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JPH08510391A - Mts遺伝子における生殖系統の変異およびmts遺伝子における癌の素因の検出方法 - Google Patents

Mts遺伝子における生殖系統の変異およびmts遺伝子における癌の素因の検出方法

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JPH08510391A
JPH08510391A JP7524780A JP52478095A JPH08510391A JP H08510391 A JPH08510391 A JP H08510391A JP 7524780 A JP7524780 A JP 7524780A JP 52478095 A JP52478095 A JP 52478095A JP H08510391 A JPH08510391 A JP H08510391A
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JP
Japan
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mts
gene
sequence
wild
mts gene
Prior art date
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Ceased
Application number
JP7524780A
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English (en)
Inventor
スコルニック,マーク・エイチ
キャノン−アルブライト,リサ・エイ
カン,アレクサンダー
Original Assignee
ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデーション
ミリアド・ジェネティックス・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
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Application filed by ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデーション, ミリアド・ジェネティックス・インコーポレイテッド filed Critical ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデーション
Publication of JPH08510391A publication Critical patent/JPH08510391A/ja
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトの癌における多重腫瘍サプレッサー(Multiple Tumor Suppressor)(MTS)遺伝子における体細胞変異およびヒトの癌の診断ならびに予後におけるその使用に関する。さらに本発明は、MTS遺伝子における生殖系列の変異、およびメラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞腫、グリア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌のごとき癌になりやすい素因の診断におけるその利用に関する。また本発明は、遺伝子治療、蛋白置換療法ならびに蛋白模擬体をはじめとする、MTS遺伝子における変異を有するヒトの癌の治療に関する。結局は、本発明は、癌の治療に用いる薬剤のスクリーニングに関する。

Description

【発明の詳細な説明】発明の名称 MTS遺伝子における生殖系統の変異およびMTS遺伝子における癌の素因の検 出方法関連出願の相互参照 本発明は、1994年6月1日出願の第08/251,938号、1994年 3月18日出願の第08/215,087号、および1994年3月18日出願 の第08/215/086号の一部継続出願であり、参照によりそれらすべてを 本明細書に取り入れる。第08/251,938号は、1994年3月18日出 願の第08/214,582号の一部継続出願の1994年4月14日出願の第 08/227,369号の一部継続出願であり、参照によりそれらすべてを本明 細書に取り入れる。発明の背景 本発明は、ヒトの癌における多重腫瘍サプレッサー(Multiple Tumor Suppres sor)(MTS)遺伝子における体細胞変異およびヒトの癌の診断ならびに予後 におけるその使用に関する。さらに本発明は、MTS遺伝子における生殖系列の 変異、およびメラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞腫、グリア芽腫 、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋肉腫、 胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、甲状腺 、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌のごとき癌になりやすい 素因の診断におけるその利用に関する。また本発明は、遺伝子治療、蛋白置換療 法ならびに蛋白模擬体をはじめとする、MTS遺伝子における変異を有するヒト の癌の治療に関する。結局は、本発明は、癌の治療に用いる薬剤のスクリーニン グに関する。 本発明の背景、そして特に実施のためのさらなる詳細を提供する場合について 説明するために本明細書に用いる刊行物および他の材料は、参照により本明細書 に取り入れられ、適宜以下の文章において参照され、それらは添付した文献のリ ストにそれぞれ記載されている。 癌の遺伝学は複雑で、形質転換状態に対する多くの優性かつ正のレギュレータ ー(腫瘍遺伝子)ならびに多くの劣性かつ負のレギュレーター(腫瘍抑制遺伝子 )を包含する。100種以上の腫瘍遺伝子が特徴づけられている。12種よりも 少ない腫瘍抑制遺伝子が同定されているが、その数は50を越えると期待される (クヌドソン(Knudson),1993年)。 非常に多くの遺伝子の関与が、正常組織の完全性を維持するために細胞中で機 能する増殖調節機構を複雑なものにしている。この複雑さは別の方法で明らかに されている。今までのところ、すべて、あるいは大部分のヒトの癌の増殖に関与 することが示されている単一遺伝子はない。大部分の共通した腫瘍原性変異はH −ras遺伝子において存在し、すべての固形癌の10〜15%において見られ る(アンダーソン(Anderson)ら,1992年)。最も頻繁に変異される腫瘍抑 制遺伝子はp53遺伝子であり、すべての腫瘍の約50%において変異されてい る。すべての形質転換細胞に共通する標的がなければ、正常組織に損傷を与えず にガン細胞を破壊し、あるいは元に戻すことのできる「魔弾」の夢はかなわない 。新世代の特異的に標的とされる抗腫瘍剤に対する希望は、細胞分裂の調節に一 般的役割を果たす腫瘍抑制遺伝子または腫瘍遺伝子を同定しうる余地を与える可 能性がある。 クローニングされ特徴づけられた腫瘍抑制遺伝子は、1)網膜芽腫(RB1) ;2)ウィルムス(Wilm's)腫瘍(WT1):3)リー−フラウメニ(Li-Fraum eni)(TP53);4)家族性腺腫様ポリープ症(APC5);5)1型神経 線維腫症(NF1);6)2型神経線維腫症(NF2);7)フォン・ヒッペル −リンダウ(von Hippel-Lindau)症候群(VHL);および8)2A型多発性 内分泌腫瘍形成(MEN2A)に対する感受性に影響する。 遺伝学的にマッピングされているが、未だ単離されていない腫瘍サプレッサー 遺伝子座は、1型多発性内分泌腫瘍形成(MEN1);リンチ(Lynch)癌家族 症候群2(LCFS2);家族性乳癌(BRCA1);神経芽腫(NB);基底 細胞母斑症候群(BCNS);ベックウィズ−ウィーデマン(Beckwith-Wiedema nn)症候群(BWS);腎臓細胞癌(RCC);結節状硬化症1(TSC1); および結節状硬化症2(TSC2)に関する遺伝子を包含している。現在に至る まで特徴づけられている腫瘍抑制遺伝子は、DNA結合蛋白(WT1)、補助的 な転写レギュレーター(RB1)、GTPase活性化蛋白またはGAPs(N F1)、細胞骨格成分(NF2)、膜結合受容体キナーゼ(MEN2A)をはじ めとする種々の蛋白タイプに対する類似性を有する産物、および既知蛋白とは明 らかな類似性のない他の産物(APCおよびVHL)をコードしている。 多くの場合、本来遺伝学的研究により同定された腫瘍抑制遺伝子は、消失また は変異されるいくつかの散在性の癌において示されている。この結果は、染色体 の変状は、癌になりやすい遺伝的素因および散在性の癌の両方に関連する重要な 腫瘍抑制遺伝子の位置を示しうることを示唆する。今までのところ特徴づけられ ているいくつかの腫瘍抑制遺伝子であることの証明の1つは、ある種の癌タイプ において、それらが高頻度で欠失されるということである。欠失は、しばしば、 単一の対立遺伝子の損失、いわゆるヘテロ接合度の損失(LOH)を包含するが 、両方の対立遺伝子のヘテロ接合性の欠失をも包含しうる。LOHに関しては、 先在する遺伝的変異または二次的な散在性変異のいずれかにより、残りの対立遺 伝子は機能的でないと推察される。 メラノーマは、多数のアメリカ人を苦しめている癌である(アメリカン・キャ ンサー・ソサエティー(American Cancer Society),1992年)。紫外線へ の曝露のごとき環境の影響は、メラノーマ発生に大きな役割を果たしているが、 遺伝も関連因子である。家族性メラノーマ、MLMに関する遺伝子が染色体9p 21にマッピングされた(キャノン−アルブライト(Cannon-Albright)ら,1 992年;ナンカロウ(Nancarrow)ら,1993年;グルイス(Gruis)ら,1 993年;ゴールドステイン(Goldstein)ら,1994年)。MLM遺伝子座 における単一の素因となる対立遺伝子を有することは、個体がメラノーマを発生 させる可能性を約50倍まで増大させる。メラノーマになりやすい素因は、優性 メンデル 則として遺伝するが、MLMにおける素因を作る変異は、元々クヌドソン(Knud son)(1971年)により提案された様式で体細胞の劣勢対立遺伝子として作 用すると考えられる。1個の野生型および1個の変異したMLM対立遺伝子を有 する素因のある個体においては、細胞分裂は、MLMの野生型コピーの損失また は不活性化を包含する二次的変異を受け、そのことによって、遺伝された変異対 立遺伝子は無防備となる。逆に、該遺伝子の単一の野生型コピーは悪性の発生を 妨げる。 9p21におけるMLM付近の染色体の変状は、神経膠細胞系、小型でない細 胞肺系(non-small cell lung lines)および急性リンパ芽球白血病系をはじめ とするいくつかの異なる腫瘍タイプにおいて非常によく特徴づけられている(オ ロペイド(Olopade)ら,1992年;オロペイド(Olopade)ら,1993年; ルケイス(Lukeis)ら,1990年;ディアス(Diaz)ら,1988年;ミドル トン(Middleton)ら,1991年;ファウンテイン(Fountain)ら,1992 年;チェン(Cheng)ら,1993年;ジェイムズ(James)ら,1993年)。 かくして、非メラノーマ腫瘍細胞における9p21染色体異常の頻度に基づけば 、MLM領域が少なくともいくつかの異なる腫瘍タイプの発達に関与している遺 伝子(遺伝子群)を有する可能性がある。これらの事柄はLOHならびに高頻度 のホモ接合性欠失に関連している。 組織中の細胞は、その生活において、3つの選択肢のみを有する−−それらは 分裂し増殖することができるか、増殖せずに静止するか、あるいはアポトーシス により死滅するかである。腫瘍は、不適切な増殖および分裂または死ぬべき場合 に死なない細胞のいずれかにより生じうる。腫瘍の増殖をコントロールする機構 の1つは、細胞周期に対する直接の調節を必要とするであろう。例えば、DNA 複製の決定をコントロールする遺伝子は、それらがプロセスにおいて剌激的役割 を果たしているか、あるいは阻害的役割を果たしているかに依存するが、腫瘍遺 伝子または腫瘍抑制遺伝子に関する魅力的な候補である。細胞周期(G1、S、 G2およびM期)による真核細胞の発達は、一連のサイクリン/サイクリン−依 存性キナーゼ(Cdk)複合体の形成、活性化およびその後の不活性化により支 配されている。サイクリンD's/Cdk2、4、5、サイクリンE/Cdk2 、サイクリンA/Cdk2およびサイクリンB/A/Cdk2はこのプロセスに 必要であること示されている。サイクリンD'sおよびCdk2、Cdk4なら びにCdk5は、G1からSへの遷移に関連していた;すなわち、細胞が増殖し DNA複製を開始するかどうかを決定する場合に関連していた。さらなる細胞周 期調節エレメントが最近発見された。これらのエレメントはCdkの阻害物質( Cdk阻害物質,CkI)であり、Far1、p21、p40、p20およびp 16を包含する(マークス(Marx),1994年;ナスマイス(Nasmyth)およ びフント(Hunt),1993年)。 最近になって、いくつかの腫瘍遺伝子および腫瘍抑制遺伝子は、細胞周期に直 接関与していることがわかった。例えば、サイクリン(DNA複製を促進する蛋 白)の1つは腫瘍遺伝子として関与し(モトクラ(Motokura)ら,1991年; ラミー(Lammie)ら,1991年:ウィザーズ(Withers)ら,1991年;ロ ーゼンバーグ(Rosenberg)ら,1991年)、腫瘍サプレッサーRbは第1の サイクリン結合パートナーであるCdkと相互作用する(エウェン(Ewen)ら, 1993年)。メラノーマ感受性遺伝子座の同定は、例えば、日光への曝露によ る増加した癌の危険性を評価するための、個体の遺伝学的スクリーニングへの途 を開くであろう。さらにMTSは、他の多数の癌(白血病、星状膠細胞腫、グリ ア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋 肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、 甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌をはじめとする癌 であるが、これらに限定しない)の部位に対する素因を作りうる。さらに、MT Sはいくつかの異なる腫瘍タイプの発達に影響するため、癌患者における予後の 決定に有用である。よって、MTSは、メラノーマ、目のメラノーマ、白血病、 星状膠細胞腫、グリア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミ エローマ、肉腫、筋肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、 脳、前立腺、膀胱、甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の 癌にかかりやすい素因を予測する非常に重要な診断試験の開発の基礎として役立 つ可能性があ る。そのうえ、MTSは多数の腫瘍タイプの発達に関連しているため、MTSは 、その腫瘍増殖を抑制する能力による一般的な抗癌治療のための、直接的あるい は間接的手段を提供しうる。例えば、腫瘍細胞が正常なMTS機能を回復するこ とは、細胞を悪性でない細胞に変える可能性がある。発明の概要 本発明は、ヒトの癌における多重腫瘍サプレッサー(Multiple Tumor Suppres sor)(MTS)遺伝子における体細胞変異およびヒトの癌の診断ならびに予後 におけるその使用に関する。さらに本発明は、MTS遺伝子における生殖系列の 変異、およびメラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞腫、グリア芽腫 、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋肉腫、 胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、甲状腺 、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌のごとき癌になりやすい 素因の診断におけるその利用に関する。また本発明は、遺伝子治療、蛋白置換療 法ならびに蛋白模擬体をはじめとする、MTS遺伝子における変異を有するヒト の癌の治療に関する。結局は、本発明は、癌の治療に用いる薬剤のスクリーニン グに関する。図面の簡単な説明 図1Aは血族3137を示す。すべてのメラノーマ患者は感受性のあるハプロ タイプを有している。感受性のあるハプロタイプを有する個体における他の癌も 示す。凡例は以下のごとし:黒丸または黒四角はメラノーマを示す;一部を黒く 塗った丸または一部を黒く塗った四角は他の癌を示す;「/」は死去したことを 示す;「*」は個体が感受性のあるハプロタイプを有するかどうかが不明である ことを示す;「**」は個体が感受性のあるハプロタイプを有することを示す; 「35」は、病気になった場合、試験または診断を受けた年齢を示す。 図1Bは血族3161を示す。すべてのメラノーマ患者は感受性のあるハプロ タイプを有している。他の癌はハプロタイプではない。凡例は以下のごとし:黒 丸または黒四角はメラノーマを示す;一部を黒く塗った丸または一部を黒く塗っ た四角は他の癌を示す;「/」は死去したことを示す;「=」は血族図の他の場 所に現れることを示す;五角形中の「3」は多重婚を示す;「35」は、病気に なった場合、試験または診断を受けた年齢を示す。 図1Cは血族3355を示す。すべてのメラノーマ患者は感受性のあるハプロ タイプを有している。他の癌はハプロタイプではない。凡例は以下のごとし:黒 丸または黒四角はメラノーマを示す;一部を黒く塗った丸または一部を黒く塗っ た四角は他の癌を示す;「/」は死去したことを示す;「35」は、病気になっ た場合、試験または診断を受けた年齢を示す。 図1Dは血族1771を示し、メラノーマおよび他の癌の発生を示す。変異は 、この血族におけるMTSにおいて同定された。凡例は以下のごとし:「*」は 確認された変異を有する者である;黒丸または黒四角はメラノーマを示す;一部 を黒く塗った丸または一部を黒く塗った四角は他の癌を示す(この血族における 結腸癌);「/」は死去したことを示す;「35」は、病気になった場合、試験 または診断を受けた年齢を示す。 図2は、IFNA−sおよびD9S171により仕切られた領域におけるYA CおよびP1クローンを示す。セントロメアは右にある。P1クローンに関して は、矢印はベクター中のT7プロモーターの方向を示す。一緒に群分けされたY ACは、領域中でのSTSマッピングに基づき、同様であるクローンを示す。こ れらのYACはおそらく同一でなない。YAC(A5、B11、C6およびF9 )はIFN−1およびIFN−sを含んでいる。YAC(D1、F5およびE3 )はD9S126およびD9S171を含んでいる。D9S171を含む近位の YAC末端も、IFNA−sを含む遠位のYAC末端も、示されていない。距離 は必ずしもスケール通りに描いたものではない。IFNA−sおよびD9S17 1の内部にあるマーカーを図2に示す。「c」で始まるマーカーはコスミド末端 配列由来である。コスミドは示されていない。c1.bとc5.3との間の距離お よび760−LとD9S171との間の距離は不明である。 図3は、メラノーマ細胞系において観察された欠失のダイヤグラムを示す。欠 失されたマーカーのセットに基づき、欠失を12クラスに分類する。11種の細 胞系は図に示したすべてのマーカーを欠失していた。このクラスは示さない。他 の12種のクラスのそれぞれの代表例の数を細胞系数の欄に示す。クラス1〜1 0については、欠失部位は欠失したDNAに隣接したマーカーにおける欠落とし て示される。すなわち、欠失に至るシリーズにおける最後の陽性のマーカーであ る。クラス11および12については、欠失部位は黒三角により示される。 図4Aはコスミドc5の地図を示す。コスミドおよびP1と同様に、欠失分析 に使用した重要なSTSを示す。c1.bマーカーはP1−1062に近い方に あり、示されていない。MTS1およびMTS2の転写方向を矢印で示す。 図4Bはコスミドc5の制限酵素地図およびSTS地図を示す。MTS1およ びMTS2に関するコーディングエキソンの位置を太線で示す。「E1」および 「E2」は、それぞれ「コーディングエキソン1」および「コーディングエキソ ン2」を示す。「B」はBamHI、「S」はSalI、「R1」はEcoRI 、「R5」はEcoRVを示す。 図5Aおよび図5Bは、MTS1に関する5’非翻訳領域、エキソン1および イントロン1の一部を含むゲノム配列と、p16に関する公表されている配列( セラノ(Serrano)ら,1993年)との比較を示す。開始コドン(下線)は位 置891にあり、スプライス部位(矢印)は位置1016にある。図5A〜Bに 示すMTS1配列は配列番号:3である。図5Bに示すp16配列は配列番号: 24である。 図6Aおよび6Bは、MTS1に関するイントロン1の一部、エキソン2およ びイントロン2の一部を含むゲノム配列と、p16に関する公表されている配列 (セラノ(Serrano)ら,1993年)との比較を示す。スプライス部位(矢印 )は位置192の前かつ位置498の後にある。図6A〜Bに示すMTS1配列 は配列番号:4である。図6Aに示すp16配列は、配列番号:4のヌクレオチ ド192〜498と同じである。 図7Aおよび7Bは、MTS2に関するイントロン1、「エキソン2」および その後の配列を含むゲノムと、公表されたp16配列との比較を示す。「エキソ ン2」配列は、ヌクレオチド273〜580のMTS1のエキソン2と同様であ る。MTS2におけるスプライス部位、およびp16におけるスプライス部位を 矢印で示す。相違(divergence)が開始する点を°により示す。MTS2に関す る終止コドンはエキソン2中位置532にあり、「*」により示す。図7A〜B に示すMTS2配列は配列番号:5である。図7Aに示すp16配列は配列番号 :4のヌクレオチド192〜498と同じである。 図8は、エキソン2および周囲の各イントロンを含むMTS1およびMTS2 のDNA配列の比較を示す。MTS1に関するイントロン1の3’スプライスジ ャンクションおよびイントロン2の5’スプライスジャンクションを三角により 示す。コーディングエキソン2の3’末端近傍の相違点を矢印により示す。示さ れたMTS1配列は配列番号:4のヌクレオチド92〜548に対応する。示さ れたMTS2配列は配列番号:5のヌクレオチド174〜630に対応する。 図9は種々のSTSの腫瘍細胞系における欠失を示す。正のコントロールおよ び負のコントロールはそれぞれのPCR実験に使用され、1つのみまたは2つの STSが欠失している細胞系(例えば、クラス21)を、少なくとも2回再試験 した。 図10A〜Cは、MTS2 mRNAの発現を示す。図10Aは種々のヒト組 織由来のRNA(クローンテック(Clonetech)社製)におけるMTS2転写物 の相対的レベルを示す。レーン1−脳;レーン2−胸部;レーン3−腎臓;レー ン4−肺;レーン5−リンパ球;レーン6−卵巣;レーン7−膵臓;レーン8− 前立腺;レーン9−牌臓;レーン10−胃;レーン11−甲状腺。予想分子量と 異なる産物の起源は不明である(レーン1参照)。図10Bは、ヒト・リンパ球 における相対的なMTS2転写物のレベルを、マイトジェンによる誘導後の時間 の関数として示す:レーン1−0時間;レーン2−1時間;レーン3−2時間; レーン4−4時間;レーン5−8時間;レーン6−16時間;レーン7−24時 間;レーン8−32時間;レーン9−40時間;レーン10−48時間;レーン 11−56時間;レーン12−64時間。大多数の細胞は誘導後40〜50時間 においてS期にあった。図10Cは、MTS2転写物のレベルをRbの状態の関 数として示す。Rb+細胞系は:レーン1−KIT8(ホリ(Hori)ら,198 7年);レーン2−2倍体のヒト・線維芽細胞MRC5(28代継代);レーン 3−UMSCC2;レーン4−ブリストル8;レーン5−ZR75;レーン6− HaCaT;レーン7−T24。Rb-細胞系は:レーン8−MDA MB46 8;レーン9−5637;レーン10−C33A;レーン11−SiHa;レー ン12−CaSki;レーン13−WERI。 図11は5’−非翻訳領域を含むMTS2に関するcDNA配列(およびコー ドされるポリペプチド)を示す。エキソン2の開始は位置491にあり、矢印に より示す。cDNA配列を配列番号:15として示し、アミノ酸配列を配列番号 :16として示す。 図12Aおよび12Bは、MTS1E1βのcDNA配列(およびコードされ るポリペプチド)を示す。スプライス部位を矢印で示す。エキソン2は位置33 5から開始し、エキソン3は位置642から開始する。cDNA配列を配列番号 :13として示し、アミノ酸配列を配列番号:14として示す。 図13はP16領域の構成を示す地図である。エキソン1α(E1α)、エキ ソン1β(E1β)、エキソン2(E2)およびエキソン3(E3)を黒く塗っ たボックスにより示す。制限部位EcoRI(R1)、EcoRV(RV)およ びsalI(S)を示す。上の制限酵素地図はゲノムクローンコスミドc5およ びP1 1063である。下の地図は細胞系A375およびSK−mel93に おける欠失である。破線は欠失したDNAを示す。 図14はマウスおよびヒトのP16β転写物の配列を並べたものである。大文 字は同じヌクレオチドを示す。P16読み取り枠におけるストップコドンに下線 を付す。E1βとE2との間のスプライスジャンクションを脱字記号(v)で示 す。マウス・β配列を配列番号:25として示す。ヒト・β配列は配列番号:1 3のヌクレオチド193〜461と同じである。 図15は、E1βの欠失を有する細胞系におけるα転写物の発現を示す。cD NAは、示された試料から単離された全RNA由来のものである。放射線標識し たプライマーを反応に用いてP16転写物を増幅した。同体積のαおよびβ増幅 物を混合し、生成物を変性5%ポリアクリルアミドゲル上で分離した:レーン1 −静止T細胞;レーン2−細胞系SK−mel93;レーン3−細胞系A375 。 図16A〜DはP16転写物の発現を示す。放射線標識したプライマーを反応 に用いてP16転写物を増幅し、生成物を変性5%ポリアクリルアミドゲル上で 分離した。図16Aおよび16Bにおいて、共通試料からのαおよびβ反応物を 電気泳動の前に混合した。図16Aは、種々のヒト組織由来のRNAにおけるP 16転写物の相対的レベルを示す:レーン1,脳;レーン2,胸部;レーン3,腎 臓;レーン4,肺;レーン5,リンパ球;レーン6,卵巣;レーン7,膵臓;レーン 8,前立腺;レーン9,脾臓;レーン10,胃;レーン11,甲状腺。図16Bは、 ヒト・リンパ球におけるβ転写物の相対量をマイトジェンによる誘導後の時間の 関数として示す:レーン1,0時間;レーン2,1時間;レーン3,2時間;レー ン4,4時間;レーン5,8時間;レーン6,16時間;レーン7,24時間;レー ン8,32時間;レーン9,40時間;レーン10,48時間;レーン11,56時 間;レーン12,64時間。図16Cは、ヒト・リンパ球におけるα転写物の相 対量をマイトジェンによる誘導後の時間の関数として示す:レーンは図16Bと 同じであるが、1時間のポイントを省略した。細胞周期の進行に影響する疑いの ある、あるいは細胞周期の間、転写レベルにおいて調節されている他の分子の発 現も分析した。以前の結果と一致して、CDK4およびGoS2(機能不明の分 子であるが、静止T細胞が細胞周期に入るとその転写が誘導される)のレベルは T細胞の誘導により上昇した(ラッセル(Russell)およびフォースダイク(For sdyke),1991年;マツヒメ(Matsuhime)ら,1992年;ゲング(Geng) およびワインバーグ(Weinberg),1993年)。対照的に、実験期間中、p2 7のRNAレベルは不変であるように思われた(トヨシマ(Toyoshima)および ハンター(Hunter),1994年;カトー(Kato)ら,1994年)。図16D は、P16転写物をRbの状態の関数として示す。Rb-細胞系:レーン1,WE RI;レーン2,CaSki;レーン3,SiHa;レーン4,C33A;レーン 5,5637;レーン6,MDA MB468。Rb+細胞系:レーン7,T2 4;レーン8,HaCaT;レーン9,Zr75;レーン10,ブリストル8;レ ーン11,UMSCC2;レーン12,2倍体のヒト・線維芽細胞MRC5(28 代継代);レーン13,KIT(ホリ(Hori)ら,1987年)。 図17は、cDNAの非コーディング部分を含むMTS1に関するcDNA配 列を示す。三角はスプライスジャンクションを示す。2番目のスプライスジャン クションにおける配列中の破線は、単にこのスプライスジャンクションを強調す るに過ぎず、それらは欠失した塩基を示すのではない。この配列は配列番号:3 6である。発明の詳細な説明 本発明は、ヒトの癌における多重腫瘍サプレッサー(Multiple Tumor Suppres sor)(MTS)遺伝子における体細胞変異およびヒトの癌の診断ならびに予後 におけるその使用に関する。さらに本発明は、MTS遺伝子における生殖系列の 変異、およびメラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞腫、グリア芽腫 、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋肉腫、 胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、甲状腺 、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌のごとき癌になりやすい 素因の診断におけるその利用に関する。また本発明は、遺伝子治療、蛋白置換療 法ならびに蛋白模擬体をはじめとする、MTS遺伝子における変異を有するヒト の癌の治療に関する。結局は、本発明は、癌の治療に用いる薬剤のスクリーニン グに関する。 本発明は、MTS遺伝子座または変異したMTS遺伝子座のすべてもしくは一 部からなる、好ましくは、少なくとも長さ8塩基であり約100kbを越えない 、単離ポリヌクレオチドを提供する。かかるポリヌクレオチドはアンチセンスポ リヌクレオチドであってもよい。さらに本発明は、かかる単離ポリヌクレオチド からなる組み換え構築物、例えば、形質転換細胞における発現に適した組み換え 構築物を提供する。 さらに、分析対象中のMTS遺伝子座の一部からなるポリヌクレオチドまたは その発現産物を検出する方法が本発明により提供される。かかる方法は、さらに MTS遺伝子座の一部ゐ増幅する工程からなっていてもよく、該MTS遺伝子座 の一部の増幅用プライマーであるポリヌクレオチドのセットを提供する工程を包 含していてもよい。該方法は、癌にかかりやすい素因の診断または癌の診断もし くは予後に有用である。 また本発明は、MTS遺伝子座によりコードされる少なくとも5個のアミノ酸 残基からなる単離ポリペプチドに特異的に結合する単離抗体、好ましくは、モノ クローナル抗体を提供する。 また本発明は、分析対象中の、MTS遺伝子座の一部からなるポリヌクレオチ ドを検出するためのキットであって、適当な容器に入ったMTS遺伝子座の一部 に相補的なポリヌクレオチドおよびその使用説明書からなるキットを提供する。 さらに本発明は、ヌクレオチドをポリマー化してMTSの少なくとも8個の連 続したヌクレオチドからなる配列を得ることからなる、ポリヌクレオチドを調製 するための方法;およびアミノ酸をポリマー化してMTS遺伝子座中においてコ ードされている少なくとも5個のアミノ酸からなる配列を得ることからなる、ポ リペプチドを調製するための方法を提供する。 さらに、本発明は、癌治療のための薬剤をスクリーニングしてMTS遺伝子産 物の機能を回復させるための適当な薬剤を確認する方法を提供する。 結局は、本発明は、遺伝子に基づく、癌細胞に指向される治療に必要な手段を 提供する。これらの治療因子は、適当なベクター中に置かれていてるか、または MTS蛋白の機能が再構成されるようにより直接的な方法で標的細胞に送達され る、MTS遺伝子座のすべてまたは一部からなるポリヌクレオチドの形態であっ てもよい。治療因子は、MTSの蛋白配列の一部または全体に基づくポリペプチ ドの形態であってもよい。これらは機能的にはインビボにおいてMTSの活性と 置換する。 メラノーマおよび他の癌にかかりやすい素因を個体に与えるMTS遺伝子座( 先行技術においてはメラノーマ(MLM)遺伝子座と呼ばれていた)は、Cdk 、特にCdk4の阻害剤であることが見いだされているMTS1をコードする遺 伝 子であるということが本発明により見いだされた。本明細書においては、この遺 伝子をMTS1と呼ぶ。さらに、MTS遺伝子座が、その配列の一部に関してM TS1と類似であるMTS2と呼ばれる第2のコーディング配列を含むというこ とも本発明により見いだされた。MTS1遺伝子が2個の別々のプロモーター( αおよびβ)を有するということも、本発明により見いだされた。αプロモータ ーが使用される場合、得られるmRNAはエキソン1α、エキソン2およびエキ ソン3からなる。これをMTS1と呼ぶ。βプロモーターが使用される場合、得 られるmRNAはエキソンβ1、エキソン2およびエキソン3からなる。これを MTS1E1βと呼ぶ。生殖系列におけるMTS遺伝子座における変異はメラノ ーマおよび他の癌になりやすい素因を示すものであるということが、本発明によ り見いだされた。結局、MTS遺伝子座における体細胞変異は、すべての腫瘍タ イプでないとしても大部分の腫瘍タイプに関連し、よって、癌または癌の予後に 関する一般的なインジケーターを提供するものであるということが、本発明によ り見いだされた。MTS遺伝子座の変異は、コーディング配列および非コーディ ング配列中の欠失、挿入ならびに点突然変異を包含しうる。 MLM遺伝子座は、遺伝マーカーおよびメラノーマ素因の間における、ユタ州 の血族と1のテキサス州の血族における劇的な連関を示すことにより、最初の遺 伝学的位置を占めた(キャノン(Cannon)−アルブライト(Albright),199 2年)。血族において、組み換えにより決定された領域は、D9S736および D9S171に挟まれている。したがって、欠失を有するメラノーマおよび非メ ラノーマ双方の腫瘍細胞系におけるホモ接合性欠失の分析により、遺伝子を局在 化させるためにこれらのおよび他の遺伝マーカーが用いられた。欠失の最小限の 重複領域は、IFNA−sおよびD9S171に挟まれていた。これらのマーカ ーを取り囲んでいるゲノムクローン同定するためにYACライブラリーがスクリ ーニングされた。P1クローンが染色体区域の一部として単離され、それらは2 個のギャップを除いてはIFNA−sからD9S171に至る領域に接していた 。より詳細な分子地図を作成するために特異的配列−タグをつけられた部位(「 STS」)が調製された。これらのマーカーおよび欠失分析によると、欠失 重複領域は、コスミド5(c5)上に見いだされたマーカーであるマーカーc5 .1およびc5.3を中心とする部分に重複していた。最も高頻度に欠失されてい るマーカーはc5.3であり、これはMTSに非常に近接していた。 「CpG」島の存在に関するc5の分析により、c5がMTSに関して少なく とも1個の候補遺伝子を含んでいることが示された。c5のEcoRIフラグメ ントのDNA配列が決定され、GenBank由来の配列と比較された。ヒト・ Cdk4阻害剤またはp16をコードしている先に同定された遺伝子の領域に類 似の、c5の別々の領域が同定された(セラノ(Serrano)ら,1993年)。 これらの2個の候補遺伝子はMTS1およびMTS2と呼ばれた。リンパ球、胎 児の脳および正常な胸部をMTS1のエキソン2由来のプローブでスクリーニン グすることにより、NTS1E1βと呼ばれるさらなる候補が同定された。 c5由来のゲノム配列とp16のmRNA配列との詳細な比較により、MTS 1がp16をコードしている配列の一部と同じである307bpの伸長部分を含 むことが明らかとなった。MTS1におけるこのヌクレオチドの伸長部分は、認 識可能なスプライスジャンクション配列に隣接していた。MTS1のさらなる特 徴づけにより、MTS1がp16の全コーディング配列および2個のイントロン を含むことが示された。イントロン1は翻訳開始部位から126bp下流にあり ;イントロン2は翻訳終止部位から11bp上流にあった。該2個のイントロン はp16コーディング配列を3つの領域、すなわち126bpの5'領域(コー ディングエキソン1)、307bpの中央の領域(コーディングエキソン2)、 および11bpの3'領域(コーディングエキソン3)に分断していた。 MTS2は、コーディングエキソン2の5'末端からイントロン2の方向に約 200bp伸長しているp16とほとんど同じDNA配列の領域を含んでいた。 しかしながら、MTS1のイントロン2の51bp上流の所に至っては配列の類 似性が減少しており、その場所では2個の配列は完全に相違していた。このこと は、MTS2の最終コドンの位置に対応いている。MTS1由来の配列とMTS 2由来の配列の比較により、これらの2個の遺伝子間の類似性も、イントロン1 の3'スプライシジャンクションから約50ヌクレオチド上流までであることが 示された。よって、非コーディングDNA部分は、コーディングDNAと推定さ れるいくつかの領域よりも保存的である。コーディングDNAにおける配列の相 違がクローニングによる人工物である可能性を排除するために、MTS2の配列 相違箇所を越えて特異的に増幅を行うためにPCRプライマーが設計された。こ れらのプライマーはコスミドP1およびゲノムDNA由来の予想された分子量の フラグメントを増幅した。それゆえ、MTS2のエキソン2の3'末端付近に存 在する相違配列は真のゲノム配列である。 MTS1E1βは、エキソン1βまたは1Eβと呼ばれるエキソン1を有し、 MTS1およびMTS2のエキソン1において見いだされた配列とは異なる配列 を有している。さらにMTS1E1βは、MTS1のエキソン2および3と同じ であるエキソン2(E2)およびエキソン3(E3)含んでいる。エキソン1β はmTS1のエキソン1の上流にあり、いかなるコーディング配列も含まない。 結果的に、MTS1E1βは、エキソン2の最初のATGにおける翻訳開始部位 を有するp10をコードしている。 MLM素因を有すると推定される個体由来のエキソン2を用いてゲノムDNA を分析することにより、遺伝学的に感受性のある遺伝子座MTSとの関連につい て、MTS1およびMTS2が試験された。8人の個体のうちの1個体において 、DNA多形性がMTS1のエキソン2において確認された。変異は単一のヌク レオチド置換であり、アミノ酸変化を起こすものであった。この多形性はMLM 素因対立遺伝子に関連して分枝していた。 MTS1における傷害(欠失およびヌクレオチド置換)の優位性は、MTS1 または密接に連関した遺伝子座は腫瘍表現型に貢献していることを示す。これら の傷害を受けた細胞は、傷害を受けない細胞よりも選択的利点を有する。傷害は 細胞増殖に関係のないランダムな出来事であるという別の説明は、いくつかの理 由により成立する可能性がない。第1に、腫瘍表現型とMTS1における変異と の高い相関は、MTS変異と腫瘍形成との間の因果関係を意味する。第2に、M TS1はメラノーマに対する感受性に影響し、よって、腫瘍抑制遺伝子として独 立して意味を持つ。第3に、Cdk阻害剤としてのp16の生化学的機能は、M TS1インビボにおいてDNA複製の生起に対する一般的な阻害物質として作用 するというモデルにうまく一致する。 本発明診断および予後方法によれば、野生型MTS遺伝子座の変化が検出され る。さらに、野生型MTS遺伝子座を検出し、素因または腫瘍形成の欠如を確認 することにより、本発明方法を実施することができる。「野生型遺伝子の変化」 は、コーディングおよび非コーディング配列における欠失、挿入および点突然変 異をはじめとするすべての形態の変異を包含する。欠失は遺伝子全体であっても よく、あるいは遺伝子の一部であってもよい。点突然変異はストップコドンにお いて生じてもよく、フレームシフト変異またはアミノ酸置換であってもよい。体 細胞変異は、ある組織、例えば腫瘍組織にのみ生じるものであってもよく、生殖 系列において遺伝しない。生殖系列の変異は、いかなる体組織においても見いだ され、遺伝する。ただ1つの対立遺伝子が体細胞変異した場合、初期の腫瘍状態 が示される。しかしながら、両方の対立遺伝子が変異した場合、後期の腫瘍状態 が示される。欠失されていないMTS対立遺伝子(例えば、MTSの欠失を有す る染色体に対する姉妹染色体上に見られる)を、挿入、小規模な欠失および点突 然変異のごとき他の変異に関してスクリーニングすることができる。腫瘍組織に おいて見いだされる多くの変異は、MTS遺伝子産物の発現を減少させるもので あろう。しかしながら、機能的でない遺伝子産物を生じる変異も、癌の状態を誘 導するであろう。遺伝子のプロモーターのごとき調節領域において点突然変異が 生じる可能性があり、mRNA発現の欠損または減少を引き起こす。さらに点突 然変異は、正しいRNAのプロセッシングを廃止し、MTS遺伝子産物の発現の 減少、またはmRNAの安定性もしくは翻訳効率の低下を引き起こす。 有用な診断方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、 直接DNA配列決定、PFGE分析、サザンブロット分析、1本鎖コンホーメー ション分析(SSCA)、RNase保護アッセイ、対立遺伝子特異的オリゴヌ クレオチド(ASO)、ドットブロット分析およびさらに以下に詳述するような PCR−SSCPを包含するが、これらに限定しない。 本発明において同定されるメラノーマおよび他の癌のごとき癌にかかりやすい 素因を、ヒトのいずれかの組織をMTS遺伝子の変異に関して試験することによ り確認することができる。例えば、生殖系列のMTS変異を遺伝しているヒトは 癌を発生させる傾向がある。このことを、その人の体のいかなる組織から得たD NAを試験することによっても調べることができる。最も簡単には、血液を取り 、血液細胞からDNAを抽出する。さらに、胎児細胞、胎盤細胞または羊水をM TS遺伝子の変異に関して試験することにより、胎児期の診断を行うこともでき る。例えば、点突然変異もしくは欠失による野生型MTS対立遺伝子の変化を、 本明細書で述べるいかなる手段によっても検出することができる。 組織における野生型MTS対立遺伝子の変化を検出するためには、正常組織か ら当該組織を単離することが役に立つ。腫瘍細胞に関する組織標品を富栄養化さ せるための手段は当該分野において知られている。例えば、組織をパラフィンま たはクリオスタット切片から単離してもよい。サイトメトリー(cytometry)に より正常細胞から癌細胞を分離してもよい。正常細胞から腫瘍細胞を分離するた めのこれらの方法ならびに他の方法は当該分野においてよく知られている。腫瘍 組織への常細胞の混入が激しい場合には、変異の検出はより困難となる。 DNA配列の多形性を検出するための迅速な予備分析を、1種またはそれ以上 の制限酵素でのDNA断片の一連のサザンブロットを調べることにより行うこと ができる。各ブロットは一連の正常個体および一連の癌、腫瘍患者、もしくは両 方のものを含む。ハイブリダイズするフラグメントを示すサザンブロット(MT S遺伝子座の近傍またはこれを含む配列をプローブとした場合、対照DNAから の長さが異なる)は変異の可能性を示す。非常に長い制限フラグメントを生じる 制限酵素を用いる場合、パルスフィールドゲル電気泳動(「PFGE」)を用い る。当該分野においてよく知られた方法を用いてMTS対立遺伝子の分子クロー ニングおよび当該対立遺伝子の配列決定を行うことにより、点突然変異の検出を 行うことができる。別法として、知られた方法を用いて、腫瘍組織由来のゲノム DNA標品から直接に遺伝子配列を増幅することもできる。次いで、増幅配列の DNA配列を決定することができる。 感受性を有する対立遺伝子の存在の確認に関する、より完全であるが、さらに 間接的な試験について6つのよく知られた方法がある:1)1本鎖コンホーメー ション分析(「SSCA」)(オリタ(Orita)ら,1989年);2)変性グ ラジエントゲル電気泳動(「DGGE」)(ワーテル(Wartell)ら,1990 年;シェフィールド(Sheffield)ら,1989年);3)RNase保護アッ セイ(フィンケルステイン(Finkelstein)ら,1990年;キンスラー(Kinsz ler)ら,1991年);4)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(「ASO s」)(コナー(Conner)ら,1983年);5)イー・コリ(E.coli)のmu tS蛋白のごときヌクレオチドのミスマッチを認識する蛋白の使用(モドリッチ (Modrich),1991年);および6)対立遺伝子特異的PCR(ラノ(Rano )およびキッド(Kidd),1989年)。対立遺伝子特異的PCRには、その3 '末端において特定のMTS変異体にハイブリダイズするプライマーを用いる。 特定のMTS変異体は存在しない場合、増幅生成物は観察されない。欧州特許出 願第0332435号およびニュートン(Newton)ら,1989年に開示された 増幅不応変異システム(Amplification Refractory Mutation System)(ARM S)を用いてもよい。クローニングし、配列決定し、次いで増幅を行うことによ り、遺伝子の挿入および欠失を検出することもできる。さらに、該遺伝子または 周囲のマーカーに対する制限フラグメント長の多形性(RFLP)プローブを用 いて対立遺伝子の変化または多形性フラグメントにおける挿入を評価することも できる。かかる方法は、罹患した個体の親類縁者を、その個体において見いださ れるMTS変異の存在に関してスクリーニングするのに有用である。当該分野に おいて知られた挿入および欠失を検出するための他の方法を用いることもできる 。はじめの3つの方法(すなわち、SSCA、DGGEおよびRNase保護ア ッセイ)において、新たな電気泳動バンドが出現する。配列の変化は1本鎖の分 子内塩基対合に変化を起こすので、SSCAは異なって移動するバンドを検出す る。RNase保護は変異ポリヌクレオチドの2個またはそれ以上の小フラグメ ントへの開裂を必要とする。DGGEは、変性グラジエントゲルを用いて変異配 列の移動速度の野生型配列との相違を検出する。対立遺伝子特異的オリゴヌクレ オチドアッセイにおいて、特異的配列を検出するオリゴヌクレオチドを設計し、 ハイ ブリダイゼーション信号の有無を検出することによりアッセイを行う。mutS アッセイにおいては、変異配列および野生型配列の間のヘテロ二重鎖におけるヌ クレオチドのミスマッチを有する配列のみに蛋白が結合する。 本発明によれば、ミスマッチとは、2本の鎖が100%の相補性を示さない、 ハイブリダイズした核酸二重鎖である。全体としての同一性の欠如は、欠失、挿 入、逆転または置換によるものであろう。ミスマッチの検出を用いて遺伝子また はそのmRNA産物における点突然変異を検出することができる。これらの方法 は配列決定よりも感度が低いが、多くの腫瘍試料について簡単に行うことができ る。ミスマッチ開裂法の例はRNase保護法である。本発明の実施において、 該方法は、ヒトの野生型MTS遺伝子コーディング配列に相補的な標識リボプロ ーブ(riboprobe)の使用を必要とする。リボプローブと腫瘍組織から単離した mRNAまたはDNAのいずれかをアニーリング(ハイブイリダイズ)させ、次 いで、二重鎖RNA構造におけるいくつかのミスマッチを検出できる酵素RNa seAで消化する。ミスマッチがRNaseAにより検出される場合、RNas eAはそのミスマッチの部位を開裂する。かくして、アニーリングされたRNA 標品が電気泳動ゲルのマトリックス上で分離される場合、もし、RNaseAに よりミスマッチが検出され開裂されたならば、リボプローブとmRNAまたはD NAに関する全長の二重鎖よりも小さいRNA生成物が見られるであろう。リボ プローブは全長のMTSのmRNAまたは遺伝子を必要としないが、それらのい ずれかの断片であってよい。リボプローブがMTSのmRNAまたは遺伝子の唯 一の断片からなる場合には、これらのプローブを多数用いてミスマッチに関して 全mRNA配列をスクリーニングするのが望ましい。 同様の方法で、酵素的または化学的開裂により、DNAプローブを用いてミス マッチを検出することができる。例えば、コットン(Cotton)ら,1988年; シェンク(Shenk)ら,1975年;ノバーク(Novack)ら,1986年参照。 別法として、マッチしている二重鎖に対するミスマッチの二重鎖の電気泳動にお ける移動度の変化によりミスマッチを検出することもできる。例えば、カリエロ (Cariello),1988年参照。リボプローブまたはDNAプローブのいずれか を用いて、変異を有する細胞のmRNAまたはDNAを、ハイブリダイゼーショ ン前のPCR(下記)を用いて増幅することができる。MTSのDNAにおける 変化は、特に、その変化が欠失および挿入のごとき大規模な配列の変化である場 合には、サザンハイブリダイゼーションを用いて検出することもできる。 PCRを用いることにより増幅されたMTS遺伝子のDNA配列を、対立遺伝 子特異的プローブを用いてスクリーニングしてもよい。これらのプローブは核酸 オリゴマーであり、それぞれが既知変異を有するMTS遺伝子配列の領域を含ん でいる。例えば、1のオリゴマーが、MTS遺伝子配列の一部に対応している長 さが約30ヌクレオチドであってもよい。かかる対立遺伝子特異的プローブの組 を用いることにより、PCR増幅生成物をスクリーニングして前以て同定されて いるMTS遺伝子における変異の存在を確認することができる。例えば、ナイロ ンフィルター上で、対立遺伝子特異的プローブの増幅されたMTS配列とのハイ ブリダイゼーションをおこなうことができる。緊縮ハイブリダイゼーション条件 下での特定のプローブに対するハイブリダイゼーションは、対立遺伝子特異的プ ローブにおけるのと同じ変異が腫瘍組織に存在することを示す。 候補となる遺伝子座における変異に関する最も決定的な試験は、癌患者由来の ゲノムMTS配列を対照由来の配列と比較することである。別法として、例えば PCRによる増幅後にメッセンジャーRNAを配列決定することができ、それに より候補遺伝子のエキソン構造の決定の必要性を除去することができる。 MTSのコーディング領域の外側で生じる癌患者由来の変異体を、MTS遺伝 子付近またはMTS遺伝子内のイントロンおよび調節配列のごとき非コーディン グ配列を試験することにより検出することができる。非コーディング領域におけ る変異は重要であるという初期の指摘は、対照個体と比較した場合の、癌患者に おける異常なサイズのメッセンジャーRNA分子またはメッセンジャーRNA分 子の豊富さを明らかにするノーザンブロット分析に由来する。 MTSのmRNA発現の変化を、当該分野において知られたいかなる方法によ っても検出することができる。これらの方法は、ノーザンブロット分析、PCR 増幅およびRNase保護を包含する。減少したmRNA発現は野生型MTS遺 伝 子の変化を示す。野生型MTS遺伝子の変化を、野生型MTS蛋白の変化につい てのスクリーニングによっても検出することができる。例えば、MTSと免疫反 応性のあるモノクローナル抗体を用いて組織をスクリーニングすることができる 。同種の抗原の欠如はMTSの変異を示すであろう。変異した対立遺伝子の産物 に特異的な抗体を用いて変異MTS遺伝子産物を検出することもできる。かかる 免疫学的アッセイを、当該分野で知られたいかなる便利なフォーマットにおいて も行うことができる。それらは、ウェスタンブロット、免疫組織学的アッセイお よびELISAアッセイを包含する。変化したMTS蛋白を検出するためのいか なる手段を用いても、野生型MTS遺伝子の変化を検出することができる。蛋白 別号分析のごとき機能的アッセイを用いることができる。例えば、MTS蛋白は Cdk、特にCdk4に結合することが知られている。よって、野生型MTS蛋 白またはCdk4に対する結合能についてのアッセイを用いることができる。さ らに、MTSの生化学的機能(Cdk4のごときCdkに対する阻害および細胞 周期の調節)を検出するアッセイを用いることもできる。変異したMTS遺伝子 産物の発見は野生型MTS遺伝子の変化を示す。 血清、便、尿および痰のごとき他のヒトの身体からの試料において、変異した MTS遺伝子または遺伝子産物を検出することもできる。組織における変異した MTS遺伝子または遺伝子産物を検出するための上記と同じ方法を他の身体から の試料に適用することができる。癌細胞は腫瘍から剥離し、かかる身体からの試 料中に存在する。さらに、MTS遺伝子産物自体は細胞外空間へ分泌され、癌細 胞が存在しない場合でさえもこれらの身体試料中に見いだされる。かかる身体試 料をスクリーニングすることにより、多くのタイプの癌について、簡単な初期の 診断を行うことができる。さらに、変異したMTS遺伝子または遺伝子産物につ いてかかる身体試料を試験することにより、化学療法および放射線療法の進行を 簡単にモニターすることができる。 本発明診断方法は、MTSが腫瘍形成において役割を果たしているいかなる腫 瘍についても適用可能である。染色体アーム9pの欠失またはMT領域内での体 細胞変異は、試験されたほとんどすべての腫瘍において観察された。本発明診断 方法は臨床医にとり有用であるため、臨床医は適切な治療コースを決定すること ができる。 本発明プライマーのペアーは、PCRを用いる特定のMTS対立遺伝子のヌク レオチド配列の決定に有用である。1本鎖DNAプライマーのペアーを染色体9 p上のMTS遺伝子内もしくはその周辺の配列とアニーリングさせてMTS遺伝 子自体のDNA合成の増幅を開始することができる。これらのプライマーの完全 なセットによりMTS遺伝子コーディング配列のすべてのヌクレオチド、すなわ ちエキソンの合成が可能となる。好ましくは、プライマーのセットはイントロン およびエキソン療法の配列の合成を可能にする。対立遺伝子特異的プライマーを 用いることもできる。かかるプライマーは特定のMTS変異対立遺伝子とアニー リングし、かくして鋳型としての変異対立遺伝子の存在下の生成物のみを増幅す るであろう。 次いで行う増幅配列のクローニングを容易にするため、プライマーが、その5 '末端に付加された制限酵素部位の配列を有していてもよい。かくして、制限酵 素部位を形成するのに必要なわずかのヌクレオチド以外は、プライマーのすべて のヌクレオチドはMTS配列またはMTSに隣接する配列由来である。かかる酵 素は当該分野においてよく知られている。プライマー自体を、当該分野でよく知 られた方法を用いて合成することができる。一般的には、市販のオリゴヌクレオ チド合成装置を用いてプライマーを合成することができる。配列番号:1、配列 番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:13、配列番号:15およ び配列番号:36に示されるMTS読み取り枠の配列が与えられれば、特定のプ ライマーの設計は当業者によく知られたものである。 本発明により提供される核酸プローブは多くの目的に有用である。それらを、 ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーション、およびすでに上述した点 突然変異検出のためのRNase保護法に用いることができる。本発明プローブ を用いてPCR増幅産物を検出することができる。他の方法を用いてMTS遺伝 子またはmRNAに関するミスマッチを検出するために本発明プローブを用いて もよい。定義 本発明は以下の定義を用いる: 「ポリヌクレオチドの増幅」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ライゲー ション増幅(またはリガーゼ連鎖反応(LCR)およびQ−ベータレプリカーゼ 伸し用による増幅方法をいうのに用いる。これらの方法はよく知られており、当 該分野において広く行われている。米国特許第4,683,195号および第4, 683,202号ならびにイニス(Innis)ら,1990年(PCRに関して); ウー(Wu)ら,1989年a(LCRに関して)参照。PCRを行うための試薬 およびハードウェアは市販されている。好ましくは、MTS領域由来の配列を増 幅するのに有用なプライマーは、MTS領域またはその標的領域に隣接する領域 における配列に対して相補的であり特異的にハイブリダイズするものである。増 幅により得られたMTS配列を直接配列決定してもよい。別法として、しかしあ まり望ましくない方法であるが、増幅された配列を配列決定前にクローン化して もよい。酵素的に増幅されたゲノム断片の直接クローニングおよび配列分析のた めの方法はシャーフ(Scharf),1986年に記載されている。 「分析対象のポリヌクレオチド」および「分析対象の鎖」は、標的配列を有す る可能性があり、生化学的試料をはじめとする種々のタイプの試料中に存在しう る1本鎖または2本鎖ポリヌクレオチドをいう。 「抗体」さらに本発明は、MTSポリペプチドならびにそのフラグメントまた はMTS領域由来、特にMTS遺伝子座もしくはその一部由来のポリヌクレオチ ド配列に特異的に結合する、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体 ならびにそのフラグメント、そしてその免疫学的結合等価物を提供する。「抗体 」なる用語を、均一な分子本体、または多くの異なる分子本体からなる血清生成 物のごとき混合物の療法をいうために用いる。ペプチド合成装置においてポリペ プチドを合成的に調製し、キャリア分子(例えば、キーホルリムペット(keyhol e limpet)のヘモシアニン)とカップリングさせ、次いで、数カ月にわたりウサ ギに注射することができる。MTSポリペプチドまたはフラグメントに 対する免疫反応性に関してウサギの血清を試験する。蛋白、ポリペプチド、融合 蛋白またはそれらのフラグメントをマウスに注射することによりモノクローナル 抗体を作成してもよい。モノクローナル抗体をELISAによりスクリーニング し、MTSポリペプチドまたはそのフラグメントに対する特異的免疫反応性につ いて試験する。ハーロウ(Harlow)およびレイン(Lane),1988年参照。こ れらの抗体はアッセイならびに医薬において有用であろう。 十分量の所望ポリペプチドが得られたならば、それを種々の目的に使用するこ とができる。典型的な使用は、特異的結合抗体の製造である。これらの抗体はポ リクローナルであってもモノクローナルであってもよく、当該分野において知ら れたインビトロ法またはインビボ法により製造することができる。 ポリクローナ抗体の製造には、適当な標的免疫系、典型的にはマウスまたはウ サギを選択する。次いで、当該動物に適した方法および免疫学者によく知られた たのパラメーターにより決定された方法で、精製された抗原を免疫系に与える。 典型的な注射部位は、足の甲、筋肉内、腹腔内、または経皮である。もちろん、 マウスまたはウサギの代わりに他の種を用いてもよい。次いで、当該分野で知ら れた方法を用いてポリクローナル抗体を精製し、所望の特異性に適合させる。 通常は、イムノアッセイを用いて免疫学的応答をアッセイする。通常は、かか るイムノアッセイは、例えば、抗原として同じ細胞、同じ方法により産生される 抗原の源をいくらか精製することを必要とする。種々のイムノアッセイ法は当該 分野においてよく知られている。例えば、ハーロウ(Harlow)およびレイン(La ne),1988年、またはゴディング(Goding),1986年参照。 10-8または好ましくは10-9ないし10-10-1もしくはそれより強力な親 和性を有するモノクローナル抗体を、典型的には、例えば、ハーロウ(Harlow) およびレイン(Lane),1988年、またはゴディング(Goding),1986年 において記載された標準的方法により作成する。簡単には、適当動物を選択し、 所望の免疫感作プロトコールに従う。適当な期間の経過後、かかる動物の脾臓を 切り取り、典型的には、適当な選択的条件下において個々の脾臓細胞を不死化さ れた骨髄腫細胞と融合させる。その後、細胞をクローン的に分離し、各クローン の 上清をその抗原の所望領域に特異的な適当な抗体の産生について試験する。 他の適当な方法は、リンパ球の抗原性ポリペプチドへのインビトロでの曝露、 あるいはまたファージもしくは同様のベクター中の抗体のライブラリーの選択を 包含する。ヒューズ(Huse)ら,1989年参照。本発明ポリペプチドおよび抗 体を修飾して用いても、修飾せずに用いてもよい。しばしば、検出可能なシグナ ルを有する物質を共有結合的または非共有結合的に結合させることにより、ポリ ペプチドおよび抗体が標識されよう。種々の標識および結合方法が知られており 、学術文献および特許文献の双方に広く報告されている。適当な標識は、放射性 核、酵素、基質、コファクター、阻害剤、蛍光物質、化学発光物質、磁性粒子等 を包含する。かかる標識の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837 、3,850,752、3,939,350、3,996,345、4,277,437 、4,275,149および4,366,241号を包含する。さらに、組み換え免 疫グロブリンを得てもよい(米国特許第4,816,567号参照)。 「結合パートナー」は、高い特異性でリガンド分子を結合することのできる分 子をいい、例えば、抗原と抗原特異的抗体、あるいは酵素とその阻害剤である。 一般的には、特異的結合パートナーは十分な親和性で結合して分析対象コピー/ 相補的二重鎖(ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションの場合)を単離条件 下で固定化しなくてはならない。特異的結合パートナーは当該分野において知ら れており、例えば、ビオチンとアビジンもしくはストレプトアビジン、IgGと 蛋白A、多くの知られた受容体−リガンドのカップル、および相補的ポリヌクレ オチド鎖を包含する。相補的ポリヌクレオチド鎖の結合パートナーの場合、通常 、パートナーは少なくとも約15塩基の長さであり、少なくとも40塩基の長さ であってもよい。ポリヌクレオチドはDNA、RNA、または合成ヌクレオチド アナログからなっていてもよい。 「生物学的試料」は、個体由来の分析対象であるポリヌクレオチドまたはポリ ペプチドを有する可能性のある組織もしくは体液の試料、例えば、血漿、血清、 脊髄液、リンパ液、皮膚の外側の部分、呼吸器、消化管ならびに尿生殖管、唾液 、血液細胞、腫瘍、器官、組織およびインビトロ細胞培養成分の試料を包含する が、 これらに限定されない。 本明細書に用いる用語「診断」または「予後」は、腫瘍形成の過程において用 いられ、1)腫瘍形成としての障害の分類、2)腫瘍形成の重篤さの決定、また は3)治療前、治療中および治療後の疾病の進行のモニタリングを示すために用 いられる。 「コードする」ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを「コードする」といわれ る。そのネイティブな状態にある場合、あるいは当業者によく知られた方法によ り操作された場合、ポリヌクレオチドは転写および/または翻訳されてmRNA を生じ、そして/またはポリペプチドもしくはそのフラグメントを生じる。アン チセンス鎖はかかる核酸と相補的であり、コーディング配列はそこから推定され うる。 「単離された」または「実質的に純粋な」「単離された」または「実質的に純 粋な」核酸(例えば、RNA、DNAまたは混合ポリマー)は、リボゾーム、ポ リメラーゼ、他の多くのヒト・ゲノム配列ならびに蛋白のごときネイティブなヒ トの配列もしくは蛋白を本質的に伴う他の細胞成分から実質的に分離されたもの である。この用語は、天然環境から取り出された核酸配列または蛋白を包含し、 組み換えまたはクローン化されたDNA単離体および化学合成されたアナログも しくは異種生物の系により生物学的に合成されたアナログを包含する。 「MTS対立遺伝子」は、MTS遺伝子座の正常な対立遺伝子、ならびに個体 に多くの部位の癌(例えば、メラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞 腫、グリア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、 肉腫、筋肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺 、膀胱、甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌)を発生 させる素因を与える変化した対立遺伝子をいう。かかる素因を与える対立遺伝子 は、「MTS感受性対立遺伝子」とも呼ばれる。 「MTS遺伝子座」、「MTS遺伝子」、「MTS核酸」または「MTSポリ ヌクレオチド」は、そのすべてがMTS領域にあるポリヌクレオチドあって、正 常組織において発現される可能性のうポリヌクレオチドをいう。それらのうちあ る種の対立遺伝子は個体に多くの部位の癌(例えば、メラノーマ、目のメラノー マ、白血病、星状膠細胞腫、グリア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ 腫、多発性ミエローマ、肉腫、筋肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに 膵臓、胸部、脳、前立腺、膀胱、甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸な らびに直腸の癌)を発生させる素因を与える。MTS遺伝子座なる用語を、本明 細書においては先行技術にいうMLM遺伝子座に代えて用い、「MTS」の使用 は、遺伝子座、遺伝子、領域等に関連して用いられる「MLM」を包含する。M TS遺伝子座における変異は、他のタイプの腫瘍の開始および/または進行に関 連していてもよい。一部には、個体に癌発生の素因を与える変異により遺伝子座 が示される。これらの変異は上記MTS領域内のものである。MTS遺伝子座は 、コーディング領域、介在配列ならびに転写および/または翻訳をコントロール している調節エレメントを包含する。MTS遺伝子座は当該DNA配列のすべて の対立遺伝子変種を包含する。 これらの用語は、核酸について用いられる場合、MTSポリペプチド(p16 を含む)、フラグメント、同族体もしくは変種(例えば、蛋白融合または欠失に よるもの)をコードしている核酸をいう。本発明核酸は、天然のMTSをコード している遺伝子由来の、あるいは実質的にそれと同様な配列、または天然のMT Sをコードしている遺伝子もしくはその一部と相同性を有する配列を有する。M TSポリペプチド(MTS1)に関するコーディング配列を配列番号:1に示し 、MTSポリペプチド(MTS1)のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。第2 のMTSポリペプチド(MTS1E1β)のコーディング配列を配列番号:13 に示し、対応するアミノ酸配列を配列番号:14に示す。第3のMTSポリペプ チド(MTS2)のコーディング配列を配列番号:15に示し、対応するアミノ 酸配列を配列番号:16に示す。P16なる用語は、MTS1およびMTS1E 1βの代わりに用いられ、p16をコードしているMTS1およびp10をコー ドしているMTS1E1βの両方を主するために用いられる。MTS1およびM TS1E1βは1つの遺伝子の2つの形態であり、転写に際して、当該2つの形 態は該遺伝子の2個のプロモーターに依存している。MTS2はMTS領域の別 の 部分であり、p15をコードしている。 本発明ポリヌクレオチドは、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成形態、お よび混合ポリマー、センスならびにアンチセンス鎖の両方を包含し、化学的また は生物学的に修飾されていてもよく、あるいは当業者に容易に認識される非天然 もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含んでいてもよい。かかる修飾は、 例えば、標識、メチル化、1個またはそれ以上の天然に存在するヌクレオチドの アナログでの置換、電荷のない結合(例えば、メチルホスホナート、ホスホトリ エステル、ホスホアミダート、カルバマート等)、電荷のある結合(例えば、ホ スホロチオアート、ホスホロジチオアート等)、懸垂部分(pendent moieties) (例えば、ポリペプチド等)、挿入物(例えば、アクリジン、プソラレン等)、 キレーター、アルキル化剤、および修飾された結合(例えば、アルファアノマー 核酸等)のごとき分子間修飾を包含する。さらに、水素結合および他の化学的相 互作用により特定の配列に結合する能力においてポリヌクレオチドを模倣する合 成分子も包含される。かかる分子は当該分野で知られており、例えば、分子骨格 においてリン酸結合の代わりにペプチド結合が使用されている分子である。 本発明は、MTSのすべてまたは一部からなる組み換え型核酸を提供する。該 組み換え構築物は宿主細胞中で自律的に複製可能であってもよい。また、該組み 換え構築物は宿主細胞の染色体中に組み込まれてもよい。かかる組み換え型ポリ ヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、半合成、または合成起源のポリヌクレオチ ドからなり、その起源もしくは取り扱いにより、1)天然においては会合してい るポリヌクレオチドのすべてまたは一部に会合していない;2)天然においては 連結しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに連結している;あるい は3)天然には存在しない、のいずれかである。 それゆえ、天然に存在しない配列からなる組み換え型核酸が本発明により提供 される。野生型配列を用いてもよいが、しばしば、それは、例えば欠失、置換ま たは挿入によって変化させられるであろう。 種々のタイプのcDNAまたはゲノムライブラリーを、本発明核酸の天然の源 としてスクリーニングしてもよく、あるいは、ゲノムDNAもしくはたの天然起 源に存する配列を、矢よPCRにより増幅することによりかかる核酸を提供して もよい。通常は、cDNAライブラリーの選択は、所望蛋白に関するmRNAが 豊富である組織起源に対応する。通常は、ファージライブラリーが好ましいが他 のタイプのライブラリーを用いてもよい。ライブラリーのクローンをプレート上 に広げ、スクリーニングのための基質に移し、変性させ、次いで、所望配列の存 在に関してプローブされる。 本発明に用いるDNA配列は、通常は少なくとも約5コドン(15ヌクレオチ ド)、よち通常には少なくとも約7〜15コドン、そして最も好ましくは少なく とも約35コドンからなるであろう。このヌクレオチドの数は、通常は、MTS をコードしている配列に特異的にハイブリダイズする都合のよいプローブに必要 な、ほぼ最小限の長さである。 核酸の取り扱い法は、一般的に説明されており、例えば、サムブルック(Samb rook)ら,1989年またはアウスベル(Ausbel)ら,1992年に記載されて いる。制限酵素等のごとき、かかる方法に適用する試薬は当該分野において広く 知られており、ニュー・エングランド・バイオラブズ(New England BioLabs) 、ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)、アマシャム(Amersham )、プロメガ・バイオテク(Promega Biotec)、ユー・エス・バイオケミカルズ (U.S.Biochemica1s)、ニュー・イングランド・ニュクリアー(New England Nu clear)のごとき業者、および他の多くの販売元から市販されている。本発明融 合蛋白の製造に用いる組み換え型核酸は天然由来であっても合成配列であっても よい。多くの天然遺伝子配列を、適当なプローブを用いてcDNAまたはゲノム ライブラリーから得ることができる。ジェンバンク(GenBank)ナショナル・イ ンステイチュート・オブ・ヘルス(National Institute of Health)参照。 「MTS領域」は、P1クローンであるP1−1062およびP1−1063 において見いだされるヒト・染色体9の一部をいう。イー・コリNS3529中 のこれらのP1クローンは、アメリカ合衆国、メリーランド州、ロックビルのア メリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に、1994年3月16日に寄託され、それぞれ受託番号ATCC 69589および69590を付与された。この領域は、MTS1、MTS2お よびMTS1E1β遺伝子を含んでいるMTS遺伝子座を含む。 本明細書の用語「MTS遺伝子座」、「MTS対立遺伝子」および「MTS領 域」はすべて、該遺伝子座、対立遺伝子または領域からなる2本鎖DNA、なら びに該遺伝子座、対立遺伝子または領域からなる1本鎖DNAをいう。 本明細書の用語、MTS遺伝子座または領域もしくは対立遺伝子の「一部」は 、少なくとも約8ヌクレオチド、あるいは好ましくは約15ヌクレオチド、ある いはより好ましくは少なくとも約25ヌクレオチドの最小サイズを有し、少なく とも約40ヌクレオチドの最小サイズを有していてもよいと定義される。 「MTS蛋白」または「MTSポリペプチド」は、MTS遺伝子座によりコー ドされている蛋白またはポリペプチド(MTS1ポリペプチド、MTS2ポリペ プチドおよびMTS1E1βポリペプチド)、その変種もしくはフラグメントを いう。用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーおよびその同等物をいい、 生成物の特定の長さをいうのではない;よって、ペプチド、オリゴペプチドおよ び蛋白はポリペプチドの定義に包含される。この用語はポリペプチドの修飾体、 例えば、グリコシレーション、アセチル化、ホスホリレーション等されたものを いうのではなく、あるいはそれらを排除する。例えば、1個またはそれ以上のア ミノ酸アナログ(例えば、非天然アミノ酸等)を含むポリペプチド、置換された 結合ならびに当該分野で知られた天然および非天然双方の他の修飾を有するポリ ペプチドは当該定義に包含される。通常は、かかるポリペプチドは、ネイティブ なMTS配列に対して、少なくとも約50%相同、好ましくは約90%以上相同 、より好ましくは少なくとも約95%相同である。さらに、高いもしくは低い緊 縮条件においてMTSをコードしている核酸にハイブルダイズするDNAにより コードされている蛋白、およびMTS蛋白に対する抗血清により回収される密接 に関連したポリペプチドもしくは蛋白も、当該定義に包含される。 相同性に関して比較されるポリペプチドの長さは、一般的には、少なくとも約 16アミノ酸、通常は少なくとも約20残基、より通常には少なくとも約24残 基、典型的には少なくとも約28残基、そして好ましくは約35残基よりも多い 。 「作動可能に連結された」は、そのように記載された構成要素が意図された様 式でそれらの機能を発揮できるような関係にある並置をいう。例えば、プロモー ターがその転写または発現に影響する場合、プロモーターはコーディング配列に 作動可能に連結される。 「プローブ」ある種の癌の素因となるかまたは大部分の癌に関連しているMT S対立遺伝子に関連したポリヌクレオチド多形性は、緊縮ないし緩和条件でのハ イブリダイゼーションおよび洗浄条件において標的配列と安定なハイブリッドを 形成するポリヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションにより検出され る。プローブが完全に標的配列と相補的であると予想される場合、緊縮条件が用 いられるであろう。いくつかのミスマッチが予想される場合、例えば、プローブ が完全には相補的でないという結果により変種が予想される場合には、ハイブリ ダイゼーションの緊縮度を低下させてもよい。非特異的/偶然の結合を除外する 条件、すなわち、ノイズを最小にする条件が選択される。かかる示度は通常のD NA多形性ならびに変異を同定するので、これらの示度は、MTS感受性対立遺 伝子の検出を示すためのさらなる分析を必要とする。 MTS対立遺伝子に対するプローブは、MTS領域またはそのcDNAの配列 由来であってもよい。プローブはいかなる適当な長さであってもよく、MTS領 域のすべてまたは一部にわたるものであり、MTS領域と特異的にハイブイダイ ゼーションする。標的配列がプローブと同じ配列を含む場合、緊縮条件下におい てさえもハイブリッドは比較的安定であるため、プローブは短くてもよく、例え ば、約8〜30塩基対の範囲でよい。ある程度のミスマッチがプローブについて 予想される場合、すなわち、プローブが変種領域にハイブリダイズしそうな場合 には、必要な特異性で標的配列にハイブリダイズする長いプローブを用いてもよ い。 プローブは、標識またはレポーター分子に結合した単離ポリヌクレオチドを包 含するであろうし、さらに標準的方法により、配列が同様である他のポリヌクレ オチド配列を単離するのに用いられてもよい。プローブを調製し、標識する方法 は、例えば、サムブルック(Sambrook)ら,1989年またはアウスベル(Ausb el)ら,1992年参照。相同的ポリヌクレオチドにより、他の同様のポリヌク レオチドを選択することができる。別法として、遺伝暗号の縮重を用いることに より、これらのまたは同様のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを 合成または選択することができる。沈黙の変化(silent changes)により種々の コドン置換を導入してもよく、あるいは特定の系のために発現を最適化してもよ い。ポリペプチドの特性、おそらく、リガンド結合親和性、鎖間の親和性、また はポリペプチドの分解もしくはターンオーバー速度を変化させるために変異を導 入してもよい。 本発明合成オリゴヌクレオチドまたは他のポリヌクレオチドからなるプローブ は、天然または組み換え型の1本鎖もしくは2本鎖ポリヌクレオチド由来であっ てもよく、または化学合成されたものであってもよい。さらに、ニックトランス レーション、クレノウフィル−イン反応(Klenow fill-in reaction)、または 当配分野で知られた他の方法によりプローブを標識してもよい。 少なくとも約8ヌクレオチド、通常には少なくとも約15ヌクレオチド、そし て約6Kbより少ない、通常は約1.0Kbより少ないポリヌクレオチド配列の 一部がプローブとして好ましい。プローブを用いてMTSをコードしているmR NAが細胞または組織に存在するかどうかを調べてもよい。 「蛋白の修飾またはフラグメント」は、実質的に1次構造配列と相同的である が、例えば、インビボまたはインビトロでの化学的および生化学的修飾を有する かまたは通常見られないアミノ酸を含んでいるMTSポリペプチドまたはそのフ ラグメントについて、本発明により用いられる。かかる修飾は、例えば、アセチ ル化、カルボキシル化、ホスホリレーション、グリコシレーション、ユビキチネ ーション、放射性核ならびに種々の酵素修飾による標識のごとき、当業者により 容易に認識されるような修飾を包含する。ポリペプチドの標識のための種々の方 法、またはかかる目的に使用される標識は当該分野でよく知られており、32P、 標識された抗リガンドに結合するリガンド(例えば、抗体)、発蛍光団、化学発 光剤、酵素、および標識リガンドに対する特異的結合ペアーのメンバーとして役 立ちうる抗リガンドが包含される。標識の選択は、必要な感度、プライマーとの 結合容易性、必要な安定性、および使用可能な器具に依存する。ポリペプチドを 標識する方法は当該分野で知られている。例えば、サムブルック(Sambrook)ら ,1989年またはアウスベル(Ausbel)ら,1992年参照。 実質的に全長のポリペプチド以外に、本発明は、生物学的に活性のある当該ポ リペプチドのフラグメントを提供する。重要な生物学的活性は、MTSポリペプ チドに特徴的なリガンド結合、免疫学的活性および他の生物学的活性を包含する 。免疫学的活性は、標的免疫系における免疫原機能ならびに競争物質またはMT S蛋白のエピトープの代用抗原として役立つ結合用免疫学的エピトープを共有す ることの双方を包含する。本明細書に用いる「エピトープ」は、ポリペプチドの 抗原決定因子をいう。エピトープは、当該エピトープに特有の空間的配置にある 3個のアミノ酸からなっていてもよい。一般的には、エピトープは、少なくとも 5個、より通常には少なくとも約8〜10個のかかるアミノ酸からなる。かかる アミノ酸の空間的配置は当該分野で知られている。 免疫学的目的のために、タンデム−リピート(tandem-repeat)ポリペプチド 断片を免疫原として用いてもよく、そのことにより非常に抗原的な蛋白が生産さ れる。また、かかるポリペプチドは、特異的結合に関して非常に効果的な競争物 質として役立つであろう。MTSポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的 な抗体の製造を後述する。 さらに本発明は、MTSポリペプチドおよびフラグメントはらなる融合ポリペ プチドを提供する。2種またはそれ以上のMTSポリペプチド配列間で、または MTSと関連蛋白との間で同種のポリペプチドを融合させることができる。同様 に、誘導体蛋白の混合した特性または活性を示す異種の融合物を構築してもよい 。例えば、リガンド結合または他のドメインを、異なる新たな融合ポリペプチド またはフラグメントとの間で「交換」してもよい。かかる同種または異種の融合 ポリペプチドは、例えば、変化した結合強度または特異性を示す可能性がある。 融合パートナーは、免疫グロブリン、細菌のβ−ガラクトシダーゼ、trpE、 蛋白A、β−ラクタマーゼ、アルファアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ お よび酵母・アルファ接合因子を包含する。例えば、ゴドウスキ(Godowski)ら, 1988年参照。 典型的には、下記組み換え核酸法により融合蛋白を製造してもよく、あるいは 化学合成してもよい。ポリペプチド合成法は、例えば、メリフィールド(Merrif ield),1963年において記載されている。 「蛋白の精製」は、MTSをコードしている組み換え型核酸で形質転換された 細胞由来のごとき、他の生物学的物質からMTSポリペプチドを単離する種々の 方法をいい、それらは当該分野においてよく知られている。例えば、かかるポリ ペプチドを、例えば本発明により提供される抗体を用いる免疫アフィニティーク ロマトグラフィーにより精製してもよい。蛋白精製のための種々の方法が当該分 野で知られており、ドイチャー(Deutscher),1990年およびスコウプス(S copes),1992年において記載された方法を包含する。 「単離された」、「実質的に純粋な」および「実質的に均一な」なる用語は、 天然の状態において付随している成分から分離された蛋白またはポリペプチドを いうために適宜用いられる。少なくとも試料の約60ないし75%が単一のポリ ペプチド配列を示す場合、単量体蛋白は実質的に純粋である。典型的には、実質 的に純粋な蛋白は、約60ないし90% W/Wの蛋白試料からなり、より通常 には約95%、そして好ましくは約99%以上の純度である。蛋白の純度または 均一性を当該分野で知られた多くの手段、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気 泳動を行って、次いでゲルを染色することにより単一のポリペプチドのバンドを 可視化することにより示すことができる。ある目的には、HPLCまたは当該分 野で知られた精製に用いる他の手段を用いることにより、より高度な分離を行っ てもよい。 MTS蛋白は、天然において付随している汚染物質から分離された場合、実質 的に天然において付随している成分を含まない。よって、化学合成または天然に おける起源とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、実質的には、 天然において付随している成分を含まないであろう。さらに、当該分野において 知られた蛋白精製法を用いる単離により、蛋白から天然において付随している成 分を除去してもよい。 たとえ同種の細胞タイプにおいて発現されたとしても、単離または操作された 遺伝配列の発現産物して生産されたポリペプチドを、本明細書においては「単離 ポリペプチド」という。異種細胞により合成的に作られた形態または分子は、本 質的に単離分子である。 「組み換え型核酸」は、天然には存在しないかまたは配列の2個の別個の断片 の人工的組み合わせにより調製される核酸である。この人工的な組み合わせは、 しばしば、化学合成法もしくは核酸の単離断片の人工的操作、例えば遺伝子工学 的手法により行われる。通常は、かかる人工的操作は、コドンを、同じかまたは 保存的アミノ酸をコードしている縮重コドンに置き換えるものであるが、典型的 には、配列認識部位の導入または除去である。また、かかる人工的操作を行って 、所望機能の核酸断片を結合させて所望の機能の組み合わせを発揮させるように する。 「調節配列」は、通常は、遺伝子の発現に影響する遺伝子座のコーディング領 域の10Kb以内の配列をいう(遺伝子の転写、およびmRNAの翻訳、スプラ イシング、安定性等を含む)。 「実質的に相同または同様」他の核酸(またはその相補鎖)とともに適当に並 べた場合に(適当なヌクレオチドの挿入または欠失を有するが)、ヌクレオチド 配列の同一性が少なくとも約60%のヌクレオチド塩基、通常は約70%、よち 通常には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは 少なくとも95〜98%においてあるならば、核酸またはそのフラグメントは互 いに「実質的に相同」である(または「実質的に同様」である)。 また、核酸またはそのフラグメントが、選択的ハイブリダイゼーション条件下 で、別の核酸(またはその相補鎖)にハイブリダイズする場合、鎖またはその相 補鎖に対して実質的な相同性または(同様であること)が存在する。特異性が全 く欠如している場合よりも実質的に選択的なハイブリダイゼーションが起こる場 合、ハイブリダイゼーションの選択性が存在する。典型的には、少なくとも約1 4個のヌクレオチドにおいてその約55%、好ましくは少なくとも約65%、 より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%が相同 的である場合に、選択的ハイブリダイゼーションが起こるであろう。カネヒサ( Kanehisa),1984年参照。説明したように、相同性の比較を行う長さは、長 い鎖であってよく、ある具体例においては、少なくとも約9個のヌクレオチド、 通常は少なくとも約20個のヌクレオチド、より通常には少なくとも約24個の ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28個のヌクレオチド、より典型的には 少なくとも約32ヌクレオチド、そして好ましくは少なくとも約36個のヌクレ オチドである。 核酸のハイブリダイゼーションは、相補鎖の塩基組成、長さ、およびハイブリ ダイズする核酸との間のミスマッチヌクレオチド塩基数のほかに、塩濃度、温度 、または有機溶媒のごとき条件(それらは当業者により容易に認識される)によ り影響を受けるであろう。一般的に、緊縮温度条件は、30℃以上、典型的には 37℃以上、好ましくは45℃以上の温度を包含する。通常は、緊縮塩条件は、 1000mM以下、典型的には500mM以下、好ましくは200mM以下であ る。しかしながら、パラメーターの組み合わせは、いかなる単一のパラメーター の測定よりも重要である。例えば、ウェトムーア(Wetmur)およびデイビドソン (Davidson),1968年参照。 プローブの配列も、ある条件下においては二重鎖DNAに特異的にハイブルダ イズして三重鎖または高次DNA複合体を形成しうる。かかるプローブの調製お よび適当なハイブリダイゼーション条件は当該分野において知られている。 「実質的な相同性」または「実質的な同一性」なる用語は、ポリペプチドにつ いていう場合には、対象とするポリペプチドまたは蛋白が、天然の蛋白全体また はその一部に対して少なくとも約30%、通常は少なくとも約70%、好ましく は少なくとも約95%の同一性を有することを示す。 「実質的に同様の機能」は、野生型MTS核酸または野生型MTSポリペプチ ドに関する、修飾された核酸または修飾された蛋白の機能をいう。修飾されたポ リペプチドは実質的に野生型のMTSポリペプチドに対して相同的であり、実質 的に同じ機能、すなわち、Cdk、特にCdk4の阻害機能を有するであろう。 修飾されたポリペプチドは変化したアミノ酸配列を有していてもよく、さらに/ または修飾されたアミノ酸を含んでいてもよい。Cdkを阻害する機能のほかに 、修飾されたポリペプチドは、長い半減期のごとき他の有用な特性を有していて もよい。修飾されたポリペプチドのCdk阻害活性は、実質的に野生型MTSポ リペプチドの活性と同じであってもよい。また、修飾されたポリペプチドのCd k阻害活性は野生型MTSポリペプチドの活性よりも高くてもよい。修飾された ポリペプチドは慣用的方法を用いて合成され、あるいは修飾された核酸によりコ ードされており、慣用的方法を用いて製造される。修飾された核酸は慣用的な方 法により製造される。野生型MTS遺伝子機能と実質的に同じ機能を有する核酸 は、上記修飾された蛋白を生じる。 典型的には、ポリペプチドに関する相同性は、配列分析ソフトウェアを用いて 測定される。例えば、ザ・シークエンス・アナリシス・ソフトウェア・パッケー ジ・オブ・ザ・ジェネティクス・コンピューター・グループ,ユニバーシティー ・オブ・ウィスコンシン・バイオテクノロジー・センター,910 ユニバーシ ティー・アベニュー・マディソン・ウィスコンシン53705(the sequence A nalysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of W isconsin Biotechno1ogy Center,910 University Avenue,Madison,Wisconsin 53705)参照。蛋白分析ソフトウェアは、種々の置換、欠失および他の修飾に割 り当てられた相同性の測定値を用いて同様の配列をマッチさせる。典型的には、 保存的置換は以下のグループ内での置換を包含する:グリシン、アラニン;バリ ン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、 グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニ ン、チロシン。 ポリペプチドの「フラグメント」、「一部」または「断片」は、少なくとも約 5ないし7個、しばしば少なくとも約7ないし9個のアミノ酸、典型的には少な くとも約9ないし13個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも約20ないし3 0個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基の並びである。 本発明ポリペプチドは、可溶性である場合、固相支持体、例えば、ニトロセル ロース、ナイロン、カラム充填剤(例えばセファロースビーズ)、磁性ビーズ、 グラスウール、プラスチック、金属ポリマーゲル、細胞、または他の物質にカッ プリングさせてもよい。かかる支持体は、例えば、ビーズ、ウェル、計量棒また は膜の形態であってもよい。 「標的領域」は、増幅および/または検出される核酸の領域をいう。用語「標 的配列」は、所望条件下において、プローブまたはプライマーが安定なハイブリ ッドを形成する配列をいう。 本発明の実施には、特記しないかぎり、化学、分子生物学、微生物学、組み換 えDNA、遺伝学、および免疫学の慣用的方法を用いる。例えば、マニアティス (Maniatis),1982年;サムブルック(Sambrook)ら,1981年;アウス ベル(Ausbel)ら,1992年;グロバー(Glover),1985年;アナンド( Anand),1992年;グスリー(Guthrie)およびフィンク(Fink),1991 年参照。ヒト・染色体9pのマッピングをはじめとするヒト・遺伝子のマッピン グに関する方法および材料の議論は、例えば、ホワイト(White)およびラロウ エル(Lalouel),1988年にある。組換えまたは化学合成核酸の調製;ベクター、形質転換、宿主細胞 本発明の多量のポリヌクレオチドは、適当な宿主細胞中で複製させることによ って製造することができる。所望の断片をコードする天然または合成のポリヌク レオチド断片は、原核生物または真核生物細胞に導入できかつその中で複製でき る、通常はDNA構築物である組換えポリヌクレオチド構築物中に導入されよう 。通常は、ポリヌクレオチド構築物は、酵母または細菌のごとき単細胞生物宿主 中での複製に適しているであろうが、(ゲノム内へ組み込まれるか組み込まれな いかの)培養哺乳動物もしくは植物または他の真核生物の細胞系への導入も目的 とし得る。本発明の方法により作製した核酸の精製は、例えば、サムブルック( Sambrook)ら,1989年またはアウスベル(Ausubel)ら,1992年に記載 されている。 また、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、ビューケッジ(Beaucage)およ びカルサーズ(Carruthers)、1981年により記載されているホスホルアミダ イト法またはマテューチ(Matteucci)ら、1981年によるトリエステル法に よるような化学合成によっても作製でき、市販されている自動オリゴヌクレオチ ド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片は、相補鎖を合成し、適当な条件 下で該鎖を共にアニーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共にDN Aポリメラーゼを用いて相補鎖を付加するかによって、化学合成した一本鎖生成 物から得ることもできる。 原核生物または真核生物宿主へ導入するために調製したポリヌクレオチド構築 物は、所望のポリペプチドをコードする目的のポリヌクレオチド断片を含む、宿 主により認識される複製系よりなっていてもよく、好ましくは、該ポリペプチド コードセグメントに作動可能に連結された転写および翻訳開始調節配列も含むで あろう。発現ベクターには、例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライシン グ部位、ポリアデニル化部位、ターミネーター配列およびmRNA安定化配列の ごとき、複製開始点または自律複製配列(ARS)および発現制御配列、プロモ ーター、エンハンサー、ならびに必要なプロセシング配列が含まれていてもよい 。分泌シグナルには、適当には、蛋白質を、細胞膜を通過および/または停留さ せることができ、かくしてその機能的局所解剖学が達成できる天然のMTS蛋白 質もしくは他の受容体または同種もしくは関連種の分泌ポリペプチドのいずれか 由来のもの、あるいは細胞から分泌されるものが包含されうる。かかるベクター は、当該分野でよく知られていて、例えば、サムブルック(Sambrook)ら,19 89年またはアウスベル(Ausubel)ら,1992年に論じられている標準的な 組換え技術の手段によって調製できる。 適当なプロモーターおよび他の必要なベクター配列の選択は、宿主で機能する ように選択され、適当には、MTS遺伝子と本来的に関連するものを含んでいて もよい。細胞系および発現ベクターの作動可能な組合せの例は、サムブルック( Sambrook)ら、1989年またはアウスベル(Ausubel)ら、1992年に記載 されている;また、例えば、メッツガー(Metzger)ら、1988年も参照せよ 。多くの有用なベクターが当該分野で知られており、ストラタジーン(Stratage ne)社、ニュー・イングランド・バイオラボス(New England Biolabs)社、プ ロメガ・ バイオテック(Promega Biotech)社および他社のごとき販売業者から得ること ができる。trp、lacおよびファージプロモーター、tRNAプロモーター および糖分解酵素プロモーターのごときプロモーターは、原核生物宿主に用いる ことができる。有用な酵母プロモーターには、メタロチオネイン、3-ホスホグ リセレート・キナーゼまたはエノラーゼもしくはグリセルアルデヒド-3-ホスフ ェートデヒドロゲナーゼのごとき他の糖分解酵素、マルトースおよびガラクトー ス利用に関与する酵素のプロモーター領域ならびに他のもののプロモーター領域 が含まれる。酵母発現に用いるのに適応なベクターおよびプロモーターは、さら にヒッツェマン(Hitzeman)ら,EP73,675Aにも記載されている。適当 な非-天然哺乳動物プロモーターには、SV40からの初期および後期プロモー ター(フィアーズ(Fiers)ら,1978年)、またはマウスモロニ−白血病ウ イルス、マウス腫瘍ウイルス、ニワトリ肉腫ウイルス、アデノウイルスII、ウシ 乳頭腫ウイルスまたはポリオーマウイルス由来のプロモーターが含まれていても よい。さらに、複数コピーの遺伝子が生成され得るように(例えば、DHFRの ような)増幅性遺伝子に該構築物を連結させてもよい。適当なエンハンサーおよ び他の発現制御配列については、例えば、「エンハンサーおよび真核生物遺伝子 の発現(Enhancers and Eukaryotic Gene Expression)」、ニューヨーク州、コ ールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Habor,New York)、コールド・ スプリング・ハーバー・プレス(Cold Spring Harbor Press)社(1983年) も参照。 かかる発現ベクターは、自律的に複製させることもできるが、当該分野でよく 知られている方法によって、宿主細胞のゲノムに挿入することによってそれらを 複製させることもできる。 発現およびクローニング用のベクターには、当該ベクターで形質転換した宿主 細胞の生存または増殖に必要な蛋白質をコードする遺伝子である選択マーカーが 含まれるのが適当であろう。この遺伝子が存在することにより、挿入物を発現す る宿主細胞のみの増殖が保証される。典型的な選択遺伝子は、a)例えば、アン ピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート他のような抗生物質またはその他の 毒性物質に対する耐性を付与する;b)栄養要求欠損を相補する、またはc)例 えば、バチルス(Bacillus)属についてD-アラニンラセマーゼをコードする遺 伝子のような、複合培地から利用できない重要な栄養物を供給する蛋白質をコー ドしている。適当な選択マーカーの選択は、宿主細胞に依存し、異なった宿主に 対する適当なマーカーは当該分野でよく知られている。 目的の核酸を含有するベクターは、イン・ビトロ(invitro)で転写して、得 られたRNAを、例えば、注射(ティー・クボ(T.Kubo)ら、1988年参照) のようなよく知られている方法によって宿主細胞に導入できる。あるいは、該ベ クターは、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸 カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いたトランスフェクシ ョン;マイクロプロジェクタイル衝突(microprojectile bombardment);リポ フェクション;(レトロウイルスゲノムのごとき、ベクターが感染因子である) 感染;および他の方法を含む、細胞性宿主のタイプによって変動する当該分野で よく知られた方法によって宿主細胞に直接導入できる(一般的には、サムブルッ ク(Sambrook)ら,1989年およびアウスベル(Ausubel)ら,1992年参 照)。とりわけ、前記のものを含む当該分野で知られているいずれかの方法によ るポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、「形質転換」として本明細書中では 示す。その中に前記の核酸を導入した細胞は、かかる細胞の子孫をも含むことを 意味する。 大量の本発明の核酸およびポリペプチドは、適合する原核生物または真核生物 宿主の細胞において、ベクターまたは他の発現ビヒクル中でMTS核酸またはそ の一部分を発現させることによって調製できる。最も一般に用いる原核生物宿主 は、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)またはシュードモーナス(Pse udomonas)を用いてもよいが、エスシェリヒア・コリ(Escherichia coli)の株 である。 酵母、糸状菌、植物、昆虫、または両生類もしくは鳥類のごとき、哺乳動物ま たは他の真核生物ぼ宿主細胞も、本発明の蛋白質の産生に有用となり得る。培養 における哺乳動物細胞の増殖性は、本質的によく知られている(ジャコビー(Ja koby)およびパスタン(Pastan)(編)1979年参照)。一般的に用いられる 哺乳動物宿主細胞系の例は、例えば、高発現性、所望のグリコシレーションパタ ーンまたは他の特徴を提供するのに適当となり得る他の細胞系も熟練実施者によ って称賛されるであろうが、VEROおよびHeLa細胞、チャイニーズ・ハムスタ ー卵巣(CHO)細胞およびWI38、BHKならびにCOS細胞系である。 クローンは、ベクター構築の様式に依存するマーカーを用いることによって選 抜する。マーカーは、同一または異なったDNA分子上にあってもよいが、同一 のDNA分子にあるのが好ましい。原核生物宿主においては、例えば、アンピシ リン、テトラサイクリンまたは他の抗生物質に対する耐性によって、形質転換体 を選抜することができる。温度感受性に基づく特定の生成物の産生を、適当なマ ーカーとして供することもできる。 本発明のポリヌクレオチドで形質転換した真核生物または原核生物の細胞は、 本発明の核酸およびポリペプチドの産生のみならず、例えば、MTSポリペプチ ドの特徴を研究するのにも有用であろう。 アンチセンス・ポリヌクレオチド配列は、MTS遺伝子座の発現を妨害または 低下させるのに有用であり、当業者により理解されるであろう。例えば、MTS 遺伝子座またはMTS領域からの他の配列(特に、MTS遺伝子座側面のもの) の全部または一部分を含むポリヌクレオチドベクターを、アンチセンス向きでプ ロモーターの制御下に配置し、細胞に導入してもよい。かかるアンチセンス構築 物の細胞内での発現によって、MTSの転写および/または翻訳および/または複 製が妨害されるであろう。 サイクリン(cycline)およびCdkは、真核生物における遍在性の細胞周期制御 因子である。かかる蛋白質は、最初に酵母において発見され、海洋性無脊椎動物 、両生類、ならびにネズミ、ウサギおよびヒトを含む哺乳動物においても発見さ れている。1の種の遺伝子配列に基づくプローブおよび/またはプライマーを用 いることにより、他の種において相同性の細胞周期制御配列遺伝子を同定する。 かくして、本明細書に開示するMTS遺伝子配列に基づくプローブおよびプライ マーを用いて、他の種において相同性のMTS遺伝子配列および蛋白質を同定す る。これらのTMS遺伝子配列および蛋白質は、それらが単離された種について の本明細書に記載した診断/予後、治療および薬剤スクリーニング方法に用いら れる。使用方法;核酸診断および診断キット 患者を癌にし易くするMTS対立遺伝子の存在を検出するためには、血液のご とき生物学的試料を調製し、MTSの感受性対立遺伝子が存在するか否かにつき 分析する。新生物、悪性の前駆障害に向かう進行、または予後指標としての存在 を検出するためには、障害の生物学的試料を調製し、MTSの新生物対立遺伝子 が存在するか否かにつき分析する。これらの試験の結果および解釈的情報は、試 験した患者に対するコミュニケーション用にヘルスケア提供者に戻される。かか る診断は、診断を行う研究室によって行うことができ、または別法として、診断 キットを製造し、ヘルスケア提供者または自己診断用に個人の患者に販売するこ ともできる。 まず、該スクリーニング法には、例えば、PCRによるごとき、関連のMTS 配列の増幅に続くDNA配列分析が含まれる。本発明のもう1つの好ましい具体 例において、該スクリーニング法には、PCRによらない方法が含まれる。かか るスクリーニング法には、当該分野でよく知られている2段階標識増幅方法学が 含まれる。PCRおよびPCRによらないスクリーニング方法は双方とも、高レ ベルの感度で標的配列を検出することができる。 現在用いられる最もポピュラーな方法は、標的増幅である。本発明においては 、標的核酸配列をポリメラーゼで増幅する。ポリメラーゼにより行われる増幅を 用いる1つの特に好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。本 発明の範囲内で目的とする好ましいPCRによる方法を実施例1に提供する。ポ リメラーゼ連鎖反応および他のポリメラーゼにより行われる増幅アッセイにより 、ポリメラーゼにより行われる増幅サイクルの使用を通して、コピー数において 百万倍以上の増加が達成できる。一旦増幅されれば、得られた核酸は、配列決定 するか、またはDNAプローブ用物質として使用できる。 該プローブを(例えば、癌感受性のスクリーニングのように)標的配列の存在 を検出するのに用いる場合、血液または血清のごとき分析すべき生物学的試料を 処理して、所望により、核酸を抽出してもよい。試料核酸は、標的配列の検出を 容易にする種々の方法;例えば、変性、制限消化、電気泳動またはドットブロッ ティ ングで調製してもよい。分析核酸の標的化領域は、通常、少なくとも部分的には 一本鎖であって、プローブの標的配列とハイブリッドを形成しなければならない 。配列が元来一本鎖である場合には、変性させる必要はないであろう。しかしな がら、配列が二本鎖である場合には、配列を恐らくは変性させる必要があるであ ろう。変性は、当該分野で知られている種々の方法によって行うことができる。 分析核酸およびプローブは、プローブ中の標的配列が分析物中の予想標的化配 列と安定なハイブリッドを形成するのを促進する条件下でインキュベートする。 分析物に結合させるのに用いるプローブの領域は、ヒト染色体9pの標的化領域 に対して完全に相補的に作製することができる。したがって、間違ったものを予 防するためには高度な緊縮条件が望ましい。しかしながら、プローブがゲノムに 独特な染色体の領域に相補的である場合にのみ、高度な緊縮条件を用いる。ハイ ブリダイゼーションの緊縮度は、温度、イオン強度、塩基組成、プローブの長さ およびホルムアミドの濃度を含む、ハイブリダイゼーションの間および洗浄工程 の間の多くの要因によって決定する。これらの要因は、例えば、マニアティス( Maniatis)ら、1982年およびサムブルック(Sambrook)ら、1989年に概 説されている。特定の条件下では、三重らせん、四重らせん他のごときさらに高 いオーダーのハイブリッドの形成が、標的配列を検出する手段を提供するのに望 ましい。 得られたハイブリッドを検出する場合には、通常は標識したプローブを用いる ことにより達成される。別法として、該プローブは非標識であってもよく、直接 的または間接的に標識したリガンドとの特異的結合によって検出してもよい。適 当な標識、ならびにプローブおよびリガンドを標識する方法は、当該分野で知ら れており、例えば、(例えば、ニック・トランスレーション、ランダム・プライ ミングまたはキナーゼ処理のような)既知の方法によって取り込ませることがで きる放射性標識物、ビオチン、蛍光性基、(例えば、ジオキセタン、特には励起 ジオキサタンのような)化学発光基、酵素、抗体等が含まれる。この基本スキー ムの変形は当該分野で知られており、外来物質から検出すべきハイブリッドの分 離を容易にし、かつ/または該標識部位からのシグナルを増幅させる変形が含ま れる。多くのこれらの変形が、例えば、マシューズ(Matthews)およびクリッカ (Kricka)、1988年;ランデグレン(Landegren)ら、1988年;ミット リン(Mittlin)、1989年;米国特許第4,868,105号およびEPO公 開第225,807号に概説されている。 前に注記したごとく、本発明においては、非-PCRベースのスクリーニング アッセイも目的としている。例示的な非-PCRベースの方法を実施例15に提 供する。この方法は、核酸プローブ(または正常なホスホジエステルをメチルホ スホネート骨格に置き換えたごときアナログ)を低レベルのDNA標的にハイブ リダイズさせる。このプローブは、共有結合がハイブリダイゼーションの特異性 を妨害しないように、当該プローブに共有結合する酵素を有していてもよい。次 いで、この酵素-プローブ-抱合標的核酸複合体は、遊離プローブ酵素抱合体から 単離され、次いで、酵素検出用に基質が添加される。酵素活性は、感度で103 〜106倍増加する発色またはルミネセント出力の変化として観察する。オリゴ デオキシヌクレオチド-アルカリ性ホスファターゼ・コンジュゲートの調製およ びハイブリダイゼーション・プローブとしてのそれらの使用に関連する例につい ては、ジャブロンスキー(Jablonski)ら、1986年を参照せよ。 二段階標識増幅方法は、当該分野で知られている。これらのアッセイは、(ジ ゴキシゲニン、ビオチン等のごとき)小さなリガンドが、MTSに特異的に結合 できる核酸プローブに結合するという原理に成り立っている。MTS1に対する 例示的なプローブは、配列番号:4のヌクレオチド位置448〜498に相当す る核酸プローブである。対立遺伝子特異的プローブもこの例の範囲内で目的とし ており、例示的な対立遺伝子特異的プローブには、表3に要約した素因性突然変 異および表5に要約した腫瘍中の体細胞突然変異を包含するプローブが含まれる 。 1つの例において、核酸プローブに結合する小さなリガンドは、抗体-酵素抱 合体によって特異的に認識される。この例の1つの具体例において、ジゴキシゲ ニンを核酸プローブに結合させる。ハイブリダーゼーションは、(化学ルミネセ ント基質となる)抗体-アルカリ性ホスファターゼ抱合体によって検出する。こ の具体例による核酸プローブを標識する方法については、マーチン(Martin)ら 、 1990年を参照せよ。第二の例において、小さなリガンドは、一次リガンドに 対して特異的に複合体を形成することができる二次リガンド-酵素抱合体によっ て認識される。この例のよく知られている具体例は、ビオチン-アビジン型の相 互作用である。核酸プローブを標識するための方法およびビオチン-アビジンベ ースのアッセイにおけるそれらの使用については、リグビー(Rigby)ら、19 77年およびヌグーエン(Nguyen)ら(1992年)を参照せよ。 本発明の核酸プローブアッセイがMTS遺伝子を検出することができる核酸プ ローブの混合物を用いることも本発明の範囲内で目的としている。かくして、細 胞試料中のMTS1の存在を検出する1つの例において、MTS1に相補的な1 種より多いプローブを用い、あるいはまた、特に、異なるプローブの数は2、3 または5の異なった核酸プローブ配列である。もう1つの例において、患者のM TS1遺伝子配列中の突然変異の存在を検出するために、MTS1に相補的な1 種をこえるプローブを用い、ここに混合物には、MTS1に変化を有する患者の 集合で同定された対立遺伝子特異的突然変異に結合できるプローブが含まれてい る。この具体例において、いかなる数のプローブも用いることができ、好ましく は、個体に乳癌の素因を与えるものとして同定された主な遺伝子突然変異に対応 するプローブが含まれるであろう。本発明の範囲内で目的する幾つかの候補プロ ーブには、表3および5で同定した対立遺伝子-特異的突然変異を含むプローブ が包含される。使用方法;ペプチド診断および診断キット 新生物状態の障害を、野生-型MTSポリペプチドの変化に基づいて検出する こともできる。かかる変化は、慣用技術による配列分析によって決定できる。さ らに好ましくは、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル抗体)を用いて、 MTSペプチド中の相違、またはMTSペプチドがないことを検出する。本発明 の好ましい具体例において、抗体は、溶液からMTS蛋白質を免疫沈降し、かつ ポリアクリルアミドゲルのウエスタン(Western)ブロットまたはイムノブロッ ト上でMTS蛋白質と反応するであろう。もう1つの好ましい具体例において、 抗体は、免疫組織化学的技術を用いて、パラフィンまたは凍結組織切片中のMT S蛋 白質を検出するであろう。抗体を生成する技術および精製する技術は当該分野で よく知られており、本発明の調製を達成するためにはいずれのかかる技術を選択 してもよい。 MTSまたはその突然変異体を検出する方法に関連する好ましい具体例には、 モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を用いるサンドイッチ法 を含む、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、放射線免疫検定法 (RIA)、免疫放射線検定法(IRMA)および免疫酵素法(IEMA)が含 まれる。典型的なサンドイッチ法は、米国特許第4,376,110号および4, 486,530号(参照により本明細書に取り入れる)にデビッド(David)らに より記載されており、実施例18に例示されている。使用方法:薬剤スクリーニング 本発明は、Cdkポリペプチドまたはその結合断片を種々の薬剤のいずれかを スクリーニングする技術に用いることによって、化合物をスクリーニングするの に特に有用である。好ましくは、Cdk4を利用する。かかる試験に用いるCd kポリペプチドまたはその断片は、固体支持体に付着するか、または細胞表面に 運ばれている溶液中の遊離物であってもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法 は、ポリペプチドまたはその断片を発現する組換えポリヌクレオチドで安定して 形質転換した原核生物または真核生物の宿主細胞を、好ましくは競争的結合アッ セイにおいて利用する。独立または固定した形態のかかる細胞を、標準結合アッ セイに用いることができる。例えば、Cdkポリペプチドまたはその断片と試験 する剤との間のコンプレックスの形成を測定し、Cdkポリペプチドまたはその 断片とMTSポリペプチドまたその断片との間の複合体の形成が、試験する剤に よって妨害される程度を検定することができる。 かくして、本発明は、当該分野でよく知られている方法によって、かかる因子 とCdkポリペプチドまたはその断片とを接触させ、次いで、1)該因子とCd kポリペプチドまたはその断片との間のコンプレックスの存在、または2)Cd kポリペプチドまたはその断片とリガンドとの間のコンプレックスの存在につき アッセイすることを特徴とする薬剤のスクリーニング方法を提供する。さらに、 Cdk活性を測定して因子がCdkを阻害でき、かくして細胞周期を調節できる かをどうか判断する。かかる競争的結合アッセイにおいて、典型的には、Cdk ポリペプチドまたはその断片を標識する。遊離Cdkポリペプチドまたはその断 片を、蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離し、遊離(すなわち、コン プレックスを形成しなかった)標識の量は、各々、試験される因子のCdkに対 する結合またはCdk:MTSポリペプチド結合の妨害の尺度となる。MTSポ リペプチドの小さなペプチド(ペプチド模擬体)をこのように分析して、Cdk 阻害活性を有するものを同定する。 薬剤スクリーニングのもう1つの方法は、Cdkポリペプチドに対して適当な 結合親和性を有する化合物についての高処理量スクリーニングを提供し、ゲイセ ン(Geysen)の1984年9月13日に公開された欧州特許出願番号84/03 664に詳細に記載されている。簡単に言えば、多数の異なった小さなペプチド 試験化合物を、プラスティックのピンまたは他のものの表面のごとき固体支持体 上で合成する。ペプチド試験化合物をCdkポリペプチドと反応させ、洗浄する 。次いで、当該分野でよく知られている方法によって、結合Cdkポリペプチド を検出する。 精製Cdkは、直接、前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプレート上に 被覆することができる。しかしながら、ポリペプチドに対する非-中和抗体を用 いて抗体を捕捉し、Cdkポリペプチドを固相上に固定することができる。 本発明は、競合薬剤スクリーニングアッセイの使用も目的とし、ここにおいて 、Cdkポリペプチドまたはその断片に対する結合性につき、Cdkポリペプチ ドに特異的に結合できる中和抗体と試験化合物とを競争させる。このようにして 、抗体を用いて、Cdkポリペプチドの1またはそれを超える抗原決定部位を有 するいずれのペプチドの存在も検出することができる。 薬剤スクリーニングに関するさらなる技術には、非機能性MTS遺伝子を有す る(前記したごとき)宿主真核生物細胞系または細胞の使用が含まれる。これら の宿主系または細胞は、Cdkレベルでの細胞周期制御が不完全である。宿主細 胞系または細胞は、薬剤化合物の存在下で増殖させる。宿主細胞の増殖速度を測 定 して、該化合物が細胞周期を調節できるかを判断する。増殖速度を測定する1つ の手段は、Cdk、好ましくはCdk4の生物学的活性を測定することによる。使用方法;合理的なドラッグデザイン 合理的なドラッグデザインの目的は、例えば、より活性または安定した形態の ポリペプチド、または例えば、イン・ビボ(in vivo)でポリペプチドの機能を 高めるかもしくは妨害する薬剤を創造するために、それらが相互作用する目的の 生物学的に活性なポリペプチドまたは小分子の構造アナログ(例えば、アゴニス ト、アンタゴニスト、インヒビターのような)を作製することである(例えば、 ホジソン(Hodgson),1991年参照)。1つのアプローチにおいて、最初に (例えば、p16またはCdk4のような)目的の蛋白質、または例えばCdk 4-p16コンプレックスの三次元構造を、x-線結晶学、コンピューター・モデ リングまたは最も典型的には組み合わせたアプローチによって決定する。しばし ばほどではないが、ポリペプチドの構造に関する有用な情報は、相同性蛋白質の 構造に基づくモデリングによって得ることもできる。合理的な薬剤デザインの一 例は、HIVプロテアーゼ・インヒビターの開発である(エリックソン(Ericks on)ら、1990年)。くわえて、(例えば、p16またはCdk4のような) ペプチドは、アラニンスキャン(alanine scan)(ウェルズ(Wells)1991 年)によって分析する。この技術においては、アミノ酸残基をA1aで置換し、ペ プチドの活性に対するその影響を測定する。ペプチドの各アミノ酸残基をこのよ うに分析し、当該ペプチドの重要な領域を決定する。 また、機能性アッセイによって選択した標的-特異的抗体を単離し、次いでそ の結晶構造を解析することもできる。原則として、このアプローチにより、続く 薬剤デザインがベースとできるファーマコア(pharmacore)を得る。機能性の薬 理学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体を生成させることによって 、蛋白質結晶学全体を迂回することができる。鏡像の鏡像として、抗-イディオ タイプ抗体の結合部位は、元の受容体のアナログであると予想されよう。次いで 、抗-イディオタイプ抗体を用いて、化学的または生物学的に生成したペプチド のバンクからペプチドを同定し単離する。次いで、選択されたペプチドは、ファ ー マコアとして作用するであろう。 かくして、例えば、改善されたMTS活性もしくは安定性、またはMTS活性 のインヒビター、アゴニスト、アンタゴニスト他として作用するものを有する薬 剤をデザインすることができる。クローン化MTS配列を入手できることによっ て、十分な量のMTSポリペプチドを入手して、x-線結晶学のような分析研究 を行うことができる。さらに、本明細書中に提供するMTS蛋白質配列の情報は 、x-線結晶学に代えるかまたは加えて、コンピューターモデリング技術を用い ることに導くであろう。使用方法:遺伝子治療 また、本発明により、変異MTS対立遺伝子を有する細胞に野生型MTS機能 を供給する方法も提供される。かかる機能を供給することにより、受容細胞の新 生物増殖が抑制されるであろう。野生型MTS遺伝子または該遺伝子の一部分は 、当該遺伝子を染色体外に維持するようなベクターを用いて細胞に導入できる。 かかる場合において、該遺伝子は、染色体外の位置から、細胞により発現される であろう。突然変異MTS対立遺伝子を有する細胞に遺伝子部分を導入し、発現 させる場合、当該遺伝子部分は細胞の非腫瘍的増殖に必要なMTS蛋白質の一部 分をコードしているべきである。野生型MTS遺伝子またはその一部分が、細胞 に存在する内因的な突然変異MTS遺伝子との組換えが起こるように突然変異細 胞に導入される状況がさらに好ましい。かかる組換えには、MTS遺伝子突然変 異が修正される、二重組換えの発生が必要である。組換えおよび染色体外維持の 双方のための遺伝子導入用のベクターは当該分野で知られており、いずれの適当 なベクターも用いることができる。エレクトロポレーション、リン酸カルシウム 共沈およびウイルス形質導入のごとき、細胞にDNAを導入する方法は当該分野 で知られており、該方法の選択は通常の当業者の能力の範囲内にある。野生型M TS遺伝子で形質転換した細胞は、癌の鎮静およびかかる鎮静を促進する薬剤治 療を研究するためのモデル系として用いることができる。 前記で一般的に論じたごとく、MTS遺伝子またはその断片は、適用できる場 合には、癌細胞においてかかる遺伝子の発現産物量を増加させるために、遺伝子 治療法に用いることができる。かかる遺伝子治療は、正常細胞に比してMTSポ リペプチドのレベルがなくなっているかまたは減少している癌性または前癌性の 細胞の双方における使用に特に適している。また、このことは、「正常な」レベ ルで突然変異遺伝子を発現している癌細胞においてでさえ、得られたMTS遺伝 子の発現レベルを上昇させるのにも有用となり得るが、該遺伝子産物は完全には 機能しない。 遺伝子治療は、例えば、「遺伝病の治療(Therapy for Genetic Disease)」 、ティー・フリードマン(T.Friedman)編、オックスフォード・ユニバーシティ ー・プレス(Oxford University Press)社(1991年)105-121頁に、 フリードマン(Friedman)によって記載されているような、一般的に許容される 方法に従って行われるであろう。患者の腫瘍からの細胞を、まず前記した診断方 法によって分析し、腫瘍細胞におけるMTSポリペプチドの産生を確認する。発 現制御エレメントに連結したMTS遺伝子のコピーを含み、かつ該腫瘍細胞内で 複製できるウイルスまたはプラスミドベクターが好ましい。適当なベクターは、 米国特許第5,252,479号およびPCT国際公開WO93/07282に開 示されたごとく、知られている。次いで、ベクターを腫瘍部位に局所的かまたは (他の部位に転移し得るいずれの腫瘍細胞にも達せさせるためには)全身的に患 者に注射する。トランスフェクションされた遺伝子が各標的化腫瘍細胞のゲノム に恒久的に取り込まれない場合には、該処理を定期的に繰り返すことができる。 MTSポリペプチドは細胞周期の制御に本質的に拘わっているため、当該遺伝子 を取り込んだ全ての細胞によるMTSポリペプチドの構造的発現を避けるために 、MTS遺伝子をそれ自体の調節エレメントと共に導入するのが好ましい。 当該分野で知られている遺伝子転移系は、本発明の遺伝子治療法を実施するの に有用となり得る。これらには、ウイルス的または非ウイルス的なトランスファ ー法が含まれる。パポバウイルス(例えば、SV40、マドザック(Madzak)ら ,1992年のような)、アデノウイルス(バークナー(Berkner),1992 年;バークナー(Berkner)ら,1988年;ゴルジグリア(Gorziglia)および カピキアン(Kapikian),1991年;クオンチン(Quantin)ら,1992年 ;ローゼンフェ ルド(Rosenfeld)ら,1992年;ウィルキンソン(Wilkinson)ら,1992 年;ストラットフォード(Stratford)-ペリコーデット(Perricaudet)ら,1 991年のような)、ワクシニアウイルス(モス(Moss),1992年のような )、アデノウイルス伴生ウイルス(ムジクツカ(Muzyczka),1992年;オー イ(Ohi)ら,1990年のような)、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイ ルス(マルゴルスキー(Margolskee),1992年;ジョンソン(Johnson)ら ,1992年;フィンク(Fink)ら,1992年;ブレックフィールド(Breakf ield)およびゲラー(Geller),1987年;フリース(Freese)ら,1990 年のような)、ならびに鳥類(ブランディオパドヒエイ(Brandyopadhyay)およ びテミン(Temin),1984年;ペトロポウロス(Petropoulos)ら,1992 年のような)、齧歯類(ミラー(Miller),1992年;ミラー(Miller)ら, 1985年;ソルジェ(Sorge)ら,1984年:マン(Mann)およびバルチモ ア(Baltimore),1985年;ミラー(Miller)ら,1988年のような)お よびヒト(シマダ(Shimada)ら,1991年;ヘルセス(Helseth)ら,199 0年;ページ(Page)ら,1990年;ブックシャッヒャー(Buchschacher)お よびパンガニバン(Panganiban),1992年のような)起源のレトロウイルス を含む数多くのウイルスが、遺伝子トランスファーベクターとして用いられてき た。ほとんどのヒトの遺伝子治療プロトコールは、無能化した齧歯類のレトロウ イルスに基づいていた。 当該分野で知られている非ウイルス遺伝子トランスファー法には、リン酸カル シウム共沈(グラハム(Graham)およびホン・デル・エブ(von der Eb),19 73年;ペリセル(Pellicer)ら,1980年のような)のごとき化学的技術; 例えば、マイクロインジェクション(アンダーソン(Anderson)ら,1980年 ;ゴードン(Gordon)ら,1980年;ブリンスター(Brinster)ら,1981 年;コンスタンチーニ(Constantini)およびレイシー(Lacy),1981年の ような);リポソームを介した膜融合による転移(フェルグナー(Felgner)ら ,1987年;ウォン(Wang)およびファン(Huang),1989年;カネダ(K aneda)ら,1989年;スチュアート(Stewart)ら,1992年;ナーベル( Nabel)ら,1990年;リム(Lim)ら,1992年のような);ならびに直接 DNA取り込み(ウォルフ(Wolff) ら,1990年;ウ(Wu)ら,1991年;ゼンケ(Zenke)ら,1990年; ウ(Wu)ら,1989年b;ウォルフ(Wolff)ら,1991年;ワグナー(Wag ner)ら,1990年;ワグナー(Wagner)ら,1991年;コッテン(Cotten )ら,1990年;クリエル(Curiel)ら,1991年a;クリエル(Curiel) ら,1991年bのような)のごとき機械的技術、ならびに受容体-媒介DNA トランスファーのような機械的技術が含まれる。ウイルスにより媒介される遺伝 子転移は、リポソーム・デリバリーを用いた直接イン・ビボ遺伝子転移と組み合 わせることができ、ウイルスベクターを周囲の非分裂細胞ではなく腫瘍細胞に向 けることが可能となる。別法として、レトロウイルスベクター産生細胞系を腫瘍 に注射することもできる(カルバー(Culver)ら,1992年)。産生細胞が注 射されれば、ベクター粒子の連続的な源が提供される。この技術は、手術不可能 な脳腫瘍を患ったヒトでの使用が認可されている。 生物学的および物理学的な遺伝子トランンスファー法を合わせたアプローチに おいて、いずれかのサイズのプラスミドDNAを、アデノウイルス・ヘキソン蛋 白質に特異的なポリリジン抱合抗体と組み合わせると、得られた複合体がアデノ ウイルスベクターに結合する。次いで、三分子複合体を用いて細胞に感染させる 。アデノウイルスベクターにより、カップリングしたDNAが損傷される前に、 効率的な結合、内在化、およびエンドソーム分解が可能となる。 リポソーム/DNAコンプレックスは、直接イン・ビボの遺伝子転移を媒介で きることが示されている。標準的なリポソーム調製物においては、遺伝子転移プ ロセスが非特異的であるにも拘わらず、局在化されたインビボ(in vivo)の取 り込みおよび発現が、例えば、直接インサイチュ(in situ)投与の後に、腫瘍 沈着物で報告されている(ナーベル(Nabel),1992年)。使用方法:ペプチド治療 MTS活性を有するペプチドは、突然変異または欠損MTS対立遺伝子を有す る細胞に供給することができる。MTS蛋白質の配列を開示する(配列番号:2 、配列番号:14および配列番号:16)。蛋白質は、例えば、知られている発 現ベクターを用いて、細菌中でcDNA配列を発現させることによって産生でき る。 別法として、MTSポリペプチドは、MTS-産生哺乳動物細胞から抽出するこ ともできる。さらに、合成化学の技術を用いてMTS蛋白質を合成することもで きる。いずれかのかかる技術により、MTS蛋白質よりなる本発明の調製が提供 できる。該調製物には、実質的に他のヒト蛋白質が含まれていない。このことは 、微生物中またはイン・ビトロにおける合成により最も容易に達成される。 活性MTS分子は、例えば、マイクロインジェクションまたはリポソームを使 用することによって細胞に導入できる。別法として、ある種の活性分子も、能動 的または拡散によって、細胞によって取り込まれ得る。MTS遺伝子産物の細胞 外の適用は、腫瘍の増殖に十分に影響し得る。MTS活性を有する分子の供給は 、新生物状態の部分的な逆転を導くであろう。(例えば、ペプチド、薬剤または 有機化合物のような)MTS活性を有する他の分子を用いて、かかる逆転に作用 させてもよい。実質的に同様な機能を有する修飾ポリペプチドもペプチド治療に 用いられる。使用方法:形質転換宿主 同様に、突然変異MTS対立遺伝子を有する細胞および動物を、治療剤として の潜在的可能性性を有する物質を研究し試験するモデル系として用いることがで きる。細胞は、典型的には培養上皮細胞である。これらを、体細胞または生殖系 列のいずれかのMTS変異を有する患者から単離できる。別法として、該細胞系 は、前記したごとく、MTS対立遺伝子に突然変異を有するように設計すること もできる。試験物質を細胞に適用した後に、該細胞の新生物的な形質転換表現型 を測定する。ヌードマウスにおける足場-依存性増殖、腫瘍形成性、細胞の侵入 性、ならびに成長因子依存性を含む、腫瘍形成的に形質転換した細胞のいかなる 特性も評価することができる。これらの各特性のためのアッセイは、当該分野で 知られている。 治療剤試験用の動物は、動物全体を突然変異誘発した後か、または生殖系細胞 もしくは接合子を処理した後に選択できる。かかる処理には、通常は第二の動物 種からの変異MTS対立遺伝子の挿入、ならびに崩壊した相同性遺伝子の挿入が 含まれる。別法として、動物の内因性MTS遺伝子(群)を、挿入もしくは欠損 突 然変異または慣用技術を用いた他の遺伝子変性によって崩壊させてもよい(カペ ッチ(Capecchi),1989年;バランシウス(Valancius)およびスミシーズ (Smithies),1991年;ハスティー(Hasty)ら,1991年;シンカイ(S hinkai)ら,1992年;モンバーツ(Mombaerts)ら,1992年;フィルポ ット(Philpott)ら,1992年;スノーワート(Snouwaert)ら,1992年 ;ドーネホウアー(Donehower)ら,1992年)。試験物質を動物に投与した 後に、腫瘍の増殖を評価しなければならない。試験物質が腫瘍の増殖を阻害また は抑制する場合には、その試験物質は本明細書で同定した癌を治療するための治 療剤の候補である。本発明は、以下の実施例を参照することにより説明されるが 、例示的な方法によって説明されているのであって、いかなる場合においても本 発明を限定することを意図するものではない。当該分野でよく知られている標準 的技術または以下に特記する技術を用いた。 実施例1 材料および方法 A.MTS家系 図1A〜1Dは、それぞれ血族3137、3161、3355および1771 を示す。該図面には、これらの血族における癌の発生が示されている。血族31 37におけるすべてのメラノーマは感受性ハロタイプを担持する。この血族につ いて、該感受性ハロタイプを担持する他の癌も示されている。血族3161およ び3355におけるすべてのメラノーマは、感受性ハロタイプを担持する。血族 1771における癌について、MTS中の変異を同定した。 B.腫瘍細胞系 ルドビグ・インスティチュート・フォー・キャンサー・リサーチ、メモリアル ・スローン−ケタリング・キャンサー・センター(Ludwig Institute for Cance r Research,Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)より76個のメラノー マ細胞系を得、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Typ e Culture Collection(ATCC))より8個のメラノーマ細胞系および5個の非メ ラ ノーマ系を得た。 C.腫瘍細胞系DNAの調製および分析 約1×107個の細胞を3mlの溶菌緩衝液(0.1M NaCl;0.1Mトリ スHCl pH8.0;5mM EDTA;0.5%SDS)に加え、ついでボルテッ クスおよびインキュベート(65℃、30分間)することにより、細胞系からD NAを単離した。0.5mlの8M KOAcを加え、該反応液を混合し、氷上で 30分間インキュベートした。遠心分離(10,000×gで5分間)した後、 等容量の95%エタノールで上清を沈殿させ、再度遠心分離した(10,000 ×gで15分間)。該DNAを50〜200mlのH2Oに再懸濁した。 D.PCR反応 0.1mM dNTP、10mMトリス−HCl(pH8.3)、50mM KC l、20mM MgCl2、0.01%ゼラチンおよび1単位のアンプリタック・ ポリメラーゼ(Amplitaq polymerae)(パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)) を含有する20mlの反応混合物中の30pmolの各オリゴヌクレオチドプラ イマーに50ngの鋳型を加えた。パーキン−エルマー9600サーマルサイク ラー中、94℃で10秒間、55℃で10秒間および72℃で10秒間、サンプ ルを35回循環させた。1.5%アガロース(シーケム(SeaKem))または3% ヌシーブ(NuSieve)3:1アガロース(FMCバイオプロダクツ(BioProducts ))のいずれかによる電気泳動の後、エチジウムブロミド染色により生成物を可 視化した。 E.YAC 上記のPCR条件を用いて、CEPHYACライブラリーをIFNA、D9S 171およびD9S126でスクリーニングすることにより、MTS領域中にマ ーカーを含有する酵母人工染色体(YAC)を得た。YACを含有する酵母株を 30℃で3日間、AHC培地(10g/1カゼイン加水分解産物−酸;1.7g /l酵母窒素塩基;5g/l硫酸アンモニウム;20mg/lアデニンヘミサル フェート;2%グルコース;pH=5.8)中で激しく振盪させて増殖させた。 オースベル(Ausubel)ら(1992)の記載のとおりに酵母DNAを調製した 。 F.ファージライブラリーの構築 YACDNAを含有する酵母ゲノムDNAをBamHIで消化して完成させ、 T4DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム(Boehringer-Mannheim))を用 いてBamHI−消化EMBL3ファージアーム(プロメガ(Promega))に挿 入し、ギガパックIIエクストラクツ(GigapackII extracts)(ストラタジーン (Stratagene))でインビトロパッケージングした。イー・コリ(E.coli )株C600上でファージを増殖させた。32P−標識ヒトC0t−IDNA(ギ ブコ(GIBCO)−BRL)でハイブリダイゼーションすることにより、ヒトDN Aを含有する組換えファージ同定した。YAC左または右アームからの配列を含 有するPCR断片でスクリーニングすることにより、YACベクター(エンドク ローン)に結合したヒト配列を含むファージを同定した。標準的な条件下(ミド ルトン(Middleton)ら、1991)で、ハイブリダイゼーションおよび洗浄を 行った。陽性プラークを拾い上げ、再び3回平板培養することにより精製した。 キアエックス(Qiaex)カラム(キアゲン(Qiagen))を用いてファージDNA を調製した。 G.コスミドライブラリーの構築 YAC DNAを含有する酵母ゲノムDNAをSau3Aで部分消化し、直線 (10〜40%)ショ糖勾配上で大きさにより分画した(マニアティス(Maniat is)ら、1982に記載のとおりに行う)。製造業者の指示に従い、スーパーコ ス(SuperCos)1コスミドベクター(ストラタジーン(Stratagene))を調製し 、質量比4:1(挿入:ベクター)で挿入DNAと混合し、リガーゼで処理し、 上記のとおりインビトロパッケージングした。コスミドをDH5α宿主細胞に導 入し、15cmペトリ皿当たり2000コロニーの密度で平板培養した。上記お よびマニアティス(Maniatis)ら、1982に記載のとおり、コロニーハイブリ ダイゼーションを行った。 H.P1クローン ゲノム・システムズ・インコーポレーティッド(Genome Systems,Inc.)(ミ ズリー州セントルイス)から、本明細書中に記載のとおりに調製されたSTSで スクリーニングすることにより、MTS領域に及ぶP1クローンを得た。アルカ リ溶解(バーンボイム(Birnboim)およびドリー(Doly)、1979)、ついで 塩化セシウム勾配遠心分離(マニアティス(Maniatis)ら、1982)により、 これらのクローンからのDNAを単離した。 I.STSの作成 P1ベクター(pSacBII)、スーパーコス(SuperCos)1ベクターまたはEM BL3ベクターのクローニング部位に隣接する配列に相補性のオリゴヌクレオチ ドで1.0mgのP1、コスミドまたは鋳型DNAを配列決定することにより、 STSを作成した。プリズム・レディー・リアクション・ダイデオキシ・ターミ ネーター・サイクル・シークエンシング・キット(PRISM Ready DyeDeoxy Termi nator Cycle Sequencing Kit(ABI)を有するABI373ADNA配列決定シ ステム上で配列決定を行った。20bp長に可能な限り近くなり、60℃に可能 な限り近い融解温度を有するようにSTSを設計した。 J.メラノーマー傾向血族におけるMTS1中の生殖系列変異 標準的な方法を用いることにより、キャリヤー個体からのゲノムDNAを血液 から調製した。各サンプルからの20ngDNAを用いてMTS1からのコーデ ィングエキソン1または2を、あるいはMTS2からのコーディングエキソン2 を増幅するためにイントロン位置でプライマーを設計した。PCR反応では標準 緩衝液を使用した(ただし、DMSOを最終濃度5%になるまで加えた)。該配 列の異なる点に位置したプライマーを使用し、増幅された生成物上でα−P32− dATPを用いて循環配列決定反応を行った。すべての(A)反応物、ついで( C)反応物等を並べて載せることにより、6%変性ポリアクリルアミドゲル上で 該配列決定生成物を分析した。反対の鎖の配列分析によりすべての多形性が確認 された。 実施例2 遺伝的に連鎖したマーカーを用いるMTSの位置決定 9p21領域中のホモ接合欠失について腫瘍細胞系を分析するために、MTS に連鎖していることが知られている1組のマーカーを使用した。これらのマーカ ーはもともと、10個のユタ血族および1個のテキサス血族におけるメラノーマ 素因の劇的な連鎖(LOD得点=12.7)を示すために使用された(キャノン ーアルブライト(Cannon-Albright)ら、1992)。該マーカーは、試験した 最も遠位のマーカーであるα−インターフェロン遺伝子クラスター(IFNA) (クウィアトコウスキー(Kwiatkowski)およびディアズ(Diaz)、1992) からの配列、近位のマーカー(D9S104)および両者間の4個の追加マーカ ー(D9S171、D9S126、D9S161およびD9S169)を含んで いた(キャノン−アルブライト(Cannon-Albright)ら、1992)。遺伝的研 究から、該介在マーカーの直線配列はD9S171、D9S126、D9S16 1、D9S169であると考えられた。該IFNAマーカーは、野生型ゲノムD NAから2個の断片[すなわちポリ(CA)の広がりを含有する約138〜15 0bpの多形性断片(IFNA−1)および約120bpの非変異断片(IFN A−s)]を増幅したオリゴヌクレオチドプライマー対よりなるものであった。 IFNA−1に関するIFNA−sの位置は不明であった。 欠失を含有すると既に報告されている5個の非メラノーマ腫瘍細胞系を、遺伝 マーカーを用いて分析した。各細胞系は、試験したマーカーの少なくとも1個の ホモ接合欠失を示した(表1)。D9S161、D9S169またはD9S10 4を使用することによってはホモ接合欠失は全く同定されなかった。これらの欠 失の間の重なりの最小領域は、IFNA−1およびD9S171に隣接していた 。これは、これらの2個のマーカーの間の領域が腫瘍抑制、おそらくMTSに関 連した遺伝子を含有することを示唆する。ついで、D9S171とIFNA−1 との間の、特にIFNA−sに隣接したゲノム領域をさらに詳細に研究した。 実施例3 MTS領域におけるゲノムクローン IFNA−sを包囲する領域のゲノムクローンを得るために、CEPHYAC ライブラリーをスクリーニングした(コーエン(Cohen)ら、1993)。D9 S171マーカーを含有する11個のYACおよびIFNA−sを含有する5個 のYACを同定した。D9S171およびIFNA−sの両方を含むYACは全 く単離されなかった(図2)。YACクローン(C9、C6、F9)の3個をフ ァージ中にサブクローニングし、1個のYAC(C6)をコスミドベクター中に サブクローニングした。これらおよびコスミドクローンは、公知の遺伝マーカー に本質的なSTSを生成し下記の染色体歩行を促進する便宜な方法を提供した。 該領域の近隣のゲノム地図の構築のための独立したゲノムDNA源を提供し、 STSの生成を促進するために、D9S171へ伸長しているIFNA−s、I FNA−sにまでさかのぼって伸長しているD9S171、および両方向のYA CC6末端からのP1クローン中で染色体歩行を開始した。この染色体歩行の 一部として合計27個のP1クローンを単離した(図2)。決定されたP1は、 IFNA−sからD9S171へ2個の間隙を有して伸びる隣接した集合体を形 成した。P1クローンならびに数個のファージおよびコスミドクローンを使用し てMTS領域の詳細な構造地図を得た。 実施例4 MTS領域の詳細な構造分析 MTS領域のより詳細な分子地図を作成するためには追加のマーカーが必要で あった。ゲノムクローンから得られたDNA配列を用いてSTSについてのPC Rプライマーを設計した。これらのSTSは、P1およびYACクローンを制御 するのを助けるのに交替して機能した。IFNA−sとD9S171との間の領 域からの合計54個のSTSは、MTS領域の詳細な物理的地図を展開するため の主要な基礎となった(図2)。これらのSTSプライマー配列は、ゲノム・デ ータベース(Genome Database)に寄託されている。 IFNA−sからD9S171に伸長する新しいマーカーの組を用いて、MT S領域におけるホモ接合欠失について84個のメラノーマ細胞系を試験した。合 計52個の系がホモ接合欠失の領域を示した(図3)。該欠失の幾つかは広範で あり、例えば13個の系が816.7および760−Lの両方を含む領域を失っ ていた。 MTSを位置決定するために、最も情報性に富む腫瘍系を2群に分けた(図3 )。すなわち、i)c5.1の欠失のみを含有するもの(クラス11)、およびi i)c5.3の欠失のみを含有するもの(クラス12)に分けた。合計5個のメラ ノーマ系をこれらの区分に分けた。欠失が検出されたすべての場合で、該欠失は 単純であるようであった。すなわち、IFNA−sとD9S171との間の領域 における複数欠失事象の証拠は全くなかった。全体的に、欠失を含む系は、マー カ−c5.1およびc5.3の周囲に集中した欠失重複の領域を示し、これはIF NA−sからD9S171への領域の完全な物理的地図の展開を不要にする。 実施例5 含有MTSとしてのコスミドc5およびP1コロニーP1062およびP106 3の同定 A.遺伝マーカーの配置 YACクローンの分析および腫瘍細胞系中の欠失の分析により、マーカーの遺 伝配置:IFNA、D9S171、D9S126に一致した結果が得られた。3 個のYACはD9S171およびD9S126の両方を含有していたが、4個の YACはIFNA−1およびIFNA−sを含有していた(図2)。D9S17 1およびIFNAの両方を含有するものはなかった。これは、i)IFNA−1 およびIFNA−sは深く連鎖していること、およびii)D9S126およびD 9S171は連鎖していることを示唆する。これらの結果は細胞系欠失により確 認された。D9S171を欠くほとんどの細胞系はD9S126をも欠いていた 。反対に、系U−87はD9S171およびD9S126について陽性を示した が、IFNA−sおよびIFNA−1を欠いていた(表1)。1個のメラノーマ 細胞系、すなわちSK−MEL−5は、IFNA−s、D9S171およびD9 S126を欠いていたが、IFNA−1は欠いていなかった。したがって、IF NA−1はIFNA−sに対して遠位にあるに違いない。もう1つのメラノーマ 細胞系であるSK−Mel−Zanは、IFNA−1、IFNA−sおよびD9 S171を含むがD9S126を含まず、IFNA−sとD9S126との間に D9S171が位置する欠失を含有していた。総括的には、これらの知見は表1 に示すマーカーの順序を支持する。 ヒトα−インターフェロン遺伝子ファミリーは23個を超える遺伝子および染 色体9pに位置する擬遺伝子よりなる。この遺伝子クラスターはクローニングさ れ、10個の連鎖群に分類されている(ヘンコ(Henco)ら、1985)。連鎖 群は、神経膠腫細胞系における異なるα−インターフェロン配列の欠失喪失の分 析により、部分的に順序付けされている(オロペイド(Olopade)ら、1992 )。神経膠腫系H4は、IFNA−1およびIFNA−sの両方を欠く。また、 それは連鎖群IV(例、α13、α6およびα20)からの配列をも欠く。神経 膠腫 系A172はIFNA−1および連鎖群IVの両方を含有するが、連鎖群I(例 、α1、α19)、III(例、α8)およびIX(例、α2)およびIFNA−s からの配列を欠く。この分析は、IFNA−1を、連鎖群I、IIIおよびIXなら びにIFNA−sに対して遠位に置く。A172欠失の遠位境界は、IFNA− sの遠位の1個のP1長内にマッピングされる。したがって、連鎖群I、IIIお よびIXは、IFNA−sに対して85kb未満の遠位の点に隣接しているに違い ない。 B.遺伝マーカー間の物理的距離 この結果からは、IFNA−sとD9S171との間の距離の正確な推定をす ることができなかった。なぜなら、両マーカーを含有するYACを単離すること ができなかったからである。さらに、STSによるマッピングに基づけば、IF NA−sから遠位に伸長する5個のYACはすべて、D9S171から近位に伸 長する11個のYACのいずれとも重複しなかった。CEPHYAC挿入の長さ が平均すると500kb未満であると仮定すると、IFNA−sとD9S171 との間の距離は少なくともこの大きさであると考えられる。 IFNA−sとc5.1との間の領域は、P1ライブラリー中の9個の歩行工 程でカバーされた。各工程は平均してP1挿入の半分の長さであると仮定すると 、c5.1とIFNA−sとの間の距離はおよそ400kbである。したがって 、メラノーマ系においてしばしば欠失しているc5.1に堅く連鎖している腫瘍 抑制遺伝子は、IFNA−sに対して約400kb近位にあるに違いない。 C.腫瘍系における欠失 9p21領域のホモ接合欠失が、試験したメラノーマ腫瘍の57%で見いださ れた。14個の腫瘍系が、760−Lを通って近位側に伸長する欠失を含有し、 16個の系が、遠位側の816.7を超えて伸長する欠失を含有していた。該欠 失が原因となる、すなわち、この領域の遺伝子の欠失が腫瘍表現型に寄与すると 仮定すると、腫瘍抑制遺伝子もまた760−Lと816.7との間に存在するに 違いない。最も小さい欠失はマーカーc5.1およびc5.3を含んでいた。試験 されたすべてのマーカーのうちで、最大数の系である51からc5.3が欠失し ていた。したがって、腫瘍抑制遺伝子の最も可能性の高い位置はc5.3に非常 に近い。なぜなら、それは最も頻繁に欠失しているマーカーであるからである。 4個の系がc5.3(クラス12)のみの欠失を含有し、1個の系がc5.1(ク ラス11)のみを欠いていた。これらのマーカーの両方は、同じコスミドである c5上の存在していた。したがって、腫瘍抑制遺伝子はコスミドc5からの配列 を含むと考えられる。P1クローンP1062およびP1063は、c5および 包囲するコスミド中に見いだされる配列を含む。したがって、以下にさらに示す とおり、P1062およびP1063は全MTS領域を含有する。 上記実施例で得られた結果は、IFNA−1とD9S126との間の領域がM TSの最も可能性の高い位置であることが判明したMTSの以前の遺伝研究と一 致する(キャノン−アルブライト(Cannon-Albright)ら、1992)。最近の 遺伝研究は、P1−452上のIFNA−sとC5.3との間にある多形性(C A)反復を用いて、MTSの位置をさらに限定している(図2)。したがって、 MTSは、メラノーマ細胞系中のホモ接合欠失が集合している領域内に位置する 。 これらの結果は、c5.3の近くのどこかに位置する腫瘍抑制遺伝子座、MT Sがあるという見解を支持する。欠失を含有するすべての系は、欠失がc5.1 またはc5.3(クラス11および12)に制限されている組を除いて、欠失し たDNAの共通の領域を共有する。コスミドc5内の細胞系以外の細胞系のこの 区分においては、非重複欠失の兆候は全くなかった。したがって、例えば、c5 .1およびc5.3から遠位の9p21中の第2の腫瘍抑制遺伝子座を含む、より 複雑なスキームを生じさせる基礎は全くない。 9p21のホモ接合欠失が複数の腫瘍型で生じるとの観察は、そこに存在する 腫瘍抑制遺伝子が種々の組織で発現され得ることを示唆する。したがって、腫瘍 抑制遺伝子は、複数の型の癌の発生に関与しているかもしれない点でp53遺伝 子に類似しているかもしれない(さらに以下のデータを参照されたし)。メラノ ーマ傾向家族において、他の型の癌が報告されている(ナンカロウ(Nancarrow )ら、1993;バーグマン(Bergman)ら、1990)。c5.1およびc5. 3を用いる種々の腫瘍型の徹底的な欠失分析(以下に示す)は、メラノーマ以外 の 腫瘍におけるこの腫瘍抑制遺伝子の重要性を明らかにする。 観察されたホモ接合欠失のいくつかは、多数の遺伝マーカーを除去する。ファ ウンティン(Fountain)らは、2個の異なるメラノーマ系における染色体9p2 1のホモ接合欠失は2〜3Mbで伸長していると報告している(バーグマン(Ber gman)ら、1990)。この研究において、少なくとも1個の系、SK−MEL −5が、試験した最も遠位のマーカーであるIFNA−1からD9S126を越 えて(明らかに大きすぎて単一のYAC上に含有され得ない領域である)伸長す る欠失を含有していた。大きな欠失が優勢であることは、MTSを包囲する領域 が細胞生存に必須の遺伝子を欠くことを示唆する。 実施例6 MTS候補遺伝子の単離 上記実施例では、MTSの近隣のYACおよびP1染色体歩行の結果を記載し た。c5配列由来のSTSによる詳細な構造−マッピング実験は、5個の異なる メラノーマ細胞系におけるc5配列の小さな非重複欠失の存在を示す。この結果 に基づけば、腫瘍抑制遺伝子(おそらくMTSであろう)はc5内に少なくとも 部分的に存在するようである。 c5が少なくとも1個の遺伝子を含有するというさらなる兆候は、c5および 近隣コスミドにおける(CpG)ジヌクレオチド頻度の分析から得られる。哺乳 動物においては、ほとんどすべてのハウスキーピング遺伝子およびすべての組織 特異的遺伝子の半分近くが、(CpG)ジヌクレオチドに異常に富む領域に関連 している(バード(Bird)、1989;ラーセン(Larsen)ら、1992)。し たがって、かかる「CpG島」の存在は遺伝子を暗示する。コスミドc5、c1 2、c57およびc59を、認識配列が2個の(CpG)対を含む酵素である制 限エンドヌクレアーゼEagI、BssHIおよびSacIIで消化した。コス ミドc5およびc12のみがこれらの酵素のための部位を含有していた。コスミ ドc5は1個のEagI部位、少なくとも10個のBaaHI部位および少なく とも12個のSacII部位を含有していた。c5および重複コスミドc12に おけるCpG島の存在は、c5が実際に少なくとも1個のMTSの候補遺伝子を 含有することを示唆した。 MTSを探すために、コスミドc5からのEcoRI断片のDNA配列を決定 した。これらの配列をジーンバンク(GeneBank)からの配列に対して比較した場 合、ヒトサイクリン依存キナーゼ4(Cdk4)阻害剤またはp16をコードす る既に同定されている遺伝子の領域に類似している、c5の2個の別個の領域を 同定した(セラノ(Serrano)ら、1993)。これらの2個の遺伝子は、MT Sの候補であり、MTS1およびMTS2と称された。MTS1は染色体9pテ ロメアに最も近いコスミドc5の末端近くに位置し、MTS2はc5の動原体末 端の近くに位置していた。図4Bを参照されたし。MTS1およびMTS2の位 置ならびにP1 1062、1063および1069を示すコスミド地図を図4 Aに示す。 c5からのMTS1のゲノム配列のp16mRNA配列との詳細な比較により 、MTS1が、p16コーディング配列の一部分と同一である307bpの広が りを含有することが示された。MTS1におけるヌクレオチドのこの広がりは、 認識可能なスプライシング部位配列に隣接している。MTS1をさらに特徴づけ ると、それはp16および2個のイントロンの全体のコーディング配列を含むこ とが示された(図5Aおよび5Bおよび図6Aおよび6B)。イントロン1は、 翻訳開始部位から126bp下流に位置し、イントロン2は翻訳停止部位から1 1bp上流に位置する。これら2個のイントロンは、MTS1のコーディング配 列を3個の領域、すなわち、126bpの5'領域(コーディングエキソン1) 、307bpの中央領域(コーディングエキソン2)および11bpの3'領域 (コーディングエキソン3)に分割する。配列番号3は、MTS1の5'領域、 エキソン1およびイントロン1の一部分のヌクレオチド配列を記載する。配列番 号4は、MTS1のイントロン1の一部分、エキソン2およびイントロン2の一 部分のヌクレオチド配列を記載する。 MTS2は、イントロン2へ約211bpであるコーディングエキソン2の5 '末端から伸長するp16とほとんど同一のDNA配列の領域を含有する(図7 A)。 しかしながら、配列類似性は、MTS2の最終コドンの位置に対応するMTS1 におけるイントロン2の51bp下流の地点まで減少する(図8)。MTS1お よびMTS2からの配列の比較(図8)は、これら2個の遺伝子の間の配列類似 性も、イントロン1の3'スプライシング部位からおよそ40ヌクレオチド上流 に伸長していることを示した。したがって、非コーディングDNAの一部分は、 推定コーディングDNAのいくつかの領域より保存的である。コーディングDN Aにおける配列ダイバージェンスがクローニング人工産物であるという可能性を 除外するために、MTS2の配列ダイバージェンス点を横切って特異的に増幅す るためにPCRプライマーを設計した。これらのプライマーは、コスミド、P1 およびゲノムDNAからの予想された大きさの断片を増幅した。したがって、M TS2におけるエキソン2の3'末端の近くに位置する該ダイバージェント配列 は、ボナ・ファイド(bona fide)ゲノム配列である。配列番号5は、MTS2 のイントロン1の一部分、「エキソン2」および「イントロン2」のヌクレオチ ド配列を記載する。配列番号15は、MTS2のcDNA配列を記載する。 コスミドc5上の2個の深く関連した遺伝子の出現は、他の関連した遺伝子が この領域に存在することを示唆する。この可能性を調べるために、コスミドc5 、C12、c59、p1 1063および1060およびヒトゲノムDNAの制 限酵素消化物からサザンブロットを調製した。これらのブロットを、MTS2と 共有する領域を含む、MTS1からのエキソン2のほとんどを含有する断片でプ ローブした。2個のEcoRI断片を、クローニングされたDNAおよびゲノム DNAの両方においてプローブで検出した。この結果は、ゲノム中の2個のp1 6様遺伝子であるMTS1およびMTS2の存在と一致した。また、それは、今 や公知の、MTS1含有エキソン2および3(しかしMTS1のエキソン1では ない)の代替型であるMTS1E1βの存在と一致する。 実施例7 MTS1E1βの単離および構造 MTS1E1βの単離 完全MTS1cDNAをプローブとして用い、通常のcDNAライブラリース クリーニングにより、ハイブリッド選択によりMTS1E1βを含有するクロー ンを単離した。通常のcDNAライブラリースクリーニングは、MTS1のエキ ソン2由来のプローブを用いて行った。胎児脳、正常な乳房およびリンパ球由来 ライブラリーのそれぞれから百万個のクローンをスクリーニングした。ハイブリ ダイズcDNAクローンをリンパ球ライブラリーから単離した。該クローンを配 列決定し、E1βを含有することが示された。また、それはMTS1のエキソン 2(E2)およびエキソン3(E3)を含有していた。卵巣組織由来のcDNA をコスミドc5とインキュベートすることにより、ハイブリッド選択由来cDN Aクローンを単離した。該コスミドをビオチンで標識し、一本鎖にした。c5と 該cDNAとの間のハイブリッドを形成させ、ついでストレプトアビジンで被覆 された磁気粒子を用いて、ビオチニル化コスミドを捕らえた。選択されたcDN Aを該コスミドから溶出し、PCRにより増幅し、クローニングし、配列決定し た。該cDNAクローンは、E1β、E2およびE3を含有する点で、ライブラ リースクリーニングにより単離されたものと類似していた。該クローンはいずれ も、上記のエキソン1(配列番号3参照)を含有していなかった。MTS1E1 β cDNAの配列は配列番号13に記載されている。MTS1E1βの構造 MTS1およびMTS1E1βは2個の形態、すなわち、共にエキソン2およ び3を利用するが異なる最初のエキソンを有する2個の形態の単一の遺伝子であ る。MTS1は、MTS1によりコードされるp16タンパク質の最初の43個 のアミノ酸をコードするα形態(E1α)を含有する。MTS1E1βは、エキ ソン1のβ形態(E1β)を含有する。p16遺伝子のエキソン構造は、複合c DNAクローンの配列を、それが由来するゲノム領域と比較することにより決定 した(図13)。ゲノムサザン、P16を含有するゲノム領域の配列分析、およ び長PCRを組み合わせて使用して、P16エキソンの位置をマッピングした( 図13)。p16遺伝子はゲノムDNAの約30kbにわたる。E1βは、最も 5'側の平キソンであり、その順序はE1β、E1α、E2およびE3である。 p16読み枠(エキソン2および3をコードするp16で用いられる読み枠か ら推定された)におけるE1βの翻訳は、E1βとE2との間のスプライシング 部位のわずか10コドン上流に位置する枠内停止コドンを示した。停止コドンの 位置はゲノムおよびcDNA配列分析により確認された。この停止の下流の最初 の潜在的な開始コドンは、E1/E2スプライシング部位のちょうど3'側のp 16読み枠にあった。この潜在的な開始コドンは、共通コザック(Kozak)配列 (コザック(Kozak)、1987)によくは似ていない配列に隣接している。p 16読み枠で翻訳されれば、p16遺伝子のE1β転写物は105個のアミノ酸 のタンパク質をコードするであろう。 βcDNAの追加的分析によれば、それが、p16をコードするのに使用され るものより大きなORFを異なる枠内に有することが示された。該ORF(OR F2と称する)はE1βを通って伸長し、E2内への67個のアミノ酸について 伸びている。全体のORFは180個のアミノ酸のタンパク質をコードする。し かしながら、読み枠はE1βの5'末端で開いたままであり、したがって不完全 であるかもしれない。統計学的分析は、この大きさのORFはランダム配列(P =0.003)よりなるDNA中では偶然には生じそうにないことを示唆した。 しかしながら、β転写物の基本組成が与えられれば、可能性はより高くなった( P=0.16)。予想ポリペプチドはいずれの上記タンパク質とも類似していな かった。 E1βの進化上保存されている部分を同定することは、その機能にどの配列が 重要であるかの手掛かりを与えるであろう。ハイブリッド・キャプチャー(Hybr id Capture)RACE(HCR)と称される修飾RACE技術(実施例12参照 )によりマウスp16cDNAを単離し、ヒトp16cDNAと比較した。1つ の型のマウスP16cDNAの(β型)は、ヒトE1βと等価のエキソンおよび E2等価体を有していた。第2の型(α型)のものは、E2に結合したE1α等 価体を含有していた。E1αおよびE2マウスエキソンは、それらのヒト相当物 に対して70%同一であった。マウスのヌクレオチド配列およびヒトE1βエキ ソンは51%同一であり(図14)、該マウスE1βエキソンもp16をコ ードするのに使用される読み枠内に停止コドンを含有していた。停止コドンのヌ クレオチド配列5'から推定されるヒトおよびマウスポリペプチドは、完全に分 岐していた。したがって、p16読み枠内の停止コドンは配列決定人工産物では ないようである。 E1βの役割に関して不明確であったので、本発明者らは全3個の読み枠内の マウスとヒトβ転写物との間の類似性について分析した。マウスおよびヒトβ転 写物は、p16をコードするのに使用されるもの(ORF1)より大きなORF (ORF2)を異なる読み枠内に含有していた。ORF2によりコードされる推 定ポリペプチドは40%同一であった。しかし、ORF2ペプチドの比較をE1 βによりコードされる部分に限定すると、それらは28%同一であるにすぎなか った。これとは対照的に、マウスおよびヒトp16配列は67%同一であった。 また、E2に含有されたORF2から推定されたポリペプチドは、E2内の第3 の読み枠(ORF3)から推定されたポリペプチドと同様(42%)に類似して いた。これらの結果から、ORF2は選択的に維持されず、おそらくタンパク質 をコードしないことが示唆される。ヒトおよびマウスβRNAの二次構造につい ても比較した。著しい類似性は全く確認されなかった。まとめて言うと、これら の結果が示唆するところによれば、β転写物はマウスおよびヒトの両方における その存在により、P16機能に必要であり、それが翻訳されるならば、コード化 タンパク質はおそらくエキソン2中の最初のメチオニンから開始するであろう。 実施例8 MTS1における生殖系列変異 MTS1またはMTS2が遺伝感受性遺伝子座であるMTSに対応するか否か を調べるために、MTS素因対立遺伝子を担持すると考えられる8個の個体から ゲノムDNAを分析した(キャノン−アルブライト(Cannon-Albright)ら、1 992)。MTS1またはMTS2のいずれかに特異的なイントロン配列由来の オリゴヌクレオチドプライマー(表2)を用いて、該エキソンからのDNA配列 を各サンプルから増幅した。 プライマー1Fおよび1108Rを用いてMTS1のエキソン1を増幅し、つ いでプライマー1108Rを用いて配列決定した。プライマー42Fおよび55 1Rを用いてMTS1のエキソン2を増幅し、ついでプライマー42Fおよび5 51Rを用いて配列決定した。プライマー21Fおよび50Rを用いてMTS2 のエキソン2を増幅し、プライマー89Fおよび50Rを用いて再増幅し、つい でプライマー89Fおよび50Rを用いて配列決定した。 これらのゲノム断片のDNA配列は、該8個体のうちの2個体において多形性 を示した。残りのサンプルのいずれにおいても多形性は存在しなかったが、これ はそれが該集団に共通でないことを示唆するものである。多形性がMTS染色体 に連鎖し残りの相同染色体には連鎖していないことを示すために、各血族からの 素因対立遺伝子を担持する他の個体からのゲノムDNAを分析した。それぞれの 場合において、多形性は、MTS素因対立遺伝子と分離していた。コドン93の 変異(gly→trp)が血族3012の個体(12821)に見いだされた。 また、それは影響を受けたキャリアー兄弟姉妹(13183)および影響を受け ていないキャリアーいとこ(14917)においても見いだされたが、影響を受 けていない非キャリアー兄弟姉妹(13184)では見いだされなかった。コド ン118における変異(val→asp)は、血族1771における個体(15 635)で見いだされた。また、それは一旦除かれた影響を受けたキャリアーの 最初のいとこ(10205)、影響を受けたキャリアーの最初のいとこ(114 14)および10205の影響を受けたキャリアーの最初のいとこ(10146 )においても見いだされたが、10205の影響を受けていない非キャリアーの おじ(10120)では見いだされなかった。 該多形性は、アミノ酸変化を起こす単一ヌクレオチド置換であった(表3)。 該置換は、小さな親水性残基を大きな疎水性残基に置換すること、または中性ア ミノ酸を荷電アミノ酸に置換することのいずれかを含むものであった。 MTS2からのエキソン2は、試験した8個のサンプルにおいて多形性を全く 示さなかった。これは、少なくともこの組の血族においては、MTS2がメラノ ーマの素因とならないことを示唆する。MTS1との類似性に基づくと、MTS 2は他の型の癌に含まれている可能性がある。また、MTS2が非機能性遺伝子 である可能性もある。 メラノーマの素因がある個体におけるMTS1(MTS2でなく)における生 殖系列変異の知見は、メラノーマホモ接合欠失の分析と一致する。 実施例9 腫瘍系におけるMTSの存在の分析 複数の腫瘍型における9p21での高頻度の欠失のため、12個の異なる型の 腫瘍から由来する細胞系をMTS1の存在または非存在について分析した。該遺 伝子を横切って広がる一組の配列標識部位(STS)を用いて、期待される断片 の存在または非存在について腫瘍細胞系からのゲノムDNAを試験した(図4A 、4Bおよび9)。この研究の結果は、MTS1が大部分の腫瘍系から欠失して いることを示唆する(表4)。ホモ接合欠失は、結腸および神経芽腫細胞系以外 の試験したすべての腫瘍型において生じ、欠失の割合は最低値である肺癌および 白血病における25%から星状細胞腫における94%へ変化した。全体では、ホ モ接合欠失は試験した290個の細胞系のうちの135個で検出された。該分析 に使用したSTSは全体の遺伝子に及ばないため、この数字は、欠失を有する腫 瘍系の割合の最小推定値を与える。このような訳で、ある小さな欠失が検出され なかったのであろう。また、このアプローチでは、少数のヌクレオチドの挿入ま たは欠失、ヌクレオチド置換のような損傷が見逃されるのであろう。 MTS1変異を含有する細胞系の合計数の評価を向上させるために、MTS1 における損傷について、MTS1の明らかなホモ接合欠失を受けていない34個 の細胞系をより詳細に調べた。MTS1コーディング配列の約97%よりなる配 列を増幅し、多形性についてスクリーニングした。34個のメラノーマのうちの 14個に分布する、MTS1のエキソン2またはエキソン1における18個の体 細胞変異を観察した(表5)。これらの変異のうちの3個がフレームシフトであ り、7個がナンセンス変異であり、4個がミスセンス変異であり、4個がサイレ ントであった。また、サイレント変異を含有する4個の系のうちの3個がさらに 変異を含有し、18個の変異のうちの16個はコーディングエキソン2に位置し ていた。1個の系の他はすべて専ら半接合またはホモ接合多形性を含有していた が、これは残りの相同染色体が欠失を受けていることを示唆する。ヘテロ接合で ある単一系は2個の異なる非サイレント変異を含有していたが、これは各相同染 色体が独立した変異事象を受けているという見解と一致した知見である。このD NA配列およびMTS1の欠失分析に基づき、最小で75%のメラノーマ系が変 異MTS1を含有し、両相同染色体からの遺伝子を失っていた。 MTS1における損傷(欠失およびヌクレオチド置換)の優位性は、MTS1 または密接に連鎖した遺伝子座が腫瘍表現型に寄与していることを示す。これら の損傷を受ける細胞は、そうでない細胞に対する選択的な優位を享有する。損傷 が細胞増殖に無関係な無作為な事象であるという代替的な説明は、種々の理由の ために不可能と思われる。第1に、腫瘍表現型とMTS1における変異との間の 深い相互関係は、MTS1変異と腫瘍形成との間の因果関係を暗示する。第2に 、MTS1はメラノーマに対する感受性に影響を与え、したがって腫瘍抑制遺伝 子として独立して関連している。第3に、Cdkの強力な阻害剤としてのp16 の生化学的機能は、一般的なDNA複製の開始の阻害剤としてp16がインビボ で作用するモデルにうまく適合する。 MTS1の変異または喪失が培養中の細胞増殖の産物である可能性がある。し かしながら、高い割合の一次白血病細胞もまた、MTS1から500kb未満に 位置する遺伝子ファミリーである(ディアズ(Diaz)ら、1990)α−インタ ーフェロン遺伝子クラスターのホモ接合欠失を含有する。先の欠失研究は、α− インターフェロン遺伝子の欠失が、MTS1を越えて動原体まで伸長するマーカ ーを例外なく含むことを示唆する(ウイーバー(Weaver)−フェルドハウス(Fe ldhaus)ら、1994)。MTS1領域のホモ接合欠失は一次腫瘍細胞および培 養細胞系中に生じるため、腫瘍細胞系中で観察される欠失が培養中の細胞増殖の 人工産物である可能性はないと思われる。それでも、腫瘍発達のMTS変異がい つ生じるかという疑問は、一次腫瘍サンプルを分析することにより最もうまく解 明されるであろう。MTS1のインビボでの役割 すべての真核細胞では、細胞分裂は、DNA合成が開始するG1からSへの推 移、および有糸分裂が開始するG2からMへの推移の2個の臨界決定点の通過を 要する。哺乳動物では、細胞分裂を制御する機構は複数の構成要素を有し、その 多くは関連している(検討のためにはシェール(Sherr)、1993を参照され たし)。該CdkはG1からSへの及びG2からMへの推移を起こすいくつかの 鍵基質をリン酸化により制御するため、該Cdkは制御装置の中心部にあるかも しれない。G1からSへの推移は、細胞周期の最初に起こるため、おそらく最も 臨界的な決定点であろう。これまで、G1からSへの制御に関与しているかもし れない4個の型のCdk(Cdk2〜5)、およびこれらのCdkの一組の正の 調節体(サイクリンC、D1〜3、E)が定義されている。また最近、p16、 p15、p18、p20、p21およびp27を含むいくつかの負の調節体が同 定されている(シオン(Xiong)ら、1993;セラノ(Serrano)ら、1993 ;グ(Gu)ら、1993;エル−ダイアリー(El-Diery)ら、1993;ハーパ ー(Harper)ら、1993;ハノン(Hannon)およびビーチ(Beach)、199 4;ポリアック(Polyak)ら、1994b;トヨシマ(Toyoshima)およびハン ター(Hunter)、1994;グアン(Guan)ら、1995)。これらの負の調節 体は、CDKのキナーゼ活性を阻害することにより作用するようである。細胞周 期調節体のいくつかはヒトの癌に関連している(検討のためにはハンター(Hunt er)およびパインズ(Pines)、1994を参照されたし)。p20はCdk2 およびおそらく他のCdkを阻害し、一方、p16(MTS1、CDKN2また はINK4aとも称される)はCdk4を阻害するが、明らかにインビトロ検定 ではCdk2を阻害しない(セラノ(Serrano)ら、1993)。インビトロ研 究およびp53とのその相互作用に基づき、p21はすべてのCdkの一般的な 阻害剤であると提案されている(シオン(Xiong)ら、1993)。したがって 、インビトロでは、p16はp21より特異的であるようである。これらの阻害 剤のそれぞれは、S相へ入るのに拮抗すると予想される。また、シクリンD1ま たはCDK4は、いくつかの乳癌において過剰発現され、p16遺伝子は多数の 細胞系および一次腫瘍において変異または欠失を受ける(バックリー(Buckley )ら、1993;カルダス(Caldas)ら、1994;カンブ(Kamb)ら、199 4b;モリ(Mori)ら、1994;タム(Tam)ら、1994a)。これらの結 果は、あるサイクリンおよびCDKがプロトオンコジーンであり、P16(MT S1)が腫瘍抑制遺伝子であることを示唆する。p15、p18、p21および p27の生化学的挙動はそれらもまた腫瘍抑制剤であり得ることを示すが、腫瘍 または細胞系におけるそれらの遺伝子の詳細な変異分析は報告されていない。こ こに示した結果は、MTS1が細胞分裂の阻害剤としてインビボで機能するとい う証拠を提供する。 ヒト染色体9の9p21断片に位置するp16遺伝子(MTS1)は、幾つか の型の腫瘍および腫瘍由来細胞系の高い割合で変異またはホモ接合的欠失を受け ているため特に興味深い(キャルダス(Caldas)ら、1994;カンプ(Kamp) ら、1994b;モリ(Mori)ら、1994;ノボリ(Nobori)ら、1994) 。また、9p21連鎖メラノーマ感受性を担持することが知られているいくつか の血族においては、MTS1変異はメラノーマの素因と分離する(ハスシアン( Hussussian)ら、1994;カンブ(Kamb)ら、1994a)。しかしながら、 MTS1の遺伝および散発性癌における役割に関して未解決の疑問がある。9p 21マーカーについて高いLOD得点を有するいくつかのメラノーマ傾向血族は 、MTS1コーディング配列における変異を示さない。また、腫瘍および細胞系 におけるMTS1ホモ接合欠失の優勢は腫瘍抑制遺伝子不活性化については例外 的であり、癌形成に関与しているMTS1近傍のもう1つの遺伝子の存在を暗示 する。 最近の報告は、いくつかのマイトジェンおよび抗マイトジェンシグナルが、C DK阻害剤の活性を調節することにより少なくとも部分的に、細胞周期に影響を 与えることを示唆する(フィルポ(Firpo)ら、1994;ハノン(Hannon)お よびビーチ(Beach)、1994;カトウ(Kato)ら、1994;ポリアック(P olyak)ら、1994a;スリンガーランド(Slingerland)ら、1994)。例 えば、TGFβ誘導細胞周期停止は、p15およびp27の活性化により仲介さ れているかもしれない。逆に、p27は休止Tリンパ球のIL−2誘導マイトジ ェン活性化の間、負に調節されているかもしれない。MTS1の調節については 割合にほとんど知られていない。多数の最近の報告は、MTS1値がある程度は Rbタンパク質により調節されているかもしれないという証拠を提供する(セラ ノ(Serrano)ら、1993;リー(Li)ら、1994a;タム(Tam)ら、19 94b;パリー(Parry)ら、1995)。これらおよび他の知見(セラノ(Ser rano)ら、1995)は、MTS1がCDK4/6を阻害し、それによりRbの リン酸化を抑制するMTS1作用のモデルに寄与している。Rbは今度はMTS 1の値を限定するフィードバック回路に寄与している。 これらの結果は、細胞周期の制御におけるMTS1の卓越した役割についての 遺伝的証拠を提供する。また、この結果は、MTS1のインビボでの標的が腫瘍 発生の主要因であることを示唆する。MTS1がCdk2でなくCdk−4をイ ンビボで阻害するならば、Cdk4は癌遺伝子の有力な候補であるかもしれない 。MTS1遺伝子中の変異の優勢は、Cdk4が、ほとんどの(すべてというわ けではない)細胞の細胞分裂の一般的な活性化因子として作用していることを暗 示する。さらに、MTS1の異なるCdkに対する影響の生化学的研究は、正常 細胞および形質転換細胞の両方におけるCdk活性の階層を明確にするのに役立 つかもしれない。p16から類推して、p21がCdkの一般的な阻害剤として 作用するならば、大部分の腫瘍においてその遺伝子は喪失または変異しているか もしれない。 MTS1がほとんどの正常細胞で活性な一般的な腫瘍抑制剤であるならば、M TS1における生殖系列変異はメラノーマ以外の癌の素因となると予想されるで あろう。例えば、リー−フラオメニ(Li-Fraumeni)症候群で見られるようなp 53における生殖系列変異は、小児肉腫、乳癌を含む多数の腫瘍型の可能性を増 加させる(マルキン(Malkin)ら、1990)。先の研究で、メラノーマにかか りやすい幾つかの家族において異常に高頻度の膵臓癌が見いだされている(バー グマン(Bergman)ら、1990;ナンキャロウ(Nancarrow)ら、1993)。 この観察は、MTS1のホモ接合欠失が膵臓腫瘍系で生じるという知見と一致す る。MTS1素因の遺伝的特徴は、MTS1の体細胞の遺伝的特徴と相違する。 例えば、MTS1を包囲する領域から多数キロベースのDNAを除く大きな欠失 は、選択的な欠点のため、ヒト遺伝子プールから喪失しているかもしれない。し かしながら、かかる欠失は形質転換された体細胞では有利に働くかもしれない。 おそらく、それが複数の遺伝子を除去するからであろう。この可能性は、MTS 2と称される、MTS1に対して著しい類似性を有する第2遺伝子の存在と一致 している。MTS2はMTS1のエキソン1のおよそ12kb上流に位置し、M TS2の第1のエキソンは、MTS2の第2のエキソンのおよそ2.5kb上流 にある。MTS2はMTS1と同様に機能しているのかもしれない。MTS1お よびMTS2の両方を除去する欠失は、一方の遺伝子を単独で不活性化する変異 より大きな、細胞に対する増殖利点を付与するのであろう。あるいは、その2個 の異なる遺伝子は、非重複的または部分重複的な組の細胞型において機能してい るのかもしれない。これらの可能性についての完全な解明が待たれる。 実施例10 MTS1E1βの変異分析 腫瘍由来細胞系においてP16を不活化するホモ接合性欠失およびP16にて 変異を示さない9p21結合のメラノーマ傾向にある血族が共に優勢であること により、P16付近に癌形成にも関与する別の遺伝子の存在が提案されることと なった(Cairnsら、1994;Spruckら、1994)。E1βが細胞増殖の調整 に関与するタンパク質をコードするならば、その場合、これらの配列は、初期の 研究にて見逃されていたであろう散在性および/または家族性癌のいずれかにて 変異を有しうる。そこで、E1βを、種々の腫瘍に由来する細胞系にて、および いくらかメラノーマ傾向にある血族にて変異についてスクリーンした。 メラノーマ傾向の血族の遺伝特性が既に報告されている(Cannon-Albrightら 、1992)。ゲノムDNAのメラノーマ傾向の血族(Kambら、1994a)お よび細胞系(Liuら、1995)からの単離が既に記載されている。E1βにつ いてのPCR増幅を、前進性プライマー(5'−AGTCTGCAGTTAAG G−3'配列番号33)および復帰性プライマー(5'−GGCTAGAGGCG AATTATCTGT−3'配列番号34)を用い、以下の条件:97℃で3秒 間、65℃で10秒間、75℃で20秒間で30サイクル行った。増幅反応体を 100倍に希釈し、同一の前進性プライマーおよび復帰性プライマー(5'−C ACCAAACAAAACAAGTGCCG−3'配列番号35)を用い、同一 反応条件下で再び増幅させた。PCR産生物を1%アガロースゲル上に置き、キ アゲン・ビーズ(Qiagen bead)(Qiagen,Inc.)を用いて抽出した。該産生物を サイクリスト・シーケンシング・キット(Cyclist Sequencing kit)(ストラタ ゲン(Stratagene))を用い、前記した前進性プライマー(配列番号33)で 配列決定を行った。 4種の腫瘍(表6)に由来する一連の24細胞系にて、または影響を受けた家 族構成員の間で共有する有意なハプロ型を有する6人のメラノーマ血族にて、E 1βの配列変異体は全く検出されなかった(Cannon-Albrightら、1992)が 、以前の研究においてP16変異を示さなかった(Kambら、1994a)。これ らの実験は、E1βの変異が腫瘍進行の間での共通事象ではなく、それら変異が これらの血族における9p21結合メラノーマ感受性に関与しないことを示唆す る。 実施例11 MTS2の変異スクリーニング 細胞系におけるMTS2変異スクリーニング 腫瘍由来細胞系にてMTS1を除去するホモ接合性欠失が優勢であることは、 腫瘍形成にも関与する、MTS1の付近にて別の遺伝子または複数の遺伝子が存 在することを示唆する。MTS2遺伝子が散在性癌に関与しているならば、それ は腫瘍源の細胞系にて変異を有するかもしれない。そこで、MTS2コーディン グ配列を一連の腫瘍細胞系における変異についてスクリーンに付した。 MTS2のエクソン1および2についてのPCR増幅をKambら(1994a) の記載に従って行った。プライマー対の2E1.F1(5'−AGGGAAGAG TGTCGTTAAG−3'配列番号19)および2E1.R2(5'−AGAC TCCTGTACAAATCTAC−3'配列番号20)を用い、エクソン1を 得た。プライマー対89F(配列番号12)および50R(配列番号11)を用 いてエクソン2を得た。増幅後、DNA産生物を1%アガロースゲル上に置き、 キアゲン・ビーズ(Qiagen bead)(キアゲン・インコーポレイテッド(Qiagen, Inc.))を用いて抽出した。該産生物をエクソン1についてプライマー2E1. F1およびエクソン2について89Fおよび50Rで、サイクリスト・シーケン シング・キット(ストラタゲン)を用いて配列決定した。 MTS2コーディング配列を、嚢、グリオーム、アストロサイトーム、肺、腎 臓およびメラノーマ腫瘍からの一連の細胞系における変異についてスクリーンし た。これらの細胞系はすべて、高頻度でMTS2およびMTS1のモノ接合性欠 失を有した(Kambら、1994b)。メラノーマ、肺、腎臓および嚢の癌腫由来 の細胞系は、MTS1にて点またはフレームシフト変異を有することが明らかに された(Liuら、1995)。しかし、グリオームおよびアストロサイトームの 細胞系がこのようなMTS2変異を有することは明らかにされていない。これら のスクリーニング実験にて用いられる個々の細胞系は、以前に、MTS2および MTS1配列のモノ接合性欠失を有することが明らかにされていない群より選択 した(Kambら、1994b)。 MTS2変異は、スクリーンされた58細胞系のうちいずれの細胞系のMTS 2コーディング配列においても見られなかった(表7参照)。これらの型の細胞 系におけるMTS1の前の実験に基づいて、そのセットは、嚢、メラノーマ、肺 および腎臓群に限定して、約8のMTS1変異を有すると考えられる(Liuら、 1995)。かくして、MTS2における体細胞変異についての証拠は、この一 連の腫瘍細胞系からは得られなかった。 血族におけるMTS2変異スクリーニング MTS1コーディング配列変異を有しない9b21結合のメラノーマ傾向の血 族において、MTS2遺伝子がメラノーマ感受性を説明する可能性のあることは 興味のあることである。メラノーマ傾向にある血統の遺伝特徴が既に報告されて いる(Cannon-Albrightら、1992)。家族構成員のゲノムDNAを標準技法 (Kambら、1994a)を用いて全血より分離したリンパ球から単離した。メラ ノーマにかかりやすい9p21結合の素因について高LOD評点を有するが、前 の研究にてMTS1変異を示さなかった6人の血族にて、前記したように、MT S2コーディング配列の変異についてスクリーニングを行った(表8参照)(Ka mbら、1994a)。MTS2における変異は見られなかった。これらの実験は 、MTS2病変が遺伝性メラノーマに関与するという証拠を提供しないが、その ような可能性は単にこれら限定された実験を基礎とするだけで除外できるもので はない。 実施例12 MTS1およびMTS1E1βのRNAの発現 2種のP16プロモーター 2つの異なる形態のP16 mRNAが2通りの方法にて生成できた。転写を 異なるプロモーターより開始するか、またはmRNAを単一のプロモーターより 誘導し、ついで交互にスプライスし、異なる形態の転写物を生成した。 α転写物およびβ転写物の個々のプロモーターについての証拠が、上流にある E1β配列が欠失されると同時に、α形態が細胞系にて転写されることを測定す ることで得られた。細胞系A375およびSK-mel93は、E1αとE1βの間 の1つの破壊点で欠失を有した(図13)。近位にある破壊点はいずれの細胞系 においても正確にはマップされていないが、E1βの5'末端の上流少なくとも 85kbであった。α−特異的プライマーを用いてRT−PCRを行うと、これ ら細胞系は共にα転写物を発現することが明らかにされた(図15)。RT−P CRの操作は以下のとおりである:cDNAをT細胞、細胞系またはヒト組織( Clontech)から単離した全RNA(Sambrookら、1989)より合成した。cD NA反応はランダムな9merを用い、DNA合成およびSuperscriptII逆トラ ンスクリプターゼ(Bethesda Research Laboratories)をプライムした。α−32 P−dATP(Amersham)(0.1Ci/ミリモル)を合成反応に用い、最終産 生物に取り込まれた放射活性なヌクレオチドの量を測定することによりcDNA 収量を算定した。P16αおよびP16βの転写物レベルを、連続する2ラウン ドの増幅にてE2由来のαまたはβ特異的前進性プライマーまたはヘミネスト復 帰性プライマーを用い、PCRにより分析した。最初の増幅にて、2ngのcD NAをα−特異的プライマーAS.1(5'−CAACGCACCGAATAGT TACG−3'配列番号26)またはβ−特異的プライマーBS.1(5'−TA CTGAGGAGCCAGCGTCTA−3'配列番号27)およびX2.R14 0'(5'−AGCACCACCAGCGTGTC−3'配列番号22)で増幅さ せた。反応を、以下の反応条件下:97℃で3秒間;65℃で10秒間;75℃ で20秒間、20サイクル、パーキン−エルマイヤー9600熱サイクラー上で 行った。これらの反応物を100倍に希釈し、AS.1またはBS.1およびX2 B(5'−CGTGTCCAGGAAGCCC−3'配列番号23)で再び増幅さ せた。X2Bオリゴを、その5'末端(Sambrookら、1989)をγ−32 P−dATP(Dupont)で放射標識化した。15サイクルである以外、PCR 条件は前記のとおりであった。ゲノムDNA汚染による問題を排除するのに、P CR産生物はE1αまたはE1β/E2スプライス接合部をスパンした。該産生 物を変性5%ポリアクリルアミドゲルを介し、電気泳動法により分析した。乾燥 ゲルをX−OMAT(Kodak)フィルムに一夜暴露した。 結果はα転写がE1βの5'配列と無関係であるプロモーターから開始するこ とを示唆している。別の説明は、欠失が異所性プロモーター配列をE1αに融合 させたというものである。しかし、A375およびSK-mel93が、独立して細 胞系より単離されることはないと考えられる。αプロモーターの正確な位置は明 らかでないが、RNase保護分析はそれがP16開始コドンの少なくとも440 bp上流で開始していることを示した。かくして、ヒトP16遺伝子は、別個の プロモーター、PαおよびPβより産生した、別個の解読ポテンシャルを有する 2つの部分的に重複した転写物の複合体である。P16の発現パターン 遺伝子の機能を解決する糸口は、異なる組織におけるその発現パターンの分析 から明らかになるかもしれない。P16の発現パターンを測定するのに、11の 組織より調製した一連のcDNAサンプルをαおよびβ特異的プライマーを用い るPCRによってスクリーンした(図16A−D)。両形態のP16転写物を、 いくらか違いはあるが、試験したすべての組織にて検出した。例えば、脾臓にお いて、αおよびβ形態の間の割合はβよりであった。反対に、胸部におけるその 割合はαに有利であった。これらの発現データは、多くの異なる組織型に由来す る細胞系にてP16の欠失および点変異を認める研究データ(Kambら、1994 b;Liuら、1995)と一致し、多数の組織におけるp16についての役割を 示唆する。 In vitroにてCDK4およびCDK6の阻害剤であると明らかにされている( Serranoら、1993;Liら、1994a;Parryら、1995)、p16の生化 学機能があれば、細胞サイクルをトラバースした細胞として、P16の発現を分 析した。ヒト末梢血液リンパ球(PBL)はフィトヘムアグルチニン(PHA) +インターロイキン−2(IL−2)により刺激され、刺激後の種々の時点で細 胞を収穫した。これらの細胞をフローサイトメトリーによりその細胞サイクルの 段階を測定し、RT−PCRによりP16遺伝子発現の相対的レベルを測定し、 ウェスタンブロット法によりp16タンパク質のレベルを測定することにより分 析した。末梢血液リンパ球を正常な成人ドナーより流出した血液から単離し、Fi coll-Hypaqueグラジエントにフローテーションさせることにより部分的に精製し た(Boyum、1968)。リンパ球を前記したように対流傾瀉に付すことでさら に精製した(Elstadら、1988)。この方法にて調製した細胞集団は98%純 度のPおよびT細胞であると評価された。該精製細胞を10%ウシ胎児血清を補 足したRPMI(Gibco)にて増殖させた。休止細胞を10μg/mlのPHA (Sigma)および10U/mlのIL−2(Sigma)で誘発させた。細胞サイクル の進行をフローサイトメトリーによりモニター観察した。RNAをRNazol B (CINNA/BIOTECX Laboratories,Inc.)を用い、一次T細胞より単離した。RT −PCRの定量性を、誘発後に単離されたT細胞cDNAから一連の希釈体を形 成することにより確認した。非希釈サンプル中に存在する標的cDNAの量を、 標的がもはや増幅し得ない希釈度を測定することにより定量した。種々のPCR 実験からの結果は一致するが、希釈実験により4倍よりも大きいRNAレベルの 変化があった場合のみ検出できることがわかった。Rb+およびRb-細胞系由来 のcDNAサンプルもまたこれを同じ方法にて分析した。ヒト・アクチンは容易 に検出され、各cDNAサンプル(組織、細胞系またはT細胞)中に同様の量に て存在した。 P16転写物の2種の形態の割合は、細胞サイクルを介して劇的に変化した( 図16B−C)。最初、β形態は低濃度であるが、刺激後、30ないし40時間 までに、そのレベルは上昇し始めた。この間、α形態の発現レベルは、おそらく わずかに上昇しながら、比較的一定を保持した。フローサイトメトリーによれば 、割合変化は、Goを終え、S期に入る細胞と相互関係にあった。RT−PCR の定量性を、鋳型希釈実験により試験した。かかる実験によれば、RT−PCR は転写物レベルの4倍またはそれ以上の変化に対して感受性であった。β誘発 は少なくとも10倍であると推定された。したがって、細胞サイクルを受けたT 細胞として、該細胞はP16転写物の2つの形態の相対量を変化させ、その結果 、その割合はβよりに変化した。 本発明者らはまた、細胞サイクルをトラバースしたT細胞として、P16タン パク質発現のレベルを試験した。タンパク質をミトゲン誘発後の種々の時点で細 胞より単離し、その単離したタンパク質をウェスタン分析に付した。p16タン パク質のレベルを完全ポリペプチドの20C−末端アミノ酸に対抗して産生され たp16抗体を用いて測定した。Goを終えた細胞として、p16タンパク質の レベルは比較的一定であった。かくして、p16コードRNA(α転写物)およ びp16タンパク質は共に、細胞サイクルの間、比較的一定であった。他に、S 期の間にp16レベルが適度に上昇することが報告されている(Tamら、199 4b)。種々の細胞型におけるp16調節の違いを反映するか、またはタンパク 質(またはcDNA)レベルの2ないし3倍増を検出するという問題を反映する 、p16の蓄積は見られなかった。腫瘍細胞系におけるP16の発現 今までの研究はRbがP16の発現に影響を及ぼすと示唆していた(Serranoら 、1993;Liら、1994a;Parryら、1995)。β mRNAの発現に ついての細胞のRb状態の効果を試験した(図16D)。cDNAを一連の細胞 系、そのうちの5つは野生型Rbタンパク質を有し、そのうちの6つは非機能性 Rbタンパク質を有する細胞系より調製した(Parryら、1995)。予想どおり 、α転写物はRb−陰性系でのみ検出された。しかし、β転写物はRb−陽性およ びRb−陰性細胞系の両方に存在した。したがって、αと異なり、βRNAの発 現は腫瘍由来細胞系におけるRbの変異状態と無関係である。 p16は多発性遺伝子種の一構成員であると証明されている(Guanら、199 5)。他の多発性遺伝子種を用いて類推すれば、この種の構成員は余分な機能、 異なる機能、または異なる時間または組織特異的パターンにて機能を発揮してい るかもしれない。したがって、p16のレベルが低く、RbによるP16調節が 明らかに喪失していれば、P16がTリンパ球における細胞サイクルを調整しな いことは可能である。しかし、β転写物はT細胞誘発時に劇的に誘発され、P1 6は高割合のT細胞−誘導腫瘍にて欠失されているため(Hebertら、1994) 、p16はヒトT細胞にて重要な機能を果たしていると考えられる。p16に対 するRbの劇的な効果はウイルス形質転換または腫瘍由来の細胞系においてのみ 観察された。おそらく、P16は、野生型組織中、ある別の方法で調節されてい るであろう。E1βはp16の保存かつ調整された部分である β転写物の役割は明らかではないが、結果は:(i)E1βはマウスにて保存 されていること;(ii)β転写物の相対量は組織特異的および細胞−サイクル依 存的方法の両方にて調整されること;および(iii)2つの細胞系は、E1αで なく、E1βを除去するモノ接合性欠失を有すること;によりp16遺伝子座の 機能として重要であることを示唆している。これらの結果はE1βが野生型P1 6の機能について要求されることを示唆する。 マウスβcDNAを単離し、ヒトのMTS1E1βと比較した。マウスcDN Aクローンを、ハイブリッド捕獲RACE(HCR)と称される修飾ハイブリッ ド選択操作により単離した。マウスのポリA+に富むRNAを胸部および胸腺組 織より単離した。第1の鎖cDNA合成反応(Sambrookら、1989)はランダ ムな12merおよびSuperscriptII逆トランスクリプターゼ(Bethesda Resear ch Laboratories)を用いた。第2の鎖合成の後、cDNAを、特異的二本鎖オ リゴ(dsRP.2)(5'−TGAGTAGAATTCTAACGGCCGTC ATTGTTC−3'配列番号28)をその5'末端に連結することにより「アン カー」に付した。第2のcDNA鎖の5'末端は連結反応における単なるリン酸 化DNA末端であった。連結後、そのアンカーcDNAをSepharoseCL−4B カラム上で分別することにより精製した。アンカーcDNAをP16特異的復帰 性プライマー(5'−AGCGTGTCCAGGAAGCCTTC−3'配列番号 29)およびRP.2のネステッド・バージョン(RP.B)(5'−TGAGT AGAATTCTAACGGCCGTCATTG−3'配列番号30)で増幅し 、つづいて第1の増幅に用いた復帰性プライマーの上流で、 ビオチニル化遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(5'−ACTGCGAGGAC CCCACTACCTTCTCC−3'配列番号31)で捕獲した。その捕獲c DNAをRP.Bおよび遺伝子特異的復帰性プライマー(5'−GAACGTTG CCCATCATCATC−3'配列番号32)を用い、捕獲オリゴの上流で再 び増幅させた。得られた産生物をゲル精製に付し、クローンし、配列決定した。 マウスP16オリゴヌクレオチドに対する配列を、低ストリンジェントでヒトE 2プローブにハイブリッドしている配列を有するマウスゲノムクローンをクロー ンし、配列決定することにより測定した。 マウスβ転写物のヒトのそれとの比較は、E1βがタンパク質をコードしない ことを示唆する。E2のp16リーディングフレームからなる配列だけが厳格に 保存されていた。したがって、β転写物が翻訳された場合、タンパク質はE2に て開始され、p16をコードするのに用いられる同じフレームにて翻訳されたと 考えれる。推論ポリペプチドは概算分子量10kDaを有し、p16に存在する 4アンキリン繰返し単位の2 3/4を保持する。しかし、p15は3 1/2 アンキリン繰返し単位を有するにすぎず(HannonおよびBeach、1994)、他 のタンパク質が、1または2の繰返し単位だけで重なり、機能している。p10 分子がin vivoにて存在するかどうか、該分子がCDK4/6を阻害するかどう か、依然試験されている。βRNAの機能 β転写物の役割が細胞増殖を阻害することにあるとするならば、腫瘍由来細胞 系においてE1βを分裂させる変異を見つけることができるであろう。E1βを 除去する欠失を有する2つのメラノーマ細胞系がなおα転写物を発現し続けるこ とはこの見解と一致している。p16コーディング配列は、これら細胞系におけ る野生型である。にもかかわらず、E1βにて小遺伝障害(例えば、塩基置換) は全く一連の25腫瘍細胞系において見られなかった。したがって、E1βがホ モ接合性欠失の標的であると結論することは困難である。E1βエクソンがタン パク質をコードしないならば、小遺伝障害がその機能を崩壊するのに十分ではな いであろう。また、前記した欠失の標的はある別の遺伝子であるかもしれない。 例えば、p15遺伝子(MTS2)がこれらメラノーマ細胞系にて欠失の関連標 的であったことは可能である。この見解において、E1βは、E1αよりもP1 5に近いため、容易に欠失された。しかし、本発明者らは種々の細胞系にてP1 5点変異を検出できず、特異的にP15を除去した欠失を有する細胞系はないた め(Kambら、1994b)、この説明は不当であると思われる。 遺伝的証拠は、p16およびRbが、腫瘍進行の間にしばしば不活性化される 増殖調整経路の構成員であることを示唆する。β転写物の役割が否定的に細胞増 殖を調節することであるならば、それはおそらく、p16およびRbと無関係に 変異するにちがいない別の経路の部分であろう。このことはE1βを特異的に崩 壊する欠失が何故Rb-細胞系にのみ見られるかを説明するであろう。その発現 パターンに基づき、E1βは細胞を活性的にサイクルさせる役割を果たすようで ある。E1βの役割についての限定的結論は、in vivoにおけるその発現の分析 を待つばかりである。 実施例13 MTS2mRNAの発現 RNazol B(CINNA/BIOTECX Laboratories,Inc.)を用い、細胞系または一 次T細胞からRNAを単離した。cDNAを全RNA(Sambrookら、1989) よりランダムな9merを用いて合成し、DNA合成をプライムした。cDNA 収量を、合成反応におけるα32P−dATP(Amerscham)(0.1Ci/ミリモ ル)を含め、最終生成物に取り込まれる放射活性ヌクレオチドの量を測定するこ とにより計算した。MTS2発現を連続する2ラウンドの増幅にてヘミネスト復 帰性プライマーを用いることにより分析した。最初の増幅にて、2ngのcDN AをE1F(5'−TGAGGGTCTGGCCAGC−3'配列番号21)およ びX2.R140'(5'−AGCACCACCAGCGTGTC−3'配列番号2 2)で増幅させた。該反応を以下の条件下:97℃で3秒間;65℃で10秒間 ;75℃で20秒間、20サイクルについてPerkin-Elmer 9600熱サイクラ ーを用いて行った。これらの反応物を100倍に希釈し、E1FおよびX2 B(5'−CGTGTCCAGGAAGCCC−3'配列番号23)で再び増幅さ せた。X2Bオリゴをその5'末端でγ32P−dATP(DuPont)で放射標識化 した(Sambrookら、1989)。PCR条件は、15サイクルである以外は、前 記と同じであった。得られた産生物を変性5%ポリアクリルアミドゲルを介する 電気泳動により分析した。乾燥ゲルを、X−OMAT(Kodak)に一夜暴露した 。異なる組織でのMTS2発現 MTS2は、MTS2がホモ接合的に欠失されている腫瘍に生じるものを含め 、多くの組織型にて発現することが判明した(図10A参照)。しかし、組織間 で相違があった。例えば、MTS2転写物は肺組織にて容易に検出されたが、前 立腺および脳組織では検出されなかった。対照的に、密接に関連するMTS1遺 伝子の発現は試験した組織すべてに検出された。MTS2 RNAレベルにおけ る組織特異的相違がMTS2タンパク質についての組織特異的要件を反映してい るかどうかわかっていない。細胞サイクルの間のMTS2発現 MTS2が細胞サイクルにおける重要な塩基転位を調節するならば、その発現 は細胞サイクル中に変化するかもしれない。例えば、正常な分割細胞において、 p21 mRNAの量は細胞サイクル期の機能に比例して変化する(Liら、19 94b)。MTS2転写が細胞サイクル中に調節されるかどうかを試験するのに 、休止ヒト細胞をPHAおよびIL2で剌激し、剌激後の種々の段階でモニター した(図10B参照)。Goを終え、細胞サイクル期を経た細胞のように、MT S2発現レベルにおける明白な傾向は何ら見られなかった。反対に、対照遺伝子 、CDK4の発現は、予想どおりに変化した(Matsushimeら、1992)。かく して、正常に分割している細胞のサイクルの間に、MTS2 mRNAが差次的 に発現することについての証拠は全く見いだされなかった。 MTS1タンパク質が、網膜芽腫タンパク質Rbが関与する成長調整経路にて 関与していると提案されている(Serranoら、1993;Guanら、1995;Ser ranoら、1995)。最近の研究により、MTS1の発現が、少なくとも部 分的に、Rbにより調整されるという見解について、強力な状況証拠が得られた (Liら、1994a;Parryら、1995)。MTS1とMTS2の間の生化学 的類似性は、MTS2もまた、Rbにより調整されることを示唆している。この 可能性を、Rb陽性細胞系およびRb陰性細胞系におけるMTS2 mRNAのレ ベルを比較することにより試験した。Rbの状態とMTS2 mRNAレベルの 間に相関関係は何ら見られなかった(図10C参照)。このことは、細胞系のR bの状態がMTS2転写物の量に劇的な影響を及ぼさないことを示唆している。 かくして、MTS1と異なり、MTS2発現はRbと無関係であろう。 実施例14 MTS1およびMTS2の異所性発現 MTS1の483塩基対フラグメントを、プライマーMTS1.F(5'AAA GGATCCATTGCCACCATGGAGCCGGCGGCGGGGAGC AGCATGGAGCCTTCGGCT3')(配列番号17)およびE3.R( 5'TTTGAATTCAATCGGGGATGTCTG3')(配列番号18) を用いるポリメラーゼ連鎖反応により生成した。プライマーMTS1.Fは将来 のクローニング用に5'末端付近に制限酵素部位およびコダック・コンセンサス 配列(Kozak、1987)を包含するように設計された。この反応についての鋳 型DNAは胸部組織由来のcDNAであった。この生成フラグメントを、EcoR IおよびBamHIで消化された発現ベクターpcDNA3(In Vitrogen)中に挿 入した。pcDNA3はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを有し、 アンピシリンおよびネオマイシンに対する耐性をコードする。ついで、得られた 組換えベクター、pcDNAp16を電気穿孔法により細胞系HS294Tに挿 入した。HS294Tはメラノーマより誘導され、MTS1およびMTS2の両 方のホモ接合性欠失を有する。HS294Tを10%ウシ胎児血清、非必須アミ ノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびL−グルタメートを補足した、DMEM(Gi bco)中に増殖させた。該細胞を5%CO2中37℃で増殖させた。HS294T を、1:4の割合の、形質転換細胞に対してヒグロマイシン耐性を付与す るpSS(Stratagene)、およびCMVプロモーターの下流に挿入されたMTS 1コーディング配列を含有するpcDNA3(Invitrogen)または挿入体を有し ないpcDNA3ベクターで共同形質転換した。 MTS2のコード部を、同様に、pcDNA3中にクローンし、再びコダック 配列を形成させてpcDNAp15を得、HS294T中に挿入した。このため に、前記の実施例13にて調製したMTS2 cDNAを用いた。 ヒグロマイシン耐性用の選択マーカーを含有するプラスミドpSS(Stratage ne)を、同時に、pcDNAp16またはpcDNAp15と一緒に共同転換さ せた;pSSは、電気穿孔にてキュベット当たり20μgで存在した。電気穿孔 についての条件は、キュベット当たり800μLの細胞であり、1.5x106細 胞/mlおよび500μF電気容量、400ボルトであった。対照実験をpcD NA3+pSSを用いて行った。電気穿孔細胞(約400μL)を、ヒグロマイ シン300μg/mlと一緒にペトリ皿に入れた。コロニー数(Foci)を14日 後に計数した。結果を表9に示す。 CMVプロモーターに融合した完全なMTS2コーディング配列を有する構築 物がHS294Tに形質転換された場合、その構築物は、MTS1の異所性発現 の効果に匹敵する、対照と比較した場合の7つの遺伝因子によりコロニー形成を 阻害した。この結果はMTS2の異所性発現が細胞増殖を阻害するのに十分であ ることを示唆する。形質転換細胞が、MTS1の異所性発現の結果と考えられる 、G1にて阻止されるか、または増殖が他の方法にて阻止されるかどうか明らか で ない。(ホモ接合性欠失のため)p15またはp16発現を欠く細胞系における p15またはp16の過剰発現が細胞の増殖を阻害すると結論できる。正確な機 構は不明であるが、p15またはp16の過剰発現が細胞分裂を停止させるか、 または細胞を殺す可能性がある。これらの結果はp15およびp16がin vivo にてbona fide腫瘍サプレッサータンパク質として機能し、したがってp15お よびp16はおそらく治療的用途を有することを示唆する。 多くの理由から、MTS2は腫瘍サプレッサー遺伝子として有望な候補である 。MTS1に類似する広範な配列特性を有し、in vivoにてCDK機能に結合し て阻害し、MTS2の異所性発現は、in vivoにおける細胞増殖を阻害する。前 記の結果は、MTS2とMTS1の間に生化学的類似性があるにもかかわらず、 2つのタンパク質にin vivoにて有意に異なる機能があるという可能性を想起さ せる。MTS2の2つの特徴は、これがその可能性を有すること:i)MTS1 でなく、MTS2がTGFβにより導入されること(HannonおよびBeach、19 94)およびii)MTS1と異なり、MTS2転写はRbと無関係と思われるこ とを示唆する。MTS2が腫瘍形成に全く関係しないことは可能である。また、 MTS2は、MTS1の関連する経路とは別の腫瘍抑制の経路に関連しているか もしれない。この経路の要素は知られていないが、これら要素のうちいくつかは 体細胞組織におけるMTS2よりもずっと高い頻度で変異すると考えられる。こ のことから、MTS2の体細胞変異の欠如は決して腫瘍抑制における重要な役割 を排除するものではない。前記したように、MTS2の異所性発現は細胞増殖を 阻害し、MTS2の役割は首尾一貫して腫瘍を抑制することにある。細胞サイク ルの間にMTS2発現が一定レベルであること、およびそのTGFβによる誘発 は、G1におけるMTS2の役割が、必須というわけではないが、細胞サイクル それ自体の発生の時期の調整を阻止することにあることを示唆する。反対に、R bによるMTS1発現の調整は、MTS1が細胞サイクルにおけるオシレーター としての役割を有することを指示する。in vivoにおける増殖調整分子としての MTS2の機能を試験することおよびMTS2が機能する範囲内の経路を吟味す ることは重要であろう。 実施例15 サンプル中のMTSの存在を検出するための2工程検定 親サンプルをアントナラキス(Antonarakis)ら(1985)によって開示さ れている方法に従って処理し、1%アガロースゲルを通して分離し、サザーンブ ロット分析用のナイロン膜に移す。膜をGS・ジン・リンカー(Gene Linker) (Bio-Rad)を用いて150mJでUV架橋する。配列番号4のヌクレオチド位 置448−498に対応するMTSプローブをpTZ18Uにサブクローンする 。ファージミドをM13KO7ヘルパーファージ(Bio-Rad、リッチモンド、カ リフォルニア州)に感染したイー・コリMV1190に形質転換させる。一本鎖 DNAを標準操作に従って単離する(Sambrookら、1989参照)。 ブロットを0.5M NaPO4の7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中、 65℃で15〜30分間、プレハイブリダイズする。該方法はNguyenら、199 2に記載の方法によるものである。該ブロットを65℃で、0.5M NaPO4 の7%SDS中、25〜50ng/mlの一本鎖プローブDNAで一夜ハイブリ ダイズする。ハイブリダイズ後の洗浄は、40mM NaPO4の5%SDS中、 65℃で2x30分間、洗浄し、つづいて40mM NaPO4の1%SDS中、 65℃で2x30分間、洗浄することからなる。 次に、該ブロットを、室温で5分間、リン酸緩衝セイライン(pH6.8)で リンスし、室温で60分間、PBS中0.2%カゼインと共にインキュベートし 、PBSにて5分間リンスする。ついで、該ブロットを、6M尿素、0.3M NaClおよび5xデンハード(Denhard's)溶液からなるハイブリダイゼーショ ン用緩衝液で振盪水浴(45℃)にて5〜10分間、プレインキュベートする( Sambrookら、1989参照)。該緩衝液を除去し、50〜75μl/cm2の新 たなハイブリダイゼーション用緩衝液+2.5nMの共有結合したオリゴヌクレ オチド−アルカリ性ホスファターゼ接合体(ユニバーサルプライマー部位に対し て相補的なヌクレオチド配列を有する)(UP-AP、Bio-Rad)と置き換える。該ブ ロットを45℃で20〜30分間ハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーショ ン後の洗浄は、2x10分間の洗浄として、6M尿素、1x標準セイラインシト レート(SSC)、0.1%SDS中、45℃で、および1x10分間の洗浄と して、1xSSC、0.1%トリトン(登録商標)X−100中にてインキュベ ートする。該ブロットを室温で10分間、1xSSCでリンスする。 ブロットを、室温で振盪しながら10分間、0.1Mジエタノールアミン、1 mM NgCl2、0.02%ナトリウムアジドからなる基質緩衝液(pH10.0 )中にインキュベートする。個々のブロットを基質緩衝液および0.2mM A MPPD(3'−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3'−ホ スホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・ジナトリウム塩、Bio-Rad) と一緒に熱密封性バックに入れる。室温で振盪しながら20分間インキュベート した後、過剰のAMPPD溶液を除去する。該ブロットを一夜X−線フィルムに 暴露する。陽性バンドはMTSの存在を示唆する。 実施例16 MTSに対するポリクローナル抗体の生成 MTSコーディング配列の断片をイー・コリにて融合タンパク質として発現さ せた。過剰発現したタンパク質をゲル溶出により精製し、HarlowおよびLane(1 988)により記載されている方法に類似する操作に従ってウサギおよびマウス を免疫化するのに用いた。この操作は種々の他のタンパク質に対するAbsを生 成すると示されている(例えば、Kreamerら、1993参照)。 簡単には、MTSコーディング配列の鎖を、プラスミドPET5A(Navagen, Inc.、マディソン、ウィスコンシン州)中、融合タンパク質としてクローンさせ た。MTSを組み入れた配列は、配列番号4の448〜498に対応するアミノ 酸を包含する。IPTGで誘発後、予想される分子量を有する融合タンパク質の 過剰発現をSDS/PAGEにより確認した。融合タンパク質を電気溶出操作に よりゲルから精製した。MTS融合産生物としてのタンパク質の同定を、N−末 端でのタンパク質配列決定により確認した。次に、精製タンパク質をウサギにお けるイムノゲンとして用いた。ウサギをフロイント完全アジュバント中のタンパ ク質100μgで免疫処理し、3週間の間隔で2回、最初はフロイント不完全ア ジュバント中のイムノゲン100μg、つづいてPBS中のイムノゲン100μ gでブーストした。抗体を含有する血清をその2週間後に収集した。 この操作を繰り返し、MTS遺伝子の変異体に対する抗体を生成する。これら の抗体を、野生型のMTSに対する抗体と共に用い、種々の組織および生物学的 流体中の変異体の存在および関連レベルを検出する。 実施例17 MTSについて特異的なモノクローナル抗体の生成 モノクローナル抗体を以下のプロトコルに従って生成する。マウスを、グルタ ルアルデヒドまたはEDC(周知である)を用いてキーホールリンペットヘモシ アニンに結合した無傷のMTSまたはMTSペプチド(野生型または変異体)か らなるイムノゲンで免疫化する。 イムノゲンをアジュバントと混合する。各マウスに10ないし100μgのイ ムノゲンを4回注射し、4回目の注射後、血液サンプルをマウスから摂取し、血 清が該イムノゲンに対する抗体を有するかどうか測定する。血清力価をELIS AまたはRIAにより測定する。イムノゲンに対する抗体の存在を示す血清を有 するマウスを選択し、ハイブリドーマを産生する。 脾臓を免疫マウスより摘出し、単一の細胞懸濁液を調製する(HarlowおよびLa ne、1988参照)。細胞融合は、本質的にKohlerおよびMilstein、1975の 記載に従って行う。簡単には、P3.65.3ミエローマ細胞(アメリカン・タイ プ・カルチャー・コレクション、ロックビル、メリーランド州)を、Harlowおよ びLane、1988の記載に従って、ポリエチレングリコールを用いて免疫脾臓細 胞と融合させる。細胞を2x105細胞/ウェルの密度で、96ウェル組織培養 プレート上にプレートする。個々のウェルを増殖について試験し、増殖したウェ ルの上澄を、野生型または変異体MTS標的蛋白質を用いるELISAまたはR IAによりMTS特異的抗体の存在についてテストする。陽性ウェルにある細胞 を膨張させ、サブクローンして、モノクローン性を確立し、確認する。 所望の特異性を有するクローンを膨張させ、マウスにてまたはホローファイバ ー系中、腹水細胞として増殖させ、特徴付けおよび開発用に検定するのに十分な 量の抗体を産生する。 実施例18 MTSについてのサンドウィッチアッセイ モノクローナル抗体をプレート、チューブ、ビーズまたは粒子のような固体表 面に付着させる。好ましくは、抗体を96−ウェルのELISAプレートのウェ ル表面に付着させる。MTSペプチド/タンパク質(野生型または変異体)含有 の100μlのサンプル(例、血清、尿、組織シトゾル)を固相抗体に加える。 該サンプルを室温で2時間インキュベートする。次に、サンプル流体をデカント し、該固相を緩衝液で洗浄し、未結合物質を除去する。100μlの(MTSペ プチド/タンパク質上の異なる決定因子に対する)第2モノクローナル抗体を該 固相に加える。この抗体を検出体分子(例、125I、酵素、フルオロホールまた はクロモホール)で標識化し、該第2抗体を有する固相を室温で2時間インキュ ベートする。第2抗体をデカントし、該固相を緩衝液で洗浄し、未結合物質を除 去する。 サンプル中に存在するMTSペプチド/タンパク質の量に比例する結合標識の 量を測定する。野生型MTSに対して特異的なモノクローナル抗体ならびにMT Sにて同定された各変異に対して特異的なモノクローナル抗体を用いて、別個の アッセイを行う。 本発明の方法および構成は種々の具体的表現の形態にて具体化することができ 、そのうちのほんの2、3の具体例を本明細書中に開示するものである。他の具 体例が存在し、それが本発明の精神から逸脱するものでないことは当業者にとっ て明らかである。かくして、記載されている具体例は例示であり、それに限定さ れるものではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 15/09 ZNA 8310−2J G01N 33/574 Z C12P 21/02 9162−4B C12N 15/00 ZNAA G01N 33/574 9281−4B 5/00 B (31)優先権主張番号 08/215,087 (32)優先日 1994年3月18日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/227,369 (32)優先日 1994年4月14日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/251,938 (32)優先日 1994年6月1日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,SZ),AM,AU,BB, BG,BR,BY,CA,CN,CZ,EE,FI,G E,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LT,LV,MD,MG,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,RO,RU,SD,SG,SI,SK,T J,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 スコルニック,マーク・エイチ アメリカ合衆国84103ユタ州、ソルト・レ イク・シティ、ノース・モント・ウェイ 460番 (72)発明者 キャノン−アルブライト,リサ・エイ アメリカ合衆国84124ユタ州、ソルト・レ イク・シティ、サウス・アイドルワイル ド・ロード4653番 (72)発明者 カン,アレクサンダー アメリカ合衆国84102ユタ州、ソルト・レ イク・シティ、イースト600サウス1103番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物におけるメラノーマ、目のメラノーマ、白血病、星状膠細胞腫、 グリア芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、多発性ミエローマ、肉腫 、筋肉腫、胆管癌、有棘細胞癌、CLL、ならびに膵臓、胸部、脳、前立腺、膀 胱、甲状腺、卵巣、子宮、睾丸、腎臓、胃、結腸ならびに直腸の癌に関する素因 に関連した多形性を診断する方法であって、哺乳動物における野生型MTS遺伝 子にける生殖系統またはその発現産物の変化であって、上記癌への素因を示す変 化を検出することを特徴とする方法。 2.該MTS遺伝子がMTS1である請求項1の方法。 3.該MTS遺伝子がMTS2である請求項1の方法。 4.該MTS遺伝子がMTS1E1βである請求項1の方法。 5.該発現産物がMTS1のmRNAである請求項1の方法。 6.該発現産物がMTS2のmRNAである請求項1の方法。 7.該発現産物がMTS1E1βのmRNAである請求項1の方法。 8.該組織試料由来のmRNAとMTS遺伝子プローブとのハイブリダイゼー ションにより野生型MTS遺伝子のmRNAの変化が検出される請求項5の方法 。 9.該組織試料由来のmRNAとMTS遺伝子プローブとのハイブリダイゼー ションにより野生型MTS遺伝子のmRNAの変化が検出される請求項6の方法 。 10.MTS遺伝子の調節領域において変化が検出される請求項1の方法。 11.非変性ポリアクリルアミドゲル上の1本鎖DNAの電気泳動移動度にお ける変化を観察するこよにより野生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1 の方法。 12.該組織から単離されたゲノムDNAに対するMTS遺伝子プローブのハ イブリダイゼーションにより野生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1の 方法。 13.MTS遺伝子プローブが、配列番号:3のヌクレオチド891から10 16までおよび配列番号:4のヌクレオチド192から498までからなる群よ り選択されるエキソンにハイブリダイズする請求項12記載の方法。 14.MTS対立遺伝子特異的プローブとのハイブリダイゼーションにより野 生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1記載の方法。 15.該組織におけるMTS遺伝子の全部または一部を増幅して増幅配列を得 、次いで、増幅配列を配列決定することにより野生型MTS遺伝子の変化が検出 される請求項1の方法。 16.特異的MTS対立遺伝子に関するMTS遺伝子の全部または一部を増幅 することにより野生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1の方法。 17.該組織におけるMTS遺伝子の全部または一部を分子クローニングして クローン化された配列を得、クローン化された配列を配列決定することにより野 生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1の方法。 18.分子(1)および(2)を互いにハイブリダイズさせて二重鎖を形成さ せた場合に、該組織から単離されたMTS遺伝子ゲノムDNAもしくはMTSm RNA(分子(1))とヒト・野生型MTS領域DNAに相補的な核酸プローブ (分子(2))との間のミスマッチを同定することにより野生型MTS遺伝子の 変化が検出される請求項1の方法。 19.該組織におけるMTS遺伝子配列を増幅し、増幅された配列を野生型M TS遺伝子配列からなる核酸プローブとハイブリダイゼーションさせることによ り野生型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1の方法。 20.該組織におけるMTS遺伝子配列を増幅し、増幅された配列を非野生型 MTS遺伝子配列からなる核酸プローブとハイブリダイズさせることにより野生 型MTS遺伝子の変化が検出される請求項1の方法。 21.欠失突然変異に関するスクリーニングにより野生型MTS遺伝子の変化 が検出される請求項1の方法。 22.点突然変異に関するスクリーニングにより野生型MTS遺伝子の変化が 検出される請求項1記載の方法。 23.挿入に関するスクリーニングにより野生型MTS遺伝子の変化が検出さ れる請求項1記載の方法。 24.MTS遺伝子とMTS遺伝子からなる核酸プローブとのインサイチュ( in situ)でのハイブリダイゼーションにより野生型MTS遺伝子の変化が検出 される請求項1記載の方法。 25.発現産物が蛋白分子である請求項1記載の方法。 26.イムノブロットにより野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出される請 求項25の方法。 27.免疫細胞化学により野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出される請求 項25の方法。 28.該組織から単離されたMTS遺伝子の蛋白とCdkとの間の結合相互作 用をアッセイすることにより野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出される請求 項25の方法。 29.該CdkがCdk4である請求項28の方法。 30.Cdkの生化学的活性の阻害をアッセイすることにより野生型MTS遺 伝子の蛋白の変化が検出される請求項25の方法。 31.該CdkがCdk4である請求項30の方法。 32.哺乳動物試料における野生型MTS遺伝子またはその発現産物、MTS 遺伝子座から生じる腫瘍形成を示さない野生型遺伝子または発現産物の存在を検 出することを特徴とする、哺乳動物におけるMTS遺伝子座における腫瘍形成の 欠如を確認する方法。 33.該MTS遺伝子がMTS1である請求項32の方法。 34.該MTS遺伝子がMTS2である請求項32の方法。 35.該発現産物がMTS1のmRNAである請求項32の方法。 36.該発現産物がMTS2のmRNAである請求項32の方法。 37.該組織試料由来のmRNAとMTS遺伝子プローブとのハイブリダイゼ ーションにより野生型MTS遺伝子のmRNAが検出される請求項35の方法。 38.該組織試料由来のmRNAとMTS遺伝子プローブとのハイブリダイゼ ーションにより野生型MTS遺伝子のmRNAが検出される請求項36の方法。 39.MTS遺伝子プローブと該組織から単離されたゲノムDNAとのハイブ リダイゼーションにより野生型MTS遺伝子が検出される請求項32の方法。 40.MTS遺伝子プローブが、配列番号:3のヌクレオチド891から10 16までおよび配列番号:4のヌクレオチド192から498までからなる群よ り選択されるエキソンにハイブリダイズする請求項39の方法。 41.該組織におけるMTS遺伝子のすべてまたは一部を増幅して増幅された 配列を得、次いで、増幅された配列を配列決定することにより野生型MTS遺伝 子が検出される請求項32の方法。 42.該組織におけるMTS遺伝子のすべてまたは一部を分子クローニングし てクローン化された配列を得、次いで、クローン化された配列を配列決定するこ とにより野生型MTS遺伝子が検出される請求項32の方法。 43.MTS遺伝子とMTS遺伝子からなる核酸プローブとのインサイチュに おけるハイブリダイゼーションにより野生型MTS遺伝子が検出される請求項3 2の方法。 44.発現産物が蛋白分子である請求項32の方法。 45.イムノブロッティングにより野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出さ れる請求項44の方法。 46.免疫細胞化学により野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出される請求 項44の方法。 47.該組織から単離されたMTS遺伝子の蛋白とCdkとの間の結合相互作 用をアッセイすることにより野生型MTS遺伝子の蛋白の変化が検出される請求 項44の方法。 48.該CdkがCdk4である請求項47の方法。 49.Cdkの生化学的活性の阻害をアッセイすることにより野生型MTS遺 伝子の蛋白の変化が検出される請求項44の方法。 50.該CdkがCdk4である請求項49の方法。 51.ヌクレオチド353においてAを有する配列番号:1からなる単離DN A。 52.ヌクレオチド227においてTを有する配列番号:1からなる単離DN A。 53.ヌクレオチド353においてAを有する配列番号:1からなるMTS遺 伝子の一部にハイブリダイズする、ヒトの変化したMTS遺伝子配列に相補的な 核酸プローブ。 54.ヌクレオチド277においてTを有する配列番号:1からなるMTS遺 伝子の一部にハイブリダイズする、ヒトの変化したMTS遺伝子配列に相補的な 核酸プローブ。 55.請求項51または52の単離DNAおよび宿主細胞において作動するレ プリコンからなる、複製するクローニングベクター。 56.適当な調節配列に作動可能に連結された請求項51または52の単離D NAからなる発現系。 57.請求項55の複製するクローニングベクターで形質転換された組み換え 型宿主細胞。 58.請求項56の発現系で形質転換された組み換え型宿主細胞。 59.MTSポリペプチドの産生に効果的な条件下で請求項58の細胞を培養 することを特徴とする、組み換え型MTSポリペプチドの製造方法。
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