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JPH0854906A - 非干渉pid制御系の設計方法および設計装置 - Google Patents

非干渉pid制御系の設計方法および設計装置

Info

Publication number
JPH0854906A
JPH0854906A JP18751794A JP18751794A JPH0854906A JP H0854906 A JPH0854906 A JP H0854906A JP 18751794 A JP18751794 A JP 18751794A JP 18751794 A JP18751794 A JP 18751794A JP H0854906 A JPH0854906 A JP H0854906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
matching
control
control system
transfer function
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18751794A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Senda
田 有 一 千
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP18751794A priority Critical patent/JPH0854906A/ja
Publication of JPH0854906A publication Critical patent/JPH0854906A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非干渉PID制御器を容易に設計することを
可能にする。 【構成】 制御対象の動特性を設定する制御対象設定手
段1と、この設定された動特性に基づいて制御系を設計
する制御系設計手段2と、設定された動特性および設計
された制御系に基づいて得られる、一巡伝達関数又は制
御系の伝達関数を規範モデル伝達関数として指定する規
範モデル指定手段3と、この規範モデル伝達関数のマッ
チング帯域を設定し、このマッチング帯域内から複数個
のマッチング周波数を指定するマッチング周波数指定手
段5と、制御対象の非干渉PID制御器の構造を設定す
るPID制御構造指定手段7と、規範モデル伝達関数の
周波数応答と非干渉PID制御器の周波数応答との誤差
を求め、この誤差の、マッチング周波数について二乗和
が最小となるように非干渉PID制御器の制御パラメー
タを計算する制御パラメータ計算手段8と、を備えてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非干渉PID制御系の設
計方法および設計装置に関するもので、特に各種工業用
プラント、ロボット、メカニカルシステムなどの制御器
の設計に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】非干渉PID制御は、制御器の構造が簡
単であることから広く用いられている制御方法である。
従来の非干渉PID制御器の設計方法としては、たとえ
ば文献 [1] 重政、飯野:カットオフ周波数帯域でのモデルマ
ッチングに基づく制御系設計法、第29回自動制御連合
講演会別刷、97/100(昭和61年) [2] 北森:制御対象の部分的知識に基づくPID方式
非干渉制御系の設計法、計測自動制御学会論文集、第1
6巻、第1号、139/140(昭和55年) [3] 北森:制御対象の部分的知識に基づくI−PD方
式非干渉制御系の設計法、計測自動制御学会論文集、第
16巻、第1号、113/117(昭和55年) [4] 須田:PID制御、朝倉書店(1993) などに開示されている。
【0003】しかし、文献[4]などに示されている従
来の方法のほとんどは、制御対象が1入出力系の場合の
PID制御器の設計法であり、制御対象が多入出力系で
ある場合には適用することはできない。一方、文献
[2]、[3]は多入出力系に対する非干渉PID制御
系の設計が可能であるが、規範モデル(設計者によって
仕様として与えられた望ましい制御系の性能(要求性
能)をもつ伝達関数)として設定するのは望ましい制御
応答をもたらす閉ループ伝達関数(入出力伝達関数)で
あり、その規範モデルは制御対象の動特性によらない一
般的なモデルが設定される。その結果、理想状態では望
ましい制御応答をもたらす非干渉PID制御系が設計で
きるものの、制御対象の動特性を反映した設計がされて
いないため、制御対象にパラメータ誤差や不確かさがあ
った場合については期待した制御性能が得られないばか
りか、場合によってはごくわずかのパラメータ誤差によ
って制御系が不安定となってしまう場合もでてくる。し
たがって、得られた非干渉PID制御器が制御系の安定
を保証しているかどうか、あるいは期待した制御性能を
保証するかどうかについて制御応答のシミュレーション
によって評価し、もし不十分である場合には規範モデル
を選び直すことによる試行錯誤によって制御系設計を繰
り返す必要があり、多大な労力を要した。さらには、制
御対象が多入出力系の場合、規範モデルをどのように選
ぶかが非常に難しく、しかも選び方についての明確な指
針が存在しないため、非干渉PID制御器の設計に要す
る労力は非常に多大なものとなっている。これに対し、
文献[1]では制御対象の周波数応答を考慮してPID
制御器を設計しているので、制御対象のパラメータ誤差
があっても望ましい性能をもたらす制御系が設計でき
る。しかし、文献[1]ではPID制御器の制御パラメ
ータを数値的な探索によって求めているため、非干渉P
ID制御器の設計を行うためには計算量が膨大となり、
昨今のディジタル計算機の進歩を鑑みても、非干渉PI
D制御器の設計には多大な探索計算が要求されることに
なる。また、この方法も文献[2]、[3]と同様に、
規範モデルとして望ましい制御応答をもたらす閉ループ
伝達関数を考えているため、その選定方法まで含めて考
えると、設計に要する労力は多大なものとなってしま
う。
【0004】一方、近年H理論やH2 理論などのよう
に、周波数応答に基づいた制御系設計理論が確立され、
多入出力制御対象に対しても容易に多変数制御系が設計
できるようになった。これらの設計方法を用いれば、設
計時に用いる制御対象の動特性モデルにパラメータ誤差
があった場合や、モデリング時に無視した不確かな部分
があった場合でも、制御性能の劣化を抑えた制御系が容
易に設計できる。これについては、たとえば [5] 計測と制御、第32巻、第8号(1991) [6] 木村:LQGからH制御へ、計測と制御、第2
9巻、第2号、111/119(1990) に示されている。しかしながら、これらの方法を用いる
と、設計される制御器には制御対象の動特性モデルの次
数と周波数重み関数の次数の和の次数が必要となってし
まい、非常に高次元の制御器が設計されてしまう。その
ため、たとえば得られた制御器をオペアンプ回路で実現
しようとすれば、非常に膨大な素子数が必要になってし
まうため、実際に用いる場合には制御器の次数を予め低
次元化する必要がある。制御器の低次元化手法について
も幾つも知られており、たとえば [7] システム/制御/情報、第34巻、第9号(19
90) などがあるものの、これらの多変数制御器を非干渉PI
D制御器として低次元化する方法は従来は知られていな
かった。
【0005】なお、H理論やH2 理論については、下
記の文献を参照。 [8] 佐伯:「H2 とH制御」、システム制御情報チ
ュートリアル講座「制御工学へのガイドライン」、−不
確かさへの挑戦とロバスト制御の実際−資料pp19/
38、(1990)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、非干渉
PID制御器の設計方法にはいくつかの方法があるもの
の、制御器のパラメータのチューニングには多大な試行
錯誤を要するため、多大な設計時間を必要としていた。
また、その設計計算には膨大な計算量を必要としていた
ため、実装できるハードウエアに限界があった。一方、
制御理論やH2 制御理論は、多入出力系に対する多
変数制御器の設計方法として有効的な方法である反面、
得られる制御器の次元は非常に高次元となっていた。し
たがって、実装の際には制御器を低次元化して用いる必
要があったが、非干渉PID制御のような非常に簡単な
構成として制御器を低次元化する方法は知られていなか
った。
【0007】本発明は、これらの欠点を解決するために
なされたものであり、非干渉PID制御器を容易に設計
することのできる非干渉PID制御系の設計方法および
設計装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による非干渉PI
D制御系の設計装置は、制御対象の動特性を設定する制
御対象設定手段と、この設定された動特性に基づいて制
御系を設計する制御系設計手段と、設定された動特性お
よび設計された制御系に基づいて得られる、一巡伝達関
数又は制御系の伝達関数を規範モデル伝達関数として指
定する規範モデル指定手段と、この規範モデル伝達関数
のマッチング帯域を設定し、このマッチング帯域内から
複数個のマッチング周波数を指定するマッチング周波数
指定手段と、制御対象の非干渉PID制御器の構造を設
定するPID制御構造指定手段と、規範モデル伝達関数
の周波数応答と非干渉PID制御器の周波数応答との誤
差を求め、この誤差の、マッチング周波数について二乗
和が最小となるように非干渉PID制御器の制御パラメ
ータを計算する制御パラメータ計算手段と、を備えてい
ることを特徴とする。
【0009】また、本発明による非干渉PID制御系の
設計方法は、制御対象の動特性を設定する第1のステッ
プと、この設定された動特性に基づいて制御系を設計す
る第2のステップと、設定された動特性および設計され
た制御系から得られる一巡伝達関数又は制御系の伝達関
数を規範モデル伝達関数として指定する第3のステップ
と、この規範モデル伝達関数のマッチング帯域を設定
し、このマッチング帯域内から複数個のマッチング周波
数を指定する第4のステップと、マッチング計算を行う
際の周波数重み関数を指定する第5のステップと、制御
対象の非干渉PID制御器の構造を設定する第6のステ
ップと、規範モデル伝達関数の周波数応答と、非干渉P
ID制御器の周波数応答との誤差を求める第7のステッ
プと、誤差に前記周波数重み関数を乗じた重み付き誤差
の、マッチング周波数についての二乗和が最小となる非
干渉PID制御器の制御パラメータを計算する第8のス
テップと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
【作用】このように構成された本発明によれば、規範モ
デル伝達関数の周波数応答と非干渉PID制御器の周波
数応答との誤差の、マッチング周波数についての二乗和
が二乗和が最小となるように非干渉PID制御器の制御
パラメータが決定される。これにより、数値的な探索を
しなくて済み、設計に要する計算料を激減させることが
可能となり、計算時間の大幅な短縮を図ることができ、
容易に設計することができる。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を説明する。図
1は本発明による非干渉PID制御系の設計装置の一実
施例の構成を示すブロック図である。この実施例の設計
装置は制御対象設定手段1と、多変数制御系設計手段2
と、規範モデル指定手段3と、周波数応答計算手段4
と、マッチング周波数指定手段5と、周波数重み関数指
定手段6と、PID制御構造指定手段7と、PID制御
設計手段8と、設計パラメータ設定手段9と、出力手段
10とを備えている。
【0012】制御対象設定手段1は制御対象の動特性モ
デルを設定するものであり、制御対象の動特性を伝達関
数や状態方程式、あるいは周波数応答(ゲイン、位相デ
ータ)によって設定する。また、制御対象のモデル化誤
差を設定パラメータの誤差幅や加法摂動、乗法的摂動
(文献[6]参照)などによって設定しても良い。多変
数制御系設計手段2は、制御対象設定手段1によって設
定された制御対象動特性に基づいて、H制御理論やH
2 制御理論、LQG(Linear Quadratic Gaussian)最適
制御理論やその他の種々の制御系設計理論を用いて多変
数制御系を設計する。その際、設計に必要な種々の設計
パラメータの設定も任意に行うことができる。たとえ
ば、H制御理論を用いる場合には、見積もったモデル
化誤差の幅を指定するための周波数重みや目標値追従性
の性能(感度)を指定するための周波数重みを指定する
ことができる。制御対象設定手段1と多変数制御系設計
手段2によって制御対象の動特性とそれに対する多変数
制御系が設定できるので、規範モデル指定手段3は、制
御対象モデルと多変数制御器を掛け合わせることによっ
て一巡伝達関数を求め、規範モデルを設定する。ただ
し、望ましい一巡伝達関数が予め分かっている場合に
は、一巡伝達関数を直接設定することができる。この場
合には、多変数制御系設計手段2で求めた多変数制御器
に基づいて一巡伝達関数を求める必要はない。また、多
変数制御系設計手段2で得られた多変数制御系そのもの
を規範モデルとして設定し、PID制御器そのものを多
変数制御器にマッチングさせることもできる。周波数応
答計算手段4は、規範モデル指定手段3で得られた一巡
伝達関数などの規範モデル伝達関数の周波数応答データ
や、制御対象、多変数制御器などの伝達関数の周波数応
答データなどを計算によって求める。また、得られた周
波数応答を表示させることができる。マッチング帯域指
定手段5は、周波数応答計算手段4で求めた一巡伝達関
数などの規範モデル伝達関数の周波数応答データを用い
て制御系のクロスオーバ周波数(ゲイン応答が0dBを
切る周波数)を計算することができ、その制御系で重要
となる周波数帯域がどこであるかを策定することができ
る。さらに、求めたクロスオーバ周波数に基づいて、非
干渉PID制御系を規範モデルにマッチングさせる周波
数帯域を設定することができる。設定は、自動でもマニ
ュアルでもどちらでも設定可能である。自動設定モード
では、クロスオーバ周波数を含んだ適当な幅の周波数帯
域をマッチング周波数帯域とすることができる。また、
マニュアル設定モードでは、一巡伝達関数の周波数応答
とクロスオーバ周波数を表示させ、マッチングさせたい
周波数帯域を指定することができる。周波数重み関数指
定手段6は、規範モデル伝達関数とのマッチングのため
の最小二乗計算を行う際に、数値的な悪条件を避けるた
めに用いる周波数重み関数を指定する。制御対象の動特
性や制御目標によっては、PI制御やI−PD制御が適
当である場合もあるので、PID制御構造指定手段7に
よって適当なPID制御器の構造を設定しても良い。マ
ッチング帯域指定手段5で指定された周波数帯域とその
周波数帯域での規範モデル周波数応答データ、周波数応
答計算手段4によって計算された制御対象周波数応答デ
ータ、周波数重み関数指定手段6によって設定した周波
数重み関数、PID制御構造指定手段7で設定されたP
ID制御器の構造に基づいて、PID制御設計手段8
は、一巡伝達関数などの規範モデル伝達関数にマッチン
グさせるように非干渉PID制御ゲインを計算し、得ら
れた結果を出力する。設計パラメータ設定手段9は、P
ID制御設計手段8で用いる他の設計用パラメータを設
定するためのものである。設計結果は、シミュレーショ
ン機能による時間応答、周波数応答共に出力手段10に
表示され、設計結果の可否を即時判断できる。もし、設
計結果が不十分であれば、マッチング帯域指定手段5を
用いてマッチング周波数帯域を変更し、再度設計する。
【0013】図2はPID制御設計アルゴリズムの流れ
図である。まず、制御対象設定手段1によって制御対象
動特性モデルを設定する(ステップF1参照)。次に、
制御対象動特性モデルに基づき、多変数制御系設計手段
2を用いて多変数制御系を設計する(ステップF2参
照)。設計結果が十分な制御性能を示すかどうかを評価
し、もし不十分であれば再度設計する(ステップF3参
照)。次に、規範モデルとして一巡伝達関数か多変数制
御器のどちらを用いるかを、規範モデル指定手段3を用
いて設定する(ステップF4参照)。また、PID制御
構造指定手段7を用いてPID制御器の構造を設定する
(ステップF5参照)。続いて、設定されたPID制御
器の構造に従い、例えば近似微分器の時定数などを設定
する必要があれば設計パラメータ設定手段9を用いて指
定する(ステップF6参照)。また、周波数重み関数指
定手段6を用いて、周波数重み関数を指定する(ステッ
プF7参照)。次に、周波数応答計算手段6を用いて、
規範モデル伝達関数の周波数応答を計算し、結果を表示
する(ステップF8参照)。その結果に基づき、マッチ
ングさせる周波数帯域をマッチング周波数指定手段5に
よって決定する(ステップF9参照)。次に、決定され
た周波数帯域の規範モデル周波数応答データと制御対象
周波数応答データを周波数応答計算手段4によって求め
る(ステップF10参照)。このデータに基づき、PI
D制御設計手段8によってPID制御ゲインを計算する
(ステップF11参照)。得られた結果を基に、制御応
答をシミュレーション機能を用いて計算させ(ステップ
F12参照)、結果を表示する(ステップF13参
照)。結果が期待されたものであれば設計を終了し、も
し結果が不十分であればステップF9に戻ってマッチン
グ周波数帯域の設定を変更して再度設計を行う(ステッ
プF14、F15参照)。
【0014】次に、実際にどのようにして非干渉PID
制御ゲインを設計するか、すなわち、PIDゲインの計
算(ステップF11)について詳細に述べる。簡単のた
め、まずはじめに1入出力系の場合について示し、次に
多入出力系の場合について示す。 [1入出力系の場合]制御対象をP(s)、一巡伝達関
数規範モデルをLm (s)とする。ただし、sはラプラ
ス演算子を表わす。規範モデル指定手段3で指定された
規範モデル伝達関数をLm (s)とする。規範モデルL
m (s)は、P(s)に対してH制御理論やH2 制御
理論などを用いて設計した制御器Cm (s)を用いて、
一巡伝達関数Lm (s)=P(s)Cm (s)として求
めることができる。また、予め望ましい一巡伝達関数が
分かっている場合には、その伝達関数をLm (s)とし
て設定することも可能である。以下では、規範モデルが
一巡伝達関数であるとして議論するが、多変数制御器C
m (s)を規範モデルとし、非干渉PID制御器をCm
(s)にマッチングさせる場合についても今の議論とほ
とんど同様の手順で結果を導くことができる。さて、P
(s),Lm (s)の周波数ωに対する応答をそれぞれ
次式と表わす。
【0015】
【数1】 ここでPr (ω),Pi (ω)はP(jω)の実数部、
虚数部を各々示し、Lr(ω),Li (ω)はLm (j
ω)の実数部、虚数部を各々示す。
【0016】一方、PID制御器C(s)は、fp ,f
i ,fd を各々比例、積分、微分ゲインとすると、次の
(2)式で表わされる。
【0017】
【数2】 ただし、τd は近似微分のための時定数であり、τd
0とすれば完全な微分となる。また、PI制御やI−P
D制御など他のPID制御構造を用いた場合について
も、以下の議論は同様である。
【0018】このときPID制御器C(s)の周波数ω
に対する応答は次の(3)式によって求められる。
【0019】 C(jω)=[fp +α1 (ω)fd ] +j[α2 (ω)fi +α3 (ω)fd ] ……(3) ただし、
【0020】
【数3】 である。(1)式と(3)式を用いてP(jω)・C
(jω)を計算すると、次の(5)式となる。
【0021】
【数4】 今、規範モデルLm (jω)(=Lr (ω)+jL
i (ω))を行列を用いて Lm (jω)=[Lr (ω),Li (ω)]T と表現し(ただし、Tは行列、ベクトルの転置を表す記
号である)、同様にP(jω)・C(jω)も行列を用
いて表現すると、Lm (jω)とP(jω)・C(j
ω)の差J′(ω)は、次の(6)式で表わされる。
【0022】
【数5】 ここで周波数重み関数W(ω)
【0023】
【数6】 を導入し、J′(ω)に掛けて正規化を行うと、次の
(7)式となる。
【0024】
【数7】 ここで、規範モデルのクロスオーバ周波数を求め、PI
D制御系の一巡伝達関数をマッチングさせる周波数帯
域、およびマッチング周波数帯域での周波数応答データ
の個数Nをマッチング周波数指定手段5によって指定さ
れているとする。よって、ここではP(jω),L
m (jω)の周波数応答データとして、ω1 〜ωN のN
個のデータを用いるとする。また、近似微分器の時定数
τd は、設計パラメータ設定手段9によって指定されて
いるとする。このとき、Lm (jω)とP(jω)C
(jω)の各周波数ごとの重み付き誤差W(ω)J′
(ω)の二乗和を評価関数Jとして次式のように表わ
す。
【0025】
【数8】 ただし、x=[fp ,fi ,fd T であり、A,bは
次式で表わされる。
【0026】
【数9】 ここで、Aはフルランクであると仮定する。このとき、
T Aは正定行列となるので、Jを最小とするPID制
御ゲインfp * ,fi * ,fd * は次のように求められ
る。
【0027】 [fp * ,fi * ,fd * T =(AT A)-1T b …(10) 以上説明したようにして1入出力系の場合の制御ゲイン
が求められる。 [多入出力系に対する非干渉PID制御器の設計方法]
次に、多変数系に対する非干渉PID制御ゲインの設計
方法を示す。以下では、簡単のために次の(11)式の
2入力2出力系を制御対象と考える。
【0028】
【数10】 また、規範モデルは一巡伝達関数行列とし、次の(1
2)式のように表わされるものとする。
【0029】
【数11】 m (s)は、SISO(Single Input Single Outpu
t)系の場合と同様にH制御やH2 制御によって予め
設計された制御器と制御対象P(s)によって求めるこ
とができる。P(s),Lm (s)の周波数ωに対する
応答を各々、次の(13)式とする。
【0030】
【数12】 ここで、非干渉PID制御器C(s)のi行、j列成分
をCij(s)とし、このCij(s)の比例ゲイン、積分
ゲイン、微分ゲイン、近似微分のための時定数を各々、
pij ,fiij ,fdij ,τdij (i,j=1,2)と
すると、Cij(s)は次の(14)式によって表わされ
る。
【0031】
【数13】 このとき、各Cij(s)の周波数ωに対する応答は
(3)式と同様に次の(15)式によって求められる。
【0032】 Cij(jω)=[fpij +α1ij (ω)fdij ] +j[α2ij (ω)fiij +α3ij (ω)fdij ]…(15) ただし、
【0033】
【数14】 である。このとき、非干渉PID制御による一巡伝達関
数行列は、
【0034】
【数15】 となるので、周波数ωにおける応答は次式となる。
【0035】
【数16】 規範モデル一巡伝達関数Lm (jω)とP(jω)・C
(jω)との誤差をJ1 ′(ω),J2 ′(ω)とする
と、これらのJ1 ′(ω),J2 ′(ω)は次のように
表わされる。
【0036】
【数17】
【0037】
【数18】 ここで、周波数重み関数W1 (ω),W2 (ω)
【0038】
【数19】 を導入し、J1 ′(ω),J2 ′(ω)に掛けて正規化
を行うと、次のように表わされる。
【0039】
【数20】 以下、SISO系の場合と全く同様の手順で非干渉PI
D制御ゲインが設計できる。まず、規範モデルのクロス
オーバ周波数を求め、PID制御系の一巡伝達関数をマ
ッチングさせる周波数帯域、およびマッチング周波数帯
域での周波数応答データの個数Nをマッチング周波数指
定手段5によって指定する。ここでは、P(jω),L
m (jω)の周波数応答データとしてω1 〜ωN のN個
のデータを用いるとする。また、それぞれの近似微分器
の時定数τdij を、設計パラメータ設定手段9によって
予め設定されているとする。このとき、Lm (jω)と
P(jω)C(jω)の各周波数ごとの重み付き誤差W
(ω)J′(ω)の二乗和を評価関数として次式のよう
に表わす。ただし、評価関数は、各操作量ごとに分けた
2つの評価関数を用いる。
【0040】
【数21】 ここで、xi ,Ai ,bi (i=1,2)は次式で表わ
される。
【0041】
【数22】 ここで、A1 ,A2 はほとんどの場合フルランクであ
る。このとき、A1 T 1 ,A2 T 2 はそれぞれ正定
行列となるので、J1 ,J2 を最小とする非干渉PID
制御ゲインfpij * ,fiij * ,fdij * (i,j=
1,2)は次式として求められる。
【0042】
【数23】 以上によって、多変数系に対する非干渉PID制御ゲイ
ンが計算できる。
【0043】次に本発明による設計方法を、制御対象が
図3に示す柔軟構造パドルに用いた場合を説明する。こ
の制御対象の伝達関数P(s)は次式で表わされる。
【0044】
【数24】 このP(s)に対して、本発明にかかるPIDゲイン設
計アルゴリズムを適用する。まず、規範モデルとする一
巡伝達関数を設定するため、H制御理論を用いてフィ
ードバック制御器Cm (s)を設計した。用いたH
御系設計法は [9] 千田:Hサーボ系の設計とその柔軟パドル制御
への応用、第1回制御理論シンポジウム資料(199
3) で示されている安定度指定型H制御であり、1型のサ
ーボ系となるように設計した。その結果、次式の伝達関
数で表わされる8次元のフィードバック制御器が得られ
た。
【0045】
【数25】 次に、このH制御器と制御対象の積によって求められ
る一巡伝達関数を規範モデルとしてPID制御ゲインを
設計する。まず、先に設計したH制御器は1型のサー
ボ系であるので、(2)式のPID制御器を仮定し、f
p ,fi ,fdを設計することにする。次に、一巡伝達
関数規範モデルのボード線図を基にしてクロスオーバ周
波数を求めるとおよそ8[rad/sec]であるの
で、モデルマッチングさせる周波数帯域として100.3
[rad/sec]101.3 [rad/sec]と設定
した。また、周波数応答データは、100.3 [rad/
sec]〜101.3 [rad/sec]を(対数で)等
分した100点のデータを用いることとした。さらに、
近似微分器の時定数はτd =0.08とした。規範モデ
ル一巡伝達関数と制御対象モデルの周波数応答を求め、
A,b行列を計算し、PID制御ゲインを計算すると以
下のように求められた。
【0046】 fp =5.3382,fi =12.383,fd =1.1259 ……(31) 設計されたPID制御系の一巡伝達関数は図4となる。
図4において実線が得られた非干渉PID制御系であ
り、点線が規範モデルであるH制御系の一巡伝達関数
である。図4から分かるように、4[rad/sec]
以下の低周波数帯域の特性はほぼ一致していることがわ
かる。次に、制御系のステップ応答を求めると図5とな
る。図5において、実線が得られた非干渉PID制御系
であり、点線が規範モデル制御系であるH制御系であ
る。両者を比べると、ほぼ同等の制御性能が得られてお
り、本発明によって非干渉PID制御系が容易に得られ
ていることがわかる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、非
干渉PID制御器を容易に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による非干渉PID制御系の設計装置の
一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明による非干渉PID制御系の設計方法の
設計アルゴリズムを示すフローチャート。
【図3】本発明の一制御対象である柔軟構造パドルの構
成を示す斜視図。
【図4】本発明によって設計されたPID制御系の一巡
伝達関数の周波数特性を示すグラフ。
【図5】本発明によって設計された非干渉PID制御系
の応答を示すグラフ。
【符号の説明】
1 制御対象設定手段 2 多変数制御系設計手段 3 規範モデル指定手段 4 周波数応答計算手段 5 マッチング周波数指定手段 6 周波数重み関数指定手段 7 PID制御構造指定手段 8 PID制御設計手段 9 設計パラメータ設定手段 10 出力手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象の動特性を設定する制御対象設定
    手段と、この設定された動特性に基づいて制御系を設計
    する制御系設計手段と、前記設定された動特性および設
    計された制御系に基づいて得られる、一巡伝達関数又は
    前記制御系の伝達関数を規範モデル伝達関数として指定
    する規範モデル指定手段と、この規範モデル伝達関数の
    マッチング帯域を設定し、このマッチング帯域内から複
    数個のマッチング周波数を指定するマッチング周波数指
    定手段と、前記制御対象の非干渉PID制御器の構造を
    設定するPID制御構造指定手段と、前記規範モデル伝
    達関数の周波数応答と前記非干渉PID制御器の周波数
    応答との誤差を求め、この誤差の、前記マッチング周波
    数について二乗和が最小となるように前記非干渉PID
    制御器の制御パラメータを計算する制御パラメータ計算
    手段と、を備えていることを特徴とする非干渉PID制
    御系の設計装置。
  2. 【請求項2】マッチングを行う際の周波数重み関数を指
    定する周波数重み関数指定手段を更に備え、前記制御パ
    ラメータ計算手段は、前記誤差に前記周波数重み関数を
    乗じることによって前記誤差を正規化し、この正規化さ
    れた誤差の、前記マッチング周波数についての二乗和が
    最小となるような制御パラメータを計算することを特徴
    とする請求項1記載の非干渉PID制御系の設計装置。
  3. 【請求項3】制御対象の動特性を設定する第1のステッ
    プと、この設定された動特性に基づいて制御系を設計す
    る第2のステップと、前記設定された動特性および設計
    された制御系から得られる一巡伝達関数又は前記制御系
    の伝達関数を規範モデル伝達関数として指定する第3の
    ステップと、この規範モデル伝達関数のマッチング帯域
    を設定し、このマッチング帯域内から複数個のマッチン
    グ周波数を指定する第4のステップと、マッチング計算
    を行う際の周波数重み関数を指定する第5のステップ
    と、前記制御対象の非干渉PID制御器の構造を設定す
    る第6のステップと、前記規範モデル伝達関数の周波数
    応答と、前記非干渉PID制御器の周波数応答との誤差
    を求める第7のステップと、前記誤差に前記周波数重み
    関数を乗じた重み付き誤差の、前記マッチング周波数に
    ついての二乗和が最小となる前記非干渉PID制御器の
    制御パラメータを計算する第8のステップと、を備えて
    いることを特徴とする非干渉PID制御系の設計方法。
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