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JPH09124599A - インドシアニン化合物 - Google Patents

インドシアニン化合物

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Publication number
JPH09124599A
JPH09124599A JP8013792A JP1379296A JPH09124599A JP H09124599 A JPH09124599 A JP H09124599A JP 8013792 A JP8013792 A JP 8013792A JP 1379296 A JP1379296 A JP 1379296A JP H09124599 A JPH09124599 A JP H09124599A
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JP
Japan
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group
compound
mmol
carbon atoms
alkyl
Prior art date
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Application number
JP8013792A
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English (en)
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JP4098839B2 (ja
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Susumu Ito
進 伊東
Tadanobu Shiga
匡宣 志賀
Kazumi Sasamoto
一美 佐々本
Kazuhiro Takesako
和浩 竹迫
Hiroshi Takeuchi
博 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dojin Kagaku Kenkyusho Kk
DOUJIN KAGAKU KENKYUSHO KK
Original Assignee
Dojin Kagaku Kenkyusho Kk
DOUJIN KAGAKU KENKYUSHO KK
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Publication date
Application filed by Dojin Kagaku Kenkyusho Kk, DOUJIN KAGAKU KENKYUSHO KK filed Critical Dojin Kagaku Kenkyusho Kk
Priority to JP01379296A priority Critical patent/JP4098839B2/ja
Publication of JPH09124599A publication Critical patent/JPH09124599A/ja
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Publication of JP4098839B2 publication Critical patent/JP4098839B2/ja
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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Indole Compounds (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記の式(A1及びA2はベンゼン環又はナ
フタレン環を示し、R1及びR2は水素原子、アルキル基、
アリール基、スルホン酸基、又はアルコキシ基を示し、
R3はアルキル基、スルホン酸アルキル基、又はアミノア
ルキル基などを示し、n は1 〜3 の整数を示し、X -
必要に応じてヨードイオンなどのアニオン種を示し、Z
はスクシンイミドオキシカルボニル置換C1-10 アルキレ
ン基などを示す)で示される化合物。 【化1】 【効果】 高い蛍光量子収率を有し水溶性が高いという
特徴を有する。また、官能基選択的に被標識化合物を標
識できるので、タンパクなどの生体高分子の蛍光標識化
合物として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インドシアニン誘
導体に関する。本発明の化合物は、アミノ基、スルフヒ
ドリル基、及び/又はカルボニル基等を有する化合物を
高感度に検出するための蛍光標識用試薬として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】標識試薬は、目的化合物に特定の性質を
与えてそれを検出できるようにする試薬である。標識試
薬を用いた代表的な標識法として、例えば、蛍光標識
法、放射性同位元素を導入する方法、及び酵素を用いる
方法を挙げることができる。放射性同位元素を用いる方
法は高感度な測定を可能にするが、非密封の放射性同位
元素を使用するために作業者が被曝する危険性がある。
また、放射性同位元素を使用する設備が限られており、
放射性廃棄物の処理や放射性物質の管理上の問題がある
他、測定機器や施設管理にも甚大な投資が必要である。
酵素を用いる方法としてはエライザ(ELISA) 法が知られ
ているが、従来の比色法では充分な感度が得られないた
め、蛍光標識試薬を併用したより高感度の測定が試みら
れている。
【0003】以上のような理由から、蛍光標識試薬を用
いた標識方法が微量分析のための標識法の主流になって
いる。蛍光標識試薬は、被標識化合物中の特定の官能基
に蛍光体を結合させ、付加された蛍光特性を利用して被
標識化合物を検出するための試薬である。従来、種々の
蛍光標識試薬が提案されており、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)を用いた検出では、検出感度が数フェムト
モル程度(サンプルのインジェクション量)程度まで高
められている。しかしながら、タンパクや核酸などの微
量な生体高分子の検出のためには未だ感度が十分である
とはいえず、また、蛍光顕微鏡等を用いた画像処理によ
り一分子計測が可能になっていることからも、さらに高
感度の蛍光標識試薬が求められている。
【0004】タンパクなどの生体高分子の標識に用いる
蛍光標識試薬には、高い蛍光強度を有することのほか
に、特定の官能基に選択的に結合すること、結合後に被
標識生体高分子の性質を変化させないことなどの諸性質
が要求される。また、分子内に複数の結合部位を有する
標識試薬は架橋形成によって被標識化合物の構造や性質
を変化させてしまう可能性があるので、標識試薬は分子
内に一個のみの標識基を有するものでなければならな
い。例えば、特開平2-191674号公報にはインドシアニン
型の高蛍光性化合物が開示されているが、化合物が複数
個の反応性基を有しており、標識に際して架橋反応が進
行する可能性がある。特開平5-40097 号公報に開示され
た蛍光標識用色素も同様に架橋反応を起こす可能性があ
る。また、その化合物自体では各種官能基と反応できな
いため、あらかじめ試薬の活性化が必要となるので操作
が煩雑であるという問題もある。
【0005】以上の要求に加えて、標識試薬には高い水
溶性も要求される。インドシアニン化合物の一種である
インドシアニングリーンは赤外線照射によって特異な吸
収を示して蛍光を発する物質であり、肝機能検査(イン
ドシアニングリーン負荷試験)などに用いられている。
従来、インドシアニングリーンの蛍光を利用してタンパ
クを蛍光標識する試みがなされており、インドシアニン
グリーンの母核を修飾したり、反応活性基を導入した誘
導体が種々提案されている。しかしながら、反応活性基
を導入した反応性インドシアニングリーン誘導体は水に
対して極めて難溶であり、標識試薬として用いる場合に
は、化合物をジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に溶
解する必要がある。このため、反応系にタンパク水溶液
が添加されると、試薬が沈殿したり標識されたタンパク
が析出するという問題が生じていた。
【0006】例えば、特願平6-222059号公報に開示され
た化合物は水溶性に劣り、化合物を有機溶媒に溶解して
用いる必要がある。特開平2-191674号公報に開示された
化合物は芳香環に直接スルホン酸基を導入することによ
って水溶性を改善した化合物ではあるが、この化合物と
いえどもタンパクの標識を純粋な水系で行うには十分な
水溶性を有するものではない。
【0007】一方、インドシアニングリーン誘導体を用
いてタンパクを標識する場合、タンパク自体の有する生
理活性を阻害しないように標識する必要がある。従来報
告されたインドシアニングリーン誘導体は、標識後のタ
ンパクとインドシアニングリーン標識との間の距離がい
ずれも短いものであり、標識後のタンパクの生理活性の
一部が損なわれている可能性がある。例えば、パトニー
(Patoney) らによって開発されたインドシアニングリー
ン誘導体は、ベンゼン環に直接イソチオシアノ基が導入
されており、標識とタンパクとの間の距離が極めて短い
ものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を軽減ないし解消した蛍光標識試薬を提供する
ことにある。より具体的にいうと、高い蛍光量子効果を
有する蛍光標識を簡便かつ官能基特異的に被標識化合物
に導入することができ、また、被標識化合物の性質を変
化させることのない蛍光標識試薬を提供することが本発
明の課題である。また、本発明の課題は、上記の特徴を
有し、かつ水溶性に優れた蛍光標識試薬を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力し、インドシアニングリーンの誘
導体を種々合成することにより、近赤外線ないし遠赤外
線の励起光により蛍光を発し、高い水溶性を有するイン
ドシアニングリーン誘導体を製造することに成功した。
また、本発明者らは、上記のインドシアニングリーン誘
導体が抗体などの生体高分子の標識に有用であることを
証明した。さらに、分子内対イオン(ツビッターイオ
ン)を形成可能な上記化合物にヨウ化ナトリウムなどを
作用させると、分子のカチオン部分には塩のアニオンが
付加しアニオン部分には塩のカチオンが付加して分子内
対イオンの形成が阻害される結果、分子全体のイオン性
が保たれ水溶性が顕著に増大した化合物が得られること
を見い出した。本発明はこれらの知見を基にして完成さ
れたものである。
【0010】すなわち本発明は、下記の式:
【化3】 (式中、A1及びA2はそれぞれ独立にベンゼン環又はナフ
タレン環を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、
アルキル基、アリール基、遊離若しくは解離したスルホ
ン酸基、又はアルコキシ基を示し、R3はアルキル基、遊
離若しくは解離したスルホン酸アルキル基、又はアミノ
アルキル基若しくはアンモニオアルキル基を示し、n は
1〜3 の整数を示し、X - は必要に応じてアニオン種を
示し、Z は以下の式:
【化4】 からなる群から選ばれる基であり、M + はアルカリ金属
イオンであり、W 及びYはそれぞれ独立に炭素数が1 〜1
0のアルキレン基を示すか、あるいはW 及びY は酸素原
子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1
種以上の原子を含む炭素数が1 〜10のアルキレン基を示
す)で示される化合物を提供するものである。
【0011】本発明の好ましい態様によれば、A1及びA2
がともにナフタレン環であり、R1及びR2がともに水素原
子であり、R3が解離した炭素数 2〜5 の直鎖スルホン酸
アルキル基であり、n が3 であり、Y が炭素数 2〜5 の
直鎖アルキレン基であり、Zがスクシンイミドオキシ基
又はアルカリ金属スルホスクシンイミドオキシ基である
上記化合物;及び、X - がヨウ素イオンであり、R3がナ
トリウムイオンと塩を形成した炭素数 2〜5 の直鎖スル
ホン酸アルキル基である上記化合物が提供される。
【0012】また、本発明の別の態様によれば、上記化
合物からなる蛍光標識用試薬;アミノ基、水酸基、カル
ボニル基、及びスルフヒドリル基からなる群から選ばれ
る1個以上の官能基を含む化合物の蛍光標識に用いる上
記試薬;官能基を含む該化合物が生体高分子である上記
試薬;並びに、生体高分子がタンパク、糖タンパク、脂
質、リン脂質、多糖類、及び核酸からなる群から選ばれ
る上記試薬が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】上記一般式中、A1及びA2はそれぞ
れ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示し、好ましく
はナフタレン環を用いることができる。A1及び/又はA2
がナフタレン環を示す場合、A1及び/又はA2が縮合する
ピロール環に対する該ナフタレン環の縮合位置は特に限
定されることはない。また、A1及び/又はA2がナフタレ
ン環を示す場合、R1及びR2はナフタレン環を構成する2
個のフェニル環のうちのいずれかの環の任意の位置に置
換することができる。A1及び/又はA2がフェニル環を示
す場合、R1及びR2はフェニル環の任意の位置に置換して
いてもよい。
【0014】R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、ア
ルキル基、アリール基、遊離若しくは解離したスルホン
酸基、又はアルコキシ基を示す。アルキル基としては、
炭素数 1〜6 程度、好ましくは炭素数1 〜4 の直鎖又は
分枝鎖の低級アルキル基を用いることができる。例え
ば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル
基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などを好適に使用で
きる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフ
チル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピロリル基など
を挙げることができる。解離したスルホン酸基には対イ
オンとしてアルカリ金属イオンなど、例えば、ナトリウ
ムイオンあるいはカリウムイオンなどが存在していても
よい。アルコキシ基としては、炭素数 1〜6 程度、好ま
しくは炭素数1〜4 の直鎖又は分枝鎖の低級アルコキシ
基を用いることができ、より具体的には、メトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキ
シ基、tert- ブトキシ基などを用いることが可能であ
る。
【0015】R3はアルキル基、遊離若しくは解離したス
ルホン酸アルキル基、又はアミノ若しくはアンモニオア
ルキル基を示す。アルキル基としては炭素数 1〜6 程
度、好ましくは炭素数1 〜4 の直鎖又は分枝鎖の低級ア
ルキル基を用いることができる。スルホン酸アルキル基
のスルホン酸、又はアミノ若しくはアンモニオアルキル
基のアミノ基若しくはアンモニオ基はアルキル基の任意
の位置に置換することができるが、アルキル基の末端に
置換したものを用いるのが好適である。アミノ基若しく
はアンモニオ基は、1個又は2個(アンモニオ基の場合
には1ないし3個)の同一若しくは異なる低級アルキル
基(好ましくは炭素数 1〜6 程度のアルキル基)を有し
ていてもよい。
【0016】例えば、R3として-(CH2)k -SO3- (k は3
〜5 の整数を示す)で示される基などが好適である。R3
が解離したスルホン酸アルキル基である場合には、スル
ホン酸イオンの対イオンとしてアルカリ金属イオン、例
えば、ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンなどが
存在していてもよい。R3がアンモニオアルキル基である
場合、対イオンとしてハロゲンイオン、過塩素酸イオン
などの陰イオン、好ましくはハロゲンイオンが存在して
いてもよい。
【0017】X - は必要に応じて存在していてもよいア
ニオン種、例えばハロゲンイオン、酢酸イオン、過塩素
酸イオン、炭酸イオン、またはチオシアン酸イオンを示
す。X - で示されるアニオン種は、母核内の窒素原子上
の陽電荷を打ち消して化合物を全体として中性に維持す
るために作用する。例えば、R1, R2, 及びR3のうちのい
ずれか一つに解離したスルホン酸部分が存在すると、そ
の解離したスルホン酸の陰電荷と母核内の窒素原子上の
陽電荷が打ち消しあうので、X - は存在しなくてもよ
い。一方、例えば、R1及びR2のうちのいずれか一方が解
離したスルホン酸基であり、R3がアンモニオアルキル基
である場合には、これらの基の電荷が釣り合うので、母
核内の窒素原子上の陽電荷を打ち消すためにX - が必要
になることがある。X - としては、好ましくは、塩素イ
オン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどを用いることがで
きる。これらのうち、ヨウ素イオンが特に望ましい。n
は1〜3 の整数を示すが、n が3 であることが好まし
い。
【0018】Y は、炭素数1〜10の直鎖若しくは分枝鎖
のアルキレン基、好ましくは炭素数2〜5 の直鎖又は分
枝鎖のアルキレン基を好適に用いることができる。特に
好ましくは、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペン
タメチレン基を用いることができる。また、Y は、酸素
原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる
1以上の原子を含む炭素数 1〜10の直鎖若しくは分枝鎖
のアルキレン基を示す。
【0019】具体的には、-Y-CO-で示される基として、
例えば、-CH2-CO-; -(CH2)2-CO-; -(CH2)3-CO-; -(CH2)
4-CO-; -(CH2)5-CO-; -CH2-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(CH2)2
-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(CH2)3-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(C
H2)4-CO-NH-(CH2)5-CO-; -CH2-CO-NH-(CH2)5-CO-NH-(CH
2)2-CO-; -(CH2)4-CO-(N,N'-piperadinyl)-(CH2)2-CO
(N,N'-piperadinylは、ピペラジンの1-位に-(CH2)4-CO-
基が置換されており、4-位に-(CH2)2-Z 基が置換され
ていることを示す。以下、同様である。); または-CH2
-CO-NH-(CH2)5-CO-(N,N'-piperadinyl)-(CH2)2-CO-など
を利用することができる。
【0020】Z で示される基において、W としては上記
Y-CO の例示中のY に相当する基を好適に用いることが
できる。また、N-スルホスクシンイミジルオキシ基のス
ルホン酸基の対イオンの M+ と X- の対イオンの M+
は、同一でも異なっていてもよいが、両者がナトリウム
イオンであることが好ましい。さらに、R1及び/又はR2
が解離したスルホン酸基を示し、及び/又はR3が解離し
たスルホン酸アルキル基を示す場合には、該スルホン酸
の対イオンは X- の対イオンの M+ 及び/又はN-スルホ
サクシイミジルオキシ基のスルホン酸基の対イオンの M
+ と同一でも異なっていてもよいが、いずれもナトリウ
ムイオンであることが好ましい。
【0021】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、例えばR3が解離したスルホン酸アルキル基の場合
には、そのスルホン酸基の陰電荷と窒素原子上の陽電荷
(式中 N+ で表す)とが打ち消し合い、いわゆる分子内
塩(ツビッター・イオン型化合物)が形成される。この
ような分子内塩型の化合物では、分子全体のイオン性が
低下して化合物の水溶性が損なわれることがある。一
方、このような化合物において、スルホン酸基の陰電荷
に対してアルカリ金属イオンが対イオンとして存在し、
かつ、窒素原子上の陽電荷に対して対イオンとしてX -
で表されるアニオン種が存在すると、スルホン酸基の陰
電荷と窒素原子上の陽電荷とによる分子内塩の生成が阻
害されるので水溶性が顕著に増大することがある。従っ
て、X - がヨウ素イオンなどのアニオンであり、かつ、
R3がナトリウムイオンと塩を形成したスルホン酸アルキ
ル基である化合物は、本発明の好ましい態様である。
【0022】なお、上記の一般式、並びに下記の好まし
い態様の化合物及び実施例中のスキームの化合物では、
便宜上、母核内の一の窒素原子上に陽電荷を固定して記
載したが、共役二重結合を介して陽電荷が母核内の他の
窒素原子に移動可能であることは当業者に容易に理解さ
れよう。従って、このような共役に基づく異性体はすべ
て本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
【0023】本発明の化合物は、2,3,3-トリメチルイン
ドレニン、2,3,3-トリメチルベンゾインドレニン又はそ
れらの誘導体を原料として合成することができる。これ
らの原料はフィッシャーの合成法(E. Fischer and O.
Hess: Berichte, 17, 559, 1883 など)に従って合成す
るか、又は市販品を入手することができる。例えば、原
料化合物の窒素原子上にアルキル基を導入した後、オル
トぎ酸トリエチルなどを反応させてシアニン色素骨格を
形成し、その後にZ で示される標識基を導入することに
より製造可能である。
【0024】X - がヨウ素イオンなどのアニオンであ
り、かつ、R3がナトリウムイオンと塩を形成したスルホ
ン酸アルキル基である化合物などの分子内塩を形成しな
い化合物を製造するためには、まず、解離したスルホン
酸アルキル基の陰電荷と母核内の窒素原子上の陽電荷と
が打ち消しあって分子内塩を形成した化合物(X - の存
在しない化合物)を製造した後、この化合物を例えばジ
メチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの有機
溶媒に高濃度で溶解し、その溶液にヨウ化ナトリウムな
どの塩を添加すればよい。もっとも、本発明の化合物の
製造方法はこれらの方法に限定されることはない。
【0025】本発明の化合物の代表例として化合物(A)
〜(P) を以下に示す。
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】本発明の化合物は、例えば、反応性のアミ
ノ基、水酸基、チオール基、カルボニル基、スルフヒド
リル基などを有する動植物由来の生体高分子の標識に用
いることができる。生体高分子としては、例えば、タン
パク、糖タンパクなどの複合タンパク、脂質、リン脂質
などの複合脂質、多糖類、核酸などを挙げることができ
る。例えば、ガンなどに特異性の高い抗体や酵素などは
本発明の化合物の好適な標識対象である。また、本発明
の化合物は、反応性のアミノ基、水酸基、チオール基、
カルボニル基、スルフヒドリル基などを有する低分子化
合物と容易に反応するので、例えば、ビオチン−アビジ
ンなどの増幅系に用いられる増幅系物質を標識すること
も可能である。
【0031】例えば、Z としてN-サクシイミジルオキシ
基およびN-スルホサクシイミジルオキシ基を用いる場
合、これらの基はZ が結合するカルボニル基とともに反
応性の活性エステルを形成しており、例えば、被標識化
合物に含まれるアミノ基と反応してアミド結合を形成す
る。また、Z としてN-マレイミドアルキル基を用いる場
合には、例えば、被標識化合物に含まれるチオール基(H
S-R)が反応してチオエーテルが形成される。さらに、Z
が-NH-NH2 である場合には、被標識化合物に含まれる還
元糖末端のアルデヒド基(OHC-R) が反応して-Y-CO-NH-N
H-CO-Rが形成される。従って、本発明の化合物を適宜選
択して用いることにより、官能基特異的に被標識化合物
を標識することが可能である。もっとも、本発明の化合
物の用途は上記に例示したものに限定されることはな
い。
【0032】本発明の化合物は、モル吸光係数及び蛍光
量子収率の高いインドシアニン化合物に活性部位を導入
した化合物であり、被標識化合物にインドシアニンの分
光学的性質を付加させることができる。本発明の化合物
により標識された被標識化合物は、励起波長500 〜800n
m 、蛍光波長550 〜850nm の蛍光特性を備えているの
で、高出力の半導体レーザーやHe・Neレーザーを励起光
源として用いることにより極めて高感度な検出が可能に
なる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定される
ことはない。また、この実施例を参照した当業者には、
出発原料、試薬、反応条件などに適宜の修飾・改変を加
えることにより、本発明の範囲に包含される所望の化合
物が同様に容易に製造することが容易に理解されよう。
なお、実施例中の化合物番号はスキーム中の化合物番号
に対応しており、化合物(A) などは前記の好ましい化合
物として示された化合物の番号に対応している。
【0034】例1:化合物(A) 及び(B) の製造
【化10】
【0035】化合物1 (2,3,3-トリメチルインドレニ
ン) 5.0 g (31.4 ミリモル) をアセトニトリル100 mlに
溶解し、ヨードエタン 5.9 g (37.8ミリモル) を加えて
一夜加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にエー
テルを加えて化合物2の灰赤色結晶を濾取した(9.1 g,
92%)。別途、化合物1 (5.0 g, 31.4 ミリモル) をジメ
チルホルムアミド(DMF)100mlに溶かし、6-ブロモヘキサ
ン酸エチル 20.0 g (89.6 ミリモル) を加えて窒素雰囲
気下に80℃で一夜加熱した。反応液を減圧下濃縮し、得
られたオイルをエーテル 50 mlで洗浄した。次いで、得
られたオイルをメタノール100 mlに溶解し、水酸化ナト
リウム 11.5 g (287.5ミリモル) を水に溶解して加え、
室温で5時間攪拌して加水分解した。メタノールを減圧
下に留去した後、 1N 塩酸で中和した。クロロホルムで
洗浄して非水溶性のオイルを除いた後、減圧下で濃縮乾
固した。エタノールに溶解して濾過することにより無機
塩を除き、得られた濾液を減圧下に濃縮乾固し、さらに
減圧下で乾燥して化合物3の淡赤色粉末を得た(3.2 g,
37.3%)。
【0036】化合物2 (3.2g, 10.2ミリモル) と化合物
3 (2.8 g, 10.2 ミリモル) をピリジン 60 mlに溶解し
て110 ℃に加熱した後、オルトギ酸トリエチル 2.5 ml
(15.0 ミリモル) を徐々に滴下して1時間加熱した。反
応液を減圧下濃縮し、クロロホルムに溶解して水洗し
た。クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノ
ール/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を
減圧下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合
物4の緑赤色金属光沢結晶を得た(1.6 g, 33%)。
【0037】化合物4 (20 mg, 0.042ミリモル) とN-ヒ
ドロキシこはく酸イミド(NHS) 6.4mg (0.056 ミリモル)
を無水DMF 100 μl に溶解して 0℃に保ち、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC) 180 mg (0.874 ミリモ
ル) を無水DMF 50μl に溶解して加え、0 ℃で一夜反応
させた。反応液に塩化水素ガスを吹込み、エーテルを加
えて、目的物である化合物(A) を得た(18.0 mg, 70.1
%)。化合物(A) をpH 7.4のPBS (NaCl: 8.0g, KCl: 0.2
g, Na2HPO4: 11.5g, KH2PO4: 0.2g/水 1000 ml) に溶
かした溶液の吸収スペクトルを図1に示す。
【0038】化合物4 (300 mg, 0.64ミリモル) をDMF
20 ml に溶かし、ピペラジノエチルマレイミド二塩酸塩
一水和物(PEM) 242 mg (0.81ミリモル) 及びトリエチル
アミン 120μl (0.88 ミリモル) を加えて 0℃に冷却し
た。この溶液に DCC 680 mg(3.30 ミリモル) を加えて
0℃で一夜反応させた。反応液を濾過し、濾液を減圧下
に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して
分離精製し、化合物(B) の緑赤色金属光沢結晶を得た
(350 mg, 78.6%)。
【0039】例2:化合物(C) の製造
【化11】
【0040】化合物1 (2.0 g, 6.3ミリモル) をDMF 10
0 mlに溶かし、6-ブロモヘキサン酸エチル 8.4 g (37.6
ミリモル) を加えて窒素雰囲気下に80℃で一夜加熱し
た。反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマト
グラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付し
て分離精製し、化合物5の赤褐色オイルを得た (3.4g,4
0%)。化合物2 (2.0 g, 6.3ミリモル) と化合物5 (2.4
g, 6.3ミリモル) をピリジン 10 mlに溶解して110 ℃
に加熱した後、オルトぎ酸トリエチル 1.6 ml (10.0 ミ
リモル) を徐々に滴下し、1 時間加熱した。反応液を減
圧下濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解して水洗した。
クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール
/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減圧
下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合物6
の緑赤色結晶を得た (960 mg, 26.1%)。
【0041】化合物6 (200 mg, 0.35ミリモル) をアセ
トニトリル 10 mlに溶解し、ヒドラジン一水和物 10 ml
(205.7 ミリモル) を加えて室温で一夜攪拌した。1N塩
酸で反応液を弱酸性とし、減圧下で濃縮した後、残渣を
セファデックスLH20/メタノールで精製して化合物(C)
を得た (130 mg, 72.3%)。
【0042】例3:化合物(H) の製造
【化12】
【0043】化合物2 (3.2 g, 10.2 ミリモル) と化合
物3 (2.8 g, 10.2 ミリモル) をピリジン 60 mlに溶解
し、110 ℃に加熱した後、1,3,3-トリメトキシプロペン
2.0g (15.1 ミリモル) を加え、1 時間加熱した。反応
液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をクロロホルムに溶
解して水洗した。クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製
した。溶離液を減圧下で濃縮乾固し、得られた残渣を減
圧乾燥して化合物7の緑色金属光沢結晶を得た(1.2 g,
23.8%)。例1と同様にして化合物7 (200 mg, 0.40ミリ
モル) とNHS 60 mg(0.52ミリモル) とを反応させ、反応
物を単離精製して化合物(H) を得た(1.2 g, 23.8%)。
【0044】例4:化合物(J) の製造
【化13】
【0045】化合物8 (4.0 g, 19.1 ミリモル) をDMF
60 ml に溶解し、6-ブロモヘキサン酸エチル 13.0 g (5
8.3 ミリモル) を加え、窒素雰囲気下に80℃で一夜加熱
した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣のオイルをエーテ
ル 50 mlで洗浄した。次いで、得られたオイルをメタノ
ール 100 ml に溶解し、水酸化ナトリウム 7.0 g (175
ミリモル) を水に溶解して加え、室温で5 時間攪拌して
加水分解した。メタノールを減圧下留去した後 1N 塩酸
で中和した。クロロホルムで洗浄して非水溶性のオイル
を除いた後、減圧下濃縮乾固した。残渣をエタノールに
溶解して濾過することにより無機塩を除き、その濾液を
減圧下濃縮乾固して減圧乾燥し化合物9の淡青色粉末を
得た(4.2 g, 67.9%)。
【0046】化合物8 (7.0 g, 19.1 ミリモル) をアセ
トニトリル 100 ml に溶解し、ヨードエタン 4.5 g (2
8.9ミリモル) を加え、一夜加熱還流した。反応液を減
圧下に濃縮し、残渣にエーテルを加えて化合物10の灰青
色結晶を得た(7.4 g, 84.8%)。グルタコンアルデヒドジ
アニル塩酸塩 6.0 g (24.2ミリモル) を無水酢酸 100 m
l に溶解し、撹袢下に化合物10 (7.4 g, 20.3 ミリモ
ル) を加えた。混合液を100 ℃に加熱して1時間反応さ
せた後、反応液を減圧下に濃縮し、残渣にエーテルを加
えて緑色結晶を得た。
【0047】上記の緑色結晶をピリジン 60 mlに溶解
し、化合物9 (5.6 g, 17.3 ミリモル) を加えて、60℃
で5 時間反応させた。反応液を減圧下に濃縮し、残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノー
ル/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減
圧下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合物
12の緑色結晶を得た(3.8 g, 35.2%)。化合物12 (20 mg,
0.032ミリモル) とNHS4.9 mg (0.043 ミリモル) を無
水DMF 100 mlに溶解して 0℃に保ち、DCC 140 mg(0.68
ミリモル) を無水DMF 50 ml に溶解して加え、一夜反応
させた。反応液に塩化水素ガスを吹込み、エーテルを加
えて目的とする化合物(J) を得た(10.5 mg, 43.2%)。
【0048】例5:化合物(K) 及び(L) の製造
【化14】
【0049】化合物8 (5 g, 23.9 mmol) /DMF 100 ml
に 6- ブロモヘキサン酸エチルエステル (6.32 ml, 35.
5 mmol) を加えて 80 ℃で 16 時間加熱した。反応液を
減圧下に濃縮し、残渣にエーテル 200 ml を加えて結晶
化した後、得られた結晶を濾過してエーテルで洗浄し、
減圧下で乾燥して化合物8´を得た。化合物8´に1M
水酸化ナトリウム水溶液/メタノール=1/1混合溶液
30 mlを加えて室温で2時間攪拌した。メタノールを減
圧留去し、水溶液を 4 M塩酸水溶液で中和したのち、ク
ロロホルムで3回洗浄した。水溶液を減圧下に濃縮し、
化合物9の赤色固体を得た。収量 5.75 g ( 収率 74.4
%)。
【0050】化合物13 (5.0 g, 14.5 mmol) とグルタコ
ンアルデヒドジアニル塩酸塩 (4.23g, 14.5 mmol)を無
水酢酸 20 mlと酢酸 300 ml の混合溶液に懸濁し、還流
温度で5時間加熱した。赤色溶液を減圧濃縮し、得られ
た残渣に酢酸エチルと水の混合溶液 200 ml を加えて懸
濁させ、黒赤色固体を濾取した。水で洗浄した後、減圧
下に乾燥し、化合物14の黒赤色粉末を得た。収量 5.20
g ( 収率 66.1 %)。
【0051】化合物14 (300 mg, 0.553 mmol) と化合物
9 (179 mg, 0.553 mmol) をピリジン 5 ml に溶解し、
50℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、
得られた残渣を水 10 mlに溶解して溶液の pH を3に合
わせた後、セファデックス LH20 カラム( 溶媒:メタノ
ール) で精製して、化合物15の黒緑色固体を得た。収量
105 mg ( 収率 25.9 %)。
【0052】化合物15 (106 mg, 0.145 mmol)/50 v/v %
THF水溶液 3 ml に N- ヒドロキシ無水こはく酸スルホ
ン酸ナトリウム (65.2 mg, 0.287 mmol)と N,N'-ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(129 mg, 0.596 mmol)を加え
て4℃で一晩反応させた後に濾過し、濾液を 20 ℃以下
で減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル 10 mlを加え、生
じた結晶を更にエーテルで3回洗浄し、化合物(K) の黒
緑色固体を得た(110 mg, 80.7%) 。MS (FAB) m/e =906
(M- ) ;蛍光スペクトル :λex=768 nm,λem=807 nm (H
2O)
【0053】上記の化合物(K) 100 mg (0.11 mmol)をメ
タノール 2 ml に溶かし、ヨウ化ナトリウム 1 g (6.7
mmol) のメタノール 5 ml 溶液を加えた。メタノールを
1/2に減圧濃縮し 4℃で一夜冷却させた後、析出結晶を
濾取した。得られた緑色結晶を減圧デシケーターで乾燥
して化合物(L) 85 mg を得た( 収率 72%) 。ヨウ化ナト
リウムの塩形成前(分子内対イオン型) の化合物(K) 及
び塩形成後の化合物(L) の水溶性および赤外線吸収スペ
クトルデータ(IR)を測定した。また、ヨウ素含量をシェ
ーニガー法より求めた。
【0054】ヨウ化ナトリウムを塩として取り込んだ化
合物(L) と原料として用いた対イオン型の化合物(K) と
では赤外吸収スペクトルが変化しており、分子内対イオ
ン型化合物において観測された 2360 及び 1740 cm-1
吸収が化合物(L) では消失していた(図5参照: a) 化
合物(L):塩形成後、 b) は化合物(K):分子内対イオン
型、すなわち塩形成前のものを示す) 。これらの結果か
ら、分子内対イオンを形成している場合とヨウ化ナトリ
ウムの塩を形成した場合とでは、結晶構造が変化してい
ることが明らかである。
【0055】例6:化合物(Q) 及び(R) の合成 例5の方法に準じてインドシアニングリーン-N- ブタン
酸スルホコハク酸イミドエステルを製造した。この化合
物 150 mg(0.17 mmol)をメタノール 3 ml に溶かし、ヨ
ウ化ナトリウム 1.5 g (10 mmol)のメタノール 8 ml 溶
液を加えた。メタノールを1/2 に減圧濃縮し 4℃で一夜
冷却させた後、析出結晶を濾取した。得られた緑色結晶
を減圧デシケーターで乾燥して化合物(Q) 117 mgを得た
(66%) 。ヨウ化ナトリウムの塩形成前後での水溶性デー
タおよび赤外線吸収スペクトルデータ(IR)を測定した。
また、ヨウ素含量をシェーニガー法より求めた。
【0056】同様に、インドシアニングリーン-N- ヘキ
サン酸スルホコハク酸イミドエステル 100 mg(0.11 mmo
l)をメタノール 2 ml に溶かし、過塩素酸ナトリウム
0.3 g(2.5 mmol) のメタノール 20 ml 溶液を加えた。
メタノールを1/4 に減圧濃縮し 4℃で一夜冷却させた
後、析出結晶を濾取した。得られた緑色結晶を減圧デシ
ケーターで乾燥して化合物(R) 23 mg を得た( 収率 21
%) 。過塩素酸ナトリウムの塩形成前後での水溶性デー
タおよび IR を測定した。
【0057】
【表1】 ─────────────────────── 実施例 No. 分子内対イオン型 複塩形成後 ─────────────────────── 例5 化合物(K) 化合物(L) 水溶性: 1 mg/10 ml 以上 1 mg/0.8 ml IR (cm-1): 2360, 1740 左記吸収が消失 I 含量: − 12.3% 例6 原料化合物 化合物(Q) 水溶性: 1 mg/10 ml 以上 1 mg/0.9 ml IR (cm-1): 2370, 1790 左記吸収が消失 I 含量: − 13.5% 例6 原料化合物 化合物(R) 水溶性: 1 mg/10 ml 以上 1 mg/5 ml IR (cm-1): 2520 左記吸収が消失 ───────────────────────
【0058】例7:化合物(I) の合成
【化15】
【0059】化合物16 (5.0 g, 15.1 mmol) とグルタコ
ンアルデヒドジアニル塩酸塩 (4.40g, 15.1 mmol)を無
水酢酸 20 mlと酢酸 300 ml の混合溶液に懸濁し、還流
温度で5時間加熱した。赤色溶液を減圧濃縮し、得られ
た残渣に酢酸エチルと水の混合溶液 200 ml を加えて懸
濁させ、黒赤色固体を濾取した。水で洗浄した後、減圧
下に乾燥し、化合物17の黒赤色粉末を得た。収量 5.33
g ( 収率 65.2 %)。
【0060】化合物17 (167 mg, 0.308 mmol) と上記例
6で得た化合物9 (100 mg, 0.309mmol) をピリジン 3
ml に溶解し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を減
圧下に濃縮し、得られた残渣を水 10 mlに溶解して溶液
の pH を3に合わせた後、セファデックス LH20 カラム
( 溶媒:メタノール) で精製して、化合物18の黒緑色固
体を得た。収量 51 mg( 収率 23.1 %)。
【0061】化合物18(30 mg, 41.8μmol)/ 50 v/v %
THF 水溶液 1 ml に N- ヒドロキシ無水こはく酸スルホ
ン酸ナトリウム (16.8 mg, 77.4 μmol)と N,N'-ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(25.8 mg, 0.125 mmol) を加
えて4℃で一晩反応させた後に濾過し、濾液を 20 ℃以
下で減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル 10 mlを加え、
生じた結晶を更にエーテルで3回洗浄し、化合物19の黒
緑色固体を得た。収量34 mg( 収率 88.8 %)。MS (FAB)
m/e = 892(M- ) ;蛍光スペクトル :λex=771nm,λem=8
22 nm ( 水)
【0062】上記の化合物19を、例6の方法に従ってヨ
ウ化ナトリウムのメタノール溶液で処理して化合物(I)
を得た。化合物19の赤外線吸収スペクトルと化合物(I)
の赤外線吸収スペクトルを比較したところ、化合物19に
おいて観測された 2360 及び1740 cm-1の吸収が化合物
(I) においては観測されなかった。
【0063】例8:化合物(A) を用いたタンパクの標識
及び蛍光検出 牛血清アルブミン(BSA) 3.0 mgをpH 8.5の 0.1 M炭酸緩
衝液 5.0 ml に溶かし、50ミリモルの化合物(A) の DMS
O 溶液 5 ml を加え、37℃で1時間放置した。HPLC(ゲ
ルカラム、蛍光検出:励起波長 550nm、検出波長 569n
m)を用いてこの溶液を測定したところ、化合物(A) の
ピーク以外に標識BSA のピークが認められた。図2は化
合物(A) をpH 7.4のPBS に溶かした溶液の蛍光スペクト
ルを示し、図3は化合物(A) を用いて標識されたBSA を
pH 7.4の PBSに溶かした溶液の蛍光スペクトルを示す。
さらに、BSA の量を変えて標識して同様の測定を行った
ところ、図4に示すように蛍光強度とBSA 量との間に良
好な比例関係が認められ、BSA にして約 0.1フェムトモ
ルの検出限界であることが分かった。このときのシグナ
ル/ノイズ比は3 であった。
【0064】例9:本発明の化合物による抗体の標識 化合物(L) 1 mgを水 0.94 mlに溶解して 1 mM 溶液とし
た。ヒト IgG 1 mg をpH 8.5 の50 mM 炭酸ナトリウム
バッファー 1 ml に溶解し、この溶液に化合物(L) を含
む上記の溶液 0.2 ml を加えて 30 ℃で1時間反応させ
た。反応液をセファデックス G-25 カラムに付して標識
化されたヒトIgG を分離した。分離用のバッファーとし
ては 50 mMリン酸バッファー(pH 7.4)を用いた。未反応
の化合物(L) はセファデックス・ゲルの上端に残り、標
識化IgG との分離は良好であった。得られた標識化IgG
を凍結乾燥して-20 ℃で冷凍保存した。この標識化IgG
1mgをとり100 mlの50 mM リン酸バッファー(pH 7.4)に
溶解して蛍光スペクトルを測定した結果を図6に示す。
【0065】
【発明の効果】本発明の化合物は、高い蛍光量子収率を
有するので高蛍光性であり、水溶性が高いという特徴を
有している。また、本発明の化合物は官能基選択的に被
標識化合物を標識できるという特徴がある。さらに、分
子内に標識基を1個のみ有するので、被標識化合物を架
橋せず、標識後にも被標識化合物の特性をそのまま維持
できるという特徴がある。従って、本発明の化合物を用
いると、タンパクなどの生体高分子の立体構造や生理活
性を保持したまま蛍光標識することができ、標的分子に
インドシアニンの分光学的性質を付加させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物(A) をpH 7.4のPBS (NaCl:
8.0g, KCl: 0.2g, Na2HPO4: 11.5g, KH2PO4: 0.2g/水
1000 ml) に溶かした溶液の吸収スペクトルを示す図で
ある。
【図2】 本発明の化合物(A) をpH 7.4のPBS に溶かし
た溶液の蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】 本発明の化合物(A) を用いて標識されたBSA
をpH 7.4の PBSに溶かした溶液の蛍光スペクトルを示す
図である。
【図4】 本発明の化合物(A) を用いて標識した標識化
BSA の蛍光強度と反応に供したBSA 量との間の相関関係
を示す図である。
【図5】 ヨウ化ナトリウムを塩として取り込んだ化合
物(L) と分子内対イオン型の化合物(K) の赤外線吸収ス
ペクトルを示す図である。図中、 a) は化合物(L) の赤
外線吸収スペクトルを示し、b)は化合物(K) の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図6】 本発明の化合物(L) を用いて標識されたヒト
IgGの蛍光スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 21/78 G01N 21/78 C //(C07D 403/14 207:404 209:60) (C07D 403/14 207:444 209:60)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式: 【化1】 (式中、A1及びA2はそれぞれ独立にベンゼン環又はナフ
    タレン環を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、
    アルキル基、アリール基、遊離若しくは解離したスルホ
    ン酸基、又はアルコキシ基を示し、R3はアルキル基、遊
    離若しくは解離したスルホン酸アルキル基、又はアミノ
    アルキル基若しくはアンモニオアルキル基を示し、n は
    1 〜3 の整数を示し、X - は必要に応じてアニオン種を
    示し、Z は以下の式: 【化2】 からなる群から選ばれる基であり、M + はアルカリ金属
    イオンであり、W 及びYはそれぞれ独立に炭素数が1 〜1
    0のアルキレン基を示すか、あるいはW 及びY は酸素原
    子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1
    種以上の原子を含む炭素数が1 〜10のアルキレン基を示
    す)で示される化合物。
  2. 【請求項2】 A1及びA2がともにナフタレン環であり、
    R1及びR2がともに水素原子であり、R3が解離した炭素数
    2〜5 の直鎖スルホン酸アルキル基であり、n が3 であ
    り、Y が炭素数 2〜5 の直鎖アルキレン基であり、Z が
    スクシンイミドオキシ基又はアルカリ金属スルホスクシ
    ンイミドオキシ基である請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 X - がヨウ素イオンであり、R3がナトリ
    ウムイオンと塩を形成した炭素数 2〜5 の直鎖スルホン
    酸アルキル基である請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の化合物からなる蛍光標識用試薬。
  5. 【請求項5】 アミノ基、水酸基、カルボニル基、及
    び、スルフヒドリル基からなる群から選ばれる1個以上
    の官能基を含む化合物の蛍光標識に用いる請求項4に記
    載の試薬。
  6. 【請求項6】 官能基を含む該化合物が生体高分子であ
    る請求項5に記載の試薬。
  7. 【請求項7】 生体高分子がタンパク、糖タンパク、脂
    質、リン脂質、多糖類、及び核酸からなる群から選ばれ
    る請求項6に記載の試薬。
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