【発明の詳細な説明】
キラルなキノロン誘導体技術分野
本発明は、キラルな合成中間体およびそれらの合成法に関する。特に、本発明
は、キラルなアミノ保護した4−アミノ−2−メチルピロリジンならびにその合
成に有用な化合物および方法に関する。発明の背景
下記式IIの化合物は、ある種のキノロン抗生物質の合成に有用な中間体である
。例えば、BOC−またはアセチル−保護した(2S,4S)−4−アミノ−2
−メチルピロリジン(式II、R2は−BOCまたはアセチルである。)は、7−
((2S,4S)−4−アミノ−2−メチル−1−ピロリジニル)−1−(2,
4−ジフルオロフェニル)−1,4−ジヒドロ−6−フルオロ−4−オキソ−キ
ノリン−3−カルボン酸の合成中間体である。後者の合成は、米国特許No.4
,962,112に記載されている。
報告されている化合物IIの合成法は、最少の反応工程数で立体化学的に純粋な
物質を得るという可能性および必要な出発物質の入手可能性において限界がある
。すなわち、化合物IIのより効果的な合成法を開発することが引き続き必要であ
る。本発明の化合物および方法によれば、容易に入手できる出発物質から、およ
び/または以前には得られなかった収率で、化合物IIを製造することが可能であ
る。発明の要旨
本発明の化合物は、下記式を有するキラルな中間体である。
上記式において、Phはフェニルであり;R1はt−BOCおよびアセチルから
成る群から選択され;R5は水素または低級
アルキルであり;R6はヒドロキシ、ハロおよびシアノから成る群から選択され
;R7は水素およびメチルから成る群から選択され;R8は−CH2C6H5および
−CH(CH3)C6H5から成る群から選択され;R9は−CH2C6H5および−
CH(CH3)C6H5から成る群から選択される。
本発明の好ましい化合物は、式VIおよびVIIIのもので、C−4のキラルな炭素
原子はR−またはS−配置のいずれでもよい。
本発明の方法は、下記式:
を有するトランス体のアミノ保護された4−アミノ−2−メチルピロリジン化合
物の合成法を含む。その方法によれば、下記式:
[式中、R1はt−BOCまたはアセチルであり、R10は水素またはメチルであ
る。]の対応するトランス体のN−1−保護
中間体は、該中間体の(4R)および(4S)立体配置混合物から選択的に結晶
化される。本発明の詳細な説明
本明細書および請求の範囲では、次の用語を以下の定義に従って使用した。
「アルカノイル」は、アセチルなどの式−C(O)R11(R11は下記で定義す
るアルキル基である。)のラジカルを意味する。
「アルコキシ」は、式−OR12(R12は下記で定義するアルキル基である。)
のラジカルを意味し、メトキシ、エトキシおよびプロポキシなどが挙げられるが
、これらに限定されない。
「アルキル」は、炭素数1〜6の分岐鎖または直鎖脂肪族炭化水素から1個の
水素原子を除去して得られる1価のラジカルを意味する。例としては、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびネオペンチル
が挙げられるが、これらに限定されない。
「アルキルアミノ」は、上記で定義した1〜3個のアルキル置換基を有するア
ミノラジカルを意味する。例としては、メチルアミノ、エチルアミノおよびジメ
チルアミノが挙げられる。
「アミノアルキル」は、上記で定義したアルキルラジカルにアミノ基が置換し
たものを意味し、例えば、アミノエチルおよびアミノメチルが挙げられる。
「アルキルスルホニル」は、上記で定義したアルキルラジカルにスルホニル基
が結合したものを意味し、例えば、エチルスルホニルまたはメチルスルホニルが
挙げられる。
「BOC」または「t−BOC」は、t−ブチルオキシカルボニル保護基を意
味する。
「カルボキシ保護基」は、カルボン酸エステル基−COOR13のR13残基を意
味する。そのようなカルボキシ保護基は当業者には周知であり、米国特許No.
3,840,556および3,719,667に記載されているように、ペニシ
リンおよびセファロスポリン分野でカルボキシ基の保護に広く使用されている。
一般に、そのようなカルボキシ保護基は比較的容易に切り離されて遊離のカルボ
キシ基になる。代表的な保護基としては、C1〜C8アルキル(メチル、エチルお
よびt−ブチルなど)、置換アルキル(ジメチルアミノエチルなど)ならびにベ
ンジルおよび置換ベンジル(アルコキシベンジルおよびニトロベンジル基など)
が挙げられ、ピバロイルオキシメ
チル基などのアシル基も適切である。例えば、T. H. Greene,″Protective Grou
ps in Organic Synthesis″ John Wiley and Sons, New York, (1981)参照。
「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素ラジカルを
意味する。
「ハロ置換アルキル」は、上記で定義したアルキルラジカルにおいて、同一で
も異なっていてもよい1〜3個のハロゲン原子が置換したものを意味する。炭素
数1〜6のハロ置換アルキルの例としては、フルオロメチル、トリフルオロメチ
ルおよびフルオロエチルが挙げられる。
「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む上記で定義したアルキル基を
意味する。
「フェニル」は、独立してハロゲンおよびアルキルから選択される3個までの
水素以外の置換基で、所望により置換されたベンゼン環を意味する。
本発明の化合物は、キラルなアミンがいくつかの工程を経て新規中間体である
キラルな上記式I(R7は、水素またはメチルなどの低級アルキルである。)の
ピロリジノン化合物に変換される方法の中間体である。このピロリジノンは、続
いて、N
−保護された式II(R1はアセチルなどのアルカノイルから成る群から選択され
る。)の2S,4S−キラル化合物に変換される。
本発明化合物の合成および利用は、下記反応図と関連させると、よりよく理解
される。反応図1では、式1の(S)−α−メチルベンジルアミンを、メタノー
ルまたはエタノールなどのアルコール中、5〜30℃の温度で、0.5〜3時間
、ベンズアルデヒドと反応させた後、直ちに、同じ反応器中、10〜35℃で2
時間、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化トリシアノホウ素ナトリウムなどの
水素化ホウ素還元剤により還元することにより、式2のベンジル保護化合物に変
換する。
式2の化合物は次いで、THF中、0℃以下の温度で、n−ブチルリチウムと
反応させることによりリチウム塩に変換する。上記溶液に、−78〜0℃の温度
で、式3(R2は低級アルキルである。)のトランス−2−ブテン酸のアルキル
エステルを
添加すると、式4の(3S)−3−(保護アミノ)酪酸エステルが得られる。
次いで、メタノールまたはエタノールなどの溶媒中、Pd/Cなどの触媒の存
在下で、ギ酸、ギ酸アンモニウムまたは水素により水素添加分解して式4の化合
物からベンジル基を脱離すると、式5の(3S)−3−アミノ酪酸エステルが得
られる。式5の化合物は、上述のようにベンズアルデヒドと反応させて還元する
と、再び保護され、式6のベンジル保護化合物に変換される。次いで、式6の化
合物をクロロ酢酸エチルまたはブロモ酢酸エチルなどのα−ハロ酢酸エチルエス
テルと反応させると、式7のジエステル化合物が得られる。閉環により式8の化
合物(化合物IにおいてR1が水素)を得るには、式7の化合物をまず、トルエ
ン、エタノールまたはメタノールなどの溶媒中、窒素下、0℃〜室温で1〜4時
間、ナトリウムエトキシドまたはカリウムt−ブトキシドなどの塩基と反応させ
、次いで、二酸化炭素の発生がなくなるまで3〜6時間還流させながら、その中
間体を濃縮して6N塩酸で酸性化するという2段階反応により行う。式8の環状
ケトン化合物を式9のアルコール化合物へ還元するには、メタノール、エタノー
ル、THF、トルエ
ンまたは塩化メチレンなどの適当な溶媒中、−78℃〜室温で1〜18時間、例
えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、L−、K−およ
びLS−SELECTRIDE水素化ホウ素ケトン還元剤、水素化ジイソブチル
アルミニウム、水素化トリ−t−ブトキシホウ素リチウムなどの種々の還元剤に
より、または水素/貴金属触媒による接触還元により行うことができる。
生成する化合物9のシス異性体とトランス異性体との比は、選択した特定の条
件に応じて約1:1〜約10:1まで変化するが、この比が6:1より大きくな
るように条件を選択するのが好ましい。所望するシス異性体は、標準的なクロマ
トグラフィー法によりトランス異性体から分離できるが、選択的結晶化の方がク
ロマトグラフィー法より好ましいと考えられる。本発明では、驚くべきことに、
N−1−置換4−アミノ−2−メチルピロリジンをアセチルまたはBOC基でア
ミノ保護すると、選択的結晶化がかなり有利になることが見出された。一般には
、シスおよびトランス異性体の分離を後回しにして、ジアステレオマー混合物の
ままで反応図1の工程g、h、iおよびjに進み、式12のシスおよびトランス
化合物を、主要なトランス異
性体を選択的に濃縮した後に結晶化して分離し、本質上立体的に純粋な式12の
化合物を得るのが望ましい。あるいは、化合物9の異性体混合物のまま次の工程
に進み、その反応後に化合物10のジアステレオマーを分離してもよい。
式9のアルコール混合物は、無水THF中、アゾジカルボン酸ジエチル(DE
AD)またはアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)およびトリフェニル
ホスフィンの存在下、20℃、窒素および無水条件下で0.5時間、フタルイミ
ドと反応させると式10の化合物に変換することができる。反応図1
式10の化合物は、エタノール中、還流条件下で1〜5時間、ヒドラジン一水
和物と反応させるか、無機酸または塩基で加水分解することにより、式11の遊
離アミノ化合物に変換される。その化合物は、HCl塩として単離することもで
き、遊離アミンは、pH14の水溶液から抽出することができる。式11の遊離
アミノ化合物は、室温で12〜18時間、トリエチルアミンおよび無水酢酸とと
もに攪拌することにより式12(R1はアセチルである。)のアセチル保護化合
物に変換される。(反応は、式9のシス異性体を式12のトランス異性体に変換
し、式9のトランス異性体を式12のシス異性体に変換することにより進む。こ
の時点で式12のシスおよびトランス異性体を分離することが望ましい場合は、
選択的再結晶により行うことができる。例えば、1:4の酢酸エチル:ヘキサン
から再結晶すると、化合物12の純粋なトランス異性体の結晶が得られる。シス
異性体を所望する場合は、母液をクロマトグラフィーにかけることにより単離す
ることができる。)
あるいは、式11の化合物は、メタノール中で炭酸ジ−t−ブチルと反応させ
ることにより、式12(R1はBOCである。)のBOC−保護化合物に変換さ
れる。この時点で、式
12のシスおよびトランス化合物は結晶化により精製されて、所望する立体的に
純粋な形のトランス異性体を選択的に生じる。式12の保護された化合物は、上
述したようにベンジル保護基を脱離することにより式2の化合物に変換される。
式11、12およびIIの化合物のシス(2S,4R)異性体を得ることを所望
する場合は、反応図1の反応i−j−kに従って、式9のシス化合物に関して単
離および反応を行い、工程kの前の選択的結晶化工程は省略することにより行う
ことができる。
キラル化合物8の代わりにラセミ化合物8(Prost et al.,Helv. Chim. Acta
52, 1134 (1969)に従って合成)を出発物質とする別の方法では、異性体混合物
を反応図1に記載した工程g、h、iおよびjにかけた後、結晶化して少量のシ
ス異性体を除去することができる。残りのエナンチオマー対は、(+)酒石酸も
しくはその誘導体または他の光学的に活性な酸を使用して分割し、所望の2S,
4S化合物12を単離する(その他の情報は、P. Newman, Optical Resolution
Procedures for Chemical Compounds: Vol 1. Amines and Related Compounds,O
ptical Resolution Information Center, New York, 1978 参
照)。化合物11も、この方法によって分割することができる。この立体的に純
粋な化合物は、次いで、反応図1の工程jのようにN−保護し、工程kのように
脱ベンジル化して所望のキラル化合物IIを生じる。ラセミ化合物を出発化合物と
するということに鑑み、この最大収率は50%である。
式IIの化合物の別の合成法では、式4の化合物を、下記反応図1Aにより、メ
タノール、エタノールまたはメトキシメタノールなどの溶媒中でPd/Cなどの
貴金属触媒および塩化水素を使用する選択的加水分解により、式13の化合物に
変換することができる。次いで、式13の化合物は、上記反応図1に記載した方
法と同様にして、式14の化合物に変換することができる。この化合物は、次い
で、上述した方法により環化して式15の化合物にすることができる。反応図1
の式8の化合物と類似した式15の化合物は、上記反応図1の工程g、h、i、
jおよびkと同様の方法により式IIの化合物に変換することができる。反応図1A
式8の化合物を合成する別の方法を反応図2に示す。反応図2に従って、式1
6の(R)−2−アミノプロパノールが、上記反応図1に記載した反応により、
式17のベンジル保護化合物に変換される。式17のベンジル保護化合物は、重
亜硫酸ナトリウム水溶液中、20〜60℃の温度で2〜20時間、ホルムアルデ
ヒドと反応させた後、直ちに、0〜20℃で1〜20時間攪拌しながら同じ反応
容器中でシアン化ナトリウムと反応させることにより、式18のシアノアルコー
ルに変換される。反応図2
式18のシアノアルコール化合物は、窒素および無水条件下、クロロホルムまた
は塩化メチレン中で、トリフェニルホスフィ
ンおよび四塩化炭素、四臭化炭素または塩化メチルスルホニルなどのハロゲン化
剤と反応させることにより式19のハロシアノ化合物に変換される。その反応は
、0℃〜室温で8〜24時間行うことができる。式19のハロシアノ化合物は、
エタノール、DMFまたはDMSOなどの極性溶媒中、窒素雰囲気下、50〜8
0℃の温度で8〜24時間、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムと反応
させることにより式20のジシアノ化合物に変換される。閉環して式8の化合物
を得るには、式20のジシアノ化合物を、トルエン、エタノールまたはメタノー
ルなどの溶媒中、窒素下、0℃〜室温の温度で1〜4時間、ナトリウムエトキシ
ドまたはカリウムt−ブトキシドなどの塩基と反応させることにより行う。濃縮
後、中間体を濃塩酸で酸性にして室温で24〜72時間攪拌し、次いで60℃で
3時間、次いで70〜80℃で5時間、すなわち二酸化炭素の発生がなくなるま
で加熱する。式8(式Iにおいて、R1がHである。)の化合物は、反応図1に
関して記載した反応により先に進む。
反応図1および2に記載した方法は、(2S,4S)−4−アミノ−アルキル
ピロリジンなどの置換ピロリジンの合成に適用できる。反応図3
式9のキラル化合物の他の合成法は、反応図3に示す。反応図3によれば、式
21のD−アスパラギン酸のアミノ基を、例えば塩化ベンジルオキシカルボニル
との反応により保護して、式22の化合物を生じる。式22の保護されたアミノ
二酸化合物は、次いで無水酢酸との反応により式23の無水物化合物に変換され
る。式23の無水物は、メトキシメタノール中で水素化ホウ素ナトリウムと反応
させることにより式24の環状ラク
トンを生じる。CBZ保護基は、例えば触媒の存在下で水素もしくはギ酸により
水素添加分解するか、または例えば臭化水素酸/酢酸により加水分解することに
より式24の化合物から脱離して、式25の化合物を生じる。(化合物21の化
合物25への変換法は、JACS,110:8557(1988)およびIndian J.Chem Sect
B, 278:1524(1988)に示されており、これらは、参考文献として本明細書に添
付する。)この化合物は、メタノールまたはエタノールなどのアルコール中、5
〜30℃の温度で1時間ベンズアルデヒドと反応させた後、直ちに、同じ反応器
中、10〜35℃で2時間、例えば水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化トリシ
アノホウ素ナトリウムの水素化ホウ素還元剤で還元することにより再保護される
。次いで、式26の化合物を、クロロ酢酸エチルまたはブロモ酢酸エチルなどの
α−ハロ酢酸エチルエステルと反応させると、式27のエステル化合物が得られ
る。式28の二環式化合物は、式27の化合物を、メタノール、エタノールなど
の極性溶媒中、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム
ビス(トリメチルシリル)アミドなどの強塩基と反応させることにより得られる
。式28の二環式化合物を例えば塩酸などの強酸と反応させ
ると、ラクトン環が開き、脱カルボキシル化が生じて、式29のヒドロキシケト
ン化合物が得られる。式29の化合物は、上述した方法により、脱ベンジル化さ
れ、BOC基により再保護される。式30の化合物は、窒素および無水条件下、
クロロホルムまたは塩化メチレン中で、トリフェニルホスフィンおよびハロゲン
化剤(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化トルエンスルホニルまたは塩化メチルスル
ホニルなど)と反応させることにより式31のスルホン酸エステル化合物に変換
される。その反応は、0℃〜室温の温度で8〜24時間行うことができる。TH
Fまたはエーテルなどの溶媒中、例えば水素化アルミニウムリチウムまたは水素
化トリエチルホウ素リチウムの還元剤と反応させることにより、式30の化合物
から脱離基が脱離されて、式32の化合物を生じる。式32の化合物は、式9の
化合物の代わりに式32の化合物を使用し、上述した反応図1のh、i、jおよ
びkに示す反応工程に従うことにより、式Iの化合物に変換することができる。
別の合成ルートでは、式9のシス化合物を、反応図3の化合物29から化合物
30への変換に関して記載した方法と同様に、脱ベンジル化してBOCによる再
保護を行うと、式32の化合
物に直接変換することができる。反応図4
上記反応図4によれば、式32の化合物が、上記反応図3で記載した反応によ
り、式33のスルホン酸エステル化合物に変換される。窒素下、100〜110
℃の温度でベンジルアミンと反応させることにより、式33の化合物の脱離基が
置換アミン基で置き換えられて、式34の化合物が得られる。式34の化合物の
ベンジル基は、上記反応図1で記載した方法により脱離して、式35の化合物を
生じる。上記反応図1で記載した方法により式35の化合物にアセチル基を付加
すると、式36の
化合物が得られる。式36の化合物を最終的に加水分解して式IIの化合物を得る
には、室温で、塩酸またはトリフルオロ酢酸などの強酸により行うことができる
。
上記の記載は、下記実施例を参照するとよりよく理解することができるが、下
記実施例は説明のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない
。
実施例1
(2S,4S)−4−アセチルアミノ−1−ベンジル−2−メチルピロリジン
工程1a.(S)−2−ベンジルアミノ−1−プロパノール(17)
J. Heterocyclic Chem. 11:807(1974)の方法と同様にして、51.15g
(0.681モル)の(S)−アミノ−1−プロパノール/メタノール(400
ml)に72.30g(0.681モル)のベンズアルデヒドを、室温で攪拌し
ながらゆっくり添加した。この発熱反応を1時間攪拌した。反応容器を水浴で2
0〜25℃に冷却し、19.15g(0.506モル)の水素化ホウ素ナトリウ
ムを、内温が30℃を越えないような速度で1時間添加した。次いで、その反応
物を室温で1時間攪
拌し、溶媒を真空除去した。残渣を500mlの水でスラリー状にし、塩化メチ
レンで3回抽出した。抽出物を一緒にして水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水
した。溶媒を除去し、生成物を脱水乾燥すると、110.07g(97.8%収
率)の標記物質が白色固体として得られ、これは、さらに精製することなく次の
反応に供した。
工程1b.(2S)−ベンジル−(1−ヒドロキシ−2−プロピル)アミノアセ
トニトリル(18)
重亜硫酸ナトリウム83.25g(0.800モル)の水(170ml)溶液
を室温で攪拌し、これに、60.0ml(0.800モル)の37%ホルムアル
デヒドを添加した。この溶液を60℃に温め、この温度で10分間保持し、35
℃に冷却した。この溶液に、工程1aで得た110.07g(0.666モル)
の(S)−2−ベンジルアミノ−1−プロパノールを添加して、2.5時間攪拌
した。その反応溶液に40.00g(0.816モル)のシアン化ナトリウム/
水(100ml)を添加した。発熱反応を室温で1.5時間激しく攪拌した。有
機層を分離し、水層のエーテル抽出物と一緒にしてブラインで2回洗浄し、硫酸
マグネシウムで脱水して濃縮すると、13
5.56g(99%収率)の標記物質が淡黄色の油状物として得られた。MS
M/Z:205(M+H);NMR (CDCl3)δ:1.21(3H,d,
J=7.5Hz),2.47(1H,dd,J=8,J=3Hz),3.30(
1H,m),3.45(1H,d,J=10.5Hz),3.46(1H,d,
J=10.5Hz),3.54(2H,m),3.70(1H,d,J=13.
5Hz),3.90(1H,d,J=13.5Hz),7.34(5H,m)
工程1c.(2S)−ベンジル−(1−クロロ−2−プロピル)アミノアセトニ
トリル(19)
工程1bで得た132.23g(0.647モル)の(S)−2−(N−ベン
ジル−N−シアノメチルアミノ)−1−プロパノールの塩化メチレン(500m
l)および無水四塩化炭素(94ml)における溶液を窒素および無水条件下、
室温で攪拌し、これに、170g(0.648モル)のトリフェニルホスフィン
を添加した。混合物を室温で攪拌したが、まもなく発熱反応により室温から還流
温度に上昇した。その反応物を22時間攪拌し、さらに8.5g(0.032モ
ル)のトリフェニルホスフィンを添加して、さらに2.5時間攪拌した。メタノ
ールを添加して過剰のトリフェニルホスフィンを分解し、混合物を濃縮乾固した
。固体をエーテルおよびヘキサンとともに磨砕し、濾過して濃縮した。油状物を
エーテルに再溶解し、ヘキサンを添加して濾過・濃縮し、短いシリカゲルカラム
によるクロマトグラフィー(1:4の酢酸エチル:ヘキサンで溶離)にかけると
、溶媒除去後に112.31g(77.9%収率)の標記物質が無色液体として
得られた。MS M/Z:223,225(M+H);NMR(CDCl3)δ
:1.35(3H,d,J=6Hz),3.21(1H,六重線,J=6Hz)
,3.48(2H,s),3.52(2H,s),3.57(1H,dd,J=
6,J=12Hz),3.68(1H,dd,J=5,J=12Hz),7.3
5(5H,m)
この反応では、副生物として(R)−N−(2−クロロ−1−プロピル)−N
−シアノメチルベンジルアミンを生じた。しかし、これは、次の工程で、両方の
化合物に共通の一時的な中間体を経て、正しいジシアノ化合物に変換された。M
SM/Z:223,225(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.53(3
H,d,J=6Hz),2.82(1H,dd,J=6,J=13.5Hz),
2.90(1H,dd,J=7,
J=13.5Hz),3.52(2H,s),3.75(2H,m),4.80
(1H,m),7.36(5H,m)
工程1d.(3S)−(3)−ベンジル−(シアノメチル)アミノブタノニトリ
ル(20)
112.31g(0.504モル)の(S)−N−(1−クロロ−2−プロピ
ル)−N−シアノメチルベンジルアミンまたは工程1cで得た化合物の混合物を
窒素雰囲気下で無水DMSO(500ml)に入れ、これに37.10g(0.
757モル)のシアン化ナトリウムを添加した。反応物を60℃で21時間攪拌
し、水によりスラリー状にし、エーテルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し
、硫酸マグネシウムで脱水して濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(
酢酸エチル:ヘキサン(1:4、1:2および1:1)で溶離)にかけると、8
1.47g(75.5%収率)の標記化合物が得られた。
MS M/Z:231,233(M+NH4);NMR(CDCl3)δ:1.4
1(3H,d,J=6.5Hz),2.57(1H,dd,J=6.5,J=1
6.5Hz),2.66(1H,dd,J=6.5,J=16.5Hz),3.
34(1H,六重線,J=6.5Hz),3.48(2H,s),
3.81(2H,s),7.36(5H,m)
工程1e.(S)−N−ベンジル−5−メチルピロリジン−3−オン(8)
工程1dで得たジシアノ化合物(81.47g,0.382モル)のトルエン
(500ml)溶液を0℃、窒素雰囲気下で攪拌し、これに、47.10g(0
.419モル)のカリウムt−ブトキシドを添加した。反応物を0℃で30分間
、室温で1.6時間攪拌して溶媒を除去すると、黄色残渣が得られた。この残渣
に、500mlの濃塩酸を氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。混合物を65
時間攪拌した後、60℃で3時間、80℃で5時間(二酸化炭素の発生がなくな
るまで)加熱した。溶液を濃縮し、残渣を2N水酸化ナトリウムの添加により塩
基性にして、混合物をエーテルで抽出した。抽出物を一緒にしてブラインで洗浄
し、硫酸マグネシウムで脱水して濃縮乾固すると、褐色油状物が得られた。この
物質をシリカゲルクロマトグラフィー(1:4の酢酸エチル:ヘキサンで溶離)
にかけると、溶媒除去後に42.83g(59.2%収率)の標記化合物が得ら
れた。MS M/Z:190(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.35(
3H,d,J=6Hz),2.14(1
H,dd,J=10,J=18Hz),2.50(1H,dd,J=6,J=1
8Hz),2.64(1H,d,J=17Hz),2.98(1H,m),3.
24(1H,d,J=17Hz),3.28(1H,d,J=13Hz),4.
20(1H,d,J=13Hz),7.31(5H,m);IR(neat):
1755cm-1;〔α〕D=+212.4°(c=1.90,CHCl3,22℃
)
工程1f.(2S,4R)−N−ベンジル−2−メチルピロリジン−4−オール
(9)
工程1eで得た20.00g(0.106モル)の(S)−N−ベンジル−5
−メチルピロリジン−3−オンを200mlのメタノールに溶解して−78℃で
攪拌し、これに4.80g(0.127モル)の水素化ホウ素ナトリウムを添加
した。反応物を室温に温め、16時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を2N水酸
化ナトリウムでスラリーにし、エーテルで抽出した。抽出物を一緒にして飽和ブ
ラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を除去し、残留液体をシリ
カゲルクロマトグラフィー(100:10:0.5の塩化メチレン:メタノール
:水酸化アンモニウムで溶離)にかけると、アミノアルコール物
質のシスおよびトランス混合物が得られた。トランス(2S,4S)物質(2.
09g,10.3%収率)は5℃で固化し、シス(2S,4R)標記物質(17
.72g,87.6%収率)は、粘性油状物として分離された。
シス:MS M/Z:192(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.23(
d,3H,J=6Hz),1.46(m,1H)2.70(br,1H),2.
19(dd,1H,J=4.5,J=10Hz),2.40(m,2H),2.
84(d,1H,J=10Hz),3.14(d,1H,J=13Hz),4.
05(d,1H,J=13Hz),4.12(m,1H),7.31(m,5H
)
トランス:MS M/Z:192(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.1
6(d,1H,J=6Hz),1.82(m,2H),2.18(dd,1H,
J=5,J=10Hz),2.82(m,1H),3.26(d,1H,J=1
0Hz),3.29(d,1H,J=13Hz),4.02(d,1H,J=1
3Hz),4.36(m,1H),7.31(m,5H)
工程1g.(2S,4S)−4−アセチルアミノ−1−ベンジル−2−メチルピ
ロリジン(12)
工程1fで得た2.95g(15.44ミリモル)のシスアミノアルコール/
無水THF(50ml)を窒素雰囲気および無水条件下で20℃に保持し、これ
に4.05g(15.44ミリモル)のトリフェニルホスフィンおよび2.27
g(15.44ミリモル)のフタルイミドを添加した。この溶液に、2.45m
l(15.56ミリモル)のアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)を10分か
けて滴下した。反応物を20分間攪拌し、溶媒を除去した。残渣を25mlのエ
タノールに溶解し、0.75ml(15.46ミリモル)のヒドラジン一水和物
を添加した。混合物を窒素下で3時間還流加熱した。5mlの濃塩酸を添加し、
黄色沈澱物を濾別してエタノールで洗浄した。濾液を濃縮乾固し、残渣を水に溶
解して濾過した。濾液を濃縮して残渣を200mlの水に溶解し、エーテルで抽
出して残留トリフェニルホスフィンを除去した。水溶液を20%水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH=14に調整し、エーテルで抽出した。抽出物を水で洗浄し、硫
酸マグネシウムで脱水して溶媒を除去すると、淡黄色油状物が残った。このアミ
ノ化合物を30mlの塩化メチレンに溶解し、4.0mlのトリエチルアミンお
よび3.0mlの無水酢酸を添加した。混合物を室温で16時間
攪拌して水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水して濃縮すると、淡黄色固体が得
られた。この物質をシリカゲルクロマトグラフィー(100:5:0.5の塩化
メチレン:メタノール:水酸化アンモニウムで溶離)にかけると、溶媒除去後に
、3.01g(83.9%収率)の標記化合物が白色固体として得られた。ある
いは、その物質を1:3の酢酸エチル:ヘキサンから再結晶して精製することも
できる。MS M/Z:233(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.16
(d,3H,J=6Hz),1.74(m,1H),1.92(s,3H),1
.98(m,2H),2.69(六重線,1H,6Hz),3.26(m,2H
),3.98(d,1H,J=13Hz),4.34(m,1H),5.43(
br,1H),>7.30(m,5H);元素分析:計算値(C14H20N2Oと
して):C,72.38;H,8.68;N,12.06:実験値:C,72.
52;H,8.62;N,11.97;〔α〕D=+91.4゜(c=2.03
,CHCl3,24℃)
実施例2
(2S,4S)−4−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチル−1−N−ベ
ンジルピロリジン(12)
実施例1、工程fで得た13.13g(68.64ミリモル)のシス−アミノ
アルコール/無水THF(200ml)を窒素雰囲気および無水条件下で20℃
に保持し、これに18.03g(68.74ミリモル)のトリフェニルホスフィ
ンおよび2.27g(68.65ミリモル)のフタルイミドを添加した。この溶
液に10.90ml(69.22ミリモル)のアゾジカルボン酸ジエチル(DE
AD)を15分かけて滴下した。反応物を20分間攪拌し、溶媒を除去した。残
渣を100mlのエタノールに溶解し、3.35ml(69.06ミリモル)の
ヒドラジン一水和物を添加した。混合物を窒素下で3時間還流加熱して15ml
の濃塩酸を添加し、黄色沈澱物を濾別してエタノールで洗浄した。濾液を濃縮乾
固し、残渣を水に溶解して濾過した。濾液を濃縮し、残渣を400mlの水に溶
解し、エーテルで抽出して残留トリフェニルホスフィンを除去した。水溶液を2
0%水酸化ナトリウム水溶液でpH=14に調整し、エーテルで抽出した。抽出
物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水して溶媒を除去すると、緑色油状物が
得られた。この油状物を150mlのメタノールおよび40mlの水に溶解した
。温度を0℃に保持しながら、二炭酸ジ−t−ブチル(16.50
g,75.60ミリモル)を数回に分けて添加した。温度をゆっくり室温に上げ
、混合物を15.5時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を200mlの塩化メチ
レンに溶解した。これを水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水して濃縮すると、
白色固体が得られた。固体をシリカゲルクロマトグラフィー(100:5:0.
5の塩化メチレン:メタノール:水酸化アンモニウムで溶離)にかけると、18
.42g(92.4%収率)の標記化合物が白色固体として得られた。MS M
/Z:291(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.15(d,3H,J=
6Hz),1.41(s,9H),1.72(m,1H),1.93(m,2H
),2.63(m,1H),3.21(d,1H,J=13Hz),3.26(
m,1H),3.98(d,1H,J=13Hz),4.07(m,1H),4
.48(br,1H);〔α〕D=+94.5°(c=1.0,CHCl3,25
℃)
実施例3
(2S,4S)−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン(II)
上記実施例1、工程gで得られた(2S,4S)−4−アセ
チルアミノ−2−メチル−1−N−ベンジルピロリジンの試料2.93g(12
.61ミリモル)を50mlのメタノールに溶解し、0.60gの10%Pd/
Cを添加して、混合物を4気圧の水素下、室温で13時間攪拌した。混合物を濃
縮し、触媒を濾別し、溶媒を除去すると、1.688g(94.1%収率)の標
記化合物が白色固体として得られた。MS M/Z:143(M+H);NMR
(CDCl3)δ:1.16(d,3H,J=6Hz),1.63(m,1H)
,1.79(m,1H),1.95(s,3H),2.65(m,1H),3.
28(m,1H),3.41(m,1H),4.40(m,1H),5.81(
br,1H)
実施例4
(2S,4S)−4−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルピロリジン
(II)
上記実施例2で得られた(2S,4S)−4−t−ブトキシカルボニルアミノ
−2−メチル−1−N−ベンジルピロリジンの試料4.500g(15.50ミ
リモル)を150mlのメタノールに溶解し、0.90gの10%Pd/Cを添
加して、混合物を4気圧の水素下、室温で13時間攪拌した。混合物を
濃縮し、触媒を濾別し、溶媒を除去すると、3.081gの標記化合物が白色固
体として得られた。MS M/Z:201(M+H);NMR(CDCl3)δ
:1.15(d,3H,J=6Hz),1.44(s,1H),1.54〜1.
63(m,2H),1.75(m,1H),2.64(dd,1H,J=5,J
=12Hz),3.26(m,1H),3.38(dd,1H,J=7,J=1
2Hz),4.12(br,1H),4.63(br,1H);IR(KBr)
:1685cm-1
実施例5
(S)−N−ベンジル−5−メチルピロリジン−3−オン工程5a.(1S)−
N−(1−フェニルエチル)ベンジルアミン(2)
91.25g(0.753モル)のS−メチルベンジルアミン/メタノール(
400ml)に79.93g(0.750モル)のベンズアルデヒドを添加し、
反応物を室温で2時間攪拌した。この溶液に、反応温度を20〜28℃に保持し
ながら、21.20g(0.560モル)のNaBH4を1時間かけて少しずつ
添加した。この混合物を室温で16時間攪拌した後、
溶媒を減圧下で蒸発除去した。残渣を水でスラリー状にし、塩化メチレンで3回
抽出した。溶媒を水で洗浄し、MgSO4で脱水して濃縮すると、158.29
gの無色液体が得られた。この液体を減圧下で蒸留すると、116〜119℃、
4mmHgで151.20g(95%)の標記物質が無色液体として得られた。
MS M/Z:212(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.37(d,3
H,J=7Hz),1.61(br,1H),3.58(d,1H,J=9Hz
),3.69(d,1H,J=9Hz),3.82(q,1H,J=7Hz),
7.23〜7.36(m,10H)
工程5b.(1’S,3S)−3−(ベンジル−(1−フェニルエチル)アミノ
)酪酸 エチルエステル(4)
20.394g(96.513ミリモル)の(S)−α−メチル−N−(フェ
ニルメチル)ベンゼンメタンアミン(実施例5)のTHF(400ml)溶液を
0℃に冷却して攪拌し、これに38.61g(96.525ミリモル)のn−ブ
チルリチウムを10分かけて添加し、反応物をさらに15分攪拌した。この溶液
に10.00ml(80.427ミリモル)のクロトン酸エチルを攪拌しながら
20分かけて添加し、その溶液をさ
らに20分攪拌した。過剰の飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して反応を停止
し、混合物をエーテルで抽出した。エーテル抽出物を飽和ブラインで洗浄し、M
gSO4で脱水して濃縮すると、無色液体が得られた。粗生成物をシリカゲルク
ロマトグラフィー(1:4の酢酸エチル:ヘキサンで溶離)にかけて溶媒を除去
すると、24.10g(92.1%)の標記物質が無色油状物として得られた。
MS M/Z:326(M+H);NMR (CDCl3)δ:1.13(d,
3H,J=7Hz),1.16(t,3H,J=7Hz),1.35(d,3H
,J=7Hz),2.10(dd,1H,J=14Hz,J=6Hz),2.3
6(dd,1H,J=14Hz,J=6Hz),3.44(m,1H),3.6
7(d,1H,J=14Hz),3.74(d,1H,J=14Hz),3.8
8〜4.07(m,3H),7.19〜7.42(10H);元素分析:計算値
(C21H27NO2として):C,77.50;H,8.36;N,4.30:実
験値:C,77.46;H,8.37;N,4.28
工程5c.(S)−3−アミノ酪酸 エチルエステル(5)
上記工程5bで得た化合物の試料69.10g(0.212
モル)を250mlのメタノールに溶解し、6.9gの20%Pd(OH)2/
Cを添加した。混合物を4気圧の水素下、室温で48時間攪拌した。混合物を濾
過し、溶媒を真空除去すると、24.74g(88.8%収率)の標記化合物が
無色液体として得られ、これを次の工程に直接供した。
工程5d.(S)−3−(ベンジルアミノ)酪酸 エチルエステル(6)
上記工程5cで得た化合物の試料24.74g(0.189モル)を200m
lのメタノールに溶解し、上記実施例4に記載の方法と同様にベンジル化した。
生成物を記載したように単離し、脱水すると、39.58g(94.8%収率)
の標記物質が無色液体として得られ、これを次の工程に直接供した。
(NMRデータから、生成物の約28%がメチルエステルであった。)
工程5e.(S)−3−〔ベンジル(カルボキシメチル)アミノ〕酪酸 ジエチ
ルエステル(7)
上記工程5dで得た化合物の試料39.58g(0.179モル)を200m
lのブタノンに溶解し、29.70g(0.215モル)のK2CO3および5.
409g(0.036モ
ル)のNaIを添加して、溶液を加熱還流した。還流溶液に21.00ml(0
.189モル)のブロモ酢酸エチルを添加し、反応物を14.5時間攪拌した後
、冷却・濾過・濃縮した。粗生成物をKugelrohr装置に入れて、70℃、0.3
mmHgで加熱すると、50.70g(92.2%収率)の標記物質が残留黄色
液体として得られ、これを次の工程に直接供した。
工程5f.(S)−N−ベンジル−5−メチルピロリジン−3−オン(8)
上記工程5eで得た化合物の試料50.70g(0.165モル)を400m
lのトルエンに溶解した。その溶液を0℃に冷却し、21.00g(0.187
モル)のカリウムt−ブトキシドを1度に添加した。反応物を0℃で0.5時間
、室温で1.5時間攪拌した後、溶媒を除去した。残渣を600mlの1N−H
Cl中で6時間加熱還流した。溶液を10%のNaOH水溶液で塩基性にしてp
H=10〜11とし、次いで、エーテルで抽出した。溶媒をブラインで洗浄し、
MgSO4で脱水して濃縮すると、17.28g(55.4%収率)の標記物質
が淡黄色液体として得られた。〔α〕D=+208.9°(c=1.92,CH
Cl3,26℃)。他の分析データは、上記
実施例1eと同じであった。
実施例6
(2S,4S)−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン工程6a.(1’
S,3S)−3−((1−フェニルエチル)アミノ)酪酸 エチルエステル(1
3)
上記工程5bで得た(1′S,3S)−3−(ベンジル−(1−フェニルエチ
ル)アミノ)酪酸 エチルエステルの試料1.30g(4.01ミリモル)を1
5mlのメタノールに溶解し、これに0.20gの10%Pd/Cおよび0.6
5mlの濃HClを添加した。混合物を水素雰囲気下、室温で1時間攪拌した後
、濾過して、濾液を濃縮すると、1.04g(95.9%収率)の白色HCl塩
が得られた。この塩を水に溶解し、10%NaOHでpH=12に調整し、エー
テルで抽出した。溶媒を飽和ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水して濃縮する
と、0.90g(95.5%収率)の標記物質が無色液体として得られた。MS
M/Z:236(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.05(d,3H,
J=7Hz),1.26(t,3H,J=7Hz),1.32(d,3H,J=
7Hz),1.55(br,1H),2.36(dd,1H,J=14
Hz,J=6Hz),2.43(dd,1H,J=14Hz,J=6Hz),2
.98(六重線,1H,J=7Hz),3.88(q,1H,J=7Hz),4
.13(q,2H,J=7Hz),7.22〜7.32(m,5H)
工程6b.(1’S,3S)−3−((1−フェニルエチル)(カルボキシメチ
ル)アミノ)酪酸 ジエチルエステル(14)
上記実施例6aで得た化合物の試料2.00g(18.50ミリモル)、2.
40gのK2CO3および1.27gのNaIをブタノンに溶解した後、反応物を
N2下で加熱還流した。ブロモ酢酸エチル(1430μl)を滴下し、反応物の
還流を22時間続けた。溶液を濾過・濃縮し、残渣を Kugelrohr装置で処理し
、シリカゲルクロマトグラフィー(1:4の酢酸エチル:ヘキサンで溶離)にか
けた。溶媒を除去すると、2.474g(90.6%収率)の標記物質が無色の
液体として得られた。MS M/Z:322(M+H);NMR(CDCl3)
δ:1.06(d,3H,J=7Hz),1.21(t,3H,J=7Hz),
1.23(t,3H,J=7Hz),1.36(d,3H,J=7Hz),2.
15(dd,1H,J=12Hz,J=8Hz),2.55(dd,1H,J=
12Hz,
J=6Hz),3.30(d,1H,J=17Hz),3.37(d,1H,J
=17Hz),3.49(m,1H),4.09(m,4H),7.20〜7.
39(m,5H)
工程6c.(1’S,5S)−N−(1−フェニルエチル)−5−メチル−3−
ピロリジノン(15)
実施例5fの方法に従って、工程6bで得た化合物の試料2.47gを反応さ
せ、さらにクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:4の酢酸エチル:ヘ
キサン)にかけた後、標記物質を淡黄色の液体として単離した。この化合物は不
安定であり、次の工程に直接供した。MS M/Z:204(M+H);NMR
(CDCl3)δ:1.15(d,3H,J=7Hz),1.38(d,3H,
J=7Hz),2.12(dd,1H,J=18Hz,J=6Hz),2.60
(dd,1H,J=18Hz,J=7Hz),2.85(d,1H,J=18H
z),2.91(d,1H,J=18Hz),3.55(六重線,1H,J=7
Hz),3.94(q,1H,J=7Hz),7.23〜7.38(m,5H)
工程6d.(1’S,2S)−4−ヒドロキシ−1−(1−フェニルエチル)−
2−メチルピロリジン
工程6cで得た化合物の試料2.602gを30mlのメタノールに溶解し、
−78℃に冷却した。次いで、0.581gのNaBH4を添加し、−78℃で
2時間、次いで室温で16時間攪拌した。混合物を濃縮乾固し、残渣を水および
20%NaOHでスラリー状にし、エーテルで抽出した。溶媒をブラインで抽出
し、MgSO4で脱水して濃縮すると、2.563g(97.6%収率)の標記
物質が淡黄色油状物として得られた。NMRスペクトルにより、シス/トランス
異性体の8:1混合物であることがわかった。異性体は分離しないで、混合物を
次の工程に供した。
工程6e.(1’S,2S)−4−アミノ−1−(1−フェニルエチル)−2−
メチルピロリジン
工程6dで得た化合物の試料2.563g(12.485ミリモル)を30m
lのTHFに溶解し、3.307g(12.61ミリモル)のトリフェニルホス
フィンおよび1.855g(12.61ミリモル)のフタルイミドを添加した。
懸濁物を20℃で攪拌し、これに2.50ml(12.70ミリモル)のDIP
ADを滴下し、混合物を30分攪拌した。溶液を濃縮乾固し、残渣を20mlの
無水エタノールに溶解し、0.61
ml(12.58ミリモル)のヒドラジン水和物を添加して、混合物をN2下で
2.5時間加熱還流した。4mlの濃HClを添加し、混合物を濾過した。濾液
を濃縮し、残渣を水に溶解して、溶液を塩化メチレンで抽出した。水溶液をpH
14の塩基性にして、塩化メチレンで抽出した。溶媒を水で洗浄し、MgSO4
で脱水して濃縮すると、褐色の液体が得られた。この液体を Kugelrohr装置に入
れて、100〜120℃、0.2mmHgで蒸留すると、2.20g(86.2
%収率)の標記物質が無色の液体として得られ、これを次の工程に直接供した。
工程6f.(1S,5S)−4−アセチルアミノ−1−(1−フェニルエチル)
−2−メチルピロリジン
上記工程6eで得た化合物の試料2.20g(10.77ミリモル)を5ml
の塩化メチレンに溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(1.65ml,
11.84ミリモル)および無水酢酸(1.10ml,11.66ミリモル)を
添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。溶液を希釈し、水で洗浄し、MgSO4
で脱水して濃縮すると、黄色油状物が得られ、これは放置しておくと固化した
。この物質をシリカゲルクロマトグラフィー(100:5:0.5の塩化メチレ
ン:メタノール:
アンモニアで溶離)にかけ、溶媒を除去して脱水すると、1.927g(72.
6%収率)の標記物質が固体として得られた(トランス異性体のみ)。MS M
/Z:247(M+H);NMR(CDCl3)δ:0.96(d,3H,J=
7Hz),1.31(m,1H),1.36(d,3H,J=7Hz),1.9
1(s,3H),1.95(m,1H),2.23(dd,1H,J=10Hz
,J=6Hz),2.94(dd,1H,J=10Hz,J=8Hz),3.2
7(m,1H),3.69(q,1H,J=7Hz),4.38(m,1H),
5.58(br,1H),7.23〜7.35(m,5H)
工程6g.(2S,4S)−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン(II)
実施例3と同様の方法でα−メチルベンジル基を水素添加分解により除去する
と、標記のピロリジンが得られる。
実施例7
(2S,4S)−1−BOC−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン
工程7a.(D)−N−ベンジルオキシカルボニルアスパラギン酸(22)
D−アスパラギン酸の試料50g(0.375モル)をDMFおよびジイソプ
ロピルエチルアミンの混合物に溶解し、114g(0.45モル)のN−(ベン
ジルカルボニルオキシ)スクシンアミドを添加して反応物を70℃で2時間攪拌
した。溶媒を真空除去し、残渣を塩化メチレンに溶解してpH2のHCl、水お
よびブラインで抽出し、MgSO4で脱水した。溶媒を除去し、残留油状物をエ
ーテルおよびメタノールとともに磨砕した。冷却して標記物質(92.75g,
92.5%収率)を分離した。
工程7b.(R)−N−ベンジルオキシカルボニルアスパラギン酸無水物(23
)
上記工程7aで得た化合物の試料92.75gを無水酢酸に溶解し、室温で一
夜攪拌した。溶媒を真空下、38℃以下の温度で除去すると、標記物質が定量的
収率で得られた。
工程7c.(R)−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−オキソ−テトラ
ヒドロフラン(24)
上記工程7bで得た化合物の試料42.0g(0.168モル)をTHFに溶
解し、0℃に保持した6.35g(0.168ミル)のNaBH4/THFのス
ラリーに2時間かけて添加した。反応物をさらに2時間攪拌し、6NのHClで
pH2に調整した。混合物を乾固し、残渣を水に溶解してエーテルで抽出した。
溶媒を飽和ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水して真空濃縮した。残渣を50
mlの無水酢酸に入れて2時間攪拌した。過剰の溶媒を Kugelrohr装置での蒸留
により除去し、残渣をエーテルとともに磨砕すると、20.5g(63.7%収
率)の標記物質が白色固体として得られた。MS M/Z:203(M+H);
NMR(CDCl3)δ:2.46(dd,1H,J=18Hz,J=4Hz)
,2.84(dd,1H,J=18Hz,J=8Hz),4.22(m,1H)
,4.49(m,2H),5.11(s,2H),5.27(br,1H),7
.34(m,5H)
工程7d.(R)−4−アミノ−2−オキソ−テトラヒドロフラン 臭化水素酸
塩(25)
上記工程7cで得た化合物の試料10.0gを5当量の30%HBrを含む酢
酸に溶解し、10mlのエーテルを添加して、混合物を室温で2時間攪拌した。
冷却すると、標記化合物(6.15g,86.6%収率)が白色結晶として析出
した。NMR(CDCl3)δ:2.50(dd,1H,J=18Hz,J=3
Hz),3.12(dd,1H,J=18Hz,J=9Hz),4.13(m,
1H),4.28(dd,1H,J=12Hz,J=3Hz),4.51(dd
,1H,J=12Hz,J=7Hz),8.20(br,3H)
工程7e.(R)−4−ベンジルアミノ−2−オキソ−テトラヒドロフラン(2
6)
上記工程7dで得た化合物の試料6.15g(0.037モル)を、5.16
ml(0.037モル)のトリエチルアミンとともにメタノールに溶解した。こ
れに3.76ml(0.037モル)のベンズアルデヒドを添加し、反応物を室
温で1時間攪拌した。これに2.79g(0.074モル)のNaBH4を少し
ずつ添加し、反応物を0.5時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を水でスラリー
状にし、塩化メチレンで抽出した。溶媒を除去すると黄色油状物が得られ、これ
をシリカ
ゲルクロマトグラフィー(100:10:0.5の塩化メチレン:メタノール:
アンモニアで溶離)にかけ、脱水すると、5.0g(70.6%収率)の標記物
質が黄色油状物として得られた。MS M/Z:192(M+H),209(M
+NH4);NMR(CDCl3)δ:2.37(dd,1H,J=18Hz,J
=4Hz),1.63(br,1H),2.68(dd,1H,J=18Hz,
J=7Hz),3.67(m,1H),3.75(d,1H,J=13Hz),
3.81(d,1H,J=13Hz),4.10(dd,1H,J=13Hz,
J=4Hz),4.35(dd,1H,J=13Hz,J=6Hz),7.30
(m,5H)
工程7f.(R)−4−〔ベンジル(エトキシカルボニルメチル)アミノ〕−2
−オキソテトラヒドロフラン(27)
上記工程7eで得た化合物の試料5.0g(26ミリモル)、5.76ml(
52ミリモル)のブロモ酢酸エチルおよび4.0ml(28ミリモル)のトリエ
チルアミンをトルエンに溶解し、これを2時間加熱還流した。溶媒を除去し、残
渣を水でスラリー状にし、塩化メチレンで抽出した。溶液をMgSO4で脱水し
、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ
ー(10%メタノールで溶離)にかけると、脱水後に5.8g(80.3%収率
)の標記物質が黄色液体として得られた。
MS M/Z:278(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.26(t,3
H,J=7Hz),2.60(dd,1H,J=18Hz,J=8Hz),2.
69(dd,1H,J=18Hz,J=8Hz),3.77(d,1H,J=1
4Hz),3.86(d,1H,J=14Hz),4.01(外観上五重線,1
H,J=7Hz),4.14(q,2H,J=7Hz),4.22(dd,1H
,J=10Hz,J=7Hz),4.43(dd,1H,J=10Hz,J=7
Hz),7.31(m,5H)
工程7g.(R)−1−ベンジル−5−ヒドロキシメチル−3−ピロリジノン(
29)
上記工程7fで得た化合物の試料0.890g(3.2ミリモル)をTHFに
溶解し、溶液を0℃に冷却した。この溶液にナトリウム ビス(トリメチルシリ
ル)アミドの1N水溶液3.52ml(3.52ミリモル)を添加し、その溶液
を0℃、N2下で20分間攪拌した。溶媒を真空除去し、残渣を1NのHClに
溶解し、0.5時間加熱還流した。溶液を
Na2CO3で塩基性にし、塩化メチレンで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し
、MgSO4で脱水して濃縮すると、暗色の残渣が得られた。粗生成物をシリカ
ゲルクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)にかけると、脱水後に253mg
(38.6%収率)の標記物質が不安定な褐色の油状物として得られた。MS
M/Z:206(M+H);NMR(CDCl3)δ:2.38(br,1H)
,2,44(dd,1H,J=19Hz,J=8Hz),2.62(dd,1H
,J=19Hz,J=7Hz),2.82(d,1H,J=18Hz),3.1
8(m,1H),3.35(d,1H,J=18Hz),3.41(d,1H,
J=14Hz),3.58(dd,1H,J=12Hz,J=2Hz),3.9
6(dd,1H,J=12Hz,J=3Hz),4.18(d,1H,J=14
Hz),7.31(m,5H)
工程7h.(R)−1−BOC−5−ヒドロキシメチル−3−ピロリジノン(3
0)
上記工程7gで得た化合物、炭酸ジ−t−ブチルおよび10%Pd/Cのメタ
ノールにおける混合物をH2下で攪拌し、濾過して溶媒を除去することにより、
標記物質を単離する。
工程7i.(R)−1−BOC−5−メタンスルホニルオキシメチル−3−ピロ
リジノン(31)
上記工程7hで得た化合物の塩化メチレン溶液にトリエチルアミンおよび塩化
メタンスルホニルを添加し、0℃で攪拌する。反応が完了すると、溶液を他の溶
媒で希釈し、溶媒を水で抽出し、溶媒を脱水して除去すると、標記物質が得られ
る。
工程7j.(2S,4R)−1−BOC−4−ヒドロキシ−2−メチルピロリジ
ン(32)
上記工程7iで得た化合物の試料をTHFに溶解して−30℃に冷却し、これ
に水素化トリエチルホウ素リチウムを添加して、混合物を2時間攪拌する。反応
を停止し、生成物を有機溶媒で抽出し、抽出物を脱水してカラムクロマトグラフ
ィーにより精製すると、標記物質が得られる。
工程7k.(2S,4S)−1−BOC−4−アセチルアミノ−2−メチルピロ
リジン
上記工程7jで得た化合物の試料を、上記実施例1gに記載の方法と同様にし
て標記物質に変換する。
実施例8
(2S,4R)−1−BOC−4−ヒドロキシ−2−メチルピ
ロリジンの別の合成法
工程8a,(2S,4R)−4−ヒドロキシ−2−メチルピロリジン
実施例1fで得た(2S,4R)−N−ベンジル−2−メチルピロリジン−4
−オールのシス異性体の試料0.995g(5.20ミリモル)を50mlのメ
タノールに溶解し、これに0.1gのPd/Cを添加し、その混合物を4気圧の
H2下、室温で24時間攪拌した。混合物を濾過し、溶媒を除去した。生成物を
次の工程に直接供した。
工程8b.(2S,4R)−1−BOC−4−ヒドロキシ−2−メチルピロリジ
ン−4−オール(32)
工程8aで得た試料を15mlのメタノールに溶解し、これに1.13gの炭
酸ジ−t−ブチルおよび3mlの水を添加し、反応物を室温で5時間攪拌した。
溶液を真空乾固し、残渣を塩化メチレンに溶解した。溶媒を水で洗浄し、MgS
O4で脱水して濃縮乾固した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化すると
、0.789g(75.4%収率)の標記物質が無色の結晶として得られた。N
MRデータおよびTLC挙動は、米国特許No.4,962,112で同一化合
物に対して記載され
たものと同じである。
実施例9
(2S,4S)−1−BOC−4−アミノ−2−メチルピロリジンの別の合成法
工程9a.(2S,4S)−1−BOC−4−ベンジルアミノ−2−メチルピロ
リジン(34)
米国特許No.4,962,112の記載と同様に合成した(2S,4R)−
1−BOC−4−メタンスルホニルオキシ−2−メチルピロリジンの試料90g
(0.322モル)に345g(3.22モル)のベンジルアミンを添加し、溶
液を100℃、N2下で8時間加熱した。溶液を室温に冷却し、過剰のベンジル
アミンを真空除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。次いで、生
成物を1.0Mのクエン酸中に抽出した後、濃水酸化アンモニウム水溶液でpH
11.5に調整した。生成物を酢酸エチルで抽出し、Na2SO4で脱水して、濾
過・濃縮した。脱水すると、76.2g(81.5%収率)の標記物質が黄色油
状物として得られた。
工程9b.(2S,4S)−1−BOC−4−アミノ−2−メチルピロリジン(
35)
工程9aで得た化合物の試料1.95g(6.71ミリモル)を40mlの無
水エタノールに溶解してN2下で攪拌し、これに0.5gの10%Pd/Cおよ
び2.06g(32.7ミリモル)のギ酸アンモニウムを添加した。温度を60
℃に上げ、反応物を1時間攪拌した。触媒を濾別し、濾液を真空濃縮すると、脱
水後に1.38g(100%収率)の標記化合物が粘性油状物として得られた。
工程9c.(2S,4S)−1−BOC−4−アセチルアミノ−2−メチルピロ
リジン(36)
上記工程9bで得た化合物の試料46g(0.230モル)を335mlのピ
リジンに溶解した。この溶液をN2下で攪拌し、これに46.5g(0.459
モル)のトリエチルアミンを添加し、氷/メタノール浴を使用して−5℃に冷却
した。これに、温度を0℃に保持しながら46.9g(0.459モル)の無水
酢酸を添加した。添加完了後、溶液を室温に温めて2時間攪拌した。溶媒を真空
除去すると油状物が得られ、これをクロロホルムに溶解して7%HCl水溶液、
飽和NaHCO3水溶液および飽和ブラインで洗浄した後、Na2SO4で脱水し
た。溶媒を除去すると淡黄色油状物が得られ、これを熱ヘキサ
ンとともに磨砕して冷却することにより結晶化させた。50.6g(90.9%
収率)の粗生成物を濾過およびシリカゲルクロマトグラフィー(20%ヘキサン
/酢酸エチルで溶離)により単離すると、40.9gの物質が得られた。エーテ
ルから最終の結晶化を行うと、純粋な標記物質(31.6g,56.8%収率)
が得られた。
実施例10
(2S,4R)−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン工程10a.(2
S,4R)−4−アセチルアミノ−1−ベンジル−2−メチルピロリジン
上記実施例1fで単離した少量物質である(2S,4S)−N−ベンジル−2
−メチルピロリジノールのトランス物質を、実施例1gに記載の方法によって反
応させると、酢酸エチル/ヘキサン(1/5)からの再結晶後に、標記物質が白
色結晶固体として得られた。MS M/Z:233(M+H);NMR(CDC
l3)δ:1.22(d,3H,J=6Hz),1.30(m,1H),1.9
0(s,3H),2.42(m,3H),2.71(d,1H,J=10Hz)
,3.13(d,1H,J=13Hz),4.03(d,1H,J=13Hz)
,
4.32(m,1H),5.90(br,1H),7.29(m,5H)
工程10b.(2S,4R)−4−アセチルアミノ−2−メチルピロリジン
工程10aで得た物質を、上記実施例3の方法と同様にして水素添加分解する
ことにより脱保護すると、標記化合物が得られる。
実施例11
(2S,4S)−4,5−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルピロリジン
工程11a.(2S,4S)−4,5−ブトキシカルボニルアミノ−1−ベンジ
ル−2−メチルピロリジン
上記実施例1fで単離した少量物質である(2S,4S)−N−ベンジル−2
−メチルピロリジノールのトランス物質を実施例2に記載した方法により反応さ
せると、標記物質が無色の油状物として得られた。MS M/Z:291(M+
H);NMR(CDCl3)δ:1.19(d,1H,J=6Hz),1.29
(m,1H),1.41(s,9H),2.39(m,3H),2.71(d,
1H,J=10Hz),3.10(d,
1H,J=13Hz),4.01(d,1H,J=13Hz),4.03(m,
1H),4.86(br,1H),7.29(m,5H)
工程11b.(2S,4S)−4,5−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチル
ピロリジン
工程11aで得た物質を、上記実施例4の方法と同様にして水素添加分解する
ことにより脱保護すると、標記化合物が白色固体として得られた。MS M/Z
:201(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.25(d,3H,J=6H
z),1.44(s,9H),2.39(m,1H),2.93(dd,1H,
J=11Hz,J=4Hz),3.13(m,3H),4.14(br,2H)
,5.06(br,1H)
実施例12
(+,−)−トランス−4−アセチルアミノ−1−ベンジル−2−メチルピロリ
ジン
(+,−)−N−ベンジル−5−メチルピロリジン−3−オン(Prost, et al.
, Helv. Chim Acta. 52:1134 (1969)に従って合成)を上記実施例1fお
よび1gに記載した方法に従って反応させることにより、標記化合物が結晶性固
体として得られ
た。MS M/Z:233(M+H);NMR(CDCl3)δ:1.15(d
,3H,J=6Hz),1.73(m,1H),1.91(s,3H),1.9
8(m,1H),2.7〜0(六重線,1H,J=6Hz),3.27(m,2
H),3.98(d,1H,J=13Hz),4.34(m,1H),5.45
(br,1H),7.29(m,5H)
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
// C07M 7:00