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JPH08173423A - 超音波プローブ - Google Patents

超音波プローブ

Info

Publication number
JPH08173423A
JPH08173423A JP6325994A JP32599494A JPH08173423A JP H08173423 A JPH08173423 A JP H08173423A JP 6325994 A JP6325994 A JP 6325994A JP 32599494 A JP32599494 A JP 32599494A JP H08173423 A JPH08173423 A JP H08173423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gap
layer
acoustic
filling layer
ultrasonic probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6325994A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Yamazaki
聡 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP6325994A priority Critical patent/JPH08173423A/ja
Publication of JPH08173423A publication Critical patent/JPH08173423A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】振動子部間の音響的な結合による信号漏れを低
減させ、方位分解能や感度を向上させる超音波プローブ
を提供する。 【構成】積層構造の振動子部2を一定の間隙毎に多数配
列して形成された配列型振動子3を備えた超音波プロー
ブ1。超音波プローブ1は、圧電素子4と、圧電素子4
の超音波放射側の前面に形成された音響整合層5と、配
列型振動子3の背面側に形成され、且つ複数の間隙の各
々の一部が穿設されているバッキング材6とから成り、
相互に隣接するバッキング材6間の間隙に第1の充填層
7a1 、相互に隣接する圧電素子4間の間隙に第2の充
填層7a2 、及び相互に隣接する音響整合層5間の間隙
に第3の充填層7a3 が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、振動子部を多数配列し
て形成された配列型振動子を備えた超音波プローブに係
わり、特に、隣接する振動子部間の間隙の寸法、及びそ
の間隙に充填される材料の音響インピーダンスに特徴を
有する超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子を電気的に振動させて超音波信
号(超音波ビーム)を生体内で走査し、生体内の断層像
を表示する超音波診断装置がある。
【0003】この超音波診断装置では、超音波信号を生
体内で走査するために超音波プローブを用いている。こ
の超音波プローブの一例を図5乃至図6に示す。なお、
図5は従来の超音波プローブの概略構成を示す斜視図で
あり、図6は、図5における超音波プローブの略中央部
をB−B線に沿って積層方向に切断した際の縦断面図
(拡大図)である。
【0004】超音波プローブ11は、圧電変換機能を有
する振動子部12を備えている。この振動子部12は、
圧電素子13と、この圧電素子13の超音波信号放射側
の前面に形成された音響整合層14と、圧電素子13の
前面と対向する装置側の背面に形成されたバッキング材
15とから構成され、全体として積層構造になってい
る。
【0005】この振動子部12は、一定の間隙毎に多数
配列されアレイ状の配列型振動子16を構成している。
この配列型振動子16における隣接する各振動子部12
の間隙17には、例えば3Mrayl の音響インピーダンス
を有し、且つ絶縁耐力に優れたポッティング用またはモ
ールディング用、あるいは接着用等の樹脂材料zが均一
に充填されている。また、音響整合層14の前面には、
音響レンズ18が接着されている。
【0006】この超音波プローブ11は、図示しない送
受信部により振動子部12を独立に駆動させて、リニア
走査やセクタ走査等の電子走査を行なっている。また、
送受信部により各振動子部12の駆動タイミングを独立
に制御することにより、超音波信号を所定の位置でフォ
ーカス(電子フォーカス)させて走査方向の分解能(以
下、方位分解能という)を高めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】超音波信号を電子走査
及び電子フォーカスさせる上で前提としている要件は、
各振動子部の駆動を独立に制御できるということであ
る。しかしながら、現実には種々の要因によって信号が
駆動素子から非駆動素子の方向へ漏れる場合があった。
【0008】この非駆動素子への信号漏れは、1素子当
りの駆動開口幅の増加をもらした。言い換えれば1素子
の指向性(エレメントファクター)が鋭くなり、その結
果集束されたビームの幅が増大した。例えば、中心周波
数が10 MHzの場合、集束されたビームの幅は、130
μm から180μm に増大し、中心周波数が7.5 MHz
の場合、集束されたビームの幅は、150μm から23
0μm に増大する。
【0009】このビーム幅の増大は、最終的には方位分
解能の劣化や感度の低下を招き、診断能力を低下させて
いた。
【0010】このような問題を生ずる信号漏れの要因と
しては、駆動素子及び非駆動素子の電気的な結合及び機
械的(音響的)な結合があげられる。前者は、各振動子
に接続される送受信回路の配線部分等に存在する寄生容
量等のインピーダンス成分を介して、配線部分が静電的
及び電磁的に結合していることに起因している。
【0011】一方、後者としては、隣接する振動子部が
間隙を介して音響的に結合していることによる。この音
響的結合によって、駆動素子から間隙を介して隣接素子
方向、間隙の前面方向(音響レンズ方向)、及び背面方
向(装置側方向)に向かって信号が漏れていた。
【0012】特に、この隣接する振動子部の音響的な結
合による信号漏れについては、具体的な解決策が施され
ていないのが現状であった。
【0013】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
ので、振動子間の音響的な結合による信号漏れを低減さ
せ、方位分解能や感度が向上する超音波プローブを提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載した超音波プローブは、少なくとも圧電
素子及び音響整合層を含む積層構造の振動子部を一定の
間隙毎に多数配列して形成された配列型振動子を備え、
前記振動子部の駆動により超音波信号を送受信可能な超
音波プローブにおいて、前記間隙の各々に、前記振動子
部の各構成要素とは異なる値の音響インピーダンスを有
する複数の充填層を形成している。
【0015】特に、請求項2に記載した超音波プローブ
では、前記振動子部は、前記圧電素子と、この圧電素子
の超音波放射側の前面に形成された前記音響整合層と、
前記配列型振動子の背面側に形成され、且つ前記複数の
間隙の各々の一部が穿設されているバッキング材とから
成り、前記充填層は、相互に隣接するバッキング材間の
間隙に対応した第1の充填層、相互に隣接する圧電素子
間の間隙に対応した第2の充填層、及び相互に隣接する
音響整合層間の間隙に対応した第3の充填層から成って
いる。
【0016】また特に、請求項3に記載した超音波プロ
ーブでは、前記複数の充填層の各層における超音波信号
の中心周波数に対応する波長をλとするとき、前記間隙
の配列方向の長さwg を、
【数3】 wg =1/4×λ(2n−1){n≧1:整数} で決まる値又はその近傍の値に設定している。
【0017】さらに、請求項4に記載した超音波プロー
ブでは、前記配列型振動子における前記音響整合層の前
面に音響レンズを接合すると共に、前記充填層の各層に
おける超音波信号の中心周波数に対応する波長をλとす
るとき、各充填層の積層方向における長さlt
【数4】 lt =1/4×λ(2n−1){n≧1:整数} で決まる値又はその近傍になるように形成し、且つ前記
充填層の任意の層の音響インピーダンスを、その任意の
層の積層方向における隣接層又は部材の音響インピーダ
ンスの幾何平均値とは異なる値に設定している。
【0018】また、請求項5に記載した超音波プローブ
では、前記音響レンズの音響インピーダンス値と、前記
第2の充填層の音響インピーダンス値とを一致させてい
る。さらにまた、請求項6に記載した超音波プローブで
は、前記第1の充填層の積層方向における長さlt が、
その充填層における超音波信号の中心周波数に対応した
波長より長くなるように形成すると共に、その第1の充
填層の音響インピーダンスを、前記バッキング材の音響
インピーダンスより大きく設定している。
【0019】
【作用】図面を使って本発明の作用を説明する。なお、
図1は本発明における超音波プローブ1の概略構成を示
す斜視図であり、図2は、図1における超音波プローブ
1の略中央部をA−A線に沿って積層方向に切断した際
の縦断面図(拡大図)である。
【0020】本発明の超音波プローブ1には、積層構造
の振動子部2が一定の間隙毎に多数配列され配列型振動
子3が形成されている。
【0021】各振動子部2は、圧電素子4、この圧電素
子4の超音波放射側の前面に形成された音響整合層5、
及び配列型振動子3の背面側に形成され、且つ複数の間
隙の各々の一部が穿設されているバッキング材6から成
っている。また、音響整合層2の前面には音響レンズ8
が接着されている。
【0022】そして、振動子部2の間隙は、積層構造の
充填層により形成されている。すなわち、相互に隣接す
るバッキング材6間の間隙6bには、このバッキング材
6が有する音響インピーダンスZB と異なる音響インピ
ーダンスZBgを有する第1の充填層7a1 が形成され、
また、相互に隣接する圧電素子4間の間隙4bには、こ
の圧電素子4が有する音響インピーダンスZe と異なる
音響インピーダンスZg を有する第2の充填層7a2
形成されている。さらに、相互に隣接する音響整合層5
間の間隙5bには、この音響整合層5が有する音響イン
ピーダンスZm と異なる音響インピーダンスZmgを有す
る第3の充填層7a3 が形成されている。
【0023】ここで、隣接する振動子部2間のうち、特
に相互に隣接する圧電素子4間の信号の漏れについて考
える。
【0024】今、図2に示すように、圧電素子4と隣接
する圧電素子4′との間隙4bの配列方向の長さ(以
下、幅という)をwg とすると、駆動している圧電素子
4から間隙4bを介して隣接する圧電素子4′へ透過す
る超音波信号のエネルギー透過率を考える。ここで、縦
波の透過に関して、一般的に次のような理論が知られて
いる(参考文献:超音波基礎工学、日刊工業新聞社刊;
著者、山本美明)。
【0025】
【数5】 なお、Tは圧電素子4から間隙4bを介して圧電素子
4′へ透過するエネルギーの透過率、θ2 は、θ2 =2
πwg /λg (λg は、間隙4bに充填された第2の充
填層7a2 内を進行する超音波信号の中心周波数に対応
する波長;以下、単に間隙4bの波長という)である。
【0026】上記(1)式においてZg を変数とする透
過率Tは、「Zg =Ze 」、つまり圧電素子4の音響イ
ンピーダンスZe と間隙4b内の第2の充填層7a2
音響インピーダンスZg とが等しいときに、T=1(最
大)になる。言い換えれば、少なくとも間隙4内の第2
の充填層7a2 の音響インピーダンスZg を、隣接する
圧電素子4の音響インピーダンスZe と異なる値(つま
り、ミスマッチングさせる値)に設定することが透過率
Tを小さくする上での前提条件である。
【0027】ここで、間隙4bの幅wg を変数とした場
合の、圧電素子4から間隙4bを介して圧電素子4′
(圧電素子と圧電素子4′は同一の音響インピーダン
ス)へ透過するエネルギー透過率Tの計算結果を図3に
示す(参考文献参照)。なお、図3では、間隙4bの幅
g を、その間隙4bの波長λg で規格化したwg /λ
gを横軸にとっている。
【0028】図3によれば、wg /λg が0.25or
0.75近傍の場合、つまりwg が約「1/4×λ
g (2n−1){n≧1:整数}」で決まる値、あるい
はその近傍(例えば、1/4×λg (2n−1)±1/
8(2n−1){n≧1:整数}の範囲内)の長さの
時、透過率Tがほぼ最小になることがわかる。
【0029】したがって、圧電素子4間の間隙4bに充
填される第2の充填層7a2 の音響インピーダンスZg
を隣接する圧電素子4の音響インピーダンスZe と少な
くとも異なる値とし、さらに、その間隙4bの幅wg
「1/4×λg (2n−1){n≧1:整数}」近傍の
長さにすることで、駆動素子である圧電素子4から非駆
動素子である隣接する他の圧電素子4′へ透過する超音
波信号を減少させ、信号漏れを低減させることができ
る。
【0030】上述した関係は、整合層5と相互に隣接す
る整合層5′間の間隙5bとについて、及びバッキング
材6と相互に隣接するバッキング材6′間の間隙6bと
についても同様である。
【0031】つまり、従来、相互に隣接する振動子部の
間隙には同一の材料が充填されていたが、本構成では、
その間隙内を、隣接する振動子部の各構成要素(音響整
合層、圧電素子、バッキング材)とは異なる音響インピ
ーダンスを有する複数の充填層で形成したため、隣接す
る振動子部間は、隣接する振動子部間(音響整合層間、
圧電素子間、バッキング材間)への信号漏れを低減させ
ることができる。
【0032】次に、隣接する振動子部間の間隙から前面
方向への信号の漏れについて考える。この際、第1の充
填層7a1 の積層方向における長さ(以下、厚みとい
う)をlBg、第2の充填層7a2 の厚みをlg 、第3の
充填層7a3 の厚みlmgに基づいて、上述した隣接する
振動子部間の透過率の考え方を適用する。
【0033】すなわち、図2に示すように、音響レンズ
8の音響インピーダンスをZL 、第3の充填層7a3
を進行する超音波信号の中心周波数に対応する波長をλ
mg、θ2 =2πlmg/λg とすると、例えば圧電素子4
の間隙4bから整合層5の間隙5bを介して音響レンズ
8へ透過する超音波信号のエネルギー透過率T′は、間
隙5bの厚みを「1/4×λmg(2n−1){n≧1:
整数}」で決まる値、あるいはその近傍(例えば、1/
4×λmg(2n−1)±1/8(2n−1){n≧1:
整数}の範囲内)の長さとした場合、
【数6】 で与えられる。
【0034】上記(2)式によれば、「ZL ×Zg =Z
mg 2 、言い換えればZmg=(ZL ×Zg /2)1/2 」、
すなわち、第3の充填層7a3 の音響インピーダンスZ
mgが、第3の充填層7a3 の積層方向における隣接層で
ある第2の充填層7a2 の音響インピーダンスZg と、
隣接する部材である音響レンズ8の音響インピーダンス
L との幾何平均値((ZL ×Zg /2)1/2 )に等し
いときにT=1(最大)になる。 したがって、第3の
充填層7a3 の厚みlmgを「1/4×λmg(2n−1)
{n≧1:整数}」で決まる値及びその近傍の長さとす
る共に、第3の充填層7a3 の音響インピーダンスZmg
を、第3の充填層7a3 の積層方向における隣接層であ
る第2の充填層7a2 の音響インピーダンスZg と、隣
接する部材である音響レンズ8の音響インピーダンスZ
L との幾何平均値((ZL ×Zg/2)1/2 )と異なる
値に設定すれば、間隙4bの前面方向(音響レンズ8方
向)へ透過する超音波信号の透過率T′を減少させるこ
とができる。
【0035】また特に、第3の充填層7a3 の積層方向
における隣接層(第2の充填層7a2 )又は部材(音響
レンズ8)の音響インピーダンスが等しくなる(ZL
g )ように設定すると、上記図3の関係が適用でき、
透過率T′をほぼ最小にすることができる。
【0036】さらに、相互に隣接する圧電素子4間の間
隙4bから後面方向への信号の漏れについて考える。こ
こで、隣接するバッキング材6間の間隙6bに充填され
た第1の充填層7a1 の音響インピーダンスZBgを、バ
ッキング材6の音響インピーダンスZB より大きくし
(以下、第1の条件とする)、且つその第1の充填層7
1 の厚みlBgを、その第1の充填層7a1 内を進行す
る超音波信号の中心周波数に基づく波長より長くした
(以下、第2の条件という)際の、圧電素子4からバッ
キング材6へ伝達される信号伝達特性Aを推測する。
【0037】一例として、バッキング材の音響インピー
ダンスを約3倍(比率で、約10dBに相当する)大き
くした場合の、振動子の伝達特性の状況を計算値で図4
に示す。
【0038】図4によれば、通常の、つまり第1及び第
2の条件を設定しなかった場合の特性と比べて、中心周
波数fc 近傍において伝達特性の感度が、10dB程度
低下している。この結果から、前記第1及び第2の条件
のもとでは、圧電素子4からバッキング材6へ伝達され
る信号は、その感度が減少することが推測される。
【0039】
【実施例】以下、本発明に係る一実施例について、添付
図面を参照して説明する。
【0040】本発明の超音波プローブ1は、積層構造の
振動子部2が一定の間隙毎に多数配列され配列型振動子
3を備えている。この配列された各振動子部2は、図1
及び図2に示すように、圧電素子4、この圧電素子4の
超音波信号放射側の前面に音響整合層5、配列型振動子
3の背面側に形成され、且つ複数の間隙の各々の一部が
穿設されている。
【0041】この配列型振動子6において、相互に隣接
するバッキング材6間の間隙6bには、このバッキング
材6が有する音響インピーダンスZB (例えば6Mrayl
)と異なる音響インピーダンスZBg(例えば10Mrayl
)を有する第1の充填層7a1が充填され、また、相互に
隣接する圧電素子4間の間隙4bには、この圧電素子4
の音響インピーダンスZe (例えば30Mrayl )と異な
る音響インピーダンスZg (例えば1Mrayl )を有する
第2の充填層7a2 が形成されている。さらに、相互に
隣接する音響整合層5間の間隙5bには、この音響整合
層5の音響インピーダンスZm (例えば8Mrayl )と異
なる音響インピーダンスZmg(例えば3Mrayl )を有す
る第3の充填層7a3 が形成されている。
【0042】この充填層7a1 〜7a3 は、それぞれ絶
縁耐力に優れた例えばポッティング用またはモールディ
ング用、あるいは接着用等の樹脂材料からなり、全体で
積層構造をなしている。
【0043】また、音響整合層2の前面には、電子走査
方向と直交する方向に対するフォーカス用として音響レ
ンズ8(音響インピーダンスZL :1Mrayl )が接着さ
れている。
【0044】ところで、この様なアレイ状の配列型振動
子3は、振動子部2を構成する各構成要素に対し、例え
ば高精度のカッターにより必要に応じて切り刃の厚みを
変えながら所望の深さ及び間隔の切り溝を振動子部の数
に合わせて形成し、その切り溝に充填層7a1 〜7a3
を充填し硬化せしめ、さらに、この工程を繰り返しなが
ら、振動子部2の各構成要素を積層することによって形
成される。
【0045】具体的には、先ず、バッキング材6に所要
の深さ及び間隔の切り溝を形成し、この溝(間隙6b)
に、充填層7a1 を層状に形成し硬化させる。
【0046】次いで、このバッキング材6に圧電素子4
を積層し、続いてバッキング材6に形成された間隙6b
の位置に合わせて、圧電素子4の表面から間隙6b内の
充填層7a1 の表面まで切り溝を形成する。さらに、こ
の溝(以下、間隙4bという)に、充填層7a2 を層状
に形成し硬化させる。
【0047】そして、この圧電素子4に音響整合層5を
積層し、間隙4bの位置に合わせて、音響整合層5から
間隙4b内の充填層7a2 の表面まで切り溝(以下間隙
5bという)を形成する。その後で、充填層7a3 を層
状に形成し硬化させる。
【0048】以上の工程から、積層構造の振動子部5の
各層(音響整合層5、圧電素子4、バッキング材6)に
おける間隙(5b、4b、6b)が、各層とは異なる値
の音響インピーダンスを有する充填層7a1 〜7a3
形成された配列型振動子6を得ることができる。
【0049】また、本実施例では、隣接する整合層5間
の間隙5bの配列方向の長さ(以下、幅という)w
g1を、この間隙5bに充填された充填層7a3 内を進行
する超音波信号の中心周波数に対応する波長(λmgとす
る)の1/4(1/4λmg)に設定している。また、こ
の充填層7a3 の積層方向における長さlmg(以下、厚
みという)を、その波長(λmg)の3/4倍(3/4λ
mg)に設定している。
【0050】同様に、隣接する圧電素子4の間隙4bの
幅wg2を、この間隙4bに充填された充填層7a2 内を
進行する超音波信号の中心周波数に対応する波長(λg
とする)の1/4(1/4λg )に設定し、また、この
充填層7a2 の厚みlg を、その波長(λg )の7/4
倍(7/4λg )に設定している。
【0051】さらに、バッキング材6の間隙6bの幅w
g3を、この間隙6bに充填された充填層7a1 内を進行
する超音波信号の中心周波数に基づく波長(λBgとす
る)の1/4(1/4λBg)に設定し、また、この充填
層7a1 の厚みlBgを、その波長(λBg)の5/4倍
(5/4λBg)に設定している。
【0052】なお、本実施例では、充填層7a1 ,7a
2 ,7a3 に対し、音速がほぼ等しい材料を使用してい
るため、各間隙(2b〜4b)の幅(wg1、wg2
g3)を共通の幅wg としている。
【0053】また、間隙4b内の充填層7a2 は、その
厚みlg が積層された圧電素子4自体の厚みと比べて若
干厚くなるように充填され、また、間隙5b内の充填層
7a3 は、その厚みlmgが積層された音響整合層5自体
の厚みに比べて若干薄くなるように充填されている。さ
らに、間隙6b内の充填層7a1 は、その厚みlBgが最
初カッティングされた切り溝の深さ(厚み)より若干薄
くなるように充填されている。これは、圧電素子4から
隣接する他の圧電素子4′への信号漏れを低減させるこ
とが一番重要なためである。
【0054】ここで、駆動素子である圧電素子4から隣
接する圧電素子4′への超音波信号の漏れをエネルギー
透過率で見積もると、(1)式において、
【数7】 であるから
【数8】 で求めることができる。なお、これは、次のようにも考
えることができる。今、圧電素子4間の間隙4bの幅w
g が「1/4λg 」であるため、駆動圧電素子4から充
填層7a2 を含めて隣接する非駆動圧電素子4′側を見
たときの音響インピーダンスZe ′を「Ze ′=Zg 2
/Ze 」とすることができ、透過率Tは、
【数9】 で求めることができる(これは、上記(3)式と同様の
結果である)。
【0055】上記(3)式あるいは(4)式を用いて、
最も重要な圧電素子4から間隙構成材料7a2 を介して
非駆動圧電素子4′へ透過するエネルギーの透過率Tを
求めると
【数10】 となり、十分に小さいことが分かる。
【0056】同様に、音響整合層5から充填層7a3
介して音響整合層5′へ透過するエネルギーの透過率T
は「T=約0.432(43.2%)」、また、バッキ
ング材6から充填層7a1 を介してバッキング材6′へ
透過するエネルギーの透過率Tは「T=0.778(7
7.8%)」となり、十分に小さいことが分かる。
【0057】また、圧電素子4の間隙4bから前面方向
(音響レンズ8方向)への超音波のエネルギー透過率
は、上記(2)式で求められる。なお、この場合でも
(3)式と同様の考え方が可能である。すなわち、今、
間隙5bの厚みlmgが1/4λmgであるため、間隙4b
の間隙構成材料7a2 から、間隙5bの間隙構成材料7a
3を含めて隣接する音響レンズ8側を見たときの音響イ
ンピーダンスZL ′を「ZL ′=Zmg 2 /ZL 2 」とす
ることができ、透過率T′は、
【数11】 で求めることができる(これは上記(2)式と同様の結
果である)。
【0058】また、間隙5bの充填層7a3 の音響イン
ピーダンスZmgと、その充填層7a3の隣接層7a2 、及
び隣接部材音響レンズ8のそれぞれの音響インピーダン
スZL ,Zg との関係は、「Zmg(3Mrayl )≠(ZL
(1Mrayl )×Zg (1Mrayl )/2)1/2 」を満して
いる。
【0059】このエネルギー透過率T′を求めると
【数12】 となり十分に小さくなることが分かる。
【0060】さらに、バッキング材6と隣接する充填層
7a1 の音響インピーダンスZBg(10Mrayl )をバッ
キング材6の音響インピーダンスZB (6Mrayl )より
大きくし、且つ、その充填層7a1 の積層方向における
厚みlBgを間隙6b内における超音波信号の中心周波数
に基づく波長λBgより長くした(lBg=5/4λBg)た
め、図5に示すように、中心周波数fc 近傍において、
振動子4からバッキング材6への信号伝達特性が低下す
る。したがって、振動子4の間隙4bから後面方向(装
置側方向)へのエネルギー透過率が減少することが類推
できる。
【0061】以上、詳述したように、本実施例の構成に
よれば、振動子部から間隙を介して隣接する振動子部や
音響レンズ側(前面側)、装置側(背面側)へ透過する
エネルギーの透過率が低下するため、駆動素子から非駆
動素子等へ漏れる信号量を低下させることができる。
【0062】なお、充填層を形成する樹脂材料として、
例えばエポキシ系の樹脂を使用した場合、音響インピー
ダンスは約3mrayl であるが、更に種々の材料を充填す
ることにより、また充填密度を選択することによって混
合体として音響インピーダンスを変化させることも可能
である。また、シリコンゴム系の材料は、音響インピー
ダンスは約1Mrayl 程度であり本構成に使用することが
十分可能である。
【0063】また、本実施例において、各間隙(5b、
4b、6b)の幅を、「wg1=1/4λmg、wg2=1/
4λg 、wg3=1/4λBg(=約wg (=1/4
λg ))」に設定したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、それぞれ、wg1=1/4λmg(2n−1)
±1/8(2n−1){n≧1:n整数}、wg2=1/
4λg (2n−1)±1/8(2n−1){n≧1:n
整数}、wg3=1/4λBg(2n−1)±1/8(2n
−1){n≧1:n整数}の範囲内の適宜な値であれば
よい。
【0064】さらに、本実施例では、間隙(5b、4
b、6b)の厚みを、「lmg=3/4λmg、lg =7/
4λg 、lBg=3/4λBg」に設定したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、それぞれ、lmg=1/4
λmg(2n−1)±1/8(2n−1){n≧1:n整
数}、lg =1/4λg (2n−1)±1/8(2n−
1){n≧1:n整数}、lBg=1/4λBg(2n−
1)±1/8(2n−1){n≧1:n整数}の範囲内
の適宜な値であればよい。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように本発明では、駆動振動
子部から間隙を介して隣接する振動子部方向、前面方
向、及び背面方向へ漏れる超音波信号を低減させること
ができる。したがって、各振動子部の駆動の制御の独立
性を高めることができ、方位分解能及び感度の向上した
高性能の超音波プローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の超音波プローブの概略構成
を示す斜視図。
【図2】図1における縦断面図。
【図3】エネルギー透過率を表すグラフ。
【図4】伝達特性を表すグラフ。
【図5】従来の超音波プローブの概略構成を示す斜視
図。
【図6】図5における縦断面図。
【符号の説明】
1 超音波プローブ 2 振動子部 3 配列型振動子部 4 圧電素子 4b 圧電素子の間隙 5 整合層 5b 整合層間の間隙 6 バッキング材 6b バッキング材間の間隙 7a1 第1の充填層 7a2 第2の充填層 7a3 第3の充填層 8 音響レンズ ZL 音響レンズの音響インピーダンス Zm 音響整合層の音響インピーダンス Ze 圧電素子の音響インピーダンス ZB バッキング材の音響インピーダンス Zmg 音響整合層間の間隙に充填される充填層の音響イ
ンピーダンス Zg 圧電素子間の間隙に充填される充填層の音響イン
ピーダンス ZBg バッキング材間の間隙に充填される充填層の音響
インピーダンス wg1 音響整合層間の間隙の幅 wg2 圧電素子間の間隙の幅 wg3 バッキング材間の間隙の幅 wg 振動子部の幅 lmg 音響整合層間の間隙の厚み lg 圧電素子間の間隙の厚み lBg バッキング材間の間隙の厚み

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも圧電素子及び音響整合層を含
    む積層構造の振動子部を一定の間隙毎に多数配列して形
    成された配列型振動子を備え、前記振動子部の駆動によ
    り超音波信号を送受信可能な超音波プローブにおいて、
    前記間隙の各々に、前記振動子部の各構成要素とは異な
    る値の音響インピーダンスを有する複数の充填層を形成
    したこと特徴とする超音波プローブ。
  2. 【請求項2】 前記振動子部は、前記圧電素子と、この
    圧電素子の超音波放射側の前面に形成された前記音響整
    合層と、前記配列型振動子の背面側に形成され、且つ前
    記複数の間隙の各々の一部が穿設されているバッキング
    材とから成り、前記充填層は、相互に隣接するバッキン
    グ材間の間隙に対応した第1の充填層、相互に隣接する
    圧電素子間の間隙に対応した第2の充填層、及び相互に
    隣接する音響整合層間の間隙に対応した第3の充填層か
    ら成る請求項1記載の超音波プローブ。
  3. 【請求項3】 前記複数の充填層の各層における超音波
    信号の中心周波数に対応する波長をλとするとき、前記
    間隙の配列方向の長さwg を、 【数1】 wg =1/4×λ(2n−1){n≧1:整数} で決まる値又はその近傍の値に設定した請求項1乃至2
    記載の超音波プローブ。
  4. 【請求項4】 前記配列型振動子における前記音響整合
    層の前面に音響レンズを接合すると共に、前記充填層の
    各層における超音波信号の中心周波数に対応する波長を
    λとするとき、各充填層の積層方向における長さlt が 【数2】 lt =1/4×λ(2n−1){n≧1:整数} で決まる値又はその近傍になるように形成し、且つ前記
    充填層の任意の層の音響インピーダンスを、その任意の
    層の積層方向における隣接層又は部材の音響インピーダ
    ンスの幾何平均値とは異なる値に設定したことを特徴と
    する請求項2乃至3記載の超音波プローブ。
  5. 【請求項5】 前記音響レンズの音響インピーダンス値
    と、前記第2の充填層の音響インピーダンス値とを一致
    させた請求項4記載の超音波プローブ。
  6. 【請求項6】 前記第1の充填層の積層方向における長
    さlt が、その充填層における超音波信号の中心周波数
    に対応した波長より長くなるように形成すると共に、そ
    の第1の充填層の音響インピーダンスを、前記バッキン
    グ材の音響インピーダンスより大きく設定した請求項2
    記載の超音波プローブ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007235795A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Aloka Co Ltd 超音波探触子
JP2011259274A (ja) * 2010-06-10 2011-12-22 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 超音波探触子および超音波診断装置
CN104545994A (zh) * 2013-10-28 2015-04-29 精工爱普生株式会社 超声波装置、超声波探头、探测器、电子设备及图像装置
CN115778423A (zh) * 2021-09-09 2023-03-14 深圳开立生物医疗科技股份有限公司 一种伪像抑制方法、装置、超声设备及介质

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