JPH08277941A - メカニカルシール - Google Patents
メカニカルシールInfo
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- JPH08277941A JPH08277941A JP7769895A JP7769895A JPH08277941A JP H08277941 A JPH08277941 A JP H08277941A JP 7769895 A JP7769895 A JP 7769895A JP 7769895 A JP7769895 A JP 7769895A JP H08277941 A JPH08277941 A JP H08277941A
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- 238000007789 sealing Methods 0.000 claims abstract description 68
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 claims description 69
- 238000004891 communication Methods 0.000 claims description 9
- 239000012530 fluid Substances 0.000 abstract description 75
- 238000005299 abrasion Methods 0.000 abstract 2
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 21
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 3
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 2
- 230000003746 surface roughness Effects 0.000 description 1
Landscapes
- Mechanical Sealing (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 回転数の小さいとき、又は逆回転するとき、
軸封面に所定の流体圧が発生せず、軸封面に摩耗、焼損
が発生しシール性が悪化する不具合を解消できるメカニ
カルシールを提供する。 【構成】 軸封面を形成する回転リング1の後端面、若
しくは固定リング2の前端面に、円環状に凹設された円
周溝14、円周溝14の外周側の回転リングの後端面に
凹設された半径方向、若しくはらせん形の外周側溝1
5、18、および円周溝14に外周端が開口し、円周溝
の内径縁と固定リングの内径縁の中間に内周端を配置し
た、内周側半径方向溝16からなる。 【効果】 軸封面には回転リング1と固定リング2のす
きまの大きさにより変動する流体圧が発生し、両リング
1、2の接触が防止でき、シール面の磨耗、焼損を防止
し,シール性を保持できる。
軸封面に所定の流体圧が発生せず、軸封面に摩耗、焼損
が発生しシール性が悪化する不具合を解消できるメカニ
カルシールを提供する。 【構成】 軸封面を形成する回転リング1の後端面、若
しくは固定リング2の前端面に、円環状に凹設された円
周溝14、円周溝14の外周側の回転リングの後端面に
凹設された半径方向、若しくはらせん形の外周側溝1
5、18、および円周溝14に外周端が開口し、円周溝
の内径縁と固定リングの内径縁の中間に内周端を配置し
た、内周側半径方向溝16からなる。 【効果】 軸封面には回転リング1と固定リング2のす
きまの大きさにより変動する流体圧が発生し、両リング
1、2の接触が防止でき、シール面の磨耗、焼損を防止
し,シール性を保持できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転軸の軸封部からの
流体の漏洩を防止するメカニカルシール、特に、ガス圧
縮機、ポンプなどの高圧回転機械の軸封部に使用される
メカニカルシールに関する。
流体の漏洩を防止するメカニカルシール、特に、ガス圧
縮機、ポンプなどの高圧回転機械の軸封部に使用される
メカニカルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来のメカニカルシールの一例
を示す縦断面図、図8は、その回転リング1の軸封面1
2(摺動面)を示す部分正面図である。これらの図に示
すように、メカニカルシールは、回転軸5の外周面と回
転軸5を囲繞するケーシング8の内周面で形成される高
圧室3と低圧室4の間を、回転軸5の外周面に一対の軸
スリーブ6、7で固定された回転リングの後端面と、ケ
ーシング8の内周面に嵌挿されたシールハウジング9、
および後端がシールハウジング9とばね10を介装して
取付けられ、シールハウジング9の内部を前後動する支
持リング11を介装して取付けられ、ばね10の弾性力
で回転リング1の後端面に押圧される固定リング2の前
端面で形成される円環状の軸封面12でシールするよう
にしている。
を示す縦断面図、図8は、その回転リング1の軸封面1
2(摺動面)を示す部分正面図である。これらの図に示
すように、メカニカルシールは、回転軸5の外周面と回
転軸5を囲繞するケーシング8の内周面で形成される高
圧室3と低圧室4の間を、回転軸5の外周面に一対の軸
スリーブ6、7で固定された回転リングの後端面と、ケ
ーシング8の内周面に嵌挿されたシールハウジング9、
および後端がシールハウジング9とばね10を介装して
取付けられ、シールハウジング9の内部を前後動する支
持リング11を介装して取付けられ、ばね10の弾性力
で回転リング1の後端面に押圧される固定リング2の前
端面で形成される円環状の軸封面12でシールするよう
にしている。
【0003】このシールは、図8に示す如く、回転リン
グ1の軸封面12には、その外周部から内周方向へ向け
て、円周方向に複数個のらせん溝13が設けられてお
り、回転軸5の回転Rとともに、回転リング1外周部の
流体を内周方向へ移送して行うようにしている。すなわ
ち、回転軸5の回転Rにより、回転リング1の軸封面1
2に設けられた複数個のらせん溝13によって、回転リ
ング1の外周の高圧室3側の流体を内周方向に移送する
ことにより、軸封面12に発生する流体力、及び外周部
から内周部へ作用する高圧室3と低圧室4との圧力差に
よって流れる流体力が、回転リング1と固定リング2の
軸封面12に作用し、回転リング1の後端面と固定リン
グ2の前端面の接触を防止するようにしている。
グ1の軸封面12には、その外周部から内周方向へ向け
て、円周方向に複数個のらせん溝13が設けられてお
り、回転軸5の回転Rとともに、回転リング1外周部の
流体を内周方向へ移送して行うようにしている。すなわ
ち、回転軸5の回転Rにより、回転リング1の軸封面1
2に設けられた複数個のらせん溝13によって、回転リ
ング1の外周の高圧室3側の流体を内周方向に移送する
ことにより、軸封面12に発生する流体力、及び外周部
から内周部へ作用する高圧室3と低圧室4との圧力差に
よって流れる流体力が、回転リング1と固定リング2の
軸封面12に作用し、回転リング1の後端面と固定リン
グ2の前端面の接触を防止するようにしている。
【0004】また、回転リング1のらせん溝13の効果
により発生する流体力の大きさは、回転リング1の後端
面と固定リング2の前端面の間の摺動すきまの大きさに
よって変化するため、固定リング2の背面に作用する流
体力と、支持リング11を介して押圧するばね10の力
の和と、摺動すきま内で発生する流体力により固定リン
グ2の前端面に作用する力の和が等しくなるように、固
定リング2は軸方向に移動し、回転リング1の後端面と
固定リング2の前端面との間に軸方向のすきまが保持さ
れる。このようにして、回転中に両リング1、2を、微
小なすきまを介して非接触で保持するとともに、高圧室
3から低圧室4への流体の漏洩を抑えるようにしてい
る。
により発生する流体力の大きさは、回転リング1の後端
面と固定リング2の前端面の間の摺動すきまの大きさに
よって変化するため、固定リング2の背面に作用する流
体力と、支持リング11を介して押圧するばね10の力
の和と、摺動すきま内で発生する流体力により固定リン
グ2の前端面に作用する力の和が等しくなるように、固
定リング2は軸方向に移動し、回転リング1の後端面と
固定リング2の前端面との間に軸方向のすきまが保持さ
れる。このようにして、回転中に両リング1、2を、微
小なすきまを介して非接触で保持するとともに、高圧室
3から低圧室4への流体の漏洩を抑えるようにしてい
る。
【0005】しかしながら、上述したメカニカルシール
では、らせん溝13による回転時の外周流体の移送によ
り発生する流体力により、回転リング1と固定リング2
との間を非接触に保持し、しかも、高圧室3から回転リ
ング1と固定リング2との間の軸方向すきまを通り、低
圧室4側へ流出する流体の漏洩量を低減するためには、
前記両リング1、2間の軸方向すきまを小さくし、安定
してそのすきまを保持する必要があるため、らせん溝3
1により流体の移送効果を大きくする回転軸5の回転が
所定の回転数まで上昇するまでは、両リング1、2の対
向する端面は接触して摺動することとなる。
では、らせん溝13による回転時の外周流体の移送によ
り発生する流体力により、回転リング1と固定リング2
との間を非接触に保持し、しかも、高圧室3から回転リ
ング1と固定リング2との間の軸方向すきまを通り、低
圧室4側へ流出する流体の漏洩量を低減するためには、
前記両リング1、2間の軸方向すきまを小さくし、安定
してそのすきまを保持する必要があるため、らせん溝3
1により流体の移送効果を大きくする回転軸5の回転が
所定の回転数まで上昇するまでは、両リング1、2の対
向する端面は接触して摺動することとなる。
【0006】このため、高圧室3と低圧室4との圧力差
が大きい条件で使用されるメカニカルシールでは、両リ
ング1、2の接触力が大きくなり、このときの回転によ
り、両リング1、2の軸封面12に面粗れを生じ、シー
ル性が悪くなるという不具合がある。また、らせん溝1
3により流体を移送し、発生する流体力を利用するよう
にしているため、所定の回転方向と反対の回転方向に、
回転軸5が回転する場合には、らせん溝13では流体が
逆方向に移送され、所定の流体圧が軸封面12に発生せ
ず、両リング1、2の摺動面は接触して摺動し、両リン
グ1、2の摩耗、焼損へとつながる不具合がある。
が大きい条件で使用されるメカニカルシールでは、両リ
ング1、2の接触力が大きくなり、このときの回転によ
り、両リング1、2の軸封面12に面粗れを生じ、シー
ル性が悪くなるという不具合がある。また、らせん溝1
3により流体を移送し、発生する流体力を利用するよう
にしているため、所定の回転方向と反対の回転方向に、
回転軸5が回転する場合には、らせん溝13では流体が
逆方向に移送され、所定の流体圧が軸封面12に発生せ
ず、両リング1、2の摺動面は接触して摺動し、両リン
グ1、2の摩耗、焼損へとつながる不具合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来のメカニカルシールの不具合を解消するため、低回転
数条件、又は逆回転条件においても、回転リングと固定
リングが接触して摺動することを防止するとともに、両
リングの軸方向のすき間を小さくして、高圧室から低圧
室への流体を少くした、安定したすき間を保持できるよ
うにしたメカニカルシールを提供することを課題とす
る。
来のメカニカルシールの不具合を解消するため、低回転
数条件、又は逆回転条件においても、回転リングと固定
リングが接触して摺動することを防止するとともに、両
リングの軸方向のすき間を小さくして、高圧室から低圧
室への流体を少くした、安定したすき間を保持できるよ
うにしたメカニカルシールを提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本発明のメカ
ニカルシールは次の手段とした。 (1)回転リングと固定リングの対向面で形成される円
環状の円周溝を、回転リングの端面、若しくは固定リン
グの端面の少くとも一方に円周方向に凹設した。円周溝
は、軸封面を形成する固定リングに対向する回転リング
の対向面に設けても良く、また回転リングに対向した固
定リングの対向面に設けても良い。また、円周溝は、円
環状の軸封面内に納るように凹設し、軸封面への開口が
軸封面の外周、若しくは内周に直接開口しないように、
略中間部に設けることが望ましい。しかし、円周溝の内
部は、連通孔等によって、固定リングの外周に連通する
ようにしても良い。 (2)円周溝の外周より外側の軸封面を形成する回転リ
ングの軸封面の円周方向に、複数条の外周側溝を凹設し
た。外周側溝は、放射状に半径方向に設けても良く、ま
た半径方向から円周方向に傾斜させて設けても良い。さ
らに、直線状にしても良く、曲線状のものにしても良
い。 (3)外周端部が円周溝に開口し、内周端が円周溝の内
周と固定リングの内周の間に位置する内周側半径方向溝
を、回転リングの軸封面の円周方向に複数条半径方向に
向けて設けた。内周側半径方向溝は、直線状でも、曲線
状にしても良く、また半径方向から円周方向に傾斜させ
て設けても良い。
ニカルシールは次の手段とした。 (1)回転リングと固定リングの対向面で形成される円
環状の円周溝を、回転リングの端面、若しくは固定リン
グの端面の少くとも一方に円周方向に凹設した。円周溝
は、軸封面を形成する固定リングに対向する回転リング
の対向面に設けても良く、また回転リングに対向した固
定リングの対向面に設けても良い。また、円周溝は、円
環状の軸封面内に納るように凹設し、軸封面への開口が
軸封面の外周、若しくは内周に直接開口しないように、
略中間部に設けることが望ましい。しかし、円周溝の内
部は、連通孔等によって、固定リングの外周に連通する
ようにしても良い。 (2)円周溝の外周より外側の軸封面を形成する回転リ
ングの軸封面の円周方向に、複数条の外周側溝を凹設し
た。外周側溝は、放射状に半径方向に設けても良く、ま
た半径方向から円周方向に傾斜させて設けても良い。さ
らに、直線状にしても良く、曲線状のものにしても良
い。 (3)外周端部が円周溝に開口し、内周端が円周溝の内
周と固定リングの内周の間に位置する内周側半径方向溝
を、回転リングの軸封面の円周方向に複数条半径方向に
向けて設けた。内周側半径方向溝は、直線状でも、曲線
状にしても良く、また半径方向から円周方向に傾斜させ
て設けても良い。
【0009】また、請求項2の本発明のメカニカルシー
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (4)固定リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設し
た。 (5)外周側溝として、外周端が回転リングの外周縁に
開口し、内周端が対向する固定リングの軸封面に凹設し
た円周溝の外周と、固定リングの外周との間に位置し、
回転リングの軸封面を半径方向に向けて外周側半径方向
溝を凹設した。
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (4)固定リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設し
た。 (5)外周側溝として、外周端が回転リングの外周縁に
開口し、内周端が対向する固定リングの軸封面に凹設し
た円周溝の外周と、固定リングの外周との間に位置し、
回転リングの軸封面を半径方向に向けて外周側半径方向
溝を凹設した。
【0010】また、請求項3の本発明のメカニカルシー
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (6)回転リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設し
た。 (7)上述した、(5)の手段と同様の外周側半径方向
溝を、外周側溝として設けた。
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (6)回転リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設し
た。 (7)上述した、(5)の手段と同様の外周側半径方向
溝を、外周側溝として設けた。
【0011】また、請求項4の本発明のメカニカルシー
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (8)固定リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設する
とともに、固定リングの内部を半径方向に穿設された連
通孔で、円周溝の内部を固定リングの外周に連通させ
た。 (9)外周側溝として、内周端が円周溝の軸封面への開
口と連通し、外周端が円周溝の外周と、固定リングの外
周の間に位置する、回転リングの軸封面にらせん形に凹
設された、らせん溝を設けた。らせん溝は、回転リング
の内周側から外周側に向かうとともに、回転リングの回
転方向に、傾斜する形状とした。
ルは、上述した(1)〜(3)の手段に加え、次の手段
とした。 (8)固定リングの軸封面に円周溝を円環状に凹設する
とともに、固定リングの内部を半径方向に穿設された連
通孔で、円周溝の内部を固定リングの外周に連通させ
た。 (9)外周側溝として、内周端が円周溝の軸封面への開
口と連通し、外周端が円周溝の外周と、固定リングの外
周の間に位置する、回転リングの軸封面にらせん形に凹
設された、らせん溝を設けた。らせん溝は、回転リング
の内周側から外周側に向かうとともに、回転リングの回
転方向に、傾斜する形状とした。
【0012】
【作用】本発明のメカニカルシールは、上述(1)〜
(3)の手段により、(1)回転軸外周部の高圧流体
は、高圧室と低圧室の圧力差により、回転リングと固定
リングとの間に形成された、軸封面のすきまを流れて内
周部の低圧側へと漏洩する。このとき、外周部の流体の
一部は、円周方向に複数個設けた外周側溝の浅い溝内を
流れ、回転数および回転方向に関係なく、多くの流体が
軸封面に設けた円周溝に流入する。また、円周溝内で、
円周方向の圧力アンバランスが小さくされた流体は、内
周側半径方向溝を通り、固定リングの内周と円周溝の内
周との中間部まで、回転数および回転方向に関係なく多
くの流体を移送できる。次に、内周側半径方向溝内から
溝のない平面部すきまへと流出する。
(3)の手段により、(1)回転軸外周部の高圧流体
は、高圧室と低圧室の圧力差により、回転リングと固定
リングとの間に形成された、軸封面のすきまを流れて内
周部の低圧側へと漏洩する。このとき、外周部の流体の
一部は、円周方向に複数個設けた外周側溝の浅い溝内を
流れ、回転数および回転方向に関係なく、多くの流体が
軸封面に設けた円周溝に流入する。また、円周溝内で、
円周方向の圧力アンバランスが小さくされた流体は、内
周側半径方向溝を通り、固定リングの内周と円周溝の内
周との中間部まで、回転数および回転方向に関係なく多
くの流体を移送できる。次に、内周側半径方向溝内から
溝のない平面部すきまへと流出する。
【0013】次に、外周側溝、および内周側半径方向溝
の各溝部から溝のない平面すきま部へと流出するときの
流体の軸封面内の圧力分布について説明する。軸封面内
の圧力分布は、溝の中を流れる流体の抵抗と、平面すき
まを流れる流体の抵抗との比で定まり、しかも、これら
の抵抗は、溝の深さ+すきまの大きさ、及びすきまの大
きさの3乗にそれぞれ比例する。このため、すきまが狭
くなると平面すきま部の抵抗が大きくなり、溝内の流体
の圧力降下は小さくなり、逆にすきまが大きくなると平
面すきま部の抵抗が小さくなり、外周側溝内の流体の圧
力降下は前者の場合に比べ大きくなる。
の各溝部から溝のない平面すきま部へと流出するときの
流体の軸封面内の圧力分布について説明する。軸封面内
の圧力分布は、溝の中を流れる流体の抵抗と、平面すき
まを流れる流体の抵抗との比で定まり、しかも、これら
の抵抗は、溝の深さ+すきまの大きさ、及びすきまの大
きさの3乗にそれぞれ比例する。このため、すきまが狭
くなると平面すきま部の抵抗が大きくなり、溝内の流体
の圧力降下は小さくなり、逆にすきまが大きくなると平
面すきま部の抵抗が小さくなり、外周側溝内の流体の圧
力降下は前者の場合に比べ大きくなる。
【0014】このように、軸封面の円周方向に複数個の
外周側溝、および内周側半径方向溝を設けることによ
り、回転リングに対して固定リングが接近し、両者の軸
方向すきまが小さくなると、軸方向すきま内の流体圧力
による軸方向の力は、前述した溝の効果により、大きく
なり両リングを離そうとする。逆に、固定リングが回転
リングより離れる方向に動くとき、前述した溝の効果に
より、軸方向すきま内の流体圧力による軸方向の力は小
さくなり、回転リングと固定リングは、固定リングの軸
方向背面の流体力、及びばね力により接近する方向に動
く。
外周側溝、および内周側半径方向溝を設けることによ
り、回転リングに対して固定リングが接近し、両者の軸
方向すきまが小さくなると、軸方向すきま内の流体圧力
による軸方向の力は、前述した溝の効果により、大きく
なり両リングを離そうとする。逆に、固定リングが回転
リングより離れる方向に動くとき、前述した溝の効果に
より、軸方向すきま内の流体圧力による軸方向の力は小
さくなり、回転リングと固定リングは、固定リングの軸
方向背面の流体力、及びばね力により接近する方向に動
く。
【0015】このようにして、円周方向に複数個設けた
溝による軸受効果により、回転数および回転方向に関係
なく、また高圧室と低圧室に大きな差圧がある条件にお
いても、回転リングと固定リングのすきまを小さく、し
かも、安定したものにできるとともに、回転リングと固
定リングが接触することを防止することができる。ま
た、この作用は、円周溝を設けたことにより、円環状に
形成された軸封面の全周に、均等に起り、回転リングと
固定リングの片あたり等の発生を防止することができ
る。
溝による軸受効果により、回転数および回転方向に関係
なく、また高圧室と低圧室に大きな差圧がある条件にお
いても、回転リングと固定リングのすきまを小さく、し
かも、安定したものにできるとともに、回転リングと固
定リングが接触することを防止することができる。ま
た、この作用は、円周溝を設けたことにより、円環状に
形成された軸封面の全周に、均等に起り、回転リングと
固定リングの片あたり等の発生を防止することができ
る。
【0016】さらに、流体切れを起しやすい固定リング
内周部に、内周側半径方向溝によって、回転方向によら
ず流体が供給されるため、正転、逆転のいずれの条件に
おいても、移送効率良く、流体が供給されるため、軸封
面内周部に流体切れを起すことがなくなる。また、内周
側半径方向溝の内周端を、固定リングの内周と円周溝の
間に配置するようにしているため、上述した回転リング
と固定リングの接触を防止できるほか、高圧室から低圧
室への流体の漏洩量を低減することができる。
内周部に、内周側半径方向溝によって、回転方向によら
ず流体が供給されるため、正転、逆転のいずれの条件に
おいても、移送効率良く、流体が供給されるため、軸封
面内周部に流体切れを起すことがなくなる。また、内周
側半径方向溝の内周端を、固定リングの内周と円周溝の
間に配置するようにしているため、上述した回転リング
と固定リングの接触を防止できるほか、高圧室から低圧
室への流体の漏洩量を低減することができる。
【0017】また、請求項2の本発明のメカニカルシー
ルによれば、上述(4)、(5)の手段により、上述
(1)に加え、(2)固定リング摺動面に円周溝を設け
ることにより、円周溝内の流体圧を高圧室と低圧室の圧
力の中間圧とすることができ、円周方向の圧力のアンバ
ランスを小さくすることができるとともに、加工が容易
となる。また、円周溝の外周側においても、上述した円
周溝の内周側と同等の作用が生じ、軸封面の半径方向に
おいても、均等な圧力分布となり、信頼性の高いメカニ
カルシールにできるとともに、シール性に変れたものと
することができる。
ルによれば、上述(4)、(5)の手段により、上述
(1)に加え、(2)固定リング摺動面に円周溝を設け
ることにより、円周溝内の流体圧を高圧室と低圧室の圧
力の中間圧とすることができ、円周方向の圧力のアンバ
ランスを小さくすることができるとともに、加工が容易
となる。また、円周溝の外周側においても、上述した円
周溝の内周側と同等の作用が生じ、軸封面の半径方向に
おいても、均等な圧力分布となり、信頼性の高いメカニ
カルシールにできるとともに、シール性に変れたものと
することができる。
【0018】また、請求項3の本発明のメカニカルシー
ルによれば、上述(6)、(7)の手段により、上述
(1)に加え、(3)回転リング摺動面に円周溝を設け
ることにより、外周側半径方向溝および内周側半径方向
溝と、円周溝の相対位置関係が、一義的に定まりメカニ
カルシールの組立が容易になるほか、上記(2)と同様
の作用が生じる。
ルによれば、上述(6)、(7)の手段により、上述
(1)に加え、(3)回転リング摺動面に円周溝を設け
ることにより、外周側半径方向溝および内周側半径方向
溝と、円周溝の相対位置関係が、一義的に定まりメカニ
カルシールの組立が容易になるほか、上記(2)と同様
の作用が生じる。
【0019】また、請求項4の本発明のメカニカルシー
ルによれば、上述(8)、(9)の手段により、上述
(1)に加え、(4)高圧側流体は、固定リングに設け
た連通孔により固定リングの軸封面に設けた円周溝内へ
導入される。この円周溝内に導入された流体は、円周溝
の外周側軸封面へは、回転リングに設けたらせん溝によ
り、回転軸の回転とともに、円周溝の外周方向へ移送さ
れることにより、流体圧を上昇させる。また、円周溝の
内周側軸封面へは、回転リングに設けた内周側半径方向
溝を通り内周側へと流出する。このとき、らせん溝の効
果は回転リングの回転時により発生する効果であるが、
内周側半径方向溝による効果は、高圧室と低圧室との圧
力差により発生する効果である。従って、高圧室より遠
い円周溝より内周側には、回転数の低い回転時、又は逆
回転時においても、上述(1)と同様の作用を生じ、同
様の効果が得られる。
ルによれば、上述(8)、(9)の手段により、上述
(1)に加え、(4)高圧側流体は、固定リングに設け
た連通孔により固定リングの軸封面に設けた円周溝内へ
導入される。この円周溝内に導入された流体は、円周溝
の外周側軸封面へは、回転リングに設けたらせん溝によ
り、回転軸の回転とともに、円周溝の外周方向へ移送さ
れることにより、流体圧を上昇させる。また、円周溝の
内周側軸封面へは、回転リングに設けた内周側半径方向
溝を通り内周側へと流出する。このとき、らせん溝の効
果は回転リングの回転時により発生する効果であるが、
内周側半径方向溝による効果は、高圧室と低圧室との圧
力差により発生する効果である。従って、高圧室より遠
い円周溝より内周側には、回転数の低い回転時、又は逆
回転時においても、上述(1)と同様の作用を生じ、同
様の効果が得られる。
【0020】また、らせん溝には、連通孔より円周溝に
供給された流体が流入するため、内周側半径方向溝と同
様に、このらせん溝内の流体圧力も、同一半径位置によ
る溝のない部分の摺動面の流体圧力より高くすることが
できる。従って、内周側半径方向溝、およびらせん溝を
設けない場合に比べ、回転リングと固定リング間の軸方
向すきま内で発生する流体力の合計は、溝を設けない場
合に比べ大きくなり、軸封面の両リングの接触を防止す
る力を大きくすることができる。
供給された流体が流入するため、内周側半径方向溝と同
様に、このらせん溝内の流体圧力も、同一半径位置によ
る溝のない部分の摺動面の流体圧力より高くすることが
できる。従って、内周側半径方向溝、およびらせん溝を
設けない場合に比べ、回転リングと固定リング間の軸方
向すきま内で発生する流体力の合計は、溝を設けない場
合に比べ大きくなり、軸封面の両リングの接触を防止す
る力を大きくすることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明のメカニカルシールの実施例を
図面にもとづき説明する。なお、本発明の実施例を示す
図面において、図7、図8に示した従来例のものと同一
の部分には、同一符号を付して重複する説明は省略する
こととした。
図面にもとづき説明する。なお、本発明の実施例を示す
図面において、図7、図8に示した従来例のものと同一
の部分には、同一符号を付して重複する説明は省略する
こととした。
【0022】図1は、本発明のメカニカルシールの第一
実施例を示す縦断面図、図2は、図1の矢視A−A図で
ある。
実施例を示す縦断面図、図2は、図1の矢視A−A図で
ある。
【0023】図に示すように、本実施例では、回転リン
グ1の後端面と相対して軸封面を形成する固定リング2
の前端の摺動面には、円周溝14が設けられている。ま
た、この円周溝14より外周に位置する回転リング1の
後端の摺動面には、回転リング1外周部より円周溝14
の外周縁と相対する固定リング2の摺動面外周縁の中間
部まで伸びた、外周側溝としての、浅い外周側半径方向
溝15を円周方向に複数個設け、また、固定リング2の
円周溝14の中央部に相対する回転リング1の摺動面位
置より、固定リング2の摺動面の内周縁に相対する位置
の外周側まで伸びた、円周方向に複数個の浅い内周側半
径方向溝16が設けられている。
グ1の後端面と相対して軸封面を形成する固定リング2
の前端の摺動面には、円周溝14が設けられている。ま
た、この円周溝14より外周に位置する回転リング1の
後端の摺動面には、回転リング1外周部より円周溝14
の外周縁と相対する固定リング2の摺動面外周縁の中間
部まで伸びた、外周側溝としての、浅い外周側半径方向
溝15を円周方向に複数個設け、また、固定リング2の
円周溝14の中央部に相対する回転リング1の摺動面位
置より、固定リング2の摺動面の内周縁に相対する位置
の外周側まで伸びた、円周方向に複数個の浅い内周側半
径方向溝16が設けられている。
【0024】本実施例のメカニカルシールは、上述の構
成により、回転軸5の外周部の高圧室3の高圧流体は、
回転リング1と固定リング2との摺動面すきまに設けら
れた外周側半径方向溝15を、高圧室3と低圧室4の圧
力差により、内周部の低圧側へと流されるとともに、外
周側半径方向溝15が設けられてない摺動面すきまに流
入する。また、外周側半径方向溝15の内周端まで流入
した高圧流体は、回転リング1と固定リング2との摺動
面すきまを通って円周溝14に流入し、円周溝14内で
全周方向の圧力が均等にされ、次いで外周部からの高圧
流体の一部は円周方向に複数個設けた半径方向の浅い内
周側半径方向溝16内を流れ、溝部から溝のない平面す
きまへと流出する。
成により、回転軸5の外周部の高圧室3の高圧流体は、
回転リング1と固定リング2との摺動面すきまに設けら
れた外周側半径方向溝15を、高圧室3と低圧室4の圧
力差により、内周部の低圧側へと流されるとともに、外
周側半径方向溝15が設けられてない摺動面すきまに流
入する。また、外周側半径方向溝15の内周端まで流入
した高圧流体は、回転リング1と固定リング2との摺動
面すきまを通って円周溝14に流入し、円周溝14内で
全周方向の圧力が均等にされ、次いで外周部からの高圧
流体の一部は円周方向に複数個設けた半径方向の浅い内
周側半径方向溝16内を流れ、溝部から溝のない平面す
きまへと流出する。
【0025】このときの高圧流体の圧力分布は、外周側
半径方向溝15と内周側半径方向溝16の中を流れる流
体の抵抗と、これらの溝15、16が設けてない平面す
きまを流れる流体の抵抗との比で定まり、しかも、この
抵抗は、溝の深さ+すきまの大きさ、及びすきまの大き
さの3乗にそれぞれ比例する。
半径方向溝15と内周側半径方向溝16の中を流れる流
体の抵抗と、これらの溝15、16が設けてない平面す
きまを流れる流体の抵抗との比で定まり、しかも、この
抵抗は、溝の深さ+すきまの大きさ、及びすきまの大き
さの3乗にそれぞれ比例する。
【0026】従って、円周方向に複数個の外周側、およ
び内周側半径方向溝15、16を、それぞれ設けたこと
により、回転リング1に対して固定リング2が接近し、
両者の軸方向すきまが小さくなると、軸方向すきま内の
流体圧力による軸方向の力は、これらの溝の効果により
大きくなり両リングを離そうとする。また、逆に、固定
リング2が回転リング1より離れる方向に動くとき、こ
れらの溝の効果により、軸方向すきま内の流体圧力によ
る軸方向の力は小さくなり、固定リング2は、軸方向背
面の流体力、及び支持リング11を介して後方に設けた
ばね10力により、回転リング1に接近する方向に移動
する。
び内周側半径方向溝15、16を、それぞれ設けたこと
により、回転リング1に対して固定リング2が接近し、
両者の軸方向すきまが小さくなると、軸方向すきま内の
流体圧力による軸方向の力は、これらの溝の効果により
大きくなり両リングを離そうとする。また、逆に、固定
リング2が回転リング1より離れる方向に動くとき、こ
れらの溝の効果により、軸方向すきま内の流体圧力によ
る軸方向の力は小さくなり、固定リング2は、軸方向背
面の流体力、及び支持リング11を介して後方に設けた
ばね10力により、回転リング1に接近する方向に移動
する。
【0027】このように、円周方向に複数個設けた外周
側半径方向溝15、および内周側半径方向溝16による
軸受効果により、高圧室3と低圧室4に大きな差圧があ
る条件下でも、回転リング1の後端面および固定リング
2の前端面の軸封面は、両リングが接触することを防止
することができる。また、この作用は回転軸5の回転方
向によらないため、正転、逆転のいずれの条件において
も有効に作用する。
側半径方向溝15、および内周側半径方向溝16による
軸受効果により、高圧室3と低圧室4に大きな差圧があ
る条件下でも、回転リング1の後端面および固定リング
2の前端面の軸封面は、両リングが接触することを防止
することができる。また、この作用は回転軸5の回転方
向によらないため、正転、逆転のいずれの条件において
も有効に作用する。
【0028】また、固定リング2摺動面に円周溝14を
設けたことにより、円周溝14内の流体圧を高圧室3と
低圧室4の圧力の中間圧とすることができ、円周方向の
圧力のアンバランスを小さくすることができるととも
に、加工が容易となる。また、円周溝14の外周側およ
び内周側に同等の流体圧が作用し、軸封面の半径方向に
おいても、均等な圧力分布とすることができ、信頼性の
高いメカニカルシールにできるとともに、シール性に変
れたものとすることができる。
設けたことにより、円周溝14内の流体圧を高圧室3と
低圧室4の圧力の中間圧とすることができ、円周方向の
圧力のアンバランスを小さくすることができるととも
に、加工が容易となる。また、円周溝14の外周側およ
び内周側に同等の流体圧が作用し、軸封面の半径方向に
おいても、均等な圧力分布とすることができ、信頼性の
高いメカニカルシールにできるとともに、シール性に変
れたものとすることができる。
【0029】次に、図3は、本発明の第2実施例を示す
縦断面図、図4は、図3の矢視B−B図である。ここ
で、本実施例の全体構成は第一実施例と同じであり、図
3では回転リング1と固定リング2の配置図のみを示
し、図4には回転リング1の摺動面を示している。
縦断面図、図4は、図3の矢視B−B図である。ここ
で、本実施例の全体構成は第一実施例と同じであり、図
3では回転リング1と固定リング2の配置図のみを示
し、図4には回転リング1の摺動面を示している。
【0030】本実施例では、第一実施例において固定リ
ング2の摺動面に設けた円周溝14を回転リング1の摺
動面に設けるようにした。これにより本実施例でも、上
述した第一実施例と同様の作用効果が得られるほか、同
一の回転リング1の摺動面に、円周溝14を設け、その
外周側に外周側半径方向溝15を、また、内周側に内周
側半径方向溝16を設けるようにしているので、組立時
において、これらの相対的な位置調整が不要となり、組
立作業が容易になる利点がある。
ング2の摺動面に設けた円周溝14を回転リング1の摺
動面に設けるようにした。これにより本実施例でも、上
述した第一実施例と同様の作用効果が得られるほか、同
一の回転リング1の摺動面に、円周溝14を設け、その
外周側に外周側半径方向溝15を、また、内周側に内周
側半径方向溝16を設けるようにしているので、組立時
において、これらの相対的な位置調整が不要となり、組
立作業が容易になる利点がある。
【0031】次に、図5は、本発明の第3実施例を示す
縦断面図、図6は、図5に矢視C−C図である。図に示
すように、本実施例においては、固定リング2の軸封面
には、前述した第一実施例と同様に、円周溝14が設け
られているとともに、この固定リング2には、この円周
溝14の内部を回転軸5の外周の高圧室3に連通する、
連通孔17が円周方向に複数個設けられている。
縦断面図、図6は、図5に矢視C−C図である。図に示
すように、本実施例においては、固定リング2の軸封面
には、前述した第一実施例と同様に、円周溝14が設け
られているとともに、この固定リング2には、この円周
溝14の内部を回転軸5の外周の高圧室3に連通する、
連通孔17が円周方向に複数個設けられている。
【0032】また、図6に示す如く、回転リング1の軸
封面に、回転軸5の回転Rにより、固定リング2の円周
溝14内の流体を高圧室3側方向へ移送するらせん溝1
8が、円周方向に複数個設けられている。このらせん溝
18の内周端は、前述したように、円周溝14内の流体
を高圧室3側へ移送するため、円周溝14に開口してい
るが、外周端は円周溝14の外周縁と固定リング2の外
周面の中間部に配置されている。また、回転リング1の
軸封面には、第1、第2実施例と同様に、相対する固定
リング2の軸封面に設けた円周溝14の内周側に、円周
方向に複数個の内周側半径方向溝16が設けられてい
る。
封面に、回転軸5の回転Rにより、固定リング2の円周
溝14内の流体を高圧室3側方向へ移送するらせん溝1
8が、円周方向に複数個設けられている。このらせん溝
18の内周端は、前述したように、円周溝14内の流体
を高圧室3側へ移送するため、円周溝14に開口してい
るが、外周端は円周溝14の外周縁と固定リング2の外
周面の中間部に配置されている。また、回転リング1の
軸封面には、第1、第2実施例と同様に、相対する固定
リング2の軸封面に設けた円周溝14の内周側に、円周
方向に複数個の内周側半径方向溝16が設けられてい
る。
【0033】高圧室3の高圧流体は、固定リング2の連
通孔12を通じて円周溝14へ流入するとともに、円周
溝14内の流体は、回転リング1のらせん溝18、及び
内周側半径方向溝16を通じて、それぞれ円周溝14の
外周方向、内周方向へ流出する。すなわち、回転リング
1の後端面と固定リング2の前端面の間に形成される軸
封面には、回転軸5の回転により、回転リング1の軸封
面に設けられた複数個のらせん溝18によって、固定リ
ング2の円周溝14内に連通孔17を通って流入した高
圧流体を、高圧室3側に移送することにより発生する流
体圧と、固定リング2の円周溝14から内周側半径方向
溝16を通って、低圧室4側へ流入する流体による圧力
が作用する。
通孔12を通じて円周溝14へ流入するとともに、円周
溝14内の流体は、回転リング1のらせん溝18、及び
内周側半径方向溝16を通じて、それぞれ円周溝14の
外周方向、内周方向へ流出する。すなわち、回転リング
1の後端面と固定リング2の前端面の間に形成される軸
封面には、回転軸5の回転により、回転リング1の軸封
面に設けられた複数個のらせん溝18によって、固定リ
ング2の円周溝14内に連通孔17を通って流入した高
圧流体を、高圧室3側に移送することにより発生する流
体圧と、固定リング2の円周溝14から内周側半径方向
溝16を通って、低圧室4側へ流入する流体による圧力
が作用する。
【0034】この場合、回転リング1のらせん溝18部
で発生する流体力は、回転リング1と固定リング2との
間の軸封面隙間によって変化するため、固定リング2に
作用する背面の流体力とばね10の力の和と、軸封面の
隙間内で発生する流体力の和が等しくなるように、固定
リング2は軸方向に移動し、回転リング1と固定リング
2との軸方向の隙間が適正に保持される。また、円周溝
14の内周側へは、回転リング1に設けた内周側半径方
向溝16を通り内周側へと流出し、第1実施例および第
2実施例と同様の作用、効果が得られる。
で発生する流体力は、回転リング1と固定リング2との
間の軸封面隙間によって変化するため、固定リング2に
作用する背面の流体力とばね10の力の和と、軸封面の
隙間内で発生する流体力の和が等しくなるように、固定
リング2は軸方向に移動し、回転リング1と固定リング
2との軸方向の隙間が適正に保持される。また、円周溝
14の内周側へは、回転リング1に設けた内周側半径方
向溝16を通り内周側へと流出し、第1実施例および第
2実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0035】なお、らせん溝18の効果は回転時に発生
する効果であるが、内周側に設けた内周側半径方向溝1
6による効果は、高圧室3と低圧室4との圧力差により
発生する効果であり、これらの溝内の流体圧力は同一半
径位置における溝のない摺動面の流体圧力より高くする
ことができる。このため、内周側半径方向溝16を設け
ない場合に比べ、回転リング1と固定リング2間の軸方
向すきま内で発生する流体力の合計は、内周側半径方向
溝16を設けない場合に比べ大きくなり、両リングの端
面の接触を防止する力を大きくすることができる。
する効果であるが、内周側に設けた内周側半径方向溝1
6による効果は、高圧室3と低圧室4との圧力差により
発生する効果であり、これらの溝内の流体圧力は同一半
径位置における溝のない摺動面の流体圧力より高くする
ことができる。このため、内周側半径方向溝16を設け
ない場合に比べ、回転リング1と固定リング2間の軸方
向すきま内で発生する流体力の合計は、内周側半径方向
溝16を設けない場合に比べ大きくなり、両リングの端
面の接触を防止する力を大きくすることができる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のメカニカル
シールによれば、特許請求の範囲に示す構成により、 (1)回転軸外周の高圧室と低圧室との間に、著しく大
きな圧力差がある条件下においても、軸封面を形成する
回転リングと固定リングの端面の接触を防止して、摩
耗、焼損を防止して、軸封面の面粗れを防止し、シール
性を良好に保つことができる。 (2)軸封面に設けた内周側半径方向溝、外周側溝を構
成する外周側半径方向溝、若しくは、らせん溝内に生じ
る流体圧と、溝を設けない平面部に発生する流体圧によ
り、回転リングと固定リングは、常に小さい隙間を形
成、保持できるため、高圧室から低圧室への流体の漏洩
量を低減でき、良好なシール性能を得ることができる。 (3)回転軸の回転数、若しくは回転方向によっても、
軸封面には適正な流体圧を発生でき、上述(1)、
(2)の効果が得られる。
シールによれば、特許請求の範囲に示す構成により、 (1)回転軸外周の高圧室と低圧室との間に、著しく大
きな圧力差がある条件下においても、軸封面を形成する
回転リングと固定リングの端面の接触を防止して、摩
耗、焼損を防止して、軸封面の面粗れを防止し、シール
性を良好に保つことができる。 (2)軸封面に設けた内周側半径方向溝、外周側溝を構
成する外周側半径方向溝、若しくは、らせん溝内に生じ
る流体圧と、溝を設けない平面部に発生する流体圧によ
り、回転リングと固定リングは、常に小さい隙間を形
成、保持できるため、高圧室から低圧室への流体の漏洩
量を低減でき、良好なシール性能を得ることができる。 (3)回転軸の回転数、若しくは回転方向によっても、
軸封面には適正な流体圧を発生でき、上述(1)、
(2)の効果が得られる。
【図1】本発明のメカニカルシールの第1実施例を示す
縦断面図である。
縦断面図である。
【図2】図1に示す矢視A−Aにおける回転リング後端
面を示す部分正面図である。
面を示す部分正面図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す回転リングと固定リ
ングの部分縦断面図である。
ングの部分縦断面図である。
【図4】図3に示す矢視B−Bにおける回転リング後端
面を示す部分正面図である。
面を示す部分正面図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す矢視C−Cにおける回転リングの後
端面の部分正面図である。
端面の部分正面図である。
【図7】従来のメカニカルシールの一例を示す縦断面図
である。
である。
【図8】図7に示す矢視D−Dにおける回転リングの部
分正面図である。
分正面図である。
1 回転リング 2 固定リング 3 高圧室 4 低圧室 5 回転軸 6 軸スリーブ 7 軸スリーブ 8 ケーシング 9 シールハウジング 10 ばね 11 支持リング 12 回転リングの軸封面 13 らせん溝 14 円周溝 15 外周側半径方向溝 16 内周側半径方向溝 17 連通孔 18 らせん溝
Claims (4)
- 【請求項1】 回転軸の外周面に固定した回転リング
と、前記回転軸を囲繞するケーシングの内周にばねを介
装して取付けられ、前記回転リングの端面を押圧する固
定リングで円環状の軸封面を形成して、前記回転軸の外
周の高圧室と低圧室との間を、前記軸封面でシールする
メカニカルシールにおいて、前記軸封面を形成する前記
回転リングの端面、若しくは固定リングの端面の少くと
も一方の円周方向に凹設された円周溝と、前記円周溝の
外周より外側の前記回転リングの前記軸封面に凹設され
た複数条の外周側溝と、前記円周溝に外周端部を開口さ
せ、前記円周溝の内周と前記固定リングの内周との間に
内周端が配置され、前記回転リングの前記軸封面に、半
径方向に凹設された複数条の内周側半径方向溝とを具え
たことを特徴とするメカニカルシール。 - 【請求項2】 前記円周溝が前記固定リングの前記軸封
面に設けられ、前記外周側溝が前記回転リングの外周に
外周端を開口させ、前記円周溝の外周と前記固定リング
の外周との間に、内周端が配置されて、前記回転リング
の前記軸封面に、半径方向に設けられた外周側半径方向
溝で形成されていることを特徴とする請求項1のメカニ
カルシール。 - 【請求項3】 前記円周溝が前記回転リングの前記軸封
面に設けられ、前記外周側溝が前記回転リングの外周に
外周端が開口し、前記円周溝の外周と前記固定リングの
外周との間に、内周端が配置されて、前記回転リングの
前記軸封面に、半径方向に設けた外周側半径方向溝で形
成されていることを特徴とする請求項1のメカニカルシ
ール。 - 【請求項4】 前記円周溝が前記固定リングの前記軸封
面に設けられ、前記固定リングに穿設された連通孔で、
前記固定リングの外周に連通し、前記外周側溝が前記回
転リングの前記軸封面に凹設され、内周端が前記円周溝
に開口し、外周端が前記固定リングの外周と前記円周溝
の外周の間に配置されたらせん溝で形成されていること
を特徴とする請求項1のメカニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7769895A JPH08277941A (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7769895A JPH08277941A (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | メカニカルシール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08277941A true JPH08277941A (ja) | 1996-10-22 |
Family
ID=13641123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7769895A Withdrawn JPH08277941A (ja) | 1995-04-03 | 1995-04-03 | メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08277941A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014042045A1 (ja) | 2012-09-11 | 2014-03-20 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
WO2014050920A1 (ja) | 2012-09-29 | 2014-04-03 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
WO2014061544A1 (ja) | 2012-10-18 | 2014-04-24 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
US10612666B2 (en) | 2012-09-11 | 2020-04-07 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding component |
CN114857272A (zh) * | 2022-03-31 | 2022-08-05 | 清华大学 | 端面密封组件 |
CN114857273A (zh) * | 2022-03-31 | 2022-08-05 | 清华大学 | 端面密封组件 |
-
1995
- 1995-04-03 JP JP7769895A patent/JPH08277941A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014042045A1 (ja) | 2012-09-11 | 2014-03-20 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
US10612666B2 (en) | 2012-09-11 | 2020-04-07 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding component |
WO2014050920A1 (ja) | 2012-09-29 | 2014-04-03 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
US9777840B2 (en) | 2012-09-29 | 2017-10-03 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding component |
WO2014061544A1 (ja) | 2012-10-18 | 2014-04-24 | イーグル工業株式会社 | 摺動部品 |
US9347566B2 (en) | 2012-10-18 | 2016-05-24 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding component |
CN114857272A (zh) * | 2022-03-31 | 2022-08-05 | 清华大学 | 端面密封组件 |
CN114857273A (zh) * | 2022-03-31 | 2022-08-05 | 清华大学 | 端面密封组件 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020604 |