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JPH08144021A - フェライトステンレス鋼およびその冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

フェライトステンレス鋼およびその冷延鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH08144021A
JPH08144021A JP28543994A JP28543994A JPH08144021A JP H08144021 A JPH08144021 A JP H08144021A JP 28543994 A JP28543994 A JP 28543994A JP 28543994 A JP28543994 A JP 28543994A JP H08144021 A JPH08144021 A JP H08144021A
Authority
JP
Japan
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corrosion resistance
steel
workability
ferritic stainless
corrosion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28543994A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihito Yamagishi
昭仁 山岸
Shinji Tsuge
信二 柘植
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP28543994A priority Critical patent/JPH08144021A/ja
Publication of JPH08144021A publication Critical patent/JPH08144021A/ja
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】耐食性と加工性に優れたフェライトステンレス
鋼。 【構成】重量%で、Cr:14〜19,Ti:0.02
〜0.40、で、以下いずれも、Si:0.5,Mn:
0.5,Al:0.1,Nb:0.5,Cu:1.0,
V:1.0,Ni:1.0,Ca:0.005以下で、
残部がFeと不可避的不純物からなり、不純物としては
いずれもC:0.015,N:0.015,P:0.0
4以下であり、かつ、C+N≦0.025;Ti/(C
+N)≧5;0.5×C≦S≦0.010;Ti/Mn
≧0.5である、加工性と耐食性に優れたフェライトス
テンレス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐食性と加工性に優れた
フェライトステンレス鋼およびその冷延鋼板の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼はオーステナ
イト系ステンレス鋼に比べ安価であり、また熱膨張が小
さく、加工硬化しにくいなど優れた特長を持つ。従っ
て、屋根材をはじめとする建材、あるいは繰り返し加熱
が繰り返されるエギゾーストマニホールド、耐食性が重
視されるマフラーなどの自動車自動車排気ガス系統部品
の材料として広く用いられている。特に近年は従来使用
されていたAlめっき鋼板などにかわり自動車排気系材料
としてのフェライトステンレス鋼の需要が増加してい
る。
【0003】自動車マフラーの腐食としては外面に塩化
物が付着することにより促進される外面腐食と、内面に
腐食液が凝縮するために発生する内面腐食がある。内面
は、凝縮液中に NH4 + 、 CO3 - 、SO4 2- 、SO3 2- 等を含
み高温の排気ガスにより温度上昇が加わる過酷な腐食環
境に曝される。従って、例えば低Cr鋼である SUH409L鋼
では腐食による減肉が激しく、短期間で貫通孔になって
しまう例もみられため、SUS429L 鋼や SUS436 鋼などの
高耐食鋼がマフラー材料として使用されるようになって
きた。
【0004】しかし、17%以上のCrを含有するSUS436鋼
でも溶接部における鋭敏化が問題となる。そこで、特開
平3−219055号公報や特開平4-228547号公報にみられる
ように、TiやNbを充分添加するという対策が考えられ
る。NbやTiの添加は、固溶Cおよび固溶Nを減らして靱
性や加工性を向上させるが、多量の添加は逆に加工性を
劣化させる要因となり、成形性、特に造管性に問題が生
じる。
【0005】一方、フェライトステンレス鋼の冷延鋼板
の製造においては、通常、熱延鋼板を箱焼鈍または連続
焼鈍により焼鈍し、その後、冷間圧延を行うのである
が、工程省略のために、普通鋼の冷延鋼板製造と同様
に、熱延鋼板の焼鈍(いわゆる熱延板焼鈍)を行わずに
冷間圧延を行う試みもなされている。熱延板焼鈍を省略
する場合の問題点は、冷間圧延前の素材(熱延鋼板)の
加工性が悪いことによる冷間圧延能率の低下と、冷間圧
延後の製品(冷延鋼板)の加工性が劣ることである。
【0006】熱間圧延時にフェライト オーステナイト
の二相混合組織となる鋼種においては、例えば、特開昭
52-95527公報に 850℃以上の温度で巻取ることにより降
伏強度の低下と伸びの増大を図る方法が開示されてお
り、また、特開昭57-70231公報にはAlの添加と700 ℃以
下の低温巻取りによる方法が示されている。しかし、こ
れらの方法は、本願発明鋼のようなフェライト単相のTi
含有Cr系フェライトステンレスの製造方法にそのまま適
用することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】14〜19%のCrを含有す
るフェライトステンレス鋼は、耐食性、加工性に優れる
ため耐候性材料や自動車材料として好適である。しか
し、使用環境中には腐食因子となる硫酸イオン、塩化物
イオン等が含まれることが多いため、孔食による発銹、
および溶接部近傍のCr欠乏域で発生する粒界腐食が問題
である。
【0008】前記のように、溶接部の耐食性確保のため
はTi、Nb添加によりC、Nを固定することが効果的であ
るが、粒界腐食抑制のためには充分な量の安定化元素の
添加が必要となる。しかし、これらの元素の一定量以上
の添加は、鋼の伸びおよびランクフォード値(r値)を
低下させるなど加工性劣化の要因となる。
【0009】本発明者は、CとNの含有量を極めて低く
して高純度化した鋼を用いて、JISに規定されている粒
界腐食試験、孔食試験および自動車マフラー内面腐食模
擬試験を行った。その結果、高純度化による耐食性の改
善効果はみられるが、従来鋼と同様に、孔食および溶接
部近傍を起点として粒界に沿った浸食の進行が確認され
た。このことからCおよびNの低減のみでは耐食性改善
効果には限界があることがわかった。
【0010】本発明の目的は、溶接部においても優れた
耐粒界腐食性と耐孔食性を示し、しかも良好な加工性を
備えるフェライトステンレス鋼およびその冷延鋼板の製
造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1) のフ
ェライトステンレス鋼および (2)のその冷延鋼板の製造
方法を要旨とする。
【0012】(1) 重量%で、Cr: 14〜19%、Si:0.5%以
下、Mn:0.5%以下、Al:0.1%以下、Ti: 0.02〜0.40%、
Nb:0〜0.5 %、Cu:0〜1.0 %、V:0〜1.0 %、Ni: 0 〜
1.0 %、Ca: 0 〜0.005 %で、残部がFeと不可避不純物
からなり、不純物としてのC:0.015%以下、N: 0.015
%以下、P: 0.04%以下であり、かつ、下記〜式を
満たす加工性と耐食性に優れたフェライトステンレス
鋼。
【0013】 C(%) +N(%) ≦0.025 (%) ・・・ Ti(%)/(C(%) +N(%) )≧ 5 ・・・ 0.5×C(%) ≦S(%) ≦0.010(%) ・・・ Ti(%)/Mn(%) ≧0.5 ・・・ (2) 上記の化学組成のフェライトステンレス鋼を熱間圧
延して 600℃以上で巻取り、熱延板焼鈍を施すことなく
冷間圧延することを特徴とする加工性と耐食性に優れた
フェライトステンレス冷延鋼板の製造方法。
【0014】
【作用】近年の精錬技術の進歩によって鋼中のCおよび
Nを低くすることが可能となり、鋼中のCとNの合計含
有量が 100 ppm以下という高純度鋼の工業的な生産がで
きるようになった。先に示した特開平3-219055号公報に
は、C量を少なく抑え、Ti、Nbを加工性、二次加工性を
劣化させない程度の量添加することで耐食性と加工性に
優れた鋼板が得られることが示されている。しかし、本
発明者が同様の検討をおこなった結果、C、Nをそれぞ
れ50ppm 以下に減らして高純度化した鋼を腐食試験に供
しても、Tiを(C+N)の10以上で、かつ0.15%以上と
しなければ耐食性の向上がみられなかった。これらの腐
食形態は粒界腐食、または粒界を起点とする孔食であっ
たことから、Cr炭窒化物の生成を抑制するにはC、Nの
低減のみでは限界があるものと思われる。
【0015】さらに、高純度鋼におよぼす微量元素の影
響を調査した結果、CとNの含有量を減らし、一定量の
Tiを含有させた条件下で、特定範囲のSを添加すること
が耐粒界腐食性の向上に有効であることを確認した。S
の添加がフェライトステンレス鋼の耐粒界腐食性の改善
に有効である理由は未だ明確ではないが、安定なチタン
炭硫化物(Ti4C2S2) の生成による固溶Cの低下に起因し
ていると推定される。
【0016】通常、Sはステンレス鋼の局部腐食の原因
になるものとして、その含有量はできるだけ低い方がよ
いとされている。この常識に反して、本発明で定める条
件下でのSの添加は、耐局部腐食性に影響しないことも
確認された。その理由は、SがTi硫化物またはTi炭硫化
物として固定されるため、耐局部腐食性を最も劣化させ
るMn硫化物の析出が抑制されることにあるものと考えら
れる。
【0017】また、さらに 0.5%までのNb、それぞれ
1.0%までのCu、VおよびNi、ならびに 2%までのMoの
中の1種または2種以上を含有させることによって、耐
食性を一層向上させることが可能であることも確認し
た。
【0018】上記の知見に基づいてなされた本発明のフ
ェライトステンレス鋼は、析出する炭窒化物の粗大化と
固溶C、Nの減少により再結晶が容易であり、熱間圧延
後の熱延板の巻取り温度を 600℃以上とすることで、熱
延板焼鈍を省略して冷延鋼板を製造しても優れた加工性
が得られる。
【0019】以下、本発明のフェライトステンレス鋼の
各成分の作用効果と含有量の限定理由を説明する。含有
量に関する%は重量%を意味する。
【0020】Cr:Crはステンレス鋼の耐食性を担う主要
元素であり、耐孔食性、耐粒界腐食性の向上には11%以
上が必要である。一方、19%を超えると強度の上昇が著
しくなり靱性、加工性が劣化するので19%を上限とす
る。
【0021】Si、Mn:SiおよびMnは鋼の脱酸剤として添
加されるものである。しかし、その含有量が過剰になる
と、加工性および耐食性を損なう場合があるので、それ
ぞれ 0.5%以下に抑えた。下限は実質的に0でもよい。
【0022】Al:Alは鋼の脱酸能力が非常に大きい元素
であり、脱酸とTiの添加歩留りを高めるために効果があ
るとともに耐酸化性を高める作用もある。一方、過剰な
添加は鋼の硬質化をまねき、加工性を劣化させる場合が
あるので、その含有量は 0.1%以下にとどめるべきであ
る。なお、Alの含有量は実質的に0でもよいが、上記の
効果を得るために、0.005 %以上は含有させるのが望ま
しい。
【0023】Ti:Tiは加工性と耐食性を高めるために添
加する。本発明鋼では後述するSの添加により、少ない
Ti量でもC、Nを固定する効果が発揮される。しかし、
後述の範囲のSを添加していても、Ti量が0.02%未満、
または Ti(%)/(C(%) +N(%))が5未満であれば、
鋼中のC、Nを Ti(C,S)、TiC、TiNとして固定す
る効果が充分でなく、加工性向上効果がはっきりみられ
ない。一方、Tiの含有量が0.40%を超えると、逆に鋼を
硬質化させ、本発明が目的とする高い加工性が得られな
い。
【0024】また、Tiの添加によりMn系硫化物の析出を
抑制するためには Ti(%)/Mn(%) が0.5 以上であること
が必要であり、これを下回る添加量ではMn硫化物の析出
密度が増大し、耐局部腐食性を低下させる。
【0025】以上の理由で、Tiの含有量は0.02〜0.40%
の範囲で、かつ、前記の式およびを満足するように
定めた。
【0026】S:Sは一般に耐食性を劣化させる元素で
あると考えられているが、本発明では加工性、耐食性を
高めるために積極的に利用する。前記のように、本発明
鋼におけるSの作用効果の原理は、未だ充分には解明さ
れていないが、以下のように推定される。
【0027】Sは、CおよびTiとともに安定なチタン炭
硫化物 Ti(C,S)を形成して固溶Cを減少させる。こ
れにより析出物の粒子径が大きくなり析出密度が低下す
るため再結晶し易い鋼質となり、深絞り性、伸び等の加
工性が向上する。また溶接部での耐粒界腐食性も向上す
る。
【0028】後述の実施例に示すように、Cの含有量に
対して 0.5倍以上のSが含有されている場合に、加工
性、耐食性の改善効果が顕著になる。しかし、Sの全含
有量が0.010 %を超えると、単独のTiSが析出するよう
になり、耐孔食性が低下する。
【0029】従って、Sの含有量は前記式を満足する
ように規定した。
【0030】Nb、Cu、V、Ni、Mo:これらは、フェライ
ト系ステンレス鋼の耐食性を一段と高めるために必要に
応じて添加する元素である。Nbは 0.5%を超えると、C
u、VおよびNiは、それぞれ1.0 %を超えると、また、M
oは 2%を超えると、含有量の増大に応じた耐食性改善
の度合いが低下し、コスト上昇に見合う程の効果がな
い。また、加工性を損なうおそれもある。
【0031】Ca:Caも必要に応じて添加できる元素であ
る。Caは連続鋳造時にノズルに付着する酸化物、窒化物
によるノズル閉塞を防止する。これにより鋳片中への介
在物の集積がなくなり加工性、耐食性を向上させる。こ
のような効果を確実にするためには0.0005%以上の含有
が望ましい。一方、Caの含有量が 0.005%を超えると、
鋼中の析出物がAl−Ca系の複合酸化物からCa酸化物へと
形態変化し、添加量に応じて析出量も増加する。Ca酸化
物は初期腐食の起点となり、また延性も乏しいため耐食
性、加工性を劣化させる要因となる。従って、Caを添加
する場合は、その含有量を 0.005%以下とすべきであ
る。
【0032】C、N、P:これらは、できるだけ少ない
方がよい不純物である。
【0033】CとNは、鋼の強度を上昇させ、加工性、
靱性を劣化させる。また、フェライト系ステンレス鋼へ
の固溶限が小さく、Cr炭窒化物として析出し粒界腐食の
原因となる。そこで、CおよびNの含有量を、それぞれ
0.015%以下で、かつ合計含有量が前記式を満足する
ように定めた。Pは、耐食性に有害な元素であるので0.
04%以下に限定する。
【0034】次に、本発明のフェライトステンレス鋼の
冷延鋼板の製造方法について説明する。
【0035】前述の化学組成を有する鋼を常法で溶製
し、インゴットからの分塊、または連続鋳造でスラブと
する。次いで、熱間圧延を行う。その条件も通常のフェ
ライトステンレス鋼の熱間圧延条件でよい。
【0036】熱間圧延後の巻取り温度は 600℃以上とし
なければならない。フェライト系ステンレス鋼の再結晶
は、粒成長を速くすることにより促進されることが知ら
れているが、本発明鋼のようにC、Nを低減し、Sを添
加することにより析出物数を少なくした鋼は、600 ℃以
上(上限はおよそ 800℃程度)の温度で巻き取ることに
より結晶粒の成長が一層促進され、再結晶させることが
容易になる。そして巻き取った後の熱延鋼板は焼鈍を行
わなくても冷間圧延することができ、こうして製造され
た冷延鋼板は高い伸びとr値を持つ加工性の優れたもの
となる。
【0037】
【実施例1】表1および表2に示す化学組成の鋼を真空
溶製し、25kgインゴットに鋳造し、40mm厚まで鍛造した
後、1150℃に加熱して 4.5mm厚まで7パスで熱間圧延し
た。
【0038】熱延仕上げ温度は 900℃とした。熱間圧延
後は所定の巻取り温度となるまで空冷した。巻取り温度
に到達した後は、50℃/hr の冷却速度で徐冷した。一部
の鋼については 950℃×5 分の熱延板焼鈍を実施した。
【0039】上記によって得られた熱延鋼板を、ワーク
ロール径 500mmの冷間圧延機により1.0 mm厚まで冷間圧
延し、950 ℃×2 分の仕上げ焼鈍を実施した後、加工性
および耐食性を調査した。
【0040】〔加工性の評価〕加工性の調査は、JIS Z
2201の13B号の形状の引張試験片で実施した。伸びは圧
延方向に対して90°の方向の値を用い、深絞り性の指標
であるr値としては、0°、45°および90°の方向の値
の平均値〔(r0 +2r45+r90)/4 〕を用いた。
【0041】〔耐食性の評価〕耐食性については粒界腐
食試験および孔食試験を行った。前記仕上焼鈍後の鋼板
を酸洗した後、下記のTIG法により、なめ付けした材
料から試験片を採取した。試験片は湿式 #320 研磨で約
0.8 mm 厚として試験に供した。
【0042】TIGなめ付け法:平板ビード(裏波が出
る程度)。フィラーなし。
【0043】座屈変形防止のため、台板にクランプで固
定。
【0044】TIGなめ付け条件:電流 30mA 、電圧 7
V 、速度 15cm/分。
【0045】シールドガス(Ar)流量 15 リットル/分。
【0046】 粒界腐食 JIS-G-0575に規定される硫酸−硫酸銅腐食試験(ストラ
ウス試験)を実施した。沸騰、16時間浸漬ののちの腐食
減量の測定および 0.5R曲げ後の割れ状況観察により評
価をおこなった。またCr含有量15%以上の鋼については
さらに、JIS-G-0572に規定される硫酸−硫酸第二鉄腐食
試験(ストライカー試験)で沸騰、72時間浸漬を実施し
た。腐食が著しい場合に硫酸第二鉄が不足して活性溶解
することがあるため、これを防止する目的で硫酸中に添
加する硫酸第二鉄量を JIS規定の2倍の量とした。評価
は腐食減量の測定、密着曲げ後の目視による割れ判定に
より行った。
【0047】 孔食 孔食試験としてJIS D 0201付属書2 に準じた試験装置内
で下記の条件の複合腐食試験を実施し、レイティングナ
ンバー標準図表と対照して評価した。試験片は板厚 1.0
mm×幅60mm×長さ90mmに切断し、表面および端面を湿式
#600研磨したものを用いた。沸騰クエン酸二アンモニウ
ムにより脱スケールした後に孔食深さを測定した。
【0048】( 複合腐食試験条件 )塩水噴霧 (35℃、5
%NaCl水溶液、4 時間) →乾燥 (60℃、2 時間、湿度50
%) →湿潤 (50℃、2 時間、湿度98%) を1サイクルと
して50サイクル実施した。
【0049】以上の試験結果を表3および表4にまとめ
て示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】表3および表4から明らかなように、本発
明鋼は伸びとR値で示される加工性に優れ、しかも全て
の条件での耐食性にもきわめて優れている。そして、そ
の特性は、熱延板焼鈍の有無に影響されない。即ち、本
発明鋼は、熱延板焼鈍の工程を省略して冷間圧延を行っ
ても、優れた特性の冷延鋼板になるものである。
【0055】
【実施例2】表5に示す化学組成の鋼板を実製造プロセ
スにより製造し、加工性、耐食性の評価を行った。
【0056】製造工程は溶鋼をVOD法により精錬した
後、連続鋳造設備により厚さ 200mm×幅1200mmの長さの
鋳片とした。この鋳片を切断し、表6に示す熱延板焼鈍
無しの本発明工程 (普通鋼の製造と同様のプロセス) お
よび従来の熱延板焼鈍を含む工程で冷延鋼板を製造し
た。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】〔加工性の評価〕上記工程により製造され
た鋼板の加工性は、 JIS Z 2201 の13B号の形状の試験
片で引張試験を実施し、実施例1と同じ方法で評価し
た。
【0060】〔耐食性の評価〕 粒界腐食 粒界腐食性の評価は、実施例1と同じくJIS G 0572(ス
トライカー試験)によって行った。
【0061】 孔食 孔食試験としてJIS G 0577に規定される孔食電位測定を
行った。
【0062】試験溶液: 0.1M 塩化ナトリウム水溶液 試験片:板厚×幅25mm×長さ30mmの中央部にスポット溶
接を施したもの 溶接条件:電流 7000A、通電時間 20 cycle 、加圧力 2
50 kg 評価には電流が10μA/cm2 流れたときの電位=Vc'10 を
用いた。
【0063】 自動車マフラー内面腐食模擬試験 自動車マフラー内面耐食性を、採取された腐食液を模擬
した溶液中での長期半浸漬試験により評価した。この試
験の要領を図1に示す。図示の冷却水循環機能を持つ半
密閉型試験容器1中の支え治具2の上に試験片3をおい
て、試験溶液4に半浸漬状態にして、下記の条件で試験
を行った。耐食性の評価は最大孔食深さ測定により行っ
た。
【0064】試験液組成: 表7のとおり 試験片 : 板厚×幅50mm×長さ100 mm 浸漬温度 : 80℃ 浸漬時間 : 500 時間 浸漬前にはマフラーとして使用する場合の温度上昇を考
慮して300 ℃×10時間の予備加熱処理を行った。以上の
各試験の結果を表8に示す。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】表8の結果から明らかなように、本発明鋼
は熱延板焼鈍をしなくてもそれを行ったものと同等の性
質を持つ。また、溶接部の耐食性、特に自動車マフラー
模擬試験における耐食性は、比較鋼に比べて飛躍的に向
上している。
【0068】
【発明の効果】本発明のフェライトステンレス鋼は、優
れた加工性と耐食性、特に溶接部の耐食性を有するか
ら、自動車マフラー材料のような溶接構造材として好適
なものである。しかも、この鋼の冷延鋼板は、熱延板焼
鈍を行わない普通鋼の冷延鋼板製造と同じ工程で製造で
きるから、安価であるという大きな利点を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車マフラーの内面環境を模擬した腐食試験
の要領を示す図である。
【符号の説明】
1…試験容器、 2…支え治具、 3…試験片、 4…
試験溶液

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Cr: 14〜19%、Si:0.5%以下、
    Mn:0.5%以下、Al:0.1%以下、Ti:0.02〜0.40%、Nb: 0
    〜0.5 %、Cu: 0 〜1.0 %、V: 0 〜1.0 %、Ni: 0
    〜1.0 %、Ca: 0 〜0.005 %で、残部がFeと不可避不純
    物からなり、不純物としてのC:0.015%以下、N: 0.01
    5 %以下、P: 0.04%以下であり、かつ、下記〜式
    を満たす加工性と耐食性に優れたフェライトステンレス
    鋼。 C(%) +N(%) ≦0.025 (%) ・・・ Ti(%)/(C(%) +N(%) )≧ 5 ・・・ 0.5×C(%) ≦S(%) ≦0.010(%) ・・・ Ti(%)/Mn(%) ≧0.5 ・・・
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化学組成のフェライトス
    テンレス鋼を熱間圧延して 600℃以上で巻取り、熱延板
    焼鈍を施すことなく冷間圧延することを特徴とする加工
    性と耐食性に優れたフェライトステンレス冷延鋼板の製
    造方法。
JP28543994A 1994-11-18 1994-11-18 フェライトステンレス鋼およびその冷延鋼板の製造方法 Pending JPH08144021A (ja)

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Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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