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JPH0829821A - 光リミッティング材料を用いた光演算素子 - Google Patents

光リミッティング材料を用いた光演算素子

Info

Publication number
JPH0829821A
JPH0829821A JP16230394A JP16230394A JPH0829821A JP H0829821 A JPH0829821 A JP H0829821A JP 16230394 A JP16230394 A JP 16230394A JP 16230394 A JP16230394 A JP 16230394A JP H0829821 A JPH0829821 A JP H0829821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
light
intensity
incident
transmitted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16230394A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshitsugu Kojima
由継 小島
Takaaki Matsuoka
孝明 松岡
Norio Sato
紀夫 佐藤
Hideo Takahashi
秀郎 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP16230394A priority Critical patent/JPH0829821A/ja
Publication of JPH0829821A publication Critical patent/JPH0829821A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】AND素子、OR素子と共に、XOR素子をも
実現できる光演算素子を提供することを目的とする。 【構成】入射したコヒーレント光を2本の光線に分配す
る光分配器と、上記2本の光線の行路内にそれぞれ配置
された、入射光強度対透過光強度の関係特性が異なる2
種類の光リミッティング材料と、同材料を透過する2本
の透過光を位相差180°をもって1本に合成する光合
成器とからなることを特徴とする光演算素子である。前
記の2種類の光リミッティング材料は、透過率や飽和透
過光強度の異なるものの組み合わせを変えることによ
り、AND素子、OR素子またはXOR素子を実現する
ことができる。前記の光分配器と光合成器とは、ハーフ
ミラーと鏡およびプリズム等から構成する手段と、2本
の光ファイバを接合したビ−ムスプリッタを用いる手段
とがある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光コンピュータの光演
算素子に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュ−タの情報処理能力は年々向上
してきており、既に演算回数が一秒間当たり数百億回に
達している。これは電子式の演算素子を用いた場合であ
るが、光演算素子を用いた並列コンピュータでは、これ
を数桁上回る演算回数が期待でき、特に大量高速の画像
処理を可能とするであろうと言われている。
【0003】光コンピュータを構成する光演算素子とし
ては、一般に入力光に対して階段型の応答をする非線形
光学素子が要求されている。一例としては、ナフタロシ
アニン染料等の有機非線形光学材料をファブリペロー共
振器の中に配置した、光演算素子が提案されている(特
開平2−77028)。この素子は入射光の増大によ
り、内部の非線形光学材料の屈折率が変化して非線形の
光応答を示し、AND素子およびOR素子として利用す
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の光演算素子は、
AND素子およびOR素子は提供するが、XOR素子を
提供できないという問題があった。すなわちこの素子
は、入射光が増大すると内部の非線形光学材料の屈折率
が変化して非線形の光応答を示すもので、AND素子と
OR素子は実現できるが、屈折率の変化が一方向に限ら
れるためXOR素子としての機能は実現できないのであ
る。
【0005】本発明はかかる問題を基本的に解決するも
ので、AND素子、OR素子と共にXOR素子をも実現
できる光演算素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による光リミッテ
ィング材料を用いた光演算素子は、入射したコヒーレン
ト光を2本の光線に分配する光分配器と、上記2本の光
線の行路内にそれぞれ配置された、入射光強度対透過光
強度の関係特性が異なる2種類の光リミッティング材料
と、同材料を透過する2本の透過光を位相差180°を
もって1本に合成する光合成器とから構成されている。
【0007】これらの2種類の光リミッティング材料
に、入射光が弱い範囲ではそれらの透過率が同一であ
り、入射光強度を上げていくと飽和透過光強度の異なる
2種類の光リミッティング材料を使用すると、AND素
子およびOR素子を得ることができる。同様に、これら
2種類の光リミッティング材料に、入射光が弱い範囲で
は透過率に差があり、入射光強度が高くなると飽和透過
光強度の一致する2種類の光リミッティング材料を用い
ると、XOR素子を実現することができる。
【0008】ところで、前記の光分配器と光合成器の構
成には、色々な形式のものが考えられるが、代表的なも
のはハーフミラーを用いたものと、光ファイバを用いた
ものの2種類であろう。まずハーフミラーを用いた構成
から説明すると、前記光分配器は、入射光行路に対して
斜めに配置されたハーフミラーを有し、また、光合成器
が一方の光リミッティング材料を透過する透過光の行路
内に斜めに置かれたハーフミラーを有し、かつ、前記光
分配器または光合成器のいずれかが2本の光線に位相差
を持たせるためのプリズムを有するものである。この構
成では、プリズムと光路差とによって、光合成時に18
0°の位相差が実現されるのである。
【0009】次に光ファイバを用いた構成を説明する
と、前記光分配器が2本の光ファイバを接合したビ−ム
スプリッタからなり、また、光合成器もそれぞれの光リ
ミッティング材料からの透過光を誘導する2本の光ファ
イバを接合して構成されている。この構成では、光ファ
イバの長さの違いによる光路差で、180°の位相差を
もって異なる光リミッティング材料を透過してきた光が
合成されるのである。
【0010】
【作用及び発明の効果】本発明の光演算素子は、前述の
ように光分配器と、2種類の異なった特性を持つ光リミ
ッティング材料と、光合成器とから構成されている。そ
して、上記2種類の光リミッティング材料を透過してき
た光線は、位相差180°をもって合成されるのであ
る。
【0011】したがって、上記2種類の光リミッティン
グ材料の組み合わせによって、様々な特性の素子を作る
ことができる。たとえば、入射光が弱い範囲ではそれら
の透過率が同一であり、入射光強度を上げていくと飽和
透過光強度の異なる2種類の光リミッティング材料を組
み合わせると、飽和透過光に達する入力光強度の差によ
って、AND素子やOR素子が実現できる。まず、入射
光強度があるスレッショルドより低い状態で透過光が飽
和すれば、OR素子が実現できる。同様に、入力光強度
がそのスレッショルドより高いところで透過光が飽和す
るような組み合わせにすれば、AND素子が実現できる
のである。
【0012】そして、前記2種類の光リミッティング材
料に、入射光が弱い範囲では透過率に差があり、入射光
強度が高くなると飽和透過光強度が同一になる組み合わ
せを用いれば、入射光がごく弱い範囲では出力光も弱
く、一方の光リミッティング材料だけが飽和に達する程
度の入射光に対してはある程度の強さを持った出力光が
得られ、さらに入力光の強度を増して二つの光リミッテ
ィング材料が両方飽和してしまうようになると、出力光
は相殺して殆ど出なくなる。したがって光リミッティン
グ材料のこの様な組み合わせによれば、XOR素子が得
られる。
【0013】この様にして、本発明による光リミッティ
ング材料を用いた光演算素子は、その光リミッティング
材料の組み合わせを変えることにより、AND素子とO
R素子だけではなく、XOR素子をも実現することがで
きるのである。
【0014】
【実施例】
(第1実施例)本発明による光リミッティング材料を用
いた光演算素子は、例えば図1のように構成される。こ
の例では、光分配器も光合成器も共にハーフミラーによ
って構成されている。
【0015】図1の左側には、ハーフミラーHが斜めに
置かれて、コヒーレントな入力光L1およびL2を同位
相で合成して、入力光Lを生成し、これを光演算子Eに
入射させる。入射光Lの合成手段は、このようなハーフ
ミラーによるものに限られることはないが、いずれにせ
よ光演算素子EがAND素子、OR素子、またはXOR
素子として機能するには、二つの入力光線L1,L2を
合成して単一の入力光Lを生成することが必要である。
【0016】本発明による光リミッティング材料を用い
た光演算素子Eでは、図1中の左側から、前述のように
合成されたコヒーレントな入力光Lが、光リミッティン
グ材料Aに向かって入射してくる。同材料Aの直前には
45°傾けてハーフミラー1が固定されており、入力光
Lを1対1の強度比率で透過および反射して、光を分配
する。
【0017】前記ハーフミラー1を透過して入力光Lの
半分の強度になったハーフミラーの透過光は、光リミッ
ティング材料Aに直接入射し、これを透過してその右端
から射出する。そして斜め45°に設置した鏡4で反射
され、透過光LAとして、ハーフミラー5に入射する。
一方、前記ハーフミラー1で反射され、90°経路を転
換した反射光は、この経路に対向して設置されたプリズ
ム2内で2度内反射して反転する。そして更に、第2の
光リミッティング材料Bの直前に斜め45°の角度で設
けられた鏡3で反射されて、上記光リミッティング材料
Aに平行に設置された同材料Bに真っ直ぐに入射する。
この時の入射光の強度は、上述の光リミッティング材料
Aに入射する光と等しい。
【0018】こうして光リミッティング材料Bに入射し
た光線は、同材料を透過して透過光LBとなって、光リ
ミッティング材料Bの直後に45°の角度を持って斜め
に設置されたハーフミラー5に入射する。ところでこの
時、同時に上記のように光リミッティング材料Aを透過
してきた透過光LAも、側方からハーフミラー5に入射
してくるため、両透過光LA,LBはハーフミラー5で
一本の出力光LCに合成されて、出力されるのである。
【0019】なお、プリズム2は、必要に応じて鏡3と
共に光リミッティング材料Bとハーフミラー5との間に
設置しても同じ結果を得る。このような構成は、請求項
4に対応するものである。ところで図1において、ハー
フミラー5に2方向から入射する透過光LA,LBのハ
ーフミラー5での合成時における位相関係は、図2に示
すように位相が180°反転した逆位相の関係にある。
これは、透過光LBになる入射光が通過する経路に、プ
リズム2によって形成される迂回路があり、その厳密に
調整された光路差によって位相がちょうど180°反転
するようになっているのである。
【0020】したがって、透過光LA,LBが同じ強度
であれば、互いに打ち消しあって出力光LCはゼロにな
り、両者に差があれば、その強度差が出力光LCの強度
になるのである。このようにしてこの光演算素子では、
2種類の光リミッティング材料A,Bの透過率の差が出
力光LCの強度に表れるため、入射光強度対透過光強度
の関係特性が異なる光リミッティング材料を組み合わせ
れば、様々な光演算素子を実現することができるのであ
る。
【0021】例えば、光リミッティング材料A,Bに、
図3の(A),(B)に示すような、入射光が弱い範囲
では両者の透過率は同一であり、入射光強度を上げてい
くと飽和透過強度が異なる特性のものを採用すると、出
力光LCの強度は図4に示すようなものになる。すなわ
ち、入射光Lの強度がある一定の値(1.5a程度)よ
り低い範囲では、透過光LA,LBに差がなく、したが
って両者が互いに相殺して出力光LCの強度はゼロであ
る。ところが入射光Lがある強度(1.5a程度)に達
すると、光リミッティング材料Aが飽和し、それ以上透
過しなくなる。一方、光リミッティング材料Bは入射光
強度が2aに達するまで飽和せず、同じ透過率で透過光
強度は上昇を続ける。すると、飽和透過光強度が高い光
リミッティング材料Bとの間に、図3の斜線部分のよう
な透過光強度の差が生じるのである。
【0022】そして前述の光合成器で、180°の位相
差をもって合成されると、上記の透過光強度の差が出力
光LCとして得られる。したがって、図4に示すような
入力光Lの入射光強度と出力光LCの強度の関係が成立
するのである。このような光リミッティング材料の組み
合わせによる光演算素子の構成は、請求項2に対応する
ものである。
【0023】そして、この構成の光演算素子からは、A
ND素子とOR素子とを作ることができる。すなわち、
入力光強度が位相の合った二つの入力光L1,L2の合
成であると考えると、各々の入射光強度の組み合わせに
よって出力光LCの強度が変化して、AND素子または
OR素子としての働きをするのである。たとえば上記の
二つの入力光L1,L2の強度が、それぞれゼロまたは
aだとすると、位相を合わせて合成された入力光Lの入
射光強度は、ゼロ、a,2aの3通りとなる。そのう
ち、二つの入力光L1,L2が両方ともaの強度をもっ
た場合にのみ、合成された入力光Lの強度は2aとなっ
て、図4から分かるように強度bの出力光LCを生じ
る。
【0024】したがって、この素子はAND素子として
機能しているわけである。参考として、表1に二つの入
力光L1,L2による入射光強度と、出力光LCの透過
光強度の関係を示す。
【0025】
【表1】AND素子の入射光強度と透過光強度の関係 同様に、前述の2つの入力光L1,L2の強度が、それ
ぞれゼロまたは2aだとすると、位相を合わせて合成さ
れた入力光Lの入射光強度は、ゼロ、2a,4aの3通
りとなる。そのうち、二つの入力光L1,L2のうちど
ちらか一方でも2aの強度をもてば、合成された入力光
Lは2a以上となって、図4から分かるように強度bの
出力光LCを生じる。
【0026】したがって、この素子はOR素子として機
能しているわけである。参考として、表2に二つの入力
光L1,L2による入射光強度と、出力光LCの透過光
強度の関係を示す。
【0027】
【表2】OR素子の入射光強度と透過光強度の関係 なお、このような特性のOR素子を得るためには、二つ
の入力光L1,L2が合成された入力光Lの入射光強度
がaでも、既に飽和透過現象を一方の光リミッティング
材料が起こして透過光量差がbに達するような、2種類
の光リミッティング材料の組み合わせを採用することに
よっても可能である。
【0028】さて次に、光リミッティング材料A,B
に、図5の(C),(D)に示すような、入射光が弱い
範囲では両者の透過率は異なり、入射光強度を上げてい
くと飽和透過強度が同一になる特性のものを採用する
と、出力光LCの強度は図6に示すようなものになる。
すなわち、入射光Lの強度がある一定の値cで一方の光
リミッティング材料が飽和して、それ以上透過しなくな
り、他方の光リミッティング材料との透過光の強度差が
ピークを形成する。そして、入射光Lの強度がある一定
の値(2c以下)より高い範囲では、同一の強度ですで
に飽和している透過光LA,LBに差がなく、したがっ
て両者が互いに相殺して出力光LCの強度はゼロであ
る。
【0029】このような光リミッティング材料の組み合
わせによる光演算素子の構成は、請求項3に対応するも
のである。そして、この構成の光演算素子からは、XO
R素子を作ることができる。すなわち、入力光Lが位相
の合った二つの入力光L1,L2の合成であると考える
と、各々の入力光L1,L2の強度の組み合わせによっ
て出力光Lの強度が変化して、XOR素子としての働き
をするのである。
【0030】たとえば上記の二つの入力光L1,L2の
強度が、それぞれゼロまたはcだとすると、位相を合わ
せて合成された入力光Lの入射光強度は、ゼロ、c,2
cの3通りとなる。そのうち、二つの入力光L1,L2
の内一方だけがcの強度をもった場合にのみ、合成され
た入力光Lはcとなって、図6から分かるように強度d
の出力光を生じる。
【0031】したがって、この素子はXOR素子として
機能しているわけである。参考として、表3に二つの入
力光L1,L2の入射光強度と、出力光LCの透過光強
度の関係を示す。
【0032】
【表3】XOR素子の入射光強度と透過光強度の関係 (光リミッティング材料について)こうしてみると、本
発明の核心を成す部分は光リミッティング材料にあるこ
とが分かる。そこで次に、光リミッティング材料につい
て説明する。
【0033】光リミッティング材料としては、一般に入
射光の波長付近に強い吸収のない化合物が用いられる。
たとえば波長が532nmでは、高圧重合により合成した
アセチレンオリゴマー、ジアセチレンオリゴマー(特願
平6−21916)、フラーレン(C60,C70,C76
84,C90,C94)、フラーレンの誘導体、フタロシニ
アン、インダンスロンなどのπ電子共役化合物、Kin
g錯体〔C5 5 Fe(CO)〕4 、金属クラスター化
合物が用いられる。
【0034】これらの化合物は、トルエン、クロロホル
ム、THF、メチルアルコール、ベンゼン、二硫化炭
素、アセトン、塩化メチレン等の溶媒や、PMMA、ポ
リスチレン、ポリカーボネートなどの透明な高分子に対
して、0.001から60重量%で分散させることが望
ましい。これは、0.001重量%未満であると光リミ
ッティング効果が発現せず、逆に60重量%を越えると
溶解性に悪影響があるからである。
【0035】また、これらの化合物の中でオリゴマーは
成形性があるので、フィルム状に成形しても使用でき
る。なお、光リミッティング材料を溶媒に分散させて使
用する時には、透明なセルに入れる。セルの材質として
は、入射光の波長に吸収のない材料が好適であり、例え
ば石英やガラス等の溶媒に溶けない材料が用いられる。
【0036】本発明の光リミッティング材料に用いる可
飽和吸収体としては、入射光の波長付近に強い吸収を有
する色素が用いられる。たとえば入射光の波長が532
nmではローダミン590が用いられ、波長が694nmで
はフタロシアニンが用いられるといった具合である。そ
こで次に、光リミッティング材料の使用例を具体的に説
明しよう。
【0037】まず、フェニルアセチレンを可撓性のテフ
ロン製袋容器に封入し、150°の温度に保ちつつ、シ
リコンオイルを圧力媒体として0.52GPaの圧力で
五時間加圧して、高圧重合によりフェニルアセチレンオ
リゴマーを合成した。そして同オリゴマーをトルエンに
溶かし、10wt%の濃度に調整した溶液を、光路長1mm
のガラス製セルに封入した。これを、一方の光リミッテ
ィング材料Aとして図1の構成の光演算素子内にセット
した。
【0038】同様に、高圧重合により合成したジフェニ
ルジアセチレンオリゴマーをトルエンに溶かし、0.1
2wt%の濃度に調整する。この溶液を光路長1mmのガラ
ス製セルに封入して、もう一方の光リミッティング材料
Bとして図1の構成の光演算素子内にセットした。そし
て、パルスNd:YAGレーザ光をSHG結晶に照射し
て発生した第二高調波(波長532nm、ビーム直径8m
m) を入力光としてこの光演算素子に入射させ、1 パル
ス当たりの透過光強度をパワーメータを用いて測定し
た。その際の入射光強度と各光リミッティング材料から
の透過光強度を、図7にグラフにして示す。同様に、両
光リミッティング材料からの透過光強度の差として合成
された、光演算素子の透過光強度すなわち出力光強度
を、図8にグラフにして示す。ここで、図7は図3に、
図8は図4に対応する特性を示していることにお気づき
であろう。
【0039】図8を見て分かるように、この光演算素子
では入射光強度が小さいうちは透過光強度はほとんど無
く、入射光強度がある値以上になると透過が発現してい
る。したがって、この光演算素子はAND素子としての
機能を有するものである。さらに、両セルに対する入射
光強度を上げることにより、OR素子としても使用でき
る。
【0040】さて次に、XOR素子を作る光リミッティ
ング材料について具体例で説明しよう。フラーレンC60
をトルエンに溶かし、0.052wt%の濃度に調整し
た。そしてこの溶液を、光路長1mmのガラス製セルの中
に封入し、図1の構成の光演算素子中の一方の光リミッ
ティング材料Aとしてセットした。
【0041】同様に、高圧重合により合成したジフェニ
ルジアセチレンオリゴマーをトルエンに溶かし、0.2
wt%の濃度に調整する。この溶液を光路長1mmのガラス
製セルに封入して、もう一方の光リミッティング材料B
として図1の構成の光演算素子内にセットした。そして
先程と同様に、パルスNd:YAGレーザ光をSHG結
晶に照射して発生した第二高調波(波長532nm、ビー
ム直径8mm) を入力光としてこの光演算素子に入射さ
せ、1 パルス当たりの透過光強度をパワーメータを用い
て測定した。その際の入射光強度と各光リミッティング
材料からの透過光強度を、図9にグラフにして示す。同
様に、両光リミッティング材料からの透過光強度の差と
して合成された、光演算素子の透過光強度すなわち出力
光強度を、図10にグラフにして示す。ここで、図9は
図5に、図10は図6に対応する特性を示していること
にお気づきであろう。
【0042】図10に示すように、この光演算素子では
入射光強度がある値で透過光強度は最大となり、それ以
上入射光強度を上げると逆に透過光強度は減少し、つい
には消失する。したがって、この光演算素子はXOR素
子としての機能を有するものである。このようにして、
実験によりAND素子、OR素子ならびにXOR素子が
実現できることが確認されたのである。
【0043】以上で、本発明による光リミッティング材
料を用いた光演算子の、第1実施例についての詳細な説
明を終わる。 (第2実施例)ところでこれまでは、光分配器と光合成
器とを図1に示す構成のものとして、光リミッティング
材料を用いた光演算素子の作用効果を説明してきたが、
図1以外の構成でも請求項1の内容を満足する光分配器
と光合成器を作成することは可能である。
【0044】たとえば図11に示すように、図示しない
二つの入力光を合成した入力光Lを斜め45°に設置し
たハーフミラー1で、強度比1:1に分配して、透過光
は光リミッティング材料Aに入射し、反射光は他方の光
リミッティング材料Bの前方に斜め45°に設置した鏡
で反射して同光リミッティング材料Bに入射するように
する。このようにハーフミラー1と鏡3とで構成された
光分配器によっても、入力光Lを二つの同じ強度の平行
光線に分配して、二つの光リミッティング材料Aおよび
Bに入射させることが可能である。
【0045】同様に、二つの光リミッティング材料Aお
よびBからの透過光を鏡4とハーフミラー5によって合
成し、出力光LCを得ることができる。すなわち、光リ
ミッティング材料Bからの透過光をその直後に45°の
角度をもって設けられた鏡4で反射し、光リミッティン
グ材料Aの直後に同じく45°の角度をもって設けられ
たハーフミラー5に入射する。このとき同時に、同ハー
フミラー5には光リミッティング材料Aからの透過光L
Aが入射しており、上記の光リミッティング材料Bから
の透過光LBとの合成が行われる。
【0046】その際、ハーフミラー1と鏡3の間隔なら
びに鏡4とハーフミラー5との間隔の分だけ、光リミッ
ティング材料Bを透過する光路は光リミッティング材料
Aの光路より長い。したがって、この光路差を精密に調
整することによって、ハーフミラー5での透過光合成時
に180°位相を反転させて合成することが可能であ
る。
【0047】そして、第1実施例と同様に光リミッティ
ング材料の組み合わせを変えることにより、AND素
子、OR素子およびXOR素子を得ることができるので
ある。 (第3実施例)図12に示すように、光分配器をさらに
違った構成で実現することも可能である。
【0048】すなわち、図示しない二つの入力光を合成
した入力光Lを凹型のプリズム6で二本の光線に分配
し、その背後に控えた凸型のプリズム7で二本の平行光
線に直して、二つの光リミッティング材料AおよびBに
入射させるのである。ここで上記のプリズム6は、台形
のプリズム二つを面対象に突き合わせたものであり、凹
部に鋭い谷を形成しているものとする。
【0049】このようにして分配された二本の平行光線
が、光リミッティング材料A,Bを透過した後は、第1
実施例または第2実施例と同じく、鏡4とハーフミラー
5とを組み合わせた光合成器によって一本の出力光LC
に合成される。その際、透過光LAとLBとの間には、
鏡4とハーフミラー5との間隔だけの光路差が生じる。
そこで、この間隔を精密に設定することにより、光リミ
ッティング材料A,Bからの透過光を、180°の位相
差を持たせて逆位相で合成することができるのである。
【0050】ただし、入力光Lが円形の断面をもって入
射すると、左右別々の半円形の断面の光線に分配される
ため、合成時にきっちりと重ならない不具合が生じる心
配がある。そこで、入力光Lは、プリズム6の対称面を
中心とする長方形の断面を持っていることが望ましい。
そして、第1実施例と同様に光リミッティング材料の組
み合わせを変えることによってAND素子、OR素子お
よびXOR素子を得ることができるのである。 (第4実施例)以上の実施例は、空間上をコヒーレント
光が入射してくることを前提に光演算素子を考えたが、
今度は光ファイバ上を入射してくる光を処理して演算を
行う光演算素子を考えよう。
【0051】図13は、光ファイバを光分配器と光合成
器に使用した場合の、本発明による光リミッティング材
料を用いた光演算素子の一実施例である。図示しない二
つの入力光を合成した入射光Lは、光ファイバ8の上流
側から入射してくる。この光ファイバ8には途中にビー
ムスプリッタ9があり、入射光Lを光リミッティング材
料Aに導く光ファイバ8と、光リミッティング材料Bに
導く光ファイバ8とに、半分づつ分配する。ここで、ビ
ームスプリッタ9は、二本の光ファイバ8,8の側面の
一部を削って半円状にしたものを切削面を合わせて接合
したもので、光ファイバ内を伝達してくる光線を、その
接合部で分配する性質を持ったものである。そして、逆
流した光がノイズとならないよう、反対側の終端は無反
射終端10にしてある。
【0052】このようにして半分づつに分配された入射
光は、光ファイバ8,8の終端から放射され、さらに上
記終端に焦点が合うように設置された凸レンズ11、1
1によって平行光線に直されて、光リミッティング材料
A,Bにそれぞれ入射するのである。そして、上記光リ
ミッティング材料A,Bを透過してきた平行光線は、そ
れぞれ凸レンズ11、11によって集光され、再び光フ
ァイバ8、8に入射する。そして透過光LA,LBとな
ってビームスプリッタ9に集合し、合成されて出力光L
Cとなって出力される。なお、ビームスプリッタ9で合
成された光の半分は、無反射終端10に導かれ、そこで
吸収されて終わってしまう。
【0053】ここで、出力光が合成されるに際し、光リ
ミッティング材料Aに付随する光ファイバ8の長さと、
光リミッティング材料Bに付随する光ファイバ8の長さ
とに差があることに注意を要する。この差を精密に設定
してやることにより、180°の位相差をもって透過光
LA,LBを合成することが可能になるのである。光フ
ァイバ8の長さを調整する他に、あるいは、凸レンズ1
1と光リミッティング材料A,Bとの距離を微調整する
ことによって光路差を調整し、位相を調節することも可
能である。
【0054】こうして第1実施例と同様に光リミッティ
ング材料の組み合わせ次第でAND素子、OR素子およ
びXOR素子を得ることができるのである。ただし凸レ
ンズを用いるこの構成では、光リミッティング材料A,
B内を透過する光線の強度の空間分布が必ずしも一様に
ならない可能性があるため、演算素子として余り好まし
い特性が得られない恐れがある。
【0055】本例は、請求項5に対応するものである。 (第5実施例)ここまでの説明では、光リミッティング
材料を両端が透明なガラス等のセルに入れて使うことを
想定していたため、凸レンズが必要になったのである
が、今度は光ファイバを直接光リミッティング材料に接
続することを考えてみる。
【0056】図14に示すように、本実施例では光リミ
ッティング材料A,Bを、それぞれごく細い筒体12、
12に封入する。同筒体の内面は鏡面処理されており、
その両端からは光ファイバ8、8、8、8が水密に挿入
されて、更にシール材で両端部が封印されているもので
ある。左側から入射した入力光Lは、図示しない二つの
入力光を合成したものであって、先の実施例と同じく光
ファイバ8、8を接合したビームスプリッタ9で分割さ
れ、光ファイバ8、8を通って筒体12、12の左端に
導かれ、直接筒体12、12内の光リミッティング材料
A,Bにそれぞれ入射する。そして透過光LA,LB
は、筒体右端に接続された光ファイバ8、8を通ってビ
ームスプリッタ9の働きを持つ接合部で合成され、出力
光LCとなって、光ファイバ8の右端から出力されるの
である。この合成に際しては、図からも明らかなよう
に、光ファイバ8、8、8、8の長さに差があり、光路
長が異なるので、これを精密に設定することにより位相
差180°で透過光LA,LBを合成することが可能で
ある。なお、前記接合部で分岐した出力光の一部は、無
反射終端10で吸収されるので、干渉して悪影響を及ぼ
すことはない。
【0057】こうして第1実施例と同様に光リミッティ
ング材料の組み合わせを変えることによりAND素子、
OR素子およびXOR素子を得ることができるのであ
る。本実施例では先の実施例と異なり、光ファイバ8、
8、8、8の先端部を直接光リミッティング材料A,B
に接続するため、凸レンズを必要としない。また、ガラ
ス等のセルに代わってごく細く小さい筒体12、12を
使用するため、全体を極めて小型軽量に制作することが
できるという利点がある。
【0058】本実施例も先の第3実施例と同じく、請求
項5に対応するものである。 (結論)以上詳述したように、本発明による光リミッテ
ィング材料を用いた光演算素子によれば、シンプルな構
成でAND素子、OR素子に加えて、XOR素子の機能
を持った光演算素子を提供することが可能になるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハーフミラーとプリズムによる光リミッティン
グ材料を用いた光演算素子の構成図。
【図2】2種類の光リミッティング材料をそれぞれ透過
した光線LAおよびLBの位相関係を表す模式図。
【図3】光リミッティング材料AおよびBの光学特性を
表すグラフ。
【図4】光リミッティング材料AとBとを用いた光演算
素子の光学特性を表すグラフ。
【図5】光リミッティング材料CおよびDの光学特性を
表すグラフ。
【図6】光リミッティング材料CとDとを用いた光演算
素子の光学特性を表すグラフ。
【図7】ジフェニルジアセチレンオリゴマーおよびフェ
ニルアセチレンオリゴマーの光学特性を表すグラフ。
【図8】ジフェニルジアセチレンオリゴマーとフェニル
アセチレンオリゴマーとを用いた光演算素子の光学特性
を表すグラフ。
【図9】ジフェニルジアセチレンオリゴマーおよびフラ
ーレンC60の光学特性を表すグラフ。
【図10】ジフェニルジアセチレンオリゴマーとフラー
レンC60とを用いた光演算素子の光学特性を表すグラ
フ。
【図11】ハーフミラーと鏡とによる光リミッティング
材料を用いた光演算素子の構成図。
【図12】凹型と凸型のプリズムで光分配器を構成した
光演算素子の構成図。
【図13】光ファイバと凸レンズを用いた光演算素子の
構成図。
【図14】光ファイバと筒体を用いた光演算素子の構成
図。
【符号の説明】
A 光リミッティング材料 B 光リミッティング材料 E 光リミッティング材料を用いた光演算素子 H ハーフミラー L 入力光 L1 入力光その1 L2 入力光その2 LA 光リミッティング材料Aの透過光 LB 光リミッティング材料Bの透過光 LC LA,LBを逆位相で合成した出力光 1 ハーフミラー 2 プリズム 3、4 鏡 5 ハーフミラー 6 凹型プリズム 7 凸型プリズム 8、8、8、8 光ファイバ 9、9 光ファイバを接合したビームスプリッタ 10、10 無反射終端 11、11、11、11 凸レンズ 12、12 内面が鏡面の筒体
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 高橋 秀郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入射したコヒーレント光を2本の光線に分
    配する光分配器と、上記2本の光線の行路内にそれぞれ
    配置された、入射光強度対透過光強度の関係特性が異な
    る2種類の光リミッティング材料と、同材料を透過する
    2本の透過光を位相差180°をもって1本に合成する
    光合成器とからなることを特徴とする光演算素子。
  2. 【請求項2】前記の2種類の光リミッティング材料は、
    入射光が弱い範囲ではそれらの透過率が同一であり、入
    射光強度を上げていくと飽和透過光強度の異なる2種類
    の光リミッティング材料で構成されている請求項1記載
    の光演算素子。
  3. 【請求項3】前記2種類の光リミッティング材料は、入
    射光が弱い範囲では透過率に差があり、入射光強度が高
    くなると飽和透過光強度の一致する2種類の光リミッテ
    ィング材料で構成されている請求項1記載の光演算素
    子。
  4. 【請求項4】前記光分配器は、入射光行路に対して斜め
    に配置されたハーフミラーを有し、また、光合成器が一
    方の光リミッティング材料を透過する透過光の行路内に
    斜めに置かれたハーフミラーを有し、かつ、前記光分配
    器または光合成器のいずれかが2本の光線に位相差を持
    たせるためのプリズムを有することを特徴とする、請求
    項1の光演算素子。
  5. 【請求項5】前記光分配器が2本の光ファイバを接合し
    たビ−ムスプリッタからなり、また、光合成器もそれぞ
    れの光リミッティング材料からの透過光を誘導する2本
    の光ファイバを接合してなることを特徴とする、請求項
    1の光演算素子。
JP16230394A 1994-07-14 1994-07-14 光リミッティング材料を用いた光演算素子 Pending JPH0829821A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002027397A3 (en) * 2000-09-29 2003-08-14 Charles Romaniuk Optical coupler-based programmable phase logic device
JP2006156511A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Sony Corp 光電変換素子及び光電変換装置

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