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JPH08176352A - 制振性弾性体組成物 - Google Patents

制振性弾性体組成物

Info

Publication number
JPH08176352A
JPH08176352A JP32024494A JP32024494A JPH08176352A JP H08176352 A JPH08176352 A JP H08176352A JP 32024494 A JP32024494 A JP 32024494A JP 32024494 A JP32024494 A JP 32024494A JP H08176352 A JPH08176352 A JP H08176352A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
vibration
elastic body
damping
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32024494A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Nakajima
達雄 中島
Mika Iwasaki
美香 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP32024494A priority Critical patent/JPH08176352A/ja
Publication of JPH08176352A publication Critical patent/JPH08176352A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制振性弾性体組成物を、−30℃〜100℃
といった広温度範囲を使用される場合に、優れた制振性
能を安定して維持することができるものとする。 【構成】 熱可塑性ポリエステルエラストマーなどであ
って軟化点が100℃以上の熱可塑性エラストマー1〜
98重量%、ゴム1〜98重量%、ポリアミドまたはポ
リブチレンテレフタレートなどであってガラス転移点が
30〜100℃の合成樹脂1〜98重量%からなり、こ
れらの合計が100重量%となる配合で混練、成形した
制振性弾性体組成物または制振シートとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、機械類、建築物など
の振動を抑制する制振性弾性体として利用される制振性
弾性体組成物および制振シートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両、建築物、機械類などから
発生する振動抑制に用いる緩衝部材、すなわち制振材料
として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル
などの樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム、アスファル
トなどが知られている。
【0003】このような制振材料は、アスファルト等の
半固体状の瀝青質を主原料としたもの、またはゴム、プ
ラスチック等を主原料としたものに大別される。
【0004】前者の瀝青質を主原料としたものは、安価
に製造できる利点のある反面、多量の充填剤が必要であ
ると共に、効果的な制振性能を得るためには厚肉化する
必要があるため、重量および体積が大きくなり、特に自
動車用部品等としての軽量化の要求にそぐわない。
【0005】後者のゴム、プラスチック等を主原料とし
た制振材料は、前者に比較して軽量化の要求に応えるこ
とが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ゴム、プラス
チック等を主原料とした制振材料は、環境温度によって
制振性能が安定せず、特に自動車などの車両用部品とし
て用いられた場合に、−30℃〜100℃といった広範
囲の使用環境温度域で所要の制振性能を安定して維持す
ることができないという問題がある。
【0007】ここで、制振材料の制振性能は、損失係
数:tanδ(δは損失角)で評価することができ、単
独の物質からなる弾性体では、通常、損失係数:tan
δはガラス転移点(Tg )でピーク値を示し、この温度
の近傍でのみ効果的な制振性能が得られる。
【0008】そして、ゴムでは室温以下のTg (NBR
で−47℃(AN20重量%)〜−22℃(AN45重
量%)、汎用のSBRでは約−58℃)を有し、また、
プラスチックでは、例えば、ポリエチレンでは−68
℃、硬化後の熱硬化性樹脂では常温以上のTg を有し
て、単独の材料からなる制振材料は、各材料のTg 付近
でのみ効果的な制振性能が得られるものである。
【0009】従来、ゴムと樹脂とをブレンドした材料が
制振材料として提案されている。この場合、ゴムと樹脂
の選択によっては、常温近辺もしくは−10℃〜60℃
程度の温度範囲で制振性能を維持することができる。
【0010】しかしながら、自動車用途に使用する場
合、その使用部位や環境条件の要請から要求される温度
範囲は、−30℃から100℃と広く、従来の制振材料
では制振性を発揮する温度範囲が狭いので、所望される
機能を達成することができなかった。
【0011】そこで、本願の発明者らは、鋭意検討の結
果、熱可塑性エラストマー、ゴムおよび合成樹脂という
3成分もしくはそれ以上の成分をブレンドすることによ
り、より広温度域で高い制振性能を維持することを可能
としたために、自動車用途は言うに及ばず、いかなる応
用用途においても充分な機能を発揮する全く新しい制振
材料を創出した。ただしこの時、有機高分子材料の3成
分以上の多成分系となっており、各成分の溶融温度及び
溶融粘度の違いから、ブレンドできる高分子材料成分の
組合わせは限られてくる。
【0012】この発明の課題は、上記した問題点を解決
して、制振性弾性体組成物を、使用環境温度域として−
30℃〜100℃といった広温度範囲を設定した場合に
も、所期の制振性能を安定して維持することができるも
のとすることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、軟化点が100℃以上の熱
可塑性エラストマーと、ゴムと、ガラス転移点30〜1
00℃の合成樹脂を必須成分としてなる制振性弾性体組
成物としたのである。
【0014】または、(A)軟化点が100℃以上の熱
可塑性エラストマー1〜98重量%、(B)ゴム1〜9
8重量%、(C)ガラス転移点が30〜100℃の合成
樹脂1〜98重量%からなり、かつ(A)と(B)と
(C)の合計が100重量%となる配合で混練、成形し
てなる制振性弾性体組成物としたのである。
【0015】また、上記の制振性弾性体組成物におい
て、ガラス転移点30〜100℃の合成樹脂としてポリ
アミドまたはポリブチレンテレフタレートを採用するこ
とが好ましい。
【0016】
【作用】この発明の制振性弾性体組成物は、所定の軟化
温度の熱可塑性エラストマーと、ゴムと合成樹脂を必須
成分として前記3種類の成分が均等に混ざり合ってお
り、特定の温度での損失係数:tanδのピークが無く
なり、すなわち、複合した弾性体のtanδ値のピーク
を温度軸上でブロード化させ、かつそのtanδ値のレ
ベルが高く、使用環境温度域として−30℃〜100℃
といった広温度範囲を設定した場合、少なくともその温
度領域で所望の制振性能を安定して発現することができ
る。
【0017】
【実施例】この発明に用いる軟化点100℃以上の熱可
塑性エラストマーは、周知の熱可塑性エラストマーを1
種または複数種混合したものを使用することができる。
そのような熱可塑性エラストマーの具体例としては、熱
可塑性ポリエステルエラストマー、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体、またはこれらの水素添加物、熱可塑性ポリウレ
タンエラストマー、熱可塑性クロロオレフィンエラスト
マー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、ポリプロピレ
ン/エチレン−プロピレン共重合ゴムを主成分とする組
成物、またはその動的架橋組成物、ポリプロピレン/ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムを主成分とする
組成物、またはその動的架橋組成物、ポリプロピレン/
スチレン−ブタジエンブロック共重合体を主成分とする
組成物、またはその動的架橋組成物、ポリプロピレン/
スチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分とする
組成物、またはその動的架橋組成物、ポリプロピレン/
スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物を主
成分とする組成物、またはその動的架橋組成物、ポリプ
ロピレン/スチレン−イソプレンブロック共重合体水素
添加物を主成分とする組成物、またはその動的架橋組成
物などが挙げられる。
【0018】より好ましい熱可塑性エラストマーとして
は、熱可塑性ポリエステルエラストマーがある。
【0019】この発明で使用する熱可塑性エラストマー
は、高融点ポリエステルセグメントと低融点重合体セグ
メントとからなるブロック共重合体であり、高融点ポリ
エステルセグメントは、融点が150℃以上のポリエス
テルから構成される。前記した低融点重合体セグメント
は、ポリエステル系ブロック共重合体のなかで実質的に
非晶の状態を示すものであり、そのセグメントだけで測
定した場合の融点または軟化点の上限は、特に限定され
るものでないが、一般的には130℃以下であることが
好ましく、より好ましくは100℃以下である。
【0020】高融点ポリエステルセグメントを構成する
ポリエステルは、以下に述べるようなジカルボン酸残基
と、脂肪族または脂環族のジオールの残基とからなるポ
リエステル、または2種類以上のジカルボン酸もしくは
2種類以上のジオールを用いたコポリエステル、あるい
はp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、p−オキ
シ安息香酸等のオキシ酸およびそれらの残基から誘導さ
れるポリエステル、ポリビバロラクトンなどのポリラク
トン、1,2−ビス(4,4’−ジカルボキシジメチル
フェノキシ)エタン、ジ(4’−カルボキシジフェノキ
シ)エタンなどの芳香族エーテルジカルボン酸の残基と
ジオール残基とからなるポリエーテルエステル、さらに
ジカルボン酸、オキシ酸、ジオール類などを組み合わせ
たコポリエステルなどを採用して好ましい結果を得てい
る。
【0021】ここで、ポリエステルの構成成分として適
用するジカルボン酸と、脂肪族、脂環族または芳香族の
ジオールを列挙すると以下の通りである。ジカルボン酸
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビ安息香酸、ビ
ス(p−カルボキシフェニル)メタン、4,4−スルホ
ニルジ安息香酸などの芳香族ジカルボン酸、または1,
4−シクロヘキサンジルボン酸などの脂環族ジカルボン
酸、またはコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン
酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン
が挙げられる。
【0022】脂肪族ジオールとしては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコ
ール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカ
メチレングリコール等が挙げられる。
【0023】脂環族ジオールとしては、1,1−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられ
る。
【0024】芳香族基を含むジオールとしては、キシリ
レングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、
ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス「4−(2−ヒドロキシヘトキシ)フェニル」プロパ
ン、1,1−ビス「4−(2−ヒドロキシヘトキシ)フ
ェニル」シクロヘキサン等が挙げられる。
【0025】また、低融点重合体セグメントの構成成分
を列挙すると以下の通りである。すなわち、ポリオキシ
エチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエー
テルグリコール及びこれらの混合物、更にこれらのポリ
エーテル構成成分を共重合した共重合ポリエーテルグリ
コール、または、炭素数2〜12の脂肪族または脂環族
ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グ
リコールからなるポリエステル(たとえばポリエチレン
アジぺート、ポリテトラメチレンアジぺート、ポリエチ
レンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテ
トラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼレ
ート、ポリヘキサメチレンアゼレート、ポリ−ε−カプ
ロラクトン等の脂肪族ポリエステル及び2種の脂肪族ジ
カルボン酸あるいは2種のグリコールを用いてできる脂
肪族コポリエステル等)を挙げることができる。また、
上記脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとを組み
合わせたポリエステルポリエーテルブロック共重合体な
どであってもよい。
【0026】このような高融点ポリエステルセグメント
と低融点重合体セグメントとからなる熱可塑性ポリエス
テルエラストマーは、周知の高分子化合物の重合方法に
よって共重合させることができる。
【0027】その場合の好適な重合方法としては、芳香
族ジカルボン酸またはそのジメチルエステルと低融点セ
グメント形成性ジオールとを触媒の存在下に、約150
〜260℃に加熱し、エステル化反応またはエステル交
換反応を行い、次いで真空下に過剰の低分子ジオールを
除去しつつ重縮合反応を行うことにより熱可塑性エラス
トマーを得る方法、予め調整した高融点ポリエステルセ
グメント形成性プレポリマーおよび低融点重合体セグメ
ント形成性プレポリマーに、それらのプレポリマーの末
端基と反応する2官能性の鎖延長剤を混合し、反応させ
たのち、系を高真空に保って揮発成分を除去することに
より、熱可塑性ポリエステルエラストマーを得る方法、
高重合度の高融点ポリエステルとラクトン類とを加熱混
合し、ラクトンを開環重合させつつエステル交換反応さ
せることにより熱可塑性ポリエステルエラストマーを得
る方法などが例示できる。
【0028】熱可塑性ポリエステルエラストマー中の高
融点結晶性セグメントと、低融点重合体セグメントとの
組成比は、好ましくは重量比で95/5から5/95の
範囲であり、さらに好ましくは70/30から30/7
0の範囲である。
【0029】低融点セグメントは、その分子量(重量平
均分子量、以下単に分子量という)が400〜6000
のものが好ましい。なぜなら、分子量が所定未満のもの
は高融点セグメントの結晶性が損なわれて弾性回復率が
低下するので、このましくなく、分子量が所定範囲を越
えるとポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール自体
が結晶性を持つようになり、また相溶性も悪くなって低
温特性が低下するからである。
【0030】そして、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ーは、その軟化点が100℃以上のものを採用する。な
ぜなら、軟化点が100度未満の低温では、被着体の温
度及び雰囲気温度が上がったとき、「だれ」の問題が発
生する原因となって好ましくないからである。
【0031】この発明に用いるゴム成分としては、各種
の合成ゴムまたは天然ゴムの1種または2種以上の混合
物であってよく、また加硫されていても未加硫であって
もよい。具体例としては、以下の(a)〜(g)のグル
ープに分類されるようなものが挙げられる。
【0032】(a)天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポ
リブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、スチレン−イソプレン共重合体ゴムなどの非極性ジ
エン系ゴムおよびその水素添加物。
【0033】(b)アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体ゴム、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共
重合体ゴム、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの極性ジエン系ゴ
ムおよびこれらの水素添加物。
【0034】(c)(メタ)アクリル酸エステルゴム、
(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重
合ゴム、(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル共重合
ゴム、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン共重合ゴ
ム、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体ゴムなどの(メタ)アクリル酸エス
テルを主成分とするいわゆるアクリルゴム。
【0035】(d)エピクロルヒドリン単独またはエチ
レンオキサイドとの共重合ゴムを代表とするいわゆるヒ
ドリンゴム。
【0036】(e)クロロプレンゴム、塩素化ポリエチ
レンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素
化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化エチレン−プ
ロピレンゴムなどのハロゲン化されたゴム。
【0037】(f)エチレン−プロピレン共重合体ゴ
ム、エチレン−プロピレンとエチリデンノルボルネンな
どの架橋性第3成分共重合体ゴムなどのいわゆるエチレ
ン−プロピレンゴム。
【0038】(g)このほか、いわゆる多硫化ゴム、ク
ロロフォスファゼンゴム、ウレタンゴム、エチレン−酢
酸ビニル共重合ゴム、ポリエチレンオキサイドゴム、シ
リコーンゴム、フッ素ゴムなどの通称で呼ばれる合成ゴ
ム全般などである。
【0039】より好ましいゴムとしては、前述の極性ジ
エン系ゴムおよびその水素添加物、アクリルゴム、ヒド
リンゴム、ウレタンゴム、クロロフォスファゼンゴムで
ある。シリコーンゴムおよびフッ素ゴムも溶解パラメー
ターは低いが耐油性があり好ましく使用できる。
【0040】この発明の制振性弾性体組成物は、熱可塑
性エラストマーとゴムと合成樹脂を単純にブレンドする
だけでも得ることができるが、動的架橋を施しても良
い。動的架橋とは、Uniroyal社のW.M.Fi
scherらや、Monsanto社のA.Y.Cor
anらにより開発された手法であり、熱可塑性樹脂のマ
トリックス中にゴムをブレンドし、架橋剤とともに混練
りしながらゴムを高度に架橋させ、しかもそのゴムを微
細に分散させるプロセスを称する。
【0041】このような動的架橋で使用する架橋剤とし
ては、通常のゴムに使用される過酸化物、樹脂架橋剤、
硫黄などが使用できる。
【0042】動的架橋方法としては、各種押出機、バン
バリーミキサー、ニーダーさらにこれらを組み合わせた
ものなどにより、上記各成分を混練することによって得
ることができるが、生産性を考慮した場合には、二軸押
出機を用いて連続的に生産することが最も好ましい。そ
のため押出機は、長さL/直径D=30以上の長軸型が
望ましい。
【0043】この発明において、制振性粘弾性組成物中
の分散粒子は、その平均粒子径が50μm以下の大きさ
で分散していることが望ましい。特に、この発明に用い
るゴムは、マトリックス成分中に分散混合していること
が望ましく、その平均粒子径は50μm以下が好まし
く、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5
μm以下である。ゴム成分の分散粒子径が大きいと十分
な制振性が得られない場合がある。
【0044】この発明においては、電子顕微鏡で観察さ
れるランダムな視野において分散粒子を100個以上抽
出し、それらの平均値を平均粒子径とした。また、球形
でない粒子については円面積としたときの直径とした。
【0045】ゴム成分をマトリックス成分中に、充分に
分散させ、かつその界面を強化し性能をさらに向上させ
るために、いわゆる相溶化剤を用いることができる。
【0046】相溶化剤は大きく分けると、化学反応を伴
わないものと伴うものがある。前述は通常、ブロック共
重合体、グラフト共重合体にあてはまり、いわゆる乳化
作用を示す。後者は官能基をポリマーの末端や側鎖にも
つタイプやポリマーの末端に重合性基を有する高分子マ
クロマーなどがある。
【0047】相溶化剤の具体例としては、エチレン/グ
リシジルメタクリレート共重合体−ポリメチルメタクリ
レートグラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタク
リレート共重合体−アクリロニトリル/スチレン共重合
体グラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタクリレ
ート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エチレ
ン/エチルアクリレート共重合体−ポリメチルメタクリ
レートグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレー
ト共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、
エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリスチレン
グラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポ
リメチルメタクリレートグラフトポリマー、エチレン/
酢酸ビニル共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポ
リマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポリスチレン
グラフトポリマー、ポリプロピレン−ポリアクリロニト
リルグラフトポリマー、ポリプロピレン−ポリスチレン
グフトポリマー、ポリプロピレン−ポリスチレングラフ
トポリマー、ポリエチレン−ポリメチルメタクリレート
グラフトポリマー、ポリエチレン−ポリアクリロニトリ
ルグラフトポリマー、ポリエチレン−ポリスチレングラ
フトポリマー、エポキシ変性ポリスチレン−ポリメチル
メタクリレ−トグラフトポリマー、ポリブチレンテレフ
タレート−ポリスチレングラフトポリマー、酸変性アク
リル−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、酸
変性アクリル−ポリスチレングラフトポリマー、ポリス
チレン−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、
ポリスチレン−ポリエチレングラフトポリマー、ポリス
チレン−ポリブタジエングラフトポリマー、ポリスチレ
ン−ポリアクリロニトリルブロック共重合体、ポリスチ
レン−ポリブチルアクリレートブロック共重合体などが
挙げられる。
【0048】またゴム成分の具体例として前述のスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体水素添加物、スチレン−イソプレン
ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重
合体水素添加物などは相溶化剤として用いられることも
ある。
【0049】相溶化剤の市販品を商品名で挙げれば、日
本油脂社製:モデバーA、東亜合成化学工業社製:RE
SEDA(R)GP100などが代表例である。
【0050】好ましい相溶化剤は使用するゴム成分の種
類により変わるが、特に好ましいものはマトリックス成
分と直接反応できるエポキシ基、カルボキシ基を持った
相溶化剤である。
【0051】ゴムをマトリックス成分中に十分細かく分
散させ相溶化するには、前述の相溶化剤を用いる方法の
ほかに、適当な官能基を持った化合物で変性したゴム成
分を用いる方法がある。好ましい官能基は、エポキシ基
とカルボキシ基である。
【0052】ゴムを変性する方法に制限はないが、変性
の一般的な方法としては、有機過酸化物化合物を開始剤
としてグリシジルメタクリレート、グレイシジルメチル
メタクリレート、無水マレイン酸、フタル酸等のモノマ
ーをゴムにグラフトする方法である。
【0053】変性は、マトリックスとゴム成分を混合す
る前、両成分を混合すると同時、両成分を混合して動的
架橋する時に同時のいずれの場合になされてもよい。
【0054】この発明の制振性弾性体組成物には、柔軟
性と加工性をさらに向上させるために可塑剤を添加する
ことができる。
【0055】使用される可塑剤としては、プロセスオイ
ル、またはエクステングオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム
用軟化剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、
ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタ
レート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレ
ートなどのフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチ
ルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ト
リス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプ
ロピルホスフェート、縮合リン酸エステル、トリフェニ
ルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホス
フェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェー
ト、トリラウリルホスフェート、トリセチルホスフェー
ト、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフ
ェートなどのリン酸エステル類、トリメリット酸オクチ
ルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリ
メリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エ
ステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオク
チルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチル
ヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチ
ルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグ
リコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレー
ト、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ
−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシ
ノレートなどの脂肪酸エステル類、ピロメリット酸オク
チルエステルなどのピロメリット酸エステル類、エポキ
シ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸ア
ルキルエステル(例えばエポキシ化脂肪酸オクチルエス
テル)などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエ
ステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルなどのポ
リエーテル系可塑剤などが挙げられ、これらの可塑剤は
単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0056】この発明の制振性弾性体組成物に上記可塑
剤を使用する場合、ブリード性の面からはフタル酸エス
テル類、リン酸エステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエ
ーテル系可塑剤など好ましく、さらに好ましくはフタル
酸エステル類およびポリエーテル系可塑剤である。可塑
剤の添加は、架橋剤の添加前、添加後いずれでもよく、
また一部を架橋前に添加し、残りを架橋後に添加しても
よい。
【0057】また、液状NBR、液状アクリルゴム、液
状ポリブタジエンゴムなど液状ゴムを配合することによ
り、加工性や柔軟性をさらに向上させることができる。
【0058】なお、この発明の制振性弾性体組成物に
は、加工性を損なわない範囲で、充填剤、例えば炭酸カ
ルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タル
ク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミ
ナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラ
ファイト、カーボンブラック、カーボン繊維など、ある
いは着色剤、例えばカーボンブラック、群青、酸化チタ
ン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロン顔
料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料などを配合するこ
とができる。
【0059】さらに、老化防止剤、光安定剤や紫外線吸
収剤などの各種安定剤を何種かを組み合わせて添加する
のが普通である。
【0060】上記老化防止剤の具体例としては、フェニ
ル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニ
ルアミン、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジア
ミン(DPPD)、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−
フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメ
チル−ブチル)−N´−フェニル−p−フェニレンジア
ミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニ
レンジアミン(IPPD)、N,N´−ジアリル−p−
フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル
−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレ
ンジアミン、4,4´−α,α−(ジメチルベンジル)
ジフェニルアミン、p,p−トルエンスルフォニルアミ
ノジフェニルアミン、N−フェニル−N´−(3−メタ
クリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレ
ンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジア
リル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチ
ルヘプチル)−N´−フェニル−p−フェニレンジアミ
ン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止
剤、2−2メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、
2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMB
I)、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛
塩、トリブチルチオウレア、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオウレアなどのイミダゾール系老化防止
剤、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン(DAH
Q)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(DBH
Q)、4,4´−ヒドロキシジフェニルシクロヘキサ
ン、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)(MBMTB)、2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェノール、4,4´−チオ−ビス
(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、スチレネ
ートフェノール、2,2´−メチレン−ビス−(4−エ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−
ブチル−4−エチルフェノール、ビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、フェ
ノール誘導体、ビスフェノール誘導体などのフェノール
系老化防止剤、アセトンとジフェニルアミンの反応生成
物(ADPAL)、ジフェニルアミンとアニリンとアセ
トンの反応生成物、2,2,4−トリメチル−1,2−
ジヒドロキノリンの重合体(TMDQ)、6−エトキシ
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン
(ETMDQ)、アミンとケトンの反応生成物、ジ−ラ
ウリル−チオプロピオネート、ニッケルジブチル−ジチ
オカルバネート(NiDBC)、ニッケルジエチル−ジ
チオカルバメート、ニッケルジメチル−ジチオカルバメ
ート、ニッケルジメチル−ジチオカルバメートなどのジ
チオカルバミン酸塩系老化防止剤、トリ(ノニル化フェ
ニル)ホスフェイトなどの老化防止剤。
【0061】トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、ト
リフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスフ
ァイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホ
スファイト、チオジプロピオン酸、ジラウリルチオジプ
ロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジ
ミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β
−チオジブチレートなどの二次老化防止剤が挙げられ
る。
【0062】光安定剤や紫外線吸収剤の具体例として
は、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−
3,3´−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシ
ル−2−シアノ−3,3´−ジフェニルアクリレート、
2(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2
´−ヒドロキシ−3,5´−ジ−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2(2´−ヒドロキシ−5´−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−
5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ
ベンゾフェノン、2(2´−ヒドロキシ−4−オクトキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、モノグリコールサリ
チレート、オキザリック酸アミド、フェニルサリチレー
ト、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノンなどが挙げられる。
【0063】この発明に用いるガラス転移点30〜10
0℃の合成樹脂は、周知の合成樹脂を1種または複数種
混合したものを使用することができる。そのような合成
樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリアセタール、ポリアミド、エポキシ樹脂、フッ化ビ
ニリデン、ポリスルホン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
フェニレンオキシド(PPO)、スチレン−マレイミド
系共重合体、ゴム変性スチレン−マレイミド系共重合
体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
−無水マレイン酸共重合体、ゴム変性PPO樹脂などが
挙げられる。
【0064】このような合成樹脂は、ガラス転移点が上
記所定範囲外では、組成物のtanδ値のピークが不連
続状に現れて好ましくない。組成物にブレンドする溶融
温度が170〜250℃であって好ましい合成樹脂とし
ては、ポリアミド、PBTなどが挙げられる。
【0065】以上述べた原材料の好ましい配合割合は、
ゴム10〜85重量%、合成樹脂3〜50重量%、残部
が熱可塑性エラストマーである。ゴムの配合割合が上記
範囲未満であると、0℃近辺の制振性能が劣ってしま
い、上記範囲を越えると、低温部や常温以上のところで
の制振性能が発揮されにくい。また、合成樹脂の配合割
合が上記範囲未満であると、常温以上の高温部での制振
性能が充分に発揮されず、上記範囲を越えると、組成物
が硬くなりすぎてしまい、シート等に加工した場合、柔
軟性が劣ってしまうために、適用箇所が限られてしま
う。
【0066】このような傾向から、より好ましい原材料
の配合割合は、ゴム10〜85重量%、合成樹脂5〜3
0重量%、残部が熱可塑性エラストマーである。
【0067】以上の原材料を弾性体に成形するには、各
種押出機、ロール、スクリュー、バンバリーミキサー、
ニーダーを用いて混練した後、ダイから押し出すか、成
形型に充填して成形すればよく、シート状に成形するに
はTダイを用いることもできる。得られたシートの表面
に、周知の粘着剤を塗布すると装着の簡便な制振シート
が得られる。
【0068】この場合に、使用される粘着剤の具体例と
しては、熱硬化性樹脂系では、ユリア系、メラミン系、
レゾルシノール系、フェノール系(水溶性、アルコール
溶性、ノボラック)、エポキシ系、ポリウレタン系、ポ
リアロマティック系(ポリイミド、ポリベンズイミダゾ
ール)、ポリエステル系(アルキッド形、不飽和ポリエ
ステル、ジアリルフタレート形、ポリエステルアクリレ
ート、アクリル酸ジエステル)、熱可塑性樹脂系では、
酢酸ビニル系(エマルジョン、溶液)、ポリビニルアル
コール系、ポリビニルアセタール系(ブチラール、アセ
タール、ホルマール)、塩化ビニル系、アクリル系(エ
マルジョン、溶液、反応形)、ポリエチレン系(PE、
EVA)、セルロース系(ニトロセルロース、酢酸セル
ロース、エチルセルロース、水溶性セルロース)、エチ
レン−酢酸ビニル共重合系、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリアミド系、ポリイソブチレン、ポリビニル
エーテル、エラストマー系では、クロロプレンゴム系
(溶液、ラテックス)、ニトリルゴム系(溶液、ラテッ
クス)、SBR系、SBS−SIS系、ポリサルファイ
ド系、天然ゴム系、塩化ゴム系、再生ゴム系、ブチルゴ
ム系、シリコーンゴム系(RTV形、加硫形、感圧
形)、樹脂・エラストマー混合系では、フェノリック・
ビニル系、エポキシ・フェノール系、フェノール・クロ
ロプレン系、フェノール・ニトリル系、エポキシ・ポリ
アミド系、エポキシ・ポリサルファイド系、ニトリル・
エポキシ系、エポキシ・ナイロン系などを挙げることが
できる。
【0069】このような制振シートその他の任意形状に
成形した制振性弾性体組成物は、車両や建築物、機械な
どの振動の抑制に広く利用することができる。利用例と
しては、自動車のルーフ、ボディ、ダッシュパネル、ド
アパネル、フロアパネル、ボンネット、トランク、オイ
ルパン、エアスポイラー、各種モーター、複写機やプリ
ンター、コンピューター、CD・LDプレイヤー、VT
R、スピーカーなどのOA・AV機器、洗濯機、冷蔵
庫、開き戸などの建築物関係、船舶や鉄道車両などが挙
げられる。
【0070】〔実施例1〜3、比較例1〜3〕実施例ま
たは比較例で使用した原材料を一括して示せば、以下の
通りである。
【0071】なお、[ ]内に表1中に使用する略号を
示した。
【0072】(1)熱可塑性ポリエステルエラストマー
[TPEE] 東レ・デュポン社製:ハイトレル (軟化点110℃) (2)アクリロニトリルブタジエンゴム[NBR] 日本合成ゴム社製:JSR NBR (3)ポリアミド[PA−1] 東レ社製:アラミン(ガラス転移点47℃) (4)ポリアミド[PA−2] 東レ社製:リルサン(ガラス転移点45℃) (5)ポリブチレンテレフタレート[PBT] 東レ社製:PBT樹脂(ガラス転移点17.80℃) 表1に示す配合割合(重量部)で原材料を配合して二軸
押し出し機で温度230℃、スクリュー回転数50rp
mの条件で混練し、Tダイで厚さ2mmのシート状に押
し出し成形した。得られた実施例または比較例を幅3m
m、長さ30mmの短冊片状に切り出したものを試験片
として、その硬度(JIS A)および制振性試験を行
なった。その結果は表1中に併記すると共に制振性試験
の結果はグラフ化して図1に示した。
【0073】[制振性試験]試験片を動的粘弾性の損失
角(tanδ)を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製:
DVEレオスペクトラー DVE−V4)を用いて測定
した。
【0074】ここで、tanδは、試験片に10Hzの
周期的な刺激を加え、その応答として歪み(または応
力)をみた場合に、式tanδ=E″(動的損失弾性
率)/E′(動的貯蔵弾性率)で表される関係における
損失角を示している。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果および図1のグラフからも明ら
かなように、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TP
EE)の単独成分からなる比較例1は、−40℃〜80
℃の試験範囲でいずれも損失角(tanδ)の値が低
く、所期した制振性能はなかった。また、NBRの単独
成分からなる比較例2は、ガラス転移温度の0℃付近で
のみ損失角(tanδ)の値が高く、温度変化に対して
安定した制振性能はなかった。また、TPEEとNBR
からなる2成分をブレンドした比較例3では、−20℃
付近でのみ制振性能が良好であり、これより高温域では
良好な制振性能を維持することができなかった。また、
NBRとポリアミド(Tg= ℃)の混合2成分系の比
較例4では、0℃以上においては良好な制振性能を示す
が、低温では満足する制振性能が得られなかった。
【0077】これに対して、全ての条件を満足する実施
例1〜3は、−40℃〜80℃の試験範囲でいずれも損
失角(tanδ)の値が高く、所期した制振性能が安定
して得られた。
【0078】
【効果】この発明は、以上説明したように、所定の軟化
温度の熱可塑性エラストマーと、ゴムと合成樹脂を必須
成分としたので、特定の温度での損失係数:tanδの
ピークが無くなり、使用環境温度域として、−30℃〜
100℃といった広温度範囲を設定した場合に、所期の
制振性能を安定して維持することができる制振性弾性体
組成物となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例の試験温度とtanδの関
係を示す図表

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟化点が100℃以上の熱可塑性エラス
    トマーと、ゴムと、ガラス転移点30〜100℃の合成
    樹脂を必須成分としてなる制振性弾性体組成物。
  2. 【請求項2】 (A)軟化点が100℃以上の熱可塑性
    エラストマー1〜98重量%、(B)ゴム1〜98重量
    %、(C)ガラス転移点が30〜100℃の合成樹脂1
    〜98重量%からなり、かつ(A)と(B)と(C)の
    合計が100重量%となる配合で混練、成形してなる制
    振性弾性体組成物。
  3. 【請求項3】 前記ガラス転移点30〜100℃の合成
    樹脂が、ポリアミドまたはポリブチレンテレフタレート
    である請求項1または2に記載の制振性弾性体組成物。
  4. 【請求項4】 多成分中の分散相において、その分散粒
    子の平均粒子径が50μm 以下の大きさで分散している
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の制振性弾性体組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の制
    振性弾性体組成物をシート状に成形してなる制振シー
    ト。
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