JPH08508994A - 農業用調合物としての水溶性繊維およびネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 少なくとも１種の農業的活性成分を重合体マトリックス内に含有する水溶性重合体状繊維を含んでなるロープまたはネットに構成された農業用組成物を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 農業用調合物としての水溶性繊維およびネット 本発明は農業的活性成分を含有する水溶性繊維の農業用調合物としての使用に 関する。繊維は例えば活性成分を内部に分散させて含有する非中空繊維または重 合体鞘（sheath）が活性成分の芯（core）を取り囲む鞘および芯繊維の如き種々 の態様であることができる。繊維はロープ、ネット、または他の物理的形状に構 成される。 農業的活性成分を含有する密封された水溶性バッグは米国特許第５，０８０， ２２６号に開示されており、それは作業者の農業的活性成分に対する露呈を減じ そして汚染された重複包装の廃棄の必要性を排除する。しかしながら、水溶性バ ッグは可変的な単位包装用の手段を与えない。米国特許第３，２９９，５６６号 に開示されている水溶性重合体シート中に分散された単独の農業的活性成分は可 変的な単位包装の要望にかなうが、シートの水混合タンク中での溶解速度が非常 に遅いため栽培者の要望に合わない。これらの水溶性重合体調合物は従来の噴霧 調合物より、目標外運動（空気噴霧漂流および土壌中の運動）の減少または混合 タンク清浄問題の回避において、改良を与えるものである。 ＷＯ ８９／０１２８４は２，６−ジニトロアニリン有害生物防除剤を含有す る重合体物体（「ボタン」または「ビーズ」）を含有する水−不溶性重合体から 製造された水−透過性シートを開示している。 米国特許第３，２９９，５６６号は有孔性の水溶性シート内への有害生物防除 剤の分散およびこのシートの土壌中への適用を開示している。しかしながら、こ のシートは単位面積当たりに過剰の重合体を使用しそして扱いにくく、且つ風に より容易に吹き飛ばされてしまう（二次被害を 生ずる）。従って、可変的な単位包装を与え、目標外運動を減じ、混合タンク清 浄問題を回避し且つ二次被害なしに容易に廃棄可能な農業用調合物に関する要望 が存在する。 発明の要旨 本発明は少なくとも１種の農業的活性成分を繊維内に含有する少なくとも１つ の水溶性の重合体状繊維を含んでなる農業用組成物を包含する。繊維は内部に均 一に分散または溶解させた農業的活性成分を有することができる。或いは、繊維 は農業的活性成分を含んでなる芯を取り囲む少なくとも１つの層からなる重合体 状鞘の形状をとる。重合体状鞘は１種もしくはそれ以上の農業的活性成分を含有 することができ、または複数の層を含んでなることもでき、ここで各々のそのよ うな層は少なくとも１種の農業的活性成分を含有する。上記繊維の一方または両 方を用いる本発明の農業用組成物は種々の物理的形状に構成される。例えば、２ つもしくはそれ以上の繊維をロープまたはネットの形状に構成することができ、 そこでは各々の繊維が同一または異なる活性成分を含有する。従って、１つの調 合物中への非相容性活性成分の加入が可能である。さらに、そのようなネットま たはロープには希望する適量使用のために容易に分離できるように単位投与量毎 に切れ目を入れることもできる。本発明はさらに、フィルムマトリックス内に農 業的活性成分を有する水溶性フィルム中における空所または孔の作成により製造 される農業的活性成分を含有する不規則的または均一構造の水溶性ネットも包含 する。 図面の簡単な記述 図１は本発明の１つの繊維の断面図であり、そこでＡは農業的活性成分であり そしてＢは重合体鞘である。 図２は本発明の他の繊維の断面図であり、そこでＡは農業的活性成分でありそ してＢは重合体マトリックスである。 図３Ａは均一構造の本発明の織りネットの平面図である。 図３Ｂは不規則的構造の本発明のネットの平面図である。 図４は本発明のネットの走査電子顕微鏡写真である。繊維直径は１μ以下から １０μの範囲である。 発明の詳細な記述 本発明の農業用組成物は活性成分を含有する芯を取り囲む重合体状鞘の繊維の 形状をとることができる。このタイプの繊維は以下では「鞘および芯(sheath an d core)」繊維と称され、そして図１に示されている。さらに、本発明は連続的 な非中空マトリックスを形成する重合体中に農業的活性成分が均質に溶解および ／または分散している繊維の農業用組成物も包含する。このタイプの繊維は以下 では「非中空充填(solid filled)繊維」と称され、そして図２に示されている。 「ロープ」はここでは絡み合って繊維間の平均距離が繊維直径より小さくなっ たような比較的大きい円筒形を形成する１つもしくはそれ以上の鞘および芯並び に／または充填非中空状の繊維であると定義される。農業的活性成分を含有する 繊維並びにロープの形状の該繊維は発芽前または発芽後処理用の農業的活性成分 を安全に適用するために有用である。活性成分の適切投与量は繊維またはロープ の単位長さ当たりで測定される。鞘中に農業的活性成分を含まない鞘および芯繊 維並びにそれから製造されるロープが作業者の安全性を与えるのに特に有効であ る。 発芽前適用においては、１つもしくはそれ以上の繊維またはロープを種蒔き中 にみぞの中に置く。例えば、地上装置(ground rig)の後ろで１ つもしくはそれ以上の繊維またはロープのロールをほどきそしてそれと種に土を かぶせることにより、適用することができる。調合物の重合体の溶解および活性 成分の放出は、水の適用（地上装置もしくは灌漑による）または降雨により行わ れる。或いは、地上装置を越えて設置されている一連の発射装置から繊維または ロールを「発射すること」により、適用することもでき、そこでは多数の平行な 繊維またはロールが植物の天蓋の上または中に発射される。活性成分の放出は、 水を繊維もしくはロープの適用と同時にまたは適用後に行われる。 発芽後適用においては、１つもしくはそれ以上の繊維またはロープを水の混合 タンク中に計量添加し、そこでは１つもしくはそれ以上の繊維の大きい表面積の ために溶解が急速に起きる。混合タンクへの添加は好ましくは、調合物のロール を含有する例えば手で持つ「銃」の如き装置から繊維またはロープを発射するこ とにより行われる。繊維またはロープは空気圧でまたは握りローラーにより推進 される。好適には、発芽後適用は噴霧射出システムで行われ、それにより繊維ま たはロープは閉じられた室に運ばれ、そこで重合体が撹拌されている水の中に急 速に溶解し、そして農業的活性成分が例えば空中装置(aerial rig)から水性噴霧 液状で出現する。この方法では、混合タンクより閉じられているシステムが使用 され、そしてそれは作業者の露呈と関連しておりそしてタンクの清浄が減じられ る。本発明の繊維およびロープは、汚染された廃棄物パッケージを生ずることな く均一な計量および急速な溶解を伴い固体調合物を射出するというこれまでに知 られていない方法を提供する。 本発明の農業用組成物はネットの形状であることもでき、それはここで複数の 混ざった、重なったまたは絡み合った繊維であり、そこでは繊 維間の平均距離は繊維直径と等しいかまたはそれより大きい（すなわち、横縦比 が１より大きいかまたは等しい）繊維であると定義される。繊維はネット内で不 規則的または規則的配置であることができる。本発明のある種のネットは図３Ａ 、３Ｂおよび４に示されている。ネットはネットの解放空間が非中空部分と等し いかもしくはそれより大きくするために複数の孔を含有する水溶性充填フィルム の形状をとることもできる。充填フィルムは重合体マトリックス内に溶解および ／または分散されている農業的活性成分を有する重合体状物質のシートである。 ネットは発芽前または発芽後処置用の農業的活性成分を安全に適用するのに有 用である。農業的活性成分の適当な投与量はネットの単位面積当たりで測定され る。 例えば発芽前適用では、種蒔きの後または好適には種蒔き中にネットのロール を地上装置の後ろで地表でほどく。活性成分の放出は、水の噴霧（場合により肥 料および養分と共に）、灌漑により、または雨もしくは露により行われる。 最も好適な発芽後適用では、ネットのロールを地上装置の後ろで発芽中の作物 の上でほどく。活性成分の放出は、ネットを地上装置からほどくのと同時に水を 噴霧することにより行われる。この方法で、部分的に溶解されたゲル様のネット が葉の上に置かれる。この供与は（１）目標部分における活性成分の粘着を助け 、（２）地面に達してからの目標外作用の防止を助け、（３）活性成分の放出を 開始させ、そして（４）広げている最中のネットの固定を助ける。水（または水 および肥料／養分）だけが噴霧されるため、噴霧漂流は問題ない。幅の狭いネッ トは作物に直接隣接する領域中での有害生物の調節用に畝の間に置くことができ る。 同様に、本発明の繊維ネットは果樹園における個別樹木に広げることもできる 。従来の農業用組成物を樹木に噴霧散布するときには、やっかいな漂流問題に遭 遇する。しかしながら、水だけがネットと共に噴霧され、従って農業的活性成分 には噴霧漂流問題は存在しない。 本発明の繊維ネットの他の発芽後適用では、ネットの単位シート（例えば、１ ヘクタール当たり１平方メートル）を水の混合タンク中に加え、そしてその後に 従来方法で噴霧する。或いは、ネットの幅の狭い片を混合タンクまたは射出管の 中に計量添加しそしてその後に従来方法で噴霧する。ネットの大きい表面積のた めに、急速な溶解が起きる。混合タンク適用に好適なネットは農業的活性成分を 含有する繊維と共に空気が充填されている多数の繊維を含んでなるため、ネット が浮き上がり、そしてその結果急速に溶解する。混合タンク中に沈むネットは底 に粘着しそして比較的ゆっくり溶解する可能性がある。 本発明の組成物は水不透過性パッケージ内に含有されたロールまたはシート状 で包装することもできる。鞘が活性成分を含まない鞘および芯繊維の場合には、 パッケージは汚染されずそして特別な廃棄手段を必要としない。活性成分が繊維 表面上に覆われずに残存している場合（例えば、非中空充填繊維）、場合により パッケージ内の水溶性フィルムライニングを使用することもできる。このライニ ングは混合タンクに加え、溶解させそして噴霧することができる。 本発明の繊維用に適する内容物である農業的活性成分は有害生物防除剤、例え ば除草剤、殺菌・殺カビ剤、殺昆虫剤、殺バクテリア剤、殺ダニ剤、および生物 学的有害生物調節剤、並びに植物成長調整剤、およびそれらの調合された組成物 を包含する。農業的活性成分は液体、ゲル、 または非中空の形状とすることができる。簡単に述べると、化学的または生物学 的活性成分が水溶性重合体を溶解させないかまたは重合体により脱活性化しない 限り、繊維分配システムを用いて該成分を包装することができる。 適当な農業用有害生物防除剤の例には、除草剤、例えばアシフルオルフェン(a cifluorfen)、アスラム(asulam)、アトラジン(atrazine)、ベンタゾン(bentazon )、ブロマシル(bromacil)、ブロモキシニル(bromoxynil)、ヒドロキシベンゾニ トリル、クロルアンベン(chloramben)、クロロクスロン(chloroxuron)、クロロ トルロン(chlorotuluron)、クロマゾン(clomazone)、シアナジン(cyanazine)、 ダゾメット(dazomet)、デスメジファン(desmediphan)、ジカンバ(dicamba)、ジ クロルベニル(dichlorbenil)、ジクロルプロップ(dichlorprop)、ジフェナミド( diphenamid)、ジプロペトリン(dipropetryn)、ジウロン(diuron)、チアメツロン (thiameturon)、フェナック(fenac)、フェヌロン(fenuron)、フルオメツロン(fl uometuron)、フルリドン(fluridone)、フォメサフェン(fomesafen)、グリホセー ト(glyphosate)、ヘキサジノン(hexazinone)、イマザメタベンズ(imazamethaben z)、イマザクイン(imazaquin)、イマゼタピル(imazethapyr)、イオキシニル(iox ynil)、イソプロツロン(isoproturon)、イソウロン(isouron)、イソキサベン(is oxaben)、カルブチレート(karbutilate)、レナシル(lenacil)、４−クロロ−２ −メチル−フェノキシ酢酸、４−[(４−クロロ−ｏ−トリル)オキシ]酪酸、メフ ルイジド(mefluidide)、メタベンズチアウロン(methabenzthiauron)、メタゾー ル(methazole)、メトリブジン(metribuzin)、モヌロン(monuron)、ナプタラム(n aptalam)、ネブロン(neburon)、ニトラリン(nitralin)、ノルフル ラゾン(norflurazon)、オリザリン(oryzalin)、ペルフルイドン(perfluidone)、 フェンメジファム(phenmedipham)、ピクロラム(picloram)、プロメトリン(prome tryn)、プロナミド(pronamide)、プロパジン(propazine)、ピラゾン(pyrazon)、 シジュロン(siduron)、シマジン(simazine)、テブチウロン(tebuthiuron)、テル バシル(terbacil)、テルブチラジン(terbuthylazine)、テルブトリン(terbutryn )、トリクロピル(triclopyr)、(２，４−ジクロロフェノキシ)酢酸、４−(２， ４−ジクロロフェノキシ)酪酸、およびスルホニルウレア類、例えばクロロスル フロン(chlorsulfuron)、スルフォメツロン(sulfometuron)、クロリムロンエチ ル(chlorimuron ethyl)、メトスルフロンメチル(metsulfuron methyl)、２−[[[ [(４，６−ジメトキシ−２−ピリミジニル)−アミノ]カルボニル]−アミノ]スル ホニル]−６−(トリフルオロメチル)−３−ピリジンカルボン酸メチル、エタメ トスルフロンメチル(ethametsulfuron methyl)、トリアスルフロン(triasulfuro n)、５−[[[[(４，６−ジメトキシ−２−ピリミジニル)アミノ]カルボニル]−ア ミノ]スルホニル]−１−メチル−１Ｈ−ピラゾール−４−カルボン酸エチル、Ｎ −[[(４，６−ジメトキシ−２−ピリミジニルアミノ]カルボニル]−３−(エチル スルホニル)−２−ピリジンスルホンアミド、チフェンスルフロン(thifensulfur on)、トリベヌロンメチル(tribenuron methyl)、ベンスルフロンメチル(bensulf uron methyl)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、２−[[[[[４，６−ビス(ジフル オロメトキシ)−２−ピリミジニル]アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]−安 息香酸メチル、２−[[[[[４−ジメチルアミノ)−６−(２，２，２−トリフルオ ロエトキシ)−１，３，５−トリアジン−２−イル]アミノ]カルボニル]アミノ] スルホニル]−３−メチル安息香酸メチル、Ｎ −[[（４，６−ジメトキシ−２−ピリミジニル)アミノ]カルボニル]−１−メチ ル−４−(２−メチル−２Ｈ−テトラゾール−５−イル)−１Ｈ−ピラゾール−５ −スルホンアミド、並びにそれらの塩類が包含される。適当な殺菌・殺カビ剤の 例には、カルベンダジム(carbendazim)、チウラム(thiuram)、ドジン(dodine)、 クロロネブ(chloroneb)、サイモキサニル(cymoxanil)、カプタン(captan)、フォ ルペット(folpet)、チオファネート−メチル(thiophanate-methyl)、チアベンダ ゾール(thiabendazole)、クロロタロニル(chlorothalonil)、ジクロラン(dichlo ran)、カプタフォル(captafol)、イプロジオン(iprodione)、ヴィンクロゾリン( vinclozolin)、カスガマイシン(kasugamycin)、チアジメノール(thiadimenol)、 フルトリアフォル(flutriafol)、フルシラゾール(flusilazol)、ヘキサコナゾー ル(hexaconazole)、およびフェナリモル(fenarimol)が包含される。適当な殺バ クテリア剤の例はオキシテトラシクリンニ水塩である。適当な殺ダニ剤の例には 、ヘキサチゾックス(hexathizox)、オキシチオキノックス(oxythioquinox)、ジ エノクロル(dienochlor)、およびサイヘキサチン(cyhexatin)が包含される。適 当な殺昆虫剤の例には、カルボフラン(carbofuran)、カルビル(carbyl)、チオジ カルブ(thiodicarb)、デルタメスリン(deltamethrin)、およびテトラクロルヴィ ンフォス(tetrachlorvinphos)が包含される。適当な生物学的有害生物調節剤の 例には、バシルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)およびバクロウ イルス(baculovirus)が包含される。 好適な農業的活性成分はスルホニルウレア除草剤およびそれらの塩である。 ２種もしくはそれ以上の活性成分が同一調合物中で通常は一緒になる と非相容性である場合でも、それらは重合体の個別ストランドまたは層中で分離 されるため、重合体の個別態様の各タイプを使用して２種もしくはそれ以上の活 性成分を加えることができる。本発明で使用できる作物保護用化学物質の非相容 性である対の例には、ベンスルフロンメチルおよびモリネート(molinate)；(２ ，４−ジクロロフェノキシ)酢酸およびチフェンスルフロンメチル；(２，４−ジ クロロフェノキシ)酢酸および２−[[[[Ｎ−４−メトキシ−６−メチル−１，３ ，５−トリアジン−２−イル)−Ｎ−メチルアミノ]カルボニル]アミノ]スルホニ ル]安息香酸メチル；(２，４−ジクロロフェノキシ)酢酸およびメトスルフロン メチル；マネブ(maneb)またはマンコゼブ(mancozeb)およびベノミル(benomyl)； グリホセートおよびメトスルフロンメチル；トラロメスリン(tralomethrin)およ び有機ホスフェート殺昆虫剤、例えばモノクロトフォス(monocrotophos)または ジメトエート(dimethoate)；ブロモキシニルおよびＮ−[[４，６−ジメトキシピ リミジン−２−イル)アミノ]カルボニル]−３−(エチルスルホニル)−２−ピリ ジンースルホンアミド、ブロモキシニルおよび２−[[[[(４−メチル−６−メト キシ)−１，３，５−トリアジン−２−イル)アミノ]カルボニル]アミノ]−スル ホニル]安息香酸メチル；並びにブロモキシニルおよび２−[[[[(４−メトキシ− ６−メチル−１，３，５−トリアジン−２−イル)−Ｎ−メチルアミノ]カルボニ ル]アミノ]スルホニル]安息香酸メチルが包含される。 本発明の組成物は、冷水中に可溶性であり、繊維一生成性であり、そして生物 学的に分解可能である重合体を使用する。これらの性質により、繊維の製造が可 能になり、土中の残存重合体が回避され、そして目標部分付近の区域中での活性 成分の急速放出が促進される。重合体の冷水可 溶度は発芽前および発芽後適用の両方用に利用できる。発芽前適用のための調合 物中では幾分比較的遅く溶解する重合体および／または比較的厚い繊維を使用で きる。 適当な水溶性重合体にはホモ重合体またはそれらの塩もしくは共重合体が包含 される。そのような重合体の例は、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリ酸化 エチレン（ＰＥＯ）、水溶性の置換されたセルロース（例えばヒドロキシプロピ ルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ キシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース）、澱粉 、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、お よびポリメタクリル酸である。ＰＥＯおよび特にＰＶＡが好適である。 本発明の組成物中で使用される繊維は場合により１種もしくはそれ以上の補助 薬を含有できる。ここでの使用に適する補助薬は当技術で既知であり、そしてそ れらには水溶性結合剤、賦形剤、表面活性剤、延展剤−粘着剤、消泡剤、および 水溶性可塑剤が包含される。ポリエチレングリコール、グリセロール、および長 鎖酸化エチレン基を有する非イオン系表面活性剤を含むポリオール類が繊維−生 成性重合体用の可塑剤である。 １種もしくはそれ以上の農業的活性成分が水溶性重合体中に分散および／また は溶解している非中空充填繊維は一般的な溶液−または融解−紡糸方法により製 造することができる。両方法は合成繊維工業において良く知られている。融解− 紡糸方法は重合体融解物の毛管を通る押し出しおよびその後の冷却を包含する。 溶液紡糸方法は重合体の不活性溶媒中溶液の押し出しおよびその後の乾燥を含む 。融解紡糸技術の方が好ま しく、その理由は溶媒回収段階が避けられそして農業的活性成分の一部が溶媒（ 例えば、熱水）の存在下で容易に分解するからである。好適な方法では、溶媒の 量、温度、および溶媒に対する露呈時間が最少にされる。 充填された鞘および芯繊維は融解−紡糸または共押し出し方法により製造され る。多層タイプの繊維（例えば、同心円または非同心円状の鞘を含有するもの） が共押し出しにより製造される。共押し出し方法も合成繊維工業において良く知 られている。該方法は、外側の共軸性の同心円または非同心円状の毛管を通って 流れる重合体融解物の第二流により取り囲まれた毛管を通す重合体融解物の押し 出しを包含する。外側の毛管は第三の共軸性毛管を通って流れる重合体の第三流 により取り囲まれていてもよい。それにより製造される繊維は最も外側の層、外 側の鞘、外側の鞘の下にある内側の鞘、および中心の芯を含んでなる。 鞘および芯繊維の芯には活性成分だけを充填することもでき、または水溶性結 合剤中に分散および／もしくは溶解させた活性成分を充填することもできる。結 合剤は農業的活性成分（例えば、糖およびリグニンスルホネート）の顆粒化用に 通常使用されるいずれの水溶性結合剤であってもよい。融解可能な結合剤、特に 低融点結合剤、例えばポリ酸化エチレンまたはポリエチレングリコールが溶媒除 去が不必要であるため好ましい。 充填繊維ネットは、ここでは引用することにより本発明の内容となる米国特許 第４，９６３，２９８号に記載されている如く、ジェット減衰溶液紡糸、熱空気 の向流中での繊維の乾燥、およびスクリーンまたはコンベアベルト上でのネット の形状の繊維の直接的積層により製造できる。 或いは、ネットを例えば織りまたは編みの如き一般的手段により製造することも できる。 繊維中の１種もしくはそれ以上の農業的活性成分の量は組成物の合計重量を基 準にして約０．０００１〜約５０重量％である。直接適用のための目標にされる 繊維の好適量は約０．０００１〜約５重量％であるが、混合タンクまたは射出方 法を使用して適用される繊維用には約５〜約５０重量％が好ましい。組成物の合 計重量を基準にして少なくとも３５重量％の重合体が繊維の一体化用に必要であ る。 繊維直径は約１ミクロン〜約１ｃｍの範囲であってよい。混合タンクまたは射 出方法により適用される繊維用には溶解を速めるためには約１ミクロン〜約０． ２５ｍｍの直径範囲が好ましい。直接的な非−混合タンク適用繊維用には約０． ２５ｍｍ〜約１ｃｍの繊維直径範囲が好ましい。ジェット減衰紡糸により製造さ れるネット中の繊維は典型的には約１〜約１００ミクロンの範囲の直径を有する 。それより大きい直径の繊維は融解押し出し機から融解共押し出し技術により製 造される。 ネットに製作された充填繊維は０．０５Ｎ／ｍ／ｇ／ｍ²の最小引っ張り強度 を有する。正味引っ張り強度は１２．７ｃｍ平方のサンプルのネットを切断しそ してそれを重量測定して基準重量を与えることにより測定される。サンプルを次 にInstron Company，100 Royall Street，Canton，MA 02021から入手可能なイン ストロン引っ張り試験機の中に設置し、そして破壊に必要な力および伸びをコン ピューター補助引っ張り試験システム(Computer Aided Tensile Testing System )（ＣＡＴＴＳ）データ取得システムにより測定する。 本発明のネットは充填フィルムから空隙部分がフィルム部分より大きいかまた は等しいような複数の孔を作成（その後、場合により延伸）することによっても 製造できる。ネットは重合体フィルムを刺しそして延伸するための当技術で既知 の方法を用いて製造できる（Encyclopedia of Polymer Science and Engineerin g，Volume 6，John Wiley & Sons，New York，pp375-377、およびKirk-Othmer E ncyclopedia of Chemical Technology，3rd ed.，Vol.16，John Wiley & Sons， New York，pp833-834参照）。フィルムはナイフ、ニードル、またはピンローラ ーにより孔があけられる。刺されたフィルムを次に一般的手段により一軸延伸す ることができる。充填フィルムは米国特許第３，２９９，５０６号および英国特 許第２，０９５，５５８号の如くして製造される。これらの各特許は均一に分散 された化学物質を含有する薄い平らなフィルムの形状の水溶性重合体を開示して おり、該フィルムを破壊または切断して水溶性重合体中に含有された化学物質の 分配のために計測された片にすることができる。 使用する重合体を水中に溶解させ、その後に農業用化学物質を添加しそしてそ れと混合して内部に農業用化学物質を有する非中空重合体フィルムを生成するこ とにより、水溶性充填フィルムは製造される。化学物質が液体であるなら、それ を溶解された重合体に直接加えることができる。この組み合わせが水中油型(oil -in-water)乳化液を生ずる。低融点ワックス状固体農業用化学物質をその融点よ り高く加熱しそして重合体溶液に加える。粉末を重合体溶液に、直接または水中 スラリーを製造しそしてそれを重合体溶液に加えることにより、加えることもで きる。この組み合わせが分散液を生ずる。溶解された重合体および農業用化学 物質の混合物がフィルム中に流し込まれる。 生じた水溶性フィルムは、特定用途用に所望される化学物質の量を与えるため に、重合体および農業用化学物質の重量を基にして１−６５％の農業用化学物質 を含有することができる。 混合タンク中への活性成分の放出または作物上への適用のための繊維、ロープ またはネットは水中に１０分以内に、好適には５分以内に溶解する。他の用途（ すなわち、みぞ中で積層される）を意図する繊維、ロープ、およびネットは３０ 分以内に溶解する。１５ｍｍ長さの繊維もしくはロープ、または１５ｍｍ平方の ネットを、９０ｍＬの２５℃の蒸留水を含有する１００ｍＬのメスシリンダー（ 栓をした後の内部高さは２２．５ｃｍであり、内部直径は２８ｍｍである）に加 えることにより、溶解が測定される。シリンダーを中心に挟み、栓をし、そして サンプルが水中に完全に溶解するまで中心の周りを８ｒｐｍで回転させる。本発 明の農業用調合物は従来の農業用調合物より多くの利点を有する。例えば、繊維 は ａ）従来の粉末、粒状、液体およびゲル調合物と比較し起こりうる有害な活性成 分（例えば、有害生物防除剤）の作業者への露呈を減じ、 ｂ）適切な活性成分投与量の容易な測定および適用を可能にし、 ｃ）過剰適用からの流出を排除し、 ｄ）充填フィルムまたは水溶性バッグより速い混合タンク中への放出を与え、 ｅ）同一調合物中への非相容性活性成分の加入を可能にし、 ｆ）従来の調合物の汚染されたパッケージに伴う廃棄問題を排除し、そして ｇ）ある態様では、混合タンクを汚染させず、噴霧漂流を減じそして保護しよう とする区域だけを目標とし、それにより廃棄量を減じる。 下記の実施例は本発明を説明するものであり、限定しようとするものではない 。 実施例１ メトスルフロンメチルを含んでなる水溶性ネットの製造 ３１．５０％のポリビニルアルコール（PVA51-05、Dupont Elvanol^R、これはH oeppler Falling Ball Method，ASTM 1343-56，Part 8，1958，p468を用いて測 定された４％水溶液の５．５×１０^-6Ｐａｓの粘度を有する）、１３．５％のメ トスルフロンメチル除草剤、および５５％の水を含有する１００グラムの溶液を 、弁を通って米国特許第４，９６３，２９８号に開示されているタイプのジェッ ト減衰紡糸（ＪＡＳ）セルと連結された２−セル式のバレルの内部に注いだ。Ｊ ＡＳセルは（１）０．０２５ｃｍの毛管直径および３．０の長さ対直径（Ｌ／Ｄ ）比を有する重合体溶液の押し出し用紡糸口金、並びに（２）高速空気流の流動 用の紡糸口金と同心円的に置かれた０．３１８ｃｍの喉直径を有する収斂空気− ジェットノズルを含有していた。紡糸口金の先端と収斂空気−ジェットの先端と の間の空間は０．４４７ｃｍに保たれていた。 ５．１５×１０⁵Ｐａの圧力下で４０８℃に加熱された空気の主要流を紡糸口 金本体と収斂空気−ジェットとの間の環の中に流し、そして約１９４ｍ／ｓの速 度で出した。紡糸口金を通って押し出された繊維は高速の高温空気に１秒以内呈 され、そして部分的に乾燥され、そして低密度デニールの繊維に減じられた。デ ニールは９０００メートル長さの繊維の重量、グラム、であると定義される。Ｊ ＡＳセルを出た後に、繊維は ７．２２×１０⁵Ｐａの供給圧力下でそして各々０．１０２ｃｍの直径を有する １０個の孔を有する分配板を通って４８１ｍ／ｓの速度でそして空気中を実験条 件下で音速に等しい流動高温（４０８℃）空気の副流に呈した。繊維と副高温高 速空気との接触時間も１秒以内であった。 不連続的繊維を結合されたネットの形状で集めた。結合は繊維流の中での残存 水により行われた。ネットを示す走査電子顕微鏡写真が図４に示されている。ネ ットを水中に２分間溶解させると、それは０．０５Ｎ／ｍ／ｇ／ｍ²の引っ張り 強度を有していた。 実施例２ ３０．０％のＰＶＡ（実施例１で使用された通りのもの）、２０．０％のメト スルフロンメチル除草剤、４．５％のポリオキシエチレン結合剤、および４５． ５％の水を含有する出発水溶液を実施例１の如く処理した。 同じ工程を使用し４２８℃の主要空気および４１９℃の副空気を使用して、ネ ットを製造した。露呈時間は実施例１と同じであった。ネットを水中に３分間溶 解させると、０．０５Ｎ／ｍ／ｇ／ｍ²の引っ張り強度を有していた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ， ＣＮ，ＣＺ，ＦＩ，ＧＥ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＧ，ＫＰ，Ｋ Ｒ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＯ ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 ワイソング，ロバート・デイビツド アメリカ合衆国デラウエア州19803ウイル ミントン・ニコルスアベニユー416 【要約の続き】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．少なくとも１種の農業的活性成分が繊維内に均一に分散または溶解されてい る少なくとも１つの水溶性重合体繊維を含んでなる農業用組成物。 ２．農業的活性成分を含んでなる芯を取り囲む少なくとも１つの層の重合体状鞘 の形状の少なくとも１つの水溶性重合体繊維を含んでなる農業用組成物。 ３．重合体状鞘内に含有されている少なくとも１種の農業的活性成分をさらに含 んでなる、請求の範囲第３項の農業用組成物。 ４．重合体状鞘が複数の層を含んでなり、各層が少なくとも１種の活性成分を含 有する、請求の範囲第４項の農業用組成物。 ５．２つもしくはそれ以上の繊維がロープの形状に構成されている、請求の範囲 第１項または第２項の農業用組成物。 ６．各繊維が異なる活性成分を含有する、請求の範囲第５項のロープ。 ７．少なくとも１つの繊維が空気を含有する、請求の範囲第５項のロープ。 ８．１つもしくはそれ以上の繊維がネットの形状に構成されている、請求の範囲 第１項または第２項の農業用組成物。 ９．複数の農業的活性成分が存在する、請求の範囲第８項のネット。 １０．少なくとも１つの繊維が空気を含有する、請求の範囲第８項のネット。