JPH09111319A - 高炉炉底温度の制御方法 - Google Patents
高炉炉底温度の制御方法Info
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- JPH09111319A JPH09111319A JP29615095A JP29615095A JPH09111319A JP H09111319 A JPH09111319 A JP H09111319A JP 29615095 A JP29615095 A JP 29615095A JP 29615095 A JP29615095 A JP 29615095A JP H09111319 A JPH09111319 A JP H09111319A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 常に付着物の層厚を所定範囲に制御して耐火
物の溶損を極力防止すると共に、擬似耐火物を形成する
べく休風することで出銑量を低下させること等を防止し
て円滑かつ安定した出銑又は出滓を行うことができ、極
めて安定した炉況を確保することができる高炉炉底温度
の制御方法を提供する。 【解決手段】 高炉10の炉床の耐火物の中に誘導加熱
用のコイル11を埋め込み、誘導加熱により高炉10の
炉底の溶銑を加熱及び/又は流動させる。
物の溶損を極力防止すると共に、擬似耐火物を形成する
べく休風することで出銑量を低下させること等を防止し
て円滑かつ安定した出銑又は出滓を行うことができ、極
めて安定した炉況を確保することができる高炉炉底温度
の制御方法を提供する。 【解決手段】 高炉10の炉床の耐火物の中に誘導加熱
用のコイル11を埋め込み、誘導加熱により高炉10の
炉底の溶銑を加熱及び/又は流動させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉炉底温度の制
御方法に係り、更に詳しくは、高炉炉底に付着された付
着物層の厚さを所定範囲内に制御し、高炉炉床や高炉炉
側壁の耐火物の溶損を防止すると共に、円滑かつ安定し
た出銑又は出滓を行うことができ、極めて安定した炉況
を確保することができる高炉炉底温度の制御方法に関す
る。
御方法に係り、更に詳しくは、高炉炉底に付着された付
着物層の厚さを所定範囲内に制御し、高炉炉床や高炉炉
側壁の耐火物の溶損を防止すると共に、円滑かつ安定し
た出銑又は出滓を行うことができ、極めて安定した炉況
を確保することができる高炉炉底温度の制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、高炉炉床や高炉炉側壁が常に高
温下に曝されているために、高炉炉床や高炉炉側壁を構
成する耐火物は、経年操業によって徐々に減厚されるだ
けでなく、高炉内の溶銑や溶滓の流動によって局部的に
侵食される虞れがある。そして、前記高炉炉床や高炉炉
側壁の減厚が著しくなると、高炉内から溶銑や溶滓が流
出する大事故を引き起こすという虞れがあった。このよ
うな事故を防止するためにも、高炉炉床や高炉炉側壁の
厚さを管理することが非常に重要になっている。
温下に曝されているために、高炉炉床や高炉炉側壁を構
成する耐火物は、経年操業によって徐々に減厚されるだ
けでなく、高炉内の溶銑や溶滓の流動によって局部的に
侵食される虞れがある。そして、前記高炉炉床や高炉炉
側壁の減厚が著しくなると、高炉内から溶銑や溶滓が流
出する大事故を引き起こすという虞れがあった。このよ
うな事故を防止するためにも、高炉炉床や高炉炉側壁の
厚さを管理することが非常に重要になっている。
【0003】そこで、最近では、特開昭56−1632
07号公報や特開昭63−18008号公報、特開平2
−30707号公報に示すように、高炉炉床に熱電対を
埋め込むと共に、この熱電対で検出された温度によっ
て、前記耐火物の厚さを推定する方法が実施されてい
る。そして、前記耐火物の厚さが所定の管理厚さ以下に
減厚したときは、高炉炉床に設けられたダクトや、高炉
炉側壁に設けられたステーブに供給される水量を調整し
て、高炉炉床や高炉炉側壁の耐火物を冷却し、耐火物の
減厚を抑止している。更に、耐火物の厚さが所定の管理
厚さ以下に減厚し過ぎたときは、羽口からの送風を休風
して溶銑の流動を停止し、高炉炉底や高炉炉側壁に疑似
耐火物として、溶銑又は溶銑にTi等を含んだものを凝
固させたいわゆる粘稠層と称される付着物層を堆積させ
て、所定の管理厚さを確保している。
07号公報や特開昭63−18008号公報、特開平2
−30707号公報に示すように、高炉炉床に熱電対を
埋め込むと共に、この熱電対で検出された温度によっ
て、前記耐火物の厚さを推定する方法が実施されてい
る。そして、前記耐火物の厚さが所定の管理厚さ以下に
減厚したときは、高炉炉床に設けられたダクトや、高炉
炉側壁に設けられたステーブに供給される水量を調整し
て、高炉炉床や高炉炉側壁の耐火物を冷却し、耐火物の
減厚を抑止している。更に、耐火物の厚さが所定の管理
厚さ以下に減厚し過ぎたときは、羽口からの送風を休風
して溶銑の流動を停止し、高炉炉底や高炉炉側壁に疑似
耐火物として、溶銑又は溶銑にTi等を含んだものを凝
固させたいわゆる粘稠層と称される付着物層を堆積させ
て、所定の管理厚さを確保している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高炉炉
底に堆積される付着物層は、一概に良好なものとはいえ
ず、場合によっては高炉の操業に悪影響を及ぼすという
問題点を有していた。例えば、耐火物の厚さが所定の
管理厚さ以下に減厚し過ぎたときに、高炉炉底の周面
(又は高炉炉側壁の内周面)に付着物層を堆積させる場
合、減厚された耐火物の厚さにもよるが、図4に示すよ
うに、10時間以上(又は10〜20Hr程度)の休風
時間を必要とすると共に、この休風によって出銑量を低
下させてしまい、極めて量産性に劣るという問題点を有
していた。なお、図4は休風中の高炉炉側壁の付着物層
の厚さの推移を示すグラフであり、横軸は休風開始から
の経過時間、縦軸は高炉炉側壁の付着物層の厚さを示し
ている。また、溶銑温度は1500℃で、実線ラインa
は高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.5mの場合、実線ラ
インbは高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.7mの場合、
実線ラインcは高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.9mの
場合を示している。
底に堆積される付着物層は、一概に良好なものとはいえ
ず、場合によっては高炉の操業に悪影響を及ぼすという
問題点を有していた。例えば、耐火物の厚さが所定の
管理厚さ以下に減厚し過ぎたときに、高炉炉底の周面
(又は高炉炉側壁の内周面)に付着物層を堆積させる場
合、減厚された耐火物の厚さにもよるが、図4に示すよ
うに、10時間以上(又は10〜20Hr程度)の休風
時間を必要とすると共に、この休風によって出銑量を低
下させてしまい、極めて量産性に劣るという問題点を有
していた。なお、図4は休風中の高炉炉側壁の付着物層
の厚さの推移を示すグラフであり、横軸は休風開始から
の経過時間、縦軸は高炉炉側壁の付着物層の厚さを示し
ている。また、溶銑温度は1500℃で、実線ラインa
は高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.5mの場合、実線ラ
インbは高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.7mの場合、
実線ラインcは高炉炉側壁の耐火物の厚さが0.9mの
場合を示している。
【0005】また、高炉操業中、図3に示すように、
予期せず、高炉炉底に、前記付着物層を山状に隆起して
堆積させてしまい、この結果、出銑中の溶銑流れが、高
炉炉底の周面に集中した出銑口に向かって流れるいわゆ
る環状流となるために(以下この環状流が形成された部
位を周辺環状流域という)、高炉炉底の周面の耐火物を
著しく侵食するという問題点を有していた。一方、高炉
炉底の周辺環状流域を除く部位では、溶銑の対流がない
ために、更に、高炉炉底の底面の耐火物(又は付着物
層)の温度が低下し益々前記付着物層を堆積させると共
に、これを繰り返すと、出銑作業を阻害するという問題
点を有していた。なお、図3は従来例に係る高炉炉底の
付着物層の説明図である。
予期せず、高炉炉底に、前記付着物層を山状に隆起して
堆積させてしまい、この結果、出銑中の溶銑流れが、高
炉炉底の周面に集中した出銑口に向かって流れるいわゆ
る環状流となるために(以下この環状流が形成された部
位を周辺環状流域という)、高炉炉底の周面の耐火物を
著しく侵食するという問題点を有していた。一方、高炉
炉底の周辺環状流域を除く部位では、溶銑の対流がない
ために、更に、高炉炉底の底面の耐火物(又は付着物
層)の温度が低下し益々前記付着物層を堆積させると共
に、これを繰り返すと、出銑作業を阻害するという問題
点を有していた。なお、図3は従来例に係る高炉炉底の
付着物層の説明図である。
【0006】そこで、前記の問題点を解決するべく高
炉炉側壁の減厚を防止する方法として、例えば、高炉
炉側壁外からの冷却を強化するために、高炉炉側壁に設
けられた鉄皮に冷却用のフィンを付加し、フィン効果で
高炉炉側壁を冷却する方法や、鉄皮冷却用の冷却水の
温度を下げるために冷凍機を介すことで冷却効果を高め
る方法等が試みられている。しかしながら、前記、
の方法では、耐火物の熱伝導率が律速となって高炉炉側
壁内への冷却効果は小さく、十分に目的を達することが
できず、信頼性に劣るという問題点を有していた。
炉炉側壁の減厚を防止する方法として、例えば、高炉
炉側壁外からの冷却を強化するために、高炉炉側壁に設
けられた鉄皮に冷却用のフィンを付加し、フィン効果で
高炉炉側壁を冷却する方法や、鉄皮冷却用の冷却水の
温度を下げるために冷凍機を介すことで冷却効果を高め
る方法等が試みられている。しかしながら、前記、
の方法では、耐火物の熱伝導率が律速となって高炉炉側
壁内への冷却効果は小さく、十分に目的を達することが
できず、信頼性に劣るという問題点を有していた。
【0007】また、前記の問題点を解決するべく前記
付着物層を溶解させる方法として、高炉炉床冷却用に
設置された輻射管への空気導入をやめる方法や、精錬
炉の外側にコイルを巻回し耐火物を介して溶銑を誘導加
熱する方法、更に、鉄鉱石(ore:o)とコークス
(coke:c)の比、すなわち、o/cを下げること
で燃料比を上げ、溶銑温度を上げる方法が試みられてい
る。しかしながら、前記の方法では、耐火物の熱伝導
性が律速となり、充分に効果を発揮することができず、
また、前記の方法では、耐火物の厚さが厚いため(通
常0.5m〜1mで前記方法を実施した耐火物でも0.
7m)、コイルに生じた磁束が十分に溶銑中に入らず、
効果が殆どでず、更に、前記の方法では、燃料比を上
げるためコストがかかる割りには、充分な効果を発揮し
ていないという問題点を有していた。
付着物層を溶解させる方法として、高炉炉床冷却用に
設置された輻射管への空気導入をやめる方法や、精錬
炉の外側にコイルを巻回し耐火物を介して溶銑を誘導加
熱する方法、更に、鉄鉱石(ore:o)とコークス
(coke:c)の比、すなわち、o/cを下げること
で燃料比を上げ、溶銑温度を上げる方法が試みられてい
る。しかしながら、前記の方法では、耐火物の熱伝導
性が律速となり、充分に効果を発揮することができず、
また、前記の方法では、耐火物の厚さが厚いため(通
常0.5m〜1mで前記方法を実施した耐火物でも0.
7m)、コイルに生じた磁束が十分に溶銑中に入らず、
効果が殆どでず、更に、前記の方法では、燃料比を上
げるためコストがかかる割りには、充分な効果を発揮し
ていないという問題点を有していた。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、常に付着物層の層厚を所定範囲に制御して耐火
物の溶損を極力防止すると共に、付着物層を形成するべ
く休風することで出銑量を低下させること等を防止して
円滑かつ安定した出銑又は出滓を行うことができ、極め
て安定した炉況を確保することができる高炉炉底温度の
制御方法を提供することを目的とする。
もので、常に付着物層の層厚を所定範囲に制御して耐火
物の溶損を極力防止すると共に、付着物層を形成するべ
く休風することで出銑量を低下させること等を防止して
円滑かつ安定した出銑又は出滓を行うことができ、極め
て安定した炉況を確保することができる高炉炉底温度の
制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の高炉炉底温度の制御方法は、高炉炉床の耐火物の
中に誘導加熱用のコイルを埋め込み、誘導加熱により高
炉炉底の溶銑を加熱及び/又は流動する。請求項2記載
の高炉炉底温度の制御方法は、請求項1記載の高炉炉底
温度の制御方法において、前記高炉炉床の耐火物の温度
から前記高炉炉底の付着物層の厚さを算出し、この付着
物層の厚さから前記溶銑の加熱必要熱量を算出し、この
加熱必要熱量に基づいて加熱しつつ、前記工程を繰り返
して最適加熱を行う。
記載の高炉炉底温度の制御方法は、高炉炉床の耐火物の
中に誘導加熱用のコイルを埋め込み、誘導加熱により高
炉炉底の溶銑を加熱及び/又は流動する。請求項2記載
の高炉炉底温度の制御方法は、請求項1記載の高炉炉底
温度の制御方法において、前記高炉炉床の耐火物の温度
から前記高炉炉底の付着物層の厚さを算出し、この付着
物層の厚さから前記溶銑の加熱必要熱量を算出し、この
加熱必要熱量に基づいて加熱しつつ、前記工程を繰り返
して最適加熱を行う。
【0010】なお、前記コイルは、高炉炉底の底面より
下方0.3m以内に埋設されるのが好ましい。コイルの
埋設位置が底面の下方0.3mを越えると溶銑を加熱及
び/又は流動することができ難くなると共に、底面等に
付着された付着物層を溶解することができなくなるから
である。従って、コイルを前記範囲内に埋設したことに
よって、効率よく溶銑を加熱及び/又は流動することが
できる。勿論、コイルは、このコイルが溶銑に近接し過
ぎて溶損することがないように、前記範囲内で適宜選択
して埋設される。
下方0.3m以内に埋設されるのが好ましい。コイルの
埋設位置が底面の下方0.3mを越えると溶銑を加熱及
び/又は流動することができ難くなると共に、底面等に
付着された付着物層を溶解することができなくなるから
である。従って、コイルを前記範囲内に埋設したことに
よって、効率よく溶銑を加熱及び/又は流動することが
できる。勿論、コイルは、このコイルが溶銑に近接し過
ぎて溶損することがないように、前記範囲内で適宜選択
して埋設される。
【0011】また、コイルは、高炉炉床の中心軸と略同
軸状でかつ底面に略平行に巻回されるのが好ましい。前
記と同様に、溶銑を効率よく加熱及び/又は流動するこ
とができるからである。更に、コイルは、複数回巻装さ
れると、このコイルから発生した磁束密度を大きくする
ことができ、前記と同様に、溶銑を効率よく加熱及び/
又は流動することができる。また、コイルは、その内部
に冷却用の水又は空気等を流通させる冷却部を設ける
と、該コイルの溶損を防止することができる。更に、高
炉炉床のコイルの下部に、断熱材や磁気遮蔽材を設ける
と高炉炉床の耐火物の局部的溶損等を防止することがで
きる。
軸状でかつ底面に略平行に巻回されるのが好ましい。前
記と同様に、溶銑を効率よく加熱及び/又は流動するこ
とができるからである。更に、コイルは、複数回巻装さ
れると、このコイルから発生した磁束密度を大きくする
ことができ、前記と同様に、溶銑を効率よく加熱及び/
又は流動することができる。また、コイルは、その内部
に冷却用の水又は空気等を流通させる冷却部を設ける
と、該コイルの溶損を防止することができる。更に、高
炉炉床のコイルの下部に、断熱材や磁気遮蔽材を設ける
と高炉炉床の耐火物の局部的溶損等を防止することがで
きる。
【0012】なお、コイルによる高炉炉床の耐火物等の
熱流束(Q)は、1000kcal/(m2 ・Hr)≦
Q≦10000kcal/(m2 ・Hr)の範囲内とさ
れるのが好ましい。熱流束が1000kcal/(m2
・Hr)未満では溶銑を攪拌することが困難となって付
着物層が溶解し難くなる傾向が現れだす一方、熱流束が
10000kcal/(m2 ・Hr)を越えると加熱装
置の規模を大きくしなければならないので高炉炉床等へ
の施工が困難になると共に、必要以上の強加熱によって
逆に高炉炉床等の溶損を招く傾向が現れるからである。
一方、コイルに供給される電圧の周波数は、50/60
Hzの低周波とされるのが好ましい。前記と同様に、溶
銑を効率よく加熱及び/又は流動することができるから
である。
熱流束(Q)は、1000kcal/(m2 ・Hr)≦
Q≦10000kcal/(m2 ・Hr)の範囲内とさ
れるのが好ましい。熱流束が1000kcal/(m2
・Hr)未満では溶銑を攪拌することが困難となって付
着物層が溶解し難くなる傾向が現れだす一方、熱流束が
10000kcal/(m2 ・Hr)を越えると加熱装
置の規模を大きくしなければならないので高炉炉床等へ
の施工が困難になると共に、必要以上の強加熱によって
逆に高炉炉床等の溶損を招く傾向が現れるからである。
一方、コイルに供給される電圧の周波数は、50/60
Hzの低周波とされるのが好ましい。前記と同様に、溶
銑を効率よく加熱及び/又は流動することができるから
である。
【0013】
【作用】本発明者等は鋭意研究を進め、高炉炉床及び高
炉炉側壁の耐火物の温度を基に高炉炉底の付着物層の厚
さを解析した結果、高炉炉底の底面の付着物層の厚さが
厚いと高炉炉底の周面の付着物層の厚さが減少している
ことから、高炉炉底の底面に付着物層が山状に堆積され
ていること、また、この結果、溶銑が高炉炉底の周面近
傍を移動することに起因して高炉炉側壁の付着物層又は
高炉炉側壁の耐火物が溶融され、高炉炉側壁を管理する
熱電対の温度が上昇していることを確認した。また、こ
れは、高炉内の溶銑の対流伝熱係数を解析した結果、高
炉炉底の底面近傍の溶銑の対流伝熱係数が5〜6kca
l/(m2 ・Hr・℃)であるのに対し、高炉炉底の周
面近傍の溶銑流の対流伝熱係数が20〜70kcal/
(m2 ・Hr・℃)と高くなっていることからも確認し
得た。
炉炉側壁の耐火物の温度を基に高炉炉底の付着物層の厚
さを解析した結果、高炉炉底の底面の付着物層の厚さが
厚いと高炉炉底の周面の付着物層の厚さが減少している
ことから、高炉炉底の底面に付着物層が山状に堆積され
ていること、また、この結果、溶銑が高炉炉底の周面近
傍を移動することに起因して高炉炉側壁の付着物層又は
高炉炉側壁の耐火物が溶融され、高炉炉側壁を管理する
熱電対の温度が上昇していることを確認した。また、こ
れは、高炉内の溶銑の対流伝熱係数を解析した結果、高
炉炉底の底面近傍の溶銑の対流伝熱係数が5〜6kca
l/(m2 ・Hr・℃)であるのに対し、高炉炉底の周
面近傍の溶銑流の対流伝熱係数が20〜70kcal/
(m2 ・Hr・℃)と高くなっていることからも確認し
得た。
【0014】これは、換言するならば、高炉炉底の溶銑
の温度を上げるか又は高炉炉底の溶銑の対流伝熱係数を
大きくすることにより、付着物層を溶解することができ
ると言える。これは、図5に示すように、溶銑の対流伝
熱係数(又は熱伝導率)が大きくなるにつれ付着物層の
厚さが小さくなっていることから理解できる。なお、図
5は休風立ち上げ後の高炉炉側壁の付着物層の厚さの推
移を示すグラフであり、横軸は休風立ち上げ後の経過時
間、縦軸は高炉炉側壁の付着物層の厚さを示している。
また、高炉炉側壁の耐火物の厚さは0.7m、溶銑温度
は1500℃で、実線aは高炉炉側壁の熱伝導率が50
kcal/(m・Hr・℃)の場合、実線bは高炉炉側
壁の熱伝導率が60kcal/(m・Hr・℃)の場合
を示している。
の温度を上げるか又は高炉炉底の溶銑の対流伝熱係数を
大きくすることにより、付着物層を溶解することができ
ると言える。これは、図5に示すように、溶銑の対流伝
熱係数(又は熱伝導率)が大きくなるにつれ付着物層の
厚さが小さくなっていることから理解できる。なお、図
5は休風立ち上げ後の高炉炉側壁の付着物層の厚さの推
移を示すグラフであり、横軸は休風立ち上げ後の経過時
間、縦軸は高炉炉側壁の付着物層の厚さを示している。
また、高炉炉側壁の耐火物の厚さは0.7m、溶銑温度
は1500℃で、実線aは高炉炉側壁の熱伝導率が50
kcal/(m・Hr・℃)の場合、実線bは高炉炉側
壁の熱伝導率が60kcal/(m・Hr・℃)の場合
を示している。
【0015】以上の結果、本発明者等は、付着物層を溶
解するには溶銑の流動による対流伝熱係数を増大させる
方法が効果的であり、更に、溶銑の対流伝熱係数は溶銑
温度、粘度、流速等に起因していることから、最もコン
トローラビリティーの高い溶銑の流速を制御すること
で、付着物層の層厚を所定範囲に制御することができ、
この結果、耐火物の局部的溶損を防ぐと共に円滑かつ安
定した出銑又は出滓を行うことができることを知見し得
たものである。
解するには溶銑の流動による対流伝熱係数を増大させる
方法が効果的であり、更に、溶銑の対流伝熱係数は溶銑
温度、粘度、流速等に起因していることから、最もコン
トローラビリティーの高い溶銑の流速を制御すること
で、付着物層の層厚を所定範囲に制御することができ、
この結果、耐火物の局部的溶損を防ぐと共に円滑かつ安
定した出銑又は出滓を行うことができることを知見し得
たものである。
【0016】以上の結果より、請求項1及び2記載の高
炉炉底温度の制御方法においては、高炉炉床の耐火物の
中に誘導加熱用のコイルを埋め込み、誘導加熱により高
炉炉底の付着物層形成域の溶銑を加熱したり流動させた
りすることにより、高炉炉床や高炉炉側壁近傍の溶銑の
対流伝熱係数を変更させることができ、この結果、高炉
炉床や高炉炉側壁に堆積された付着物層の厚さを制御す
ることができる。また、例えば、コイルからの磁束によ
って溶銑を電磁攪拌して、高炉炉床や高炉炉側壁近傍の
溶銑の流速を大きくすることで対流伝熱係数を大きくし
て、付着物層の厚さを低減させることができ、この結
果、付着物層が高炉炉底の底面(又は中央部という)に
山状に堆積することで、高炉炉底の周面(又は周辺部と
いう)に溶銑の環状流が形成され、高炉炉側壁の耐火物
が侵食されるのを防止することができる。更に、付着物
層自体をも直接加熱することができることから、付着物
層の成長を抑制すると共に、高炉炉底の底面の流動伝熱
も改善することができる。
炉炉底温度の制御方法においては、高炉炉床の耐火物の
中に誘導加熱用のコイルを埋め込み、誘導加熱により高
炉炉底の付着物層形成域の溶銑を加熱したり流動させた
りすることにより、高炉炉床や高炉炉側壁近傍の溶銑の
対流伝熱係数を変更させることができ、この結果、高炉
炉床や高炉炉側壁に堆積された付着物層の厚さを制御す
ることができる。また、例えば、コイルからの磁束によ
って溶銑を電磁攪拌して、高炉炉床や高炉炉側壁近傍の
溶銑の流速を大きくすることで対流伝熱係数を大きくし
て、付着物層の厚さを低減させることができ、この結
果、付着物層が高炉炉底の底面(又は中央部という)に
山状に堆積することで、高炉炉底の周面(又は周辺部と
いう)に溶銑の環状流が形成され、高炉炉側壁の耐火物
が侵食されるのを防止することができる。更に、付着物
層自体をも直接加熱することができることから、付着物
層の成長を抑制すると共に、高炉炉底の底面の流動伝熱
も改善することができる。
【0017】特に、請求項2記載の高炉炉底温度の制御
方法においては、高炉炉床の耐火物の温度から高炉炉底
の付着物層の厚さを算出し、この付着物層の厚さから溶
銑の加熱必要熱量を算出し、この加熱必要熱量に基づい
て溶銑を加熱することにより、溶銑の最適加熱を行うこ
とができ、たとえ高炉炉床や高炉炉側壁に付着物層が堆
積されても、あるいは耐火物の保護のために付着物層を
堆積させても、この付着物層を常に略均一厚でかつ最適
な層厚とすることができるので、耐火物の局部的溶損等
を防止することができる。更に、耐火物の減厚等を極力
防止できることで、休風等して付着物層を形成した結
果、出銑量が低下すること等を防止することができ、高
炉操業における出銑又は出滓を円滑かつ安定に行うこと
ができ、極めて安定した炉況を確保することができる。
方法においては、高炉炉床の耐火物の温度から高炉炉底
の付着物層の厚さを算出し、この付着物層の厚さから溶
銑の加熱必要熱量を算出し、この加熱必要熱量に基づい
て溶銑を加熱することにより、溶銑の最適加熱を行うこ
とができ、たとえ高炉炉床や高炉炉側壁に付着物層が堆
積されても、あるいは耐火物の保護のために付着物層を
堆積させても、この付着物層を常に略均一厚でかつ最適
な層厚とすることができるので、耐火物の局部的溶損等
を防止することができる。更に、耐火物の減厚等を極力
防止できることで、休風等して付着物層を形成した結
果、出銑量が低下すること等を防止することができ、高
炉操業における出銑又は出滓を円滑かつ安定に行うこと
ができ、極めて安定した炉況を確保することができる。
【0018】
【発明の効果】請求項1及び2記載の高炉炉底温度の制
御方法においては、高炉炉床の耐火物の中に埋設された
誘導加熱用のコイルにより、溶銑又は付着物層を誘導加
熱したり溶銑を活発に流動させることにより、高炉炉床
や高炉炉側壁近傍の溶銑の対流伝熱係数を大きくでき、
たとえ高炉炉床や高炉炉側壁に予期せずに付着物層が堆
積されても、或いは付着物層として付着物層を堆積させ
ても、山状に堆積させることを防止して、常に略均一厚
でかつ最適な層厚の付着物層を形成することができる。
この結果、耐火物の著しい減厚や局部的溶損を防止し、
更に、休風等して付着物層を形成した結果、出銑量が低
下すること等を防止することができ、高炉操業における
出銑又は出滓を円滑かつ安定して行うことができ、極め
て安定した炉況を確保することができる。
御方法においては、高炉炉床の耐火物の中に埋設された
誘導加熱用のコイルにより、溶銑又は付着物層を誘導加
熱したり溶銑を活発に流動させることにより、高炉炉床
や高炉炉側壁近傍の溶銑の対流伝熱係数を大きくでき、
たとえ高炉炉床や高炉炉側壁に予期せずに付着物層が堆
積されても、或いは付着物層として付着物層を堆積させ
ても、山状に堆積させることを防止して、常に略均一厚
でかつ最適な層厚の付着物層を形成することができる。
この結果、耐火物の著しい減厚や局部的溶損を防止し、
更に、休風等して付着物層を形成した結果、出銑量が低
下すること等を防止することができ、高炉操業における
出銑又は出滓を円滑かつ安定して行うことができ、極め
て安定した炉況を確保することができる。
【0019】特に、請求項2記載の高炉炉底温度の制御
方法においては、高炉炉床の耐火物の温度から得られた
高炉炉底の付着物層の厚さから得られた溶銑の加熱必要
熱量に基づき溶銑を加熱して、常に略均一厚でかつ最適
厚の付着物層を確実に形成することができるので、耐火
物の局部的溶損等を防止できるだけでなく、高炉操業に
おける出銑又は出滓を円滑かつ安定して行うことがで
き、更に、前記高炉炉床の熱流束等を制御することで、
高炉操業の省エネルギー化を図ることができ、従って極
めて安定した高炉操業を行うことができる。
方法においては、高炉炉床の耐火物の温度から得られた
高炉炉底の付着物層の厚さから得られた溶銑の加熱必要
熱量に基づき溶銑を加熱して、常に略均一厚でかつ最適
厚の付着物層を確実に形成することができるので、耐火
物の局部的溶損等を防止できるだけでなく、高炉操業に
おける出銑又は出滓を円滑かつ安定して行うことがで
き、更に、前記高炉炉床の熱流束等を制御することで、
高炉操業の省エネルギー化を図ることができ、従って極
めて安定した高炉操業を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る高炉炉底温度の制御方法の説明図、図2は図1
の矢視A−A断面図である。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る高炉炉底温度の制御方法の説明図、図2は図1
の矢視A−A断面図である。
【0021】図1、図2に示すように、本発明の一実施
の形態に係る高炉炉底温度の制御方法を適用した高炉1
0は、カーボンレンガ(炭素質耐火物という)等の耐火
物を積層して形成された高炉炉床10aと、高炉炉床1
0aの上面の周囲に前記耐火物を積層して形成された高
炉炉側壁10bとを有する。そして、これら高炉炉床1
0a及び高炉炉側壁10bによって高炉炉底10cが形
成され、この高炉炉底10c内に溶銑13を貯留するこ
とができるようになっている。更に、高炉炉床10aの
耐火物の中には、高炉炉底10cの底面10dの下方
0.3m以内に誘導加熱用のコイル11が複数回巻装し
て埋設されている。以下、これらについて詳しく説明す
る。
の形態に係る高炉炉底温度の制御方法を適用した高炉1
0は、カーボンレンガ(炭素質耐火物という)等の耐火
物を積層して形成された高炉炉床10aと、高炉炉床1
0aの上面の周囲に前記耐火物を積層して形成された高
炉炉側壁10bとを有する。そして、これら高炉炉床1
0a及び高炉炉側壁10bによって高炉炉底10cが形
成され、この高炉炉底10c内に溶銑13を貯留するこ
とができるようになっている。更に、高炉炉床10aの
耐火物の中には、高炉炉底10cの底面10dの下方
0.3m以内に誘導加熱用のコイル11が複数回巻装し
て埋設されている。以下、これらについて詳しく説明す
る。
【0022】前記コイル11の両端は、それぞれ電源
(図示せず)に電気的に接続されている。また、高炉炉
床10aの耐火物の中には、複数の熱電対等の温度径
(図示せず)が埋設されている。この温度計は、上下に
所定の間隔を開けて埋設されている。また、下方の温度
計は、コイル11と略同位置、上方の温度計は高炉炉底
10cとコイル11の間に埋設されている。また、高炉
炉側壁10bには、溶銑13を出銑するための出銑口1
0eが形成されている。そして、高炉炉底10cには、
溶銑13が凝固してなる付着物層12が付着されてい
る。また、高炉炉底10c内には、溶銑13が貯留され
ている。
(図示せず)に電気的に接続されている。また、高炉炉
床10aの耐火物の中には、複数の熱電対等の温度径
(図示せず)が埋設されている。この温度計は、上下に
所定の間隔を開けて埋設されている。また、下方の温度
計は、コイル11と略同位置、上方の温度計は高炉炉底
10cとコイル11の間に埋設されている。また、高炉
炉側壁10bには、溶銑13を出銑するための出銑口1
0eが形成されている。そして、高炉炉底10cには、
溶銑13が凝固してなる付着物層12が付着されてい
る。また、高炉炉底10c内には、溶銑13が貯留され
ている。
【0023】続いて、本発明の一実施の形態に係る高炉
炉底温度の制御方法について説明する。まず、高炉炉床
10aの耐火物の中に埋設された温度計によって高炉炉
床10aの耐火物の各部の温度を測定する。次に、測定
された高炉炉床10aの耐火物の各部の温度に基づい
て、下記(1)式によって付着物層12の厚さを算出す
る。 λ1 ・ΔT1 /L1 =λ1 ・(T1 −T0 )/L1 =((L−L1 )/λ1 +L2 /λ2 )-1・ΔT2 =((L−L1 )/λ1 +L2 /λ2 )-1・(T2 −T1 )・・・・(1) 但し、λ1 :高炉炉床10aの耐火物の熱伝導率(kcal
/(m ・Hr・℃)) λ2 :付着物層12の熱伝導率(kcal/(m ・Hr・℃)) L:高炉炉床10aの耐火物の厚さ(m) L1 :上下の温度計間の距離(m) L2 :付着物層12の厚さ(m) ΔT1 :上下の温度計間の温度差(℃) ΔT2 :付着物層12の表面と上方の温度計の間の温度
差(℃) T2 :溶銑13の温度(℃) T1 :高炉炉床10aの耐火物の上方の温度計の温度
(℃) T0 :高炉炉床10aの耐火物の下方の温度計の温度
(℃)
炉底温度の制御方法について説明する。まず、高炉炉床
10aの耐火物の中に埋設された温度計によって高炉炉
床10aの耐火物の各部の温度を測定する。次に、測定
された高炉炉床10aの耐火物の各部の温度に基づい
て、下記(1)式によって付着物層12の厚さを算出す
る。 λ1 ・ΔT1 /L1 =λ1 ・(T1 −T0 )/L1 =((L−L1 )/λ1 +L2 /λ2 )-1・ΔT2 =((L−L1 )/λ1 +L2 /λ2 )-1・(T2 −T1 )・・・・(1) 但し、λ1 :高炉炉床10aの耐火物の熱伝導率(kcal
/(m ・Hr・℃)) λ2 :付着物層12の熱伝導率(kcal/(m ・Hr・℃)) L:高炉炉床10aの耐火物の厚さ(m) L1 :上下の温度計間の距離(m) L2 :付着物層12の厚さ(m) ΔT1 :上下の温度計間の温度差(℃) ΔT2 :付着物層12の表面と上方の温度計の間の温度
差(℃) T2 :溶銑13の温度(℃) T1 :高炉炉床10aの耐火物の上方の温度計の温度
(℃) T0 :高炉炉床10aの耐火物の下方の温度計の温度
(℃)
【0024】なお、過去の操業実績から、高炉炉床10
aの耐火物の熱伝導率λ1 は12.9kcal/(m・
Hr・℃)、付着物層12の熱伝導率であるλ2 は5k
cal/(m・Hr・℃)、溶銑13の温度T2 は付着
物層12の析出温度である1150℃とした。次に、得
られた高炉炉底10cの付着物層12の厚さに基づき、
フーリエの法則によって溶銑13の加熱必要熱量を算出
する。次に、得られた加熱必要熱量に相当する電流/電
圧を電源からコイル11に供給する。なお、本発明の一
実施の形態に係る高炉炉底温度の制御方法では、周波数
60Hzの3相交流電流で300kVA以上とした。次
に、所定時間経過後に再度前述した操作を繰り返し溶銑
13の加熱必要熱量を算出し、これに応じた電力量をコ
イル11に供給する。これを繰り返して溶銑13の最適
加熱を行った。
aの耐火物の熱伝導率λ1 は12.9kcal/(m・
Hr・℃)、付着物層12の熱伝導率であるλ2 は5k
cal/(m・Hr・℃)、溶銑13の温度T2 は付着
物層12の析出温度である1150℃とした。次に、得
られた高炉炉底10cの付着物層12の厚さに基づき、
フーリエの法則によって溶銑13の加熱必要熱量を算出
する。次に、得られた加熱必要熱量に相当する電流/電
圧を電源からコイル11に供給する。なお、本発明の一
実施の形態に係る高炉炉底温度の制御方法では、周波数
60Hzの3相交流電流で300kVA以上とした。次
に、所定時間経過後に再度前述した操作を繰り返し溶銑
13の加熱必要熱量を算出し、これに応じた電力量をコ
イル11に供給する。これを繰り返して溶銑13の最適
加熱を行った。
【0025】ここで、本発明の一実施の形態に係る高炉
炉底温度の制御方法を、高炉炉底10cの底面10dの
面積160m2 の高炉10に適用した結果について説明
する。なお、上下の温度計間の距離L1 は0.6mとし
た。また、各温度計で測定された温度は、T0 =330
℃、T1 =380℃(換言するとΔT1 =50℃、ΔT
2 =770℃)であった。また、溶銑13の比熱は、
0.214kcal/(kg・℃)で、加熱効率を34
%として考慮すると、0.629kcal/(kg・
℃)となる。また、付着物層12の比熱は、前記と同様
に、加熱効率及び潜熱を考慮して182kcal/(k
g・℃)となる。
炉底温度の制御方法を、高炉炉底10cの底面10dの
面積160m2 の高炉10に適用した結果について説明
する。なお、上下の温度計間の距離L1 は0.6mとし
た。また、各温度計で測定された温度は、T0 =330
℃、T1 =380℃(換言するとΔT1 =50℃、ΔT
2 =770℃)であった。また、溶銑13の比熱は、
0.214kcal/(kg・℃)で、加熱効率を34
%として考慮すると、0.629kcal/(kg・
℃)となる。また、付着物層12の比熱は、前記と同様
に、加熱効率及び潜熱を考慮して182kcal/(k
g・℃)となる。
【0026】まず、前記(1)式に基づいて、高炉炉底
10cの付着物12の厚さL2 を算出した結果、付着物
層12の厚さが3.35mであることがわかった。次
に、底面積の中心部40m2 の付着物層12の上部0.
2mの溶銑13を20℃上昇させるために加熱容量50
00kcal/(m2 ・Hr)で9.3時間加熱した。
この結果、付着物層12の厚さL2 が0.3m減少して
おり、その後、溶銑13の対流が促進され、高炉炉底1
0cの温度が改善された。
10cの付着物12の厚さL2 を算出した結果、付着物
層12の厚さが3.35mであることがわかった。次
に、底面積の中心部40m2 の付着物層12の上部0.
2mの溶銑13を20℃上昇させるために加熱容量50
00kcal/(m2 ・Hr)で9.3時間加熱した。
この結果、付着物層12の厚さL2 が0.3m減少して
おり、その後、溶銑13の対流が促進され、高炉炉底1
0cの温度が改善された。
【0027】一方、他の温度制御として前記と同様の条
件で、特に付着物層12を積極的に加熱するために、加
熱容量5000kcal/(m2 ・Hr)で10時間加
熱した。その結果、付着物層12の厚さL2 が0.45
m減少することができた。その後、溶銑13の対流が促
進され、高炉炉底10cの温度が改善された。この加熱
は溶銑13を加熱する際にも、一部付着物層12も加熱
されることから、この両方の相乗効果も発現されてい
る。
件で、特に付着物層12を積極的に加熱するために、加
熱容量5000kcal/(m2 ・Hr)で10時間加
熱した。その結果、付着物層12の厚さL2 が0.45
m減少することができた。その後、溶銑13の対流が促
進され、高炉炉底10cの温度が改善された。この加熱
は溶銑13を加熱する際にも、一部付着物層12も加熱
されることから、この両方の相乗効果も発現されてい
る。
【0028】以上のように、本発明の一実施の形態に係
る高炉炉底温度の制御方法を適用した高炉10では、高
炉炉床10aの耐火物の中に埋設された誘導加熱用のコ
イル11に通電することによって、溶銑13を誘導加熱
したり電磁攪拌することができた。これによって、高炉
10の高炉炉底10cの中央部の溶銑13の流動速度を
高めることができたので、溶銑13の対流伝熱係数を高
めることができ、付着物層12を溶解させることができ
た。従って、従来、図3に示すように、高炉炉底10c
の底面10dに付着物層12が山状に堆積されてしまう
ことによって、高炉炉底10cの周辺部を溶銑13が移
動して、高炉炉側壁10bが侵食されていたが、本発明
の一実施の形態に係る高炉炉底温度の制御方法を適用し
た高炉10では、これを防止することができ、図1に示
すように、高炉炉底10cの底面10dの半径方向に渡
って略均一厚でかつ最適厚を持った付着物層12を形成
することができ、更に、高炉10の長寿命化を図ること
ができた。更に、付着物層12を加熱することができた
ので、付着物層12を略均一厚に形成することができ、
高炉炉側壁10bが局部的に侵食されて極端に高炉炉側
壁10bの温度が上昇することがなく、高炉炉側壁10
bの温度が安定したので、従来のように、高炉炉側壁1
0bの耐火物が減厚して頻繁に付着物層12を形成する
必要がなく、更に、付着物層12の形成にあたる出銑量
低減といった休風トラブルも防止することができた。
る高炉炉底温度の制御方法を適用した高炉10では、高
炉炉床10aの耐火物の中に埋設された誘導加熱用のコ
イル11に通電することによって、溶銑13を誘導加熱
したり電磁攪拌することができた。これによって、高炉
10の高炉炉底10cの中央部の溶銑13の流動速度を
高めることができたので、溶銑13の対流伝熱係数を高
めることができ、付着物層12を溶解させることができ
た。従って、従来、図3に示すように、高炉炉底10c
の底面10dに付着物層12が山状に堆積されてしまう
ことによって、高炉炉底10cの周辺部を溶銑13が移
動して、高炉炉側壁10bが侵食されていたが、本発明
の一実施の形態に係る高炉炉底温度の制御方法を適用し
た高炉10では、これを防止することができ、図1に示
すように、高炉炉底10cの底面10dの半径方向に渡
って略均一厚でかつ最適厚を持った付着物層12を形成
することができ、更に、高炉10の長寿命化を図ること
ができた。更に、付着物層12を加熱することができた
ので、付着物層12を略均一厚に形成することができ、
高炉炉側壁10bが局部的に侵食されて極端に高炉炉側
壁10bの温度が上昇することがなく、高炉炉側壁10
bの温度が安定したので、従来のように、高炉炉側壁1
0bの耐火物が減厚して頻繁に付着物層12を形成する
必要がなく、更に、付着物層12の形成にあたる出銑量
低減といった休風トラブルも防止することができた。
【0029】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。
【図1】本発明の一実施の形態に係る高炉炉底温度の制
御方法の説明図である。
御方法の説明図である。
【図2】図1の矢視A−A断面図である。
【図3】従来例に係る高炉炉底の付着物層の説明図であ
る。
る。
【図4】休風中の高炉炉側壁の付着物層の厚さの推移を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図5】休風立ち上げ後の高炉炉側壁の付着物層の厚さ
の推移を示すグラフである。
の推移を示すグラフである。
10 高炉 10a 高炉炉
床 10b 高炉炉側壁 10c 高炉炉
底 10d 底面 10e 出銑口 11 コイル 12 付着物層 13 溶銑
床 10b 高炉炉側壁 10c 高炉炉
底 10d 底面 10e 出銑口 11 コイル 12 付着物層 13 溶銑
Claims (2)
- 【請求項1】 高炉炉床の耐火物の中に誘導加熱用のコ
イルを埋め込み、誘導加熱により高炉炉底の溶銑を加熱
及び/又は流動させることを特徴とする高炉炉底温度の
制御方法。 - 【請求項2】 前記高炉炉床の耐火物の温度から前記高
炉炉底の付着物層の厚さを算出し、この付着物層の厚さ
から前記溶銑の加熱必要熱量を算出し、この加熱必要熱
量に基づいて加熱しつつ、前記工程を繰り返して最適加
熱を行う請求項1記載の高炉炉底温度の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29615095A JPH09111319A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高炉炉底温度の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29615095A JPH09111319A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高炉炉底温度の制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09111319A true JPH09111319A (ja) | 1997-04-28 |
Family
ID=17829809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29615095A Withdrawn JPH09111319A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高炉炉底温度の制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09111319A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109283219A (zh) * | 2018-12-07 | 2019-01-29 | 中南大学 | 一种大温差混合对流传热的试验装置及方法 |
-
1995
- 1995-10-18 JP JP29615095A patent/JPH09111319A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109283219A (zh) * | 2018-12-07 | 2019-01-29 | 中南大学 | 一种大温差混合对流传热的试验装置及方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030107 |