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JPH08302351A - 液晶組成物 - Google Patents

液晶組成物

Info

Publication number
JPH08302351A
JPH08302351A JP7129757A JP12975795A JPH08302351A JP H08302351 A JPH08302351 A JP H08302351A JP 7129757 A JP7129757 A JP 7129757A JP 12975795 A JP12975795 A JP 12975795A JP H08302351 A JPH08302351 A JP H08302351A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
state
crystal composition
electric field
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7129757A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Hasegawa
直樹 長谷川
Masaya Kawakado
昌弥 川角
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
Akane Okada
茜 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP7129757A priority Critical patent/JPH08302351A/ja
Publication of JPH08302351A publication Critical patent/JPH08302351A/ja
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  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メモリー性と優れた電場応答性を併せ持つ電
界効果型の光散乱型調光材料であって、メモリー状態解
除のための特別の手段を付加する必要のない液晶組成物
を提供すること。 【構成】 2以上のメソゲン基が鎖状部を介して連結さ
れたポリメソゲン基構造の液晶分子からなり、かつ誘電
異方性が正であるネマチック相の液晶と、この液晶中
に、液晶のドメインを有効に形成させる程度の密度に分
散した、液晶との親和性を示す偏平形状の粒子と、電気
泳動成分と、を組成分として含む液晶組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電場、温度場等の外場
の制御によって各種のデバイスとして利用するに有用な
機能上の変化を示す液晶組成物に関する。この液晶組成
物は、少なくとも、光バルブ、調光ガラス、記録媒体、
光シャッター、電子掲示板等に利用できる。そしてこれ
らのデバイスにおいて、外場を除去してもメモリーが維
持されると言うメモリー性が要求される場合に特に好適
に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、いわゆるツイストネマチック型液
晶素子や強誘電性液晶素子と呼ばれる素子が提供されて
いる。しかし、これらの素子においては偏光板の使用が
必須であり、光の利用効率が高くないために明るい表示
をし難いとか、視野角が広くないとかの欠点が指摘され
ている。
【0003】そこで、上記の欠点を解消するため、多数
の液晶ドメインを形成すると共に各ドメインにおける液
晶分子の配向をランダムにさせた状態(この状態を、本
明細書では、以下「マルチドメイン状態」と称する。)
を作り出して光散乱により遮光状態を実現する一方で、
電場を印加して多数のドメインの液晶配向方向を揃える
こと(即ち、マルチドメイン状態の解消)により光を散
乱しない透光状態を実現する、いわゆる電界効果型の光
散乱型調光材料の開発が試みられ、その調光・表示素子
としての応用が検討されている。
【0004】このような光散乱型調光材料として、例え
ば、特公表昭63−501512号公報において「液晶
光変調材料」として開示され、あるいは特公平3−52
843号公報において「液晶構成体と液晶光学装置」と
して開示された、高分子分散型液晶(PDLC)があ
る。これらの高分子分散型液晶は、透明な高分子材料の
基質中に分散状態で設けた多数の小空胞に液晶を充填し
てそれぞれドメインを構成させたもの、即ち、ポリマー
マトリックス中に液晶のドメインを多数分散させたもの
である(第1の従来技術)。
【0005】一方、メモリー性のある光散乱型調光材料
として低分子液晶−高分子液晶複合体が提案されてい
る。この例として、T. Kajiyama et al., Chemistry Le
tters,p817-820,1989 に開示されたものが挙げられる。
この複合体の場合、高周波の交流電場ON時には透明に
なり、低周波の交流電場ON時には不透明に戻って、電
場除去後もそれぞれの状態で安定に維持される、という
メモリー性がある(第2の従来技術)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記第1の従
来技術は、電場ON時に透明、電場OFF時には不透明
となるため、透明性を維持するためには所定の電場を加
え続ける必要がある。即ち、外場を除去した際のメモリ
ー性がない。その理由は、液晶分子の粘性が低いため高
分子マトリクスとの相互作用により初期のマルチドメイ
ン状態に戻ってしまうことによる。この特性は、記録媒
体や電子掲示板のような、一定の情報を長期にわたり記
録表示する目的には適さない。
【0007】一方、前記第2の従来技術は、メモリー性
を獲得するためにスメクチック相の液晶を用いている。
従って必然的に系の粘性が非常に高くなり、通常の液晶
系に比べて電場応答速度が極端に低い、という欠点があ
った。このような欠点は、電界効果型の光散乱型調光材
料としては、致命的なものである。
【0008】更に、本件出願人は、特願平6−1022
08号として、電場応答性でかつ誘電異方性が正の液晶
分子を主成分とする液晶と、この液晶中に、液晶のドメ
インを有効に形成させる程度の密度に分散した、液晶と
の親和性を示す偏平形状の粒子と、を組成分として含む
液晶組成物を提案している(第3の従来技術)。
【0009】この、第3の従来技術は、優れた電場応答
性と安定なメモリー性とを有している。しかしながら、
メモリー状態を解除するためには、温度を上げるか、あ
るいは剪断力を加えなければならない、という制約があ
り、調光材料を利用したデバイスを可及的に簡素化した
い、という観点からは改良の余地を残していた。
【0010】(発明の目的)本願発明は、電界効果型の
光散乱型調光材料であってメモリー性と優れた電場応答
性を持ち、かつメモリー状態の解除のための特別の手段
を付加する必要のない液晶組成物を提供することを目的
とする。
【0011】(着眼点)本願発明者は、前記第2の従来
技術における、高分子液晶と低分子液晶からなるスメク
チックタイプの液晶に代えてネマチック液晶を用いるこ
とで電場応答速度を改良し、併せて、メモリー性につい
ては前記第3の従来技術で用いた偏平形状の粒子を有効
に利用し、かつ、イオン成分等の電気泳動を利用してメ
モリー状態を解除できないか、と考えた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(本願第1発明の構成)上記課題を解決するための本願
第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、2以上の
メソゲン基が鎖状部を介して連結されたポリメソゲン基
構造の液晶分子からなり、かつ誘電異方性が正であるネ
マチック相の液晶と、この液晶中に、液晶のドメインを
有効に形成させる程度の密度に分散した、液晶との親和
性を有する偏平形状の粒子と、電気泳動成分と、を組成
分として含む液晶組成物である。
【0013】(本願第2発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成
は、上記第1発明の液晶組成物に対し、更に、該液晶組
成物の粘性を有効に低減させ得る程度の低分子量の液晶
分子からなる低分子液晶を含ませ、かつ、液晶全体とし
ての誘電異方性が正で、ネマチック相を示す液晶組成物
である。
【0014】(本願第3発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成
は、上記第1発明又は第2発明において、偏平形状の粒
子が有機化された層状粘土鉱物である液晶組成物であ
る。
【0015】
【作用】
(第1発明の作用)第1発明の作用を図1及び図2
(a)〜図2(e)に基づいて説明する。なお、図1
は、第1発明の液晶組成物を、両面に透明電極を備えた
透明材料製の板状セルに封入し、板状セル中の液晶組成
物に対して高周波の電場と、低周波または直流の電場と
を所定のプログラムに従って印加、解除した際の液晶組
成物の光透過量の変化を示している。図2(a)〜図2
(e)は、図1に示された光透過量の変化に対応する液
晶組成物の状態を推定したものである。なお、液晶組成
物の温度は、液晶組成物がネマチック相の液晶状態に維
持される温度の範囲に保たれている。また、偏平形状の
粒子は液晶との親和性を有するので、液晶中で常に良好
に分散している。更に、以下の作用説明中、液晶分子と
偏平形状の粒子の挙動の説明については、計測技術によ
って確認したものではなく、現時点での推定に基づくも
のである。
【0016】まず、板状セル中に液晶組成物を充填した
時、電圧非印加の状態において、図2(a)に示すよう
に、偏平形状の粒子1が均一に分散し、その結果、個々
の偏平形状の粒子1により周囲を区画されたルーズなセ
ル構造2が液晶組成物中に多数形成される。そして個々
のセル構造2の内部においてポリメソゲン基構造を有す
る多数の液晶分子3のメソゲン基の配向はドメイン毎に
ランダムであるので、前記のマルチドメイン状態が形成
される。従ってこの時、液晶組成物は図1の状態aで示
す光透過量の小さい光散乱状態になる。
【0017】次に、板状セルに高周波の電場(例えば、
周波数1Hz以上の交流、好ましくは10Hz以上の交
流)を印加すると、図2(b)に示すように、誘電異方
性が正であるポリメソゲン基構造の各液晶分子3のメソ
ゲン基が電場の印加方向に沿って、即ち板状セルの平面
に対して垂直方向へ配向する。この状態を液晶分子のレ
ベルまで拡大し、模式化して示したものが図3(a)で
ある。図3(a)において、液晶分子3の多数のメソゲ
ン基4が電場の印加方向に沿って配向している様子が示
されている。
【0018】かかるメソゲン基4の配向によりマルチド
メイン状態が解消され、液晶組成物は図1の状態bで示
す非常に光透過量の大きい光透過状態になる。図2
(a)から図2(b)への変化は極めて迅速であり、一
般的に、数十ミリ秒程度の応答時間であるため、応答性
が優れていると言える。この優れた応答性には、本発明
の液晶がスメクチック相ではなくネマチック相のもので
あることが寄与している。
【0019】なお、この際、偏平形状の粒子1も、自ら
の電場応答性又はメソゲン基4の配向力により同じ方向
へ配向することが考えられるが、その分散状態には変化
がないために、前記のルーズなセル構造2が基本的には
維持されていると考えることができる。
【0020】そしてここで、上記の高周波電場の印加を
解除すると、図1の状態cで示すように、液晶組成物の
光透過量は、状態bに比較するとやや低減するが、状態
aに比較すれば依然として非常に光透過量の大きい光透
過状態を保ち、かつ、この状態を維持する。即ち、光透
過状態についてメモリー性を備えている。
【0021】このメモリー性は、次のようなメカニズム
に基づくものと推定している。即ち、高周波電場の印加
を解除しても、ルーズなセル構造2が基本的には維持さ
れるため、各セル構造2の内部の液晶分子3は偏平形状
の粒子1によってブラウン運動を制約され、液晶分子3
のメソゲン基4も若干の配向のゆらぎを生じつつ図2
(b)と同様の配向をほぼ維持する。従って液晶組成物
は若干の光透過量の低下を示しつつメモリー性を示すの
である。
【0022】特に、偏平形状の粒子1が、例えば有機化
された粘土鉱物のように、液晶との親和性を持たせるた
めの有機化処理を施したものであった場合、偏平形状の
粒子1の表面に付着した有機分子が液晶分子1あるいは
そのメソゲン基に絡まるようにして、メソゲン基の配向
の維持に特別の役割を果たすらしく推定される。従って
このような場合における図1の状態bから状態cへの光
透過量の低下度合いは特に軽微である。
【0023】ついで、このメモリー維持の状態cにある
液晶組成物に、低周波電場(例えば周波数1Hz以下の
交流、好ましくは0.1Hz以下の交流)または直流電
場を印加すると、液晶組成物は図1の状態dで示す光透
過量の小さい光散乱状態になる。この変化に要する時間
は、一般的に数十〜数百ミリ秒程度であり、やはり応答
性が優れていると言える。この優れた応答性には、本発
明の液晶がスメクチック相ではなくネマチック相のもの
であることが寄与している。状態dにおける光透過量は
前記状態aにおける光透過量とほぼ同等である。
【0024】この光透過量の変化については次のように
考えられる。即ち、図3(b)で示すように、低周波電
場または直流電場の印加により、液晶組成物中の電気泳
動成分5(例えばイオン成分)が液晶組成物中を電場の
印加方向に沿って泳動し、ポリメソゲン基構造の液晶分
子3の鎖状部6に衝突あるいは接触する。このため液晶
分子3全体にランダムな動揺あるいは運動を生じて、メ
ソゲン基4の配向が乱れる。このことは、図2(d)に
示すように、液晶分子3(メソゲン基4)の配向がラン
ダムになることを意味し、光散乱状態、即ちマルチドメ
イン状態に戻るのである。
【0025】そして、印加電圧を解除しても、液晶分子
3(及びメソゲン基4)は偏平形状の粒子1によってブ
ラウン運動を制約されてマルチドメイン状態のランダム
な配向を維持し、かつ、この状態を積極的に解消するよ
うな原因は存在しないから、図1の状態e及び図2
(e)で示すように、この光散乱状態は維持される。即
ち、本発明の液晶組成物は、光散乱状態についてもメモ
リー性を備えている。
【0026】本願発明者は、かつては、偏平形状の粒子
1の配向が液晶組成物におけるマルチドメイン状態の形
成、維持に決定的な役割を果たしている、と考えてい
た。しかし、現在の理解によると、マルチドメイン状態
の形成、維持に決定的な役割を果たすものは、偏平形状
の粒子1がランダムに配向していることではなく、むし
ろ、偏平形状の粒子1の均一に分散していることである
ように思われる。即ち、図2(e)における偏平形状の
粒子1の状態は、図2(a)における偏平形状の粒子1
の状態に比較して、配向している点で相違するが、均一
に分散している点では共通している。そしてこの共通点
によって、図2(e)では図2(a)とほぼ同様に、マ
ルチドメイン状態を形成したり解消したりするための基
本条件であるルーズなセル構造2が構成されているらし
く考えられる。
【0027】かかるメカニズムの認識の進展は、言うま
でもなく、例えば本件出願人の出願に係る特願平6−1
02208号の発明の有効性を否定することとはならな
い。
【0028】なお、図2(e)の状態の液晶組成物に再
度高周波の電場を印加すれば、図2(b)の光透過状態
へ迅速に移行することは言うまでもない。
【0029】こうして、電場のコントロールのみで、メ
モリー性と優れた電場応答性とを伴って、光透過状態と
光散乱状態とを任意に繰り返すことができるのである。
【0030】(第2発明の作用)第2発明においては、
液晶組成物の粘性を有効に低減させ得る程度の低分子量
の液晶分子からなる低分子液晶を含ませ、かつ、液晶全
体として誘電異方性が正で、ネマチック相を示すので、
光散乱状態から光透過状態への、または光透過状態から
光散乱状態への移行の際の電場応答性が一層改良され
る。
【0031】なお、本発明において、低分子液晶は、ポ
リメソゲン基構造の液晶分子におけるメソゲン基と同様
の挙動を示す。即ち、図3(a)及び図3(b)と対応
させて示した図4(a)及び図4(b)で示すように、
高周波の電場を印加した時は、メソゲン基4と同様に低
分子液晶7も電場の印加方向へ配向し、低周波又は直流
の電場を印加した時は、電気泳動成分5の作用により、
メソゲン基4と同様に低分子液晶7もランダムな方向へ
配向する。
【0032】その他の作用は第1発明における場合と同
様である。
【0033】(第3発明の作用)第3発明では、液晶組
成物に含まれる偏平形状の粒子が有機化された層状粘土
鉱物である。有機化された層状粘土鉱物は液晶との親和
性を示し、また電場応答性を示す。更に、層状粘土鉱物
は、有機化されることにより結晶層単位への分離が良好
であり、アスペクト比の大きな粒子となる。以上のこと
から、有機化された層状粘土鉱物は、液晶のドメインを
区画するためのセル構造の構成材料として最適なものの
一つである。従って第3発明では、前記した偏平形状の
粒子の種々の作用が典型的かつ効率的に発現される。
【0034】また、前記のように、モンモリロナイトに
代表される層状粘土鉱物は、界面を通してのみ液晶分子
と相互作用し、液晶の内部粘性にほとんど影響を与えな
いため、偏平形状の粒子が有機化された層状粘土鉱物で
ある場合には、電場に対する応答速度を液晶単独のもの
と同等レベルに保つことが可能となる。
【0035】更に、前記のように、粘土鉱物表面に付着
した有機分子が液晶分子に絡まるようにして、液晶分子
の配向の維持に特別の役割を果たすと考えられるため、
光散乱状態および光透過状態についてのメモリー性が特
に優れる。
【0036】その他の作用は第1発明又は第2発明にお
ける場合と同様である。
【0037】
【発明の効果】
(第1発明の効果)第1発明の液晶組成物は、メモリー
性と優れた電場応答性とを併せ持ち、かつメモリー状態
の解除のために温度制御手段や剪断力付与手段等の特別
の手段を必要としない光散乱型調光材料を提供する。
【0038】(第2発明の効果)第2発明の液晶組成物
は、第1発明の効果に加え、電場応答性を更に改良する
ことができる。
【0039】(第3発明の効果)第3発明の液晶組成物
は、第1発明または第2発明の効果に加え、偏平形状の
粒子の種々の作用が典型的かつ効率的に発現され、電場
に対する応答速度を液晶単独のものと同等レベルに保つ
ことが可能となり、更に、光散乱状態および光透過状態
についてのメモリー性が特に優れる。
【0040】
【実施態様】次に、第1発明〜第3発明の実施態様につ
いて説明する。
【0041】(ポリメソゲン基構造の液晶分子の実施態
様)ポリメソゲン基構造の液晶分子は、図3(a)や図
3(b)で示すように、2以上のメソゲン基4が鎖状部
6を介して連結された構造を備えている。ここに、「連
結」とは、化学結合を意味する。図5(a)〜図5
(d)に示す液晶分子を例にとって、かかる液晶分子の
構造を更に詳しく説明する。
【0042】図5(a)に示す液晶分子3は、鎖状部6
の両端に1個ずつメソゲン基4が連結している。
【0043】図5(b)に示す液晶分子3は、多数のメ
ソゲン基4が鎖状部6を介して直列に連結している。
【0044】図5(c)に示す液晶分子3は、主鎖部6
aと側鎖である多数のスペーサ部6bとからなる鎖状部
6の前記スペーサ部6bに1個ずつメソゲン基4が連結
している。
【0045】ポリメソゲン基構造の液晶分子は、いわゆ
る高分子液晶を含む概念であり、その分子量について特
段の限定はないが、分子量が300〜100,000程
度が好適であり、500〜50,000程度が更に好適
であり、500〜15,000程度が特に好適である。
液晶分子の分子量が過少であると、低周波電場又は直流
の電場を印加した時のメソゲン基の配向の乱れが不足し
がちである。一方、液晶分子の分子量が過大であると、
液晶組成物の粘性が過剰に増大して、電場応答性が低下
する。
【0046】ポリメソゲン基構造の液晶分子における鎖
状部は、液晶性を損なわないものである限りにおいて、
その種類が限定されない。前記の主鎖部6a及びスペー
サ部6bを含め、鎖状部は例えば炭素数1〜30程度の
炭化水素鎖のような有機分子鎖であり得る。鎖状部中に
は、分岐構造部分や、不飽和結合や、官能基を含んでい
ても良い。鎖状部は例えばシロキサンのような珪素鎖で
あっても良い。鎖状部が高分子鎖である場合の具体的な
例として、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリウレア、
ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブタジエンまたはこれらを構成するモノマー
の共重合体等を挙げることができる。
【0047】(メソゲン基の実施態様)ポリメソゲン基
構造の液晶分子に含まれるメソゲン基は、液晶分子の液
晶性の根拠となっている有機基である。第1発明では誘
電異方性が正である液晶を用いるが、一般に、誘電異方
性が正であるメソゲン基を含むポリメソゲン基構造の液
晶分子の誘電異方性は正となる。誘電異方性が正である
メソゲン基のいくつかの例として、次の「化1」〜「化
34」に示すものが挙げられる。ただし、「化1」〜
「化34」には、メソゲン基が独立した液晶分子として
記載されており、実際にはその化学構造の端部が鎖状部
と結合した状態の「基」として存在している。
【0048】
【化1】
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】
【化15】
【0063】
【化16】
【0064】
【化17】
【0065】
【化18】
【0066】
【化19】
【0067】
【化20】
【0068】
【化21】
【0069】
【化22】
【0070】
【化23】
【0071】
【化24】
【0072】
【化25】
【0073】
【化26】
【0074】
【化27】
【0075】
【化28】
【0076】
【化29】
【0077】
【化30】
【0078】
【化31】
【0079】
【化32】
【0080】
【化33】
【0081】
【化34】
【0082】以上の「化1」〜「化34」のメソゲン基
のうち、同一のポリメソゲン基構造の液晶分子に同一種
類のメソゲン基のみが含まれていても良く、2種類以上
のメソゲン基が含まれていても良い。そして、第1発明
の液晶として、このような構成を有する液晶分子の1種
類のみからなる液晶を用いるか、2種類以上の液晶の混
合物を用いるか、については、液晶がネマチック相をと
る限りにおいて限定されない。
【0083】(液晶の実施態様)本発明ではネマチック
相の液晶を使用するが、「ネマチック相の液晶」とは、
その液晶相構造の面から言えば、特別な手段を用いて干
渉を加えたような場合を除き、通常の状態においては液
晶分子が一定方向に並ぶが、スメクチック相の液晶のよ
うな層構造はとらない液晶を言う。それ故、ネマチック
相の液晶の各分子はその長軸方向に自由に動くことがで
き、ネマチック相の液晶に比較して粘性が小さいのであ
る。
【0084】周知のように、同一の液晶でも温度に応じ
てネマチック相を示したりスメクチック相を示したりす
ることがあり、また、同一あるいは類似した化学構造を
持つ液晶でも、その化学構造に含まれるアルキル基の長
さ等に応じてネマチック相を示したりスメクチック相を
示したりすることがある。更に、2種類の液晶を混合し
た場合には、その混合比に応じてネマチック相を示した
りスメクチック相を示したりすることがある。
【0085】従って、本発明で用いるネマチック相の液
晶を、液晶の化学構造や種類によって一律に定義するこ
とは困難である。本発明の「ネマチック相の液晶」の一
つの実際的な判別基準は、偏光顕微鏡を用いて前記した
液晶相構造を観察して決定することである。他の一つの
実際的な判別基準は、「ネマチック相の液晶同士、ある
いはスメクチック相の液晶同士は互いに良く相溶す
る。」と言う事実を利用して、問題の液晶を既知のネマ
チック相の液晶及びスメクチック相の液晶と別々に混合
し、それらの相溶性の差をチェックすることである。
【0086】(低分子液晶の実施態様)第2発明の低分
子液晶として、例えば、前記「化1」〜「化34」で示
した液晶分子からなる液晶を挙げることができる。これ
らの液晶の混合物であっても良い。この低分子液晶は、
少なくとも第1発明のポリメソゲン基構造の液晶分子か
らなる液晶よりも低粘度であることが要求され、従って
ネマチック相をとるものであることが望ましい。しか
し、この低分子液晶自体がネマチック相を示さなくて
も、これをポリメソゲン基構造の液晶に添加した結果、
液晶全体としてネマチック相を示す場合には使用可能で
ある。この点以外には、その分子量も含め、特段の限定
条件はない。
【0087】第2発明の低分子液晶は、それ自体の誘電
異方性が正であることが望ましいが、その誘電異方性が
負であっても第1発明の液晶に添加した結果として液晶
全体の誘電異方性が正になるならば、それで足りる。
【0088】(混合液晶の実施態様)本発明において
は、誘電異方性が正でネマチック相を示す限りにおい
て、第1発明の液晶として2種類以上のポリメソゲン基
構造の液晶分子からなる液晶を用いても良いし、第2発
明の低分子液晶として2種類以上の低分子液晶分子から
なるものを用いても良い。
【0089】また、誘電異方性が正でネマチック相を示
す限りにおいて、1種類または2種類以上のポリメソゲ
ン基構造の液晶分子からなる液晶と、1種類または2種
類以上の低分子液晶分子からなる低分子液晶との混合物
を用いることができる。
【0090】例えば、「化35」に示すポリ(4−アリ
ロキシ−4’−シアノビフェニルメチルシロキサン)
(分子量7000)と、低分子液晶としてメルク社製の
混合液晶であるE8とを混合して用いる場合には、前者
と後者との重量比を1:99ないし30:70の割合で
混合することが望ましい。この場合、混合液晶が液晶状
態を示す温度は−10°C〜80°Cとなり、室温ある
いは通常の使用温度での使用に適する。また、液晶相と
してネマチック相を示し、高分子液晶を使用していても
過度の粘性の上昇はなく、電場応答性を損なわない。
【0091】
【化35】
【0092】(電気泳動成分の実施態様)電気泳動成分
とは、液晶組成物に低周波電場又は直流電場を印加した
時に、液晶組成物中を電気泳動する成分である。その代
表的なものはイオン成分であるが、その他の電気泳動し
得る成分であっても良い。
【0093】イオン成分の種類には、原則として制約が
ない。代表的なイオン成分として、有機塩、金属塩、ハ
ロゲン等を用いることができる。有機塩としては、例え
ばアンモニウム塩が考えられる。特に、(R4 )N−X
で表される四級アンモニウム塩が代表的である。前記の
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状、飽和あるいは不
飽和の炭化水素を表し、4個のRはそれぞれ同一でも、
相違していても良い。Xは、ヨウ素,臭素,塩素,フッ
素のハロゲン原子あるいはその他の負イオンを表す。X
がハロゲンである場合、これは液晶分子と錯体を形成
し、液晶組成物中でイオン成分となる。
【0094】イオン成分の要求濃度は、1×10-7〜1
0重量%程度、より望ましくは1×10-5〜1重量%程
度である。上記のようにイオン成分の要求濃度は僅かで
あるから、デバイスのセルや、液晶、偏平形状の粒子に
不純物として含まれるイオン成分のみで足りてしまうこ
ともある。もちろん、意図的にイオン成分を添加しても
良い。
【0095】イオン成分の濃度が過大であると、イオン
成分の結晶が析出したり、電流が流れ過ぎて発熱した
り、ひいてはデバイスの耐久性を低下させたりする。逆
に、イオン成分の濃度が過少であると、前記したイオン
成分の作用を十分に発現しなくなる恐れがある。
【0096】(偏平形状の粒子の実施態様)本願発明に
おける偏平形状の粒子の「偏平」とは、粒子のアスペク
ト比がある程度以上大きいことを言い、液晶組成物中に
効率的にセル構造のドメインを形成するために、一般的
にはアスペクト比が2以上、より好ましくは5以上であ
ることが望ましい。粒子の形状は、板状のものに限ら
ず、棒状あるいは針状であっても良い。
【0097】偏平形状の粒子を構成する材料については
限定しない。偏平形状の粒子が電場応答性、即ち、電場
の作用により自ら配向変化を起こす性質を有しているか
否かは問題とならない。
【0098】偏平形状の粒子の好ましい例として、層状
粘土鉱物や、酸化チタン、アルミナホワイト(水不溶性
塩基性硫酸アルミニウム)、炭酸カルシウム、薄片状酸
化亜鉛、鱗片状アルミニウム粉、紺青、ヘマタイト酸化
物、各種セラミックスの板状結晶、グラファイト等が挙
げられる。更に、有機物結晶や有機物の金属錯体等も使
用できる。更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
テトラフルオロエチレン等の有機ポリマーより構成され
る粒子も使用できる。
【0099】一方、液晶組成物の応答速度を液晶そのも
のの応答速度と同等に保つためには、偏平形状の粒子は
液晶分子と界面を通してのみ相互作用し、液晶の内部粘
性に殆ど影響を与えないものであることが好ましい。
【0100】以上の要求を考慮した時、偏平形状の粒子
として用いる材料としては、層状粘土鉱物が最も好まし
い。層状粘土鉱物としては、天然の、あるいは合成され
たモンモリロナイト、サポナイト、マイカ、ヘクトライ
ト等を用いることができるが、とりわけ、液晶中に比較
的分散し易いという理由から、モンモリロナイトが代表
的である。
【0101】偏平形状の粒子の粒径は、0.1〜20μ
m程度が適当である。粒径がこの範囲より小さいと、液
晶組成物中のドメインを有効に形成させることができな
い、という不具合がある。粒径がこの範囲より大きい
と、調光材料やそれを用いたデバイスを構成した場合に
液晶組成物の不均一性が目立ち、外観上の不具合を生
じ、また、デバイスとして数十ミクロンメーターのセル
ギャップを有するセルを構成した場合に物理的に配向が
不十分になる恐れがある。特に好ましい粒径の範囲は
0.2〜5μmである。層状粘土鉱物をこれらの適当な
粒径の範囲で調製することは容易である。
【0102】前記のアスペクト比を考慮した場合、粒子
が板状体である場合のその厚さ、粒子が棒状体である場
合のその太さは、アスペクト比を2以上とするためには
10μm以下、好適には2.5μm以下であり、アスペ
クト比を5以上とするためには4μm以下、好適には1
μm以下である。
【0103】偏平形状の粒子は、液晶のドメインを有効
に形成させる程度の密度に分散している。偏平形状の粒
子の分散密度が低すぎると、有効なマルチドメイン状態
を実現できない。一方、偏平形状の粒子の分散密度が高
すぎて、互いにその配向の変化を束縛する程になるのも
好ましくない。これらの要求に応える密度は、液晶の種
類あるいは偏平形状の粒子の種類やサイズ等に応じて異
なり、一律に規定することは困難であるが、一般的に
は、液晶100重量部に対し偏平形状の粒子(有機化さ
れた粒子においては、有機化剤を除いた、粒子の正味
で)0.6〜10重量部を分散させるのが望ましい。偏
平形状の粒子が層状粘土鉱物である場合にも、この範囲
が当てはまる。
【0104】偏平形状の粒子の液晶中における分散状態
として、かならずしも個々の粒子が完全に分散した状態
を要求されるものではなく、粒子の一部が数個〜数十個
凝集していても、全体として偏平形状の粒子の前記作用
・効果が奏される程度に分散していれば足りる。例え
ば、層状粘土鉱物は、液晶中での分散状態において、そ
の一部は往々にして数十の粒子個体(単位層)が重なっ
た状態で存在するが、それでも他の一部の層状念と鉱物
が単位層に良好に分散していれば、十分に偏平形状の粒
子の前記作用・効果が奏される。
【0105】このような分散状態を維持するため、偏平
形状の粒子には液晶との親和性が要求される。偏平形状
の粒子が、例えば一部の有機物結晶や有機物の金属錯体
のように、もともと液晶との親和性を有する材料から成
っている場合は、そのまま用いれば良い。しかし、偏平
形状の粒子が、例えば層状粘土鉱物の如き無機物からな
る粒子のように、液晶との親和性を有しない材料から成
っている場合には、液晶との親和性を持たせるための処
理が必要となる。このような処理の例として、一般的に
は粒子の表面に有機物を吸着させたり結合させたりする
処理がある。
【0106】特に偏平形状の粒子が層状粘土鉱物である
場合には、これに液晶との親和性を持たせるために、イ
オン交換を行うことが有効である。即ち、層状粘土鉱物
の層間にはアルカリ金属イオンが存在するので、これを
液晶分子と親和性のある有機オニウムイオンや、液晶基
を有するオニウムイオンと交換(いわゆる、有機化)す
ることにより液晶との親和性を持たせることができる。
【0107】上記オニウムイオンの種類は、液晶分子と
親和性の優れたものが良いから、使用する液晶分子の種
類に応じて最適なものが選択されるが、例えばアルキル
アンモニウムイオン等が代表的である。なお、有機オニ
ウムイオンの選択により、層状粘土鉱物の表面の性質
や、電気的、光学的性質、分散性、電場に対する応答性
等を種々に制御することができる、という利点がある。
【0108】この他にも、液状の有機マトリクスに無機
のフィラーを分散させるために用いられることがある手
段、例えば有機シランによる処理等も有効である。
【0109】液晶と、これに対する親和性を有する偏平
形状の粒子との組成物を調製するに当たっては、両者を
単に混合すれば足りる。但し、共通溶媒を利用して両者
を均一に混合した後、共通溶媒を適当な手段で除去する
と、より均一に混合される。液晶と層状粘土鉱物との組
成物を調製するに当たっても、同じことが言える。
【0110】(その他の組成分についての実施態様)本
願発明の液晶組成物については、上記のポリメソゲン基
構造の液晶分子からなる液晶、低分子液晶、偏平形状の
粒子、電気泳動成分の他、本願発明の目的を阻害しない
限りにおいて、公知の液晶あるいは液晶組成物に含まれ
ることがある任意の組成分を公知の方法に従って含ませ
ることができる。そのような組成分の例として、液晶組
成物に色彩を付与するための色素、特に、電場の作用に
より特定の色彩を発現したり消したりすることができる
二色性色素、安定化剤等の液晶改質剤、増粘剤や粘度低
下剤等の粘度調整剤、有機オニウム塩等を挙げることが
できる。
【0111】〔液晶組成物の利用の態様〕本願発明の液
晶組成物をいかなる目的で、いかなる用途に、いかなる
デバイスを構成して用いるか、は全く自由である。
【0112】但し、本願発明の液晶組成物を光散乱型調
光材料として用いる場合の一つの利用例として、ガラス
製あるいは合成樹脂製の透明フィルム上に酸化インジウ
ム錫(ITO)等の透明電極を設けた1対の基板を準備
し、この1対の基板をスペーサを介して対向させ、その
間に液晶組成物を封入してセルを構成することができ
る。また、両側に透明電極を設け、かつ、内部に多数の
空胞を有する透明な高分子材料マトリクスの前記空胞に
液晶組成物を封入して、多数のセルを同時に構成するこ
ともできる。
【0113】
【実施例】次に本願発明の実施例について説明する。
【0114】(実施例1)ラウリルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトの
合成 山形県産のベントナイトから得られた高純度のNa−モ
ンモリロナイト200g(イオン交換容量:119ミリ
当量/100g、径0.5〜2μm)を3,500ml
の水に分散し80°Cに加熱した。一方、ラウリルアミ
ン48.8g(262mmol)に水1500ml及び
濃塩酸31.0gを加え、加熱攪拌して完全に溶解させ
た。
【0115】前記のNa−モンモリロナイト−水分散液
を強く攪拌しながら上記のアンモニウム塩溶液に加えた
ところ、凝集物が生じた。更に30分攪拌した後、ろ過
によりこの凝集物を集め、エタノールにて1回、熱水に
て3回、それぞれ洗浄して、凍結乾燥した。そして、真
空下80°Cで5時間乾燥して、ラウリルアンモニウム
で有機化した粉末状のモンモリロナイト(以下、「ラウ
リルアンモニウムモンモリロナイト」という。)を得
た。
【0116】液晶組成物の調製 ラウリルアンモニウムモンモリロナイト25.1mgを
ジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」という。)
2gに分散させた。この分散液に、「化25」に示す分
子量約7,000の、ポリメソゲン基構造の液晶である
ポリ(4−アリロキシ−4’−シアノビフェニルメチル
シロキサン)150mgと、低分子液晶であるE8(メ
ルク社製)850mgとを加え、攪拌して均一にした。
次いで真空加熱下、溶媒のDMACを除去した。この結
果、液晶組成物中のラウリルアンモニウムモンモリロナ
イトの添加量は無機ベースで2wt%となる。
【0117】そして電気泳動成分を構成するためのヨウ
素0.1mgを添加し、液晶組成物を調製した。この液
晶組成物における液晶系は、DSC測定、X線回折測定
及び偏光顕微鏡観察により、誘電異方性が正であり、ネ
マチック相を示すことを確認した。
【0118】液晶セルの作製 上記の液晶組成物を用いて、図6に示すような液晶セル
を試作した。この液晶セル8は、液晶組成物9を透明電
極(ITO)付きのガラス基板10の上にのせ、径が1
2μmのポリマー粒子11をスペーサーとして使用し、
その上に更に前記と同じガラス基板10を気密に圧着し
たものである。
【0119】光透過量の測定系の構築 図7に、上記液晶セルの光透過量の測定のために構築し
た装置系の模式図を示す。光学系には偏光顕微鏡12を
使用した。光源は偏光顕微鏡12に付属しているハロゲ
ンランプ13を使用した。液晶セル8の光透過量は光電
子増倍管(フォトマル14)によって検出した。フォト
マル14からの電流出力は200kΩの抵抗15を直列
につなぐことにより電圧に変換し、ペンレコーダーを用
いて読み取った。電源16による液晶セル8への電圧の
印加及び印加周波数の調整には、北斗電工製のポテンシ
ョスタットを用いた。
【0120】光透過量の測定 次に、液晶セル8の電気光学特性の評価方法を前記図1
の各状態に即して説明する。状態aにあるセルに100
Hzの周波数(サイン波)で120Vの高周波電圧を印
加して状態bにし、30秒後に電圧をOFFとして状態
cにした。この状態cを30日間放置することにより状
態cがメモリー性を有することを確認した後、これに直
流40Vを印加して状態dとし、2秒後に電圧をOFF
にして状態eとした。状態eを30日間放置することに
より状態eがメモリー性を有することも確認した。
【0121】上記の各状態での光透過量(%)を次の
「数1」の式により求めた。その結果を表1に示す。
【0122】
【数1】
【0123】
【表1】
【0124】以上の測定結果から、本実施例の液晶セル
は光透過状態と光散乱状態との間でスイッチングでき、
かつ、光透過状態と光散乱状態との各状態で安定にメモ
リーされることが分かった。
【0125】(実施例2)実施例1に比較して、ラウリ
ルアンモニウムモンモリロナイトの使用量を半減させる
ことにより、液晶組成物中のラウリルアンモニウムモン
モリロナイトの添加量は無機ベースで1wt%となるよ
うにした点以外は実施例1と同じ液晶組成物を調製し
た。この液晶組成物における液晶系も誘電異方性が正で
あり、ネマチック相を示すことを確認した。
【0126】この液晶組成物につき、実施例1と同じ要
領で液晶セルを構成して電気光学特性を評価した。表1
にその評価結果を示す。本実施例の液晶セルも、光透過
状態と光散乱状態との間でスイッチングでき、かつ、光
透過状態と光散乱状態との各状態で安定にメモリーされ
ることが分かった。
【0127】(比較例1)実施例1に比較して、ラウリ
ルアンモニウムモンモリロナイトを使用せず、又、溶媒
として2gのDMACに代えて0.5gのテトラヒドロ
フランを使用した点以外は実施例1と同じ要領で、電気
泳動成分を含む液晶混合物を調製した。この液晶混合物
における液晶系も誘電異方性が正であり、ネマチック相
を示すことを確認した。
【0128】この液晶混合物につき、実施例1と同じ要
領で液晶セルを構成して電気光学特性を評価した。表1
にその評価結果を示す。本例の液晶セルは、光透過状態
と光散乱状態との間でスイッチングできるが、光透過状
態と光散乱状態との各状態で安定にメモリーされないこ
とが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶組成物の光透過量の変化を示す図である。
【図2】液晶組成物の光透過量の変化に対応する推定状
態図である。
【図3】電場による液晶の配向変化を示す図である。
【図4】電場による液晶の配向変化を示す図である。
【図5】ポリメソゲン基構造の液晶分子の分子構造を示
す図である。
【図6】試作した液晶セルを簡略化して示す図である。
【図7】実施例で構築した光透過量の測定系を簡略化し
て示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2以上のメソゲン基が鎖状部を介して連結
    されたポリメソゲン基構造の液晶分子からなり、かつ誘
    電異方性が正であるネマチック相の液晶と、この液晶中
    に、液晶のドメインを有効に形成させる程度の密度に分
    散した、液晶との親和性を有する偏平形状の粒子と、電
    気泳動成分と、を組成分として含むことを特徴とする液
    晶組成物。
  2. 【請求項2】前記の液晶組成物に対し、更に、該液晶組
    成物の粘性を有効に低減させ得る程度の低分子量の液晶
    分子からなる低分子液晶を含ませ、かつ、液晶全体とし
    ての誘電異方性が正で、ネマチック相を示すことを特徴
    とする請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 【請求項3】前記の偏平形状の粒子が有機化された層状
    粘土鉱物であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の液晶組成物。
JP7129757A 1995-04-27 1995-04-27 液晶組成物 Pending JPH08302351A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8101249B2 (en) 2007-02-16 2012-01-24 Toppan Printing Co., Ltd. Retardation substrate, method of manufacturing the same, and liquid crystal display

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8101249B2 (en) 2007-02-16 2012-01-24 Toppan Printing Co., Ltd. Retardation substrate, method of manufacturing the same, and liquid crystal display

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