JPH08508296A - インシュリン様成長因子結合タンパク質の使用方法 - Google Patents
インシュリン様成長因子結合タンパク質の使用方法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、治療薬としてIGFBP−1又はその改変体を含むインシュリン様成長因子結合タンパク質(「IGFBP」)の使用法に関する。改変体は、ポリマーに結合したIGFBP−1又はポリマーの対向末端に結合した2個のIGFBP−1分子を含む。該方法は、IGF関連症状を有する患者に、治療効果を発生させるに十分なIGFBP−1又はIGFBP−1の改変体を含むIGFBPを投与することを含む。本発明はさらに、該方法に有用な非リン酸化IGFBPにも関する。
Description
【発明の詳細な説明】
インシュリン様成長因子結合タンパク質の使用方法 発明の分野
本発明は、インシュリン様成長因子結合タンパク質1(IGFBP−1もしく
はBP−1)の治療薬としての使用に係わる。発明の背景
循環インシュリン様成長因子I及びII(IGF−I及びIGF−II)は、
構造において互いに関連し、かつインシュリンに関連する7kDaタンパク質で
ある。IGF−I及びIGF−IIは身体のほとんどの細胞にとっての成長及び
分化因子であり、血清中に高濃度で存在する(IGF−Iで約300ng/ml
、IGF−IIで1000ng/ml)。IGF−Iの循環レベルは主として、
肝臓を剌激してIGF−Iを産生させる成長ホルモン(GH)によって決定され
る。成長ホルモンの成長促進作用のほとんどはIGF−Iによって媒介されると
考えられる。
組織IGFも存在する。組織IGF−Iは、ゲルクロマトグラフィーで確認し
て明らかに循環IGFより大きい分子量(約26kDa)を有する。W.N.R
om,J.Clin.Invest.82,pp.16
85−1693,1988参照。
IGF−I及びIGF−IIは多数の疾患状態において役割を果たすことが判
明している。それらの疾患状態には、例えば乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、骨肉
腫、神経膠腫、肝癌、前立腺癌、横紋筋肉腫、再発狭窄症、先端巨大症、肥満症
、腫瘍誘発性低血糖症、肺線維症、糖尿病性ネフロパシー及び糖尿病性網膜障害
が含まれる。
インシュリン様成長因子のヒト腫瘍における役割はDaughaday,En docrinol.127
,pp.1−4,1990に検討されている。例えば
、IGF−I及びIGF−IIはCullen等,Cancer Invest igation 9
,pp.443−454,1991に報告されているように
、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、ウィルムス
腫及び横紋筋肉腫を含めた様々なヒト癌のオートクリンまたはパラクリン成長因
子として機能すると考えられる。きわめて様々な原発腫瘍がIGF−IまたはI
GF−IIを過剰に発現させ、かつ当該成長因子のレセプターを発現させること
は、Yee等,Cancer Res.48,pp.6691−6696,19
88及
びOsborne等,Mol.Endocrinol.3,pp.1701−1
709,1989に報告されているように既に判明している。多くのin vi tro
研究によって、先に挙げた癌のうちの幾つかに由来するヒト細胞系がIG
F−I及びIGF−IIに応答して増殖することが判明した。幾つかの事例では
、細胞系がIGF−IまたはIGF−IIを産生し、かつIGF−I及びIGF
−IIのための細胞表面レセプターを有することが判明した。場合によっては、
特に乳癌では腫瘍を囲繞する支質細胞がIGF−I及びIGF−IIを分泌し、
その結果としてパラクリン成長関係が生じることも判明している。
乳癌、肺癌及び結腸癌の3種は、米国では500,000人近くが罹患してい
る最も普通の癌である。IGF−I及びIGF−IIがこれらの癌の成長におい
て果たす役割の最強の証拠は、IGF−Iレセプターに対する抗体が上記種類の
ヒト腫瘍に由来する幾つかの細胞系によるヌードマウスでの腫瘍形成を遮断する
ことを示す実験から得られる。
Tricoli等,Cancer Rsearch 46,pp.6169−
6173,1986に報告さ
れているヒト結腸癌由来の生検試料の分析は、分析した腫瘍の40%においてI
GF−IIが10〜50倍過剰に発現されたことを示した。IGF−II過剰発
現レベルは腸壁浸潤の程度と相関した。
IGF−Iは、Nakanishi等,J.Clin.Invest.82,
pp.354−359,1988に報告されているように、ヒト小細胞肺癌細胞
系NCI−H345及びNCI−N4 17のオートクリン増殖を媒介し得る。
卵巣癌細胞系OVCAR−3、OVCAR−7及びPEO4はIGF−I m
RNAを発現させる。Yee等,Cancer Res.51,pp.5107
−5112,1991に報告されているように、一次及び転移卵巣癌組織もIG
F−I mRNAと、I型IGFレセプターmRNAとを発現させる。
Blatt等,Biochem.Biophys.Res.Commun.1 23
,pp.373−376,1984及びCanalis,J.Clin.I nvest.66
,pp.709−719,1980によれば、骨細胞は正常な
ものと腫瘍性のものとの両
方がIGF−Iを分泌し、かつIGF−Iに応答する。
IGF−II mRNA発現は肝臓組織において発生的に調節される。Car
iani等,J.Hepatology 13,pp.220−226,199
0に報告されているように、ウッドチャック、ヒト及びラットの肝癌においてI
GF−II mRNAレベルの上昇が検出されている。
三つのヒト前立腺癌細胞系PC−3、DU−145及びLNCa.FGCは相
当量のIGF−Iを産生し、かつ自己リン酸化したIGF−Iレセプターを継続
的に出現させる。Z.Pietrzkowski等,CancerResear ch 53
,pp.1102−1106,1993参照。Pietrzkows
ki等は、上記三つの細胞系のいずれの成長もIGF−IレセプターRNAに対
するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによって、またはIGF−Iの、
IGF−Iレセプターに結合するIGF−Iと競合するペプチド類似体によって
阻害されたことを報告している。
横紋筋肉腫はごく一般的な小児期の軟組織肉腫であり、発生する横紋筋形成細
胞から発症すると考えられる。E1
−Badry等,Cell Growth & Differentiatio n 1
,pp.325−331,1990に開示されているように、横紋筋肉腫
腫瘍に高レベルのIGF−II mRNAが存在することが報告されている。
先に触れたように、インシュリン様成長因子は、例えば先端巨大症及び再発狭
窄症のような癌以外の障害にも関係付けられている。先端巨大症は成長ホルモン
(GH)の産生過剰に起因する。成長ホルモンはIGF−I産生を刺激すること
によって機能する。即ち、先端巨大症はIGF−Iレベルの上昇と関係付けられ
ている。
動脈の反復閉塞である再発狭窄症は、血管形成手術を受けた患者の約25〜5
5%に6ヵ月以内に出現する。動脈内膜層の肥厚が再発狭窄症の主因である。内
膜の肥厚は、平滑筋細胞の増殖及び細胞外マトリックス成分の分泌の結果として
生起する。Cercek等,Circulation Research 66
,pp.1755−1760,1990に報告されているように、血管形成手術
後の表皮剥離動脈ではIGF−I遺伝子の発現が通常の9倍誘導されることが判
明している。IGF−I遺伝子発
現の時期及びレベルは平滑筋細胞増殖のそれにきわめて近似する。Khorsa
ndi等,J.Clin.Invest.90,pp.1926−1931,1
992の報告によれば、分裂平滑筋細胞はIGF−I遺伝子発現の増加を示す細
胞であることがハイブリダイゼーション研究によって示唆されている。Khor
sandi等,Atherosclerosis 93,pp.15−122,
1992に報告された別の研究は、(下垂体の除去に起因して)循環IGF−I
レベルの低い動物では血管形成手術後の内膜肥厚が著しく減少したことを示して
いる。
或る種の腫瘍に関連する低血糖症は以前から知られている。再発性低血糖症患
者から除去した平滑筋肉腫において、IGF−II mRNA及びIGF−II
免疫反応ペプチドが異常に高いレベルで観察されている。W.H.Daugha
day等,New England Journal of Medicine
,Vo1.319,No.22,pp.1434−1440,1988参照。平
滑筋肉腫の除去後、低血糖症は沈静化した。上掲文献参照。腫瘍誘発性低血糖症
の他の研究者は、腫瘍治療前
に高い血漿IGF−IIレベルを見出したこと、及び腫瘍治療後にIGF−II
レベルが急速に低下し、低血糖症が消散したことを報告している。L.Axel
rod及びD.Ron,New England Journal of Me dicine
,Vol.319,No.22,pp.1477−1479,19
88参照。
IGF−Iのin vivo投与も低血糖症を誘発する恐れが有る。M.S.
Lewitt等,Endocrinology,Vol.129,No.4,p
p.2254−2256,1991参照。Lewitt等は、ラット脂肪組織の
脂肪酸へのグルコース付加によってIGFBP−1が阻害されることがin v itro
研究によって判明したことも報告している。
肺線維症では、活性化された肺胞マクロファージの数が増し、肺胞壁において
線維芽細胞の病的大量集積が起こる。線維芽細胞は細胞外コラーゲン性マトリッ
クスを分泌する。線維芽細胞及びマトリックス分泌物は肺胞壁を肥厚させ、肺胞
−毛細血管単位の消失を招く。活性化された肺胞マクロファージは線維芽細胞の
複製を知らせるIGF−Iを放出することが判明している。W.N.Rom等,J. Clin.Invest.82
,pp.1685−1693,1988参照。間
質性肺障害の患者に由来する肺胞マクロファージは上記のようなIGF−Iを自
発的に分泌することも判明している。上掲文献;P.B.Bitterman等
,J.Clin.Invest.72,pp.1801−1813,1983参
照。癌性及び非癌性障害の現行の治療法には、手術、放射線照射、化学療法及び
ホルモン療法が含まれる。例えば、乳癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌及び骨肉腫など
の様々な癌が手術、放射線照射及び化学療法薬で治療される。上記のような癌の
治療に用いられる化学療法薬にフルオロピリミジン類及びアルキル化剤類が含ま
れる。これらの物質群はいずれも、例えば脊髄抑制(myelosuppres
sion)、免疫抑制、好中球減少症、胃腸毒性、腎臓毒性及び末梢神経障害を
含めた甚だしい毒性を示す。加えて、肝癌の治療に有効である既知の化学療法薬
は存在しない。手術はきわめて危険でかつ結果の予測がつかず、放射線照射は定
位の点で非特異的である。ホルモン療法には、不要の毛髪成長及び気分変化など
の望ましくない副作用が有る。
I型IGF−Iレセプターに対する抗体はin vit ro
でIGF−I応答性癌細胞系の成長を遮断することが判明している。Art
eaga等,J.Clin.Invest.84,pp.14 18−1423
,1989及びZia等,Proc.Amer.Assoc.for Canc er Research 33:270
,Abstract 1616,199
2に報告された研究は、免疫不全ヌードマウスに移植した或る種の乳癌及び肺癌
の成長をIGF−Iレセプターに対する抗体が遮断することを示した。
Trojan等,Proceedings of the National Academy of Science 89
,pp.4874−4878,
1992に述べられているように、IGF−I遺伝子に対するアンチセンス配列
はラットに移植された悪性ラット神経膠腫細胞系の成長を遮断することが判明し
ている。しかし、遺伝子治療のためにアンチセンス配列を用いることはなお早期
開発段階に有る。
このように、先に挙げた癌及び疾患状態においてIGFの作用を抑制する薬剤
が必要とされている。本発明はそのような抑制薬、即ち上記疾患状態においてI
GFの不適当
な作用を抑制するIGFBP−1を提供する。発明の概要
本発明は、インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)を、IGF
関連状態を治療または予防する治療薬として用いる方法に係わる。本発明の特定
例において、結合タンパク質は“BP−1”とも呼称されるIGFBP−1であ
る。本発明は、改変形態のIGFBPを治療薬として用いる方法にも係わる。例
えば、改変形態のIGFBP−1にはポリマーに結合させたIGFBP−1、ま
たはポリマーに結合させた2個以上のIGFBP−1分子が含まれる。上記方法
は、IGF関連状態を有する患者に、例えばIGFBP−1または改変形態のI
GFBP−1を含めたIGFBPを治療効果の実現に十分な量で投与することを
含む。IGFBP−1の場合、IGFBP−1の循環レベルを患者の血流中で約
0.1〜約300μg/mlとすれば治療効果を上げることができると考えられ
る。IGFBP、特にIGFBP−1の投与が有用であり得るのは、乳癌、結腸
癌、肺癌、卵巣癌、骨肉腫、神経膠腫、肝癌、前立腺癌、横紋筋肉腫、再発狭窄
症、先端巨大症、肥満症、腫瘍誘発性低血糖症、肺線維症、糖尿病性ネフロパシ
ー及
び糖尿病性網膜障害を治療または予防する場合などである。本発明は、IGFB
P、特にIGFBP−1または改変形態のIGFBP−1を含有する医薬組成物
、及び該医薬組成物を用いてIGF関連状態を治療または予防する方法にも係わ
る。発明の詳細な説明
IGF−IまたはIGF−IIの不適当な発現または利用は多くの疾患状態の
一要因となる。IGFBP、特にIGFBP−1の投与は、IGF、特にIGF
−IまたはIGF−IIの不適当な発現または利用に関連する疾患状態の有用な
治療法であり得ると考えられる。即ち本発明は、IGFBP−1または改変形態
のIGFBP−1を含めたIGFBPを治療効果の実現に十分な量で投与するこ
とによってIGF関連状態を有する患者を治療するか、またはIGF関連状態を
予防する方法を提供する。
本明細書中の用語を次のように定義する。
“許容可能な医薬用キャリヤ”という語は、生理的に適合可能な水性または非
水性溶媒を意味する。
“IGF−I”という語は特に断らないかぎり、天然IGF−Iと同じアミノ
酸配列を有するタンパク質、または
N末端メチオニンを付加した天然IGF−Iと同じアミノ酸配列を有するタンパ
ク質(met−IGF−I)を意味する。
“IGF”という語は、例えばIGF−I、IGF−II、(des1−3)
IGF−I、met−IGF−I、インシュリン、及びI型レセプターに結合す
る任意の活性フラグメントを含めた、I型IGFレセプターに結合する任意のポ
リペプチドを意味する。このホルモン群はBlundell及びHumbel,Nature 287
,pp.781−787,1980に記載されている。
“IGF関連状態”という語は、IGF、IGF結合タンパク質もしくはIG
Fレセプターの産生過剰または産生低下、結合タンパク質またはレセプターへの
IGFの不適当または不十分な結合、及びIGFBP、特にIGFBP−1の投
与によって症状が軽減または縮小される任意の疾患に起因または関連する既存の
、または潜在的な有害生理状態を意味する。IGF関連状態はまた、通常の患者
へのIGFBP−1を含めたIGFBPの投与が所望の効果を有する状態も意味
する。IGF関連状態の例には、乳癌、結腸癌、骨肉腫、神経膠腫、肺癌、横紋
筋肉腫、卵巣癌、
肝癌、先端巨大症、肥満症、腫瘍誘発性低血糖症、肺線維症、再発狭窄症、糖尿
病性ネフロパシー及び糖尿病性網膜障害が含まれる。
“患者”という語は、IGF関連状態の治療を必要とするヒトを含めた任意の
動物を意味する。
“IGFBP”という語は、6種の既知IGF結合タンパク質のうちのいずれ
か、または前記結合タンパク質のIGFに結合するフラグメントを意味する。I
GF−I及びIGF−IIは血中を、現在6種が既知である特異的結合タンパク
質に結合して循環する。結合タンパク質は血中のIGFの95%以上と結合する
。一理論によれば、結合タンパク質によって結合された場合、IGF−I及びI
GF−IIはその生物機能を媒介する幾つかの細胞表面レセプターとの相互作用
を妨げられる。
IGF結合タンパク質−1は23kDaのIGF結合タンパク質である。IG
FBP−1はin vivoにおいて成長停止(例えば飢餓及び糖尿病)の期間
に発現され、このことはIGFBP−1がIGF−I阻害剤であることを示唆し
ている。Oh等,Endocrinol.132,pp.1337−1344,
1993は、IG
F−IとIGF−IIとがIGFBP−1への親和性において実質的に等しい能
力を有することを報告している。
羊水はIGFBP−1の天然源であり、この結合タンパク質のリン酸化形態と
非リン酸化形態との両方を含有する。J.I.Jones等,Proc.Nat l.Acad.Sci.88
,pp.7481−7485,1991参照。リン
酸化BP−1は非リン酸化形態よりもIGF−Iへの親和性が高い。J.I.J
ones等,J.Biol.Chem.268:2,pp.1125−1131
,1993参照。Jones等によれば、BP−1のリン酸化形態は細胞成長抑
制性であるが、非リン酸化BP−1は細胞成長剌激性である。細菌において発現
された組み換え産生BP−1はリン酸化されず、IGF−Iの作用を増強するこ
とが判明している。D.Ladin等,J.Cellular Biochem istry
,Supplement 17E,p.127,1993参照。
しかし、本明細書中に用意したデータは、非リン酸化IGFBP−1もin vitro
及びin vivoにおいて細胞成長抑制性であり得ることを示して
いる。特に、
細菌由来の組み換えBP−1は幾つかのIGF関連状態に付随する有害な細胞成
長を抑制することが明らかとなった。
従って、本発明の方法に有用なIGFBP−1はリン酸化または非リン酸化形
態であり得る。即ち、本発明に有用なBP−1は羊水などの天然源から精製する
か、または当業者に良く知られた組み換え操作に従い作製することが可能である
。成熟IGFBP−1のアミノ酸配列は
(配列番号1)である。
シグナル配列のアミノ酸配列はSer−Glu−Val
−Pro−Val−Ala−Arg−Val−Trp−Leu−Val−Leu
−Leu−Leu−Leu−Thr−Val−Gln−Val−Gly−Val
−Thr−Ala−Gly(配列番号2)である。
配列番号1の配列を用いて、当業者はIGFBP−1をコードするDNAを化
学的に合成し得る。あるいは他の場合には、当業者は配列番号1の配列に基づき
オリゴヌクレオチドプローブを設計してゲノムDNAまたはmRNAを単離し、
かつcDNAを発生させることができる。IGFBP−1をコードするDNAは
、組み換え産生のために宿主を形質転換するのに用い得る。
例えば、BP−1は大腸菌BL21/DE3においてT7プロモーター系を用
いて、封入体中の不溶性タンパク質として発現させ得る。BL21/DE3はF
.W.Studier及びB.Moffattによって、J.Mol.Biol .189
,pp.113−130,1986に説明されている。あるいは他の場
合には、TACプロモーター系を用い得る。大腸菌において、組み換え発現され
たBP−1は不溶性フラクションに含まれる。不溶性タンパク質は不適正に折り
畳まれ、不活性である。タ
ンパク質を6Mグアニジン及び還元剤に溶解させ、混合物を10倍に稀釈し、か
つ一晩放置してBP−1を復元させることにより、BP−1を変性させ、かつ折
り畳んでその適正構造とすることができる。IGFBP−1は18個のシステイ
ン残基を有し、これらは総てジスルフィド架橋の形成に関与すると考えられる。
BP−1中に多数のシステイン残基が存在するにもかかわらず、タンパク質はた
だ1個の大型種に復元される。復元タンパク質は、連続するQ−セファロース及
びブチル−セファロースカラムを用いて精製し得る。精製BP−1の、101の
発酵槽での1回の操作当たりの収量は約1.5gである。
IGFBP−1は、いずれも特に本明細書中に参考として含まれるJ.I.J
ones等,Proc.Natl.Acad.Sci.88,pp.7481−
7485,1991及びJ.I.Jones等,J.Biol.Chem.26 8:2
,pp.1125−1131,1993に提示されている哺乳動物発現系
においても発現され得る。哺乳動物系での発現のためには、成熟タンパク質とシ
グナル配列との両方をコードするDNAを用いるべきである。当業者は任意の適
当なベ
クター及び発現系を所望どおりに選択し得る。
IGFBP−1を含めたIGFBPの治療有用性は、その循環半減期を延長す
ることによって高め得る。タンパク質の分子量を、例えばタンパク質にポリエチ
レングリコール(PEG)などの不活性ポリマー鎖を共有結合させることによっ
て大きくすると、身体中でのタンパク質の循環半減期が長くなることが知られて
いる。例えば、Davis等,Biomedical Polymers:Po
lymeric Materials and Pharmaceutical
s for Biomedical Use,pp.44 1−451,198
0を参照されたい。タンパク質へのPEGの共有結合を、本明細書中では“PE
G化(PEGylation)”と呼称する。“PEG化した”という語はポリ
マーに結合させたことを意味する。
有用な或るPEG化法は、チオール特異的な反応性基で活性化したポリマーへ
の結合に有効なシステイン残基を有するムテインを創出することを含む。ムテイ
ンは、当業者に良く知られた突然変異誘発技術を用いて調製可能である。例えば
、1個以上の特定アミノ酸をシステイン残基で置換
することによって、またはアミノ酸間やNもしくはC末端にシステイン残基を挿
入することによってIGFBP−1ムテインを創出する。上記のような非天然シ
ステイン残基は“自由”である、即ち分子内ジスルフィド結合に関与しないと予
測される。非天然システイン残基はIGFBP−1分子の、タンパク質表面に露
出し、かつレセプター結合もしくはIGFへの結合に関与しない領域において置
換または挿入可能である。システインの挿入または置換のための部位の一つはB
P−1タンパク質の中央に存在し得る。システインは、配列番号1の配列に基づ
く残基ナンバリングで60〜180の番号を有するアミノ酸において置換または
挿入可能であると考えられる。特に有用なムテインは、天然のタンパク質ではセ
リンが位置する98位及び101位にシステイン残基を有する。
1個以上のIGFBP−1分子への不活性ポリマー鎖分子の結合は更に別の改
変形態のIGFBP−1、即ち“PEG化したIGFBP−1”とも呼称するI
GFBP−1−ポリマー結合体(conjugate)をもたらす。チオール特
異的反応性基のポリマーへの結合は、本明細書に参考として含まれる国際特許出
願公開第92/16221
号に検討されている。システインムテインがポリマーにチオール特異的反応性基
を介して結合する場合、形成された結合体は前記タンパク質の非天然システイン
残基に結合すると予測される。しかし、ムテインの復元の際に非天然システイン
はジスルフィド結合に関与するようになり、それによって天然システインをPE
G化のために解放するかもしれない。そのような場合、ポリマーは天然システイ
ン残基に結合する。ペプチドマッピングを用いれば、特異的PEG化部位を決定
することができる。
2個のIGFBP−1分子がポリマー分子の両端に1個ずつ位置する“ダンベ
ル形”分子も予測される。
当業者が通常の方法を用い、かつ本明細書に参考として含まれる国際特許出願
公開第92/16221号の教示及び本明細書の教示に従えば、上述のような改
変形態を有するIGFBP−1を含めたIGFBPの製造に有用である適当なp
H、タンパク質濃度及びタンパク質対ポリマー比は容易に決定できる。
本発明は、IGFBP−1を含めたIGFBPを許容可能な医薬用キャリヤ中
に存在させて含有する医薬組成物も提供する。キャリヤの一つに生理的食塩液が
有るが、その
他の許容可能な医薬用キャリヤを用いることも可能であると予測される。一具体
例では、キャリヤ及びIGFBP−1は生理適合性の徐放製剤を構成すると考え
られる。その際、キャリヤ中の主要な溶媒は水性であっても非水性であってもよ
い。加えて、キャリヤは製剤のpH、オスモル濃度、粘度、清澄度、色、無菌性
、安定性、溶解速度または臭気を変更または維持する、医薬に許容可能な他の賦
形剤も含有し得る。同様に、キャリヤはIGFBP−1の安定性、溶解速度、放
出性または吸収性を変更または維持する、医薬に許容可能な更に別の賦形剤も含
有し得る。このような賦形剤は、単位投与形態または多投与形態での投与用に調
剤するのに普通習慣的に用いられる物質である。
調製した治療用組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体、または脱水も
しくは親液化粉末として滅菌バイアル内に貯蔵し得る。上記のような製剤はその
まま用い得る形態でも、あるいはまた投与の直前に再構成を必要とする形態でも
貯蔵可能である。上記製剤の好ましい貯蔵は、少なくとも4℃、好ましくは−7
0℃もの低温で行なう。IGFBP−1を含有する上記製剤を生理的pHかまた
はその近似pHにおいて貯蔵及び投与することも好ましい。現在、
高いpH値(即ち9を上回る)または低いpH値(即ち4を下回る)での製剤の
貯蔵及び投与は望ましくないと考えられている。
本発明の医薬組成物は静脈内、非経口、筋肉内、皮下、関節内注射もしくは注
入によって、または吸入ミスト、経口活性製剤もしくは坐剤の形態で投与し得る
。IGFBP−1の所望投与量を達成し、かつ維持するべく、一回量を反復投与
することが可能である。この方法は、予め選択した範囲内のIGFBP−1濃度
を患者の血流中に実現するためのものである。血流中でのIGFBP−1の循環
濃度を0.1〜300μg/mlに維持することはIGF関連状態の治療に有効
であり得ると考えられる。投与頻度は、用いる製剤中のIGFBP−1の薬物動
力学的パラメーターに依存する。
本発明の方法は、後出の実施例に述べた実験に一部基づく。手短に言えば、本
発明者等はIGFBP−1が、IGF−I及びIGF−IIがin vitro
で乳癌、結腸癌及び骨肉腫癌細胞に及ぼすマイトジェン作用を妨げることを発見
した。エストロゲンは、細胞にIGF−IまたはIGF−IIを分泌させること
によって少なくとも部分的
に乳癌の成長を刺激する。
結腸癌の成長を抑制するには1〜10μg/mlのBP−1濃度が必要であっ
た。或る結腸癌細胞系は無血清含有培地中で成長したが、これはおそらくその細
胞系が該細胞系自体の成長因子を産生したからである。無血清培地中での上記細
胞系の成長は、高濃度のBP−1で少なくとも50%抑制された。
本発明者等は、IGFBP−1がIGF−Iの骨肉腫細胞へのマイトジェン作
用を抑制することを証明した。50ng/mlのIGF−Iがラット骨肉腫細胞
に及ぼすマイトジェン作用の50%を約12倍モル過剰量のIGFBP−1が抑
制した。
IGFBP−1はIGF−Iに対する平滑筋細胞の増殖応答を抑制することも
判明した。ラットにおいて血管形成後に投与したIGFBP−1は、平滑筋増殖
及び細胞外マトリックス付着に起因する内膜肥厚を著しく抑制した。このような
結果は、IGFBP−1が再発狭窄症の治療または予防に有用であることを示し
ている。
下垂体切除したラットにおいて、IGFBP−1はIGF−I及び成長ホルモ
ンの成長促進作用を抑制した。加え
て、IGFBP−1、そのムテイン、及びPEG化したIGFBP−1はマウス
3T3線維芽細胞の成長のIGF−I剌激を抑制した。
以下の実施例によって、本発明を非限定的に詳述する。
実施例1
A.IGFBP−1の精製および復元
IGFBP−1を発現するE.coli細胞を、緩衝液A(50mM Tri
s,pH7.5,20mM NaCl及び1mM DTT)中に、細胞ペースト
10g当たり40mlの濃度で懸濁させ、フレンチプレスセルを使用して180
0psiで破壊した。懸濁液を20,000×gで30分間遠心し、ペレット及
び上清のアリコートをSDS−PAGEによって分析した。IGFBP−1に対
応する主要バンドはペレット中には存在したが、上清中には存在しなかった。ペ
レットを緩衝液A(細胞ペースト10g当たり40ml)中に懸濁させ、20,
000×gで30分間再度遠心した。この洗浄プロセスを2回繰返した。IGF
BP−1を含む最終ペレットを、粉砕ガラスホモジナイザーを使用して6Mグア
ニジン、50mM Tris,pH7.5,6mM DTT(細胞10g当たり
25ml)中に懸濁させた。懸濁液を室温で15分間インキュベートした。溶解
しなかったタンパク質を、20,000×gで30分間遠心することにより除去
した。IGFBP−1の終濃度は1.0mg/mlであった。ペレット及び上清
の
SDS−PAGE分析から、IGFBP−1は上清中にのみ存在することが判っ
た。
変性及び還元したIGFBP−1に3ステップからなる復元処理を実施した。
a)混合ジスルフィド生成試薬(GSSG)である酸化グルタチオンを上清に
終濃度25mMに添加し、室温で15分間インキュベートした。
b)次いで溶液を50mM Tris,pH9.7で徐々に10倍に希釈し、
フッ化フェニルメチルスルホニルを終濃度1mMに添加した。タンパク質の終濃
度は100μg/mlであった。
c)復元混合物を4℃で一晩インキュベートした後、20,000×gで15
分間遠心した。ペレット及び上清のSDS−PAGE分析から、上清は比較的均
一なIGFBP−1からなることが確認された。
上清のアリコート(50μl)を緩衝液C(0.05%TFA)で200μl
に希釈し、逆相カラム(RP−4,1×250mm,Synchrom)に注入
し、80%アセトニトリル、0.042%TFA(緩衝液D)を用い、直線濃度
勾配(1分間に緩衝液D濃度の1%増加)にて流
量0.1ml/分で溶出した。
復元されたIGFBP−1を表わす単一主要ピークは68分に溶出した。5M
グアニジン、50mM Tris,pH7.5,100mM DTT中で完全に
還元され変性された後では、復元IGFBP−1の保持時間は71.0分にシフ
トした。これらの結果は、IGFBP−1が記載の条件下で単一優勢種に折り畳
まれたことを示している。68.0分に溶出したIGFBP−1のN末端配列分
析からは配列Met Ala Pro Trp Gln Cys Ala Pr
o・・・(配列番号3)が得られたが、これは、組換えタンパク質のN末端には
追加メチオン残基があることを除き、ヒトIGFBP−1のN末端アミノ酸配列
(配列番号1)と一致する。
B.復元IGFBP−1の単離
正しく復元されたIGFBP−1を含むE.coliペースト590gから調
製した復元混合物(15000ml)を1800mlに濃縮し、20mMリン酸
ナトリウム,pH6.0に対して透析し、10,000×gで30分間遠心する
ことで沈殿したE.coliタンパク質を除去し、同じ緩衝液で予め平衡化して
おいたQ−Sepharose
(Pharmacia/LKB,Piscataway,NJ)カラム(5.0
×60cm)に添加した。結合したタンパク質を、0.5M NaClまでの直
線濃度勾配をを持つ5000mlを用い、流量20ml/分で溶出し、25ml
フラクションを回収した。単一主要ピークは0.3〜0.4M NaClのとき
溶出した。各フラクションのアリコート100μlを逆相クロマトグラフィーカ
ラム(RP−4 1×250mm Synchrom)によって個々に分析した
。(RP−4分析から判断して)主に正しく復元されたIGFBP−1を含むフ
ラクションをプール(900ml)し、pHを7.5に調整し、導電率を1mM
NaCl(95mΩ)に調整し、20mm HEPES,pH7.5,1.0
M NaClで予め平衡化しておいたToyopearl butyl−650
S疎水性相互作用カラム(5×5cm)(Supelco,Bellefon
te,PA)に流量30ml/分で添加した。
タンパク質を、20mM HEPES,pH7.5までの直線濃度勾配を持つ
1500mlを用い、流量40ml/分で溶出した。単一広域ピークが5〜15
%エタノールで溶出した。各ピークフラクションのアリコート(10μl)
をRP−4逆相クロマトグラフィー及びSDS−PAGEによって分析した。純
粋な(95%)正しく復元されたIGFBP−1を含むフラクションをプールし
、6〜8mg/mlに濃縮し、生物活性を分析した。IGFBP−1を使用する
下記の実験の全てにおいて、組換えE.coli発現IGFBP−1を使用した
。
実施例2
ラットにおけるIGF−I及び成長ホルモンの成長促進作用のIGFBP−1に
よる阻害
下垂体摘除(下垂体の除去)により個体から成長ホルモン源を除去すると、成
長が停止する。下垂体摘除した被検動物にSchoenleら,Nature,
296:252−253(1982)に記載のごとく外来成長ホルモンまたはI
GF−Iを注射すると、当該動物の成長を刺激させ得る。このモデルにおいてI
GF−1及び成長ホルモン刺激による成長に及ぼす皮下投与IGFBP−1の作
用を試験した。成長は、体重増加及び脛骨骨端幅を測定することにより評価した
。A.IGF−I実験
外科手術によって下垂体を摘除した体重120〜130
gの雄Sprague Dawleyラットを市販業者(Charles Ri
ver,Wilmington,MA)から入手した。下垂体摘除の完全性を検
証するため、実験を開始する前にラットの体重を2〜3週間モニターした。体重
が1週間に2g以上増加したラットは実験に使用しなかった。ラットに、0.2
mlのビヒクル溶液(40mM HEPES,100mM NaCl)、IGF
−I(80μg)のみ、IGFBP−1のみ、または種々のモル比のBP−1と
組合わせたIGF−I(80μg)を、首筋に1日2回、8日間続けて皮下注射
した。試験したIGFBP−1:IGF−Iのモル比は0.04:1〜5:1で
あった。体重は毎日測定した。最後の注射を行ってから12時間後にラットを殺
した。Greenspan,Endocrinology,45:455−46
3(1949)に記載のごとく、左右の脛骨を摘出し、ホルマリンで固定し、矢
状平面の遠位端部で裂開し、硝酸銀で染色した。石灰化した組織は暗褐色に染色
され、軟骨の増殖域は鮮明な白帯として現れた。軟骨骨端板を、校正接眼マイク
ロメーターを備えた実体顕微鏡で測定した。各骨端に対して、おおよそ10個の
読取り値を得た。ラットごとに、左
右の脛骨の読取り値を合わせて平均を計算した。
数回の実験の結果を表1にまとめて示す。ビヒクルで処理したラットは8日間
の試験期間中に体重増加を示さなかったが、IGF−Iで処理したラットはこの
間に1ラット当たり平均約6gの体重増加を示した。IGFBP−1:IGF−
Iが5:1のグループのラットは有意な体重増加を示さず、このことから、この
モデルにおいては過剰量のIGFBP−1がIGF−Iの成長促進作用を妨げた
ことが判る。IGFBP−1をIGF−Iに対してモル比1:1〜0.2:1で
投与すると、IGF−I剌激による成長が50〜75%阻害された。IGFBP
−1を投与したグループにおいて、IGF−Iのみの刺激成長率より高い成長を
示したグループはなかった。更に、IGFBP−1のみを投与した場合も有意な
成長促進作用は見られなかった。IGF−I剌激による脛骨骨端幅の拡大に関し
て、IGFBP−1をIGF−Iに対してモル比5:1〜1:1で投与した場合
に統計的に有意な阻害が生じた(表1)。これらのデータから、IGFBP−1
はIGF−I剌激による骨及び軟骨の成長を阻害することが判る。
B.成長ホルモン実験
この実験の方法はIGF−Iの実験と同様であるが、但し、ラットにIGF−
Iではなくて成長ホルモンを投与した。成長ホルモンとIGFBP−1とを別々
の注射部位に
皮下注射した。IGFBP−1は、1回の注射で、上述の実験において5:1の
モル過剰比で投与したものに相当する10mg/kgの用量を、1日2回投与し
た。ヒト下垂体誘導成長ホルモン(Sigma Chemical Compa
ny,St.Louis,MO)を15mU/注射の量で1日2回投与した。こ
の成長ホルモンの用量により、ラットにおいて、先の実験で使用したIGF−I
の投与より強力な成長応答が剌激された。成長ホルモンで処理したラットは、6
日間の投与期間中に1ラット当たり平均12gの体重増加を示した(表2)。I
GFBP−1で処理したラットにおいては体重増加が約75%阻害された。脛骨
骨端幅の成長ホルモン刺激による増加は、ビヒクル処理被検動物と比較して約2
倍であった(表2)。脛骨骨端幅の成長ホルモン刺激による増加は、IGFBP
−1を同時投与することで約75%阻害された(表2)。
上記実験から、IGFBP−1は、ラットにおいてIGF−I及び成長ホルモ
ン両方の成長促進作用を阻害し得ることが判る。
実施例3
in vitroにおけるヒト乳癌細胞系増殖のIGF−Iによる阻害
ヒト乳癌細胞系において、IGF−I、IGF−II及びIGFBP−1の生
物学的作用を評価した。ヒト乳癌細胞系MCF7を、Rockville,MD
にあるAmerican Type Culture Collectionか
ら入手した(カタログ番号HTB 22)。細胞を、10%ウシ胎児血清、10
μg/mlインシュリン、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1
00単位/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び非必須ア
ミノ酸(Irvine Scientific)を含むイーグル最少必須培地(
Mediatech,Herndon,VAから入手可能)中に維持した。細胞
増殖アッセイのため、MCF7を、トリプシン及びEDTAで簡単に処理するこ
とによりプレートから取り出した。細胞を96ウェル組織培養プレート(Cos
tar Corporation,Cambridge,MA)において無血清
培地(1mg/mlウシ血清アルブミン、2mMグルタミン、1mMピルビン酸
ナトリウム、100単位/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシ
ン及び非必須アミノ酸を含むイーグル最少必須培地)中で2×104/ウェルで
平板培養した。種々の希釈濃度のI
GF−I、IGF−IIまたはIGFBP−1をウェルに終容積200μlまで
添加した。37℃で4日後、MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−
イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド;Sigma Chemi
cal Companyから入手可能,カタログ番号M5655)の5mg/m
l溶液20μlを各ウェルに添加し、細胞を37℃で更に6時間インキュベート
した。50%ジメチルホルムアミド、20%ドデシル硫酸ナトリウム,pH4.
7の溶液50μlを添加することにより、細胞及び加水分解されたMTTを可溶
化した。37℃で一晩インキュベートした後、VMAX速度マイクロプレートリ
ーダー(Molecular Devices Corporation,Pa
lo Alto,CA)を用い、570nmにおける液体の光学濃度を測定し、
650nm光学濃度バックグラウンドを差し引くことにより、加水分解されたM
TTを定量した。
細胞培養液の光学濃度の増加によって立証されるように、IGF−I及びIG
F−IIはいずれもMCF7細胞の増殖を惹起した(表3)。MCF7細胞増殖
の剌激において、IGF−IはIGF−IIより約5倍強力であった。MC
F7細胞の増殖は、約1〜120ng/mlの範囲のIGF−I濃度、及び約1
0〜1200ng/mlの範囲のIGF−II濃度で生じた。IGFBP−1は
、IGF−I及びIGF−IIの刺激によるMCF7細胞増殖を用量に応じて阻
害した(表4及び5)。これは、MCF7細胞を、60ng/mlのIGF−I
または300ng/mlのIGF−IIと一緒に増加量のIGFBP−1の存在
下でインキュベートすることにより確認された。使用した組織培地は細胞を維持
するのに使用したものと同じであったが、但し、血清もインシュリンも含んでい
なかった。
IGF−Iに対しては、試験したIGFBP−1濃度は6〜13,600ng
/mlの範囲であった。IGF−I:IGFBP−1のモル比が約1:1に相当
する約180ng/mlのIGFBP−1濃度で約50%の増殖阻害が起こった
(表4)。約20倍モル過剰量のIGFBP−1に相当する4000ng/ml
を超えるIGFBP−1濃度で増殖は実質的に完全に阻害された。
IGF−IIに対して試験したIGFBR−1濃度は約30ng/ml〜約2
3,000ng/mlの範囲であった。IGF−I:IGFBP−1のモル比が
1:1より僅
かに大きくなる約840ng/mlのIGFBP−1濃度で、IGF−II増殖
応答が約50%阻害された(表5)。20倍を僅かに超えるモル過剰量のIGF
BP−1に相当する22,000ng/mlを超えるIGFBP−1濃度で増殖
は実質的に完全に阻害された。
実施例4
in vitroにおけるヒト結腸癌細胞系増殖のIGFBP−1による阻害
多数のヒト結腸癌細胞系においてIGF−I及びIGFBP−1の生物学的作
用を試験した。6種のヒト結腸癌細胞系をRockville,MDにあるAm
erican Type Culture Collectionから入手した
。これらの細胞系はSK−CO−1(HTB 39)、LS 174T(CL
188)、DLD−1(CCl 221),HT−29(HTB 38)、CO
LO−205(CCL 222)及びCaco−2(HTB37)であった。か
っこ内の記号はATCCカタログ番号を指す。これらの細胞系を選択した理由は
、これら全てがAmerican Type Culture Collect
ionカタログ中の記載によればヌードマウスにおいて腫瘍を形成するからであ
る。細胞を、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100単位/mlペニシ
リン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むイーグル最少必須培地(M
ediatech,Herndon,VA)中に維持した。
これら6種の結腸癌細胞系に及ぼすIGF−Iの作用を以下のように評価した
。細胞が90〜100%集密に達したならば、細胞を、トリプシン/EDTAで
簡単に処理することによりプレートから取り出した。細胞を数回洗浄し、カウン
トし、無血清培地(2mMグルタミン、100単位/mlペニシリン及び100
μg/mlストレプトマイシンを含むイーグル最少必須培地)中に1×105/
mlの濃度で再懸濁させた。細胞懸濁液100μlを96ウェル組織培養プレー
ト(Corning Glass Works,Rochester,NY)の
各ウェルに添加した。種々の量のIGF−Iを含む無血清培地100μlをウェ
ルに添加し、培地をピペットで吸引することにより静かに混合した。プレートを
37℃で3日間インキュベートした。この時点で、クリスタルバイオレット染色
アッセイを使用して細胞数を定量した。培地を細胞から吸い取り、150μlの
クリスタルバイオレット染料[2gのクリスタルバイオレット(Aldrich
Chemical Company,Inc.,Milwaukee,Wi)
を270mlの37%ホルムアルデヒド及び20mlのリン酸カリウムpH7.
0に溶解したもの]を各ウェルに添加した。
20分後、液体を吸い取り、ウェルをリン酸緩衝塩類溶液で3回洗浄した。20
0μlの抽出緩衝液(50%エタノール、0.1Mクエン酸ナトリウムpH4.
2)を各ウェルに添加し、プレートを室温で一晩放置した。翌日、マイクロプレ
ートリーダー(Molecular Devices,Palo Alto,C
A)を使用して570nmにおけるウェルの光学濃度を測定した。
細胞培養物の光学濃度の増加により立証されるように、6種の細胞系の全てが
IGF−Iに応答して増殖した(表6及び7)。Caco−2細胞系は無血清培
地においてよく増殖しており、このことから、それが1種以上の外来増殖因子を
産生していることが判る。無血清培地におけるCaco−2細胞系の増殖はIG
F−Iによって増強された(表6)。試験した他の結腸癌細胞系は、試験条件下
の無血清培地中では有意な細胞増殖を示さなかった。しかしながら、これらは全
てが、培養物の光学濃度の増加によって立証されるように、IGF−Iに応答し
て増殖した(表6及び7)。
次いで、IGFBP−1がこれらの細胞系の増殖に及ぼす作用を調べた。IG
FBP−1がIGF−I剌激による細胞増殖に及ぼす作用を調べるよりもむしろ
、IGFBP−1が血清の存在下で細胞増殖を阻害し得るかの判定の方がin vivo
状況を表し得るため、これを調べた。簡単なトリプシン/EDTA処理
によりプレートから細胞を取り出し、洗浄し、4%ウシ胎児血清、2mMグルタ
ミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを
含むイーグル最少必須培地に1×105個
/mlの濃度で再度懸濁させ、100μlの細胞懸濁液を、96ウェル細胞組織
培養プレートの各ウェルに添加した。IGFBP−1を、2mMグルタミン、1
00単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含む無血
清イーグル最少必須培地で異なる濃度に希釈し、100μlの混合物を96ウェ
ルプレートの各ウェルに添加した。細胞培養物を軽くピペットで取って混合し、
37℃で3日間インキュベートした。最終血清濃度は2%であった。この時点で
、前述のクリスタルバイオレット染色アッセイを用いて細胞数を定量した。IG
FBP−1は、2%血清の存在下で4つの細胞系(Caco−2,COLO−2
05,HT−29及びSK−CO−1)の増殖応答をかなり阻害した(表8及び
表9)。IGFBP−1のレベルが数百ng/mlに達するまでは増殖阻害はほ
とんど見られなかった。観察された最大の増殖阻害は、30%〜100%(IG
FBP−1レベル:10〜20μg/ml)であった。IGFBP−1は、LS
174T及びDLD−1細胞系の血清刺激増殖にはほとんど作用しなかった(
10〜20μg/mlのIGFBP−1でのそれぞれの最大阻害率は9%及び2
2%)。血清中の遊離IGF−I及び
IGF−II濃度は測定しなかった。
実施例5 in vitro
におけるIGFBP−1によるヒト骨肉腫細胞系の増殖阻害
American Type Culture Collection(Ro
ckville,MD)から入手したラット骨肉腫細胞系UMR−106(CR
L 1661)
を用いて、骨肉腫のIGF−I剌激増殖に対するBP−1の阻害能力を調べた。
これらの細胞を、7%ウシ胎児血清、100単位/mlペニシリン、100μg
/mlストレプトマイシン及び2mMグルタミンを含むハムF12培地(Med
iatech,Herndon,VA製)中に維持した。細胞は、48ウェル組
織培養プレート(Costar Corporation,Cambridge
,MA)のウェルでIGF−Iに応答して増殖する。(37℃で約3日間の後に
)細胞が集密状態になると、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2度洗浄し、
ウシ胎児血清を含まない前記培地で24時間プレインキュベートした。プレイン
キュベートした後に、培地を除去し、系列希釈のIGF−I(1〜1,000n
g/ml)を含む無血清ハムF12培地0.5mlに代えた。プレートを37℃
で更に20〜24時間インキュベートした。次いで、各ウェルに0.5μCiの3
H−チミジン(NEN research products,Dupont
Co.,Boston,NA)を37℃で4時間パルスし、次いで冷PBSで
3度洗浄した。7%冷トリクロロ酢酸(J.T.Baker Inc.,Phi
llipsburg,NJ)を細胞
に添加して、DNAを沈殿させた。95%エタノールで濯いだ後に、0.3M
NaOHを添加して、細胞を可溶化した。アリコートを除去し、シンチレーショ
ンカウンターでカウントして、DNA中に取り込まれた3H−チミジンの量を定
量した。全てのアッセイは3度実施した。 表10に示すように、IGF−Iは
、DNA中に取り込まれる3H−チミジンを用量に応じて増加させた。最大応答
は、IGF−Iの不在下で見られるレベルの約6倍であった。異なる実験でのI
GF−IのED50は4〜20ng/mlであった。
前述のアッセイを用いて、IGFBP−1がUMR−106細胞のIGF−I
刺激増殖に及ぼす作用を調べた。但し、以下の点が前述のアッセイとは異なる。
プレインキュベーション段階の後に、細胞を、50ng/ml IGF−I及び
濃度の異なるBP−1(200〜16,000ng/ml)を含む無血清ハムF
12培地と共にインキュベートした。培地は更に、2mMグルタミン、100単
位/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含んでいた。
37℃で20〜24時間の後に、細胞に0.5μCiの3H−チミジンを4時間
パルスし、冷PBSで3度濯ぎ、7%冷トリクロロ酢酸でDNAを沈殿させた。
細胞を95%エタノールで濯ぎ、0.3M NaOHで可溶化し、シンチレーシ
ョンカウンターでアリコートをカウントした。
3回の実験のうちの1回の結果を表11に示す。データは、IGFBP−1が
IGF−Iの骨肉腫細胞への分裂誘発作用を阻害することを示している。約12
倍モル過剰のIGFBP−1(2,000ng/ml)が、50ng/ml I
GF−Iの分裂誘発作用を50%阻害した。50〜100倍モル過剰のIGFB
P−1(8,000〜16,
000ng/ml)で、50ng/ml IGF−Iの分裂誘発作用が殆ど完全
に阻害された。これらの実験でIGF−Iの作用を阻害するのに必要なIGFB
P−1の量は、他の実験や、他の細胞系を用いて観察された量よりも多い。これ
は恐らく、50ng/ml IGF−Iがこの実験で最大の分裂誘発応答をもた
らたという事実による。
実施例6
IGFBP−1による平滑筋細胞の増殖阻害
IGFBP−1を試験して、IGFBP−1がIGF−Iに対する平滑筋細胞
の増殖性応答を阻害し得るかを調べた。ラット平滑筋細胞様細胞系A10をRo
ckville,MDのAmerican Type Culture Col
lectionから入手した(カタログ#CRL 1476)。A10細胞系の
特徴は、B.W.Kimes及びB.L.Brandt,Experiment al Cell Research
,98:349−366(1976)に記載
されている。細胞を、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100単位/m
lペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM培地(イ
ーグル培地のダルベッコ変形、Mediatech,Inc.Herndon,
VA製)中に維持した。増殖アッセイのために、細胞をトリプシン/EDTA溶
液で簡単に処理してプレートから取り出し、血清含有培地で1度、無血清培地で
2度洗浄し、血球計を用いてカウントした。細胞を、2mMグルタミン、100
単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含む無血清D
MEM培地に2×105個/mlの濃度で再度懸濁させた。96ウェル組織培養
プレート(Corning Glas
s Works,Rochester,NY)の各ウェルに、100μlの細胞
懸濁液のアリコートを添加した。100plの無血清培地を、培地中のIGF−
I量を増加しながら(0、2、20、200又は2000ng/ml)適切なウ
ェルに添加し、プレートを37℃で3日間インキュベートした。この時点で、実
施例3に記載のクリスタルバイオレット染色アッセイを用いて細胞数を定量した
。
IGF−Iは、ウェルの光学濃度測定の増加から分かるように、細胞数を用量
に応じて増加させた(表12)。100ng/mlのIGF−I濃度で、最大の
増殖性応答が生じた。
前述の細胞増殖アッセイを用いて、組換えIGFBP−1がA−10細胞のI
GF−I剌激増殖に及ぼす作用を調べた。試験ウェルが100ng/mlのIG
F−Iを含んでいることを除き、アッセイは同一方法で実施した。数個のウェル
には更に、1〜10,000ng/ml濃度のIGFBP−1を含ませた。
IGFBP−1は、細胞培養物の光学濃度の減少から明白なように、細胞数を
用量に応じて減少させた(表13)。1000ng/ml濃度のIGFBP−1
では、細胞数は、外因性IGF−Iを用いないで観察されるレベル(基準増殖)
まで低下した。10μg/ml濃度のIGFBP−1では、細胞数は、無血清培
地で観察されるよりも低いレベルまで低下し、このことは、ラットA−10細胞
が内因性IGF−I又はIGF−IIを生成することを示唆している。これらのデ
ータは更に、IGFBP−1がIGF−Iに対するラット平滑筋細胞の増殖性応
答を阻害することを示している。
実施例7
IGFBP−1ムテインの調製
A.IGFBP−1ムテインの構築
プラスミドpJU1021.(ATCC受託No.67730)に含まれるI
GFBP−1 DNA配列を突然変異誘発させて、2種のIGFBP−1ムテイ
ンC98及びC101を構築した。C98ムテインでは、成熟タンパク質配列の
98位のセリンがシステイン残基に置換していた。C101ムテインでは、成熟
タンパク質配列の101位の
セリンがシステイン残基に置換していた。残基の番号付けは配列番号1に基づく
。突然変異誘発は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて実施した。
プラスミドT88IQ:IGFBP−1 DNAを出発鋳型DNAとして用い
て、C98ムテインを調製した。プラスミドpT88:IGFBP−1は、プラ
スミドpT88IQ中に野生型IGFBP−1コード配列を含んでいる。
発現ベクターpT88IQは、発現ベクターpT3XI−2の誘導体である。
ベクターpT3XI−2は以下の方法で構築した。この構築のための出発プラス
ミドは、Pharmaciaから購入したプラスミドpKK223−3であった
。プラスミドpKK223−3は、テトラサイクリン耐性のための部分遺伝子を
保有する。この非機能的遺伝子を、プラスミドpBR322上に含まれる完全テ
トラサイクリン耐性遺伝子に置換した。プラスミドpKK223−3を、Sph
Iで完全に消化し、BamHIで部分消化した。4.4kb対断片をゲル精製し
、合成アダプター(配列番号4):
及びpBR322のテトラサイクリン耐性遺伝子のC1aI,SphI消化物に
由来するDNAの539塩基対断片(PL Biochemicals,27−
4891−01)と合わせた。得られたプラスミドをpCJ1と名付けた。
次に、New England Biolabs(Beverly,Mass
achusetts)から購入したXhoIリンカーを、プラスミドpCJ1の
PvuII部位に挿入して、プラスミドpCJX−1を生成した。この挿入により
、プラスミドコピー数を制御するrop遺伝子が破壊した。次に、lacI遺伝
子を含むEcoRI断片をプラスミドpMC9(Calos等、1983)から
精製し、次いでXhoI−EcoRIアダプターと共にXhoI部位に挿入した
。次に、EcoRI及びpstI(配列番号5):
で切断して、プラスミドpKK223−3のポリリンカー領域を、付加的部位を
含むポリリンカーに代えた。このよ
うにして得られたプラスミドベクターをpCJXI−1と称する。
最後に、テトラサイクリン耐性遺伝子を、ビスルファイト突然変異誘発によっ
て破壊された制限酵素HindIII、BamHI及びSalIに対する認識部位
を有する類似遺伝子に代えた。以下の手順を使用して、pBR322のテトラサ
イクリン耐性遺伝子を突然変異させた。プラスミドpBR322をHindIII
で切断し、次いで重亜硫酸ナトリウムで突然変異を誘発した(Shortle及
びBotstein,1983)。突然変異の発生したDNAを結合して、環状
DNAを生成し、次いでHindIIIで切断して、突然変異誘発を逸れたプラス
ミドを線状化した。この消化混合物を使用して、E.coli JM109(Y
anisch−Perron等、1985)を形質転換した。テトラサイクリン
耐性コロニーを単離し、プラスミドのテトラサイクリン耐性遺伝子中のHind
III部位が損失していることをチェックした。うまく突然変異したプラスミドを
pT1と称する。同様の手順を実施して、pT1中のBamHI部位を突然変異
誘発して、プラスミドpT2を得た。このプラスミドpT2を突然変異誘発して
、SalI
部位を除去し、プラスミドpT3を生成した。突然変異したテトラサイクリン耐
性遺伝子を保有するpT3のClaI−StyI断片を単離し、これを使用して
、pCJXI−1の同種断片を置換してpT3XI−2を生成した。突然変異し
たテトラサイクリン耐性遺伝子は尚、機能タンパク質をコードする。tacプロ
モーター領域の下流で、とりわけ、以下で説明するE.coliでの発現用クロ
ーニング遺伝子として有用なBamHI及びKpnI制限部位を含んでいるポリ
リンカーを導入した。
pT3XI−2と同様に、pT88IQベクターを含むクローン化した遺伝子
の発現を、tacプロモーターにより行う。翻訳は、単一のNdeI認識配列C
ATATG(この出発部位NdeIの配列が単一になるように下流NdeI部位
を除去した)のATGで開始する。所望の遺伝子の挿入を容易にするために、N
deI部位の下流にポリリンカーがある。更には、lacI領域を含むXhoI
断片を、端を切り取った断片に代える。この断片には、lacZプロモーター、
及びlacレプレッサー用結合部位であるオペレーター領域が含まれていない。
置換されるlacI領域はlacIq突然変異−単一塩基置換をも有する
ため、lacレプレッサーの生成が増加する(Muller−Hill等,Pr oc.Nat’l Acad.Sci.(U.S.A.)
59:1259−12
64(1968))。
pT3XI−2とpT88IQとの明白な相違を以下に示す:
1.クローニング部位領域。
ポリリンカー上流のEcoRI部位とポリリンカー下流末端のHindIII部
位との間で、以下の135マー配列(配列番号6):
を置換した。
この配列は、発現用出発コドンでのNdeI部位(下線)と、BamHI、X
maI、KpnI、SalI、SacI、BstBI、SpeI及びSacII用
認識部位を含むポリリンカーとを含んでいる。
2.下流NdeI部位。
クローニング領域の約2.4Kb下流のpT3XI−2
にはNdeI部位がある。この部位は、前述の出発コドンのNdeI部位がpT
88IQで単一となるように除去されている。NdeI認識配列を除去すること
により、前記部位は5’>CATATG>3’から5’>CATATATG>3
’に変化した。
3.lacIq領域。
lacI領域を含む2つのXhoI部位間にあるpT3XI−2の領域を、以
下に示す1230塩基配列:
pT88IQのlacIq配列(1230BP)(配列番号7)
で置換した。
この置換領域は、lacZプロモーター、及びlacレプレッサー用結合部位
であるオペレーター領域を含まない。
この領域は更に、lacレプレッサー合成の増加を引き起こすlacIq突然
変異を含んでいる(Muller−Hill等、上掲)。
プラスミドpJU1021を制限酵素XbaI及びHindIIIで消化して、
IGFBP−1 DNA配列を単離し、NA−45ペーパー(Schleich
er及びSchuell,Keene,NH)を製造業者の指示に従って用い、
アガロースゲル電気泳動により精製した。単離したIGFBP−1 DNA断片
を、前述のようにXbaI及びHindIIIで消化してゲル精製したプラスミド
pT88IQ内にクローニングした。正確に再構築されたプラスミドをpT88
IQ:IGFBP−1と名付けた。PCR突然変異誘発反応で使用した5’オリ
ゴヌクレオチドプライマ
リゴヌクレオチドプライマー(IGFBP−1−C98)
10mMトリス−HCl(pH8.3)、50mM KCL、2.5mM Mg
Cl2、0.001%ゼラチン、そ
れぞれ500μMのdATP、dCTP、dGTP及びTTP、それぞれ30ピ
コモルのIGFBP−1−5’及びIGFBP−1−C98プライマー、1〜1
0ngのpT88IQ:IGFBP−1プラスミドDNA、並びに5単位の“A
mpliTaq”Taq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer C
etus,Roche Molecular Systems,Inc.,Br
anchburg,NJ製)を含む50μlの反応混合物でPCRを実施した。
PCR条件は、最初96℃で3分間のインキュベーション、次いで(96℃で1
分間、66℃で1分間、72℃で1.5分間)を35サイクル、最後に72℃で
10分間のインキュベーションであった。
野生型IGFBP−1コード配列を含むアガロースゲル精製DNA断片を出発
鋳型DNAとして用いて、C101ムテインを調製した。プラスミドpJU01
20をNdeI及びHindIIIで消化し、約0.8kb IGFBP−1コー
ドDNA断片をアガロースゲル電気泳動で精製して、IGFBP−1コード配列
を得た。PCR突然変異誘発反応で使用した5’オリゴヌクレオチドプライマー
は、S98Cムテインの構築に使用したプライマー(IGFBP−
1−5’)と同一であった。3’オリゴヌクレオチドプラ
ス−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.
001%ゼラチン、それぞれ200uMのdATP、dCTP、dGTP及びT
TP、20ピコモルのIGFBP−1−5’及びIGFBP−1−C101プラ
イマー、並びに2.5単位の“AmpliTaq”Taq DNAポリメラーゼ
を含む100ulの反応混合物中でPCRを実施した。PCR条件は、(95℃
で1分間、50℃で1分間、72℃で1.5分間)を30サイクル、次いで72
℃で10分間のインキュベーションであった。
PCRの後に、反応混合物を、ChromaSpin100カラム(Clon
Tech,Palo Alto,CA,カタログ番号K1332−2)に通して
、ヌクレオチドと取り込まれなかったDNAプライマーとを除去した。DNA断
片をXbaI及びSacIで消化し、正確な寸法(約0.43kb)のバンドを
前述のアガロースゲル電気
泳動で精製した。精製したDNA断片を、XbaI+SacIで消化したpT8
8IQ:IGFBP−1プラスミドDNAに結合した。結合混合物を使用して、
(ClonTech Laboratories,Inc.,Palo Alt
o,CA製)E.coli株DH5αを形質転換し、50ug/mlのアンピシ
リンを含むLB寒天プレート上で平板培養した。各形質転換で得られた数個のコ
ロニーからプラスミドDNAを調製し、挿入領域の両方の鎖について配列を決定
した。各ムテインについて、正確な配列を有するプラスミドを選択した。これら
を、クローンC101−3(C101ムテイン)及びC98−12(C98ムテ
イン)と名付けた。
次いで、突然変異IGFBP−1遺伝子をプラスミドpT5T(Eisenb
erg,S.P.等,Nature,343:341−346(1990))内
に戻した。この処理は、クローンC101−3及びC98−12由来のプラスミ
ドDNAをNdeI及びHindIIIで消化し、突然変異体IGFBP−1遺伝
子を含む約800bpバンドをゲル精製し、これを、同一の制限酵素で消化した
pT5TプラスミドDNAに結合して実施した。結合混合物を使用
して、E.coli株BL21/DE3を形質転換し、50ug/mlのアンピ
シリンを含むLB寒天プレート上で平板培養した。各形質転換で得られた数個の
コロニーから、プラスミドDNAを産生した。正確な配列を有するクローンをp
T5T:IGFBP−1−C98(C98ムテイン)及びpT5T:IGFBP
−1−C101(C101ムテイン)と名付けた。
B.洗浄封入体の調製
C98又はC101ムテインを発現するE.coli細胞を、10Lの発酵機
内で増殖させた。発酵機から得られた細胞を、細胞1g当たり緩衝液6mlの割
合で、破壊(breaking)緩衝液(50mMトリス、25mM NaCl、1mM
ジチオトレイトール(“DTT”)pH7.5)に再度懸濁させた。フレンチ圧
力セルを用いて、細胞を10,000PSIで破砕した。懸濁液を17,700
×gで30分間遠心分離にかけた。封入体を含むペレットを破壊緩衝液中に再度
懸濁させて洗浄し、17,700×gで再度遠心分離にかけた。洗浄し、再度遠
心分離にかけたペレットを処理するまで冷凍保存することができる。ペレット中
に含まれるタンパク質の約80%がムテインであった。
C.ムテインの復元
先ず、細胞ホモジナイザーを用い、ペレットを6MのグアニジンHCl、50
mMのトリス、6mMのDTT(pH7.5)(10mlの各緩衝液につきペレ
ット1g)に溶解して、各ムテインを変性させた。
溶解したペレットに酸化グルタチオン(「GSSG」)を23mMの最終濃度
になるように加えて復元を開始した。溶液を室温で15分間インキュベートし、
次いで50mMのトリス(pH9.7)を用いて徐々に希釈して、100μg/
mlの最終タンパク質濃度及び0.6Mの最終グアニジン濃度にした。クーマシ
ーブルータンパク質アッセイ(Pierce,Rockford,IL)により
タンパク質濃度を測定した。次いで、システイン及びフェニルメタンスルホニル
フルオリドを加えて、それぞれ5.6mM及び1mMの最終濃度にした。復元溶
液を4℃で一晩インキュベートした。
復元溶液の100μlアリコートをC4逆相カラム(RP−4 1×250m
m,Synchrom,Lafayette,In)上で分析して復元を監視し
た。C4カラムを2%のアセトニトリル(CH3CN)、0.05%の
トリフルオロ酢酸(「TFA」)で平衡にした。復元溶液の100μlアリコー
トを平衡カラムに注入し、60%のCH3CN、0.05%のTFAまでの線勾
配で、0.25ml/分の流速を用い、緩衝液Bを2%/分で変えて溶離した。
各ムテインについて、復元タンパク質は、還元、変性しているが復元されていな
いタンパク質より、約2分早く急なピークをなして溶離した。
D.復元ムテインの精製
3kDaカットオフ(WR Grace and Co.,Beverly
MassachusettsのAmicon部門)を有するAmicon S1
0Y3メンブランを用いて復元溶液を約10倍に濃縮し、20mMのリン酸ナト
リウム(pH6.0)中に透析した。透析溶液を17,700×gで30分間遠
心し、0.2ミクロンのフィルターを介して上清を濾過した。濾過したタンパク
質を20ml/分で、20mMのリン酸ナトリウム(pH6.0)で既に平衡に
してあったQ−セファロースアニオン交換カラム(5×30cm,Pharma
cia Biotech,Piscataway,NJ)に装填した。結合タン
パク質を、20mMのリン酸ナトリウム、0.5MのNa
Cl(pH6.0)までの線勾配(5カラム容量)を用い、20ml/分の流速
で溶離した。25mlの画分を分取した。各ムテインは約0.2〜0.25Mの
NaClで溶離した。復元監視用の上記条件と同じ条件を用いてC4逆相カラム
(RP−4 1X250mm,Synchrom,Lafayette,IN)
上で、又はSDS−PAGEにより画分を分析した。
復元ムテインを含む画分(画分は0.2〜0.25MNaClで溶離)をプー
ルし、20mMのトリスHCl、1MのNaCl(pH7.5)中に透析した。
透析した物質を、25ml/分で、既に20mMのトリスHCl、1MのNaC
l(pH7.5)で平衡にしてあるブチルセファロース(Supelco,Be
llefonte,Pa)疎水性相互作用カラム(5×8cm Pharmac
ia Biotech,Piscataway,NJ)に装填した。20mMの
トリス、0のNaCl、25%のエタノール(pH7.5)までの線勾配(10
〜15カラム容量)を用い、20ml/分の流速で結合タンパク質を溶離した。
各ムテインは、約15〜20%のエタノールで、非対称のピークとして溶離した
。
復元監視用の上記条件と同じ条件を用いて、C4逆相カラム(RP−4 1×
250mm,Synchrom,Lafayette,In)上で、又はSDS
−PAGEによりタンパク質含有画分(15〜20%エタノールで溶離)の10
0μlアリコートを分析した。精製されたムテインを含む画分をプールし、約0
.8mg/mlに濃縮し、20mMのトリス、250mMのNaCl(pH7.
4)中に透析した。精製された復元ムテインを実施例9に記載のように生物学的
活性について検定した。
実施例8
IGFBP−1ムテインのPEG化
C98及びC101ムテインを、平均分子量が20kDaで、チオール特異性
マレイミド反応性基(CH3O−(CH2CH2O)n−NHCOCH2CH2−N)
〔式中、nは単量体単位の数である〕が結合したモノメトキシ−PEGを用いて
PEG化した。他の適当なPEG−マレイミド試薬の製造及び使用は、本明細書
に参考文献として含むものとするPCT出願公開番号WO92/16221号明
細書に記載されている。
復元の間に、置換されたシステイン残留物(それぞれC
98及びC101中のCYS98又はCYS101)は、グルタチオンとの混合
ジスルフィドを形成して、Cys−S−S−GSHを形成するか、又はシステイ
ンとの混合ジスルフィドを形成してCys−S−S−Cysを形成し得る。従っ
て、PEG試薬との反応に使用し得る遊離チオールは存在し得ない。従って、精
製されたムテインはPEG試薬との反応の前に部分還元された。
部分還元は、5.625対1のDTTとタンパク質とのモル比で精製ムテイン
とDTTとを、20mMのトリス(pH7.4)、250mMのNaCl中、室
温で2時間反応させて行った。pH5.5に酸性化して還元を停止した。DTT
を10mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)中に透析して除去した。
部分還元したムテインをそれぞれPEG試薬と、4対1モル比のPEGとタン
パク質(最終タンパク質濃度は0.33mg/ml)で、15mMの酢酸ナトリ
ウム、26mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)、120mMのNaCl中、
室温で4時間反応させた。反応混合物をSDS−PAGE分析すると、部分還元
されたタンパク質の約50%が、約67kDaの近似見かけ分子量を有するモノ
PE
G化種(C98−PEG,C101−PEG)に変換されたことが示された。見
かけ分子量が大きいのは、一部にはPEGがゲルと相互作用することによるもの
であった。
反応混合物を、20mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)に調整した。Q−
A Qセファロースアニオン交換カラム(5×10cm,Pharmacia
Biotech,Piscataway,NJ)を20mMのリン酸ナトリウム
(pH6.5)で平衡にし、反応混合物を20ml/分で装填した。結合タンパ
ク質を20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl(pH6.5)までの線勾
配(10カラム容量)を用いて20ml/分の流速で溶離した。C98及びC1
01PEG化ムテインは約0.2MのNaClで溶離した。25mlの画分を分
取し、アリコートをSDS−PAGEにより分析した。PEG化ムテインに対応
する非還元SDS PAGE上に単一の優勢なバンドを示したPEG化C98又
はC101を含む画分をプールし、実施例9に記載のようにして生物学的活性に
ついて検定した。
実施例9
IGFBP−1及びそのムテインは3TS細胞のIGF−
1賦活化増殖を阻害する
細胞増殖の測定にクリスタルバイオレット染料アッセイを用いた。96ウエル
のゼラチンコーティングプレート中でアッセイを行った。200μlの無血清D
MEM(Dulbecco’s modification of Eagle
’s media,Mediatech,Herndon,VA)及び0〜85
0ng/mlのIGF−1に25,000細胞/ウエルでBalb/c3T3線
維芽細胞を入れた。細胞を37℃で72時間インキュベートした。この時点で、
中間層を150μlの0.2%クリスタルバイオレット、10%ホルムアルデヒ
ド、10mMのリン酸カリウム(pH7.0)と交換した。室温で20分インキ
ュベートした後、ウエルをリン酸緩衝塩水(「PSB」)で3回洗浄し、200
μl/ウエルの50%エタノール/0.1Mのクエン酸ナトリウム(pH4.2
)と共にインキュベートして細胞結合染料を遊離させた。翌日、570nmでの
吸光度を読み取った。表13に示されている結果は、組換えIGF−1が用量依
存性の3T3線維芽細胞の増殖を剌激することを示している。最大増殖は、約2
0〜60ng/mlのIGF−1濃度で起こった。ED50
は約5〜20ng/mlであった。
細胞を設定量のIGF−1及び増大量の結合タンパク質とコインキュベートし
て、3T3線維芽細胞のIGF−1賦活化増殖に関するIGFBP−1、C98
及びC101ムテイン並びにPEG化ムテインの作用を測定した。Balb/c
3T3線維芽細胞を、21ng/mlのIGF−1、変動量のIGFBP−1及
び種々のムテイン(0ng/ml〜11, 520ng/ml)を含む無血清D
MEM200μl中に25,000細胞/ウエルで入れた。細胞をさらに72時
間インキュベートし、上記のようにプロセシングした。
その結果は、非PEG化並びにPEG化されたC98及びC101ムテインの
生物学的活性が共に野生型組換えIGFBP−1の活性に匹敵することを示して
いる(表14〜18)。上記条件下に21ng/mlIGF−1の活性を50%
阻害するのに必要なIGFBP−1の濃度(IC50)は、野生型IGFBP−1
、IGFBP−1ムテイン及びPEG化IGFBP−1については約200〜3
00ng/mlである。
実施例10
IGFBP−1及びPEG化IGFBP−1の薬物動態学
薬物動態学パラメーターの測定に4匹のSprague Dawleyラット
を用いた。2匹のラットには1mg/kgの組換えヒトIGFBP−1の濃縮塊
を静脈注射し、2匹のラットに1mg/kgのPEG化IGFBP−1C101
ムテインの濃縮塊を静脈注射した。C101ムテイ
ンを調製して、実施例7及び8に記載のようにしてPEG化しておいた。注射の
0.016、0.083、0.033、0.075、1.5、2、3、5、6、
8、10、12、24及び48時間後に尾部の血管の血液試料を採取した。血液
をEDTAコーティング管に採取し、遠心して、血漿画分を分取した。Medi
x Biochemica(Kauniainen,Finland)IGFb
p−1試験キット(カタログ番号10831ETMB)を用い、ELISAによ
り、血漿試料中のIGFBP−1の濃度を測定した。
各試験グループの2匹のラットの血漿濃度を平均し、RstripII(Mic
romath Software,Salt Lake City,Utah)
を用い、2又は3指数曲線に適合させた。適合曲線からのデータを表20に示す
。ELISA検出性血漿IGFBP−1は、それぞれ野生型IGFBP−1及び
PEG化C101ムテインの注射後に3指数関数的及び2指数関数的に消滅した
。
適合曲線を用い、Pharmacokinetics,Gibaldi,M.
及びPerrier,D.;Swarbrick編,1975に記載されている
ようにして、
標準薬物動態学パラメーターを計算した。これらのパラメーターを表21に示す
。その結果は、PEG化すると、血漿のクリアランスが減少するために循環時間
が増大してIGFBP−1の薬物動態学的性能が改善されることを示している。
実施例11
IGFBP−1がラットの再発狭窄症を阻害する
バルーン血管形成後の頚動脈における増殖応答を改変する能力についてIGF
BP−1を試験した。体重が約375gの19匹のSprague Dawle
yラットに右頚静脈に頚静脈カテーテルの移植手術を施した。1週間後、カテー
テルの開通性を試験し、係留注入装置を介して生理食塩水連続注入を開始した。
係留注入装置は、Francis,P.C.ら,“continuous In
travenous Infusion in Fisher344 rats
for Six Months: A Feasibility Study
,”Toxico logy Methods
,第2巻,1−13ページ(1992)に記載されて
おり、該文献は本明細書に参考文献として特に含むものとする。3日後、Ede
lman,E.R.及びKarnovsky,M.J.,Circulatio n
,第89巻,第2号,770−776ページ(1994)(本明細書に参考文
献として特に含むものとする)に記載のようにして、左外頚静脈の動脈切開によ
り、全動物にバルーン血管形成手術を施した。2F Fogartyバルーンカ
テーテル(American Edwards Laboratories,S
anta Ana, Calif.)を大動脈弓まで進め、抵抗を生成させ且つ
内皮を剥落させるに十分な程度にバルーンを空気で膨張させ引き戻した。血管壁
における増殖応答を誘発させるのに必要な動脈に対する十分な損傷を確実にする
ために上記手順を6回繰り返した。次いで外頚動脈を結紮した。動物を2つのグ
ループに分け、血管形成直後に処理を開始し、14日間処理を継続した。第1グ
ループ(N=9)は等張食塩水(0.25ml/時間)を静脈注入した対照動物
からなるものであった。第2グループ(nN=10)の動物は、IGFBP−1
を179μg/kg/時間で連続静脈
注入して処理した。IGFBP−1の血漿レベルを測定するために、血管形成の
3、9及び14日後に血液試料を尾部の血管から採取した。Medix Bio
chemica(Kauniainen,Finland)IGFbp−1試験
キット(カタログ番号10831ETMB)を用い、ELISAにより、血漿試
料中のIGFBP−1の濃度を測定した。血液採取の時点(約15〜30分)で
注入を停止した。
14日目の実験停止時に、Francisらが記載しているブレビタル試験に
より、カテーテルの開通性を確認した。アセプロマジン、Rompun及びケタ
ミンの組み合わせを用いて動物を麻酔し、心臓穿刺により10%の中性緩衝ホル
マリンを用いて潅流した。両頚動脈を除去し、パラフィン包埋のためのプロセシ
ングの前にさらに2日間ホルマリンに入れた。病変部のほぼ全長にわたる頚動脈
の3つの切片を各動物から包埋して、組織の全領域の評価を確実にした。組織学
的評価のために、全動物から追加の組織(肺、心臓、腎臓、肝臓、脾臓及び副腎
)を採取して、IGFBP−1の連続注入の全身的作用(作用があれば)を測定
した。頚動脈切片をヘマトキシリン及びエオシン、M
assonのトリクローム及びトルイジンブルーで染色した。他の組織はヘマト
キシリン及びエオシンのみで染色した。
実験の停止時のIGFBP−1の平均血漿レベルは、3.69±0.64μg
/mlであった。
動物をIGFBP−1で処理した場合の効果を、総合評点(gross scoring)
により、及び新脈管内膜〔μm及びピクセル(pixels)〕、新脈管内膜+中間層
(media)(ピクセル)及び中間層(ピクセル)の測定により測定した。新脈管
内膜(ピクセル)と中間層(ピクセル)との比率も計算した。これらの評点及び
測定を表22に示す。これら6種の応答計測のそれぞれについてWilcoxo
n Rank−Sum(Mann−Whitney U)試験を行い、Natr
ella,M.G.,Experimental Statistics,Na
tional Bureau of Standards Handbook
91,T−80ページ(1967)に記載されている表を用いてp値を測定した
。Wilcoxon Rank−Sum(Mann−Whitney U)試験
からのp値を以下に示す。該データは、IGFBP−1がラットの再発狭窄症を
著しく減少させることを示している。
病変した頚動脈に、0は見るべき厚化が見られず、4は顕著な厚化が見られる
ことを表す0、1、2、3又は4の評点を割り当てることにより、処理関連作用
の総合評価を行った。処理動物及び対照動物からの平均評点(±標準誤差)はそ
れぞれ1.5±0.27及び2.67±0.24であった。これらの値は極めて
満足すべきもの(p<0.05)であることが判明した。この総合評価において
、IGFBP−1処理動物における厚化の阻害は44%であった。
新脈管内膜も測定した。新脈管内膜の内側から新脈管内膜の内腔までの間隔を
、互いに対向し且つ垂直な4つの点で測定し、3つの切片の平均値を測定した。
処理動物及び対照動物についての新脈管内膜の平均±SE(μm)は、それぞれ
78.50±10.68及び139.33±8.91であった(p<0.01)
。この測定によって、IGFBP−1処理動物において厚化の44%阻害も示さ
れた。
Image 1 System(S&M Microscopy,Color
ado Springs,COから入手し得る)を用いたイメージ分析により、
処理動物及び
対照動物の新脈管内膜+中間層、新脈管内膜のみ及び中間層のみの領域(3切片
/動物)を測定した。処理動物及び対照動物について新脈管内膜+中間層の領域
(ピクセル)(平均±SE)は、それぞれ25,160.30±1,817.4
2及び35,271.11±1,403.16(p<0.01)であった。この
分析を用いると、IGFBP−1で処理することにより、新脈管内膜の厚さが2
9%減少した。新脈管内膜のみの平均領域(ピクセル)は、処理動物については
14,015.40±1,834.24であり、対照動物については23,11
9.11±1,200.39、即ち、IGFBP−1処理動物において厚化が3
9%阻害された(p<0.01)。
最後に、新脈管内膜と中間層の比率を計算した。このパラメーターも、IGF
BP−1による処理の有利な効果を示した。処理動物における比率は1.25±
0.17であり、対照動物においては1.91±0.13であった。この比率を
用いると、再発狭窄症の阻害は35%(p<0.05)であった。新脈管内膜と
中間層の該比率は一般にこのラットモデルにおける処理関連効果を評価する最も
容認された方法である〔Edelman及びKarnovsk
y,Circulation,第89巻,第2号(1994)〕。
本発明を特定の実施態様に関して説明したが、本発明は該実施態様に限定され
るものではなく、当業者により行われる変更も本発明の範囲内に包含されるもの
とする。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 15/09 9162−4B C12N 15/00 A
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,V
N
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.治療上有効量のIGFBP−1又はその改変体を投与することを含むIGF 関連症状を有する患者の治療法。 2.前記患者にIGFBP−1を投与することを含む請求項1に記載の方法。 3.患者の血流1ml当たり約0.1〜約300μgの範囲のIGFBP−1濃 度を得るのに十分な量のIGFBP−1を患者に投与する請求項2に記載の方法 。 4.前記患者にIGFBP−1の改変体を投与することを含む請求項1に記載の 方法。 5.IGFBP−1の改変体がポリマーに結合したIGFBP−1である請求項 4に記載の方法。 6.前記ポリマーがポリエチレングリコールである請求項5に記載の方法。 7.IGFBP−1の改変体が、2つのIGFBP−1分子を含み、前記第1の IGFBP−1がポリマーの一方の末端に結合しており、前記第2のIGFBP −1が該ポリマーの対向末端に結合している請求項4に記載の方法。 8.IGF関連症状が、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、卵巣ガン、骨肉腫、神経膠 腫、肝ガン、横紋筋肉腫、再発狭窄 症、先端巨大症、肥満症、糖尿病性腎臓病及び糖尿病性網膜症からなる群から選 択される請求項1に記載の方法。 9.IGF関連症状が乳ガンである請求項8に記載の方法。 10.IGF関連症状が結腸ガンである請求項8に記載の方法。 11.IGF関連症状が骨肉腫である請求項8に記載の方法。 12.IGF関連症状が先端巨大症である請求項8に記載の方法。 13.IGF関連症状が再発狭窄症である請求項8に記載の方法。 14.許容可能な医薬キャリヤ中のIGFBP−1又はIGFBP−1の改変体 を含む医薬組成物。 15.許容可能な医薬キャリヤ中のIGFBP−1を含む請求項14に記載の医 薬組成物。 16.許容可能な医薬キャリヤ中のIGFBP−1の改変体を含む請求項14に 記載の医薬組成物。 17.IGFBP−1の改変体が不活性ポリマー鎖に結合したIGFBP−1で ある請求項16に記載の医薬組成物。 18.不活性ポリマー鎖がポリエチレングリコールである 請求項17に記載の医薬組成物。 19.IGFBP−1の改変体が不活性ポリマー鎖の対向末端に結合したIGF BP−1である請求項16に記載の医薬組成物。 20.再発狭窄症の治療を必要とする患者に、治療上有効量のIGF結合性タン パク質を投与することを含む再発狭窄症を治療又は予防する方法。 21.前記タンパク質がIGFBP−1である請求項20に記載の方法。 22.前記タンパク質がIGFBP−1の改変体である請求項21に記載の方法 。 23.前記タンパク質がポリマーに結合したIGFBP−1である請求項22に 記載の方法。 24.ポリマーがポリエチレングリコールである請求項23に記載の方法。 25.IGFBP−1の改変体が、2つのIGFBP−1分子を含み、前記第1 のIGFBP−1がポリマーの一方の末端に結合しており、前記第2のIGFB P−1がポリマーの対向末端に結合している請求項23に記載の方法。 26.IGFBP−1がリン酸化されていない請求項1に 記載の方法。 27.IGFBP−1がリン酸化されていない請求項21に記載の方法。 28.IGFBP−1がE.coliにおいて組換えにより産生される請求項2 6に記載の方法。 29.IGFBP−1がE.coliにおいて組換えにより産生される請求項2 7に記載の方法。 30.リン酸化されておらず且つIGFの作用を阻害し得るインシュリン様成長 因子結合タンパク質(IGFBP)。 31.IGFBPがE.coliにおいて組換えにより産生される請求項30に 記載のIGFBP。 32.前記IGFBPがIGFBP−1又はその改変体である請求項30に記載 のIGFBP。
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