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JPH08291012A - 植物の土壌病害防除法 - Google Patents

植物の土壌病害防除法

Info

Publication number
JPH08291012A
JPH08291012A JP7098413A JP9841395A JPH08291012A JP H08291012 A JPH08291012 A JP H08291012A JP 7098413 A JP7098413 A JP 7098413A JP 9841395 A JP9841395 A JP 9841395A JP H08291012 A JPH08291012 A JP H08291012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
gliocladium
plant
plants
organic matter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7098413A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Matsuzaki
克彦 松崎
Genshi Suzuki
源士 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP7098413A priority Critical patent/JPH08291012A/ja
Publication of JPH08291012A publication Critical patent/JPH08291012A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物栽培用土にグリオクラディウム属に属す
る真菌を施用することにより植物の土壌病害を防除する
方法において、植物栽培用土中におけるグリオクラディ
ウム属に属する真菌の増殖性、定着性、保存性を高め
て、栽培植物の土壌病害を効率的に持続性をもって防除
する方法を提供する。 【構成】 植物栽培用土にグリオクラディウム属に属す
る真菌を施用することにより植物の土壌病害を防除する
方法において、前記植物栽培用土に有機物、好ましく
は、ピートモス、木材チップ、パルプカス、完熟腐葉
土、完熟堆肥を用土全量に対して乾燥重量で5重量%以
上となるように配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の土壌病害防除法
に関し、詳しくはグリオクラディウム属に属する真菌を
用いた効果的な植物の土壌病害防除法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、栽培植物を各種病害から保護する
方法として、安全性、効果の持続性を考慮して、各種病
害を引き起こす病原菌と拮抗する微生物を用いて病害の
発生を予防する方法が広く用いられている。
【0003】これまでに栽培植物の土壌病害を防除する
のに用いられてきた微生物としては、トリコデルマ属、
グリオクラディウム属に属する真菌類、ストレプトマイ
セス属に属する放線菌、バチルス属やシュードモナス属
に属する細菌等が挙げられ、これらの微生物を用いた植
物の土壌病害防除法やこれらの微生物を含有する土壌病
害防除剤も数多く研究開発されている。
【0004】この中でグリオクラディウム属に属する真
菌を用いた土壌病害防除関連の研究開発としては、例え
ば、特開平3−95105号公報に記載の、多孔質担体
と、胞子形成し希酸により処理された真菌類(トリコデ
ルマ属菌、タラロマイセス属菌、グリオクラディウム属
菌等)とを含有する植物の土壌病害を抑制又は予防する
ためのバイオコントロール調整品や、特開平5−262
614号公報記載の、土壌性植物病原体に対する防除能
力を有する真菌類(トリコデルマ属菌、グリオクラディ
ウム属菌)を培養し、この培養物を不活性化された土壌
性植物病原体に曝すことで前記真菌類の土壌性植物病原
体に対する防除能力を高めて土壌病害防除剤とするとい
う土壌病害防除剤の製造方法等がある。
【0005】この様にグリオクラディウム属に属する真
菌を土壌病害防除に利用する場合、グリオクラディウム
属菌は通常菌体培養物として用いられている。菌体培養
の方法として、ポテトデキストロース培地、ツアペック
ドックス培地、サブロー培地などの液体培地を用いて培
養する方法が一般的であるが、液体培養物は保存性が悪
く、培養終了時の菌体は急速に死滅、溶菌がおこるとい
う問題があった。そこで、培養物の保存性を改善する方
法として、上記特開平3−95105号公報に記載の発
明のように、胞子形成した菌体培養物を多孔質担体に混
合して保存する方法、あるいは、前記液体培地を多孔質
担体に含浸させて担体上で胞子形成の多い菌体培養物と
して培養する方法等が取られるようになった。しかし、
この様な菌体の保存性を向上させた菌体含有組成物であ
っても、これを植物栽培用土に施用した場合、前記植物
栽培用土に菌体が増殖するために必要な栄養源が十分に
存在しないと、グリオクラディウム属に属する真菌が植
物栽培用土中で増殖しないか増殖が遅くまた定着性が悪
く、土壌病害を十分に防除できないという問題があっ
た。
【0006】この様に、植物栽培用土にグリオクラディ
ウム属に属する真菌を施用することにより植物の土壌病
害を防除する方法において、グリオクラディウム属に属
する真菌を施用した後、栽培用土中でグリオクラディウ
ム属に属する真菌を増殖、定着させまた保存性を向上さ
せて、効率的に持続性をもって栽培植物の土壌病害を防
除するような土壌病害防除法が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、植物栽培用土にグリオクラディ
ウム属に属する真菌を施用することにより植物の土壌病
害を防除する方法において、植物栽培用土中におけるグ
リオクラディウム属に属する真菌の増殖性、定着性、保
存性を高めて、栽培植物の土壌病害を効率的に持続性を
もって防除する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、植物栽培用土に有機物を用土全量に
対して乾燥重量で5重量%以上配合し、そこにグリオク
ラディウム属に属する真菌を施用することとした。
【0009】すなわち本発明は、植物栽培用土にグリオ
クラディウム属に属する真菌を施用することにより植物
の土壌病害を防除する方法において、前記植物栽培用土
に有機物を用土全量に対して乾燥重量で5重量%以上と
なるように配合することを特徴とする植物の土壌病害防
除法である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
土壌病害防除法においては、植物栽培用土にグリオクラ
ディウム属に属する真菌を施用することにより植物の土
壌病害を防除するが、本発明に用いられるグリオクラデ
ィウム属菌としては、グリオクラディウム属に属する真
菌であれば特に限定されず、例えば、グリオクラディウ
ム・オウレウム(Gliocladiumaureum)、グリオクラデ
ィウム・カテニュレータム(Gliocladium catenulatu
m)、グリオクラディウム・デリクエッセンス(Gliocla
dium deliquescens)、グリオクラディウム・ニグラム
(Gliocladium nigrum)、グリオクラディウム・ペニシ
ロイデス(Gliocladium penicilloides)、グリオクラ
ディウム・ロゼウム(Gliocladium roseum)、グリオク
ラディウム・サガリエンシス(Gliocladiumsagariensi
s)、グリオクラディウム・ベルモエセニ(Gliocladium
vermoeseni)、グリオクラディウム・ビレンス(Glioc
ladium virens)等を挙げることができる。これらは、
1種を単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用
いてもよい。
【0011】上記グリオクラディウム属に属する真菌を
本発明に用いるに際しては、菌体をグリオクラディウム
属に属する真菌の菌体が増殖可能な培地で培養した培養
物を用いればよく、更に、培養により胞子が十分に形成
されたグリオクラディウム属に属する真菌を含有する培
養物を用いることがより好ましい。
【0012】グリオクラディウム属に属する真菌の培養
は、通常の微生物の培養方法と同様にして行うことが可
能である。例えば、実験室的には、ポテトデキストロー
ス寒天培地で10日間、25℃で培養する等の培養法が
挙げられる。大量培養する場合には、通常の液体培養で
も、また、フスマ等の植物由来の固体成分、糖や窒素源
を含浸させた多孔質体等を用いた固体培養も可能であ
る。
【0013】また、胞子形成が十分になされたグリオク
ラディウム属菌培養物を得るには、例えば、以下に示す
方法で、グリオクラディウム属菌を培養すればよい。ま
ず、オートクレーブ等で滅菌されたポテトデキストロー
ス培地でグリオクラディウム属菌を液体培養する。次
に、培地として、植物由来の固体成分、例えば、トウモ
ロコシの残渣、サツマイモ、ジャガイモの皮やデンプン
分離後の残渣、野菜、果実の絞りかす、ステビアの抽出
残渣、ビールかす、酒かす(酵母を含む)、穀類、豆
類、油糧種子等から得られる固体成分等と、多孔質担
体、例えば、ゼオライト、アタパルジャイト、セピアラ
イト、モンモリロナイト、パーライト、鹿沼土、赤玉
土、軽石、炭、サンゴ砂等を含有するもの(好ましい混
合比は、多孔質担体の配合量が植物由来の固体成分の配
合量の5〜70重量%)を用意し、これをオートクレー
ブ等で滅菌後、この培地に上記グリオクラディウム属菌
の液体培養物を接種し、15〜35℃で2〜40日間培
養する。得られた培養物は、そのまま、または必要に応
じて乾燥させてから本発明に用いることができる。
【0014】本発明の土壌病害防除法では、この様に調
整されたグリオクラディウム属に属する真菌培養物を植
物の栽培用土に施用するが、その際、グリオクラディウ
ム属に属する真菌の栄養源として栽培用土に有機物を、
用土全体を乾燥したときに用土全量に対して5重量%以
上の有機物が含有するように配合する。グリオクラディ
ウム属に属する真菌培養物を施用する際に、栽培用土中
の有機物含量が5重量%以下であるとグリオクラディウ
ム属に属する真菌の土壌への定着性、増殖性、保存性が
低下し、十分な土壌病害防除効果が得られないことがあ
る。
【0015】本発明の防除方法において、上記栽培用土
に含有させる有機物としては、有機物であれば特に制限
されないが、例えば、穀類、豆類、及びそれらの廃棄物
(フスマ、米ヌカ、オカラ等)、完熟堆肥、完熟腐葉
土、パルプカス、ピートモス、木材チップ、杉等の樹皮
等に含まれる有機物等を挙げることができる。更に、こ
れらの有機物のうちでも本発明においては、土壌中に一
般に存在する種々の糸状菌や細菌にとっては栄養源にな
りにくいけれどもグリオクラディウム属菌にとっては栄
養源となりうる様な有機物が好ましく用いられる。この
様な特徴をもつ本発明の土壌病害防除法に好ましく用い
られる有機物としては、完熟堆肥や完熟腐葉土等に含ま
れる発酵が進んだ有機物や、パルプカス、ピートモス、
木材チップ、杉等の樹皮等に含まれる一般の土壌微生物
には分解されにくい有機物等を挙げることができる。本
発明においては、この様な有機物を栽培土壌に配合する
ことで、グリオクラディウム属に属する真菌のみを選択
的に増殖させて土壌に定着させることを可能とし、また
菌の保存性も向上させて、効率的に持続性をもって土壌
病害を防除することを可能としている。
【0016】本発明の土壌病害防除法において栽培用土
に有機物を含有させる際には、有機物を植物由来、動物
由来の種々の素材から取り出して用いてもよいが、使用
性の点から有機物を含有する素材そのものを用いること
が好ましい。この様な有機物含有素材として植物由来の
ものとしては、例えば、パルプカス、ピートモス、木材
チップ、杉等の樹皮等を、動物由来の有機物含有素材と
しては、牛糞、鶏糞、魚粉等を挙げることができる。ま
た、これら植物由来、動物由来の各種有機物含有素材は
1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが可能
であるが、2種以上を混合したものとして、完熟堆肥や
完熟腐葉土等を好ましく挙げることができる。更に、こ
れらのうちでも本発明においては、植物由来の有機物含
有素材を主とする素材、例えば、完熟腐葉土、完熟堆
肥、ピートモス、パルプカス、木材チップ等を用いるこ
とが好ましい。これらの有機物含有素材は、素材により
異なるが、概ね5〜95重量%の割合で有機物を含有す
る。
【0017】本発明においては、これらの有機物含有素
材を栽培用土全量に対して有機物含量が5重量%以上と
なるように配合するのであるが、植物に由来する有機物
含有素材の多くは、土壌中で発酵し酸素を消費したりア
ンモニアや硫化水素等の有害物を多量に発生するような
有機物を含有することが少ないので、植物由来有機物含
有素材を用土に混合する場合は、用土全量に対する植物
由来有機物含有素材の配合量の上限を100重量%とす
ることも可能である。しかし、動物に由来する有機物含
有素材は、土壌中で発酵し酸素を消費したりアンモニア
や硫化水素等の有害物を多量に発生するような有機物を
含有することが多いので、動物由来有機物含有素材を用
土に混合する場合には、用土全量に対する動物由来有機
物含有素材の配合量の上限を30重量%程度とすること
が好ましい。
【0018】ここで、本発明の土壌病害防除に用いる完
熟腐葉土としては、落葉樹林帯から得られるよく分解さ
れた完熟腐葉土を用いることが好ましいがこの様な完熟
腐葉土は次第に入手が困難となってきており、その代用
品として、例えば、次のようにして製造した完熟腐葉土
を使用することも可能である。屋根付きの熟成場に、モ
ミガラと、サクラ、コナラを中心とした落葉樹の落葉、
水分60%程度の活性汚泥、水分65%程度のオカラ、
鶏糞、化成肥料等を適当な分量で層状に積み上げ、2〜
4ヶ月に1回程度の割合で切り返しながら半年〜2年間
腐熟させ完熟腐葉土とする。
【0019】また、本発明の土壌病害防除に用いる完熟
堆肥とは、一般に完熟堆肥といわれているものと何ら変
わりがなく、例えば、次のようにして製造することがで
きる。稲藁、オガクズ、牛糞、石炭灰等を適当な分量で
屋根付きの熟成場に積み上げ、2〜3ヶ月に1回程度の
割合で切り返し、半年〜2年間熟成して完熟堆肥とす
る。この様にして得られる完熟腐葉土、完熟堆肥は、上
記理由により発酵が十分に進んでいるものが本発明にお
いて好ましく用いられる。
【0020】また、上記有機物含有素材としてピートモ
スを用いる場合、ピートモス中に含まれるフミン酸等が
水に溶けて栽培土壌のpHを低くして栽培植物に害を与
えることがあるので、ピートモスを用土に配合する以前
に、水洗処理したり、あるいは、ピートモスに酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、石炭灰、炭等を添加したりし
て、ピートモスのpH調整を行うことが好ましい。
【0021】本発明の土壌病害防除法における栽培用土
の基材としては、一般的な材料、例えば、畑土、田土、
山土、赤玉土、炭、ゼオライト、パーライト、バーミキ
ュライト、鹿沼土、軽石、サンゴ砂等から選ばれる1種
又は2種以上を挙げることができる。また、栽培用土に
は、上記有機物以外に、各種目的に応じた各種成分を配
合することが可能であり、例えば、緩効性肥料等を配合
することがよく行われる。
【0022】この様にして調整された栽培用土に、植物
の栽培時にグリオクラディウム属に属する真菌(上述の
グリオクラディウム属菌の培養物等)を施用するが、具
体的には、栽培植物の種子にグリオクラディウム属菌を
まぶしてこれを栽培用土に播種する、メリクロン菌を馴
化する際にグリオクラディウム属菌を馴化用土壌に加え
る、栽培植物の培土にグリオクラディウム属菌を施用し
て植物を栽培する、例えば、栽培植物の種子を播種す
る、挿し芽をする、タネイモを播く、あるいは苗を作っ
て鉢上げ時、又は定植時にグリオクラディウム属菌を植
物の根元の土壌に施用する、移植した苗の根の周辺表土
にグリオクラディウム属菌を混合する等の方法を挙げる
ことができる。
【0023】グリオクラディウム属に属する真菌の施用
量については、栽培用土100gに対してグリオクラデ
ィウム属菌コロニー形成単位として10〜1011CFU
となるように施用することが好ましい。この施用量が、
栽培用土100gに対して10CFUより少ないと土壌
病害防除効果の発現が不安定になりやすく、また10 11
CFUを越えて施用しても効果は頭打ちになり経済的に
不利である。
【0024】本発明の土壌病害防除法が適用される植物
としては、特に制限されないがナス、キュウリ、ホウレ
ンソウ、ネギ等のナス科、ウリ科、アカザ科、ユリ科か
ら選ばれる野菜を、本発明の土壌病害防除法を適用した
ときに顕著な効果が得られる植物として挙げることがで
きる。また、本発明の土壌病害防除法が適用される植物
の土壌病害としては、病原菌がかび類に属するもの、例
えば、ピシウム属、リゾクトニア属、コルティシウム
属、スクレロチニア属、バーティシリウム属、フザリウ
ム属又はフィトフィトラ属に属する菌類を病原菌とする
土壌病害を挙げることができる。
【0025】具体的には、例えば、ナス、トマト、ピー
マン、キャベツ等の苗立枯病菌リゾクトニア・ソラニ
(Rhizoctonia solani)、ネギ、キク、インゲン等の白
絹病菌コルティシウム・ロルフシィー(Corticium rolf
sii)、レタス、キャベツ等の菌核病菌スクレロチニア
・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、ホ
ウレンソウの苗立枯病菌ピシウム・ウルティマム(Pyth
ium ultimum)やピシウム・アファニデルマータム(Pyt
hium aphanidermatum)、ナス、トマト等の半身萎ちょ
う病菌バーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dah
liae)、トマト、ホウレンソウ等の萎ちょう病菌、ウリ
類のつる割病菌、キャベツ、カブ等の萎黄病菌フザリウ
ム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、ピーマン
疫病菌フィトフィトラ・カプシチ(Phytophthora capsi
ci)等を挙げることができる。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0027】
【製造例1】 グリオクラディウム属に属する真菌の培
養 粒径2〜3mmの焼成アタパルジャイト1重量部にゼオ
ライト1重量部を混合して得られた無機担体に1kg当
たり350mLの割合でポテトデキストロース培地を含
浸させ、これを25cm×30cm×10cmの蓋付ス
テンレスバットに入れ120℃で20分間のオートクレ
ーブ殺菌を行い固体培地とした。
【0028】上記で得られた固体培地にグリオクラディ
ウム・ビレンス(Gliocladium virens)IFO 916
9を植菌し28℃で14日間培養した後、滅菌水5Lを
加えて静かに撹拌し径0.2mmの篩でこれを濾過し
た。得られた濾液を遠心分離機にかけて固形物を沈殿さ
せ、取り出した沈殿物を滅菌水に懸濁させて7.1×1
9個/mLの胞子を含むグリオクラディウム属に属す
る真菌懸濁液を得た。
【0029】また、上記グリオクラディウム・ビレンス
と同様にしてグリオクラディウム・デリクエッセンス
(Gliocladium deliquescens)IFO9016の胞子
4.3×109個/mLを含むグリオクラディウム属に
属する真菌懸濁液を得た。
【0030】
【製造例2】 グリオクラディウム属に属する真菌の培
養 水道水を加えて水分67%としたフスマ3kgを25c
m×30cm×10cmの蓋付ステンレスバット3個に
1kgずつ入れ、オートクレーブにて120℃で20分
間の殺菌を行った。その後、各ステンレスバットにグリ
オクラディウム・デリクエッセンス(Gliocladium deli
quescens)IFO 9016、グリオクラディウム・ペ
ニシロイデス(Gliocladium penicilloides)IFO5
869、グリオクラディウム・ロゼウム(Gliocladium
roseum)IFO31390をそれぞれ植菌し、27℃で
18日間の培養を行った。
【0031】
【製造例3】 病原菌汚染源の作製 粒径1〜3mmの焼成モンモリロナイト、焼成ゼオライ
ト、焼成アタパルジャイトの各1重量部ずつを混合して
得られた無機担体に、1kg当たり400mLのポテト
デキストロース培地を含浸させた。これに、水分60%
のフスマ1kgを加えて混合し、40cm×60cm×
10cmの蓋付ステンレスバットに入れた。この様な培
地を入れたステンレスバットを計4個用意し、オートク
レーブにて120℃で20分間殺菌した後、ステンレス
バットにそれぞれリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia
solani)、コルティシウム・ロルフシィー(Corticium
rolfsii)、ピシウム・ウルティマム(Pythium ultimu
m)、ピシウム・アファニデルマータム(Pythium aphan
idermetum)の病原菌を植菌した。この4個のステンレ
スバットを24℃のインキュベーター内に入れて16日
間の培養を行った。その後、27℃の通風乾燥機にステ
ンレスバットを移し、内容物を撹拌しながら2日間乾燥
し、病原菌の接種源を作製した。
【0032】
【実施例1〜4】800℃で焼成した赤玉土60kg、
軽石20kg、酸化カルシウムでpH6.2に調整した
ピートモス20kgに緩効性肥料マグアンプK(グレー
ス社製)250gを添加して栽培用土を作製した。この
栽培用土の有機物含有量は乾物換算で14.6%であっ
た。この栽培用土を36cm×45cm×15cmのプ
ラスチックコンテナ4個のそれぞれに底から10cmま
で入れ、このそれぞれに製造例1で製造したグリオクラ
ディウム・ビレンスの胞子懸濁液300mLを散布しよ
く混合し十分潅水した。このコンテナ4個を温室内に置
き1日1回軽く潅水して4日間が経過後、各コンテナ表
面に製造例3で作製した病原菌接種物の3種(ピシウム
・ウルティマム、リゾクトニア・ソラニ(コンテナ2
個)、ピシウム・アファニデルマータム)をそれぞれ1
50gずつ散布し、表層のみ軽く混和した。
【0033】その後、ピシウム・ウルティマムを接種し
たコンテナとピシウム・アファニデルマータムを接種し
たコンテナには、ホウレンソウ(品種:おかめ)の種子
を30粒ずつ(実施例1、2)、リゾクトニア・ソラニ
を接種したコンテナの1個にはキュウリ(品種:ときわ
地這)の種子を30粒(実施例3)、リゾクトニア・ソ
ラニを接種したコンテナの残りの1個にはナス(品種:
千両2号)の種子を30粒(実施例4)それぞれ播種し
た。これらのコンテナを温室内に置き、30日間育苗し
て苗の立ち枯れ数をそれぞれ測定した。
【0034】比較のために、上記ピートモス20kgの
替わりにバーミキュライト20kgに置き換えたこと以
外は実施例1〜4と同様の方法で栽培用土を作製した。
この栽培用土の有機物含有量は乾物換算で1%以下であ
った。この栽培用土を用いて実施例1〜4と同様の試験
を行った。
【0035】上記実施例の試験結果を比較例の試験結果
とともに表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】この結果から明らかなように、植物栽培用
土に有機物を含有させてグリオクラディウム属に属する
真菌を接種する本発明の土壌病害防除方法によれば、有
機物を殆ど含有しない植物栽培用土にグリオクラディウ
ム属に属する真菌を接種した比較例に比べ、キュウリ、
ナス、ホウレンソウの土壌病害を非常に効率よく防除し
ている。
【0038】
【製造例4】 育苗土の作製 山土を篩にかけ3mm以上の粒子を除去した。この山土
200kgにパーライト40kg、天然ゼオライト20
kg、バーミキュライト10kg、サンゴ砂5kg及び
緩効性肥料マグアンプK400gを添加した。この育苗
土中の有機物全量は乾物換算で1%以下であった。
【0039】
【製造例5】 完熟腐葉土の作製 モミガラ3m3、サクラ、コナラを中心とした落葉樹の
落葉10m3に、水分60%の活性汚泥80kg、水分
65%のオカラ120kg、鶏糞90kg、化成肥料
(N−P−K=10−10−10)32kgを屋根付き
の熟成場に層状に積み上げ、4ヶ月に1回の割合で切り
返しながら1.5年間腐熟させた。この完熟腐葉土の有
機物含量は乾物換算で21.8%であった。
【0040】
【製造例6】 完熟堆肥の作製 稲藁100kg、オガクズ200kg、牛糞5000k
g、石炭灰500kgを屋根付きの熟成場に積み上げ、
3ヶ月に1回の割合で切り返し、1.5年間熟成して完
熟堆肥を作製した。この完熟堆肥の有機物含量は17.
2%であった。
【0041】
【実施例5〜9】製造例4で製造した育苗土に製造例5
で製造した完熟腐葉土あるいは製造例6の完熟堆肥を表
2に示す種々の割合で混合した後、各混合物の水分を測
定し、水分が62%になるように水道水を加えて撹拌し
た。得られた栽培用土のそれぞれに製造例2で製造した
グリオクラディウム・ロゼウムIFO31390の接種
物を1重量%ずつ接種混合して室内に3日間放置した。
その後、各用土に製造例3で製造したコルティシウム・
ロルフシィーの病原菌接種物を0.5重量%ずつ接種
し、各用土につき30個ずつのペーパーポット(日本甜
菜製糖製)に詰めた。
【0042】このペーパーポットにポット当たり3個の
ネギ(品種:浅黄系九条葱、タキイ種苗製)の種子を播
種し、1ヶ月間温室内で栽培した。その間にコルティシ
ウム・ロルフシィーにより罹病した株を測定し、以下の
式により発病株率を算出した。
【0043】
【数1】発病株率(%)={発病株数/(発病株数+健
全株数)}×100
【0044】比較のために、製造例4で製造した育苗土
に製造例5で製造した完熟腐葉土あるいは製造例6の完
熟堆肥を、混合物中の有機物含量が本発明の範囲外とな
るように混合した以外は、上記実施例5〜9と同様にし
て栽培用土を作製し、上記実施例5〜9と同様にしてネ
ギの栽培試験を行った。
【0045】上記実施例の試験結果を比較例の試験結果
とともに表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】この結果から明らかなように、植物栽培用
土に有機物を含有させてグリオクラディウム属に属する
真菌を接種する本発明の土壌病害防除方法によれば、有
機物を殆ど含有しない植物栽培用土にグリオクラディウ
ム属に属する真菌を接種した比較例に比べ、ネギの白絹
病菌による土壌病害を非常に効率よく防除している。
【0048】
【実施例10〜15】製造例5で製造した完熟腐葉土及
び製造例6で製造した完熟堆肥を水分48%になるまで
水道水を加えた後、これらの10kgをそれぞれペール
缶に入れクロルピクリンを加えて蓋をして7日間保持し
た。その後、蓋を取りときどき内部をかき回してガス抜
きを行いながら10日が経過した後、これに滅菌水を加
えて水分を48%まで高めた。一方、上記同様にして水
分48%にした製造例5の完熟腐葉土及び製造例6の完
熟堆肥をそれぞれ10kgずつペール缶に入れ、オート
クレーブにてペール缶の中心部が80℃になるまで加温
した後、オートクレーブに入れたまま自然放冷し、その
後、これに滅菌水を加えて水分を48%まで高めた。更
に、上記同様にして水分48%にした製造例5の完熟腐
葉土及び製造例6の完熟堆肥をそれぞれ10kgずつペ
ール缶に入れ、その後何も処理しなかったものも準備し
た。
【0049】これら6個のペール缶のそれぞれに、上記
製造例1で得られたグリオクラディウム・デリクエッセ
ンスIFO9016の胞子を4.3×109個/mLの
割合で含む懸濁液200mLずつを撹拌しながら添加し
た。その後、ペール缶に軽く蓋をしたまま25℃の恒温
室にて静置した。静置開始から1ヶ月後及び6ヶ月後に
各ペール缶内容物中のグリオクラディウム属に属するの
真菌の菌数を測定した。
【0050】比較のために製造例4で製造した育苗土を
上記と同様にしてオートクレーブで殺菌し水分を48%
にして、これに上記と同様にグリオクラディウム・デリ
クエッセンスを接種して同様の実験を行った。
【0051】なお、菌数の測定は次の方法で行った。試
料を任意に10gとり、殺菌水で100mLに希釈し、
ワーリングブレンダーに2分かけて分散させた。この分
散液を1mLとり、殺菌水で任意に希釈し、その0.1
mLを表3に示す組成のグリオクラディウム属に属する
真菌選択培地(Smith,V.L.1990 Phytopothology,80:880
より)に植え25℃で1週間培養し生育しているグリオ
クラディウムの菌濃度を測定した。
【0052】
【表3】 実施例の結果を、比較例の結果と共に表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】この結果から明らかなように、本発明の方
法により有機物を含有する栽培用土に施用されたグリオ
クラディウム属に属する真菌は、比較例の有機物を殆ど
含有しない栽培用土に施用されたグリオクラディウム属
に属する真菌に比べ、その用土がオートクレーブ処理や
クロルピクリン処理されていなくても、増殖、定着性が
よく、また6ヶ月後でも菌数の低下は少なく良好な保存
性を示しているといえる。
【0055】
【発明の効果】植物栽培用土にグリオクラディウム属に
属する真菌を施用することにより植物の土壌病害を防除
する方法において本発明の土壌病害防除法を用いれば、
植物栽培用土中におけるグリオクラディウム属に属する
真菌の増殖性、定着性、保存性を高めて、栽培植物の土
壌病害を効率的に持続性をもって防除することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物栽培用土にグリオクラディウム属に
    属する真菌を施用することにより植物の土壌病害を防除
    する方法において、前記植物栽培用土に有機物を用土全
    量に対して乾燥重量で5重量%以上となるように配合す
    ることを特徴とする植物の土壌病害防除法。
  2. 【請求項2】 請求項1において有機物を主として植物
    由来の有機物含有素材として植物栽培用土に配合するこ
    とを特徴とする植物の土壌病害防除法。
  3. 【請求項3】 植物由来の有機物を含有する素材が、ピ
    ートモス、木材チップ、パルプカス、完熟腐葉土、完熟
    堆肥から選ばれる請求項2記載の土壌病害防除法。
  4. 【請求項4】 土壌病害がナス科、ウリ科、アカザ科、
    ユリ科から選ばれる野菜に対する病害である請求項1記
    載の防除方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000018241A1 (en) * 1998-09-30 2000-04-06 Her Majesty The Queen In Right Of Agriculture Of Canada As Represented By The Minister Of Agriculture And Agri-Food Canada Gliocladium roseum strains useful for the control of fungal pathogens in plants
JP2002145712A (ja) * 2000-11-06 2002-05-22 National Institute Of Agrobiological Sciences 微生物を定着させたおからからなる植物保護剤及びそれを用いた植物病害の防除方法
JP2009153526A (ja) * 2009-04-03 2009-07-16 Sumitomo Forestry Co Ltd ピシウム属菌に対する拮抗微生物の検出方法、該拮抗微生物およびそれを用いた土壌病害防除剤

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