[go: up one dir, main page]

JPH08135344A - 光および音制御窓ならびに光および音制御方法 - Google Patents

光および音制御窓ならびに光および音制御方法

Info

Publication number
JPH08135344A
JPH08135344A JP6275413A JP27541394A JPH08135344A JP H08135344 A JPH08135344 A JP H08135344A JP 6275413 A JP6275413 A JP 6275413A JP 27541394 A JP27541394 A JP 27541394A JP H08135344 A JPH08135344 A JP H08135344A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
light
inorganic
transparent
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6275413A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Kasei Co Ltd, Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Kasei Co Ltd
Priority to JP6275413A priority Critical patent/JPH08135344A/ja
Publication of JPH08135344A publication Critical patent/JPH08135344A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Special Wing (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、電界配列効果に基づく電気感応型
光機能性流体組成物を用いて窓を構成し、電圧の印加に
反応して、光の透過光量を制御でき、かつ音波吸収制御
もできるようにした光および音制御窓ならびに光および
音制御方法を提供する。 【構成】 内面に透明導電層17,18を有する2面の透明
基板27,28を間隙をおいて互いに対向して配置してなる
中空の収納体20の内部に、電界配列効果を有する固体粒
子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型光機能
性流体組成物を収納する。収納体20の周縁に框34を取り
付けて窓32を構成する。一対の透明導電層17,18間に電
圧を印加して窓32の透過光量および音波吸収制御を行な
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界配列効果に基づい
て、透過光量制御と音波吸収制御の両方を行うことがで
きるようにした窓およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リスニングルームやレコーディン
グルームなどには、壁、床および天井に音波吸収材が用
いられて、音響制振が施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな部屋に、隣室が見えるようにするための仕切り窓
や、明かり取りのための窓を設ける場合には、音響制振
できないガラスを用いなければならず、部屋全体の音響
制振が不完全なものとならざるを得なかった。そこで、
ガラスに取って代わって窓を構成して、明かり取りがで
き、隣室を見ることができる上に、音響制振の機能も備
えた部材の出現が望まれていた。
【0004】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性を有する電気感応型光機能性流
体組成物の研究を行っている。この流体組成物は、例え
ば、電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られ
る流体であり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電
分極を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によっ
て互いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を
示す性質を持っている。また、固体粒子によっては電気
泳動して配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すも
のもある。このように、電界下における粒子の配列配向
を電界配列効果と呼び、そのような性質を有する固体粒
子を電界配列性粒子と呼ぶこととする。そして本発明者
らは、この新規な構造の電気感応型光機能性流体組成物
の研究を進めることにより本発明に到達した。
【0005】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、この新規な電界配列効果を有する電気感応型光
機能性流体組成物を用いて窓を構成し、電圧の印加に反
応して、光の透過光量を制御でき、かつ音波吸収制御も
できるようにした光および音制御窓ならびに光および音
制御方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の光および音制御窓は、間隙をおいて互いに
対向して配置された2面の基板の少なくとも相対向する
一部を透明とした中空の収納体の内部に、電界配列効果
を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電
気感応型光機能性流体組成物が収納され、前記基板の内
面に一対の透明導電層が形成され、前記一対の透明導電
層間に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変とする電圧印
加手段を備え、前記収納体の周縁が框により囲まれてな
ることを特徴とするものである。本発明において、前記
固体粒子が、有機高分子化合物からなる芯体と、電界配
列効果を有する無機物を含む表層とによって形成された
無機・有機複合粒子であることが好ましい。また、前記
表層、芯体、電気絶縁性媒体の少なくとも一つに、色素
が含まれていてもよい。
【0007】本発明の光および音制御方法は、対向する
2面の少なくとも相対向する一部を透明とした中空の収
納体の内部に、電界配列効果を有する固体粒子を電気絶
縁性媒体中に含有してなる電気感応型光機能性流体組成
物を収納し、該流体組成物に電圧を印加して、前記固体
粒子を配列制御して粒子鎖を形成することによって、前
記収納体の透明部分における光の透過状態を変化させる
とともに、前記印加電圧を調整して上記収納体における
音波吸収制御を行なうことを特徴とするものである。ま
た、前記固体粒子の粒子鎖の特性振動数が前記収納体の
一面に入射する音波の吸音すべき成分の振動数に一致す
るように、前記印加電圧を調整することもできる。
【0008】
【作用】本発明の光および音制御窓において、間隙をお
いて互いに対向して配置された2面の基板の少なくとも
相対向する一部を透明とした中空の収納体の内部には、
電気感応型光機能性流体組成物(以下、Electri
c Alignment流体組成物を略して「EA流
体」と称する)が満たされている。この収納体の基板の
内面に形成された一対の透明導電層間に電圧が印加され
ていない状態では、EA流体中の電界配列効果(以下
「EA効果」と称する)を有する固体粒子(以下「EA
粒子」と称する)は電気絶縁性媒体中に不規則にランダ
ムに浮遊・分散しており、これらのEA粒子が光を乱反
射するために収納体の透明部分は不透明に見える。そし
て、電圧印加手段により一対の透明導電層に電圧を印加
すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列す
る。すると平行に配列した鎖状体の間隙を光が透過する
ようになるので、収納体の透明部分は透明に見えるよう
になる。またこのように電圧を印加した状態で、一方の
基板に音波(空気振動)を入射させると、この基板が2
面の基板の対向方向に振動するが、鎖状体自体が弾性の
性質を持っているため、鎖状体は引っ張られる場合に
は、向かい合う粒子同士が引き合って引力を、圧縮され
る場合には、撓んで反発力をそれぞれ生じ、電気絶縁性
媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗が生じ、これによ
って音波の持つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0009】すなわち、基板に入射した音波に、鎖状体
を含むEA流体と基板とが共振するのである。このよう
な鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖状体の持つ特
性振動数(鎖状体の弾性と基板の慣性とのバランスから
なる、いわゆる固有振動数と推定される)によって定ま
り、その特性振動数と一致した周波数の音波が基板に入
射すると、鎖状体は共振してその音波を吸収し、他の周
波数の音波は反射されることになる。
【0010】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の透明導電層に印加される電圧の増加に伴
って増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が
印加電圧の増加に伴って増大することになり、本発明
は、このことを利用して音波吸収制御を行なうものであ
る。すなわち、印加電圧を調整して、鎖状体自体の特性
振動数を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成分
の振動数に一致させることにより、鎖状体を共振(共
鳴)させ、吸音(除去)したい成分のエネルギーを消費
し、その他の成分を反射させるようにすることができ
る。
【0011】図7はEA粒子30wt%分散系について
電界配列特性(以下、「EA特性」と称する)に及ぼす
電界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。こ
のグラフから印加電圧が増加するほど鎖状体に働く応力
は増大することが明かである。EA特性は、誘電分極し
た粒子が電気的引力により電場方向に配列し、鎖状構造
を形成することに起因する。低線断速度では、電気的引
力が支配的であるので、鎖状構造の破壊と再形成がゆる
やかに繰り返される。電場方向に並んだ鎖をそれと直角
方向にせん断破壊させるとき発生する力が降伏応力に相
当する。形成されるすべての鎖の粒子が同じ直径をも
ち、直鎖状に並んで導電層間を結んでいると考えると、
鎖の数は粒子濃度に比例するので、降伏応力も粒子濃度
に比例することになる。図8は本発明の振動系の等価回
路を示したものであり、弾性率Kのコイルばね22と粘
性率Cのダッシュポット23が一対の透明導電層間に並
列に接続されている。
【0012】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例について図面を
参照して詳細に説明する。先ず、図3に本発明に係わる
電気感応型光機能性流体組成物(EA流体)の一具体例
を示す。このEA流体は、電気絶縁性媒体1中に固体粒
子であるEA粒子(電界配列性粒子)2が均一に分散さ
れてなっている。このEA粒子2は、有機高分子化合物
からなる芯体3と、電界配列性無機物(以下、「EA無
機物」と称する)である粒子4からなる表層5とによっ
て形成され、無機・有機複合粒子を形成している。この
具体例において、電気絶縁性媒体1は無色透明のシリコ
ーン油であり、無機・有機複合粒子の芯体3を形成する
有機高分子化合物はポリアクリル酸エステルであり、表
層5を形成するEA無機物の粒子4は無機イオン交換体
でありかつ電気半導体性無機物でもある白色の水酸化チ
タンである。このEA粒子(無機・有機複合粒子)の色
は例えば白色である。また、電気絶縁性媒体1中に含ま
れるEA粒子2の割合は例えば7.5重量%である。
【0013】このEA流体を、図4に示すように、離間
して平行に配置した一対の導電層7,8の間に介在させ
る。図5に示すように、この一対の導電層7,8に、電
源9からスイッチ10を介して電圧を印加すると、EA
効果によってEA粒子2が導電体7,8の面と直角の方
向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成する。こ
のとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配向する。
【0014】次に、上述のEA流体を用いた本発明の光
および音制御窓について説明する。図1は本発明の窓の
第1の実施例を示したもので、(a)は縦断面図、
(b)は収納体の拡大断面図である。本実施例の窓32
は2枚の引き戸33によって構成されている。これらの
各引き戸33は、EA流体が満たされている収納体20
と、この収納体20の周縁を囲んで設けられた枠状の框
(アルミサッシ)34と、このアルミサッシ34の内周
と前記収納体20の外周との間に介装されて、収納体2
0の外周を気密に閉塞するシール材35とを備えてい
る。また前記各引き戸33は、ガイドレール36に摺動
自在に支持されており、下片部には、引き戸33の重量
を支持するとともに、前記下方のガイドレール36を転
動する車輪37が回動自在に取り付けられている。
【0015】収納体20は、一対の透明基板27,28
が間隙(組成物収容空間)をおいて対向配置され、これ
ら一対の透明基板の27,28の内面全面にそれぞれ透
明導電層17,18が形成されている。そしてこれら透
明導電層17,18の間に、上述した本発明の、EA効
果を有するEA粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有して
なるEA流体が封入されている。また前記一対の透明基
板27,28の周縁および透明導電層17,18の周縁
には、枠状のシール部材15が固着され、これにより組
成物収納空間が密閉されている。符号13は、一対の透
明導電層17,18間に電圧を印加し、かつ印加電圧を
可変とする電源(電圧印加手段)であり、この電源13
にはスイッチ14が直列に接続されている。このスイッ
チ14をオンにすることにより、一対の透明導電層1
7,18間に電圧を印加することができ、また、スイッ
チ14によって印加電圧を増減できるようになってい
る。
【0016】前記一対の透明基板27,28のうち、室
内側に配される透明基板27は、音波に対して柔軟な部
材で構成され、例えばPET(ポリエチレンテレフタレ
ート)フィルムが好適に用いられる。一方、室外側に配
される透明基板28は、窓として設置に耐える強度を有
する必要があるので、各種のガラス基板、アクリル基板
などからなる透明樹脂基板等で構成することが好まし
い。なお、透明基板27,28は全体が透明である必要
はなく、光を通過させる部分のみを透明とした構造とし
ても良い。従って、周縁部のみを不透明の金属枠、樹脂
枠などから構成し、その枠の内部に透明のガラス基板や
樹脂基板を嵌め込んだ構成にしても良い。また、その形
状は特に限定されるものではないが、通常、外観矩形板
状あるいは円形板状とされ、勿論、設置する場所に合わ
せて適宜の形状とすることができる。
【0017】本実施例の収納体20において、室内側の
透明基板であるPETフィルム27は、その周縁が固定
されているが、一対の透明基板27,28の対向方向
(矢印Xで示す上下方向)に振動できるように構成され
ている。これにより、音波(空気振動)11がPETフ
ィルム27に入射した場合には、PETフィルム27は
その内面に形成されている透明導電層17とともにX方
向に振動することができるようになっている。
【0018】以下、本発明の窓に用いられるEA流体に
ついて説明する。本発明におけるEA流体に用いられる
電気絶縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニル、
セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコー
ルエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス
油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン
系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁
性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつE
A粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの流体
またはこれらの混合物も使用可能である。この電気絶縁
性媒体1は、目的に応じて着色することができる。着色
する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であって
その電気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料また
は分散性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体
1には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸
化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0019】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、EA流体の貯蔵安
定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cStより
大きいと、EA粒子の均一分散が困難になるとともに、
調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにくくなり、
取り扱いに支障を来すので好ましくない。この観点か
ら、動粘度は10cStないし1000cStの範囲
内、特に10cStないし100cStの範囲内である
ことが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動粘度
は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧によっ
て抑制することができる。
【0020】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたEA流体は、貯蔵安
定性に優れたものとなる。
【0021】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0022】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0023】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0024】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0025】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0026】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0027】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0028】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0029】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0030】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0031】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0032】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層5として用いることも
できる。
【0033】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とを、ジェット気流によって搬送し、衝突させて製造
する方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒
子4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成
する。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体
中に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴
霧する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面
に付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0034】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0035】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)2を製造する場合には、モノマ
ーの疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合
わせることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯
体3の表面に付着させることができる。この芯体3と表
層5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物から
なる芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固
に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が
形成される。
【0036】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。しか
も球形状であれば、透過光量を調節する際に光を全方向
に散乱させることができるので、不定形のものよりも球
形状のものが有利になる。EA粒子2の粒径は特に限定
されるものではないが、0.1μmないし500μm、
特に5μmないし200μmの範囲内とすることが好ま
しい。この際の微粒子状のEA無機物である粒子4の粒
径は特に限定されるものではないが、好ましくは0.0
05μmないし100μm、さらに好ましくは0.01
μmないし10μmの範囲内とする。
【0037】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いEA流体を得るため
には、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物の芯体3
の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし60重量%
の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範囲内とす
ることが好ましい。この芯体3の割合が1重量%未満で
は、得られたEA粒子2のEA特性が不十分となり、6
0重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大となって
保存安定性を損なう惧れがある。
【0038】これらのEA粒子2の比重は、芯体3に比
較的比重の小さな有機高分子化合物を使用することか
ら、表層5を形成するEA無機物の粒子4の比重と比べ
て、相対的に小さくすることができる。用いる有機高分
子化合物とEA無機物の、種類と比率とによって、EA
粒子2の比重は自在に調整可能であるが、一般的に、用
いる電気絶縁性媒体1との関係から比重1.0〜2.0
程度に調整される。この場合、電気絶縁性媒体1との比
重差が大きいと、媒体中でEA粒子2が重力沈降し、均
一分散ができなくなることもある。
【0039】上記のEA粒子2の表層5または芯体3は
色素を含むものであってもよい。表層5に用いることの
できる色素は顔料である。この顔料は、芯体3上に、上
記の方法によりEA無機物の粒子4からなる表層5を形
成する際、この粒子4に混合して用いて、表層5に含ま
せることが好ましい。芯体3に色素を含ませる場合は、
一般に合成樹脂用として知られている染料または顔料の
いずれも使用可能である。この色素は、予め芯体3を形
成するモノマー中に混合した後にモノマーを重合する
か、または芯体3となる合成樹脂に練り込んで芯体3中
に含ませることができる。表層5または芯体3、または
その双方に色素を含むEA粒子2は、これを用いること
によって、得られたEA流体の電界無負荷時の散乱光を
任意の色に着色することができる。
【0040】また、本発明のEA流体は、上記のEA粒
子2を、必要なら分散剤、他の成分とともに電気絶縁性
媒体1中に均一に攪拌混合して製造することができる。
この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散させ
るために通常使用されるものがいずれも使用できる。本
発明において用いる電気絶縁性媒体1中におけるEA粒
子2の含有率は、特に限定されるものではないが、0.
5〜15重量 %であることが好ましい。その粒子濃度
が0.5重量%未満では充分なEA効果が得られず、1
5重量%以上では粒子濃度が濃すぎて大量のEA粒子2
がEA流体の全体に分散することになるので、後述の如
く電圧が印加されてEA粒子2・・・が配向制御されても
透明感が得られなくなるおそれがある。ただし、用途等
によって透明感が要求されない場合には、上記電気絶縁
性媒体1中におけるEA粒子2の含有率を、0.5〜7
5重量%、好ましくは5〜50重量%とすることができ
る。この含有率が75重量%以上となると、電圧を印加
しないときのEA流体の初期粘度が過大となって使用が
困難となる。
【0041】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA性粒子としてのEA効果が充
分に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は
粒子表面を研磨することによって容易に除去することが
できる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合
には、その表面を研磨することが好ましい。
【0042】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0043】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0044】本発明のEA流体は、上記のEA粒子2
を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁性媒体
1中に均一に攪拌混合し分散させて製造することができ
る。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散
させるために通常使用されるものがいずれも使用でき
る。
【0045】次に、図1に示した光および音制御窓32
を用いて光および音を制御する方法について説明する。
本発明の窓32は透過光量の制御および音波吸収制御を
行なうことができるものであり、まず透過光量の制御に
ついて述べる。例えば、この窓32が取り付けられてい
る部屋を使用しない時には、透明導電層17,18間に
電圧を印加させない状態とする。この状態で、EA流体
のEA粒子2は電気絶縁性媒体1中にランダムに浮遊・
不規則に分散している(図4参照)。この状態で窓32
に光が入射されると、光はEA粒子の存在により種々の
方向に散乱されるので、収納体20は不透明な曇ガラス
状に見える。例えば、EA無機物の粒子4として水酸化
チタン系のものを用いた場合は、白濁した色調となる。
また、EA粒子2の表層5と芯体3のいずれか、または
両方に色素が含有されている場合は、収納体20は、前
記色素によって着色されてみえる。ここで、EA粒子2
が球形状であれば、光の散乱が全方向になされるので、
特定の方向に光が収束されたりするおそれが少ない。
【0046】次に、透明導電層17,18に電圧を印加
すると、EA流体中のEA粒子2が鎖状に配列結合して
鎖状体(粒子鎖)6を形成し、この鎖状体6が電界方向
に平行して配列する(図5参照)。即ち、電気絶縁性媒
体1中に分散されたEA粒子2の割合は前述した如く1
0重量%前後以下の量であって全体としては少ないの
で、これらが配向して鎖状体6を構成すると、鎖状体6
どうしの間にはEA粒子2の直径よりもかなり広い間隔
があくことになる。これにより収納体20の厚さ方向に
入射された光は、ほとんど減衰することなく収納体20
を通過する。従って収納体20は透明状態となる。
【0047】このように、前記構成の窓32にあって
は、スイッチ14で電圧印加をオン・オフすることによ
り、窓32を不透明な状態から透明状態に切り替えるこ
とができる。したがって、部屋を使用しない時には、印
加電圧をオフにして窓32を曇ガラス状とすることによ
って、カーテンを用いなくても日除け、目隠し等の役目
を果たすことができる。また部屋を使用する時には、印
加電圧をオンにして窓32を透明ガラス状にすることに
よって、部屋の明かり取りなどを行なうことができる。
【0048】さらに、本発明の窓32の透過光量制御に
関しては、0.1〜5.0kV/mmの電圧で、高々数m
A/m2 という極めて少ない電流で作動できる。また、
収納体20の透明導電層17,18に電圧を印加すると
同時にEA粒子2を配列させることができるので、充分
な応答性が得られる。また、EA流体による透過光量制
御を行なうならば、特定の周波数の光を吸収することな
く全波長域で均一に透過光量の制御ができるので、光吸
収に起因する発熱などのおそれがなく、エネルギー的無
駄もない。
【0049】さらにまた、一度電圧が印加されてEA粒
子2・・・が配向されると、EA粒子2・・・は電圧を切って
もしばらくの間その状態を維持することができる。な
お、電圧を印加しない状態のEA粒子2の配向状態の維
持時間は、EA粒子2の種類と、EA粒子2を分散させ
ている電気絶縁性媒体1の動粘度に応じて適宜調節する
ことができる。即ち、電気絶縁性媒体1の動粘度を低く
すれば維持時間を短縮することができ、動粘度を高くす
れば維持時間を長くすることができる。
【0050】ところで、前記EA粒子2の粒径を前述し
た如く0.1μmないし500μmの範囲、好ましく
は、5μmないし200μmの範囲としたのは、本発明
のEA粒子2が、光散乱型粒子あるいは光反射型粒子と
しての機能を有することに起因している。周知の如く可
視光の波長は380〜780nm、即ち、0.38〜0.
78μmであるので、この程度の波長の光を散乱あるい
は反射させて前記の透過光制御を行うには、前記EA粒
子2の粒径を最低でも0.1μm以上、好ましくは5μ
m以上とすることが必要になる。これに対し、ブラウン
運動を起こすような可視光の波長よりも小さな粒径、例
えば、5nm〜数10nm(=0.005〜0.02μ
m)程度の誘電性の超微粒子を電気絶縁性媒体中に分散
させた場合、電界によりこの超微粒子を配向させ得るこ
とも考えられるが、その場合の光透過機構は前記の本発
明の例とは全く異なり、無電界時に超微粒子が分散して
光を完全に透過させ、電界印加時に超微粒子が配向して
光を散乱させて減衰することになり、全く異なった挙動
を示すことになるので好ましくない。
【0051】次に、前記のような超微粒子で誘電性を示
すものとしてTiBaO4の超微粒子を考えることがで
きるが、TiBaO4は、比重が4〜6の範囲の物質で
あり、重いので、仮にTiBaO4粒子を光反射型にす
る目的でその粒径を大きくしようとしても、電気絶縁性
媒体中で媒体との比重差により重力沈降するようにな
り、均一分散させることは到底できない。また、前記T
iBaO4粒子を電気絶縁性 媒体中に均一に分散させる
ためには、比重の大きな電気絶縁性媒体が要求される
が、比重4〜6程度の電気絶縁性媒体は存在しない。こ
れに対して本発明のEA粒子2は、前述のように芯体3
が有機高分子化合物からなり、表層5がEA無機物の粒
子4からなるものであるので、その比重を1.2前後に
容易に調整することができ、一般に知られる多種類の電
気絶縁性媒体1を利用することができる。
【0052】次に、着色性の面から見ると、前記超微粒
子に着色することは困難であり、また、仮に着色できた
としても、粒子径が小さすぎるので、電気絶縁性媒体に
分散させた超微粒子の色を知覚可能なように発色させる
ことはできない。従って前記超微粒子を用いた場合は、
電気絶縁性媒体の色のみを発現させることができ、着色
パターンは1つのみしか実現できない。例えば、赤色透
明と赤色不透明との間での変化のみが実現可能となる。
これに対して本発明によれば、電気絶縁性媒体1を赤色
透明、EA粒子2を白色とした場合に、白濁不透明〜赤
色透明の変色を実現でき、電気絶縁性媒体1を無色透
明、EA粒子2を青色とした場合に、青色不透明〜無色
透明の変色を実現でき、電気絶縁性媒体1を赤色、EA
粒子2を青色とした場合に、紫不透明〜赤色透明の変色
を実現でき、電気絶縁性媒体1を薄青色、EA粒子2を
黄色にした場合に黄緑色不透明〜薄青色透明を実現でき
る。また、着色する部分を見ても、EA粒子2の芯体3
と表層5と電気絶縁性媒体1のいずれにも着色すること
ができ、着色バリエーションを容易に付けることができ
る。なお、EA粒子2の芯体3の表面はEA無機物の粒
子4で覆われているが、この粒子4どうしの隙間から色
が漏れるので、芯体3に着色した場合の色もEA流体の
色に有効に反映される。
【0053】また、EA粒子2の表層5に対して着色す
るには、EA粒子2を製造する場合に用いるEA無機物
の粒子4の中に必要数量の着色無機顔料を混ぜて均一に
混合し、これを用いて前述した方法でEA粒子2を製造
すれば良い。このようにして製造したEA粒子2は、例
えば、図11に示すように、芯体3の周囲に付着されて
いるEA無機物の粒子4の中の一部が着色無機顔料44
で置換された構造を有するようになる。これによって、
EA粒子2に着色することができる。
【0054】次に、図1に示した光および音制御窓32
を用いて音波吸収制御を行なう方法について述べる。上
述したように、窓32を構成する収納体20の透明導電
層17,18に電圧を印加すると、EA流体中のEA粒
子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)6を形成
し、この鎖状体6が電界方向に平行して配列する(図5
参照)。 このように電圧を印加した状態で、室内側の
透明基板(PETフィルム)27に音波(空気振動)1
1を入射させると、図6の(a),(b),(c)およ
び(d)の状態が順次起こって、この透明基板27がそ
の内面の透明導電層17とともに矢印X(図1および図
2参照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体6
自体が弾性の性質を持っているため、図6の(b)に示
すように、鎖状体6は、圧縮される場合には、例えば
「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図6の(d)に示
すように、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向かい
合うEA粒子2同士が引き合って引力を生じる。これに
より、EA流体中での鎖状体6の運動により、粘性抵抗
が生じ、音波11の持つエネルギーの損失(散逸)が起
こる。
【0055】そして、透明基板27の振動にともなっ
て、鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであ
り、この結果、鎖状体6自身も振動することになる。す
なわち、透明基板27に入射した音波11に、鎖状体6
を含むEA流体と、透明基板27および透明導電層17
からなる積層体とが共振するのである。このような鎖状
体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6の持つ特性
振動数によって定まり、その特性振動数と一致した周波
数の音波11が透明基板27に入射すると、鎖状体6は
共振して(図2中矢印A,B参照)その音波を吸収し、
他の周波数の音波12は反射されることになる。
【0056】ここで、各EA粒子2間に働く力(鎖状体
6に生じる応力)は一対の透明導電層17,18に印加
される電圧の増加に伴って増大することから、鎖状体6
自体の弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大す
ることになる。本発明は、このことを利用して音波の所
望の成分を除去するものである。すなわち、印加電圧を
調整して、粒子鎖6自体の特性振動数を、透明基板27
に入射した音波(空気振動)のうち除去したい成分(特
定波長の音波)の振動数に一致させることにより、図2
に示すように、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印
A,Bで示すように共振(共鳴)させ、入射音波11の
除去したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成
分(符号12で示す)を反射させるものである。このよ
うに、印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成
分を吸収できる。
【0057】本発明の光および音制御窓32の特性周波
数は、EA粒子(固体粒子)2の大きさ、EA粒子2間
に働く弾性力、また透明基板27の固有振動数および透
明基板27,28間の距離等により変化する。本発明で
は、電気絶縁性媒体1中に粒径がほぼ均一な球形状のE
A粒子2が分散されたものであるので(不定形粒子を用
いない)、一定電圧下では上述した反発力や引力が変動
せず、しかも、EA粒子2間に働く弾性力と透明基板2
7の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。上記実施
例においては、鎖状体6は「く」の字状に撓むものとさ
れているが、この他に、例えば図9の(a)に示すよう
なS字型、あるいは図9の(b)に示すようなW字型に
撓む場合もあると考えられる。
【0058】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図10の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図10の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。従って、EA粒子2の含有量が多い場合は、
多数のカラム19が透明導電層17,18の間に形成さ
れることになり、このカラム19の生成により透過光量
を増大させる機構が作用する。この場合、多量のEA粒
子2が複数のカラム19にまとまるので、隣接するカラ
ム19どうしの間隔は大きくあくことになり、透過光量
の増大機能は顕著になる。
【0059】以下、実施例を示し、本発明の効果を明ら
かにする。 (実施例)ガラス28の一面にITO(インジウム錫酸
化物)膜からなる透明導電層18を被覆して、厚さ1.
0mmのITOガラスを製造した。一方、PETフィル
ム27とITO膜からなる透明導電層17とを積層し
た。これらを、各々の透明導電層17,18どうしを向
き合わせた状態で2mmの間隔で平行に対向させ、周縁
部を樹脂製のシール部材15でシールした。予めシール
部材15の一部に注入孔を形成しておき、ここから液状
のEA流体を注入した後に、注入孔を塞いで収納体20
を作製した。この収納体20の周縁にアルミサッシ34
を取り付けて図1に示す窓32を構成した。
【0060】ここで、用いたEA流体の製造工程を以下
に説明する。まず、水酸化チタン(一般名;含水酸化チ
タン、石原産業株式会社製、C−II)、アクリル酸ブ
チル、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート及
び重合開始剤の混合物を、第三リン酸カルシウムを分散
安定化剤として含有する水中に分散し、60℃で1時間
攪拌下に懸濁重合を行った。得られた生成物を濾過、酸
洗浄し、さらに水洗後、乾燥してEA粒子2を得た。上
記で得られたEA粒子2をジェット気流攪拌機(株式会
社奈良機械製作所製ハイブリダイザー)を用いてジェッ
ト気流攪拌し、表面研磨してなるEA粒子2を得た。こ
のものの比重は1.157、平均粒径は13.7μmで
あった。前記EA粒子2を、種々の動粘度のシリコーン
油(東芝シリコーン株式会社製、TSF451シリー
ズ)中に、その含有率が種々の重量%となるように均一
に分散し、シリコーン油の動粘度が一定で種々の粒子濃
度のEA流体と、粒子濃度が一定で種々の動粘度のシリ
コーン油を電気絶縁性媒体1としたEA流体を得た。
【0061】前記種々のEA流体を用いて、電圧を印加
した際の透過光の変化を調べる実験を行った。その結果
を図12〜図16に示す。実験は、収納体20に入射し
た光の強度と収納体20を通過した光の強度をそれぞれ
光センサで検出し、それぞれを比較した結果を増加光と
してdBm表示することで行った。この場合、3.2d
Bmの増加が生じると光パワーで2.09倍の増加を意
味し、4.2dBmの増加が生じると光パワーで2.63
倍の増加を意味する。
【0062】図12はシリコーン油(ベースオイル)の
動粘度が10cStの場合において、EA粒子濃度と印
加電界をパラメータにとった際の増加光を測定した結果
を示す。同様に、図13はシリコーン油の動粘度が50
cStの場合の同様な試験結果、図14はシリコーン油
の動粘度が100cStの場合の同様な試験結果を示
す。図12〜図14に示す結果から、0.5〜15重量
%のEA粒子濃度において電圧の印加に対して増加光が
得られた。また0.25〜1.5kV/mmの範囲で印
加電界が大きくなるにつれて増加光のdBm値が増加し
ている。従って本発明を実施することで透過光量の制御
を行うことができることが実証できた。次に、EA粒子
濃度が1.0重量%では印加電界を3kV/mmとして
も増加光の割合は少ない。よって、EA粒子濃度を2.
5重量%以上とすることが好ましいこと が判明した。
【0063】次に図15と図16は、EA粒子濃度を
5.0重量%に固定した場合において、シリコーン油の
動粘度と印加電界をパラメータにとって増加光を測定し
た試験の結果と、同様な試験でEA粒子濃度を7.5重
量%とした場合の試験結果を示し ている。図15と図
16に示す結果から、いずれの動粘度のシリコーン油に
おいても電圧の印加に応じて増加光が得られ、0. 5〜
3kV/mmの範囲で印加電界が大きくなるにつれて増
加光のdBm値が増加していることが判明した。従って
本発明を実施することで透過光量の制御を行えることが
実証できるとともに、印加電界は0.25〜1.5kV/
mmの範囲内で大きい方がより大きな増加光が得られる
ことが判明した。
【0064】次に表1と表2は、動粘度50cStのシ
リコーン油(ベースオイル)を用い、EA粒子2の濃度
を5.0重量%とした場合に得られた増加光に ついて、
透過光の波長毎に調査した結果を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】表1と表2に示す結果から、1.5kV/
mmの電界を印加した時には無電界時に比べて平均4.
2dBm程度の増加光が得られ、しかも400〜110
0nmの広い波長域においてほぼ均一な増加光が得られ
ることが認められた。よって、本発明により、広範な光
波長域についても同様に透過光量の制御が行なえること
が明らかになった。なお、通常、可視光の波長域は48
0〜780nmとされているので、可視光の波長のほぼ
全域と、それよりも波長の長い赤外線領域において、本
発明の窓は透過光量の制御を行なえることが認められ
た。
【0068】図17は、動粘度10cStのシリコーン
油に7重量%のEA粒子2を分散させたEA流体を用い
た場合において、透明導電層17,18への通電時間と
透過光量の変化割合の関係を示すものである。透過光量
の測定は、EA流体を満たした収納体20の上方の光源
から光を投入し、収納体20の下方に光センサを設置
し、この光センサが受けた光を波長毎に分析したもので
ある。この図から明らかなように、通電開始から約1秒
後に透過光量が増大し始め、3〜4秒で透過光量が最大
になって安定することが明らかである。
【0069】図18は、動粘度10cStのシリコーン
油に対し、青色に着色したEA粒子2を4重量%添加し
たEA流体を用いて透過光量測定を行った場合の透過光
量の周波数依存性を示す。EA粒子2の着色は、EA粒
子2を製造する際にその表層5を構成するEA無機物の
粒子4の20重量%を青色の顔料に置換することで行っ
た。この図において、E=0kVで示される曲線は、無
電界時の透過光量を示し、E=2kVで示される曲線
は、2kVの電位を電極に印加した際の透過光量を示
す。図18に示された両曲線の比較により明らかなよう
に、無電界時に波長の短い青色系の光を多く透過させた
青色系のEA流体が、電界付加時に広い波長域で広く光
を透過させるように変化しており、青色から無色透明に
変化したことが認められる。
【0070】図19は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコーン油の電気絶縁性媒体1を用い、
この電気絶縁性媒体1のみ(EA粒子2を含まないも
の)の過光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存
性を説明するためのものである。なお、この電気絶縁性
媒体1は肉眼では薄い青色に見える媒体である。図19
において、光源スペクトルと媒体スペクトルを比較して
明らかなように、短波長の青色を示すスペクトル以外の
部分で光の吸収がなされていることが明らかであり、こ
のことから電気絶縁性媒体1は青色を多く透過している
ので、電気絶縁性媒体1が青色になっていることが明ら
かである。
【0071】図20は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコーン油を電気絶縁性媒体1に用い、
それに対して黄色に着色したEA粒子2を5重量%分散
させてEA流体を形成し、これを用いて透過光量測定を
行った場合の透過光量の周波数依存性を説明するための
ものである。EA粒子2を着色する際に用いた手段は前
記の例と同等であり、今回は黄色の顔料を用いた。図2
0は光源スペクトルとE=0kV/mmの場合の透過光
スペクトルとE=1kV/mmの場合の透過光スペクト
ルをそれぞれ示す。この図から、無電界時に青色と黄色
の混合色の黄緑色不透明であったものが、電界印加時に
無色透明に近い青色透明状態に変化したことがわかる。
以上のことから、本発明によれば、種々のバリエーショ
ンの色をEA流体に付けることができ、その色をそれと
は異なった色の透明状態または同じ色の透明状態あるい
は無色透明状態に変更できることが明らかになった。
【0072】図21は本発明の第2の実施例として、光
および音制御窓を用いて、レコーディングルームと隣室
のミキシングルームとの仕切窓40を構成した例を示し
たものである。本実施例では、上記第1の実施例と同様
の収納体20の周縁に框34が取り付けられ、PETフ
ィルム27がレコーディングルーム側となるように、壁
の窓部分に埋め込まれている。またレコーディングルー
ムの仕切窓40以外の壁、床、天井部分は適宜の吸音材
で構成されている。本実施例において、例えばEA流体
の電気絶縁性媒体1を赤色透明、EA粒子を白色とする
と、レコーディングルームを使用しないときは、電源を
オフにすることによってこの仕切窓40は白濁不透明の
曇ガラス状となる。そしてレコーディングルームを使用
する際に電源をオンにして透明導電層17,18間に電
圧を印加すると、仕切窓40は赤色の透明ガラス状にな
って隣のミキシングルームからレコーディングルーム内
が見えるようになるとともに、仕切窓の色の変化によっ
てレコーディング中であることが一見して分かる。それ
と同時にレコーディングルーム内においては、この仕切
窓40における吸音効果が得られるようになり、音響的
に好ましい環境が得られる。また電圧調整用つまみ41
を設けて印加電圧を調整できるようにしておくと、制御
波長域を使用者の好みによって適宜設定することができ
る。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、収
納体に収納したEA流体に電圧を印加することでEA粒
子を配向させることができ、これにより収納体の透明部
分を透過する光の量を制御できるとともに、この収納体
に入射する音波を吸収制御することができる。すなわち
本発明の光および音制御窓は、間隙をおいて互いに対向
して配置された2面の基板の少なくとも相対向する一部
を透明とした中空の収納体の内部に、EA粒子を電気絶
縁性媒体中に含有してなるEA流体が収納され、基板の
内面に一対の透明導電層が形成され、この一対の透明導
電層間に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変とする電圧
印加手段を備え、収納体の周縁が框により囲まれてなる
ものであるので、一対の透明導電層間に通電することに
よって、窓を不透明状態から透明状態へ変化させること
ができる。それとともに、透明導電層間に通電した状態
で、収納体の基板に入射された音波にEA粒子の鎖状体
および基板が共振して、その音波を吸収することができ
る。さらに音波の吸収したい成分の振動数に合わせて、
EA流体の特性振動数を設定するために印加電圧値を調
整することにより、EA流体を変更することなく、種々
の振動数の音波を吸収でき、容易に音波吸収制御を行な
うことができる。
【0074】したがって本発明の光および音制御窓は、
不使用時には通電を行わずに曇ガラス状としておき、使
用時に通電することによって、曇ガラス状から透明ガラ
ス状に変化させるとともに、窓自体を音波吸収制御体と
して用いることができるものである。また、印加電圧を
変えることによってEA流体の特性振動数を所望の値に
設定することができるので、用途に合わせて制御周波数
を設定し、個々の窓において固有の音波吸収制御ができ
るようにすることが可能である。さらに、印加電圧を調
整できる電圧調整用つまみを設ければ、使用者の好みに
応じて、制御波長域を適宜設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光および音制御窓の第1の実施例を
示すもので(a)は縦断面図、(b)は要部拡大断面図
である。
【図2】 本発明の光および音制御窓において、音波が
入射されて鎖状体や一方の基板が共振している状態を示
す断面図である。
【図3】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の一実施例を示す断面図である。
【図4】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明の音波吸収制御装置に、音波が入射さ
れて一方の基板が振動している状態を示す断面図であ
る。
【図7】 電界配列性粒子分散系について電界配列特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図8】 振動系の等価回路を示す図である。
【図9】 本発明の音波吸収制御装置において、鎖状体
の撓み状態の別な例を示す図である。
【図10】 本発明の音波吸収制御装置において、鎖状
体が複数列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図11】 本発明に係わる、表層に着色が施された電
界配列性粒子の例を示す断面図である。
【図12】 本発明において、10cStの動粘度の電
気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印加
電界をパラメーターにとって示した図である。
【図13】 本発明において、50cStの動粘度の電
気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印加
電界をパラメーターにとって示した図である。
【図14】 本発明において、100cStの動粘度の
電気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印
加電界をパラメーターにとって示した図である。
【図15】 本発明において、粒子濃度5.0重量%の
無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印加電界
と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとって示し
た図である。
【図16】 本発明において、粒子濃度7.5重量%の
無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印加電界
と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとって示し
た図である。
【図17】 本発明において、動粘度10cStのシリ
コーン油に7重量%の無機・有機複合粒子を分散させた
電気感応型光機能性流体組成物を用いた場合の、電極へ
の通電時間と透過光量の変化割合の関係を示した図であ
る。
【図18】 本発明において、動粘度10cStのシリ
コーン油に対し、青色に着色した無機・有機複合粒子を
4重量%添加した電気感応型光機能性流体組成物を用い
て透過光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存性
を示した図である。
【図19】 本発明において、青色の染料を0.1重量
%添加したジメチルシリコーン油の電気絶縁性媒体を用
い、この電気絶縁性媒体のみの過光量測定を行った場合
の透過光量の周波数依存性を示した図である。
【図20】 本発明において、光源スペクトルとE=0
kV/mmの場合の透過光スペクトルとE=1kV/m
mの場合の透過光スペクトルとを示した図である。
【図21】 本発明の光および音制御窓の第2の実施例
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、3…芯体(有機高分
子化合物)、4…粒子(電界配列性無機物の粒子)、5
…表層、6…鎖状体(粒子鎖)、11…入射音波、12
…反射音波、13…電源(電圧印加手段)、14…スイ
ッチ、15…シール部材、17,18…透明導電層、2
0…収納体、27…透明基板(PETフィルム)、28
…透明基板、32…窓、34…框(アルミサッシ)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隙をおいて互いに対向して配置された
    2面の基板の少なくとも相対向する一部を透明とした中
    空の収納体の内部に、電界配列効果を有する固体粒子を
    電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型光機能性流
    体組成物が収納され、 前記基板の内面に一対の透明導電層が形成され、 前記一対の透明導電層間に電圧を印加し、かつ印加電圧
    を可変とする電圧印加手段を備え、 前記収納体の周縁が、框により囲まれてなることを特徴
    とする光および音制御窓。
  2. 【請求項2】 前記固体粒子が、有機高分子化合物から
    なる芯体と、電界配列効果を有する無機物を含む表層と
    によって形成された無機・有機複合粒子であることを特
    徴とする請求項1記載の光および音制御窓。
  3. 【請求項3】 前記表層、芯体、電気絶縁性媒体の少な
    くとも一つに、色素が含まれていることを特徴とする請
    求項2記載の光および音制御窓。
  4. 【請求項4】 対向する2面の少なくとも相対向する一
    部を透明とした中空の収納体の内部に、電界配列効果を
    有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気
    感応型光機能性流体組成物を収納し、該流体組成物に電
    圧を印加して、前記固体粒子を配列制御して粒子鎖を形
    成することによって、前記収納体の透明部分における光
    の透過状態を変化させるとともに、前記印加電圧を調整
    して上記収納体における音波吸収制御を行なうことを特
    徴とする光および音制御方法。
  5. 【請求項5】 前記固体粒子の粒子鎖の特性振動数が前
    記収納体の一面に入射する音波の吸音すべき成分の振動
    数に一致するように、前記印加電圧を調整することを特
    徴とする請求項4記載の光および音制御方法。
JP6275413A 1994-11-09 1994-11-09 光および音制御窓ならびに光および音制御方法 Pending JPH08135344A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6275413A JPH08135344A (ja) 1994-11-09 1994-11-09 光および音制御窓ならびに光および音制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6275413A JPH08135344A (ja) 1994-11-09 1994-11-09 光および音制御窓ならびに光および音制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08135344A true JPH08135344A (ja) 1996-05-28

Family

ID=17555162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6275413A Pending JPH08135344A (ja) 1994-11-09 1994-11-09 光および音制御窓ならびに光および音制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08135344A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011164581A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Jiaotong Univ カラー表示装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011164581A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Jiaotong Univ カラー表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08189103A (ja) 可変吸音壁
JPH08135344A (ja) 光および音制御窓ならびに光および音制御方法
JPH08158757A (ja) 防音ガラス窓
JPH08130128A (ja) 変圧器
JPH08158756A (ja) ブラインド装置
JPH08158758A (ja) 遮音ドア
JPH08189011A (ja) 鉄道軌道あるいは道路の防音壁
JPH08189012A (ja) 防音壁
JPH08115087A (ja) 音波吸収制御装置および音波吸収制御方法
JPH08160968A (ja) 反響調整装置
JPH08129391A (ja) 吸音装置
JPH08154288A (ja) マイクロフォン
JPH08211422A (ja)
JPH08142776A (ja) 車両の防音構造
JPH08137416A (ja) カラー表示装置およびカラー表示方法
JPH08101233A (ja) 電界センサ
JPH08109363A (ja) 電気感応型音波吸収制御用流体組成物
JPH08123442A (ja) 吸音装置
JPH08140178A (ja) ホーン型スピーカ
JPH08129389A (ja) 室内音響の調整構造
JPH08117048A (ja) 音楽鑑賞用椅子
JPH08122831A (ja) 車両用日除け装置
JPH08160967A (ja) 可動式吸音壁
JPH08190387A (ja) タイミングベルトの防音装置
JPH08145424A (ja) 換気扇及び換気口用防音カバー