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JPH08227658A - 静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置およびその方法 - Google Patents

静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置およびその方法

Info

Publication number
JPH08227658A
JPH08227658A JP3382995A JP3382995A JPH08227658A JP H08227658 A JPH08227658 A JP H08227658A JP 3382995 A JP3382995 A JP 3382995A JP 3382995 A JP3382995 A JP 3382995A JP H08227658 A JPH08227658 A JP H08227658A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
ray tube
cathode ray
face plate
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3382995A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomonori Takizawa
智紀 滝沢
Mitsuhiro Okumura
光弘 奥村
Masaru Fujii
優 藤井
Noritsuna Hashimoto
典綱 橋本
Takeshi Maekawa
武之 前川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP3382995A priority Critical patent/JPH08227658A/ja
Publication of JPH08227658A publication Critical patent/JPH08227658A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 陰極線管のフェイスプレートに対して、静電
塗布を用いて膜厚の均一な表面被膜を形成する。 【構成】 陰極線管のフェイスプレート4に表面被膜を
形成する装置において、フェイスプレート内面に設けら
れた導電性膜を所定の第1の電位に設定する第1の電位
設定手段と、フェイスプレート外表面に噴霧される被膜
形成材26を所定の第2の電位に設定する第2の電位設
定手段と、この第2の電位設定手段により第2の電位に
設定された被膜形成材をフェイスプレートに噴霧し、膜
厚の均一な表面被膜を形成する噴霧手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビやディスプレイ
モニタなど画像表示に用いられる陰極線管のフェイスプ
レートに静電塗布により表面被膜を形成する装置および
その方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に陰極線管は蛍光面に高電圧を印加
して作動させるため、とくに電源のON−OFF時にフ
ェイスプレートの外面に静電気が帯電する。そのため、
陰極線管のフェイスプレート表面に空気中の細かいゴミ
が付着して汚れたり、使用者が表示面に接触したときに
放電して電気的ショックを与える場合がある。また、陰
極線管のフェイスプレートは外に向かって凸の曲面を有
した平滑な面をもつため、外光が反射すると表示画像が
見づらくなる。とくに照明灯や窓などの明るい背景像が
映りこんだ場合には、その映り込みの部分に表示された
画像がほとんど見えなくなってしまう。
【0003】このような陰極線管のフェイスプレート外
面の帯電現象と外光反射をなくすために、フェイスプレ
ート外面に帯電防止と反射防止の作用をもつ被膜を形成
した陰極線管が用いられるようになってきた。例えば特
公昭54−2820号公報には、導電性酸化インジウム
膜と低屈折率透明膜をフェイスプレート外面に積層した
帯電防止および反射防止膜が開示されている。また、特
開平1−154444号公報には、SiO2微粒子と吸湿
性を有する金属塩粒子および導電性金属酸化物粒子など
の添加剤を加えた混合物をSiO2薄膜で被覆固定した帯
電防止および反射防止効果のある被膜が開示されてい
る。これらの被膜を形成する方法として、前者は真空蒸
着法、後者はスピンコート法が使われている。さらには
スパッタリング法、気相反応法、ディッピング法、スプ
レー法などでもこれらの被膜が形成できることが開示さ
れている。
【0004】しかし、上記のような被膜形成法には一長
一短がある。たとえば真空蒸着法やスパッタリング法な
どの物理的成膜法は、光学膜に適した平滑で充填密度の
高い膜が得られるが、画像表示用途の陰極線管が必要と
する面積の表示面に均一に成膜することが極めて困難で
あり、表示面が曲面を有することがその困難性を一段と
高めている。また、被膜を形成するために高真空を必要
とし、少なくともフェイスプレート外表面、場合によっ
ては陰極線管全体を真空装置の中に保持しなければなら
ないため、量産性、コストの面で他の成膜法に劣る。
【0005】また、気相反応法、スピンコート法、ディ
ッピング法、スプレー法などの化学的成膜法のうち、ス
ピンコート法やディッピング法では、均一な被膜を形成
するために成膜時の気温、湿度、フェイスプレート温
度、気流などの精密な制御が必要であり、これらの条件
が最適でないと、膜厚や充填密度が不均一になったり、
表面が凸凹になったりする。例えば、スピンコート法で
は回転によって放射状のむらが生じたり、中央と周辺部
で膜厚が異なったりする。さらに、ディッピング法では
平滑膜を得るのは比較的簡単であるが、引き上げる方向
に沿って膜厚分布が生じたり、ディッピング槽内の液の
粘度や表面張力などが時間とともに変化して膜の特性が
変化して製品間にばらつきを生じたりする。とくに被膜
を形成する面積が大きくなればなるほどこれらの問題は
顕著になってくる。また、気相反応法では、一般に高価
な有機金属原料を必要とするためコストが高くなる。
【0006】一方、スプレー法は被膜を形成する面積が
大きくなっても成膜性には影響がなく、曲面に対しても
成膜可能であり、量産性も高い。また、塗布液は密閉さ
れた容器内に貯蔵するため液温や粘度の管理が容易であ
りディッピング法で問題となる製品間のばらつきも小さ
い。しかし、スプレー法では表面が平滑な膜を形成する
のが難しく、しばしば島状に被膜が形成されて光学膜と
しての特性が満足されない場合がある。さらに、スプレ
ーされた液滴のうち膜形成に利用される液滴の比率が低
く、大部分は不要な液滴になる。これはオーバースプレ
ーと呼ばれ、不要な液滴は回収されるか、乾燥して空気
中を漂うゴミとなる。このように、オーバースプレーに
よって生じたゴミがその後のスプレーにより被膜の中に
取り込まれ点状のむらになったりする。
【0007】ところで、スプレー方式の被膜形成法の一
つに静電塗布法がある。これは回転霧化器またはスプレ
ーガンによって霧化された液滴を静電帯電させて被塗布
物に塗布するものである。この場合被塗布物は電気的に
接地電位に設定される。霧化帯電された液滴は電気的な
引力により被塗布物に引きつけられるため、通常のスプ
レー法に比べて緻密で平滑な膜を得ることができる。ま
た、オーバースプレーの量も少なくなり、理想的には噴
霧された液滴の9割以上が膜形成に使われ、オーバース
プレーが原因のゴミによる点状むらの発生も低く抑える
ことができる。この静電塗布法を陰極線管の表面被膜の
形成に応用できれば量産性、コストの面で極めて有効で
あることが期待できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、陰極線管の
フェイスプレートはガラスであり、表面抵抗が極めて高
く電気伝導性がない。厚さ2mm程度までの薄い平板ガラ
スであれば、電気伝導性のある金属板などの上に載せて
その金属板を接地電位にすれば静電塗布が可能である
が、フェイスプレートはガラスの厚みが10mm以上もあ
り形状も3次曲面で構成されているため金属板に密着さ
せることができず、そのような方法を採ることは不可能
である。特開平5−49975号公報には、中空な物体
において、塗布されるべき物体の裏側の空間のガスまた
は蒸気に噴霧液滴とは逆の電荷を与えて静電塗布する方
法が開示されている。しかし、陰極線管は真空排気され
ており、内部にガスなどを供給することはできない。
【0009】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたもので、被塗布面であるフェイスプレートを
接地電位にして噴霧液滴に電気的な引力を働かせること
により、陰極線管の表面被膜を静電塗布法で形成する方
法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る静電塗
布法による陰極線管の表面被膜形成装置は、陰極線管の
フェイスプレートに表面被膜を形成する装置であり、フ
ェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第1
の電位に設定する第1の電位設定手段と、フェイスプレ
ート外表面に噴霧される被膜形成材を所定の第2の電位
に設定する第2の電位設定手段と、この第2の電位設定
手段により所定の第2の電位に設定された上記被膜形成
材をフェイスプレートに噴霧し、膜厚の均一な表面被膜
を形成する噴霧手段とを備えたものである。
【0011】第2の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成装置において、第1の電位設定手段
は、陰極線管のアノードボタンを介してフェイスプレー
トを所定の第1の電位に設定するものである。第3の発
明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置
において、第1の電位設定手段は、フェイスプレート単
体の内面に設けられた導電性膜を所定の第1の電位に設
定するものである。
【0012】第4の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成装置は、陰極線管のフェイスプレート
を噴霧手段に対向させて保持し、この保持された陰極線
管を回転させる回転手段を備え、この回転手段により上
記陰極線管を所定の速度で回転させるとともに、噴霧手
段を所定の方向および速度で移動させるものである。第
5の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
成装置において、噴霧手段は、フェイスプレートの外表
面上で移動させて被膜形成材を噴霧するものである。第
6の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
成装置は、陰極線管に取り付けられた防爆バンドを第2
の電位より大きく、第1の電位より小さい、所定の第3
の電位に設定する手段を備えたものである。
【0013】第7の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成方法は、陰極線管のフェイスプレート
に静電塗布により表面被膜を形成する方法において、フ
ェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第1
の電位に設定し、フェイスプレート外表面に噴霧される
被膜形成材を所定の第2の電位に設定させるとともに、
フェイスプレートに噴霧し、膜厚の均一な表面被膜を形
成するものである。
【0014】第8の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成方法は、フェイスプレートを所定の速
さで回転させ、上記フェイスプレート外表面の中央から
端部へ移動させて被膜形成材を噴霧するものである。第
9の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
成方法は、フェイスプレート外表面の中央部分から端部
へ行くにしたがって移動速度を遅くしながら被膜形成材
の噴霧を行なうものである。
【0015】第10の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、陰極線管のフェイスプレー
トに静電塗布により表面被膜を形成する方法において、
フェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第
1の電位に設定し、フェイスプレート外表面に噴霧され
る第1の被膜形成材を所定の第2の電位に設定させると
ともに、フェイスプレートへ噴霧し、導電性を有する1
層目の被膜を形成し、さらに、上記1層目の被膜の上に
第2の被膜形成材を噴霧し、2層目の被膜を形成するも
のである。
【0016】第11の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法において、第1の被膜形成材
は、酸化錫、酸化インジウム、および酸化亜鉛のうち少
なくとも1種を成分とする微粒子を含むものである。第
12の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜
形成方法において、第1の被膜形成材は、酸化錫、酸化
インジウム、および酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成
分とする微粒子を有機溶媒に分散させたものである。第
13の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜
形成方法において、被膜形成材における微粒子の平均粒
径は、200Å(オングストローム)以下である。
【0017】第14の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、フェイスプレート外表面に
おける被膜の1層目を構成する第1の被膜形成材が、1
層目の静電塗布後の熱処理により酸化錫、酸化インジウ
ム、または酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分とする
組成に変化するものである。第15の発明に係る静電塗
布法による陰極線管の表面被膜形成方法において、被膜
形成材の沸点は100°C以上160°C以下であり、
表面張力は25dyne/cm以下であり、粘度は2cps以下
である。
【0018】第16の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、陰極線管のフェイスプレー
トに静電塗布により表面被膜を形成する方法において、
フェイスプレートの画像表示面以外の部分にあらかじめ
電極を設け、第1の被膜形成材により第1層目の表面被
膜を形成し、上記電極を所定の第1の電位に設定して、
さらに、第2の被膜形成材により第2層目の表面被膜の
形成を行なうものである。第17の発明に係る静電塗布
法による陰極線管の表面被膜形成方法において、電極
は、フェイスプレートの表面に第1層目の表面被膜を形
成した後、上記フェイスプレートの画像表示面以外の部
分に形成するものである。
【0019】第18の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、フェイスプレートの表面に
表面被膜として形成される以外の被膜形成材がフェイス
プレート表面に付着しないようにしたものである。第1
9の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
成方法は、陰極線管に取り付けられた防爆バンドを第2
の電位より大きく、第1の電位より小さい、所定の第3
の電位に設定するものである。
【0020】
【作用】第1の発明に係る静電塗布法による陰極線管の
表面被膜形成装置は、陰極線管のフェイスプレートの内
面に設けられた導電性の金属膜を所定の第1の電位に設
定し、フェイスプレートに噴霧される被膜形成材を所定
の第2の電位に設定し、フェイスプレートと被膜形成材
との間でに電気的引力を発生させる。第2の発明に係る
静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置は、陰極
線管のアノードボタンに第1の電位設定手段が接触する
ので、フェイスプレート内面に形成されている導電性膜
を所定の第1の電位に設定することができる。
【0021】第3の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成装置は、フェイスプレート単体の内面
に設けられた導電性膜に第1の電位設定手段が接触する
ので、陰極線管を構成するフェイスプレート単体を所定
の第1の電位に設定することができる。第4の発明に係
る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置は、陰
極線管のフェイスプレートを噴霧手段に対向させて保持
し、保持された陰極線管を所定の速さで回転させながら
被膜形成材の塗布を行なう。
【0022】第5の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成装置は、噴霧手段をフェイスプレート
の外表面上で移動させて、被膜形成材を噴霧するので、
フェイスプレート外表面に一様に被膜形成材が塗布され
る。第6の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面
被膜形成装置は、陰極線管に取り付けられた防爆バンド
を所定の第3の電位に設定するので、噴霧された被膜形
成材が防爆バンドに付着せず、フェイスプレート以外の
部分に被膜形成材が飛散することがない。
【0023】第7の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成方法は、陰極線管のフェイスプレート
内面で、フェイスプレートに対向して設けられた導電性
膜を所定の第1の電位に設定し、フェイスプレートの外
表面に被膜を形成する被膜形成材を所定の第2の電位に
設定するとともに、フェイスプレートに噴霧することに
よって、フェイスプレート内面に設けられた導電性膜に
該当するメタルバックおよびブラックマトリックスと帯
電した被膜形成材との間に電気的な引力が働く。第8の
発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方
法は、フェイスプレートを所定の速さで回転させ、この
フェイスプレート外表面の中央部分から端部へ移動させ
て被膜形成材を噴霧する。
【0024】第9の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成方法は、フェイスプレートを所定の速
さで回転させ、このフェイスプレート外表面の中央部分
から端部へ行くにしたがって移動速度を遅くしながら被
膜形成材の噴霧を行ない、フェイスプレート表面に均一
に被膜形成材を塗布する。第10の発明に係る静電塗布
法による陰極線管の表面被膜形成方法は、第1層目の被
膜として電気伝導性の表面被膜を形成しているので、第
1層目の表面被膜を所定の第1の電位に設定することが
でき、さらに第1層目の被膜の上に静電塗布法により第
2層目の被膜を形成することが可能である。
【0025】第11の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、酸化錫、酸化インジウム、
あるいは酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分とする微
粒子を含む第1の被膜形成材を用いて静電塗布を行なう
ことで、導電性を持つ被膜を形成できるので、フェイス
プレートを所定の第1の電位に設定すれば、第1層目の
被膜を第1の電位に設定することができる。第12の発
明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法
は、酸化錫、酸化インジウム、あるいは酸化亜鉛のうち
少なくとも1種を成分とする微粒子を有機溶媒に分散さ
せた被膜形成材を用いて、第1層目として導電性被膜を
形成するので、フェイスプレートを所定の第1の電位に
設定すれば、第1層目の表面被膜を第1の電位に設定す
ることができる。
【0026】第13の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、平均粒径が200Å(オン
グストローム)の微粒子からなる被膜形成材を用いて、
表面被膜の形成を行なうことで、ヘイズ(曇価)が1%
以下の膜を得ることができる。第14の発明に係る静電
塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法は、第1層目
の被膜を静電塗布した後の熱処理により酸化錫、酸化イ
ンジウム、または酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分
とする組成に変化する第1の被膜形成材を用いるので、
導電性があり、表示画面としての透明性の保たれた被膜
を形成することができる。
【0027】第15の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、沸点が100°C以上16
0°C以下、表面張力が25dyne/cm以下、粘度が2cp
s以下である被膜形成材を用いるので、膜厚の均一な表
面被膜を形成することができる。第16の発明に係る静
電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法は、フェイ
スプレートの画像表示面以外の部分にあらかじめ電極を
設けることにより、第1層目に導電性のない被膜を形成
しても、あらかじめ設けられた電極と第1層目の被膜は
接触しているので、上記電極を所定の第1の電位に設定
するができ、静電塗布により第2層目の被膜を形成でき
る。
【0028】第17の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法は、第1層目の被膜を形成後、
フェイスプレートの画像表示面以外の部分に電極を設け
ることで、第1層目の被膜を所定の第1の電位に設定す
ることができ、静電塗布により第2層目の被膜を形成す
ることができる。第18の発明に係る静電塗布法による
陰極線管の表面被膜形成方法は、フェイスプレートの表
面に表面被膜として形成される以外の無駄になった被膜
形成材がフェイスプレートに付着することがない。第1
9の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
成方法は、陰極線管に取り付けられた防爆バンドを所定
の第3の電位に設定するので、噴霧された被膜形成材が
防爆バンドに付着せず、フェイスプレート以外の部分に
被膜形成材が飛散することがない。
【0029】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例について説明す
る。図1は表面被膜形成型陰極線管の製造装置を示した
ものである。図において、1は接地用電極、2は陰極線
管を支持する支持台、3は陰極線管、4はフェイスプレ
ートで陰極線管の前面部分である。5はアノードボタ
ン、6は防爆バンド、7は防爆バンドに取り付けられた
金具、8は陰極線管を支えるための支柱である。9は摺
動電極の周りに設けられたリング状端子、10は回転装
置の回転軸に設けられた摺動電極、11は陰極線管の周
囲に設けられた陰極線管保持部、12は陰極線管を回転
させる回転装置、13はアースケーブル、14,25,
34は接地面である。
【0030】また、15は膜材料を霧状にして、噴霧す
る霧化器、15aは霧化器のノズル、16は膜材料を帯
電させる静電帯電器、17は接続器、18は可動吊り金
具、19はY軸レール、20はX軸レール、21は電源
供給用のケーブル、22は膜材料を霧化器へ送るための
可動配管、23は電源、24は膜材料を供給する供給
器、26は被膜形成材である。31は霧化器15の動き
を制御する制御器、32は陰極線管保持部11の内壁に
設けられ、金具7と接触する導電ブラシである。
【0031】以下、静電塗布法による陰極線管の表面被
膜形成装置について説明する。陰極線管3は、陰極線管
保持部11の回転装置12に設置された支持台2に支持
され、さらに防爆バンド6に取り付けられた金具7によ
って支柱8に固定される。また、陰極線管3のアノード
ボタン5は、回転装置12に立設された接地用電極1に
接続されている。接地用電極1は弾性を有しており、陰
極線管が支持台2へ挿入されることにより、図2に示す
ように接地用電極1が矢印のように動き、バネ圧でアノ
ードボタンに圧着されるようになっている(点線で書か
れたものが陰極線管が挿入される前の接地用電極の位
置)。また接地用電極1は、回転装置12の回転軸に設
けられたリング状端子10に接続されており、摺動電極
9およびアースケーブル13を経由して接地面14に接
地されている。
【0032】そして陰極線管3のフェイスプレート4に
対向して配置された霧化器15から霧状の被膜形成材2
6がフェイスプレート4に噴霧される。被膜形成材は接
地された供給器24から可動配管22を通って霧化器1
5に供給される。霧化器15により霧状になる被膜形成
材26は、電源23からケーブル21によって電圧を供
給された静電帯電器16によって帯電される。これらの
霧化器15、霧化器15のノズル15a、帯電器16
は、接続器17を介してY軸レール19を移動可能に取
り付けられた可動吊り金具18によって吊り下げられて
いる。また、Y軸レールはX軸レール20に沿って動く
ようX軸レールに設置されており、霧化器15などはX
軸方向およびY軸方向に自由に移動できる。X軸、Y軸
上の移動は制御器31によって速度、移動距離などが精
密にコントロールされるようになっている。
【0033】以下、表面被膜形成方法についてさらに詳
しく説明する。図1に示す装置において、陰極線管完成
球をフェイスプレート面が上向きになるように陰極線管
保持部の支持台に取り付け、支柱8により金具7を固定
し、陰極線管を横側から支持する。さらに陰極線管3を
接地するためにアノードボタン5と接地電極1を接続す
る。接地電極1はバネ式の電極になっていて、支持台に
取り付けられた陰極線管1のアノードボタン5に接地電
極1が圧着される。ここでは、弾性を有するバネ式の接
地電極を使用しているが、アノードボタンと接触し接地
面に導通できるならばその形状は特に限定されない。例
えば、ソケットのようなものを用いてアノードボタン5
に接続しても構わない。陰極線管3は、アノードボタン
5に接続された接地電極1(バネ式の接地用電極)から
リング状端子を通じて摺動電極へ導通され、そこからア
ースケーブル13によって接地電位に接続される。
【0034】被膜形成材26は、例えばアルキルシリケ
ート100gにエチルアルコール40cc、メチルエチル
ケトン(MEK)60gを混合した溶液によって調製されて
いる。この溶液は供給器24(ポンプ)で毎分500〜
1500cc、望ましくは毎分1000ccの送液速度で霧
化器15に送られ、ミスト(霧状)にされる。さらに、
静電帯電器16により霧化器15の噴霧ノズル15aへ
電圧を印加し、霧化器15によりミスト(霧状)になっ
た被膜形成材26の電位を接地電位に対して−10kv
〜−20kv、望ましくは−15kvになるようにし
て、静電塗布を行なう。被膜形成材の電位を上記の値に
した理由は、−10kv以上では、静電引力効果が低
く、液の利用効率が80%以下になってしまうからであ
る。また、−20kv以下では静電引力効果が高く、膜
厚の制御が困難になるからである。
【0035】ところで、霧化器15は吊り下げ金具18
によりY軸レールに吊り下げられ、Y軸レール上を自由
に移動できるようになっている。さらに、Y軸レールは
X軸レールに取り付けられ、X軸レール上を自由に移動
できるようになっている。このようにして、霧化器15
は陰極線管の表面に対して、X,Y軸方向を自由に移動
できる。陰極線管3の表面(フェイスプレート4)への
静電塗布は、上記したように吊り下げ金具18によりY
軸レールに吊り下げられている霧化器15を、X軸レー
ル20,Y軸レール19上を移動させることによって行
なう。これによって、緻密で平滑なシリケート単層膜を
もち、かつ膜強度の上昇した表面被膜の形成された陰極
線管を製造することができる。
【0036】また、同様の被膜形成材26を用いて静電
塗布を行なう際に、支持台2に固定されている陰極線管
3を回転装置12によって回転させ、あらかじめ設定し
た回転速度、例えば200rpmに到達したときに、静電
塗布を行いながら噴霧ノズル15aをフェイスプレート
4の中央から端部(周辺部)に向かって徐々に移動させ
ることにより、表面被膜の均一性がさらに向上する。こ
のときのノズル移動速度は塗布溶液の粘度などの液物性
により異なるが、初速毎秒5cm程度の移動速度で移動さ
せ、フェイスプレート4の端部に近づくにつれ、徐々に
その速度を遅くしていくのが望ましい。なお、膜厚を1
100Å(オングストローム)にするためにノズルを5
cm/sで移動させている。また、塗布面が回転している
ため、ノズル15aがフェイスプレート4の中央から端
部へ移動するにしたがって、ノズル15aの位置に対応
する塗布面の移動速度が速くなるので、ノズル15aの
移動速度を遅くして表面被膜の膜厚が一定になるように
している。
【0037】この結果、従来のスピンコート法に比較し
て、きわめて緻密で平滑なシリケート単層膜をもつ陰極
線管が得られる。具体的には、従来のスピンコート法に
比べて、 ・表面粗さが1/2 ・膜強度が鉛筆硬度9H以上(従来は7Hから9H) ・膜の均一性が向上(中央部の膜のむらが解消された) という顕著な効果が得られた。また、以上のように構成
された陰極線管の表面被膜の形成方法では、アノードボ
タンを接地電位に設定したことによりフェイスプレート
内面のメタルバックおよびブラックマトリックスと帯電
した噴霧液滴との間に電気的な引力が働き、フェイスプ
レート表面に平坦で緻密な膜を形成することができる。
【0038】実施例2.以下、本発明の他の実施例につ
いて説明する。なお、実施例1と同一の部分については
同一符号を付して説明を省略する。図3はフェイスプレ
ート4単体の表面に被膜を形成するための表面被膜形成
型陰極線管の製造装置を示したものである。図におい
て、27はフェイスプレート4の内面に形成されたブラ
ックマトリックス、28はブラックマトリックス27の
裏面側に形成された蛍光体、29はアルミニウム膜から
なるメタルバックで、蛍光体28の裏面側に形成されて
いる。30,31はフェイスプレート4を回転装置台上
で固定するための内部固定治具、外部固定治具である。
【0039】以下、実施例2に係る表面被膜形成型陰極
線管の製造装置について説明する。陰極線管3のフェイ
スプレート4は回転装置12の上に外部固定治具31と
内部固定治具30とにより固定されている。フェイスプ
レート4内面にはブラックマトリックス27、蛍光体2
8、およびメタルバック29が施されていて、内部固定
治具30がフェイスプレート内面のメタルバック29ま
たはブラックマトリックス27を接地電位に接続する電
極を兼ねている。さらに、内部固定治具30はリング状
端子10に接続され、摺動電極9およびアースケーブル
13を経由して接地面14に接地される。
【0040】陰極線管の表面被膜の形成は次のように行
なわれる。まず、被膜形成材26が接地された供給器2
4から可動配管22を通って霧化器15に供給される。
静電帯電器16は電源23からケーブル21によって電
圧を供給され、そして霧化器15の噴霧ノズル15aに
電圧を印加する。霧化器15で霧状にされた被膜形成材
26は、静電帯電器16により電圧を印加された噴霧ノ
ズル15aにより帯電され、陰極線管3のフェイスプレ
ート4に向かって霧状の被膜形成材26が噴霧される。
これら霧化器15、噴霧ノズル15a、帯電器16は接
続器17を介してY軸レール19に沿う可動吊り金具1
8で吊り下げられている。また、Y軸レールはX軸レー
ル20に沿って動くよう設置されており、X軸、Y軸上
の移動は制御器によって速度、移動距離などが精密にコ
ントロールされるよう設置されている。霧化器15はこ
のようにして陰極線管3のフェイスプレート4の上を移
動する。
【0041】以下、静電塗布法による陰極線管の表面被
膜形成装置の動作、およびその方法について説明する。
図4はフェイスプレート4単体を示した図である。図に
おいて、35はフェイスプレート4内面のスカート部に
張り付けられた板状の銅テープである。陰極線管3のフ
ェイスプレート4単体の内面に、通常のスラリー法でブ
ラックマトリックス27と蛍光体28の塗着を行ない、
エマルジョンによるフィルミングを行なった後、フェイ
スプレート4内面のスカート部の一部に銅テープを貼り
付ける。その後アルミニウム蒸着とフィルミング分解の
ための熱処理行程を行なって、貼り付けられた銅テープ
35の上にアルミニウム蒸着膜(メタルバック29)が
形成されるようにした。
【0042】次に図3に示す装置において、回転機構を
持つ金属架台からなる回転装置12に上記の処理が施さ
れたフェイスプレート4単体を表面を上向きにして取り
付け、内部固定治具30、外部固定治具31で挟んで固
定する。フェイスプレート4は内部固定治具30と接触
している銅テープ35の部分から導通がとられ、リング
状端子10と摺動電極9およびアースケーブル13を経
由して接地電位14に接地されている金属架台を通じて
ブラックマトリックス27と銅テープ35の上に形成さ
れたアルミニウム蒸着膜を接地電位に設定する。
【0043】そして、実施例1の場合と同じように被膜
形成材26を霧化器15によりフェイスプレート4に噴
霧して静電塗布を行なう。この方法によっても従来のス
ピンコート法に比較して緻密で均一、かつ高強度の表面
被膜を得ることができた。以上のように構成された陰極
線管の表面被膜の形成方法では、フェイスプレート内面
のメタルバックおよびブラックマトリックスを接地した
ことにより、帯電した噴霧液滴との間に電気的な引力を
働かすことができフェイスプレート表面に平坦で緻密な
膜を形成することができる。
【0044】実施例3.以下、本発明の他の実施例につ
いて説明する。本実施例は陰極線管の表面に2層からな
る表面被膜を形成するものである。図6は2層の表面被
膜を形成する場合における被膜形成材の供給部分の詳細
図である。図6は、図1の霧化器15と供給器24の部
分を変更し、2種類の被膜形成材を供給できるようにし
たものである。図において、37は1層目用の被膜形成
材の供給器、38は2層目用の被膜形成材の供給器、4
1は1層目、2層目用の被膜形成材を噴霧する噴霧ノズ
ル41a,41bを備えた霧化器である。図1に示す装
置において、陰極線管完成球をフェイスプレート4面が
上向きになるように支持台2へ取り付け、さらに陰極線
管3のアノードボタン5からバネ式の接地用電極1、リ
ング状端子10、摺動電極9を通じて導通をとり、接地
電位に接続した。2層からなる表面被膜を形成する場合
は、供給器の部分は図6の装置に置き換えたものを使用
する。
【0045】次に陰極線管のフェイスプレート4に形成
される導電性被膜の第1層を構成する溶液として、平均
粒径20nm以下のアンチモンドープ酸化錫の微粉末2.
5gを蒸留水に分散させた水性分散液1000ccを、表
面張力および沸点調整溶媒のためにエチルセルソルブ8
00cc、ジアセトンアルコール150cc、エチルアルコ
ール400ccを用いて希釈し、表面張力15dyne/cm、
沸点150℃、粘度1cpsになるように調製する。溶液
の混合比を上記のような値にすることで被膜形成材に適
した特性が得られる。これは、表面張力を25dyne/cm
以上にすると溶液を塗布したときに膜とならずに島状に
なる。また、沸点が100℃以下だと噴霧液滴が被印刷
物(パネル)に到達する前に乾燥してしまう。さらに、
沸点が160℃以上だと膜強度が7H以下になる。ま
た、粘度が2cps以上だと液を噴霧することができなく
なる。このような理由から溶液の各特性を上記のような
値にしている。
【0046】この溶液を撹拌しながら供給器37(定量
ポンプ)により毎分500〜1500cc、望ましくは毎
分1000ccの送液速度で霧化器41に送る。そして、
外部電源23から電圧が供給された静電帯電器16によ
って、霧化器41でミストになった第1層を構成するた
めの被膜形成材(液滴)が接地電位に対して−10kV
〜−20kV、望ましくは−15kVになるように、霧
化器41の噴霧ノズル41aに電圧を印加して、被膜形
成材を帯電させている。帯電圧は、−10kV以上では
静電引力効果が低く、溶液の利用効率が80%以下とな
り、−20kV以下では静電引力効果が高く、膜厚の制
御が困難になるので上記のような値を選んでいる。
【0047】次に支持台2に固定されている陰極線管3
を回転させ、あらかじめ設定した回転速度、例えば20
0rpmに到達したときに、上記のようにして帯電させた
被膜形成材を用いて静電塗布を行ないながら、噴霧ノズ
ル41aをフェイスプレート4の中央から端部に向かっ
て徐々に移動させる。このときのノズル移動速度は塗布
溶液の粘度など液物性により異なるが、初速毎秒5cm程
度の移動速度で一方向に移動させ、端部に近づくにつれ
徐々にその速度を遅くしていくのが望ましい。また、支
持台に固定された陰極線管の回転速度は140〜160
rpmが望ましく、140rpm以下では中央部の膜厚が厚く
なり、200rpm以上では中央部の膜厚が薄くなってし
まう。
【0048】なお、表面被膜を形成するためのノズル移
動は繰り返すことが可能であり膜厚を厚くするためにフ
ェイスプレート上で数回の往復移動を行なってもよい。
そして、所望の膜厚になったところで静電塗布を中止
し、1分間そのまま回転を維持して溶媒を乾燥させた後
停止させる。また、溶媒の乾燥速度をコントロールする
ために、あらかじめ赤外線ヒーターなどでフェイスプレ
ート4表面を暖めておいてもよい。帯電された被膜形成
材は(液滴は)接地電位に引かれてフェイスプレート4
上に静電塗布されるが、陰極線管の防爆バンドに数kV
の負電位を印加しておけばフェイスプレート以外の部分
に液滴が飛散することがなく、被膜形成材の(液の)利
用効率はさらに向上する。
【0049】また、図1に示すように支持台に固定され
た陰極線管の防爆バンドに接触している導電ブラシ32
によって負電位を印加している。つまり、接地電位34
に接地された電源33、導電ブラシ32を通じて、陰極
線管3の防爆バンド6に数kVの負電位を印加してい
る。また導電ブラシ32は、回転装置12の周りを囲ん
でいる陰極線管保持部の内壁に設けられている。以上の
ように、フェイスプレートの周囲に設けられている防爆
バンドを噴霧液滴と同極の電位に荷電することで、液滴
が防爆バンドに付着することがなくなるので無駄になる
液滴を減らし、ゴミの発生源となるオーバースプレーを
抑えることができる。また、ゴミの発生を減らすことが
できるので、噴霧液滴中にゴミが取り込まれて表面被膜
の膜厚が均一でなくなることを防ぐことができる。
【0050】次に2層目の塗布について説明する。ま
ず、前記方法で得られた第1層を接地電位とするため
に、第1層形成後、図5に示すように銅を板状にした銅
テープ36からなる電極を陰極線管表面の画像表示以外
の部分からアノードボタンの間に貼り付ける。そして、
この電極の部分から導通をとり第1層目の被膜を接地電
位に設定し、静電塗布法を用いて第2層目の被膜を形成
する。図6に被膜形成材供給部分の詳細図を示した。供
給器は第1,2層用供給器37,38を備えており、そ
れぞれの供給器から第1,2のノズル41a,42aを
通じて被膜形成材が塗布されるようになっている。
【0051】第2層に塗布する溶液は例えばアルキルシ
リケート(エチルシリケート40)2000ccと適当な
溶媒、例えばイソプロピルアルコール1500ccとを加
えて共沸点が130℃、表面張力20dyne/cm、粘度2
cpsになるように希釈し、第1層を形成したときと同様
に陰極線管3を回転させて静電塗布を行ない、所望の膜
厚になったところで静電塗布をやめ、1分間そのまま陰
極線管3を回転させた後に停止させる。
【0052】このような方法で得られた陰極線管3の静
電塗布膜は緻密で平滑な2層膜であり、陰極線管表面の
低反射・帯電防止膜として有用である。図7はフェイス
プレート表面部分の拡大断面図であり、2層からなる表
面被膜は図示されたように形成される。静電塗布法によ
り表面被膜の形成を行なったことにより、従来の製法と
比較して膜厚制御、膜質、平滑性が極めて良好な2層膜
が得られた。また、静電塗布の際に利用される被膜形成
材の利用効率は、第1層、第2層とも95%であった。
【0053】図8は従来と本発明による陰極線管表面の
反射率を比較した特性図である。図において、Aは従来
の製法による陰極線管の表面の反射率、Bは本発明の実
施例3による製法の陰極線管の表面の反射率を示したも
のである。Aは、陰極線管完成球のフェイスプレート上
に第1層は平均粒径20nmのアンチモンドープ酸化錫溶
液からなる導電性被膜を、第2層にはエチルシリケート
とエチルアルコール混合溶液をそれぞれスピンコート法
により形成したもので、低反射・帯電防止の効果をもつ
2層膜となっている。A,Bはそれぞれ従来例と実施例
の反射スペクトルで、従来のスピンコート法による表面
被膜に比べて、本発明による静電塗布法を用いて作られ
た表面被膜は、第1層目のアンチモンドープ酸化錫の微
粒子の充填密度と膜厚の均一性が高いため、最低反射率
が低く、良好な低反射膜が得られる。具体的には、最低
反射率が1.2%(従来)から0.8%へと改善され、
画面に写り込む外光などの反射を抑えることができ、映
像の見やすい画面を提供することができる。
【0054】なお、本実施例では第1層目の被膜形成後
に、フェイスプレート表面の画像表示部分以外の箇所と
アノードボタン5との間に銅テープ36を設け電極とし
たが、第1層目の被膜が形成される前に電極を設けても
よい。この場合は、あらかじめ設けられた電極が第1層
目の被膜と接触するので、アノードボタン5を接地電位
に設定することにより、第1層目の被膜を接地電位に設
定することができる。
【0055】実施例4.以下、本発明による他の実施例
について説明する。本実施例では、あらかじめ表面にN
ESA膜〔酸化錫(SnO2)を気相化学蒸着法(CVD法)
で生成した膜のこと〕が形成されたフェイスプレートを
用いて、その上に第2層目の膜を形成する場合について
説明する。図9はNESA膜付きのフェイスプレートを
装置にセットした図である。図において、4aは表面に
NESA膜40による被膜が形成されているNESA膜
付きのフェイスプレート、30a、31aはフェイスプ
レート4aを固定するための内部固定治具、外部固定治
具である。また、外部固定治具31aはリング状端子1
0に導通しており、リング状端子10の周りに設けられ
ている摺動電極9からアースケーブル13を通じて接地
面14につながっているる。39はフェイスプレート4
aに形成されたNESA膜40上の画面表示以外の部分
に導電性接着剤により貼り付けられ固定されている銅テ
ープである。
【0056】次に表面被膜の形成について説明する。フ
ェイスプレート4aは内部固定治具30a,外部固定治
具31aで装置に固定されている。外部固定治具31a
は銅テープ39に接触し、この部分から導通をとり、リ
ング状端子10と摺動電極9およびアースケーブル13
を経由して接地電位14に接地された金属架台を通じて
NESA膜を接地電位にする。
【0057】次に、第2層目を形成するための被膜形成
材としてシリケートゾルを使用し、この溶液を供給器2
4(ポンプ)により毎分500〜1500cc、望ましく
は毎分1000ccの送液速度で霧化器15に送る。霧化
器15によりミストになった被膜形成材(液滴)が接地
電位に対して−10〜−20kV、望ましくは−15k
Vになるように、霧化器15の噴霧ノズル15aに、外
部電源から電圧が供給されている静電帯電器により電圧
を印加して被膜形成材を帯電させて、静電塗布を行な
う。塗布はノズルをX,Y軸レール上を移動させて行な
う。その結果、従来のスピンコート法に比較して、きわ
めて緻密で平滑なシリケート層膜をもつ2層膜の陰極線
管が得られた。また膜強度も上昇した。具体的には、ス
ピンコート法に比べて、 ・表面粗さが1/2 ・膜強度が鉛筆硬度9H以上(従来は7〜9H) ・膜の均一性が向上(中央部の膜むらが解消された)
【0058】さらに、同様の液を塗布する際に支持台に
固定されている陰極線管を回転させ、あらかじめ設定し
た回転速度、例えば200rpmに到達したときに、静電
塗布を行ないながら噴霧ノズル15aをフェイスプレー
ト4aの中央から端部に向かって徐々に移動させる。こ
の結果、表面被膜の均一性がさらに向上した。このとき
のノズル移動速度は塗布溶液の粘度など液物性により異
なるが、初速毎秒5cm程度の移動速度で一方向に移動さ
せ、端部に近づくにつれ徐々にその速度を遅くしていく
のが望ましい。このようにすることで、実施例1〜3に
示したのと同様に緻密で均一な表面被膜を形成すること
ができる。また、この低反射・帯電防止膜(NESA
膜)つきフェイスプレートを用いて陰極線管を作製すれ
ば、透明導電膜であるNESA膜を接地電位に設定する
ことができ噴霧液滴への電気的引力を働かせることがで
きる。これにより表面被膜が緻密で均一、かつ低反射・
帯電防止に優れた陰極線管の完成球が得られる。
【0059】実施例5.本発明による他の実施例につい
て説明する。本実施例は図1に示す装置により、あらか
じめ表面にNESA膜が形成されたフェイスプレート4
aからなる陰極線管を用いて、さらに第2層目の被膜を
形成するものである。まず、あらかじめ表面にNESA
膜がついたフェイスプレート4aを用いて陰極線管を作
製する。そして、その陰極線管をフェイスプレート面が
上向きになるように陰極線管保持部11の支持台2に取
り付け、図5に示したように完成球のフェイスプレート
4aの表示画面部分以外のNESA膜上(本実施例の場
合)からアノードボタン5までの間に銅テープ36を張
り付ける。このようにしてアノードボタン5と導通した
NESA膜は、回転装置12と電気的に接続され、リン
グ状端子10と摺動電極9およびアースケーブル13を
経由して接地電位14に接地される。
【0060】被膜形成材として、アルキルシリケート1
00gにエチルアルコール40cc、メチルエチルケトン
(MEK)60gを混合した溶液を調製した。この溶液
を供給器24(ポンプ)で毎分500〜1500cc、望
ましくは毎分1000ccの送液速度で可動配管を通じ
て霧化器15に送る。霧化器15によりミストになった
被膜形成材(液滴)が接地電位に対して−10kV〜−
20kV、望ましくは−15kVになるように、霧化器
15の噴霧ノズル15aに外部電源から電圧が供給され
た静電帯電器により電圧を印加して、被膜形成材を帯電
させ静電塗布を行なう。静電塗布はノズル15aをX,
Y軸レール上で移動させて行なう。その結果、従来のス
ピンコート法に対して、きわめて緻密で平滑なシリケー
ト膜が得られた。また膜強度も上昇した。具体的には実
施例1の場合と同様の効果が得られた。
【0061】また、2層目の被膜を形成する際に、支持
台2に固定されている陰極線管を回転装置12により回
転させてから静電塗布を行なうことも可能である。あら
かじめ設定した回転速度、例えば200rpmに到達した
ときに、静電塗布を行ないながら噴霧ノズル15aをフ
ェイスプレート4aの中央から端部に向かって徐々に移
動させる。この結果、表面被膜の均一性がさらに向上し
た。このときのノズル移動速度は塗布溶液の粘度などの
液物性により異なるが、初速毎秒5cm程度の移動速度で
一方向に移動させ、フェイスプレート の端部に近づく
につれ徐々にその速度を遅くしていくのが望ましい。こ
れは、陰極線管が回転しているため端部の速度が中心部
分に比べて速くなるので、噴霧ノズル15aの移動速度
を遅くしている。このようにすることで、表面の塗りむ
らをなくすことができ、緻密で均一な表面被膜を形成す
ることが可能となる。その結果、良好な低反射・帯電防
止膜付き陰極線管が得られる。
【0062】実施例6.本発明の他の実施例である2層
からなる表面被膜が形成された陰極線管について説明す
る。陰極線管の表面に2層以上の被膜を形成する場合
は、まず1層目に電気伝導性をもつ被膜を形成し、2層
目以降は1層目を接地電位に設定して静電塗布を行な
う。具体的には、陰極線管3のフェイスプレート4に導
電性被膜である第1層を形成するために、被膜形成材と
して平均粒径10nmの酸化インジウムの微粒子を使用す
る。なお、本実施例は2層からなる表面被膜を形成する
ので、2種類の被膜形成材を用いることになる。したが
って、図1の被膜形成材の供給および噴霧部分は図6の
装置に代わる。図1に示す装置に陰極線管3をセット
し、静電帯電器16により霧化器41(図6に示す)へ
送られた酸化インジウムの微粒子からなる被膜形成材に
−10kVの電荷を与え、陰極線管3を回転させ、静電
塗布を行なう。
【0063】次に、第1層目の膜の上に第2層目の膜を
形成する工程について説明する。第2層目の被膜形成材
としてはシリケートゾル溶液を使用する。1層目の被膜
は導電性なのでアノードボタンを介して接地することが
でき、2層目の被膜を形成する場合も1層目の被膜と同
様な方法を用いることができる。ただし、第1,2層目
用の被膜形成材は、図6に示すように第1,2層用の供
給器が用意されていてそれぞれの溶液がそれぞれのノズ
ルから塗布されるようになっている。
【0064】1,2層目を形成する被膜形成材の一例を
上記したが、2層以上の被膜を形成するときの1層目の
膜は、酸化インジウム、酸化錫、および酸化亜鉛のうち
少なくとも1種を主成分とする微粒子で構成されていれ
ばよく、これらの微粒子を粉体として用いて、霧化器な
どにより静電塗布を行なう。
【0065】また、第1,2層の被膜形成材として以下
のようなものも使用可能である。例えば、導電性被膜で
ある第1層を形成するために、平均粒径15nmの酸化亜
鉛の微粒子を珪酸エチル溶液に分散し、この溶液を用い
て静電塗布を行なう。次に2層目の被膜形成材にアルキ
ルシリケートを用いて、1層目の膜の上に静電塗布を行
ない2層目の膜を形成することで、緻密で均一な表面被
膜を備えた陰極線管を得ることができる。以上のように
1,2層目に用いられる被膜形成材の例を示したが、1
層目の膜は酸化錫、酸化インジウム、および酸化亜鉛の
微粒子を有機溶媒またはエチルシリケートを主成分とす
る溶媒に分散させた塗布溶液を用いて静電塗布を行なえ
ばよい。
【0066】さらに、2層の被膜からなる陰極線管に用
いられる被膜形成材の例として次のようなものがある。
まず、導電性被膜である第1層を形成するために、10
00ccの蒸留水に、塩化インジウムと塩化第一錫を用
い、これらの関係がSn/In=0.05となるように
それぞれ25.0gと1.2gづつ混合し、塗布溶液を調
製する。この溶液を用いて第1層の表面被膜の静電塗布
を行なう。その後、大気雰囲気中200℃で熱処理を行
ない結晶化させる。そして、アルキルシリケート溶液を
用いて、静電塗布を行ない2層目の被膜を形成する。こ
のようにして、フェイスプレートに2層の膜が形成され
た陰極線管を製造することができる。
【0067】以上のように2層からなる被膜を形成する
場合の被膜形成材の一例を上記したが、1層目の構成と
しては、熱分解処理により酸化錫、酸化インジウム、お
よび酸化亜鉛のうち少なくとも1種を主成分とする組成
に変化する塗布溶液を用いて静電塗布を行なうようにす
ればよい。上記のような塗布溶液を使用するわけは、導
電性を有するためには酸化物を用い、さらに表示画面に
使用するので透明である必要があるためである。
【0068】本実施例で用いる被膜形成材の微粒子の平
均粒径は200Å(オングストローム)以下であること
が望ましい。これは微粒子粉の平均粒径が200Å以下
であればヘイズ(曇価)が1%以下の膜が得られるから
である。そして、ヘイズ(曇価)が1%以下ならば表示
画面の透明性を確保することができる。
【0069】実施例1〜6で使用される被膜形成材は、
沸点が100℃以上160℃以下、表面張力が25dyne
/cm 以下、粘度が2cps以下という条件を満たすことが
望ましい。これらの値を満たせば均一な被膜を形成する
ことができる。なお、実施例1〜6では主に単層膜・2
層膜の場合について説明したが、2層以上の膜構造を得
る場合にも本発明による表面被膜の形成方法が適用でき
ることは言うまでもない。また、実施例ではメタルバッ
クおよびブラックマトリックスの電位を接地電位に設定
したが、ゴミなどの付着を防ぐためにゴミなどの帯電傾
向によって、ある程度の電位を持たせてもよい。例え
ば、周囲から発生する繊維くずなどのゴミが正電荷に帯
電しやすいならば、メタルバックおよびブラックマトリ
ックスに+100V程度の電位を印加すればよい。
【0070】また、実施例ではフェイスプレートを上向
きにして回転装置に乗せた場合について説明してきた
が、フェイスプレートの向きは上向きに限られるわけで
はなく、フェイスプレートに対向する位置に霧化器が設
置されていれば、フェイスプレートは図10に示したよ
うに横、下、斜めなどの向きで固定されても問題ない。
フェイスプレートを横向き、下向き、または斜めにする
ことで余分な溶液は下へ落ち、成膜時にフェイスプレー
トへゴミや余分な液が再付着するのを防ぐことができ
る。なお、図10は、ノズルと陰極線管の位置関係を示
したものであるが、フェイスプレート単体の場合も同様
の位置関係を適用することができる。また、陰極線管な
どの固定方法など、他の部分は省略されているが、図1
0に示すような位置関係になれば、その他の部分の構成
は特に限定されるものではない。
【0071】
【発明の効果】第1の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成装置によれば、陰極線管のフェイス
プレートの内面に設けられた導電性膜を所定の第1の電
位に設定し、フェイスプレートに噴霧される被膜形成材
を所定の第2の電位に設定することで、フェイスプレー
トと被膜形成材との間で電気的引力を発生させることが
できるので、静電塗布法によりフェイスプレート外表面
に被膜を形成することができ、緻密で平滑、かつ膜強度
の向上した表面被膜を形成できるという効果がある。
【0072】第2の発明に係る静電塗布法による陰極線
管の表面被膜形成装置によれば、陰極線管のアノードボ
タンに第1の電位設定手段が接触するので、フェイスプ
レート内面に形成されている導電性膜を所定の第1の電
位に設定することができ、静電塗布法による表面被膜の
形成を行なうことができる。第3の発明に係る静電塗布
法による陰極線管の表面被膜形成装置によれば、フェイ
スプレート単体の内面に設けられた導電性膜に第1の電
位設定手段が接触するので、陰極線管を構成するフェイ
スプレート単体を所定の第1の電位に設定することがで
きる。
【0073】第4の発明に係る静電塗布法による表面被
膜形成装置によれば、保持手段に保持された陰極線管を
所定の速さで回転させる回転手段により回転させながら
被膜形成材の塗布を行なうことにより、フェイスプレー
トの表面に膜厚の均一な表面被膜を形成することができ
る。第5の発明に係る静電塗布法による表面被膜形成装
置によれば、噴霧手段をフェイスプレートの外表面上で
移動させて被膜形成材を噴霧するので、フェイスプレー
トの外表面へ一様に被膜形成材を塗布することができ、
膜厚の均一な表面被膜を得ることができる。
【0074】第6の発明に係る静電塗布法による表面被
膜形成装置によれば、陰極線管に取り付けられた防爆バ
ンドを所定の第3の電位に設定することで、噴霧された
被膜形成材が防爆バンドに付着せず、フェイスプレート
以外の部分に被膜形成材が飛散することがないので、被
膜形成材の利用効率が向上する。また、無駄になる液滴
を減らすことができるので、ゴミの発生源となるオーバ
ースプレーを抑えることができる。さらに、ゴミを減ら
すことができるので、浮遊しているゴミが噴霧液滴中に
取り込まれて表面被膜の膜厚が均一でなくなることを防
ぐことができる。
【0075】第7の発明に係る静電塗布法による表面被
膜形成方法によれば、陰極線管のフェイスプレート内面
に設けられた導電性膜を所定の第1の電位に設定し、フ
ェイスプレートの外表面に被膜を形成する被膜形成材を
所定の第2の電位に帯電させるとともに、フェイスプレ
ートに噴霧することによって、フェイスプレート内面に
設けられた導電性膜に該当するメタルバックおよびブラ
ックマトリックスと帯電した液滴との間に電気的な引力
が働き、フェイスプレート外表面に平坦で緻密な膜を形
成することができる。
【0076】第8の発明に係る静電塗布法による表面被
膜形成方法によれば、フェイスプレートを所定の速さで
回転させ、このフェイスプレート外表面の中央部分から
端部へ移動させて被膜形成材を噴霧することで、膜厚の
均一な表面被膜を形成することができる。第9の発明に
係る静電塗布法による表面被膜形成方法によれば、フェ
イスプレートを所定の速さで回転させ、このフェイスプ
レート外表面の中央部分から端部へ行くにしたがって移
動速度を遅くしながら被膜形成材の噴霧を行なうこと
で、回転しているフェイスプレート外表面における中央
部分から端部への速度の変化に対応することができ膜厚
の均一な表面被膜を形成することが可能である。
【0077】第10の発明に係る静電塗布法による表面
被膜形成方法によれば、第1層目の被膜として電気伝導
性の表面被膜を形成したことにより、第1層目の表面被
膜を所定の第1の電位に設定することができるので、静
電塗布法により1層目の被膜の上に第2層目の被膜を形
成することが可能となる。第11の発明に係る静電塗布
法による表面被膜形成方法によれば、酸化錫、酸化イン
ジウム、あるいは酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分
とする微粒子を含む第1の被膜形成材を用いて静電塗布
を行なうことで、導電性を持つ被膜を形成できるので、
フェイスプレート所定の第1の電位に設定すれば、静電
塗布法によって第1層目の被膜の上に第2層目の被膜を
形成することができる。
【0078】第12の発明に係る表面被膜形成型陰極線
管の製造方法によれば、酸化錫、酸化インジウム、ある
いは酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分とする微粒子
を有機溶媒に分散させた被膜形成材を用いて、第1層目
として導電性被膜を形成することで、フェイスプレート
を所定の第1の電位に設定すれば、静電塗布法によって
第1の被膜の上に第2層目の被膜を形成することができ
る。第13の発明に係る静電塗布法による表面被膜形成
装置方法によれば、平均粒径が200Å(オングストロ
ーム)の微粒子からなる被膜形成材を用いて、表面被膜
の形成を行なうことで、ヘイズ(曇価)が1%以下の膜
を得ることができ、表示画面としての透明性を確保する
ことができる。
【0079】第14の発明に係る静電塗布法による表面
被膜形成方法によれば、第1層目の被膜を静電塗布した
後の熱処理により酸化錫、酸化インジウム、または酸化
亜鉛のうち少なくとも1種を成分とする組成に変化する
第1の被膜形成材を用いれば、導電性があり、表示画面
としての透明性の保たれた被膜を形成することができ
る。第15の発明に係る静電塗布法による表面被膜形成
方法によれば、沸点が100°C以上160°C以下、
表面張力が25dyne/cm以下、粘度が2cps以下である
被膜形成材を用いることで、膜厚の均一な表面被膜を形
成することが可能となる。
【0080】第16の発明に係る静電塗布法による表面
被膜形成方法によれば、フェイスプレートの画像表示面
以外の部分にあらかじめ電極を設けることにより、第1
層目に導電性のない被膜を形成しても、あらかじめ設け
られた電極と第1層目の被膜は接触しているので、上記
電極を所定の第1の電位に設定することにより、2層目
以降の被膜を形成を静電塗布法により行なうことができ
る。第17の発明に係る静電塗布法による表面被膜形成
方法によれば、第1層目の被膜を形成後、フェイスプレ
ートの画像表示面以外の部分に電極を設けることで、第
1層目の被膜を所定の第1の電位に設定することができ
るので、静電塗布法を用いて第2層目の被膜を形成する
ことができる。
【0081】第18の発明に係る静電塗布法による陰極
線管の表面被膜形成方法によれば、フェイスプレートの
映像表示面に表面被膜として形成される以外の無駄にな
った被膜形成材をフェイスプレート表面に付着しないよ
うにしたので、静電塗布をするに当たって成膜時にゴミ
や余分な液が表示面に再付着するのを防ぐことができ
る。第19の発明に係る静電塗布法による陰極線管の表
面被膜形成方法によれば、陰極線管に取り付けられた防
爆バンドを所定の第3の電位に設定することで、噴霧さ
れた被膜形成材が防爆バンドに付着せず、フェイスプレ
ート以外の部分に被膜形成材が飛散することがないの
で、被膜形成材の利用効率が向上する。また、無駄にな
る液滴を減らすことができるので、ゴミの発生源となる
オーバースプレーを抑えることができる。さらに、ゴミ
を減らすことができるので、浮遊しているゴミが噴霧液
滴中に取り込まれて表面被膜の膜厚が均一でなくなるこ
とを防ぎ、最適な表面被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による陰極線管の表面被膜形成装置
である。
【図2】 陰極線管と保持手段が圧着部分を示した図で
ある。
【図3】 この発明による陰極線管を構成するフェイス
プレートの表面被膜形成装置である。
【図4】 フェイスプレート単体を示す図である。
【図5】 陰極線管の画像表示以外の部分とアノードを
結ぶ電極を示す図である。
【図6】 2層からなる表面被膜を形成する場合に用い
る被膜形成材の供給器と霧化器を示す図である。
【図7】 表面被膜が形成されたフェイスプレートの断
面を拡大した図である。
【図8】 従来と本発明による2層からなる表面被膜を
有する陰極線管表面の反射率を比較した図である。
【図9】 この発明の他の実施例である表面被膜形成装
置を示す図。
【図10】 陰極線管と噴霧ノズルの位置関係を示す図
である。
【符号の説明】
1.接地用電極 2.支持台 3.陰極線管
4.フェイスプレート 5.アノードボタン 6.防爆バンド 7.金具
8.支柱 9.摺動電極 10.リング状端子 11.保持部
12.回転装置 13.アースケーブル 14.接地面 15.霧化器
16.静電帯電器 17.接続器 18.可動吊り金具 19.Y軸レ
ール 20.X軸レール 21.ケーブル 22.可動配
管 23.電源 24.供給器 25.接地面 26.被膜形成材 27.ブラックマトリックス 28.蛍光体 2
9.メタルバック 30.内部固定治具 31.外部固定治具 32.
導電ブラシ 33.電源 34.接地面 35.銅テープ 3
6.銅テープ 37.供給器 38.供給器 39.銅テープ
40.NESA膜 41.霧化器
フロントページの続き (72)発明者 橋本 典綱 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 前川 武之 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料デバイス研究所内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極線管のフェイスプレートに表面被膜
    を形成する装置において、 フェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第
    1の電位に設定する第1の電位設定手段と、 フェイスプレート外表面に噴霧される被膜形成材を所定
    の第2の電位に設定する第2の電位設定手段と、 この第2の電位設定手段により所定の第2の電位に設定
    された上記被膜形成材をフェイスプレートに噴霧し、膜
    厚の均一な表面被膜を形成する噴霧手段とを備えたこと
    を特徴とする静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成
    装置。
  2. 【請求項2】 第1の電位設定手段は、陰極線管のアノ
    ードボタンを介してフェイスプレートを所定の第1の電
    位に設定することを特徴とする請求項1記載の静電塗布
    法による表面被膜形成装置。
  3. 【請求項3】 第1の電位設定手段は、フェイスプレー
    ト単体の内面に設けられた導電性膜を所定の第1の電位
    に設定することを特徴とする請求項1記載の静電塗布法
    による陰極線管の表面被膜形成装置。
  4. 【請求項4】 陰極線管のフェイスプレートを噴霧手段
    に対向させて保持し、この保持された陰極線管を回転さ
    せる回転手段を備え、 この回転手段により上記陰極線管を所定の速度で回転さ
    せるとともに、噴霧手段を所定の方向および速度で移動
    させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
    記載の静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成装置。
  5. 【請求項5】 噴霧手段は、フェイスプレートの外表面
    上で移動させて被膜形成材を噴霧することを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の静電塗布法による
    陰極線管の表面被膜形成装置。
  6. 【請求項6】 陰極線管に取り付けられた防爆バンドを
    第2の電位より大きく、第1の電位より小さい、所定の
    第3の電位に設定する手段を備えたことを特徴とする請
    求項1または2に記載の静電塗布法による陰極線管の表
    面被膜形成装置。
  7. 【請求項7】 陰極線管のフェイスプレートに静電塗布
    により表面被膜を形成する方法において、 フェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第
    1の電位に設定し、 フェイスプレート外表面に噴霧される被膜形成材を所定
    の第2の電位に設定させるとともに、フェイスプレート
    に噴霧し、 膜厚の均一な表面被膜を形成することを特徴とする静電
    塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  8. 【請求項8】 フェイスプレートを所定の速さで回転さ
    せ、 上記フェイスプレート外表面の中央から端部へ移動させ
    て被膜形成材を噴霧することを特徴とする請求項7記載
    の静電塗布法による表面被膜形成方法。
  9. 【請求項9】 上記フェイスプレート外表面の中央部分
    から端部へ行くにしたがって移動速度を遅くしながら被
    膜形成材の噴霧を行なうことを特徴とする請求項8記載
    の静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  10. 【請求項10】 陰極線管のフェイスプレートに静電塗
    布により表面被膜を形成する方法において、 フェイスプレート内面に設けられた導電性膜を所定の第
    1の電位に設定し、 フェイスプレート外表面に噴霧される第1の被膜形成材
    を所定の第2の電位に設定させるとともに、フェイスプ
    レートへ噴霧し、導電性を有する1層目の被膜を形成
    し、 さらに、上記1層目の被膜の上に第2の被膜形成材を噴
    霧し、2層目の被膜を形成することを特徴とする静電塗
    布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  11. 【請求項11】 第1の被膜形成材は、酸化錫、酸化イ
    ンジウム、および酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分
    とする微粒子を含むことを特徴とする請求項10記載の
    静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  12. 【請求項12】 第1の被膜形成材は、酸化錫、酸化イ
    ンジウム、および酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分
    とする微粒子を有機溶媒に分散させたものであることを
    特徴とする請求項10記載の静電塗布法による陰極線管
    の表面被膜形成方法。
  13. 【請求項13】 被膜形成材における微粒子の平均粒径
    は、200Å(オングストローム)以下であることを特
    徴とする請求項7ないし12のいずれかに記載の静電塗
    布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  14. 【請求項14】 フェイスプレート外表面における被膜
    の1層目を構成する第1の被膜形成材が、1層目の静電
    塗布後の熱処理により酸化錫、酸化インジウム、または
    酸化亜鉛のうち少なくとも1種を成分とする組成に変化
    するものであることを特徴とする請求項10記載の静電
    塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  15. 【請求項15】 被膜形成材の沸点は100°C以上1
    60°C以下であり、表面張力は25dyne/cm以下であ
    り、粘度は2cps以下であることを特徴とする請求項7
    ないし14のいずれかに記載の静電塗布法による陰極線
    管の表面被膜形成方法。
  16. 【請求項16】 陰極線管のフェイスプレートに静電塗
    布により表面被膜を形成する方法において、 フェイスプレートの画像表示面以外の部分にあらかじめ
    電極を設け、 第1の被膜形成材により第1層目の表面被膜を形成し、
    上記電極を所定の第1の電位に設定して、 さらに、第2の被膜形成材により第2層目の表面被膜の
    形成を行なうことを特徴とする請求項10記載の静電塗
    布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
  17. 【請求項17】 電極は、フェイスプレートの表面に第
    1層目の表面被膜を形成した後、上記フェイスプレート
    の画像表示面以外の部分に形成することを特徴とする請
    求項16記載の静電塗布法による陰極線管の表面被膜形
    成方法。
  18. 【請求項18】 フェイスプレートの表面に表面被膜と
    して形成される以外の被膜形成材がフェイスプレート表
    面に付着しないようにしたことを特徴とする請求項7ま
    たは10に記載の静電塗布法による陰極線管の表面被膜
    形成方法。
  19. 【請求項19】 陰極線管に取り付けられた防爆バンド
    を第2の電位より大きく、第1の電位より小さい、所定
    の第3の電位に設定することを特徴とする請求項10記
    載の静電塗布法による陰極線管の表面被膜形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018189996A (ja) * 2015-11-20 2018-11-29 Agc株式会社 膜付き曲げ基材およびその製造方法、ならびに画像表示装置

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TWI820805B (zh) * 2015-11-20 2023-11-01 日商Agc股份有限公司 附有防眩膜之車輛用透明零件及顯示裝置

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