JPH0860314A - 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
成形加工用アルミニウム合金板の製造方法Info
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- JPH0860314A JPH0860314A JP6215365A JP21536594A JPH0860314A JP H0860314 A JPH0860314 A JP H0860314A JP 6215365 A JP6215365 A JP 6215365A JP 21536594 A JP21536594 A JP 21536594A JP H0860314 A JPH0860314 A JP H0860314A
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Landscapes
- Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 自動車のボディシート等に使用される成形加
工用Al合金板として、室温での経時変化が少なくかつ
成形性および焼付硬化性に優れたAl合金板の製造方法
を提供する。 【構成】 Mg,Si,Sn,In,Cu,Zn,M
n,Cr,Zr,V,FeおよびTiが特定されたアル
ミニウム合金の鋳塊を均質化処理、熱間圧延、冷間圧延
した後、480℃以上で溶体化処理を施して、100℃
/min以上で130℃以下の温度域に冷却し、24時
間以内に140〜300℃で0〜20分の再加熱処理を
施し、50〜130℃の温度域に冷却して0.5〜50
時間保持する安定化処理を行なうか、または上記の再加
熱処理後一旦50℃以下に冷却して8時間以内に50〜
130℃×0.5〜50時間の安定化処理を施す。
工用Al合金板として、室温での経時変化が少なくかつ
成形性および焼付硬化性に優れたAl合金板の製造方法
を提供する。 【構成】 Mg,Si,Sn,In,Cu,Zn,M
n,Cr,Zr,V,FeおよびTiが特定されたアル
ミニウム合金の鋳塊を均質化処理、熱間圧延、冷間圧延
した後、480℃以上で溶体化処理を施して、100℃
/min以上で130℃以下の温度域に冷却し、24時
間以内に140〜300℃で0〜20分の再加熱処理を
施し、50〜130℃の温度域に冷却して0.5〜50
時間保持する安定化処理を行なうか、または上記の再加
熱処理後一旦50℃以下に冷却して8時間以内に50〜
130℃×0.5〜50時間の安定化処理を施す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車ボディシート
や部品、各種機械器具、家電部品等の素材として、成形
加工および塗装焼付を施して使用されるアルミニウム合
金板の製造方法に関するものであり、特に成形性が良好
であるとともに、塗装焼付後の強度が高く、かつ室温で
の経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板の製
造方法に関するものである。
や部品、各種機械器具、家電部品等の素材として、成形
加工および塗装焼付を施して使用されるアルミニウム合
金板の製造方法に関するものであり、特に成形性が良好
であるとともに、塗装焼付後の強度が高く、かつ室温で
の経時変化が少ない成形加工用アルミニウム合金板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のボディシートには、従来は主と
して冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車
体軽量化の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用す
ることが進められている。自動車のボディシートはプレ
ス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れ
ていること、また成形加工時におけるリューダースマー
クが発生しないことが要求され、また高強度を有するこ
とも必須であって、特に塗装焼付を施すことから、塗装
焼付後に高強度が得られることが要求される。
して冷延鋼板を使用することが多かったが、最近では車
体軽量化の観点から、アルミニウム合金圧延板を使用す
ることが進められている。自動車のボディシートはプレ
ス加工を施して使用するところから、成形加工性が優れ
ていること、また成形加工時におけるリューダースマー
クが発生しないことが要求され、また高強度を有するこ
とも必須であって、特に塗装焼付を施すことから、塗装
焼付後に高強度が得られることが要求される。
【0003】従来このような自動車用ボディシート向け
のアルミニウム合金としては、時効性を有するJIS
6000番系合金、すなわちAl−Mg−Si系合金が
主として使用されている。この時効性Al−Mg−Si
系合金では、塗装焼付前の成形加工時においては比較的
強度が低く、成形性が優れており、一方塗装焼付時の加
熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点
を有するほか、リューダースマークが発生しない等の利
点を有する。
のアルミニウム合金としては、時効性を有するJIS
6000番系合金、すなわちAl−Mg−Si系合金が
主として使用されている。この時効性Al−Mg−Si
系合金では、塗装焼付前の成形加工時においては比較的
強度が低く、成形性が優れており、一方塗装焼付時の加
熱によって時効されて塗装焼付後の強度が高くなる利点
を有するほか、リューダースマークが発生しない等の利
点を有する。
【0004】ところで塗装焼付時における時効硬化を期
待したAl−Mg−Si系合金板の製造方法としては、
鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延および冷間圧延を
行なって所定の板厚とし、かつ必要に応じて熱間圧延と
冷間圧延との間あるいは冷間圧延の中途において中間焼
鈍を行ない、冷間圧延後に溶体化処理を行なって焼入れ
るのが通常である。しかしながらこのような従来の一般
的な製造方法では、最近の自動車用ボディシートに要求
される特性を充分に満足させることは困難である。
待したAl−Mg−Si系合金板の製造方法としては、
鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延および冷間圧延を
行なって所定の板厚とし、かつ必要に応じて熱間圧延と
冷間圧延との間あるいは冷間圧延の中途において中間焼
鈍を行ない、冷間圧延後に溶体化処理を行なって焼入れ
るのが通常である。しかしながらこのような従来の一般
的な製造方法では、最近の自動車用ボディシートに要求
される特性を充分に満足させることは困難である。
【0005】すなわち、最近ではコストの一層の低減の
ためにさらに薄肉化することが強く要求されており、そ
のため薄肉でも充分な強度が得られるように、一層の高
強度化が求められているが、この点で従来の一般的な製
造方法によって得られたAl−Mg−Si系合金板では
不充分であった。
ためにさらに薄肉化することが強く要求されており、そ
のため薄肉でも充分な強度が得られるように、一層の高
強度化が求められているが、この点で従来の一般的な製
造方法によって得られたAl−Mg−Si系合金板では
不充分であった。
【0006】また塗装焼付については、省エネルギおよ
び生産性の向上、さらには高温に曝されることが好まし
くない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも
焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向
が強まっている。そのため従来の一般的な製法により得
られたAl−Mg−Si系合金板では、塗装焼付時の硬
化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が
得難くなる問題が生じていた。また従来のAl−Mg−
Si系合金板では、塗装焼付後に高強度を得るために焼
付硬化性を高めようとすれば、板製造後に室温に放置し
た場合に自然時効により硬化が生じやすくなり、そのた
め成形性が阻害され勝ちであるという問題もある。
び生産性の向上、さらには高温に曝されることが好まし
くない樹脂等の材料との併用などの点から、従来よりも
焼付温度を低温化し、また焼付時間も短時間化する傾向
が強まっている。そのため従来の一般的な製法により得
られたAl−Mg−Si系合金板では、塗装焼付時の硬
化(焼付硬化)が不足し、塗装焼付後に充分な高強度が
得難くなる問題が生じていた。また従来のAl−Mg−
Si系合金板では、塗装焼付後に高強度を得るために焼
付硬化性を高めようとすれば、板製造後に室温に放置し
た場合に自然時効により硬化が生じやすくなり、そのた
め成形性が阻害され勝ちであるという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は以上の事情
を背景としてなされたもので、良好な成形加工性を有す
ると同時に、焼付硬化性が優れていて、塗装焼付時にお
ける強度上昇が高く、しかも板製造後の室温での経時的
な変化が少なく、長期間放置した場合でも自然時効によ
る硬化に起因する成形性の低下が少ない成形加工用アル
ミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
を背景としてなされたもので、良好な成形加工性を有す
ると同時に、焼付硬化性が優れていて、塗装焼付時にお
ける強度上昇が高く、しかも板製造後の室温での経時的
な変化が少なく、長期間放置した場合でも自然時効によ
る硬化に起因する成形性の低下が少ない成形加工用アル
ミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するべく本発明者等が実験・検討を重ねた結果、Al−
Mg−Si系合金に適量のSnもしくはInを添加する
と同時に、板製造プロセス中において、溶体化処理後に
適切な熱処理を行なうことによって、前述の課題を解決
し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
するべく本発明者等が実験・検討を重ねた結果、Al−
Mg−Si系合金に適量のSnもしくはInを添加する
と同時に、板製造プロセス中において、溶体化処理後に
適切な熱処理を行なうことによって、前述の課題を解決
し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
【0009】具体的には、請求項1の発明のアルミニウ
ム合金板の製造方法は、Mg0.3〜1.5%、Si
0.5〜2.5%を含有し、かつSn0.01〜0.3
%およびIn0.01〜0.3%のうちの1種または2
種を含有し、さらにCu0.03〜1.2%、Zn0.
03〜1.5%、Mn0.03〜0.4%、Cr0.0
3〜0.4%、Zr0.03〜0.4%、V0.03〜
0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜
0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有
し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素
材とし、鋳塊に均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を
行なって所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、
480℃以上の温度で溶体化処理を行なってから100
℃/min以上の冷却速度で130℃以下の温度域まで
冷却し、続いて24時間以内に140〜300℃の範囲
内の温度に加熱して保持なしもしくは20分以内の保持
の熱処理を行なった後、50〜130℃の範囲内の温度
に冷却し、その温度範囲内で0.5〜50時間保持する
安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
ム合金板の製造方法は、Mg0.3〜1.5%、Si
0.5〜2.5%を含有し、かつSn0.01〜0.3
%およびIn0.01〜0.3%のうちの1種または2
種を含有し、さらにCu0.03〜1.2%、Zn0.
03〜1.5%、Mn0.03〜0.4%、Cr0.0
3〜0.4%、Zr0.03〜0.4%、V0.03〜
0.4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜
0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有
し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素
材とし、鋳塊に均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を
行なって所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、
480℃以上の温度で溶体化処理を行なってから100
℃/min以上の冷却速度で130℃以下の温度域まで
冷却し、続いて24時間以内に140〜300℃の範囲
内の温度に加熱して保持なしもしくは20分以内の保持
の熱処理を行なった後、50〜130℃の範囲内の温度
に冷却し、その温度範囲内で0.5〜50時間保持する
安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明のアルミニウム合金板
は、前記同様な成分組成の合金を素材とし、鋳塊に均質
化処理、熱間圧延および冷間圧延を行なって所要の板厚
の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度
で溶体化処理を行なってから100℃/min以上の冷
却速度で130℃以下の温度域まで冷却し、続いて24
時間以内に140〜300℃の範囲内の温度に加熱して
保持なしもしくは20分以内の保持の熱処理を行なった
後、50℃未満の温度に冷却し、その後8時間以内に5
0〜130℃の範囲内の温度で0.5〜50時間保持す
る安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
は、前記同様な成分組成の合金を素材とし、鋳塊に均質
化処理、熱間圧延および冷間圧延を行なって所要の板厚
の圧延板とし、その圧延板に対し、480℃以上の温度
で溶体化処理を行なってから100℃/min以上の冷
却速度で130℃以下の温度域まで冷却し、続いて24
時間以内に140〜300℃の範囲内の温度に加熱して
保持なしもしくは20分以内の保持の熱処理を行なった
後、50℃未満の温度に冷却し、その後8時間以内に5
0〜130℃の範囲内の温度で0.5〜50時間保持す
る安定化処理を行なうことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】先ずこの発明の製造方法で用いる合金の成分組
成限定理由について説明する。
成限定理由について説明する。
【0012】Mg:Mgはこの発明で対象としている系
の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して
強度向上に寄与する。Mg量が0.3%未満では塗装焼
付時に析出硬化によって強度向上に寄与するMg2 Si
の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られ
ず、一方1.5%を越えれば成形性が低下するから、M
g量は0.3〜1.5%の範囲内とした。
の合金で基本となる合金元素であって、Siと共同して
強度向上に寄与する。Mg量が0.3%未満では塗装焼
付時に析出硬化によって強度向上に寄与するMg2 Si
の生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られ
ず、一方1.5%を越えれば成形性が低下するから、M
g量は0.3〜1.5%の範囲内とした。
【0013】Si:Siもこの発明の系の合金で基本と
なる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与
する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生
成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形さ
れて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるた
め、再結晶組織の微細化にも寄与する。Siが0.5%
未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を
越えれば粗大Siが生じて合金の靭性低下を招く。した
がってSiは0.5〜2.5%の範囲内とした。
なる合金元素であって、Mgと共同して強度向上に寄与
する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生
成され、その金属Si粒子の周囲が加工によって変形さ
れて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるた
め、再結晶組織の微細化にも寄与する。Siが0.5%
未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.5%を
越えれば粗大Siが生じて合金の靭性低下を招く。した
がってSiは0.5〜2.5%の範囲内とした。
【0014】Sn,In:Sn,Inはいずれもこの発
明において重要な添加元素であり、合金の室温時効を抑
制して成形性を向上させるとともに、塗装焼付硬化性を
向上させるに有効である。すなわちSn,Inは室温で
空孔と結合し、他のMg等の合金元素の拡散を遅らせて
室温時効を抑制し、一方高温になればG.P.ゾーン、
中間層の析出を促進して、塗装焼付硬化性を高める作用
を果たす。いずれも0.01%未満では上記の効果が充
分に得られず、一方Snが0.3%を越えれば耐食性が
低下し、またInが0.3%を越えれば巨大な晶出物が
生成されてしまうおそれがあるから、Sn,Inの添加
量はいずれも0.01〜0.3%の範囲内とした。なお
これらのSn,Inは、いずれか一方を単独で添加して
も、あるいは両者を同時に添加しても良い。
明において重要な添加元素であり、合金の室温時効を抑
制して成形性を向上させるとともに、塗装焼付硬化性を
向上させるに有効である。すなわちSn,Inは室温で
空孔と結合し、他のMg等の合金元素の拡散を遅らせて
室温時効を抑制し、一方高温になればG.P.ゾーン、
中間層の析出を促進して、塗装焼付硬化性を高める作用
を果たす。いずれも0.01%未満では上記の効果が充
分に得られず、一方Snが0.3%を越えれば耐食性が
低下し、またInが0.3%を越えれば巨大な晶出物が
生成されてしまうおそれがあるから、Sn,Inの添加
量はいずれも0.01〜0.3%の範囲内とした。なお
これらのSn,Inは、いずれか一方を単独で添加して
も、あるいは両者を同時に添加しても良い。
【0015】Cu,Zn,Mn,Cr,Zr,V,T
i,Fe:これらは強度向上や結晶粒微細化のために1
種または2種以上添加される。これらのうち、Cuは固
溶強化によって強度向上に有効な元素であるが、0.0
3%未満ではその効果が充分に得られず、一方1.2%
を越えれば耐食性が低下するから、Cuを添加する場合
のCu量は0.03〜1.2%の範囲内とした。またZ
nは合金の時効性の向上を通じて強度向上に寄与する元
素であり、その含有量が0.03%未満では上記の効果
が不充分であり、一方1.5%を越えれば成形性が低下
するから、Znを添加する場合のZn量は0.03〜
1.5%の範囲内とした。さらにMn,Cr,Zr,V
はいずれも強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定
化に効果がある元素であり、いずれも含有量が0.03
%未満では上記の効果が充分に得られず、一方それぞれ
0.4%を越えれば上記の効果が飽和するばかりでな
く、巨大金属間化合物が生成されて成形性に悪影響を及
ぼすおそれがあり、したがってMn,Cr,Zr,Vは
いずれも0.03〜0.4%の範囲内とした。またTi
も強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であり、そ
の含有量が0.005%未満では充分な効果が得られ
ず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和する
ばかりでなく、巨大晶出物が生じるおそれがあるから、
Tiは0.005〜0.2%の範囲内とした。そしてま
たFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であり、
その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られ
ず、一方0.5%を越えれば成形性が低下するおそれが
あり、したがってFeは0.03〜0.5%の範囲内と
した。なおこれらのCu,Zn,Mn,Cr,Zr,
V,Ti,Feの範囲は、積極的な添加元素としてこれ
らの元素を含む場合について示したものであり、いずれ
もその下限値よりも少ない量を不純物として含有してい
ることは特に支障ない。特に、0.03%未満のFe
は、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有される
のが通常である。
i,Fe:これらは強度向上や結晶粒微細化のために1
種または2種以上添加される。これらのうち、Cuは固
溶強化によって強度向上に有効な元素であるが、0.0
3%未満ではその効果が充分に得られず、一方1.2%
を越えれば耐食性が低下するから、Cuを添加する場合
のCu量は0.03〜1.2%の範囲内とした。またZ
nは合金の時効性の向上を通じて強度向上に寄与する元
素であり、その含有量が0.03%未満では上記の効果
が不充分であり、一方1.5%を越えれば成形性が低下
するから、Znを添加する場合のZn量は0.03〜
1.5%の範囲内とした。さらにMn,Cr,Zr,V
はいずれも強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定
化に効果がある元素であり、いずれも含有量が0.03
%未満では上記の効果が充分に得られず、一方それぞれ
0.4%を越えれば上記の効果が飽和するばかりでな
く、巨大金属間化合物が生成されて成形性に悪影響を及
ぼすおそれがあり、したがってMn,Cr,Zr,Vは
いずれも0.03〜0.4%の範囲内とした。またTi
も強度向上と鋳塊組織の微細化に有効な元素であり、そ
の含有量が0.005%未満では充分な効果が得られ
ず、一方0.2%を越えればTi添加の効果が飽和する
ばかりでなく、巨大晶出物が生じるおそれがあるから、
Tiは0.005〜0.2%の範囲内とした。そしてま
たFeも強度向上と結晶粒微細化に有効な元素であり、
その含有量が0.03%未満では充分な効果が得られ
ず、一方0.5%を越えれば成形性が低下するおそれが
あり、したがってFeは0.03〜0.5%の範囲内と
した。なおこれらのCu,Zn,Mn,Cr,Zr,
V,Ti,Feの範囲は、積極的な添加元素としてこれ
らの元素を含む場合について示したものであり、いずれ
もその下限値よりも少ない量を不純物として含有してい
ることは特に支障ない。特に、0.03%未満のFe
は、通常のアルミ地金を用いれば不可避的に含有される
のが通常である。
【0016】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よび不可避的不純物とすれば良い。但し、一般にMgを
含有する系の合金においては溶湯の酸化防止のために微
量のBeを添加することがあり、この発明の合金の場合
も0.0001〜0.01%程度のBeの添加は許容さ
れる。また一般に結晶粒微細化のために前述のTiと同
時にBを添加することもあり、この発明の場合もTiと
ともに500ppm以下のBを添加することは許容され
る。
よび不可避的不純物とすれば良い。但し、一般にMgを
含有する系の合金においては溶湯の酸化防止のために微
量のBeを添加することがあり、この発明の合金の場合
も0.0001〜0.01%程度のBeの添加は許容さ
れる。また一般に結晶粒微細化のために前述のTiと同
時にBを添加することもあり、この発明の場合もTiと
ともに500ppm以下のBを添加することは許容され
る。
【0017】次にこの発明の方法における製造プロセス
について説明する。
について説明する。
【0018】溶体化処理前までの工程すなわち所要の製
品板厚の圧延板とするまでの工程は、従来の一般的なJ
IS 6000番系のAl−Mg−Si系合金と同様で
あれば良い。すなわち、DC鋳造法等によって鋳造した
後、常法により均質化処理を施し、熱間圧延および冷間
圧延を行なって所要の板厚とすれば良く、また熱間圧延
と冷間圧延との間、あるいは冷間圧延の中途において必
要に応じて中間焼鈍を行なっても良い。
品板厚の圧延板とするまでの工程は、従来の一般的なJ
IS 6000番系のAl−Mg−Si系合金と同様で
あれば良い。すなわち、DC鋳造法等によって鋳造した
後、常法により均質化処理を施し、熱間圧延および冷間
圧延を行なって所要の板厚とすれば良く、また熱間圧延
と冷間圧延との間、あるいは冷間圧延の中途において必
要に応じて中間焼鈍を行なっても良い。
【0019】上述のようにして所要の製品板厚とした
後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶
体化処理は、Mg2 Si等をマトリックスに固溶させ、
これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上
を図るために必要な工程であり、また再結晶させて良好
な成形性を得るための工程でもある。溶体化処理温度が
480℃未満ではMg2 Siの固溶量が少なく、充分な
焼付硬化性が得られない。溶体化処理温度の上限は特に
規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大
化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ま
しい。また溶体化処理の時間も特に限定しないが、通常
は120分以内とする。
後、480℃以上の温度で溶体化処理を行なう。この溶
体化処理は、Mg2 Si等をマトリックスに固溶させ、
これにより焼付硬化性を付与して塗装焼付後の強度向上
を図るために必要な工程であり、また再結晶させて良好
な成形性を得るための工程でもある。溶体化処理温度が
480℃未満ではMg2 Siの固溶量が少なく、充分な
焼付硬化性が得られない。溶体化処理温度の上限は特に
規定しないが、共晶融解の発生のおそれや再結晶粒粗大
化等を考慮して、通常は580℃以下とすることが望ま
しい。また溶体化処理の時間も特に限定しないが、通常
は120分以内とする。
【0020】溶体化処理後には、100℃/min以上
の冷却速度で、130℃以下の温度域まで冷却(焼入
れ)する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃
/min未満では、冷却中にMg2 Siが多量に析出し
てしまい、成形性が低下すると同時に、焼付硬化性が低
下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。ま
た溶体化処理の冷却到達温度(焼入温度)が130℃を
越える場合、充分な速さの冷却速度が得られず、冷却過
程で高温に曝されているうちに粒界への析出が生じて成
形性を阻害する。
の冷却速度で、130℃以下の温度域まで冷却(焼入
れ)する。ここで、溶体化処理後の冷却速度が100℃
/min未満では、冷却中にMg2 Siが多量に析出し
てしまい、成形性が低下すると同時に、焼付硬化性が低
下して塗装焼付時の充分な強度向上が望めなくなる。ま
た溶体化処理の冷却到達温度(焼入温度)が130℃を
越える場合、充分な速さの冷却速度が得られず、冷却過
程で高温に曝されているうちに粒界への析出が生じて成
形性を阻害する。
【0021】前述のようにして480℃以上の温度での
溶体化処理の後、100℃/min以上の冷却速度で1
30℃以下の温度まで冷却(焼入)した後には、続いて
24時間以内(0時間を含む)に、改めて140〜30
0℃の範囲内温度に加熱して、保持なしもしくは20分
以内の保持の熱処理(以下この熱処理を“再加熱処理”
と記す)を施す。この再加熱処理は、高温G.P.ゾー
ンを生成させ、その後の安定化処理における高温G.
P.ゾーンの成長を通じて焼付硬化性を良好にするため
に必要な工程である。溶体化処理−焼入からこの再加熱
処理までの時間が短かいほど、その間に50〜130℃
以下での低温G.P.ゾーン、特に、室温(0〜40
℃)クラスターの形成を抑制することができ、焼付硬化
性向上に有利となる。この時間が24時間を越えれば、
50〜130℃以下の低温G.P.ゾーン、特に室温ク
ラスターが多量に生成されて焼付硬化性が悪化するか
ら、溶体化処理−焼入から再加熱処理までの経過時間は
24時間以内とする必要がある。なおこのような溶体化
処理−焼入から再加熱処理までの間の時間は0〜1時間
の範囲内が好ましい。一方、再加熱処理における温度が
140℃未満では、前述のような再加熱処理による効果
が得られず、300℃を越えれば粒界析出が顕著となっ
て成形性が低下する。またこの再加熱処理は、140〜
300℃の範囲内の温度に到達すれば保持なしで直ちに
冷却しても前述の効果が得られるが、20分を越えれば
高温時効によって成形前に材料の強度が高くなり過ぎて
成形性が低下してしまう。
溶体化処理の後、100℃/min以上の冷却速度で1
30℃以下の温度まで冷却(焼入)した後には、続いて
24時間以内(0時間を含む)に、改めて140〜30
0℃の範囲内温度に加熱して、保持なしもしくは20分
以内の保持の熱処理(以下この熱処理を“再加熱処理”
と記す)を施す。この再加熱処理は、高温G.P.ゾー
ンを生成させ、その後の安定化処理における高温G.
P.ゾーンの成長を通じて焼付硬化性を良好にするため
に必要な工程である。溶体化処理−焼入からこの再加熱
処理までの時間が短かいほど、その間に50〜130℃
以下での低温G.P.ゾーン、特に、室温(0〜40
℃)クラスターの形成を抑制することができ、焼付硬化
性向上に有利となる。この時間が24時間を越えれば、
50〜130℃以下の低温G.P.ゾーン、特に室温ク
ラスターが多量に生成されて焼付硬化性が悪化するか
ら、溶体化処理−焼入から再加熱処理までの経過時間は
24時間以内とする必要がある。なおこのような溶体化
処理−焼入から再加熱処理までの間の時間は0〜1時間
の範囲内が好ましい。一方、再加熱処理における温度が
140℃未満では、前述のような再加熱処理による効果
が得られず、300℃を越えれば粒界析出が顕著となっ
て成形性が低下する。またこの再加熱処理は、140〜
300℃の範囲内の温度に到達すれば保持なしで直ちに
冷却しても前述の効果が得られるが、20分を越えれば
高温時効によって成形前に材料の強度が高くなり過ぎて
成形性が低下してしまう。
【0022】以上のようにして再加熱処理を行なった後
には、請求項1の発明の方法の場合は、50〜130℃
の範囲内の温度に冷却し、その50〜130℃の範囲内
の温度で0.5〜50時間保持の安定化処理を施し、ま
た請求項2の発明の方法の場合は、再加熱処理後に一旦
50℃以下の温度域に冷却し、その後8時間以内に50
〜130℃の範囲内の温度で0.5〜50時間保持の安
定化処理を施す。すなわち、請求項1の発明の方法の場
合は、再加熱処理後直ちに、また請求項2の発明の方法
の場合は一旦50℃以下の室温付近に冷却・放置してか
ら、安定化処理を施す。ここで、請求項2の発明の方法
における再加熱処理・冷却後の50℃以下の放置時間が
8時間を越えれば、室温時効により室温クラスターが多
量に生成され、焼付硬化性が低下してしまう。なおこの
放置時間は0〜2時間の範囲内が好ましい。
には、請求項1の発明の方法の場合は、50〜130℃
の範囲内の温度に冷却し、その50〜130℃の範囲内
の温度で0.5〜50時間保持の安定化処理を施し、ま
た請求項2の発明の方法の場合は、再加熱処理後に一旦
50℃以下の温度域に冷却し、その後8時間以内に50
〜130℃の範囲内の温度で0.5〜50時間保持の安
定化処理を施す。すなわち、請求項1の発明の方法の場
合は、再加熱処理後直ちに、また請求項2の発明の方法
の場合は一旦50℃以下の室温付近に冷却・放置してか
ら、安定化処理を施す。ここで、請求項2の発明の方法
における再加熱処理・冷却後の50℃以下の放置時間が
8時間を越えれば、室温時効により室温クラスターが多
量に生成され、焼付硬化性が低下してしまう。なおこの
放置時間は0〜2時間の範囲内が好ましい。
【0023】安定化処理は、最終的にクラスターあるい
はG.P.ゾーンの安定性を向上させ、板製造後の経時
変化を抑制して、充分な焼付硬化性を確保するとともに
良好な成形加工性を得るために必要な工程であり、この
安定化処理は、50〜130℃の範囲内の温度に0.5
〜50時間保持の条件とする必要がある。安定化処理の
温度が50℃未満では上記の効果が充分に得られず、一
方130℃を越えれば高温時効によって素材強度が高く
なり、成形性が低下してしまう。また安定化処理におけ
る50〜130℃の範囲内の温度での保持時間が0.5
時間未満では、その後の室温での経時変化が速くなって
成形性と焼付硬化性が悪くなり、一方50時間を越えれ
ば、時効によって素材強度が高くなり、成形性が低下し
てしまうとともに、生産性も阻害される。なおこの安定
化処理は、50〜130℃の範囲内において必ずしも一
定の温度に保持する必要はなく、その範囲内の温度で段
階的あるいは連続的に温度を変化させても良い。
はG.P.ゾーンの安定性を向上させ、板製造後の経時
変化を抑制して、充分な焼付硬化性を確保するとともに
良好な成形加工性を得るために必要な工程であり、この
安定化処理は、50〜130℃の範囲内の温度に0.5
〜50時間保持の条件とする必要がある。安定化処理の
温度が50℃未満では上記の効果が充分に得られず、一
方130℃を越えれば高温時効によって素材強度が高く
なり、成形性が低下してしまう。また安定化処理におけ
る50〜130℃の範囲内の温度での保持時間が0.5
時間未満では、その後の室温での経時変化が速くなって
成形性と焼付硬化性が悪くなり、一方50時間を越えれ
ば、時効によって素材強度が高くなり、成形性が低下し
てしまうとともに、生産性も阻害される。なおこの安定
化処理は、50〜130℃の範囲内において必ずしも一
定の温度に保持する必要はなく、その範囲内の温度で段
階的あるいは連続的に温度を変化させても良い。
【0024】以上のようにこの発明の製造方法では、合
金の成分組成を適切に調整して、特にSnもしくはIn
を添加した成分組成とし、しかも製造プロセス中におい
て、480℃以上の温度での溶体化処理、冷却(焼入
れ)の後に特定の条件で再加熱処理を行ない、その後改
めて50〜130℃の温度域で安定化処理を施すことに
より、板製造後の室温での経時変化、すなわち室温での
自然時効の進行を阻止することが可能となり、その結
果、板製造後に長期間放置されてから成形加工、塗装焼
付を施す場合でも、良好な成形性、優れた焼付硬化性を
充分に確保することが可能となったのである。
金の成分組成を適切に調整して、特にSnもしくはIn
を添加した成分組成とし、しかも製造プロセス中におい
て、480℃以上の温度での溶体化処理、冷却(焼入
れ)の後に特定の条件で再加熱処理を行ない、その後改
めて50〜130℃の温度域で安定化処理を施すことに
より、板製造後の室温での経時変化、すなわち室温での
自然時効の進行を阻止することが可能となり、その結
果、板製造後に長期間放置されてから成形加工、塗装焼
付を施す場合でも、良好な成形性、優れた焼付硬化性を
充分に確保することが可能となったのである。
【0025】
【実施例】表1に示す本発明成分組成範囲内の合金記号
A1〜A5の合金、および本発明成分組成範囲外の合金
記号B1〜B2の合金について、それぞれ常法に従って
DC鋳造法により鋳造し、得られた鋳塊に530℃×5
hの均質化処理を施してから、常法に従って熱間圧延お
よび冷間圧延を行なって厚さ1mmの圧延板とした。次
いで各圧延板に対し、520℃×10secの溶体化処
理を行なってから、100℃/min以上の冷却速度で
130℃以下の温度まで焼入れして、その焼入温度で保
持し、さらに再加熱処理および安定化処理を行なった。
詳細な条件を表2中に示す。なお表2中において、製造
番号1〜5および10〜12はいずれも製造プロセス条
件が本発明範囲内の例、製造番号6〜9は製造プロセス
条件が本発明範囲を外れた例である。
A1〜A5の合金、および本発明成分組成範囲外の合金
記号B1〜B2の合金について、それぞれ常法に従って
DC鋳造法により鋳造し、得られた鋳塊に530℃×5
hの均質化処理を施してから、常法に従って熱間圧延お
よび冷間圧延を行なって厚さ1mmの圧延板とした。次
いで各圧延板に対し、520℃×10secの溶体化処
理を行なってから、100℃/min以上の冷却速度で
130℃以下の温度まで焼入れして、その焼入温度で保
持し、さらに再加熱処理および安定化処理を行なった。
詳細な条件を表2中に示す。なお表2中において、製造
番号1〜5および10〜12はいずれも製造プロセス条
件が本発明範囲内の例、製造番号6〜9は製造プロセス
条件が本発明範囲を外れた例である。
【0026】以上のように安定化処理を行なって得られ
た板を、さらに室温に5日もしくは50日放置した各板
について、それぞれ170℃×40分の加熱の塗装焼付
処理を施し、かつその焼付前の機械的特性および成形性
と、焼付後の機械的特性を調べた。その結果を表3に示
す。
た板を、さらに室温に5日もしくは50日放置した各板
について、それぞれ170℃×40分の加熱の塗装焼付
処理を施し、かつその焼付前の機械的特性および成形性
と、焼付後の機械的特性を調べた。その結果を表3に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】製造番号1〜7は、いずれも合金の成分組
成がこの発明で規定する範囲内でかつ製造条件もこの発
明で規定する条件を満たしたものであるが、これらの場
合は、いずれも塗装焼付前の伸びおよびエリクセン値が
充分に高くて成形性が優れ、かつ焼付硬化性が高くて塗
装焼付時に大きな強度上昇が生じており、特に板製造後
40日室温に放置した場合においても、伸びおよびエリ
クセン値の低下が少なくて成形性が低下せず、かつ充分
な焼付硬化性を示した。
成がこの発明で規定する範囲内でかつ製造条件もこの発
明で規定する条件を満たしたものであるが、これらの場
合は、いずれも塗装焼付前の伸びおよびエリクセン値が
充分に高くて成形性が優れ、かつ焼付硬化性が高くて塗
装焼付時に大きな強度上昇が生じており、特に板製造後
40日室温に放置した場合においても、伸びおよびエリ
クセン値の低下が少なくて成形性が低下せず、かつ充分
な焼付硬化性を示した。
【0031】これに対し製造番号8〜11は、合金の成
分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造条件
がこの発明で規定する条件を満たさなかったものであ
る。そして製造番号8(合金記号A1)の場合は、溶体
化処理後の室温放置時間が長過ぎたため、同じ合金(合
金記号A1)を用いた本発明例(製造番号1)と比較し
て、焼付硬化性が劣っていた。また製造番号9(合金記
号A2)の場合は、溶体化処理−冷却後の再加熱処理に
おける温度が高過ぎたため、同じ合金(合金記号A2)
を用いた本発明例(製造番号2)と比較して成形性が劣
っていた。また製造番号10(合金記号A3)の場合
は、安定化処理の温度が高過ぎるとともに保持時間が短
か過ぎたため、同じ合金(合金記号A3)を用いた本発
明例(製造番号3)の場合と比較して、製造後の室温時
効による経時変化が大きく、50日後は充分な焼付硬化
性が得られなかった。さらに製造番号11(合金記号A
4)の場合は、再加熱処理後、安定化処理するまでの室
温での放置時間が長過ぎたため、同じ合金(合金記号A
4)を用いた本発明例(製造番号4)の場合と比較し
て、充分な焼付硬化性が得られなかった。
分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造条件
がこの発明で規定する条件を満たさなかったものであ
る。そして製造番号8(合金記号A1)の場合は、溶体
化処理後の室温放置時間が長過ぎたため、同じ合金(合
金記号A1)を用いた本発明例(製造番号1)と比較し
て、焼付硬化性が劣っていた。また製造番号9(合金記
号A2)の場合は、溶体化処理−冷却後の再加熱処理に
おける温度が高過ぎたため、同じ合金(合金記号A2)
を用いた本発明例(製造番号2)と比較して成形性が劣
っていた。また製造番号10(合金記号A3)の場合
は、安定化処理の温度が高過ぎるとともに保持時間が短
か過ぎたため、同じ合金(合金記号A3)を用いた本発
明例(製造番号3)の場合と比較して、製造後の室温時
効による経時変化が大きく、50日後は充分な焼付硬化
性が得られなかった。さらに製造番号11(合金記号A
4)の場合は、再加熱処理後、安定化処理するまでの室
温での放置時間が長過ぎたため、同じ合金(合金記号A
4)を用いた本発明例(製造番号4)の場合と比較し
て、充分な焼付硬化性が得られなかった。
【0032】一方製造番号12〜14はいずれも成分組
成がこの発明で規定する範囲を外れた合金について、こ
の発明で規定する範囲内の条件のプロセスを適用したも
のであるが、この場合にはいずれも素材強度が低いばか
りでなく、焼付硬化性も低く、塗装焼付後の強度も充分
に得られなかった。
成がこの発明で規定する範囲を外れた合金について、こ
の発明で規定する範囲内の条件のプロセスを適用したも
のであるが、この場合にはいずれも素材強度が低いばか
りでなく、焼付硬化性も低く、塗装焼付後の強度も充分
に得られなかった。
【0033】
【発明の効果】この発明の成形加工用アルミニウム合金
板の製造方法によれば、成形性が優れるとともに素材強
度が高いばかりでなく、焼付硬化性が優れていて、塗装
焼付後の強度が著しく高く、しかも室温での経時変化が
少なくて、板製造後に室温で長期間放置した場合にも成
形性の低下が少ないとともに焼付硬化性の変化も少な
い、安定な成形加工用アルミニウム合金板を得ることが
でき、したがって自動車用ボディシート、家電部品、各
種機械器具部品、そのほか成形加工および塗装焼付を施
して用いる用途のアルミニウム合金の製造に最適であ
る。
板の製造方法によれば、成形性が優れるとともに素材強
度が高いばかりでなく、焼付硬化性が優れていて、塗装
焼付後の強度が著しく高く、しかも室温での経時変化が
少なくて、板製造後に室温で長期間放置した場合にも成
形性の低下が少ないとともに焼付硬化性の変化も少な
い、安定な成形加工用アルミニウム合金板を得ることが
でき、したがって自動車用ボディシート、家電部品、各
種機械器具部品、そのほか成形加工および塗装焼付を施
して用いる用途のアルミニウム合金の製造に最適であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg0.3〜1.5%(重量%、以下同
じ)、Si0.5〜2.5%を含有し、かつSn0.0
1〜0.3%およびIn0.01〜0.3%のうちの1
種または2種を含有し、さらにCu0.03〜1.2
%、Zn0.03〜1.5%、Mn0.03〜0.4
%、Cr0.03〜0.4%、Zr0.03〜0.4
%、V0.03〜0.4%、Fe0.03〜0.5%、
Ti0.005〜0.2%のうちから選ばれた1種また
は2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
よりなる合金を素材とし、鋳塊に均質化処理、熱間圧延
および冷間圧延を行なって所要の板厚の圧延板とし、そ
の圧延板に対し、480℃以上の温度で溶体化処理を行
なってから100℃/min以上の冷却速度で130℃
以下の温度域まで冷却し、続いて24時間以内に140
〜300℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは
20分以内の保持の熱処理を行なった後、50〜130
℃の範囲内の温度に冷却し、その温度範囲内で0.5〜
50時間保持する安定化処理を行なうことを特徴とす
る、室温での経時変化が少なくかつ成形性および焼付硬
化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板の製造方
法。 - 【請求項2】 Mg0.3〜1.5%、Si0.5〜
2.5%を含有し、かつSn0.01〜0.3%および
In0.01〜0.3%のうちの1種または2種を含有
し、さらにCu0.03〜1.2%、Zn0.03〜
1.5%、Mn0.03〜0.4%、Cr0.03〜
0.4%、Zr0.03〜0.4%、V0.03〜0.
4%、Fe0.03〜0.5%、Ti0.005〜0.
2%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を素材と
し、鋳塊に均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を行な
って所要の板厚の圧延板とし、その圧延板に対し、48
0℃以上の温度で溶体化処理を行なってから100℃/
min以上の冷却速度で130℃以下の温度域まで冷却
し、続いて24時間以内に140〜300℃の範囲内の
温度に加熱して保持なしもしくは20分以内の保持の熱
処理を行なった後、50℃未満の温度に冷却し、その後
8時間以内に50〜130℃の範囲内の温度で0.5〜
50時間保持する安定化処理を行なうことを特徴とす
る、室温での経時変化が少なくかつ成形性および焼付硬
化性に優れた成形加工用アルミニウム合金板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6215365A JPH0860314A (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6215365A JPH0860314A (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0860314A true JPH0860314A (ja) | 1996-03-05 |
Family
ID=16671091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6215365A Pending JPH0860314A (ja) | 1994-08-17 | 1994-08-17 | 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0860314A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101039206B1 (ko) * | 2008-03-19 | 2011-06-03 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 전지 케이스용 알루미늄 합금판 및 그의 제조방법 |
CN103667813A (zh) * | 2013-11-20 | 2014-03-26 | 茹林宝 | 铝合金型材 |
US20170349978A1 (en) * | 2014-08-27 | 2017-12-07 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Aluminum alloy sheet |
-
1994
- 1994-08-17 JP JP6215365A patent/JPH0860314A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101039206B1 (ko) * | 2008-03-19 | 2011-06-03 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 전지 케이스용 알루미늄 합금판 및 그의 제조방법 |
CN103667813A (zh) * | 2013-11-20 | 2014-03-26 | 茹林宝 | 铝合金型材 |
US20170349978A1 (en) * | 2014-08-27 | 2017-12-07 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Aluminum alloy sheet |
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