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JPH08249615A - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

Info

Publication number
JPH08249615A
JPH08249615A JP4833395A JP4833395A JPH08249615A JP H08249615 A JPH08249615 A JP H08249615A JP 4833395 A JP4833395 A JP 4833395A JP 4833395 A JP4833395 A JP 4833395A JP H08249615 A JPH08249615 A JP H08249615A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic field
path
frequency
high frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4833395A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Kinoshita
幹夫 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP4833395A priority Critical patent/JPH08249615A/ja
Publication of JPH08249615A publication Critical patent/JPH08249615A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可
能な高感度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘ
ッドを提供する。 【構成】本発明は、検知磁界が導入される磁路(1)1
1と、高周波磁界が印加される磁路(2)12と、該磁
路(1)と該磁路(2)との交差部に存在し、上記検知
磁界と上記高周波磁界が交差する磁界変調部13と、該
磁路(2)に上記高周波磁界を印加する高周波磁界印加
用部材20と、該磁路(2)に設置される高周波磁束検
知用部材30とを有し、該磁界変調部13の高周波透磁
率の変化を利用することにより磁界を検知する磁気ヘッ
ドにおいて、上記磁界変調部13を構成する磁性体の飽
和磁束密度を該磁界変調部近傍の上記磁路(2)12を
構成する磁性体の飽和磁束密度より低くし、かつ、上記
磁界変調部を単磁区とするためのバイアス磁界印加用部
材40を有する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高密度磁気記録媒体
に記録された情報(微小磁界)の読み取りにも対応可能
な再生用の磁気ヘッド、あるいはメカ系の高感度な位置
センサ用の磁気ヘッド等に応用される磁気ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体に記録された情報を
読み取るための再生用磁気ヘッドとして、磁性体の高周
波透磁率の外部磁界依存性を利用する磁気ヘッドがあっ
た。この磁気ヘッドの動作原理は、1.検知対象の外部
磁界の周波数より高い周波数を有する高周波磁界を磁性
体に印加し、2.磁性体の高周波領域の透磁率を外部磁
界により変化させる。そして、3.磁性体に結合される
電磁素子により、磁性体の高周波領域でのインダクタン
ス変化を検知することにより外部磁界を検知するもので
ある。この磁気ヘッドの特徴は、微小な外部磁気モーメ
ントを検知する際の出力が、従来のインダクティブヘッ
ドと比較し、高いという特徴を持ち、新しい再生用磁気
ヘッド、あるいは、メカ系の位置センサ用の磁気ヘッド
等への応用が期待されている。
【0003】この磁気ヘッドについては様々なものが提
案されている。図8に従来技術の一例として、特開昭5
8−68205号公報記載の磁気再生装置の構成を示
す。図8の磁気再生装置では、磁性体110があり、こ
れに結合された第1インダクタンス素子111と第2の
インダクタンス素子112があり、磁気ヘッドを構成し
ている。第1のインダクタンス素子111はコンデンサ
114とともに一次側共振回路を構成し、高周波電源1
17に接続される。そして、第2のインダクタンス素子
112はコンデンサ118とともに二次側同調回路を構
成し、検波回路120に接続される構成である。この磁
気ヘッドは磁性体110の高周波透磁率の変化を利用し
ている。この磁気ヘッドは高出力が得られるが、磁性体
110全体での磁気記録媒体113に起因する磁界の強
度を十分に強くする必要が有る。このため微細な磁気記
録媒体の磁界に対応して、磁性体110を微細にする必
要性がある。しかし第1インダクタンス素子111及び
第2インダクタンス素子112の微細化には限度が有
り、磁性体110の高度な微細化は困難で、漏洩磁界が
微細な超高密度磁気記録媒体の読み取りは極めて困難で
ある。
【0004】この改良例として、特公平3−44361
号公報記載の磁気記録再生装置があり、図9に示す構造
を有している。図9において、磁性体M1 は図示のよう
な開磁路構造であるため、磁気記録媒体103に起因す
る検知磁界は、磁気記録媒体103から離れるにつれて
急速に減衰する。このため、検知磁界は主として磁気記
録媒体に近接する部分の第1の磁性体M1 に印加され
る。第1の磁性体M1 にはコイルが巻回され、第1のイ
ンダクタンス素子L1 を構成している。そして、コイル
102を有する第2の磁性体M2 があり、第2のインダ
クタンス素子L2を構成している。この第2のインダク
タンス素子L2 は第1のインダクタンス素子L1 と電磁
気的に結合されており、第2のインダクタンス素子L2
から第1のインダクタンス素子L1 に誘起された高周波
信号の変化を検知するものであり、第1のインダクタン
ス素子L1 に含まれる第1の磁性体M1 とは別体の第2
のインダクタンス素子L2 に含まれる磁性体M2 があ
る。この改良例では別体の磁性体M2 には二次側のイン
ダクタンス素子L2 用のコイルが巻回されるのみである
ため、磁性体M2 の小形化が可能である。しかし、実用
に耐える性能を持ち、かつ、ミクロン〜サブミクロンの
コイルを形成することは困難で、なおミクロン〜サブミ
クロンの微小な磁界を検知することは極めて困難であ
る。また、磁性体を微小にした場合には磁区構造に乱れ
が生じやすく、信号強度の低下や、バルクハウゼンノイ
ズ等の増加が生じやすく、S/N比の点で問題があっ
た。さらに、磁性体M1 とM2 とを別体としたことで、
磁気ギャップによる磁気抵抗の増加が有り、検知される
高周波磁界の振幅が低下し、高周波領域では必ずしも高
感度化に寄与しなかった。このため微小領域の磁界を検
知する磁気ヘッドの実現には問題があった。
【0005】また、上記従来例を磁気記録媒体の読み取
りに使用する場合では、高周波磁界が磁極から漏洩する
ため、ノイズの原因や磁気記録媒体の交流消去が懸念さ
れる。このため、高周波磁界の強度を上げ、検出感度を
上昇させることには一定の限界が有った。また、バイア
ス磁界を印加した場合、バイアス磁界が磁極から漏洩
し、磁気記録媒体に好ましくない磁界を印加するという
問題あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたものであって、請求項1に記載の発明におけ
る目的は、超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応
可能な高感度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気
ヘッドの提供にある。
【0007】請求項2に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、特に、高周波領域の検出出力の低下を抑制するこ
とを目的としている。
【0008】請求項3に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、特に、高周波領域の渦電流損失に起因する検出出
力の低下を防止することを目的としている。
【0009】請求項4に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、高周波磁界印加用部材の形成コストの低下を目的
としている。
【0010】請求項5に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、バイアス磁界印加用部材の形成コスト低下を目的
としている。
【0011】請求項6に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、検知磁界の精度の向上、及び検知磁界の最大値を
可変とし、検知磁界のダイナミックレンジを拡張するこ
とを目的としている。
【0012】請求項7に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、バイアス磁界に起因する高周波特性の劣化を、高
度に抑制することを目的としている。
【0013】請求項8に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比であり、検知磁界の精度に優れ、検知磁
界ダイナミックレンジが幅広いことを特徴とする再生用
の新規な磁気ヘッドにおいて、形成コストの低下を目的
としている。
【0014】請求項9に記載の発明における目的は、超
高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、高周波磁界の漏洩に起因する信号出力の低下を抑
制することを目的としている。
【0015】請求項10に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、磁気記録媒体への悪影響を抑制すること、及び、
S/N比の向上を目的としている。
【0016】請求項11に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能な高感
度、高S/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにお
いて、検知磁界の向きの判別を可能とすることを目的と
している。
【0017】請求項12に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能であ
り、かつ、検知磁界の向きの判別が可能な高感度、高S
/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにおいて、形
成コストの低下を目的としている。
【0018】請求項13に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能であ
り、かつ、検知磁界の向きの判別が可能な高感度、高S
/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにおいて、磁
界検知の精度向上を目的としている。
【0019】請求項14に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能であ
り、かつ、検知磁界の向きの判別が可能な高感度、高S
/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにおいて、媒
体の磁気情報の読み取りによる減衰を防止することを目
的としている。
【0020】請求項15に記載の発明における目的は、
超高密度磁気記録媒体等の微小磁界にも対応可能であ
り、かつ、検知磁界の向きの判別が可能な高感度、高S
/N比を有する再生用の新規な磁気ヘッドにおいて、電
磁ノイズの発生防止及び外部の電磁ノイズによる誤作動
を防止すること、そして、さらにこの磁気ヘッドに近接
配列に適する特性を付加することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
磁気ヘッドでは、検知磁界に対応する磁極を有する第一
の磁路(以下、磁路(1)と記す)と、この磁路(1)
と交差する第二の磁路(以下、磁路(2)と記す)があ
る。磁路(1)には検知磁界が導入される。磁路(1)
及び磁路(2)は、強磁性金属、合金、これらの元素を
含む窒化物、あるいはフェライトやYIG(イットリウ
ム・鉄・ガーネット)等の化合物の磁性体、あるいはそ
れらの組合わせであり、公知の磁性体で構成される。磁
路(2)の構造は閉磁路であるが、開磁路構造も可能で
ある。
【0022】そして、磁路(2)に高周波磁界を印加す
る高周波磁界印加用部材が、磁路(2)と電磁的に結合
されている。高周波磁界印加用部材は、高周波電源に接
続される導電部材や、高周波電磁場が導入される導波路
等である。磁路(2)が導電性を有する場合には、必要
に応じ電気的絶縁部材が付加される。高周波磁界の周波
数は磁路(2)の強磁性共鳴周波数の近傍もしくは強磁
性共鳴周波数未満の周波数領域に有る。具体的には、数
kHz〜数10GHzの範囲に有る。
【0023】磁路(1)と磁路(2)との交差部を磁界
変調部という。この意味は、磁界変調部において、磁気
記録媒体に起因する磁界と高周波磁界印加用部材に起因
する高周波磁界とが交差する構造である。磁界変調部の
磁性体の飽和磁束密度は、磁界変調部近傍に存在する磁
路(2)のそれより低い値をとる。磁界変調部の高周波
領域の透磁率は磁路(1)に導入される検知磁界により
変化する。磁界変調部は強磁性金属、合金、これらの元
素を含む窒化物、あるいはフェライトやYIG等の化合
物の磁性体、あるいはそれらの組合せであり、公知の磁
性体で構成される。磁性体の磁性は、強磁性、フェリ磁
性、寄生強磁性、超常磁性、らせん磁性、ミクト磁性等
のいずれかであるが、異なる磁性を示す磁性体を組合せ
てもよい。また、反強磁性体を下地層や上部磁性層、あ
るいは中間の磁性層として付随させても良い。
【0024】磁路(1)及び磁路(2)と磁界変調部と
の境界において、磁路(1)と磁界変調部及び磁路
(2)と磁界変調部とは磁気的に直接接続される。この
ため、磁路(1)と磁界変調部の磁性体が同種の場合に
は必ずしもその境界が明白でない場合も有る。なお、こ
の構造以外に、磁路(1)及び/または磁路(2)と磁
界変調部との境界において、単数または複数の微小ギャ
ップを有する構造も可能である。
【0025】磁界変調部を単磁区構造とするために、バ
イアス磁界がバイアス磁界印加用部材により印加され
る。バイアス磁界は高周波磁界と平行もしくは斜交して
いる。そして、高周波磁束検知用部材が磁路(2)に配
備される。高周波磁束検知用部材は、磁路(2)に電磁
的に結合されるコイルなどの導電部材に誘導される誘導
起電力を誘起し、高周波電界検知手段に接続可能なも
の、あるいは、磁気抵抗効果を利用し、高周波磁束やそ
の時間変化を検知するもの等があり、必要に応じ、検波
回路、共振回路やフィルターなどの電子回路が付加され
る。本発明の磁気ヘッドでは、高周波磁束検知用部材と
高周波磁界印加用部材との間に磁界変調部が存在する幾
何学的配置が採用され、磁界変調部の磁性体の透磁率変
化により高周波磁界の高周波磁界印加用部材から高周波
磁束検知用部材側への高周波磁束の伝播を変化させ得る
構造となっている。なお、磁気抵抗効果を用いる高周波
磁束検知用部材は、磁界変調部の抵抗率変化を測定する
ものでも良い。
【0026】本発明の請求項2の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項1の磁気ヘッドにおいて、高周波透磁率を高
めるために磁路(2)の磁界変調部近傍を一軸異方性を
有する磁性体で構成し、この磁化容易軸を高周波磁界に
対し垂直とする。すなわち、磁路(2)を構成する磁性
体の全てまたは磁界変調部近傍のみを一軸異方性を有す
る磁性体で構成し、この磁化容易軸を高周波磁界に対し
垂直とする。バイアス磁界が磁路(2)を通過する場合
には、磁路(2)におけるバイアス磁界が磁路(2)の
異方性磁界を上回らない範囲のバイアス磁界が印加され
る。
【0027】本発明の請求項3の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項1または請求項2による磁気ヘッドにおい
て、磁路(2)を絶縁層により隔てられた多層構造の強
磁性金属とすることを特徴としている。
【0028】本発明の請求項4の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項1,2または3の磁気ヘッドにおいて、高周
波磁界印加用部材が磁路(2)に巻回されるコイルを有
していることを特徴としており、このコイルは高周波電
源に接続される構造を有している。
【0029】本発明の請求項5の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項1,2,3または4の磁気ヘッドにおいて、
バイアス磁界印加用部材が永久磁石を有していることを
特徴としている。
【0030】本発明の請求項6の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項1,2,3,4または5において、バイアス
磁界印加用部材が単数または複数の直流磁界発生用のコ
イルを有していることを特徴としており、このコイルに
は直流電流が通電される。
【0031】本発明の請求項7の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項5または6の磁気ヘッドにおいて、バイアス
磁界印加用部材がバイアス磁界印加用の第三の磁路(以
下、磁路(3)と記す)を有していることを特徴として
いる。
【0032】本発明の請求項8の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項6の磁気ヘッドにおいて、バイアス磁界印加
用部材が磁路(2)に巻回される直流磁界発生用のコイ
ルを有することを特徴としている。
【0033】本発明の請求項9の磁気ヘッドでは、本発
明の請求項4及び8による磁気ヘッドにおいて、磁界変
調部と高周波磁界印加用部材との磁路(2)に沿う磁路
長の最短距離が、磁界変調部とバイアス磁界印加用部材
との磁路(2)に沿う磁路長の最短距離より小さいこと
を特徴としている。
【0034】本発明の請求項10の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9
の磁気ヘッドにおいて、磁路(1)と磁路(2)とを磁
界変調部において直交させることを特徴としている。
【0035】本発明の請求項11の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9また
は10の磁気ヘッドにおいて、検知磁界が0の状態での
磁界変調部の磁化の向きを、高周波磁界の向きに対し非
平行とすることを特徴としている。
【0036】本発明の請求項12の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項11の磁気ヘッドにおいて、結晶磁気異方
性、誘導磁気異方性、または形状磁気異方性、あるいは
これらの組合わせの作用により、磁界変調部の磁性体の
磁化容易軸を高周波磁界に対し非平行とし、かつ、磁化
困難軸を高周波磁界に対し非平行とすることを特徴とし
ている。
【0037】本発明の請求項13の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項11の磁気ヘッドにおいて、バイアス磁界
印加用部材が磁路(1)に巻回される直流バイアス磁界
発生用のコイルを有することを特徴としている。
【0038】本発明の請求項14の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,1
0,11,12または13の磁気ヘッドにおいて、高周
波磁界印加用部材の駆動周波数が磁路(1)の強磁性共
鳴周波数を上回ることを特徴としている。
【0039】本発明の請求項15の磁気ヘッドでは、本
発明の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,1
0,11,12,13または14の磁気ヘッドにおい
て、高周波磁界印加用部材及び磁路(2)の周囲に高透
磁率導電体からなるシールド手段を配備することを特徴
としている。
【0040】
【作用】本発明による磁気ヘッドでは、磁路(1)の内
部に記録媒体等からの検知磁界が導入される。検知磁界
の磁路内部の強度分布は、基本的には、検知磁界の起磁
力、検知磁界の周波数領域での磁路(1)の透磁率、及
び、磁界変調部の透磁率の分布に応じたものとなる。ま
た、高周波磁界印加用部材により磁路(2)内に検知磁
界の周波数を上回る周波数を有する高周波磁界が発生す
る。この高周波磁界の強度分布は、基本的には、高周波
磁界印加用部材による起磁力と磁気回路を構成する各部
分の磁気特性に応じたものとなる。高周波磁界はその場
所の磁路(2)と概ね平行である。磁界変調部の磁性体
の高周波領域の透磁率は、検波磁界により変化する。こ
のため、検知磁界の値もしくはその変化は、高周波磁束
検知用部材を用い検知される高周波磁束の振幅及び/ま
たは位相の変化を検知することにより検知することがで
きる。従って、これらの検知により記録媒体等に記録さ
れた磁気情報を再生することができる。
【0041】次に図面を参照して本発明による磁気ヘッ
ドの検出原理について説明する。図3は外部磁界Hが0
の状態で磁界変調部13の磁化が磁路(2)12に平行
な角度関係となる場合の、磁界変調部13近傍の磁路の
主要磁区の磁化の状態の概略を示す概念図である。この
状態は磁気異方性の無い磁性材料で磁界変調部13を構
成し、磁路(2)12に平行なバイアス磁界を印加した
場合に実現される。なお、図3は、磁路(1)11及び
磁路(2)12を一軸磁気異方性を有する磁性材料で構
成した場合に対応するが、磁界変調部13に関する以下
の議論は、磁路(1)及び磁路(2)が等方的な磁気的
性質やこれ以外の磁気異方性を有する場合にも成立す
る。また、図3で、磁路(2)12の断面積は磁界変調
部近傍で小さくなっているが、これ以外の場合も同様の
議論が成立する。なお、図3の矢印は磁性体の磁化の方
向を示す。バイアス磁界の作用により磁界変調部13の
磁性体は単磁区構造となる。図3では磁路(2)と磁界
変調部13の磁化は平行な角度関係に有り、従って高周
波磁界と平行である。一方、磁路(2)12の磁性体は
バイアス磁界に対し未飽和であり、高周波磁界に対して
非平行な角度関係に有る。
【0042】強磁性共鳴の周波数近傍もしくはこれ以下
の周波数領域で、磁性体の高周波透磁率は、磁性体の磁
化の向きと高周波磁界とのなす角度に依存し、かつ、反
磁界や磁気異方性の効果を考慮に入れた磁性体内部のス
ピンに対して作用する実効的な磁界の強度に依存する。
磁化の向きに関しては、高周波磁界の向きと磁化の向き
が平行である場合には透磁率は最小で、垂直である場合
に再大となる。また、磁性体内の磁性体内部の実効的な
磁界が強く、磁化に対する束縛力が大きいほど透磁率は
減少し、強磁性共鳴周波数は上昇する。このため、本発
明での磁界変調部13の高周波透磁率(実数部)はバイ
アス磁界の作用により低下する。しかし、磁路(2)1
2の飽和磁束密度が磁界変調部13より大きいために、
バイアス磁界の作用による磁路(2)12の磁化の角度
変化は著しいものではなく、高周波透磁率のバイアス磁
界による低下率は磁界変調部13と比較して小さい。即
ちバイアス磁界が磁路(2)12に対し作用した場合に
おいても、磁路(2)12の磁区の基本構造は変化せ
ず、高周波磁界に対する高い透磁率(実数部)を維持で
きる。
【0043】上記の状態で磁路(1)11を介して磁界
変調部13に検知磁界が作用すると、磁界変調部13の
磁化は、検知磁界の強度に応じてその角度を変化させ
る。図4に検知磁界が作用した状態での磁界変調部13
の主要磁区構造の概念図を示す。なお、検知磁界の周波
数は、磁路(1)11、磁路(2)12、及び磁界変調
部13の強磁性共鳴周波数未満の領域にある。磁路
(1)11を介し検知磁界に起因する磁界が磁界変調部
13に印加されるため、磁界変調部13の磁化は検知磁
界の強度変化に対応してその角度を変化させる。磁化の
回転角度は検知磁界とバイアス磁界との比に応じたもの
となる。なお、上述したように、検知磁界の周波数は強
磁性共鳴未満の周波数範囲に有るため検知磁界と磁化の
回転との位相差は無視できる。この状態で高周波磁界が
重畳されると、磁界変調部13の磁化は、検知磁界の周
波数で緩やかに変位する成分と、高周波の領域で変位す
る成分とが重畳された挙動を示す。ここで、高周波領域
の変位の振幅は、検知磁界に起因する磁化の回転角に依
存する。また、検知磁界の強度が強いほど高周波磁界と
磁界変調部13の磁化とのなす角が大きくなるため、磁
界変調部13の高周波透磁率の実数部は大きなものとな
るが、これにより高周波磁束検知手段により検知される
高周波磁束の振幅は増加する。即ち、高周波磁束検知手
段により検知される高周波磁束の振幅は検知磁界の絶対
値の増加と共に増加するものとなる。なお、検知可能な
磁界の上限は、バイアス磁界の強度に依存する。従っ
て、強い磁界を検知する場合には、これに対応してバイ
アス磁界の強度を増加させる。
【0044】図5は検知磁界が0の状態で磁界変調部1
3の磁化が磁路(2)12に対し斜交している場合の磁
界変調部13近傍の主要磁区の構造を示す概念図であ
る。図5の磁化状態は、バイアス磁界を磁路(2)12
に対し斜交して印加する。または、磁路(1)11に平
行なバイアス磁界と磁路(2)12に平行なバイアス磁
界とを重畳させる、あるいはバイアス磁界を磁路(2)
12に平行とし、かつ、磁界変調部13に形状磁気異方
性、結晶磁気異方性、誘導磁気異方性などの何らかの磁
気異方性を持たせ、バイアス磁界と磁化とを非平行な状
態とすることにより実現される。磁気異方性による場合
は、磁化容易軸を高周波磁界に対し非平行とし、かつ、
磁化困難軸を高周波磁界に対し非平行とする場合に、高
周波磁界と磁化との角度関係が一意に定まる。
【0045】図6は図5の磁化状態の磁界変調部13に
検知磁界+H0 が重畳された場合の主要磁区の概念図で
あり、また、図7は図5の磁化状態の磁界変調部13
に、検知磁界−H0 が重畳された場合の主要磁区の概念
図である。高周波磁束検知手段に検知される高周波磁束
の振幅は、図6の場合に最も大きく、図7の場合に最も
小さい。即ち、−H0<H<+H0の検知磁界の範囲で、
高周波磁束検知手段に検知される高周波磁束の振幅は検
知磁界の増加と共に単調に増加する。このため、高周波
磁界の振幅と検知磁界の値は1対1の対応関係となり、
磁化の向きの判定が可能となる。従って、磁化の向きに
よって2値化して記録するデジタル磁気記録媒体への対
応が可能となる。
【0046】好ましい磁路の磁気特性は、高周波領域で
の磁路(2)12の透磁率の実数部分が高く、磁界変調
部13の高周波透磁率の外部磁界による変化率が高く、
かつ、磁界変調部13の高周波領域の透磁率の実数部分
は、磁路(2)12の透磁率の実数部分より大幅に低い
ことである。さらに、良好な検知を行なうためには、磁
路(1)11の検知磁界の周波数領域での透磁率の実数
部分を磁界変調部13の透磁率の実数部分の最低値より
十分に高くすることが重要で、これにより磁界変調部1
3での検知磁界強度の低下を防止することができる。し
かし、磁界変調部13の信号磁界の周波数領域での透磁
率の実数部を過度に低くすると、磁路(1)11から検
知磁界の漏洩が生じ、信号強度の低下を招くため好まし
くない。
【0047】本発明による磁気ヘッドでは、信号磁界の
周波数を上回る周波数の高周波磁束を検知するため、高
感度な磁界検知が可能であるが、特に、高周波磁界と外
部磁界とが交差する磁界変調部の領域を微小なものとす
ることができるという特徴を有する。このため、磁界変
調部で大きな検知磁界強度を得ることが可能となる。こ
れは微小なEMI等の外部磁界によるノイズの影響を小
さなものとする作用を有し、さらに、磁界変調部の磁化
の回転を安定なものとすることができる。そして、高周
波磁束検知用部材には検知対象の磁束がほとんど浸入し
ないため、高周波磁束の検知を安定に行なうことができ
る。
【0048】さらに、上述した磁界変調部の単磁区構造
は、バルクハウゼンノイズなどの発生を防止し、S/N
比の向上に寄与する。なお、磁化と高周波磁界が完全に
平行でない場合には、強磁性共鳴が生じるが、上述した
バイアス磁界は強磁性共鳴周波数を増加させる作用も有
する。そして、バイアス磁界により磁路のその他の部分
の高周波透磁率(実数部)を維持した状態で、磁界変調
部の透磁率(実数部)を大幅に低下させることが可能な
飽和磁束密度関係が実現されている。
【0049】磁界変調部の透磁率と高周波磁束検知用部
材に検知される高周波磁束の振幅と位相に関しては以下
の傾向を有する。即ち、高周波磁束検知用部材に検知さ
れる高周波磁束の振幅は、磁界変調部の複素透磁率の実
数部分が低下する場合に低下し、この虚数部分が低下す
る場合に増加する傾向に有る。そして、複素透磁率の虚
数部分の変化は、検知される高周波磁束の位相を変化さ
せる。このため、本発明の高周波磁束の動作では、磁界
変調部の複素透磁率の実数部分、虚数部分の外部磁界依
存性、周波数依存性を考慮にいれる必要が有る。好まし
くは、上述した外部磁界の作用により、複素透磁率の実
数部分が増加する場合に虚数部分が減少する周波数、あ
るいは、透磁率の虚数部分が無視できる周波数で、高周
波磁界印加用部材を動作させるが、高周波透磁率の外部
磁界依存性において、実数部分と虚数部分の作用が相殺
する場合でもいずれか一方の作用が強ければ動作は可能
である。
【0050】磁界変調部近傍の磁路(2)に関しては、
(請求項2に記載のように、)これを一軸異方性を有す
る磁性体で構成し、その磁化容易軸を高周波磁界に対し
垂直とすれば、高周波領域での磁路(2)の透磁率を高
いものとすることができ、高周波領域の高出力が確保さ
れる。
【0051】また、(請求項3に記載のように、)磁路
(2)を絶縁層により分離された多層構造の強磁性金属
膜とすれば、磁路(2)の高周波透磁率の虚数部を低下
させることに寄与し、渦電流損失等に起因する高周波磁
束検知用部材へ到達する高周波磁束の減衰を防止でき
る。
【0052】さらに、(請求項4に記載のように、)高
周波磁界印加手段が磁路(2)に巻回されたコイルを有
する場合にはこれに高周波電流を印加することにより容
易に高周波磁界が印加され、微小な磁路構造が実現さ
れ、超高密度磁気記録媒体の読み取りに適すると共に、
高周波磁界印加用部材の形成コストの低下に寄与する。
また、(請求項5に記載のように、)永久磁石をバイア
ス磁界印加用部材として使用する場合には形成プロセス
が簡易となり、低コスト化が実現される。
【0053】バイアス磁界の強度を好ましい値に維持す
ることは本発明において重要であるが、(請求項6に記
載のように、)直流電流が通電されるコイルをバイアス
磁界印加用部材として使用する場合にはバイアス磁界の
制御性と経時特性が特に良く、精度が向上する。そし
て、バイアス磁界の値を変化させることが容易で、検知
磁界のフルスケールを容易に変更できる利点を有し、検
知磁界の領域の拡大に寄与する。なお、高周波磁界印加
用部材がコイルである場合には、このコイルと別体のコ
イルをバイアス磁界印加用に形成しても良いが、高周波
磁界印加用コイルに高周波電界と直流電界を重畳してバ
イアス磁界を得ても良い。
【0054】以上の説明において、バイアス磁界の印加
方法は上記に限定されず、バイアス磁界が磁路(2)に
平行な成分を有する限り任意であるが、特に、(請求項
7に記載のように、)磁界変調部近傍に接続されるバイ
アス磁界用の磁路(3)を設置した構成の磁気ヘッドも
可能である。この磁気ヘッドはバイアス磁界が作用する
領域を磁路(2)の一部に限定するため、バイアス磁界
による磁路(2)の高周波特性の劣化を抑制できる。従
って、特に強いバイアス磁界を印加する場合に有効であ
る。
【0055】なお、第3の磁路を設置しない場合になお
強い磁界を磁界変調部に印加する場合は、(請求項8に
記載のように、)磁路(2)に巻回される直流磁界発生
用のコイルを使用しても良い。これにより高周波磁界印
加用コイルとバイアス磁界印加用コイルとを同一の形成
プロセスで形成することが可能で、形成コスト低下に寄
与する。尚、この場合には磁路(2)の磁界変調部近傍
以外の断面積を特に大きくすることが重要である。
【0056】磁路(2)の高周波透磁率の虚数部分が大
きな周波数領域で高周波磁界を印加する場合には、この
影響を考慮した部材の配置が好ましい。即ち、高周波磁
界印加専用のコイルとバイアス磁界印加専用のコイルと
を使用する磁気ヘッドでは、(請求項9に記載のよう
に、)磁界変調部と高周波磁界印加用のコイルとの間の
磁路長の最短距離が、磁界変調部と直流バイアス印加用
のコイルとの間の磁路長の最短距離より小さくすること
が好ましい。
【0057】磁界変調部における、磁路(1)と磁路
(2)との角度関係であるが、(請求項10に記載のよ
うに、)これを直交させれば、磁路(2)に浸入する検
知磁界は微小なものとなり、高周波磁界の検知を容易に
行なうことができる。また、高周波磁界やバイアス磁界
の磁極への到達も微小なものとなり、磁気記録媒体の読
み取り用の磁気ヘッドとして用いる場合の磁気記録媒体
の劣化を防止できると共に、検知磁界の変動に起因する
ノイズの低減に寄与し、S/N比が向上する。
【0058】上述したように、磁界変調部の磁化の向き
を、外部磁界が0の状態で高周波磁界に対し非平行とす
れば、磁化の向きの弁別が可能であるが、請求項11に
記載の発明がこれに該当する。特に、請求項12に記載
のように、結晶磁気異方性、誘導磁気異方性または形状
磁気異方性、あるいはこれらの組合せなどの作用により
磁界変調部を構成した場合には、簡易な素子構造とな
る。また、(請求項13に記載のように、)バイアス磁
界印加手段が磁路(1)に巻回されたコイルを有する場
合にはバイアス磁界の角度の調整が容易となり、また、
これは精度の向上に寄与する。
【0059】本発明による磁気ヘッドを、磁気記録媒体
からの磁界検出用に使用する場合、高周波磁束の磁極へ
の到達は好ましくないが、(請求項14に記載のよう
に、)磁路(1)の強磁性共鳴周波数を、磁界変調部の
それより低くすることにより、高周波磁束の磁極への到
達を抑制することができ、磁気記録媒体の磁気情報の劣
化を防止できる。そして、(請求項15に記載のよう
に、)高周波磁界印加用部材及び磁路(2)の周囲に高
透磁率導電体からなるシールド手段を配備すれば、電磁
ノイズの発生、及び、電磁ノイズによる誤作動を防止で
きる。
【0060】
【実施例】以下、本発明による磁気ヘッドの実施例を図
面を参照して説明する。図1は、本発明による磁気ヘッ
ドの構造を示す図であって、(a)は磁気ヘッドの平面
図、(b)は(a)に示す磁気ヘッドのA−A’線断面
図である。図1に示すように、基板10上に下部磁極3
aを有する磁路4、ギャップ層2、上部電極3bを有す
る磁路5が積層されている。磁路4と磁路5とは磁気的
に接続され、これらは全体として磁路(1)11を構成
している。この磁路(1)11には検知磁界が導入され
る。本実施例の磁極の構造は面内磁気記録媒体に対応す
るもので、検知対象の磁界は、磁気記録媒体に起因する
磁界である。
【0061】基板10上に磁路(2)12があり、磁路
(1)11の下部磁極側の磁路4と交差している。この
交差部に磁界変調部13がある。本実施例では、磁界変
調部13を構成する磁性体はパーマロイ、磁路(2)1
2を構成する磁性体はFe−N、磁路(1)11を構成
する磁性体はセンダストである。Fe−Nはパーマロイ
の約3倍の飽和磁化を有する。磁界変調部13の磁路
(1)11に垂直な面での断面積は、検知磁束の量に応
じ適切に設定され、磁界変調部13の磁路(1)11に
沿う方向の長さは、検知磁界の起磁力に適合するように
設計される。
【0062】本実施例の磁路(2)12は閉磁路構造で
ある。磁路(2)12にはコイル21が巻回されてお
り、図示されない高周波電源に接続される。本実施例で
は、高周波磁界印加用部材20は高周波電源とコイル2
1とで構成される。なお、このコイル21は絶縁層22
を有している。高周波磁界の周波数は、検知磁界の信号
周波数領域を上回る周波数であって、磁路(2)12の
強磁性共鳴周波数未満の領域に有る。また、高周波磁束
検知用部材30は高周波磁束検知用コイル31で構成さ
れ、高周波磁束検知用コイル31は図示されない高周波
電界検知手段に接続される。
【0063】磁路(2)12からの高周波磁束の漏洩、
及び、磁路(2)12の透磁率の虚数部分、即ち高周波
損失による検知磁束の減衰による悪影響を避けるため、
高周波磁界印加用部材20と磁界変調部13との間の距
離、及び、高周波磁束検知用部材30と磁界変調部13
との間の距離は、小さくすることが重要である。また、
磁路(2)12の磁路長も可能な範囲で短くし、磁界変
調部近傍以外の断面積も、適宜大きく設定する。
【0064】さらに、磁路(2)12にはコイル41が
巻回されており、図示されない直流電源に接続され、バ
イアス磁界印加部材40を構成している。このコイル4
1に直流電流を流すことにより直流磁界が磁路(2)1
2に印加され、磁路(2)12を介してバイアス磁界が
磁界変調部13へ印加される。なお、バイアス磁界印加
用コイルと高周波磁界印加用コイルとは必ずしも別体で
ある必要はなく、バイアス磁界印加用兼高周波磁界印加
用コイルに高周波電流と直流電流を重畳して流す構成と
してもよい。また、バイアス磁界印加用部材には、単数
または複数の永久磁石を用いることもできる。また、図
示しないが、磁路(2)12とは別に、磁界変調部13
の近傍にバイアス磁界印加用の第三の磁路を設けても良
い。このバイアス磁界の作用により磁界変調部13の磁
性体の磁区構造は単磁区に近いものとなり、本実施例で
は、その磁化はバイアス磁界及び高周波磁界に概ね平行
である。このため、高周波磁束検知用部材30に検知さ
れる高周波磁束は、Hを磁極に対応する方向の検知磁界
として、概ね|H|の関数となる。
【0065】高周波磁界印加用部材20の駆動周波数
は、磁路(2)12の強磁性共鳴周波数未満の範囲に存
在するが、特に、磁路(1)11の強磁性共鳴周波数を
磁路(2)12の強磁性共鳴周波数未満とし、かつ、高
周波磁界印加用部材20の駆動周波数をこれを上回る周
波数とすれば、磁極に到達する高周波磁界の強度は微弱
なものとなる。
【0066】次に、図2は本発明の第2の実施例による
磁気ヘッドの概略構成を示す平面図である。図2で、磁
化の符号を弁別するために、磁路(1)11にバイアス
磁界印加用のコイル16が付加されている。このバイア
ス磁界印加用のコイル16は図示されない直流電源に接
続される。これと磁路(2)12に設置されるバイアス
磁界印加用部材40による磁界とが重ね合わされ、外部
磁界が0の状態での磁界変調部13の磁化の向きを高周
波磁界に対し、制御性良く、一定の角度で傾けることが
できる。このため、所定の最大検知磁界H0 に対する透
磁率を最小とする透磁率の検知磁界依存性を得ることが
できる。そして、−H0<H<H0の範囲の検知磁界Hに
対し、磁界変調部の透磁率と検知磁界との対応関係は
1:1となるため、磁界を一意に検知することができ、
磁化の向きの判定が可能となる。なお、磁界変調部の単
磁区構造を容易に得るため、公知の反強磁性下地層を磁
界変調部の磁性層の下地層として使用しても良い。
【0067】また、磁化の方向を弁別する第3の実施例
として、磁界変調部に一軸異方性を誘導し、該磁界変調
部の磁性体の磁化容易軸を高周波磁界に対し非平行と
し、かつ、磁化困難軸を高周波磁界に対し非平行とした
ものがある。磁界変調部は薄膜であるが、その面内の磁
化容易軸はバイアス磁界に対し、非平行であるため、高
周波磁界と磁化は非平行となる。ここで、磁化困難軸も
バイアス磁界に非平行であるため、磁区構造は第2の実
施例と同様のものとなり、磁化の方向を弁別できる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気ヘッ
ドは、上記のごとく構成したことにより以下のような効
果を得ることができた。すなわち、請求項1による磁気
ヘッドでは、超高密度磁気記録媒体等の微細領域の磁界
にも対応可能な、良好なS/N比と高感度を兼ね備えた
(再生用磁気ヘッド、あるいはメカ系の位置センサ用の
磁気ヘッド等への応用が可能な)磁気ヘッドを実現でき
るという効果を得られた。
【0069】請求項2による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
高周波領域において高い出力を有する磁気ヘッドが実現
できるという効果が得られた。
【0070】請求項3による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
高周波領域の渦電流損失に起因する検出出力低下を抑制
するという効果が得られた。
【0071】請求項4による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
高周波磁界印加用部材の形成コストを低下させるという
効果が得られた。
【0072】請求項5による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
バイアス磁界印加部材の形成コストを低下させるという
効果が得られた。
【0073】請求項6による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
検知磁界の精度の向上、検知磁界の測定範囲の拡張が実
現されるという効果が得られた。
【0074】請求項7による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
バイアス磁界に起因する高周波特性の劣化を特に良好に
抑制するという効果が得られた。
【0075】請求項8による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
形成コストの低下に寄与するという効果が得られた。
【0076】請求項9による磁気ヘッドでは、超高密度
磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良好
なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおいて、
高周波磁界の漏洩に起因する出力の低下を抑制するとい
う効果が得られた。
【0077】請求項10による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおい
て、磁気記録媒体への悪影響を抑制し、さらに良好なS
/N比が得られるという効果が得られた。
【0078】請求項11による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおい
て、検知磁界の向きの弁別が可能となるという効果が得
られた。
【0079】請求項12による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備え、さらに、検知磁界の
向きの弁別が可能な磁気ヘッドにおいて、形成コストの
低下が可能となるという効果が得られた。
【0080】請求項13による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備え、さらに、検知磁界の
向きの弁別が可能な磁気ヘッドにおいて、検知磁界の精
度が向上するという効果が得られた。
【0081】請求項14による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおい
て、磁気情報の読み取りに伴う媒体磁化の減衰を抑制で
きるという効果が得られた。
【0082】請求項15による磁気ヘッドでは、超高密
度磁気記録媒体等の微細領域の磁界にも対応可能な、良
好なS/N比と高感度を兼ね備えた磁気ヘッドにおい
て、電磁ノイズの発生防止、及び、外部電磁ノイズによ
る誤作動の防止ができるという効果が得られ、さらに、
複数のヘッドを近接配置可能な特性を有するものとする
ことが可能となる効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気ヘッドの一実施例を示す図で
あって、(a)は磁気ヘッドの平面図、(b)は(a)
に示す磁気ヘッドのA−A’線断面図である。
【図2】本発明による磁気ヘッドの別の実施例を示す平
面図である。
【図3】本発明による磁気ヘッドの原理説明図であっ
て、検知磁界Hが0の状態で磁界変調部の磁化が磁路
(2)に平行な角度関係となる場合の、磁界変調部近傍
の磁路の主要磁区の構造を示す図である。
【図4】本発明による磁気ヘッドの原理説明図であっ
て、検知磁界Hが作用した状態での磁界変調部近傍の磁
路の主要磁区の構造を示す図である。
【図5】本発明による磁気ヘッドの原理説明図であっ
て、検知磁界Hが0の状態で磁界変調部の磁化が磁路
(2)に対し斜交している場合の磁界変調部近傍の磁路
の主要磁区の構造を示す図である。
【図6】図5に示す磁化状態の磁界変調部に検知磁界+
0 が重畳された場合の主要磁区の構造を示す図であ
る。
【図7】図5に示す磁化状態の磁界変調部に検知磁界−
0 が重畳された場合の主要磁区の構造を示す図であ
る。
【図8】従来技術の一例を示す磁気再生装置の概略構成
図である。
【図9】従来技術の一例を示す磁気記録再生装置の概略
構成図である。
【符号の説明】
2:ギャップ層 3a:下部磁極 3b:上部磁極 4,5:磁路 10:基板 11:磁路(1) 12:磁路(2) 13:磁界変調部 16:バイアス磁界発生用コイル 20:高周波磁界印加用部材 21:高周波磁界印加用コイル 22:絶縁層 30:高周波磁束検知用部材 31:高周波磁束検知用コイル 40:バイアス磁界印加用部材 41:バイアス磁界印加用コイル

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検知磁界が導入される第一の磁路(以下、
    磁路(1)と記す)と、高周波磁界が印加される第二の
    磁路(以下、磁路(2)と記す)と、該磁路(1)と該
    磁路(2)との交差部に存在し、上記検知磁界と上記高
    周波磁界が交差する磁界変調部と、該磁路(2)に上記
    高周波磁界を印加する高周波磁界印加用部材と、該磁路
    (2)に設置される高周波磁束検知用部材とを有し、該
    磁界変調部の高周波透磁率の変化を利用することにより
    磁界を検知することを特徴とする磁気ヘッドにおいて、 上記磁界変調部を構成する磁性体の飽和磁束密度を該磁
    界変調部近傍の上記磁路(2)を構成する磁性体の飽和
    磁束密度より低くし、かつ、上記磁界変調部を単磁区と
    するためのバイアス磁界印加用部材を有することを特徴
    とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、磁界
    変調部近傍の磁路(2)を一軸異方性を有する磁性体で
    構成し、該一軸異方性を有する磁性体の磁化容易軸を磁
    路(2)の高周波磁界に垂直とすることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の磁気ヘッドにおい
    て、磁路(2)を絶縁層により隔てられた多層構造の強
    磁性金属膜とすることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3記載の磁気ヘッドに
    おいて、高周波磁界印加用部材が磁路(2)に巻回され
    る高周波磁界印加用コイルを有することを特徴とする磁
    気ヘッド。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4記載の磁気ヘッ
    ドにおいて、バイアス磁界印加用部材が単数または複数
    の永久磁石を有することを特徴とする磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3,4または5記載の磁気
    ヘッドにおいて、バイアス磁界印加用部材が単数または
    複数の直流磁界発生用のコイルを有することを特徴とす
    る磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】請求項5または6記載の磁気ヘッドにおい
    て、バイアス磁界印加用部材がバイアス磁界印加用の第
    三の磁路(以下、磁路(3)と記す)を有することを特
    徴とする磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】請求項6記載の磁気ヘッドにおいて、バイ
    アス磁界印加用部材が磁路(2)に巻回される直流磁界
    発生用のコイルを有することを特徴とする磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】請求項4及び請求項8記載の磁気ヘッドに
    おいて、磁界変調部と高周波磁界印加用部材との磁路
    (2)に沿う磁路長の最短距離が、磁界変調部とバイア
    ス磁界印加用部材との磁路(2)に沿う磁路長の最短距
    離より小さいことを特徴とする磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】請求項1,2,3,4,5,6,7,8
    または9記載の磁気ヘッドにおいて、磁路(1)と磁路
    (2)とを磁界変調部において直交させることを特徴と
    する磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9または10記載の磁気ヘッドにおいて、検知磁界
    が0の状態での磁界変調部の磁化の向きを、高周波磁界
    の向きに対し非平行とすることを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
  12. 【請求項12】請求項11記載の磁気ヘッドにおいて、
    結晶磁気異方性、誘導磁気異方性、または形状磁気異方
    性、あるいはこれらの組合わせの作用により、磁界変調
    部の磁性体の磁化容易軸を高周波磁界に対し非平行と
    し、かつ、磁化困難軸を高周波磁界に対し非平行とする
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】請求項11記載の磁気ヘッドにおいて、
    バイアス磁界印加用部材が磁路(1)に巻回される直流
    バイアス磁界発生用のコイルを有することを特徴とする
    磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9,10,11,12または13記載の磁気ヘッド
    において、高周波磁界印加用部材の駆動周波数が磁路
    (1)の強磁性共鳴周波数を上回ることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  15. 【請求項15】請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9,10,11,12,13または14記載の磁気
    ヘッドにおいて、高周波磁界印加用部材及び磁路(2)
    の周囲に高透磁率導電体からなるシールド手段を配備す
    ることを特徴とする磁気ヘッド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10613120B2 (en) * 2016-10-31 2020-04-07 Yokogawa Electric Corporation Current measurement device

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