることにより、直流モータ68による
電力消費を低減し得るとともに、省燃費に寄与し得る。
【0092】更に、強制ダウンシフト制御を、変速プー
リたる前記駆動側プーリ10の駆動側可動プーリ部片1
8が変速比フルロー位置の状態であると検出された際に
終了すれば、必要以上の強制ダウンシフト制御が行われ
ることがなく、強制ダウンシフト制御の信頼性を向上し
得る。
【0093】更にまた、前記時間設定手段106によっ
て強制ダウンシフト制御を制御入場後に、変速比と変速
比フルロー位置との離間関係、つまり変速比と変速比フ
ルロー位置との差の大きさによって予め設定される所定
時間が経過した後に終了させることにより、確実な強制
ダウンシフト制御を実現し得る。
【0094】また、前記制御手段98のソフトウェア上
の変更のみで対処し得ることにより、構成が複雑化する
惧れがなく、製作が容易であり、コストを低廉に維持し
得て、経済的に有利である。
【0095】更に、モータロック状態の継続による直流
モータ68の焼損を防止できることにより、直流モータ
68の耐久性を向上し得て、経済的に有利である。
【0096】更にまた、前記駆動側プーリ10の駆動側
可動プーリ部片18のプーリ位置を検出するセンサを使
用する必要がないことにより、以下の如き利点が生ず
る。 1)部品点数を減少させることができ、コストを低廉と
し得る。 2)システムが簡素化できる。 3)無段変速機の生産時の調整や管理を低減し得る。 4)調整ズレや故障の発生に対する配慮を低減し得る。 5)プーリ位置を検出するセンサの故障による不具合を
防止し得る。
【0097】図21はこの発明の第2実施例を示すもの
である。この第2実施例において、上述第1実施例と同
一機能を果たす箇所には同一符号を付して説明する。
【0098】この第2実施例の特徴とするところは、ダ
ウンシフト量Imdの減少係数たるImd減少係数Cd
(0<Cd<1)を設定した点にある。
【0099】すなわち、強制ダウンシフト制御への制御
入場後に時間経過に伴い強制ダウンシフト制御のダウン
シフト量Imdを減量させる時間減量手段を制御手段9
8に設け、この制御手段98を時間減量手段としても機
能させるものである。
【0100】前記直流モータ68の発生トルクτmは、
次式 τm=Km×Im (Km:トルク定数) によって表され、図4の直流モータ68の特性から明ら
かな如く、直流モータ68の回転速度が高いほど、一定
の回転速度に保つために必要な直流モータ電流Imが減
少する。
【0101】そして、必要以上の直流モータ電流Imが
印加されている場合には、余裕トルクが発生するため、
直流モータ68の回転速度を増加するものである。
【0102】このため、前記制御手段98は、直流モー
タ68の通電時間から直流モータ68の回転速度の増加
を予測し、直流モータ68の回転速度の増加分を低減す
べく補正する信号を出力すればよい。
【0103】実際の方策としては、図21に示す如く、
メイン制御用フローチャート中の強制ダウンシフト制御
入場後の時間Tdに1を加算して新たな時間Tdとする
処理(222)の後に、ダウンシフト量ImdにImd
減少係数Cdを乗じて新たなダウンシフト量Imdとす
る処理(500)を追加する。
【0104】なお、その他の制御動作は、上述第1実施
例のものと同様であるので、説明は省略する。
【0105】さすれば、強制ダウンシフト制御への制御
入場後に、微小時間、例えば10msec毎に行われる
メイン制御用フローチャートにおいて確実に強制ダウン
シフト制御のダウンシフト量Imdが減量されることと
なり、効果的にダウンシフト量Imdをカットすること
ができ、無駄な直流モータの回転速度の増加を低減し得
るとともに、変速比を滑らかに変化させることができ
る。
【0106】また、ソフトウェア上の変更のみで対処し
得ることにより、上述第1実施例のものと同様に、構成
が複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、コストを
低廉に維持し得て、経済的に有利である。
【0107】
【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、無段変速機の変速プーリ位置を直流モータを駆動さ
せて調整するとともに車両停止時または車両が略停止し
ている際に強制的に変速プーリを変速比フルロー位置と
すべく強制ダウンシフト制御を行う制御手段を有する無
段変速機の変速制御装置において、強制ダウンシフト制
御への制御入場時の変速比を算出する変速比算出手段
と、強制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度を算
出する減速度算出手段と、強制ダウンシフト制御のダウ
ンシフト量を、変速比算出手段からの強制ダウンシフト
制御への制御入場時の変速比と減速度算出手段からの強
制ダウンシフト制御への制御入場時の減速度とにより設
定する設定手段とを制御手段に設けたので、車両の走行
状態や無段変速機の変速操作状態に応じて制御手段の設
定手段によって強制ダウンシフト制御のダウンシフト量
を設定でき、必要最小限のダウンシフト量にて変速プー
リを確実に変速比フルロー位置の状態とすることがで
き、動力性能を確保し得て、実用上有利である。また、
必要最小限の強制ダウンシフト制御を行うことができる
ことにより、直流モータによる電力消費を低減し得ると
ともに、省燃費に寄与し得る。更に、強制ダウンシフト
制御を、変速プーリが変速比フルロー位置の状態である
と検出された際に終了すれば、必要以上の強制ダウンシ
フト制御が行われることがなく、強制ダウンシフト制御
の信頼性を向上し得る。更にまた、前記制御手段のソフ
トウェア上の変更のみで対処し得ることにより、構成が
複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、コストを低
廉に維持し得て、経済的に有利である。また、モータロ
ック状態の継続による直流モータの焼損を防止できるこ
とにより、直流モータの耐久性を向上し得て、経済的に
有利である。更に、変速プーリのプーリ位置を検出する
センサを使用する必要がないことにより、以下の如き利
点が生ずる。 1)部品点数を減少させることができ、コストを低廉と
し得る。 2)システムが簡素化できる。 3)無段変速機の生産時の調整や管理を低減し得る。 4)調整ズレや故障の発生に対する配慮を低減し得る。 5)プーリ位置を検出するセンサの故障による不具合を
防止し得る。
【0108】また、無段変速機の変速プーリ位置を直流
モータを駆動させて調整するとともに車両停止時または
車両が略停止している際に強制的に変速プーリを変速比
フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行う制御
手段を有する無段変速機の変速制御装置において、強制
ダウンシフト制御への制御入場後に時間経過に伴い前記
強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を減量させる時
間減量手段を制御手段に設けたので、強制ダウンシフト
制御への制御入場後に、時間経過に伴い確実に強制ダウ
ンシフト制御のダウンシフト量が減量されることとな
り、効果的にダウンシフト量をカットすることができ、
無駄な直流モータの回転速度の増加を低減し得るととも
に、変速比を滑らかに変化させることができる。また、
ソフトウェア上の変更のみで対処し得ることにより、構
成が複雑化する惧れがなく、製作が容易であり、コスト
を低廉に維持し得て、経済的に有利である。
【0109】更に、無段変速機の変速プーリ位置を直流
モータを駆動させて調整するとともに車両停止時または
車両が略停止している際に強制的に変速プーリを変速比
フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行う制御
手段を有する無段変速機の変速制御装置において、強制
ダウンシフト制御を、制御入場後に前記強制ダウンシフ
ト制御入場時の変速比と減速度により予め設定される所
定時間が経過した後に終了させる時間設定手段を制御手
段に設けたので、時間設定手段によって強制ダウンシフ
ト制御を制御入場後に、予め設定される所定時間が経過
した後に終了させることができ、確実な強制ダウンシフ
ト制御を実現し得る。また、前記制御手段のソフトウェ
ア上の変更のみで対処し得ることにより、構成が複雑化
する惧れがなく、製作が容易であり、コストを低廉に維
持し得て、経済的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す無段変速機の変速
制御装置のメイン制御用フローチャートである。
【図2】無段変速機の変速制御装置の概略構成図であ
る。
【図3】無段変速機の変速制御装置の駆動側プーリ部分
の概略拡大断面図である。
【図4】直流モータの特性を示す図である。
【図5】直流モータの駆動回路を示す図である。
【図6】直流モータの等価回路を示す図である。
【図7】直流モータのデューティ制御を示す図である。
【図8】直流モータのデューティ制御回路を示す図であ
る。
【図9】直流モータのデューティ制御のタイムチャート
である。
【図10】強制ダウンシフト条件の判定用フローチャー
トである。
【図11】強制ダウンシフト量の設定用マップを示す図
である。
【図12】強制ダウンシフト制御の制御時間用マップを
示す図である。
【図13】その他のIm目標値Imspの設定用ブロッ
ク図である。
【図14】目標エンジン回転速度とスロットル開度との
関係を示す図である。
【図15】車速と目標エンジン回転速度の上下限値との
関係を示す図である。
【図16】Im目標値Imspと直流モータの駆動デュ
ーティ値Dmとの変換用マップを示す図である。
【図17】変速プーリたる前記駆動側プーリの駆動側可
動プーリ部片が変速比フルロー位置の状態であるか否か
の判定用フローチャートである。
【図18】モータロック判定ImトリガImTRカーブ
を示す図である。
【図19】変速比による影響を示す無段変速機の変速制
御装置のタイムチャートである。
【図20】減速度による影響を示す無段変速機の変速制
御装置のタイムチャートである。
【図21】この発明の第2実施例を示す無段変速機の変
速制御装置のメイン制御用フローチャートである。
【図22】変速プーリたる前記駆動側プーリの駆動側可
動プーリ部片が変速比フルロー位置の状態であるか否か
の判定用タイムチャートである。
【図23】無段変速機の変速制御装置のタイムチャート
である。
【符号の説明】 2 無段変速機 4 内燃機関 6 変速制御装置 8 駆動側軸 10 駆動側プーリ(プライマリプーリ) 12 被動側軸 14 被動側プーリ(セカンダリプーリ) 16 駆動側固定プーリ部片 18 駆動側可動プーリ部片 20 被動側固定プーリ部片 22 被動側可動プーリ部片 24 動力伝達経路 30 電磁パウダ式クラッチ 42 駆動側用の回転センサ 44 2ウェイクラッチ 66 被動側用の回転センサ 68 直流モータ(DCモータ) 70 減速歯車群 72 調整歯車群 92 プーリ歯車 94 ウォームギヤ 98 制御手段 V ベルト TC トルクカム 100 変速比算出手段 102 減速度算出手段 104 設定手段 106 時間設定手段
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16H 59:70 (72)発明者 森下 秋吉 愛知県名古屋市熱田区南一番町7番22号 愛知機械工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無段変速機の変速プーリ位置を直流サー
    ボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時また
    は車両が略停止している際に強制的に前記変速プーリを
    変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行
    う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置におい
    て、前記強制ダウンシフト制御への制御入場時の変速比
    を算出する変速比算出手段と、前記強制ダウンシフト制
    御への制御入場時の減速度を算出する減速度算出手段
    と、前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を、変
    速比算出手段からの強制ダウンシフト制御への制御入場
    時の変速比と減速度算出手段からの強制ダウンシフト制
    御への制御入場時の減速度とにより設定する設定手段と
    を前記制御手段に設けたことを特徴とする無段変速機の
    変速制御装置。
  2. 【請求項2】 無段変速機の変速プーリ位置を直流サー
    ボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時また
    は車両が略停止している際に強制的に前記変速プーリを
    変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行
    う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置におい
    て、前記強制ダウンシフト制御への制御入場後に時間経
    過に伴い前記強制ダウンシフト制御のダウンシフト量を
    減量させる時間減量手段を前記制御手段に設けたことを
    特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 無段変速機の変速プーリ位置を直流サー
    ボモータを駆動させて調整するとともに車両停止時また
    は車両が略停止している際に強制的に前記変速プーリを
    変速比フルロー位置とすべく強制ダウンシフト制御を行
    う制御手段を有する無段変速機の変速制御装置におい
    て、前記強制ダウンシフト制御を、制御入場後に前記強
    制ダウンシフト制御入場時の変速比と減速度により予め
    設定される所定時間が経過した後に終了させる時間設定
    手段を前記制御手段に設けたことを特徴とする無段変速
    機の変速制御装置。
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