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JPH08333173A - 高軟化点等方性ピッチ炭素含有不定形耐火物 - Google Patents

高軟化点等方性ピッチ炭素含有不定形耐火物

Info

Publication number
JPH08333173A
JPH08333173A JP7139635A JP13963595A JPH08333173A JP H08333173 A JPH08333173 A JP H08333173A JP 7139635 A JP7139635 A JP 7139635A JP 13963595 A JP13963595 A JP 13963595A JP H08333173 A JPH08333173 A JP H08333173A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
softening point
refractory
high softening
isotropic pitch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7139635A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihisa Sasaki
俊久 佐々木
Shigeji Mizutori
重司 水取
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Krosaki Harima Corp
Original Assignee
Kurosaki Refractories Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurosaki Refractories Co Ltd, Osaka Gas Co Ltd filed Critical Kurosaki Refractories Co Ltd
Priority to JP7139635A priority Critical patent/JPH08333173A/ja
Publication of JPH08333173A publication Critical patent/JPH08333173A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工性と耐食性を向上した不定形耐火物の提
供。 【構成】 軟化点が200〜350℃で、光学的異方組
織を実質的に含有しない高軟化点等方性ピッチを0〜5
容積%、固定炭素60〜95重量%で粒径が2mm以下
の等方性ピッチを耐火骨材に0.5〜10重量%添加す
ることにより強度向上を図り、また、分散剤を併用した
場合には混練時における流動性が改善され、緻密な組織
を有し、しかも耐食性に富んだ施工体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶融金属あるいはス
ラグに対する耐食性に優れた炭素含有不定形耐火物に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、樋、溶銑鍋、混銑車等の内張
り耐火物として、不定形耐火物、とくにキャスタブル耐
火物が使用されているが、溶融金属あるいはスラグに対
する耐食性、特にスラグと溶銑との界面における耐侵食
性、耐スポーリング性等を向上するために、ピッチ類な
どの炭素源を添加することが行われていた。
【0003】とくに、ピッチの場合には、キャスタブル
耐火物の気孔中に軟化浸透するので耐火物内部への溶融
金属やスラグの浸透を防止し、保護する働きがある。ま
た、ピッチの乾燥あるいは使用中、加熱中の炭化による
カーボンボンドにより、強固な耐火物組織の形成が期待
できる。
【0004】しかし、ピッチそれ自体は、疎水性である
ためにキャスタブル耐火物の炭素源として添加した場合
には、水を添加して混練して施工する際には、キャスタ
ブルの流動性を著しく低下することになる。このため、
混練時に添加水分を大幅に増加して混練せざるを得なく
なり、このキャスタブル耐火物による施工体は、気孔率
が増加して組織が著しく劣化し、緻密な組織が得られな
い。その上、炭素原料の酸化が著しく強度や耐食性が低
下して、本来の炭素原料としての特性が生かされないと
いう問題がある。
【0005】このようなピッチ配合による混練時の流動
性を改善するために、疎水面をなるべく小さくするため
に、造粒したピッチペレットを界面活性剤と併用するこ
とが試みられたが、十分な作業性の改善効果が得られて
いない。
【0006】また、ピッチは高温時に揮発するので、粒
状にして使用すると、施工組織体中に大きな空洞を生じ
て組織を劣化させると共に、組織中に不均一にピッチが
分布することになり耐食性の面から好ましくない。
【0007】このピッチの添加による弊害を除去するた
めに、種々の改善策が提案されている。例えば、特公昭
60−24072号公報には、ピッチを添加しないで耐
火物の気孔率を下げて組織を緻密にすることが開示され
ているが、耐食性の面で十分でない。また、特開平5−
330930号公報には、ピッチを界面活性剤により親
水処理して使用することが開示されているが、施工耐火
物の耐食性が十分でない。さらに、特開昭63−215
573号公報には、黒鉛をピッチで熱間混練し、混練後
破砕して得られたピッチ処理黒鉛を使用することが開示
されているが、破砕時に発生するピッチで覆われていな
い黒鉛が、キャスタブルの流動性が著しく阻害される。
【0008】この他、特開平2−268953号公報や
特開平5−4861号、特公平6−99182号公報に
は、メソフェーズピッチやバルクメソフェーズといった
光学的異方性を多量に有するピッチを選定して耐火物、
特に、れんがへ添加する場合には、カーボンボンドによ
る強度が向上することが開示されている。しかしなが
ら、こうしたメソフェーズピッチやバルクメソフェーズ
をキャスタブル耐火物に適用した場合には、ピッチ以上
に混練時に添加水分を増加する必要がある。このため、
れんがの場合のような強度の向上は見られず、添加水分
の増加により品質はむしろ低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、混練
時に解膠時間を早め、短時間で施工可能な流動性を得る
ことができ、低水分で施工可能な配合物を得ることがで
きる低コストで施工性に優れ、施工体の組織を緻密に
し、施工体の気孔率を下げてスラグへの濡れ性を改善す
ると共に、炭素原料としてのピッチによる耐食性向上効
果を十分に発揮できる不定形耐火物を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、不定形耐火物
に高軟化点等方性ピッチを含有させることにより強度向
上が可能になるという知見に基づいて完成したもので、
耐火骨材に、軟化点が200〜350℃、光学的異方性
組織が5容積%以下、固定炭素量が60〜95重量%
で、且つ、粒径が2mm以下の高軟化性等方性ピッチを
0.5〜10重量%含有せしめたことを特徴とする。
【0011】ピッチは、その軟かさ、硬さの程度を軟化
点で示して、通常3種類に分類され、約700℃以下は
軟ピッチ、70〜900℃前後のものは中ピッチ、90
0℃以上のものは硬ピッチと呼ばれている。
【0012】この中で軟ピッチおよび中ピッチは低軟化
点であり、その上、揮発分が多いため、流し込み材など
の不定形耐火物に使用するとその揮発分のために施工体
の組織を劣化させると共に、残留するカーボンが少ない
ため耐食性の向上が期待できない。
【0013】このため、通常、硬ピッチや硬ピッチを加
熱処理して得られるメソフェーズピッチが、不定形耐火
物への炭素原料として使用されている。
【0014】硬ピッチは、偏光顕微鏡で観察すると光学
的に等方性であるが、メソフェーズピッチは、光学的に
異方性な液晶(メソフェーズ)を多量に含んでおり、晶
質化ピッチとも呼ばれ、硬ピッチに比べて揮発分が低い
点において耐火物の原料として有利である。しかし、硬
ピッチやメソフェーズピッチを不定形耐火物に適用する
と、高軟化点等方性ピッチに比べて混練時に著しく作業
性が悪くなる。
【0015】本発明でいう高軟化点等方性ピッチとは、
軟化点が高く揮発分の少ない点において、メソフェーズ
ピッチと類似しているものの、異方性組織をほとんど含
んでいない。この点において、分類上は硬ピッチである
ものの、硬ピッチの特殊処理を行って得られるものであ
り、通常このようなピッチを「高軟化点の等方性ピッ
チ」(以下高軟化点等方性ピッチと言う)といい、炭素
織維の原料として広く一般に知られているピッチであ
る。
【0016】高軟化点等方性ピッチは、石炭系重質油又
はピッチ、あるいは石油系重油又はピッチに、酸素又は
オゾンを含有する気体の吹き込み下で300〜400℃
で熱処理を行うことによって得られる。性状としては、
軟化点が200〜350℃であり、光学的異方性組織を
含まず、キノリン不溶分が0〜60重量%、トルエン不
溶分が20〜80重量%、固定炭素が60〜95重量%
である。
【0017】近年、この高軟化点等方性ピッチは、多量
に使用されており、比較的低コストで得られる。
【0018】炭素繊維の原料ピッチとしては、高軟化点
等方性ピッチの他に、異方性ピッチが挙げられるが、性
状調整を行う上で大幅なコスト高になるので耐火物原料
としては不適である。
【0019】表1に、高軟化点等方性ピッチと汎用の硬
ピッチ、メソフェーズピッチの一般性状を示す。
【0020】
【表1】 上記測定法中軟化点の測定は、Mettler法により
求め、溶剤分析(QI、TI)と固定炭素の測定は、そ
れぞれJIS K2425で行なった。また脂肪族炭素
量は、日本電子社製GX−270スペクトロメーターを
用い溶融状態での13C−NMRスペクトルの測定によ
り求め、光学的異方性組織はLEITZ社の偏光顕微鏡
で観察し、面積比率で求めた後、体積換算を行なった。
【0021】高軟化点等方性ピッチは、軟化点が200
〜350℃と高く、固定炭素が60〜95重量%と多い
にもかかわらず、ピッチ中に含まれるキノリン不溶成分
(以後α成分と呼ぶ)の性状に硬ピッチやメソフェーズ
ピッチとの大きな違いがある。通常の硬ピッチやメソフ
ェーズピッチのα成分は、熱を加えても軟化溶融しない
固体の成分、例えばフリーカーボンやコークス等を含ん
でおり、これらの成分は一般的に非焼結成分とよばれて
いる。
【0022】これに対し、本発明で使用される高軟化点
等方性ピッチの場合、ピッチ中のα成分には固体の成分
を含んでおらず熱を加えれば容易に軟化溶融し、焼結成
分としての作用がある。つまり、このようなα成分の性
状の違いにより、本発明の等方性ピッチは、熱を加える
ことにより、ピッチ中の全成分が容易に軟化溶融するの
が特徴である。
【0023】高軟化点等方性ピッチが汎用の硬ピッチと
成分や特性について異なるのは次の理由による。
【0024】高軟化点等方性ピッチは、その製造工程に
おけるピッチを精製する過程においてコールタール中に
含まれている固体成分、即ちキノリンに不溶な非焼結成
分を取り除き、更に軽質成分を蒸留でとり除いた後、熱
処理時に酸素、オゾンを含む気体を吹き込み、吹き込ん
だ酸素、オゾンの作用により、架橋重合されたピッチで
ある。この架橋重合時に、ピッチ中の脂肪族炭素成分、
すなわちメチル基、ナフテン基及び架橋メチレン等が、
酸素と反応し系外にとり除かれるので、ピッチ中の脂肪
族炭素が、通常の硬ピッチに比べて少ないと言える。
【0025】こうした高軟化点等方性ピッチを耐火物に
添加した場合、高軟化点等方性ピッチはカーボン原料と
して耐食性の向上の他に、硬ピッチやメソフェーズピッ
チと比べて、全ての成分が軟化溶融するため、耐火骨材
の表面を均一に覆うことができ、かつ固定炭素が高く、
キノリン不溶成分であるα成分と、キノリンに可溶でト
ルエンに不溶であるβ成分がそれぞれどちらも焼結成分
として作用する。このために、カーボンボンドを形成し
やすく、焼結後の耐火物は、強度の高いものが得られ
る。
【0026】また、メソフェーズを有するピッチに比べ
ると、高軟化点等方性ピッチは酸素又はオゾンを含むガ
スを吹き込みながらピッチを製造するために、ピッチ中
の酸素の影響を受け易い成分がピッチの製造時に減少す
るから、酸化反応に対する反応性の低い性状となる。し
たがって、この高軟化点等方性ピッチを不定形耐火物の
流し込み補修材として適用すると、高温度での耐酸化性
に優れている。
【0027】また、高軟化点等方性ピッチとメソフェー
ズピッチとでは、加熱することにより、炭素質から黒鉛
質への移行時に次のような違いがある。
【0028】メソフェーズピッチは加熱処理することに
より、芳香族平面の成長と平面積層の二次元的規則性の
発達により黒鉛構造に近づく(易黒鉛化炭素と呼ばれ
る)。一方、高軟化点等方性ピッチは、ピッチの架橋構
造が加熱処理による芳香族平面の成長と積層を妨げ、ガ
ラス状炭素の構造に近づく(難黒鉛化炭素と呼ばれ
る)。
【0029】すなわち、高軟化点等方性ピッチは加熱す
ると固相から一旦液相を経由して炭化する点においては
違いはないものの、分子が架橋結合であるため、難黒鉛
化炭素であることが他のピッチ類との大きな違いである
といえる。
【0030】以上のように、通常の光学的異方性組織を
有するメソフェーズピッチでは、炭化すれば黒鉛に近い
構造であるため、耐摩耗性に劣るが、本発明において使
用する高軟化点等方性ピッチは、光学的に等方性である
ため炭化すれば、ガラス状炭素の構造となるので、耐摩
耗性に優れた耐火物が得られる。
【0031】高軟化点等方性ピッチが、通常の硬ピッチ
やメソフェーズピッチに比べて水酸基、カルボン基、エ
ーテル基等が多いために親水性にすぐれており、同じ粒
度の硬ピッチやメソフェーズピッチと比較すると明らか
に流動性が改善される。
【0032】使用される分散剤の量は、慣用の使用範囲
内であり、例えば耐火骨材100重量部当たり0.00
5〜1重量%である。0.005重量%より少ないと効
果が充分でなく、1重量%を越えても改善されず、工業
的に意味がない。
【0033】高軟化点等方性ピッチは、表1に示したよ
うに光学的異方性組織が0容積%であるが、本発明の場
合これに限らず、光学的異方性組織が5容積以下であれ
ば問題なく使用することができる。但し、光学的異方性
組織が5容積%を越えると硬ピッチやメソフェーズピッ
チ同様に作業性が悪くなる。
【0034】また、高軟化点等方性ピッチを2mm以下
の粒径にするためには、製造時に造粒することも、或い
は粗粒の高軟化点等方性ピッチをミル、クラッシャーや
ブレーカー等の粉砕機を使用して粒度調整を行っても良
い。ここで2mm以下の粒径に限定したのは、2mm以
上の場合、高軟化点等方性ピッチ添加による減水効果が
十分でなく混練時における解膠時間が長くなり、作業性
が低下する。さらに耐火物成形体のマトリックスに高軟
化点等方性ピッチが均一に分散されず、耐火物を高温で
長期に使用するとピッチが酸化されてマトリックス内に
比較的大きな空洞になり、組織劣化して耐食性が下が
る。また、添加量を0.5〜10重量%に限定したの
は、0.5重量%未満の場合、添加による効果が十分で
なく、10重量%を越えると配合全体の粒度構成が悪く
なり、作業性が著しく低下すると共にトータル揮発分が
多くなって、耐爆裂性が下がるためである。従って、添
加量は0.5〜10重量%がよく、作業性を考慮すると
好ましくは0.5〜5重量%である。
【0035】本発明に使用する耐火骨材としては、酸化
物を含む原料として珪石、珪砂、電融シリカ、含水無定
形シリカ、無水無定形シリカ等のシリカ質、ムライト、
ボーキサイト、バン土頁岩、シリマナイト、カイヤナイ
ト、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ等のア
ルミナ質、ロー石、シャモット、陶石、粘土、カオリ
ン、べントナイトなどのアルミナ−シリカ質、ジルコ
ン、ジルコニア等のジルコニア質、電融マグネシア、焼
結マグネシア、アルミナ−マグネシアスピネル、酸化カ
ルシウム等の塩基性質、スピネル、酸化クロム、クロム
鉄鉱等のクロム質等が使用できる。炭化物としては炭化
珪素、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム等の炭化
物、窒化物としては窒化ジルコニウム、窒化珪素、窒化
珪素鉄、窒化硼素、窒化アルミニウム等が使用できる。
カーボンを含む原料としては、コークス、天然黒鉛、人
造黒鉛、仮焼無煙炭、硬ピッチ、メソフェーズピッチ等
のピッチ粉、カーボンれんが及び電極屑などの炭素質が
使用できる。さらには、炭化硼素等の硼化物、珪素、フ
ェロシリコン等の珪化物等の全ての耐火物原料からなる
群より選択し、必要に応じて1種2種以上を併用するこ
とができる。
【0036】本発明の流し込み材には、通常の流し込み
材に使用する分散剤を使用することができる。分散剤を
併用した場合には、低水分での鋳込みを可能にし、不定
形耐火物への炭素原料としての特性を十分に発揮でき
る。分散剤としては、例えばアルカリ金属リン酸塩、ア
ルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属フミン酸塩、ポ
リカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、芳香族スルホ
ン酸塩等、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属炭酸塩、
リグニンスルホン酸塩、無水マレイン−イソブチレン共
重合物のナトリウム塩及びこれらのアンモニウム塩、更
に、これらと同様な効果が得られる物質から1種2種以
上を選択して使用できる。
【0037】但し、炭素質原料を併用した場合には、前
述のように、キャスタブル耐火物の流動性が著しく低下
するため、使用量や使用方法を注意しなければならな
い。
【0038】本発明の不定形耐火物は、さらにこの種の
流し込み施工用耐火物の添加物として各種金属ファイバ
ー類、有機繊維、無機繊維、金属粉、ガラス等の酸化防
止剤、強度付与剤や通常モルタルの添加物として知られ
ている増粘剤や凝結調整剤、消泡剤等を添加しても良
い。
【0039】本発明に適用する不定形耐火物は、以上の
ような通常用いられている耐火骨材を使用し、粒度調整
を行って、これに結合剤を添加したものを基本とし、必
要により分散剤、硬化調整剤の中のいずれか1種以上を
添加してなる通常のキャスタブル耐火物に適用できる。
【0040】また、混練時に使用される液体は、水の他
に有機溶媒、無機溶媒、有機金属溶媒を単独、組合わせ
て使用することができる。本発明の場合、液体が3〜3
0重量%、特に3〜10重量%のキャスタブル耐火物に
適している。勿論、液体が0.5〜3重量%程度のいわ
ゆるセミウェットタイプの不定形耐火物にも効果があ
る。すなわち、本発明の不定形耐火物はキャスタブル耐
火物に限定されず焼き付け材、吹き付け材、スタンプ
材、パッチング材、圧入材にも同様に効果がある。更
に、本発明の不定形耐火物は、高炉、樋、溶銑鍋、混銑
車等の内張り耐火材に限らず、溶鋼取鍋、タンディッシ
ュ、真空脱ガス炉、気体吹込みランス、電気炉、転炉等
の内張り、若しくは補修用耐火物として適用できる。
【0041】
【作用】ピッチに含まれている非焼結物質やその他の成
分を除去した高軟化点等方性ピッチを2mm以下の粒径
で0.5〜10重量部添加し、これに、分散剤を併用す
ると、キャスタブルの流動性を低下させず、むしろ低水
分による鋳込みが可能になり、このことが高軟化点等方
性ピッチの特性を十分に発揮させることができる。
【0042】
【実施例】表2に高炉用大樋流込み材の配合に従来の炭
素分を添加しない比較例1と、硬ピッチ、メソフェーズ
ピッチ、ピッチコート黒鉛、親水処理ピッチを添加した
比較例2〜7と表1に示す性状の本発明品である高軟化
点等方性ピッチを添加した実施例1〜3の配合並びに添
加水分と流動性及び品質結果を示す。なお、表中+印は
外掛重量%を示す。
【0043】
【表2】 これらの炭素分は、粒径を全て2.0mm以下にすると
共に、添加量を3重量%に統一した。また、ピッチコー
ト黒鉛は、中ピッチを使用して黒鉛純度が95〜98%
の鱗状黒鉛に対し、5重量%と15重量%としてそれぞ
れ熱間混練し、破砕したものを使用している。親水処理
ピッチは、硬ピッチを陰イオン系、非イオン系の界面活
性剤を使用して、事前に親水処理したものをそれぞれ親
水処理ピッチa及びbとして使用している。高軟化点等
方性ピッチは、表1に示すA、B、Cの3種類の成分に
ついて使用した。流動性は、水を添加した混練物のフロ
ー値をJIS R2512に準じて測定した。この値が
130〜140mmであれば、JIS R2553で示
される標準軟度状態であり、充分鋳込可能な状態である
ことを示す。
【0044】乾燥後の品質サンプルは混練後、40×4
0×160mmの大きさに鋳込みを行なって、養生、脱
枠後、110℃×24hrsの乾燥をして作成した。焼
成サンプルは、乾燥後コークスブリーズを詰めた匣にて
1500℃×3hrsの還元焼成をして作成した。ここ
で、添加水分と流動性が施工時の作業性の目安となり、
見掛気孔率が施工体の緻密さの目安になる。
【0045】また、耐酸化性は50φ×50mmのサン
プルを1000℃で3時間焼成後に中央を切断し、脱炭
した層の厚さ(mm)を測定した。この値が小さいほど
耐酸化性が良いことを示す。比較例1は、中心部まで酸
化しているため、全酸化とした。
【0046】また、比較例1を100とし、耐食性指数
*1は耐溶銑性について、耐食性指数*2は耐スラグ性
についての耐食性指数を示している。
【0047】表2の結果より、高軟化点等方性ピッチを
添加すると、同一流動性における添加水分が無添加の場
合の同等以下となり、見掛気孔率は低下して組織が緻密
になり、耐酸化性及び耐食性が向上している。更に、他
の炭素と比較すると乾燥及び焼成強度が向上しているこ
とが確認された。
【0048】表3には、高炉用大樋流込み材の配合に本
発明に用いる高軟化点等方性ピッチを3〜2.1mmの
粒径に調整した比較例8と2mm以下の粒径で規定外で
添加した比較例9、10、規定内で添加した実施例4〜
6の配合と添加水分と品質を示す。
【0049】
【表3】 表3の結果より、比較例8は高軟化点等方性ピッチによ
る減水効果が十分でなく、また混練時における解膠時間
が長くなり、配合混練物の流動性が低下した。更に、品
質も表2の比較例2に示す硬ピッチと同程度の品質にな
り、耐食性も比較例2と同等で向上していない。
【0050】比較例9は、高軟化点等方性ピッチを使用
したが添加量が少ないため、炭素原料としての耐食性向
上効果を得られなかった。逆に比較例10は、添加量が
過剰で、配合全体の粒度構成が悪くなり、作業性が大幅
に低下し、添加水分を過剰にして混練せざるを得なくな
り、鋳込みサンプルの養生強度が低下して脱枠不能の状
態だった。一方、実施例4、5は、実施例1の品質と同
程度の品質であった。表4には、光学的異方性組織が
1、5、6、10容積%、残りが等方性組織となるよう
にピッチの成分調整を事前に行うと共に、2mm以下の
粒径にして、これらをそれぞれピッチD、ピッチE、ピ
ッチF、ピッチGとして高炉用大樋材の配合に添加した
場合の配合と作業性比較を示す。
【0051】
【表4】 表4の結果より、光学的異方性組織が1、5容積%であ
るピッチD、ピッチEを添加した実施例6、7は、高軟
化点等方性ピッチを使用した実施例1の結果同様に減水
効果が認められたが、光学的異方性組織が増加したピッ
チF、ピッチGを添加した比較例11、12は逆に作業
性が低下した。
【0052】表5に示す実施例8〜10は、実施例1の
配合の分散剤の添加量を外掛けで0.005、0.5、
1.0重量%とした。結果、混練後の流動性は比較例1
の高軟化点等方性ピッチを添加していない配合に比べて
いずれも流動性が改善された。
【0053】
【表5】 これに対し、比較例13〜15は分散剤の添加量が0、
0.004、1.1重量%としたところ、0及び0.0
04重量%の場合は、分散剤の添加量が少ないため充分
な効果を得られず、1.1重量%の場合は、1.0重量
%添加した時に比べてむしろ流動性が低下した。
【0054】次に、表6にはマグネシアを骨材として粒
度調整を行い、本発明における高軟化点等方性ピッチと
硬ピッチとの作業性比較を示す。この結果より、高軟化
点等方性ピッチを使用した実施例11は、大樋材の配合
を使用した表2の結果同様に減水効果が認められた。
【0055】また、硬ピッチやメソフェーズピッチを少
量だけ併用した実施例12、13も実施例11同様に減
水効果が認められたが、多量に硬ピッチを併用した比較
例18は流動性が下がった。
【0056】
【表6】 表7には、吹付材用の配合に硬ピッチを添加した比較例
19及び20と本発明に用いる高軟化点等方性ピッチを
添加した実施例14及び15の配合、添加水分、品質、
付着率を示す。付着率は、1300℃に加熱された0.
5m2 のマグネシア・クロム質煉瓦の吹付壁面に乾式ガ
ンを用いて吹付け、この時の付着率をwt%で示した。
【0057】
【表7】 これらの結果、吹付材の場合には特性上、水を過剰に添
加して使用されるため、高軟化点等方性ピッチ使用によ
る減水効果は、実施例14については確認は困難である
が、1000℃の焼成強度が向上していた。更に、吹き
付け施工時における、はね返り損失や流れ落ちが少なく
なり、付着率は硬ピッチに比べて大幅に向上した。
【0058】また、実施例15についても同様に高軟化
点等方性ピッチの使用により、カーボンボンドによる1
000℃の焼成強度が向上すると共に、更に吹付け施工
時におけるはね返り損失や流れ落ちが少なくなり、付着
率は硬ピッチに比べて大幅に向上した。
【0059】なお、実施例及び比較例における物性値
は、次の方法で測定した。
【0060】 かさ比重、気孔率・・・・JIS R2205−74 圧縮強さ・・・・・・・・JIS R2206−77 曲げ強さ・・・・・・・・JIS R2213−78 本発明の実施例1及び2を高炉出銑樋用メタルゾーン材
として使用したところ、最大溶損速度は、通銑量100
0t当たり5.5〜6.0mmとなり、比較例1及び2
の6.5〜7.0mmに比べて耐食性が大幅に向上し
た。これによる樋材の通銑量は、約4万tから約4万5
千tに向上したため、耐火物の耐用が1割以上向上し、
本発明の有効性が確認された。
【0061】
【発明の効果】本発明の不定形耐火物は、キャスタブル
耐火物等の作業性を改善するだけでなく、ピッチの熱間
時の結合を促進し、耐火物成形体のカーボンボンドによ
る強度が向上すると共に、耐火物に添加した時の炭素原
料としての耐火物の耐食性、耐スラグ性が向上する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火骨材に、軟化点が200〜350
    ℃、光学的異方性組織が5容積%以下、固定炭素量が6
    0〜95重量%で、且つ、粒径が2mm以下の高軟化性
    等方性ピッチを0.5〜10重量%含有した高軟化点等
    方性ピッチ炭素含有不定形耐火物。
JP7139635A 1995-06-06 1995-06-06 高軟化点等方性ピッチ炭素含有不定形耐火物 Pending JPH08333173A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114426852A (zh) * 2022-01-05 2022-05-03 中国石油化工股份有限公司 一种高软化点沥青及制备方法和应用
CN115851300A (zh) * 2022-12-05 2023-03-28 青岛农业大学 一种可纺中间相沥青的制备方法及其应用

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