JPH0837344A - 半導体レーザ型光増幅器 - Google Patents
半導体レーザ型光増幅器Info
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- JPH0837344A JPH0837344A JP17290894A JP17290894A JPH0837344A JP H0837344 A JPH0837344 A JP H0837344A JP 17290894 A JP17290894 A JP 17290894A JP 17290894 A JP17290894 A JP 17290894A JP H0837344 A JPH0837344 A JP H0837344A
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- quantum well
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- well layer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 歪みによる素子の劣化がしずらく、TEモー
ドとTMモードの利得の差の制御がしやすい半導体レー
ザ型光増幅器を提供する。 【構成】 この発明の半導体レーザ型光増幅器では、活
性層として引っ張り歪を受けている量子井戸構造を用い
ている。活性層は、InGaAsPまたはInGaAs
のいずれか一方により形成される少なくとも1層の量子
井戸層とInP単結晶基板に格子整合したInGaAs
Pバリア層とで構成されている。量子井戸層は上下をバ
リア層によりはさまれている。このとき、量子井戸層が
受ける引っ張り歪は、0.2〜0.3%程度であり、量
子井戸層の厚さは、約17nmである。
ドとTMモードの利得の差の制御がしやすい半導体レー
ザ型光増幅器を提供する。 【構成】 この発明の半導体レーザ型光増幅器では、活
性層として引っ張り歪を受けている量子井戸構造を用い
ている。活性層は、InGaAsPまたはInGaAs
のいずれか一方により形成される少なくとも1層の量子
井戸層とInP単結晶基板に格子整合したInGaAs
Pバリア層とで構成されている。量子井戸層は上下をバ
リア層によりはさまれている。このとき、量子井戸層が
受ける引っ張り歪は、0.2〜0.3%程度であり、量
子井戸層の厚さは、約17nmである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は光通信システムに用い
る半導体レーザ型光増幅器に関する。
る半導体レーザ型光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ型の光増幅器において、活
性層として、引っ張り歪を受けている量子井戸構造をも
つ活性層を用いると、価電子帯の軽い正孔(以下、LH
と称する場合がある。)のバンドが重い正孔(以下、H
Hと称する場合がある。)のバンドより上に位置するよ
うになる。このため、バンド間の遷移は、LHバンドと
伝導帯の間の電子間の遷移が主となる。その結果、TM
モードに対する利得を大きくすることができる。そし
て、引っ張り歪量を適当に選ぶと、TMモードの利得を
TEモードの利得と等しくすることができることが文献
1:「特開平1−251685」に提案されている。
性層として、引っ張り歪を受けている量子井戸構造をも
つ活性層を用いると、価電子帯の軽い正孔(以下、LH
と称する場合がある。)のバンドが重い正孔(以下、H
Hと称する場合がある。)のバンドより上に位置するよ
うになる。このため、バンド間の遷移は、LHバンドと
伝導帯の間の電子間の遷移が主となる。その結果、TM
モードに対する利得を大きくすることができる。そし
て、引っ張り歪量を適当に選ぶと、TMモードの利得を
TEモードの利得と等しくすることができることが文献
1:「特開平1−251685」に提案されている。
【0003】文献2:「第10回半導体レーザシンポジ
ウム「性能向上のための手法と技術」予稿集第15項」
では、波長1.55μmの信号光に対して、TEモード
とTMモードの利得の差が測定限界以下となることが示
されている。ここでは、活性層は、5層のInGaAs
井戸層と、InP基板に格子整合しているInGaAs
Pバリア層とで形成されている。そして、引っ張り歪が
0.45%の場合、量子井戸層の厚さを13.8μmと
することで、波長1.55μmの信号光に対して、TE
モードとTMモードの利得の差が測定限界である0.5
dB以下になると報告されている。
ウム「性能向上のための手法と技術」予稿集第15項」
では、波長1.55μmの信号光に対して、TEモード
とTMモードの利得の差が測定限界以下となることが示
されている。ここでは、活性層は、5層のInGaAs
井戸層と、InP基板に格子整合しているInGaAs
Pバリア層とで形成されている。そして、引っ張り歪が
0.45%の場合、量子井戸層の厚さを13.8μmと
することで、波長1.55μmの信号光に対して、TE
モードとTMモードの利得の差が測定限界である0.5
dB以下になると報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
半導体レーザ型光増幅器では、量子井戸層が受ける引っ
張り歪は、0.45%程度と比較的大きい。このため、
引っ張り歪により素子が劣化しやすくなるという問題が
ある。また、引っ張り歪が大きいと、TEモードとTM
モードの利得の差を小さくするために必要な量子井戸層
の厚さは薄くなると共に、量子井戸層の厚さの許容範囲
が狭くなる。この許容範囲が狭くなると、TEモードと
TMモードの利得の差を制御しにくくなってしまう。
半導体レーザ型光増幅器では、量子井戸層が受ける引っ
張り歪は、0.45%程度と比較的大きい。このため、
引っ張り歪により素子が劣化しやすくなるという問題が
ある。また、引っ張り歪が大きいと、TEモードとTM
モードの利得の差を小さくするために必要な量子井戸層
の厚さは薄くなると共に、量子井戸層の厚さの許容範囲
が狭くなる。この許容範囲が狭くなると、TEモードと
TMモードの利得の差を制御しにくくなってしまう。
【0005】このため、従来より、素子の劣化がしずら
く、TEモードとTMモードの利得の差の制御がしやす
い半導体レーザ型光増幅器が望まれていた。
く、TEモードとTMモードの利得の差の制御がしやす
い半導体レーザ型光増幅器が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】このように劣化しにく
く、しかも、TEモードとTMモードの利得の差の制御
を容易に行い得る素子とするため、この発明では、半導
体レーザ型光増幅器の構成を下記の通りにする。先ず、
この光増幅器は、InP単結晶基板と、この基板上にこ
の基板と同じ導電型であり、この基板と格子整合した第
1InPクラッド層を具え、さらに、この第1クラッド
層上に活性層を具え、さらに、この活性層上に基板と異
なる導電型であり、基板と格子整合した第2InPクラ
ッド層とを具えている。そして、この活性層は、InG
aAsPまたはInGaAsのいずれか一方により形成
される少なくとも1層の量子井戸層と基板に格子整合し
たInGaAsPバリア層とで構成されている。さら
に、この量子井戸層は上下をバリア層によりはさまれて
いる。そして、このバリア層の格子定数に対する、量子
井戸層の格子定数とバリア層の格子定数の差の比を2/
1000〜3/1000の間の値とし、および、量子井
戸層の厚みを、軽い正孔のバンドが重い正孔のバンドと
エネルギー的に等しいか、または上に位置するような厚
みとする。
く、しかも、TEモードとTMモードの利得の差の制御
を容易に行い得る素子とするため、この発明では、半導
体レーザ型光増幅器の構成を下記の通りにする。先ず、
この光増幅器は、InP単結晶基板と、この基板上にこ
の基板と同じ導電型であり、この基板と格子整合した第
1InPクラッド層を具え、さらに、この第1クラッド
層上に活性層を具え、さらに、この活性層上に基板と異
なる導電型であり、基板と格子整合した第2InPクラ
ッド層とを具えている。そして、この活性層は、InG
aAsPまたはInGaAsのいずれか一方により形成
される少なくとも1層の量子井戸層と基板に格子整合し
たInGaAsPバリア層とで構成されている。さら
に、この量子井戸層は上下をバリア層によりはさまれて
いる。そして、このバリア層の格子定数に対する、量子
井戸層の格子定数とバリア層の格子定数の差の比を2/
1000〜3/1000の間の値とし、および、量子井
戸層の厚みを、軽い正孔のバンドが重い正孔のバンドと
エネルギー的に等しいか、または上に位置するような厚
みとする。
【0007】この発明の好適実施例では、量子井戸層の
厚さを、15nm〜25nmとするのが良い。
厚さを、15nm〜25nmとするのが良い。
【0008】
【作用】先ず、作用を説明する前に、半導体レーザ型光
増幅器を量子井戸構造の素子として構成する場合、この
素子の量子井戸層としてInGaAsP層を用い、しか
もこの量子井戸層が0.25%の引っ張り歪を受けてい
るものとする。その場合の量子井戸層の厚さとバンドギ
ャップ波長との関係を計算で求めてプロットしたのが図
1である。この図1において縦軸にバンドギャップ波長
(単位:μm)をとり、横軸に量子井戸層の厚さ(単
位:nm)をとって示してあり、曲線Iは重い正孔(H
H)のバンド(以下、このバンドをHHバンドと称する
場合がある。)と伝導帯との間(以下、HH−eと称す
る場合がある。)のバンドギャップ波長の変化を示し、
および、曲線IIは軽い正孔(LH)のバンド(以下、
このバンドをLHバンドと称する場合がある。)と伝導
帯との間(以下、LH−eと称する場合がある。)のバ
ンドギャップ波長の変化を示す。なお、横軸の厚さは、
0〜30nmまでをプロットして示してある。 図1に
示す曲線IおよびIIからも理解出来るように、量子井
戸層の厚さが、約15nmより薄い場合、HH−eのバ
ンドギャップ波長の方がLH−eのバンドギャップ波長
より大きい。これは、HHバンドのバンド端が、LHバ
ンドのバンド端よりもエネルギ−的に上に位置している
ことを示している。
増幅器を量子井戸構造の素子として構成する場合、この
素子の量子井戸層としてInGaAsP層を用い、しか
もこの量子井戸層が0.25%の引っ張り歪を受けてい
るものとする。その場合の量子井戸層の厚さとバンドギ
ャップ波長との関係を計算で求めてプロットしたのが図
1である。この図1において縦軸にバンドギャップ波長
(単位:μm)をとり、横軸に量子井戸層の厚さ(単
位:nm)をとって示してあり、曲線Iは重い正孔(H
H)のバンド(以下、このバンドをHHバンドと称する
場合がある。)と伝導帯との間(以下、HH−eと称す
る場合がある。)のバンドギャップ波長の変化を示し、
および、曲線IIは軽い正孔(LH)のバンド(以下、
このバンドをLHバンドと称する場合がある。)と伝導
帯との間(以下、LH−eと称する場合がある。)のバ
ンドギャップ波長の変化を示す。なお、横軸の厚さは、
0〜30nmまでをプロットして示してある。 図1に
示す曲線IおよびIIからも理解出来るように、量子井
戸層の厚さが、約15nmより薄い場合、HH−eのバ
ンドギャップ波長の方がLH−eのバンドギャップ波長
より大きい。これは、HHバンドのバンド端が、LHバ
ンドのバンド端よりもエネルギ−的に上に位置している
ことを示している。
【0009】また、量子井戸層の厚さが15nm付近で
は、HH−eおよびLH−eのバンドギャップ波長がほ
ぼ同じの約1.56μmとなる。厚さが15nmを越え
て、さらに厚くなっていくと、HH−eのバンドギャッ
プ波長がLH−eのバンドギャップ波長より小さくな
る。このことは厚さが15nm付近では、HHバンドの
バンド端が、LHバンドのバンド端とエネルギ−的にほ
ほ同じになり、量子井戸層の厚さが17nm付近から上
側では、LHバンドのバンド端の方が、HHバンドのバ
ンド端よりエネルギ−的に上に位置していることを示し
ている。
は、HH−eおよびLH−eのバンドギャップ波長がほ
ぼ同じの約1.56μmとなる。厚さが15nmを越え
て、さらに厚くなっていくと、HH−eのバンドギャッ
プ波長がLH−eのバンドギャップ波長より小さくな
る。このことは厚さが15nm付近では、HHバンドの
バンド端が、LHバンドのバンド端とエネルギ−的にほ
ほ同じになり、量子井戸層の厚さが17nm付近から上
側では、LHバンドのバンド端の方が、HHバンドのバ
ンド端よりエネルギ−的に上に位置していることを示し
ている。
【0010】以上の事実から、量子井戸層の厚さが大き
くなるにつれて、LHバンドと伝導帯の間の電子間の遷
移が起こりやすくなり、その結果、TMモードの利得が
大きくなることが理解できる。
くなるにつれて、LHバンドと伝導帯の間の電子間の遷
移が起こりやすくなり、その結果、TMモードの利得が
大きくなることが理解できる。
【0011】一方、HHバンドのバンド端とLHバンド
のバンド端がエネルギー的に等しい場合、通常は、HH
バンドと伝導帯の間の電子間の遷移確率の方がLHバン
ドと伝導帯の間の電子間の遷移確率より大きく、その結
果、TEモードの利得の方がTMモードの利得より大き
いことが知られている。
のバンド端がエネルギー的に等しい場合、通常は、HH
バンドと伝導帯の間の電子間の遷移確率の方がLHバン
ドと伝導帯の間の電子間の遷移確率より大きく、その結
果、TEモードの利得の方がTMモードの利得より大き
いことが知られている。
【0012】従って、TEモードとTMモードの利得の
差を無くすためには、LHバンドのバンド端をHHバン
ドのバンド端よりも、エネルギー的に適当に上に位置す
るように量子井戸層の厚さを設定する必要がある。
差を無くすためには、LHバンドのバンド端をHHバン
ドのバンド端よりも、エネルギー的に適当に上に位置す
るように量子井戸層の厚さを設定する必要がある。
【0013】図1に示す計算結果によれば、量子井戸層
の厚さが、25nm程度までは、HH−eのバンドギャ
ップ波長(厚さ約25nmで、約1.58μm)とLH
−eのバンドギャップ波長(厚さ約25nmで、約1.
60μm)の差は、それほど大きくない。よって、量子
井戸層の厚さが、25nm程度までは、TEモードとT
Mモードの利得の差がほとんど無いと考えられる。ま
た、量子井戸層の厚さが、25nmより大きくなると、
量子効果が得られなくなることが考えられる。
の厚さが、25nm程度までは、HH−eのバンドギャ
ップ波長(厚さ約25nmで、約1.58μm)とLH
−eのバンドギャップ波長(厚さ約25nmで、約1.
60μm)の差は、それほど大きくない。よって、量子
井戸層の厚さが、25nm程度までは、TEモードとT
Mモードの利得の差がほとんど無いと考えられる。ま
た、量子井戸層の厚さが、25nmより大きくなると、
量子効果が得られなくなることが考えられる。
【0014】図1は、計算結果であるため、実際には、
量子井戸層の厚さが、15nm程度から、TEモードと
TMモードの利得の差が無くなる可能性が考えられる。
量子井戸層の厚さが、15nm程度から、TEモードと
TMモードの利得の差が無くなる可能性が考えられる。
【0015】上述した図1の計算結果は、量子井戸層を
InGaAsP層とし、かつ、量子井戸層が受ける引っ
張り歪量を0.25%と仮定したが、量子井戸層が受け
る引っ張り歪が0.2〜0.3%の範囲内にあるなら
ば、図1に示した曲線IおよびIIと実質的に変わらな
い結果が得られることを確認した。また、量子井戸層を
InGaAsP層の代わりにInGaAs層を用い、し
かもその量子井戸層が受ける引っ張り歪を0.2〜0.
3%の範囲内とした場合にも、図1の曲線IおよびII
と実質的に変わらない結果が得られることも確認してあ
る。
InGaAsP層とし、かつ、量子井戸層が受ける引っ
張り歪量を0.25%と仮定したが、量子井戸層が受け
る引っ張り歪が0.2〜0.3%の範囲内にあるなら
ば、図1に示した曲線IおよびIIと実質的に変わらな
い結果が得られることを確認した。また、量子井戸層を
InGaAsP層の代わりにInGaAs層を用い、し
かもその量子井戸層が受ける引っ張り歪を0.2〜0.
3%の範囲内とした場合にも、図1の曲線IおよびII
と実質的に変わらない結果が得られることも確認してあ
る。
【0016】従って、上述したこの発明によれば、バリ
ア層の格子定数に対する、量子井戸層の格子定数とこの
バリア層の格子定数との差の比を2/1000〜3/1
000(すなわち、引っ張り歪量に換算すると、0.2
〜0.3%)の間の値としているので、従来の素子の場
合よりも歪に起因した素子劣化は起こりにくい。
ア層の格子定数に対する、量子井戸層の格子定数とこの
バリア層の格子定数との差の比を2/1000〜3/1
000(すなわち、引っ張り歪量に換算すると、0.2
〜0.3%)の間の値としているので、従来の素子の場
合よりも歪に起因した素子劣化は起こりにくい。
【0017】さらに、この発明によれば、量子井戸層は
軽い正孔のバンドが重い正孔のバンドとエネルギー的に
等しいか、または上に位置するような厚さを有している
ので、量子井戸層の厚さを従来よりも厚くし得ると共
に、この厚さの許容範囲も広くなる。このため、TEモ
ードとTMモードの利得の差を制御しやすくなり、その
結果、偏波無依存特性をもった半導体レーザ型光増幅器
を得る。
軽い正孔のバンドが重い正孔のバンドとエネルギー的に
等しいか、または上に位置するような厚さを有している
ので、量子井戸層の厚さを従来よりも厚くし得ると共
に、この厚さの許容範囲も広くなる。このため、TEモ
ードとTMモードの利得の差を制御しやすくなり、その
結果、偏波無依存特性をもった半導体レーザ型光増幅器
を得る。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例に
つき説明する。なお、以下の説明において、この発明の
素子構造の理解を容易にするために、この素子の製造に
つき簡単に説明し、その後で、この発明の素子につき説
明する。
つき説明する。なお、以下の説明において、この発明の
素子構造の理解を容易にするために、この素子の製造に
つき簡単に説明し、その後で、この発明の素子につき説
明する。
【0019】図2(A)〜(C)、図3(A)〜
(C)、図4は、この発明の実施例である半導体レーザ
型光増幅器を構成する素子を作製する工程を概略的に示
す断面図である。また、図5は、活性層15の一部分を
拡大して示す略線図である。
(C)、図4は、この発明の実施例である半導体レーザ
型光増幅器を構成する素子を作製する工程を概略的に示
す断面図である。また、図5は、活性層15の一部分を
拡大して示す略線図である。
【0020】n−InP単結晶基板11上に、n−In
P単結晶基板11に格子整合するn−InPクラッド層
13をMOVPE法により形成する。次に、n−InP
クラッド層13上に、活性層15をMOVPE法により
形成する。活性層15は、InGaAsPまたはInG
aAsのいずれか一方により形成される少なくとも1層
の量子井戸層17a、17b、17c、・・・(各量子
井戸層を代表して17で示す。)と基板11に格子整合
したInGaAsPバリア層19a、19b、19c、
・・・(各バリア層を代表して19で示す。)とで構成
されている。量子井戸層17aは、上下をバリア層19
aおよび19bによりはさまれている(図5参照)。同
様に、量子井戸層17bは、バリア層19bおよび19
cによりはさまれている。このように、量子井戸層の各
層は、上下をバリア層ではさまれている。
P単結晶基板11に格子整合するn−InPクラッド層
13をMOVPE法により形成する。次に、n−InP
クラッド層13上に、活性層15をMOVPE法により
形成する。活性層15は、InGaAsPまたはInG
aAsのいずれか一方により形成される少なくとも1層
の量子井戸層17a、17b、17c、・・・(各量子
井戸層を代表して17で示す。)と基板11に格子整合
したInGaAsPバリア層19a、19b、19c、
・・・(各バリア層を代表して19で示す。)とで構成
されている。量子井戸層17aは、上下をバリア層19
aおよび19bによりはさまれている(図5参照)。同
様に、量子井戸層17bは、バリア層19bおよび19
cによりはさまれている。このように、量子井戸層の各
層は、上下をバリア層ではさまれている。
【0021】量子井戸層17は、バリア層19の格子定
数に対する量子井戸層17の格子定数とバリア層19の
格子定数との差の比が2/1000〜3/1000の間
の値となるように原料の供給量を変えて形成し、量子井
戸層17に0.2〜0.3%程度の引っ張り歪を受ける
ようにする。また、量子井戸層17の厚さを、軽い正孔
のバンドが重い正孔のバンドとエネルギー的に等しい
か、または上に位置するようにする。この実施例では、
量子井戸層17の厚さは、約17nmである。次に、活
性層15上に、第1p−InPクラッド層21をMOV
PE法により形成する。次に、第1p−InPクラッド
層21上に、InGaAsP保護層23をMOVPE法
により形成する(図2(A))。
数に対する量子井戸層17の格子定数とバリア層19の
格子定数との差の比が2/1000〜3/1000の間
の値となるように原料の供給量を変えて形成し、量子井
戸層17に0.2〜0.3%程度の引っ張り歪を受ける
ようにする。また、量子井戸層17の厚さを、軽い正孔
のバンドが重い正孔のバンドとエネルギー的に等しい
か、または上に位置するようにする。この実施例では、
量子井戸層17の厚さは、約17nmである。次に、活
性層15上に、第1p−InPクラッド層21をMOV
PE法により形成する。次に、第1p−InPクラッド
層21上に、InGaAsP保護層23をMOVPE法
により形成する(図2(A))。
【0022】次に、InGaAsP保護層23上に、フ
ォトリソグラフィ工程を用いて、幅3〜4μmのSiO
2 ストライプ25を形成する(図2(B))。
ォトリソグラフィ工程を用いて、幅3〜4μmのSiO
2 ストライプ25を形成する(図2(B))。
【0023】次に、化学エッチングによりメサストライ
プ27を形成する。このとき、メサの高さを1〜2μ
m、活性層の幅を1.5μmとなるようにエッチング時
間を制御する。この実施例では、エッチング液として、
HBr、H2 O2 およびH2 Oの3種類の混合液を用
い、10秒前後、エッチングを行う(図2(C))。
プ27を形成する。このとき、メサの高さを1〜2μ
m、活性層の幅を1.5μmとなるようにエッチング時
間を制御する。この実施例では、エッチング液として、
HBr、H2 O2 およびH2 Oの3種類の混合液を用
い、10秒前後、エッチングを行う(図2(C))。
【0024】次に、ストライプの両側をp−InP、n
−InPで選択的に埋め込み、P−InP電流ブロック
層29、n−InP電流ブロック層31を形成する(図
3(A))。
−InPで選択的に埋め込み、P−InP電流ブロック
層29、n−InP電流ブロック層31を形成する(図
3(A))。
【0025】次に、SiO2 ストライプ25、InGa
AsP保護層23を化学エッチングにより除去する。こ
の実施例では、エッチング液として、HFとHNO3 の
混合液を用いる(図3(B))。
AsP保護層23を化学エッチングにより除去する。こ
の実施例では、エッチング液として、HFとHNO3 の
混合液を用いる(図3(B))。
【0026】次に、SiO2 ストライプ25、InGa
AsP保護層23の化学エッチング後に現れる第1p−
InPクラッド層21とn−InP電流ブロック層31
を覆うように第2p−InPクラッド層33を形成する
(図3(C))。
AsP保護層23の化学エッチング後に現れる第1p−
InPクラッド層21とn−InP電流ブロック層31
を覆うように第2p−InPクラッド層33を形成する
(図3(C))。
【0027】次に、第2p−InPクラッド層33上
に、p−InGaAsコンタクト層35を形成する(図
4)。
に、p−InGaAsコンタクト層35を形成する(図
4)。
【0028】その後、基板11表面にn型電極、p−I
nGaAsコンタクト層35表面にp型電極を形成する
(図示せず)。
nGaAsコンタクト層35表面にp型電極を形成する
(図示せず)。
【0029】このように形成した後、素子に劈開する。
そして、素子の両端面に反射率0.1%以下の低反射膜
を形成する。この実施例では、低反射膜としてSiOx
を用いる。
そして、素子の両端面に反射率0.1%以下の低反射膜
を形成する。この実施例では、低反射膜としてSiOx
を用いる。
【0030】図6は、この発明の実施例である半導体レ
ーザ型光増幅器を構成する素子について、活性層部分の
バンド構造を示す概略図である。バリア層19には、I
nGaAsP層を用いる。この実施例では、バリア層1
9のバンドギャップ波長(以下、λgと称する場合があ
る。)は1.3μmである。量子井戸層17には、In
GaAs層またはInGaAsP層を用いる。量子井戸
層17は、0.2〜0.3%程度の引っ張り歪を受けて
いる。この実施例では、量子井戸層17の厚さは、約1
7nmである。
ーザ型光増幅器を構成する素子について、活性層部分の
バンド構造を示す概略図である。バリア層19には、I
nGaAsP層を用いる。この実施例では、バリア層1
9のバンドギャップ波長(以下、λgと称する場合があ
る。)は1.3μmである。量子井戸層17には、In
GaAs層またはInGaAsP層を用いる。量子井戸
層17は、0.2〜0.3%程度の引っ張り歪を受けて
いる。この実施例では、量子井戸層17の厚さは、約1
7nmである。
【0031】量子井戸層17に使用するInGaAs層
またはInGaAsP層が、0.2〜0.3%程度の引
っ張り歪を受ける場合、量子井戸層17のバンドギャッ
プ波長は1.6μm程度である。量子井戸層17にIn
GaAs層を使用する場合、InGaAs層のバンドギ
ャップは引っ張り歪量と1対1の関係にある。さらに、
これらの引っ張り歪を受けた量子井戸層17からの室温
でのフォトルミネッセンスのピーク波長は、1580〜
1590nmになる。
またはInGaAsP層が、0.2〜0.3%程度の引
っ張り歪を受ける場合、量子井戸層17のバンドギャッ
プ波長は1.6μm程度である。量子井戸層17にIn
GaAs層を使用する場合、InGaAs層のバンドギ
ャップは引っ張り歪量と1対1の関係にある。さらに、
これらの引っ張り歪を受けた量子井戸層17からの室温
でのフォトルミネッセンスのピーク波長は、1580〜
1590nmになる。
【0032】素子に適正なバイアスをかけ駆動し、1.
55μmのレーザ光を活性層15に入射する。このとき
TEモードとTMモードの利得の差がほとんどない出射
光を半導体レーザ型光増幅器から得ることが出来る。
55μmのレーザ光を活性層15に入射する。このとき
TEモードとTMモードの利得の差がほとんどない出射
光を半導体レーザ型光増幅器から得ることが出来る。
【0033】この発明は上述した実施例にのみ限定され
るものではないことは明らかである。例えば、上述の実
施例では、n型InP単結晶基板を用いているが、導電
型をnとpとを入れ換えることにより、p型InP単結
晶基板を用いることができる。
るものではないことは明らかである。例えば、上述の実
施例では、n型InP単結晶基板を用いているが、導電
型をnとpとを入れ換えることにより、p型InP単結
晶基板を用いることができる。
【0034】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
発明による半導体レーザ型光増幅器によれば、量子井戸
層の引っ張り歪量は0.2〜0.3%程度である。この
ため、歪による素子の劣化が起こりにくくなる。
発明による半導体レーザ型光増幅器によれば、量子井戸
層の引っ張り歪量は0.2〜0.3%程度である。この
ため、歪による素子の劣化が起こりにくくなる。
【0035】また、量子井戸層は、LHバンドがHHバ
ンドとエネルギー的に等しいか、または上に位置するよ
うな厚さを有している。その結果、量子井戸層は厚く、
かつ厚さの許容範囲が広くなり、TEモードとTMモー
ドの利得の差を制御しやすくなる。その結果、偏波無依
存特性をもった出射光を半導体レーザ型光増幅器から得
ることが出来る。
ンドとエネルギー的に等しいか、または上に位置するよ
うな厚さを有している。その結果、量子井戸層は厚く、
かつ厚さの許容範囲が広くなり、TEモードとTMモー
ドの利得の差を制御しやすくなる。その結果、偏波無依
存特性をもった出射光を半導体レーザ型光増幅器から得
ることが出来る。
【図1】量子井戸層の厚さとバンドギャップ波長の関係
を示す計算結果である。
を示す計算結果である。
【図2】(A)〜(C)は、実施例である半導体レーザ
型光増幅器を構成する素子を作製するための工程図であ
る。
型光増幅器を構成する素子を作製するための工程図であ
る。
【図3】(A)〜(C)は、実施例である半導体レーザ
型光増幅器を構成する素子を作製するための図2に続く
工程図である。
型光増幅器を構成する素子を作製するための図2に続く
工程図である。
【図4】実施例である半導体レーザ型光増幅器を構成す
る素子を作製するための図3に続く工程図である。
る素子を作製するための図3に続く工程図である。
【図5】活性層の量子井戸構造を拡大して部分的に示す
概略図である。
概略図である。
【図6】実施例である半導体レーザ型光増幅器を構成す
る素子の活性層部分のバンド構造を示す概略図である。
る素子の活性層部分のバンド構造を示す概略図である。
11:n−InP単結晶基板 13:n−InPクラッド層 15:活性層 17:量子井戸層 19:バリア層 21:第1p−InPクラッド層 23:InGaAsP保護層 25:SiO2 ストライプ 27:メサストライプ 29:p−InP電流ブロック層 31:n−InP電流ブロック層 33:第2p−InPクラッド層 35:p−InGaAsコンタクト層
Claims (2)
- 【請求項1】 InP単結晶基板と、該基板上に該基板
と同じ導電型であり、該基板と格子整合した第1InP
クラッド層と、該第1クラッド層上に活性層と、該活性
層上に前記基板と異なる導電型であり、前記基板と格子
整合した第2InPクラッド層とを具える半導体レーザ
型光増幅器において、 前記活性層は、InGaAsPまたはInGaAsのい
ずれか一方により形成される少なくとも1層の量子井戸
層と前記基板に格子整合したInGaAsPバリア層と
で構成されており、 前記量子井戸層は上下を前記バリア層によりはさまれて
おり、 前記バリア層の格子定数に対する、前記量子井戸層の格
子定数と前記バリア層の格子定数との差の比が2/10
00〜3/1000の間の値であること、 前記量子井戸層は軽い正孔のバンドが重い正孔のバンド
とエネルギー的に等しいか、または上に位置するような
厚さを有することを特徴とする半導体レーザ型光増幅
器。 - 【請求項2】 請求項1に記載の半導体レーザ型光増幅
器において、前記量子井戸層の厚さが、15nm〜25
nmであることを特徴とする半導体レーザ型光増幅器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17290894A JPH0837344A (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | 半導体レーザ型光増幅器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17290894A JPH0837344A (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | 半導体レーザ型光増幅器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0837344A true JPH0837344A (ja) | 1996-02-06 |
Family
ID=15950578
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17290894A Pending JPH0837344A (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | 半導体レーザ型光増幅器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0837344A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH118442A (ja) * | 1996-10-07 | 1999-01-12 | Canon Inc | 光半導体デバイス、それを用いた光通信システム及び方法 |
JP2002171027A (ja) * | 2000-12-01 | 2002-06-14 | Fujitsu Ltd | 半導体光増幅器 |
JP2005005468A (ja) * | 2003-06-11 | 2005-01-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体レーザおよびその製造方法 |
JP2007220922A (ja) * | 2006-02-16 | 2007-08-30 | Furukawa Electric Co Ltd:The | フォトニック結晶半導体光増幅器および集積型光半導体素子 |
-
1994
- 1994-07-25 JP JP17290894A patent/JPH0837344A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH118442A (ja) * | 1996-10-07 | 1999-01-12 | Canon Inc | 光半導体デバイス、それを用いた光通信システム及び方法 |
JP2002171027A (ja) * | 2000-12-01 | 2002-06-14 | Fujitsu Ltd | 半導体光増幅器 |
JP2005005468A (ja) * | 2003-06-11 | 2005-01-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体レーザおよびその製造方法 |
JP2007220922A (ja) * | 2006-02-16 | 2007-08-30 | Furukawa Electric Co Ltd:The | フォトニック結晶半導体光増幅器および集積型光半導体素子 |
JP4706970B2 (ja) * | 2006-02-16 | 2011-06-22 | 古河電気工業株式会社 | フォトニック結晶半導体光増幅器および集積型光半導体素子 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20000307 |