JPH08170069A - シール用小素材 - Google Patents
シール用小素材Info
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- JPH08170069A JPH08170069A JP26933594A JP26933594A JPH08170069A JP H08170069 A JPH08170069 A JP H08170069A JP 26933594 A JP26933594 A JP 26933594A JP 26933594 A JP26933594 A JP 26933594A JP H08170069 A JPH08170069 A JP H08170069A
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- JP
- Japan
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- carbon
- small
- sealing
- performance
- sealing material
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Abstract
(57)【要約】
【目的】少なくともカーボン部を表層に有するシール用
小素材のシール性能を改良したシール用小素材を提供す
る。 【構成】少なくともカーボン部3を表層に有し、そのカ
ーボン部の嵩密度を0.3〜2.0g/cm3 、好まし
くは0.5〜1.5g/cm3 とするか、カーボン部に
繊維体を混入させるか、カーボン部に油系バインダーを
含浸させた油層を形成するか、カーボン部に有機バイン
ダーまたは無機バインダーを含浸させた有機膜または無
機膜を形成することによりシール用小素材を形成する。
小素材のシール性能を改良したシール用小素材を提供す
る。 【構成】少なくともカーボン部3を表層に有し、そのカ
ーボン部の嵩密度を0.3〜2.0g/cm3 、好まし
くは0.5〜1.5g/cm3 とするか、カーボン部に
繊維体を混入させるか、カーボン部に油系バインダーを
含浸させた油層を形成するか、カーボン部に有機バイン
ダーまたは無機バインダーを含浸させた有機膜または無
機膜を形成することによりシール用小素材を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種のバルブやポンプ
等のシール部に用いられるシール用小素材に関するもの
である。
等のシール部に用いられるシール用小素材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、火力発電所等のスチーム、
水、油、薬品等の配管にセットされているバルブの周辺
は付帯設備で挟所または高所の箇所もあり、また屋外の
箇所もあり、バルブのシール部の交換作業は極めて困難
であった。また、火力発電所等で使用されている弁の種
類は多種多様であり、さらに弁の設置方向はまちまちで
あり、横向き弁、斜め向き弁、上向き弁が全体の約40
%程度存在しており、その点でもバルブのシール部の交
換作業は困難であった。
水、油、薬品等の配管にセットされているバルブの周辺
は付帯設備で挟所または高所の箇所もあり、また屋外の
箇所もあり、バルブのシール部の交換作業は極めて困難
であった。また、火力発電所等で使用されている弁の種
類は多種多様であり、さらに弁の設置方向はまちまちで
あり、横向き弁、斜め向き弁、上向き弁が全体の約40
%程度存在しており、その点でもバルブのシール部の交
換作業は困難であった。
【0003】上述した用途のバルブやポンプ等のシール
部のシール部材として、本出願人は先に内側がセラミッ
クス、金属、プラスチック、固体カーボンまたはこれら
の2以上の組み合わせに係る複合材料の芯材で形成さ
れ、外側がこれを取り巻くカーボン系材料で形成された
構造の複合小素材からなるシール部材を出願している。
部のシール部材として、本出願人は先に内側がセラミッ
クス、金属、プラスチック、固体カーボンまたはこれら
の2以上の組み合わせに係る複合材料の芯材で形成さ
れ、外側がこれを取り巻くカーボン系材料で形成された
構造の複合小素材からなるシール部材を出願している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した構造のシール
部材は、少なくともカーボン部を表層に有する構造をと
っており、上述したようなバルブやポンプ等のパッキン
のシール部材として、通常の状態では施工の簡便性およ
びシール性の点で十分な性能を有している。しかしなが
ら、粒状体のシール部材をパッキンボックス内に入れ加
圧してパッキンを形成した場合に、シール性能等が不十
分な場合があった。
部材は、少なくともカーボン部を表層に有する構造をと
っており、上述したようなバルブやポンプ等のパッキン
のシール部材として、通常の状態では施工の簡便性およ
びシール性の点で十分な性能を有している。しかしなが
ら、粒状体のシール部材をパッキンボックス内に入れ加
圧してパッキンを形成した場合に、シール性能等が不十
分な場合があった。
【0005】本発明の目的は上述した課題を解消して、
少なくともカーボン部を芯材の表層に有するシール用小
素材のシール性能を改良したシール用小素材を提供しよ
うとするものである。
少なくともカーボン部を芯材の表層に有するシール用小
素材のシール性能を改良したシール用小素材を提供しよ
うとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のシール用小素材
の第1の特徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、
そのカーボン部の嵩密度が0.3〜2.0g/cm3 、
好ましくは0.5〜1.5g/cm3 であることを特徴
とするものである。
の第1の特徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、
そのカーボン部の嵩密度が0.3〜2.0g/cm3 、
好ましくは0.5〜1.5g/cm3 であることを特徴
とするものである。
【0007】また、本発明のシール用小素材の第2の特
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に繊維体が混入していることを特徴とするものであ
る。
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に繊維体が混入していることを特徴とするものであ
る。
【0008】また、本発明のシール用小素材の第3の特
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に油系バインダーを含浸させた油層を形成したこと
を特徴とするものである。
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に油系バインダーを含浸させた油層を形成したこと
を特徴とするものである。
【0009】また、本発明のシール用小素材の第4の特
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に有機バインダーまたは無機バインダーを含浸させ
た有機膜または無機膜を形成したことを特徴とするもの
である。
徴は、少なくともカーボン部を表層に有し、そのカーボ
ン部に有機バインダーまたは無機バインダーを含浸させ
た有機膜または無機膜を形成したことを特徴とするもの
である。
【0010】
【作用】上述した構成において、本出願人が先に出願し
た粒状で少なくともカーボン部を表層に有するシール部
材における、シール部材のカーボン部の嵩密度の影響
(第1の特徴)、シール部材のカーボン部への混合物の
影響(第2の特徴)、シール部材への適当なバインダー
によるコーティングの影響(第3および第4の特徴)を
それぞれ詳細に検討し、それぞれの最適な条件を求める
ことにより、先願のシール部材のシール性能等を改良す
ることができる。
た粒状で少なくともカーボン部を表層に有するシール部
材における、シール部材のカーボン部の嵩密度の影響
(第1の特徴)、シール部材のカーボン部への混合物の
影響(第2の特徴)、シール部材への適当なバインダー
によるコーティングの影響(第3および第4の特徴)を
それぞれ詳細に検討し、それぞれの最適な条件を求める
ことにより、先願のシール部材のシール性能等を改良す
ることができる。
【0011】尚、小素材は、パッキンボックスの寸法に
柔軟に適用出来る為、従来の様にあらかじめパッキンボ
ックスの寸法に合わせたパッキング材を準備する必要が
なく、好都合である。また、小素材及びシール部材のカ
ーボン部の嵩密度を0.3〜2.0g/cm3 に調整す
ることによって、成形時の体積減少率を30〜80%に
制御することが出来、シール性にきわめて優れたパッキ
ンが得られる。さらに、少なくともカーボン部を表層に
有したシール用小素材において、芯材としてセラミック
ス、金属、プラスチック及び固体カーボンを用いた場合
は芯材が骨材的作用をし、カーボン単独層から成る小素
材に比べて、面圧保持性能に優れて好ましい。さらにま
た、芯材がセラミックスの場合は、耐熱性に優れかつ、
表層のカーボン部との接着性に優れているのでさらに好
ましい。
柔軟に適用出来る為、従来の様にあらかじめパッキンボ
ックスの寸法に合わせたパッキング材を準備する必要が
なく、好都合である。また、小素材及びシール部材のカ
ーボン部の嵩密度を0.3〜2.0g/cm3 に調整す
ることによって、成形時の体積減少率を30〜80%に
制御することが出来、シール性にきわめて優れたパッキ
ンが得られる。さらに、少なくともカーボン部を表層に
有したシール用小素材において、芯材としてセラミック
ス、金属、プラスチック及び固体カーボンを用いた場合
は芯材が骨材的作用をし、カーボン単独層から成る小素
材に比べて、面圧保持性能に優れて好ましい。さらにま
た、芯材がセラミックスの場合は、耐熱性に優れかつ、
表層のカーボン部との接着性に優れているのでさらに好
ましい。
【0012】
【実施例】まず、本発明のシール用小素材の構造を説明
するため、先願に開示された複合小素材およびそれを用
いたシール部について説明する。図1は複合小素材の一
例として、複合粒体CBを示す図である。この複合粒体
CBは、内部に芯材としてほぼ球状をなすセラミックス
粒2を有し、この周りがカーボン系材料としてのカーボ
ン層3でほぼ球状に取り囲まれたものである。カーボン
層3は天然カーボンが望ましい。セラミックス粒2は、
磁器、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア、カーボン等か
らなるもので、その直径は例えば0.5mm以上であ
り、複合粒体CBの全体としての直径は1〜10mm程
度とされる。
するため、先願に開示された複合小素材およびそれを用
いたシール部について説明する。図1は複合小素材の一
例として、複合粒体CBを示す図である。この複合粒体
CBは、内部に芯材としてほぼ球状をなすセラミックス
粒2を有し、この周りがカーボン系材料としてのカーボ
ン層3でほぼ球状に取り囲まれたものである。カーボン
層3は天然カーボンが望ましい。セラミックス粒2は、
磁器、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア、カーボン等か
らなるもので、その直径は例えば0.5mm以上であ
り、複合粒体CBの全体としての直径は1〜10mm程
度とされる。
【0013】また、複合粒体CBがパッキン材として使
用される際の締め付け面圧が200〜500kg/cm
2 程度であるとの前提に立てば、セラミックス粒2の圧
縮強度は500kg/cm2 以上が望ましい。さらに、
外側のカーボン層3の厚さtは、セラミックス粒2の直
径Dの1/2以上、言い換えればt≧D/2とすること
が望ましい。
用される際の締め付け面圧が200〜500kg/cm
2 程度であるとの前提に立てば、セラミックス粒2の圧
縮強度は500kg/cm2 以上が望ましい。さらに、
外側のカーボン層3の厚さtは、セラミックス粒2の直
径Dの1/2以上、言い換えればt≧D/2とすること
が望ましい。
【0014】図2は図1に一例を示した小素材を使用し
たパッキン11を利用した例えば火力発電所における高
温・高圧の蒸気バルブのシール部の一例を示す図であ
る。図2に示す例では、ステム12をシールするため、
パッキンボックス13の段部14にエンドリング15を
設け、このエンドリング15上にパッキン11および金
属リング16を設け、最後にパッキン押え17を複数の
ボルト18により固定して、パッキンボックス13内に
圧力を与えてパッキン11を構成している。図2に示す
例において、実際の寸法の一例を示すと、ステム径a:
20mm、ボックス内径b:33mm、ボックス幅c:
6.5mm、ボックス深さd:40mmである。
たパッキン11を利用した例えば火力発電所における高
温・高圧の蒸気バルブのシール部の一例を示す図であ
る。図2に示す例では、ステム12をシールするため、
パッキンボックス13の段部14にエンドリング15を
設け、このエンドリング15上にパッキン11および金
属リング16を設け、最後にパッキン押え17を複数の
ボルト18により固定して、パッキンボックス13内に
圧力を与えてパッキン11を構成している。図2に示す
例において、実際の寸法の一例を示すと、ステム径a:
20mm、ボックス内径b:33mm、ボックス幅c:
6.5mm、ボックス深さd:40mmである。
【0015】上述したように本発明のシール部材の構造
は、少なくともカーボン部を表層に有する構造をとって
いる。本発明の特徴は、このカーボン部の改良(第1〜
4特徴)にあり、以下各特徴毎に説明する。
は、少なくともカーボン部を表層に有する構造をとって
いる。本発明の特徴は、このカーボン部の改良(第1〜
4特徴)にあり、以下各特徴毎に説明する。
【0016】シール用小素材のカーボン部分の密度につ
いて(第1の特徴):シール用小素材のグラファイトか
らなるカーボン部分の嵩密度を変化させて試験を実施し
たところ、シール用小素材からパッキンを形成した際の
パッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動性能および
シール用小素材の保形性の点で嵩密度の依存性があり、
嵩密度が0.5〜2.0g/cm3 である必要があるこ
とがわかった。好ましくは、嵩密度が0.5〜1.5g
/cm3 のときさらにすぐれた性能が発現する。以下、
実際の例について説明する。尚、面圧保持性能が優れて
いると、長期間シール性能を維持できる。
いて(第1の特徴):シール用小素材のグラファイトか
らなるカーボン部分の嵩密度を変化させて試験を実施し
たところ、シール用小素材からパッキンを形成した際の
パッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動性能および
シール用小素材の保形性の点で嵩密度の依存性があり、
嵩密度が0.5〜2.0g/cm3 である必要があるこ
とがわかった。好ましくは、嵩密度が0.5〜1.5g
/cm3 のときさらにすぐれた性能が発現する。以下、
実際の例について説明する。尚、面圧保持性能が優れて
いると、長期間シール性能を維持できる。
【0017】粒径:2.0mmのアルミナ粒2の周囲に
層厚:2.0mmで嵩密度を変化させたグラファイトか
らなるカーボン層3を形成した図1に示す構造の本発明
のシール用小素材を使用し、実際に図2に示すように同
一の条件でシール用小素材からパッキン11を形成し、
このパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動性能お
よびシール用小素材の保形性を調べた。
層厚:2.0mmで嵩密度を変化させたグラファイトか
らなるカーボン層3を形成した図1に示す構造の本発明
のシール用小素材を使用し、実際に図2に示すように同
一の条件でシール用小素材からパッキン11を形成し、
このパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動性能お
よびシール用小素材の保形性を調べた。
【0018】ここで、シール性能はパッキンが流体(蒸
気、水、油等)のリークを防止する性能をいい、所定期
間内における流体リークの発生率を求めて評価した。面
圧保持性能は初期締付面圧(400kg/cm2 )に対
する150時間後の保持圧力を求めて評価した。摺動性
能はパッキン形成後の弁開閉時に作動不良のものの割合
として求めた。保形性はシール用小素材の表層カーボン
部のはがれにくさをいい、ロータップ試験機による3分
間の振動試験後のカーボン重量保持率として求めた。結
果を表1に示す。尚、初期締付面圧を200〜500k
g/cm2 で変化させても、表1と同様の傾向を示し
た。締付面圧200〜500kg/cm2 が実用上適用
できる範囲であって、これ以上の圧力は装置上の問題を
生じる
気、水、油等)のリークを防止する性能をいい、所定期
間内における流体リークの発生率を求めて評価した。面
圧保持性能は初期締付面圧(400kg/cm2 )に対
する150時間後の保持圧力を求めて評価した。摺動性
能はパッキン形成後の弁開閉時に作動不良のものの割合
として求めた。保形性はシール用小素材の表層カーボン
部のはがれにくさをいい、ロータップ試験機による3分
間の振動試験後のカーボン重量保持率として求めた。結
果を表1に示す。尚、初期締付面圧を200〜500k
g/cm2 で変化させても、表1と同様の傾向を示し
た。締付面圧200〜500kg/cm2 が実用上適用
できる範囲であって、これ以上の圧力は装置上の問題を
生じる
【0019】
【表1】
【0020】表1の結果から、シール用小素材のカーボ
ン部の嵩密度が0.3(g/cm3 )未満では、シール
用小素材から形成したパッキンのシール性能および摺動
性能、さらにはシール用小素材の保形性が劣るととも
に、嵩密度が2.0(g/cm3 )を超えると、シール
用小素材から形成したパッキンのシール性能および面圧
保持性能が劣るため、シール用小素材のカーボン部の嵩
密度は0.3〜2.0(g/cm3 )が必要であること
がわかった。なお、上記試験ではシール用小素材の形状
を粒状としたが、粒状に限らず塊状、片状等でも全く同
じ傾向がみられた。
ン部の嵩密度が0.3(g/cm3 )未満では、シール
用小素材から形成したパッキンのシール性能および摺動
性能、さらにはシール用小素材の保形性が劣るととも
に、嵩密度が2.0(g/cm3 )を超えると、シール
用小素材から形成したパッキンのシール性能および面圧
保持性能が劣るため、シール用小素材のカーボン部の嵩
密度は0.3〜2.0(g/cm3 )が必要であること
がわかった。なお、上記試験ではシール用小素材の形状
を粒状としたが、粒状に限らず塊状、片状等でも全く同
じ傾向がみられた。
【0021】ここで、カーボン部の嵩密度が0.3(g
/cm3 )未満でシール用小素材から形成したパッキン
のシール性能および摺動性能が劣るのは、パッキン形成
のためにパッキンボックス内でのシール用小素材の加圧
力を所定圧まで増大させた場合に、カーボン部の嵩密度
は増大するが、加圧方向においてカーボン部が減少し、
芯材部が直接ステムに接触する状態になりやすいためと
考えられる。また、カーボン部の嵩密度が2.0(g/
cm3 )を超えてシール用小素材から形成したパッキン
のシール性能および面圧保持性能が劣るのは、カーボン
部の密度が高いため、所定成形圧では変形が不十分で粒
子間の空間が埋まらず、シール性能が劣るものと考えら
れる。また、シール性能が悪い状態で使用を続けた場合
粒子間空間が時間とともに粒子のカーボンで埋まり、そ
の結果面圧保持性能が低下するためと考えられる。
/cm3 )未満でシール用小素材から形成したパッキン
のシール性能および摺動性能が劣るのは、パッキン形成
のためにパッキンボックス内でのシール用小素材の加圧
力を所定圧まで増大させた場合に、カーボン部の嵩密度
は増大するが、加圧方向においてカーボン部が減少し、
芯材部が直接ステムに接触する状態になりやすいためと
考えられる。また、カーボン部の嵩密度が2.0(g/
cm3 )を超えてシール用小素材から形成したパッキン
のシール性能および面圧保持性能が劣るのは、カーボン
部の密度が高いため、所定成形圧では変形が不十分で粒
子間の空間が埋まらず、シール性能が劣るものと考えら
れる。また、シール性能が悪い状態で使用を続けた場合
粒子間空間が時間とともに粒子のカーボンで埋まり、そ
の結果面圧保持性能が低下するためと考えられる。
【0022】なお、カーボン部の嵩密度の制御は、シー
ル用小素材の製造条件を変えることにより行うことがで
きる。すなわち、例えば、円形断面の容器内に粒状また
は塊状の芯材を入れ回転させた状態で、バインダー、カ
ーボン粉体を散布して造粒する方法では、円形断面の容
器の回転速度及びカーボンやバインダーの投入のインタ
ーバルを調節することによって、カーボン部が所定の嵩
密度を有するシール部材を得ることができる。この際、
バインダーとしてコロイダルシリカ、コロイダルアルミ
ナを用いると好ましい。また、流動体状のカーボンが収
容された槽内に不特定形状の芯材を投入して表面のカー
ボン層を形成する方法では、流動状態のカーボンの濃度
および粘性等を調節することによって、カーボン部が所
定の嵩密度を有するシール用小素材を得ることができ
る。
ル用小素材の製造条件を変えることにより行うことがで
きる。すなわち、例えば、円形断面の容器内に粒状また
は塊状の芯材を入れ回転させた状態で、バインダー、カ
ーボン粉体を散布して造粒する方法では、円形断面の容
器の回転速度及びカーボンやバインダーの投入のインタ
ーバルを調節することによって、カーボン部が所定の嵩
密度を有するシール部材を得ることができる。この際、
バインダーとしてコロイダルシリカ、コロイダルアルミ
ナを用いると好ましい。また、流動体状のカーボンが収
容された槽内に不特定形状の芯材を投入して表面のカー
ボン層を形成する方法では、流動状態のカーボンの濃度
および粘性等を調節することによって、カーボン部が所
定の嵩密度を有するシール用小素材を得ることができ
る。
【0023】上述した本発明の第1の特徴に係るシール
用小素材では、カーボン部の嵩密度を0.3〜2.0
(g/cm3 )に限定することにより、シール用小素材
から形成したパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺
動性能を良好にできるとともに、シール用小素材の保形
性をも向上させることができる。
用小素材では、カーボン部の嵩密度を0.3〜2.0
(g/cm3 )に限定することにより、シール用小素材
から形成したパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺
動性能を良好にできるとともに、シール用小素材の保形
性をも向上させることができる。
【0024】シール用小素材のカーボン部への混合物の
影響について(第2の特徴):シール用小素材のカーボ
ン部にセラミックファイバーを混入させて試験を実施し
たところ、このシール用小素材から形成したパッキンの
シール性能(常温、高温)、およびシール用小素材の保
形性および作業性が良好となることがわかった。なお、
セラミックファイバーとしては、繊維径2〜4μmで長
さ数mmのアルミナシリカ系ロープ状繊維を用いること
が好ましい。また、セラミックファイバーの他に炭素繊
維等を混入しても同様の結果が得られた。さらに、セラ
ミックファイバーはカーボン部中に均質に存在し、カー
ボン粒子の結合を補強していることがわかった。
影響について(第2の特徴):シール用小素材のカーボ
ン部にセラミックファイバーを混入させて試験を実施し
たところ、このシール用小素材から形成したパッキンの
シール性能(常温、高温)、およびシール用小素材の保
形性および作業性が良好となることがわかった。なお、
セラミックファイバーとしては、繊維径2〜4μmで長
さ数mmのアルミナシリカ系ロープ状繊維を用いること
が好ましい。また、セラミックファイバーの他に炭素繊
維等を混入しても同様の結果が得られた。さらに、セラ
ミックファイバーはカーボン部中に均質に存在し、カー
ボン粒子の結合を補強していることがわかった。
【0025】シール用小素材へのバインダーによるコー
ティングの影響について(第3および第4の特徴):シ
ール用小素材のカーボン部の表面に、油系バインダーに
よりコーティング処理して油層部を形成したもの、無機
バインダーによりコーティング処理して無機膜を形成し
たもの、有機バインダーによりコーティング処理して有
機膜を形成したものについて、それぞれ試験を実施した
ところ、いずれの場合もシール用小素材の保形性が良好
になるとともに、油層部を設けたものでは、シール用小
素材から形成したパッキンの摺動性能および常温時のシ
ール性能が良好になることがわかった。
ティングの影響について(第3および第4の特徴):シ
ール用小素材のカーボン部の表面に、油系バインダーに
よりコーティング処理して油層部を形成したもの、無機
バインダーによりコーティング処理して無機膜を形成し
たもの、有機バインダーによりコーティング処理して有
機膜を形成したものについて、それぞれ試験を実施した
ところ、いずれの場合もシール用小素材の保形性が良好
になるとともに、油層部を設けたものでは、シール用小
素材から形成したパッキンの摺動性能および常温時のシ
ール性能が良好になることがわかった。
【0026】なお、油層をなす材料としては、シリコン
オイル、鉱物油等が使用でき、無機層をなす材料として
は、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水ガラ
ス、ベントナイト等が使用でき、有機層をなす材料とし
ては、PVA、フェノール等を使用することができる。
また油層はカーボン部の表面に油系バインダーを含浸さ
せることにより、無機層および有機層はカーボン部の表
面に無機バインダーおよび有機バインダーを噴霧し乾燥
させることにより形成することができる。
オイル、鉱物油等が使用でき、無機層をなす材料として
は、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水ガラ
ス、ベントナイト等が使用でき、有機層をなす材料とし
ては、PVA、フェノール等を使用することができる。
また油層はカーボン部の表面に油系バインダーを含浸さ
せることにより、無機層および有機層はカーボン部の表
面に無機バインダーおよび有機バインダーを噴霧し乾燥
させることにより形成することができる。
【0027】第2〜4の特徴における実際の例として、
粒径:2.0mmのアルミナ粒2の周囲に層厚:2.0
mmでカーボン層を形成した図1に示す構造のシール用
小素材を比較例とし、この比較例のシール用小素材のカ
ーボン層に重量で10%のアルミナシリカ系ロープ状繊
維からなるセラミックファイバーを混入した本発明のセ
ラミックファイバー混入品(第2の特徴)、比較例のシ
ール用小素材のカーボン層の表面にさらに重量で3%の
油系バインダーとしてのシリコンオイルを含浸させて油
層を形成したコーティング処理品(第3の特徴)、比較
例のシール用小素材のカーボン層に重量で5%の無機バ
インダーとしてのコロイダルアルミナまたは有機バイン
ダーとしてのポリビニルアルコールを噴霧乾燥させて無
機膜または有機膜を形成したコーティング処理品(第4
の特徴)をそれぞれ準備した。
粒径:2.0mmのアルミナ粒2の周囲に層厚:2.0
mmでカーボン層を形成した図1に示す構造のシール用
小素材を比較例とし、この比較例のシール用小素材のカ
ーボン層に重量で10%のアルミナシリカ系ロープ状繊
維からなるセラミックファイバーを混入した本発明のセ
ラミックファイバー混入品(第2の特徴)、比較例のシ
ール用小素材のカーボン層の表面にさらに重量で3%の
油系バインダーとしてのシリコンオイルを含浸させて油
層を形成したコーティング処理品(第3の特徴)、比較
例のシール用小素材のカーボン層に重量で5%の無機バ
インダーとしてのコロイダルアルミナまたは有機バイン
ダーとしてのポリビニルアルコールを噴霧乾燥させて無
機膜または有機膜を形成したコーティング処理品(第4
の特徴)をそれぞれ準備した。
【0028】そして、準備した比較例のシール用小素
材、セラミックファイバー混入品およびコーティング処
理品のシール用小素材を使用して、実際に図2に示すよ
うに同一の条件でシール用小素材からパッキン11を形
成し、このパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動
性能およびシール用小素材の保形性、作業性を調べた。
このうち、パッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動
性能およびシール用小素材の保形性は、上述した例と同
様の方法で評価し、さらにシール用小素材の作業性はバ
ルブからの取り出しやすさとし、所定バルブからのシー
ル用小素材の取り出しに要する時間から比較した。結果
を表2に示す。
材、セラミックファイバー混入品およびコーティング処
理品のシール用小素材を使用して、実際に図2に示すよ
うに同一の条件でシール用小素材からパッキン11を形
成し、このパッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動
性能およびシール用小素材の保形性、作業性を調べた。
このうち、パッキンのシール性能、面圧保持性能、摺動
性能およびシール用小素材の保形性は、上述した例と同
様の方法で評価し、さらにシール用小素材の作業性はバ
ルブからの取り出しやすさとし、所定バルブからのシー
ル用小素材の取り出しに要する時間から比較した。結果
を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2の結果から、セラミックファイバー混
入品(第2の特徴)は、比較例に比べて、このシール用
小素材から形成したパッキンのシール性能(常温、高
温)、およびシール用小素材の保形性および作業性が良
好となることがわかった。また、コーティング処理品
(第3および第4の特徴)は、比較例に比べて、いずれ
の場合もシール用小素材の保形性が良好になるととも
に、油層部を設けたものでは、シール用小素材から形成
したパッキンの摺動性能および常温時のシール性能が良
好になることがわかった。なお、上記試験ではシール用
小素材の形状を粒状としたが、粒状に限らず塊状、片状
等でも全く同じ傾向がみられた。
入品(第2の特徴)は、比較例に比べて、このシール用
小素材から形成したパッキンのシール性能(常温、高
温)、およびシール用小素材の保形性および作業性が良
好となることがわかった。また、コーティング処理品
(第3および第4の特徴)は、比較例に比べて、いずれ
の場合もシール用小素材の保形性が良好になるととも
に、油層部を設けたものでは、シール用小素材から形成
したパッキンの摺動性能および常温時のシール性能が良
好になることがわかった。なお、上記試験ではシール用
小素材の形状を粒状としたが、粒状に限らず塊状、片状
等でも全く同じ傾向がみられた。
【0031】ここで、セラミックファイバー混入品(第
2の特徴)において、このシール用小素材から形成した
パッキンのシール性能が向上するのは、繊維分の混入に
より弾力性が向上するためと考えられ、またシール用小
素材の保形性および作業性が良好なのは、繊維分がカー
ボン層のくずれを防止するとともに、パッキンボックス
内の加圧時において少ない収縮量でシールが可能である
ためと考えられる。
2の特徴)において、このシール用小素材から形成した
パッキンのシール性能が向上するのは、繊維分の混入に
より弾力性が向上するためと考えられ、またシール用小
素材の保形性および作業性が良好なのは、繊維分がカー
ボン層のくずれを防止するとともに、パッキンボックス
内の加圧時において少ない収縮量でシールが可能である
ためと考えられる。
【0032】さらに、コーティング処理品のうち油層を
形成したもの(第3の特徴)において、パッキンの摺動
性能、シール性能およびシール用小素材の保形性が良好
なのは、油系バインダーを使用するため潤滑性が良いた
めと考えられる。また、コーティング処理品のうち無機
膜および有機膜の固体膜を形成したもの(第4の特徴)
において、シール用小素材の保形性が良好なのは、表面
に固体膜が形成されるため、カーボン層のくずれが防止
できるためと考えられる。
形成したもの(第3の特徴)において、パッキンの摺動
性能、シール性能およびシール用小素材の保形性が良好
なのは、油系バインダーを使用するため潤滑性が良いた
めと考えられる。また、コーティング処理品のうち無機
膜および有機膜の固体膜を形成したもの(第4の特徴)
において、シール用小素材の保形性が良好なのは、表面
に固体膜が形成されるため、カーボン層のくずれが防止
できるためと考えられる。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、シール用小素材のカーボン部の嵩密度(第1
の特徴)、シール用小素材のカーボン部への混合物の混
入(第2の特徴)、シール用小素材への適当なバインダ
ーによるコーティング(第3および第4の特徴)をそれ
ぞれ限定して、それぞれの最適な条件を求めることによ
り、シール部材のシール性能等を改良することができ
る。
によれば、シール用小素材のカーボン部の嵩密度(第1
の特徴)、シール用小素材のカーボン部への混合物の混
入(第2の特徴)、シール用小素材への適当なバインダ
ーによるコーティング(第3および第4の特徴)をそれ
ぞれ限定して、それぞれの最適な条件を求めることによ
り、シール部材のシール性能等を改良することができ
る。
【図1】本発明のシール部材の構成一例示す図である。
【図2】図1に示したシール部材を使用したパッキンを
の一例を示す図である。
の一例を示す図である。
2 セラミック粒(芯材)、3 カーボン層(カーボン
部)
部)
フロントページの続き (72)発明者 清家 捷二 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 伊神 俊市 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 菱木 達也 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】少なくともカーボン部を表層に有し、その
カーボン部の嵩密度が0.3〜2.0g/cm3 である
ことを特徴とするシール用小素材。 - 【請求項2】前記カーボン部の嵩密度が0.5〜1.5
g/cm3 である請求項1記載のシール用小素材。 - 【請求項3】少なくともカーボン部を表層に有し、その
カーボン部に繊維体が混入していることを特徴とするシ
ール用小素材。 - 【請求項4】少なくともカーボン部を表層に有し、その
カーボン部に油系バインダーを含浸させた油層を形成し
たことを特徴とするシール用小素材。 - 【請求項5】少なくともカーボン部を表層に有し、その
カーボン部に有機バインダーまたは無機バインダーを含
浸させた有機膜または無機膜を形成したことを特徴とす
るシール用小素材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26933594A JPH08170069A (ja) | 1993-11-02 | 1994-11-02 | シール用小素材 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27453993 | 1993-11-02 | ||
JP25358594 | 1994-10-19 | ||
JP6-253585 | 1994-10-19 | ||
JP5-274539 | 1994-10-19 | ||
JP26933594A JPH08170069A (ja) | 1993-11-02 | 1994-11-02 | シール用小素材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08170069A true JPH08170069A (ja) | 1996-07-02 |
Family
ID=27334247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26933594A Pending JPH08170069A (ja) | 1993-11-02 | 1994-11-02 | シール用小素材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08170069A (ja) |
-
1994
- 1994-11-02 JP JP26933594A patent/JPH08170069A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020716 |