JPH08129777A - 光学的情報記録媒体 - Google Patents
光学的情報記録媒体Info
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- JPH08129777A JPH08129777A JP6269569A JP26956994A JPH08129777A JP H08129777 A JPH08129777 A JP H08129777A JP 6269569 A JP6269569 A JP 6269569A JP 26956994 A JP26956994 A JP 26956994A JP H08129777 A JPH08129777 A JP H08129777A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 信号振幅、消去率、繰り返し特性が良好な相
変化光学的情報記録媒体を提供する。 【構成】 基板上に、第1の誘電体層、記録層、第2の
誘電体層、反射層を順に積層し、第2の誘電体層の厚さ
を3nm以上45nm以下、入射レーザー光線に対する
記録層での吸収率を結晶状態でAc、アモルファス状態
でAaとすると、Ac−Aa≧0で、入射レーザー光線
に対する反射率を結晶状態でRc、アモルファス状態で
Raとすると、Rc−Ra≧10%となる膜厚とする。 【効果】 Ac−Aa≧0であるため高い消去率が得ら
れ、Rc−Ra≧10%のために大きな信号振幅が得ら
れ、記録層と反射層の距離が近いため記録層の熱が反射
層へ拡散しやすく記録層の熱的ダメージが小さい。
変化光学的情報記録媒体を提供する。 【構成】 基板上に、第1の誘電体層、記録層、第2の
誘電体層、反射層を順に積層し、第2の誘電体層の厚さ
を3nm以上45nm以下、入射レーザー光線に対する
記録層での吸収率を結晶状態でAc、アモルファス状態
でAaとすると、Ac−Aa≧0で、入射レーザー光線
に対する反射率を結晶状態でRc、アモルファス状態で
Raとすると、Rc−Ra≧10%となる膜厚とする。 【効果】 Ac−Aa≧0であるため高い消去率が得ら
れ、Rc−Ra≧10%のために大きな信号振幅が得ら
れ、記録層と反射層の距離が近いため記録層の熱が反射
層へ拡散しやすく記録層の熱的ダメージが小さい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に形成した記録
薄膜層にレ−ザ−光線等の高エネルギービームを照射
し、記録材料薄膜に変化を生じさせることにより情報信
号を記録、再生する光学的情報記録媒体に関するもので
あり、特にオーバーライト記録に有効な相変化記録媒体
の構成に関するものである。
薄膜層にレ−ザ−光線等の高エネルギービームを照射
し、記録材料薄膜に変化を生じさせることにより情報信
号を記録、再生する光学的情報記録媒体に関するもので
あり、特にオーバーライト記録に有効な相変化記録媒体
の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディスク状、カード状等をした基板上に
金属薄膜や有機物薄膜で構成される記録薄膜層を形成
し、これにサブミクロンオーダー径の微小光スポットに
絞り込んだ高エネルギービームを照射することで記録層
に局部的な変化を生じさせ、情報信号の蓄積を行なう技
術は既に広く知られている。
金属薄膜や有機物薄膜で構成される記録薄膜層を形成
し、これにサブミクロンオーダー径の微小光スポットに
絞り込んだ高エネルギービームを照射することで記録層
に局部的な変化を生じさせ、情報信号の蓄積を行なう技
術は既に広く知られている。
【0003】とりわけ相変化材料薄膜を記録層に用いた
媒体では、オーバーライトによる書換えが容易に行える
ことから、さかんに研究開発がなされてきている。
媒体では、オーバーライトによる書換えが容易に行える
ことから、さかんに研究開発がなされてきている。
【0004】相変化媒体の一般的な構成は、樹脂板やガ
ラス板等の透明基板上に、誘電体層、記録層、誘電体
層、金属反射層を順次スパッタリングや真空蒸着等の方
法で積層し、接着層を介して保護材(板)を設置した構
成である。レーザー光線は、一般的に基板側から入射さ
せる。
ラス板等の透明基板上に、誘電体層、記録層、誘電体
層、金属反射層を順次スパッタリングや真空蒸着等の方
法で積層し、接着層を介して保護材(板)を設置した構
成である。レーザー光線は、一般的に基板側から入射さ
せる。
【0005】従来の構成では、反射層厚は一般的には5
0nmより厚い。これは充分な反射率をえると同時に、
反射層に熱拡散層の役目をもたせてるためである。しか
しながらこのような従来の構造では、線速度(ディスク
上でのレーザースポットの速度)の速い場合には、オー
バーライト時の消去率が低下する場合があった。その原
因は、記録層の結晶状態とアモルファス状態の昇温の違
いにある。
0nmより厚い。これは充分な反射率をえると同時に、
反射層に熱拡散層の役目をもたせてるためである。しか
しながらこのような従来の構造では、線速度(ディスク
上でのレーザースポットの速度)の速い場合には、オー
バーライト時の消去率が低下する場合があった。その原
因は、記録層の結晶状態とアモルファス状態の昇温の違
いにある。
【0006】相変化光ディスクでは、信号の記録はレー
ザー照射によって記録膜を溶融後急冷してアモルファス
の記録マークを形成することで行なわれる。結晶状態
は、アモルファス状態より反射率が高く、従ってレーザ
ー光の吸収率は小さい。
ザー照射によって記録膜を溶融後急冷してアモルファス
の記録マークを形成することで行なわれる。結晶状態
は、アモルファス状態より反射率が高く、従ってレーザ
ー光の吸収率は小さい。
【0007】加えて結晶は、溶融するとき融解熱を吸収
するため融解熱を必要としないアモルファスより溶融す
るためには、高いエネルギーを必要とする。
するため融解熱を必要としないアモルファスより溶融す
るためには、高いエネルギーを必要とする。
【0008】結果として結晶状態は、アモルファス状態
より記録時の到達温度が低くなる。すなわち、オーバー
ライトする場合には、古い信号のアモルファスの記録マ
ークが点在するトラック上に信号を記録するため、新し
く記録されたマークはその到達温度が場所によって異な
り、古い信号によって新しいマークの形状が歪む。これ
が消し残りの一因であった。
より記録時の到達温度が低くなる。すなわち、オーバー
ライトする場合には、古い信号のアモルファスの記録マ
ークが点在するトラック上に信号を記録するため、新し
く記録されたマークはその到達温度が場所によって異な
り、古い信号によって新しいマークの形状が歪む。これ
が消し残りの一因であった。
【0009】これを解消するには、結晶領域の光吸収率
をアモルファス領域のそれより大きくして、両者の到達
温度を等しくすればよい。これを実現するためには、例
えばAu反射層の膜厚を20nm程度の薄いものとする
ことが1つの解であることが開示されている(例えば、
山田他:「アモルファス−結晶領域間の昇温条件をバラ
ンスさせた高速オーバライト光ディスク」光メモリシン
ポジウム’92、論文集P21)。
をアモルファス領域のそれより大きくして、両者の到達
温度を等しくすればよい。これを実現するためには、例
えばAu反射層の膜厚を20nm程度の薄いものとする
ことが1つの解であることが開示されている(例えば、
山田他:「アモルファス−結晶領域間の昇温条件をバラ
ンスさせた高速オーバライト光ディスク」光メモリシン
ポジウム’92、論文集P21)。
【0010】さらには、基板と誘電体層の間にさらに金
属薄膜層を設けた5層構造が提案されている(森下他:
「PWM記録における消去率の改善」1993年第5回
相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、P92)。
属薄膜層を設けた5層構造が提案されている(森下他:
「PWM記録における消去率の改善」1993年第5回
相変化記録研究会シンポジウム講演予稿集、P92)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記Au反射層を薄く
した構造は、信号の繰り返し記録によって信号品質の低
下が大きい場合があることが分かった。これは反射層厚
が薄く、かつ記録層と反射層の間の誘電体層が厚いため
に、記録時に与えられた記録層の熱が反射層へ拡散しに
くいため、記録層が長時間高温に保たれ熱的ダメージを
受けるためと考えられる。
した構造は、信号の繰り返し記録によって信号品質の低
下が大きい場合があることが分かった。これは反射層厚
が薄く、かつ記録層と反射層の間の誘電体層が厚いため
に、記録時に与えられた記録層の熱が反射層へ拡散しに
くいため、記録層が長時間高温に保たれ熱的ダメージを
受けるためと考えられる。
【0012】これに対して、上記基板と誘電体層の間に
さらに金属薄膜層を設けた5層構造は、記録層と反射層
の間の誘電体層を薄くできるため、記録層の熱的ダメー
ジは低減できるが、反射率が結晶状態よりアモルファス
状態の方が高くなるという特徴を持つ。
さらに金属薄膜層を設けた5層構造は、記録層と反射層
の間の誘電体層を薄くできるため、記録層の熱的ダメー
ジは低減できるが、反射率が結晶状態よりアモルファス
状態の方が高くなるという特徴を持つ。
【0013】すなわち、信号の消去状態(あるいは未記
録状態)は結晶であり、結晶状態の反射率が低いという
ことは、記録再生装置のフォーカシング、トラッキング
等の制御が難しくなる。
録状態)は結晶であり、結晶状態の反射率が低いという
ことは、記録再生装置のフォーカシング、トラッキング
等の制御が難しくなる。
【0014】そこで本発明は、かかる従来の課題に鑑み
てなされてものであり、大きな信号振幅、高い消去率を
有し、良好な繰り返し特性を同時に満たす光学的情報記
録媒体を提供することを目的とする。
てなされてものであり、大きな信号振幅、高い消去率を
有し、良好な繰り返し特性を同時に満たす光学的情報記
録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の光学的情報記録
媒体は上記課題を解決するために、基板上に、第1の誘
電体層、レーザ−光線の照射によって結晶状態とアモル
ファス状態との間で光学的に検出可能な可逆的状態変化
を生じる材料からなる記録層、第2の誘電体層、反射層
を順に積層し、かつ、前記第2の誘電体層の厚さを3n
m以上45nm以下とし、さらに前記入射レーザー光線
に対する記録層での吸収率を結晶状態でAc、アモルフ
ァス状態でAaとするとき、Ac−Aa≧0とし、か
つ、前記入射レーザー光線に対する反射率を結晶状態で
Rc、アモルファス状態でRaとするとき、Rc−Ra
≧10%となるように各層の膜厚が選ばれたものであ
る。
媒体は上記課題を解決するために、基板上に、第1の誘
電体層、レーザ−光線の照射によって結晶状態とアモル
ファス状態との間で光学的に検出可能な可逆的状態変化
を生じる材料からなる記録層、第2の誘電体層、反射層
を順に積層し、かつ、前記第2の誘電体層の厚さを3n
m以上45nm以下とし、さらに前記入射レーザー光線
に対する記録層での吸収率を結晶状態でAc、アモルフ
ァス状態でAaとするとき、Ac−Aa≧0とし、か
つ、前記入射レーザー光線に対する反射率を結晶状態で
Rc、アモルファス状態でRaとするとき、Rc−Ra
≧10%となるように各層の膜厚が選ばれたものであ
る。
【0016】さらには、反射層の上に、レーザ光線に対
して、略透明な無機薄膜層を積層する。
して、略透明な無機薄膜層を積層する。
【0017】
【作用】Ac−Aa≧0であるため高い消去率が得ら
れ、かつRc−Ra≧10%のため、大きな信号振幅が
得られる。
れ、かつRc−Ra≧10%のため、大きな信号振幅が
得られる。
【0018】さらに、記録層と反射層の距離が近いた
め、記録層の熱が反射層へ拡散しやすく、記録層の熱的
ダメージが小さい。
め、記録層の熱が反射層へ拡散しやすく、記録層の熱的
ダメージが小さい。
【0019】すなわち、高い消去率、大きな信号振幅と
良好な繰り返し特性の三者を同時に満たすことができ
る。
良好な繰り返し特性の三者を同時に満たすことができ
る。
【0020】また、反射層の上に、さらにレーザ光線に
対して略透明な無機薄膜層を積層することで、反射層か
らの熱の拡散が促進され、またその上にさらに有機の保
護材がある場合には、その保護材の熱的ダメージを防ぐ
ことができる。
対して略透明な無機薄膜層を積層することで、反射層か
らの熱の拡散が促進され、またその上にさらに有機の保
護材がある場合には、その保護材の熱的ダメージを防ぐ
ことができる。
【0021】
【実施例】以下図面を参照しながら本願発明を詳細に説
明する。
明する。
【0022】図1は、本願発明による光学情報記録媒体
の代表的な構成の断面図である。1は基板であり、一般
的にはその表面に信号記録用トラックが設けてある。
の代表的な構成の断面図である。1は基板であり、一般
的にはその表面に信号記録用トラックが設けてある。
【0023】基板の材質としては、一般的に透明なガラ
ス、石英、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト等が用いられ、レーザー光線は基板の信号トラック面
とは反対側から投入される。
ス、石英、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト等が用いられ、レーザー光線は基板の信号トラック面
とは反対側から投入される。
【0024】基板上には、第1の誘電体層2、記録層
3、第2の誘電体層4、反射層5の順に積層されてい
る。一般的には、薄膜層を保護するために保護材6が設
けられるが、保護材は無くてもよい。
3、第2の誘電体層4、反射層5の順に積層されてい
る。一般的には、薄膜層を保護するために保護材6が設
けられるが、保護材は無くてもよい。
【0025】記録層3は、レーザー光線等の照射によっ
て光学的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する材料
からなり、例えば相変化物質として一般的に知られてい
るものが使用できる。
て光学的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する材料
からなり、例えば相変化物質として一般的に知られてい
るものが使用できる。
【0026】相変化物質は、アモルファスと結晶間、あ
るいは結晶とさらに異なる結晶間で状態変化を起こす例
えばTe,Se,Sb,In,Ge等の合金であり、これらの合金はア
モルファス状態と結晶状態では光学定数が変化し反射率
が異なるため、例えばレーザー光線等の照射により、そ
の状態が光学的に識別できる。具体的には、例えばGeSb
Te,InSbTe,InSbTeAg,GaSb,InGaSb,GeSnTe,AgSbTe等の合
金である。この中でもGeSbTe合金は、結晶化速度が速い
ため、高転送レートに対応可能であり、また繰り返し特
性にも優れている。
るいは結晶とさらに異なる結晶間で状態変化を起こす例
えばTe,Se,Sb,In,Ge等の合金であり、これらの合金はア
モルファス状態と結晶状態では光学定数が変化し反射率
が異なるため、例えばレーザー光線等の照射により、そ
の状態が光学的に識別できる。具体的には、例えばGeSb
Te,InSbTe,InSbTeAg,GaSb,InGaSb,GeSnTe,AgSbTe等の合
金である。この中でもGeSbTe合金は、結晶化速度が速い
ため、高転送レートに対応可能であり、また繰り返し特
性にも優れている。
【0027】第1の誘電体層2および第2の誘電体層4
は、透明でかつ熱的に安定な物質がよく、例えば金属や
半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化物、
炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的にはSi
O2,SiO,Al2O3,GeO2,In2O3,Ta2O 5,TeO2,TiO2,MoO3,WO3,Z
rO2,Si3N4,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,AgF,Pb
F2,MnF2,NiF2,SiC等のの単体あるいはこれらの混合物等
である。
は、透明でかつ熱的に安定な物質がよく、例えば金属や
半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化物、
炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的にはSi
O2,SiO,Al2O3,GeO2,In2O3,Ta2O 5,TeO2,TiO2,MoO3,WO3,Z
rO2,Si3N4,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,AgF,Pb
F2,MnF2,NiF2,SiC等のの単体あるいはこれらの混合物等
である。
【0028】反射層5は、金属膜で構成され、材料とし
ては例えばAu,Al,Ti,Ni,Cu,Cr等の単体、あるいはこれ
らの合金を用いることができる。本願発明の構造では、
反射層厚は30nm以下と薄くするため、薄くても熱伝
導率が大きく、かつ耐環境性に優れるAuが特に適して
いる。
ては例えばAu,Al,Ti,Ni,Cu,Cr等の単体、あるいはこれ
らの合金を用いることができる。本願発明の構造では、
反射層厚は30nm以下と薄くするため、薄くても熱伝
導率が大きく、かつ耐環境性に優れるAuが特に適して
いる。
【0029】ここで本願発明の構成は、第2の誘電体層
の厚さを3nm以上45nm以下、さらに入射レーザ光
線に対する記録層での吸収率がが結晶部ではAc、アモ
ルファス部ではAaであるとき、Ac−Aa≧0となる
ように、またレーザー光線に対する反射率を結晶状態で
Rc、アモルファス状態でRaとするとき、Rc−Ra
≧10%となるように各層の膜厚が選ばれたものであ
る。
の厚さを3nm以上45nm以下、さらに入射レーザ光
線に対する記録層での吸収率がが結晶部ではAc、アモ
ルファス部ではAaであるとき、Ac−Aa≧0となる
ように、またレーザー光線に対する反射率を結晶状態で
Rc、アモルファス状態でRaとするとき、Rc−Ra
≧10%となるように各層の膜厚が選ばれたものであ
る。
【0030】このように構成することにより、Ac−A
a≧0であるため高い消去率が得られ、かつRc−Ra
≧10%のため大きな信号振幅が得られる。
a≧0であるため高い消去率が得られ、かつRc−Ra
≧10%のため大きな信号振幅が得られる。
【0031】さらに、記録層と反射層との距離が近いた
め、記録層の熱が反射層へ拡散しやすく、記録層の熱的
ダメージが小さい。すなわち、高い消去率、大きな信号
振幅と良好な繰り返し特性の三者を同時に満たすことが
できる構造を実現できる。
め、記録層の熱が反射層へ拡散しやすく、記録層の熱的
ダメージが小さい。すなわち、高い消去率、大きな信号
振幅と良好な繰り返し特性の三者を同時に満たすことが
できる構造を実現できる。
【0032】次に本願発明の構成の具体的設計例につい
て述べる。図1のような薄膜積層構造におけるレーザー
光の反射率、記録層における吸収率を計算する手法は、
例えばマトリックス法として公知であり、本願でも各層
の複素屈折率と膜厚からマトリックス法で計算した(た
とえば、久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年
第3章参照)。
て述べる。図1のような薄膜積層構造におけるレーザー
光の反射率、記録層における吸収率を計算する手法は、
例えばマトリックス法として公知であり、本願でも各層
の複素屈折率と膜厚からマトリックス法で計算した(た
とえば、久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年
第3章参照)。
【0033】また、基板1と保護カバー9は、無限大の
膜厚をもつものとして(基材−空気界面、保護材−空気
界面の効果を無視)、反射率は基材から入射した光の基
材中に出射してくる比率としてもとめた。
膜厚をもつものとして(基材−空気界面、保護材−空気
界面の効果を無視)、反射率は基材から入射した光の基
材中に出射してくる比率としてもとめた。
【0034】ここで、記録層が結晶状態とアモルファス
状態とで光学定数(複素屈折率)を変えて計算し、入射
レーザー光線を100%としたときの記録層での吸収率
を、結晶部でAc、アモルファス部でAaとして、吸収
率の差ΔA=Ac−Aa、および結晶状態における反射
率をRc、アモルファス状態における反射率をRaとし
て、反射率の差ΔR=Rc−Raを求める。
状態とで光学定数(複素屈折率)を変えて計算し、入射
レーザー光線を100%としたときの記録層での吸収率
を、結晶部でAc、アモルファス部でAaとして、吸収
率の差ΔA=Ac−Aa、および結晶状態における反射
率をRc、アモルファス状態における反射率をRaとし
て、反射率の差ΔR=Rc−Raを求める。
【0035】反射率差ΔRは、充分な信号振幅を得るた
めには10%以上必要であり、本願の構成限定の一つの
条件とした。
めには10%以上必要であり、本願の構成限定の一つの
条件とした。
【0036】吸収率の差ΔAは、大きい程アモルファス
状態と結晶状態との昇温差が小さくなり、大きな消去率
が得られたが、ΔA≧0%であれば充分な消去率が得ら
れることが分かったため、ΔA≧0%を本願構成の限定
条件とした。
状態と結晶状態との昇温差が小さくなり、大きな消去率
が得られたが、ΔA≧0%であれば充分な消去率が得ら
れることが分かったため、ΔA≧0%を本願構成の限定
条件とした。
【0037】反射層の厚さは30nm以下、特に20n
m以下がよい。20nmより厚いとΔR≧10%とΔA
≧0%を同時に満たす構成範囲は急激に狭くなり、30
nmを越えるとほとんど得られなくなる。ただし、反射
層厚が3nmより薄いときには、反射層としての充分な
効果は得られなかった。
m以下がよい。20nmより厚いとΔR≧10%とΔA
≧0%を同時に満たす構成範囲は急激に狭くなり、30
nmを越えるとほとんど得られなくなる。ただし、反射
層厚が3nmより薄いときには、反射層としての充分な
効果は得られなかった。
【0038】また、第2の誘電体層は約45nm以下で
あれば、それ以上厚い場合に比べて繰り返し特性の改善
が見られた。特に、5nm以上30nm以下のとき繰り
返し特性の改善効果が大きかった。
あれば、それ以上厚い場合に比べて繰り返し特性の改善
が見られた。特に、5nm以上30nm以下のとき繰り
返し特性の改善効果が大きかった。
【0039】しかし、3nmより薄くすると、繰り返し
特性は急激に低下した。繰り返しによって第2の誘電体
層が破壊され、記録層材料と反射層材料が混合したため
と考えられる。
特性は急激に低下した。繰り返しによって第2の誘電体
層が破壊され、記録層材料と反射層材料が混合したため
と考えられる。
【0040】図3に記録層材料としてGeSbTe、第
1および第2の誘電体層材料としてZnS−SiO
2(SiO2:20mol%)、反射層材料としてAuを
用いた場合の設計例である。計算に使用した複素屈折率
の値は、記録層のアモルファス状態が4.41+i1.
34,結晶状態が5.52+i4.00,上下誘電体層
は2.1+i0,反射層は0.18+i4.64であ
る。
1および第2の誘電体層材料としてZnS−SiO
2(SiO2:20mol%)、反射層材料としてAuを
用いた場合の設計例である。計算に使用した複素屈折率
の値は、記録層のアモルファス状態が4.41+i1.
34,結晶状態が5.52+i4.00,上下誘電体層
は2.1+i0,反射層は0.18+i4.64であ
る。
【0041】記録膜厚を20nm、反射層厚を10nm
とし、第1の誘電体層と第2の誘電体層の層厚を変化さ
せた場合の吸収率差ΔAおよび反射率差ΔRを等高線で
示した。誘電体層の厚さは光学厚さで示した。レーザー
波長が780nm、誘電体層の屈折率が2.1のため、
誘電体の光学厚さλは誘電体層厚として約371nmで
ある。また、光学厚さはλ/2周期であるため、光学厚
さ0とλ/2は等価である。
とし、第1の誘電体層と第2の誘電体層の層厚を変化さ
せた場合の吸収率差ΔAおよび反射率差ΔRを等高線で
示した。誘電体層の厚さは光学厚さで示した。レーザー
波長が780nm、誘電体層の屈折率が2.1のため、
誘電体の光学厚さλは誘電体層厚として約371nmで
ある。また、光学厚さはλ/2周期であるため、光学厚
さ0とλ/2は等価である。
【0042】図3において、ΔRの等高線を実線で、ま
た、ΔAの等高線を破線で示し、ΔR≧10%とΔA≧
0%を同時に満たす領域を斜線で示した。この範囲にお
いては大きな信号振幅と、大きな消去率が同時に得られ
る。
た、ΔAの等高線を破線で示し、ΔR≧10%とΔA≧
0%を同時に満たす領域を斜線で示した。この範囲にお
いては大きな信号振幅と、大きな消去率が同時に得られ
る。
【0043】さらに、繰り返し特性について検討した結
果、第2の誘電体の膜厚は3nm以上45nm以下が良
かった。これは、光学厚さとしては、略0.5λ/64
以上λ/8以下に相当する。すなわち、本発明による限
定領域は、網掛けで示した領域であり(ただし第2の誘
電体の膜厚0.5λ/64は図中では膜厚0のラインと
ほぼ重なるため省略した)、この範囲で構成されたディ
スクは、大きな信号振幅、大きな消去率、そして良好な
繰り返し特性を同時に満足するものである。
果、第2の誘電体の膜厚は3nm以上45nm以下が良
かった。これは、光学厚さとしては、略0.5λ/64
以上λ/8以下に相当する。すなわち、本発明による限
定領域は、網掛けで示した領域であり(ただし第2の誘
電体の膜厚0.5λ/64は図中では膜厚0のラインと
ほぼ重なるため省略した)、この範囲で構成されたディ
スクは、大きな信号振幅、大きな消去率、そして良好な
繰り返し特性を同時に満足するものである。
【0044】記録層厚と反射層厚を変化させた場合につ
いても、同様の方法でΔR≧10%とΔA≧0%を同時
に満たす領域、およびさらに繰り返し特性が良好な本発
明による限定領域を求めた。
いても、同様の方法でΔR≧10%とΔA≧0%を同時
に満たす領域、およびさらに繰り返し特性が良好な本発
明による限定領域を求めた。
【0045】図4に、記録層厚10nm、反射層厚10
nmの場合、図5に、記録層厚15nm、反射層厚10
nmの場合、図6に、記録層厚10nm、反射層厚20
nmの場合、図7に、記録層厚15nm、反射層厚20
nmの場合、図8に、記録層厚20nm、反射層厚20
nmの場合、図9に、記録層厚10nm、反射層厚30
nmの場合、図10に、記録層厚15nm、反射層厚3
0nmの場合、図11に、記録層厚20nm、反射層厚
30nmの場合の結果を示す。
nmの場合、図5に、記録層厚15nm、反射層厚10
nmの場合、図6に、記録層厚10nm、反射層厚20
nmの場合、図7に、記録層厚15nm、反射層厚20
nmの場合、図8に、記録層厚20nm、反射層厚20
nmの場合、図9に、記録層厚10nm、反射層厚30
nmの場合、図10に、記録層厚15nm、反射層厚3
0nmの場合、図11に、記録層厚20nm、反射層厚
30nmの場合の結果を示す。
【0046】ただし、これらの図においても第2の誘電
体の膜厚0.5λ/64を示すラインは、図中では膜厚
0のラインとほぼ重なるため省略した。
体の膜厚0.5λ/64を示すラインは、図中では膜厚
0のラインとほぼ重なるため省略した。
【0047】各図から分かるように、反射層厚が厚くな
ると、本願発明による限定領域は狭くなり、30nmを
越えるとほとんどなくなる。従って、反射層厚は30n
m以下よく、特に20nm以下が設計マージンが広くと
れ良好である。また、これらの場合にも、反射層厚が3
nmより薄いとサイクル特性は急激に低下した。
ると、本願発明による限定領域は狭くなり、30nmを
越えるとほとんどなくなる。従って、反射層厚は30n
m以下よく、特に20nm以下が設計マージンが広くと
れ良好である。また、これらの場合にも、反射層厚が3
nmより薄いとサイクル特性は急激に低下した。
【0048】図2は、本願発明による光学情報記録媒体
の他の構成の断面図である。この構成の特徴は、反射層
の上にさらにレーザー光線に対して略透明な無機薄膜層
を設けたことにある。
の他の構成の断面図である。この構成の特徴は、反射層
の上にさらにレーザー光線に対して略透明な無機薄膜層
を設けたことにある。
【0049】これによって、繰り返し特性はさらに改善
された。本発明による構造では、反射層が薄いために、
記録時に反射層も昇温すると考えられる。そこで、反射
層の上に無機薄膜層を積層することで、反射層からの熱
の拡散が促進されて反射層の昇温が抑えられ、したがっ
て、記録層から反射層への熱拡散も促進されて、記録層
の熱ダメージが小さく抑えられたためと思われる。
された。本発明による構造では、反射層が薄いために、
記録時に反射層も昇温すると考えられる。そこで、反射
層の上に無機薄膜層を積層することで、反射層からの熱
の拡散が促進されて反射層の昇温が抑えられ、したがっ
て、記録層から反射層への熱拡散も促進されて、記録層
の熱ダメージが小さく抑えられたためと思われる。
【0050】また、薄膜層の上にさらに有機の保護材が
ある場合には、その保護材の熱的ダメージを防ぐことも
できる。
ある場合には、その保護材の熱的ダメージを防ぐことも
できる。
【0051】上記無機膜層としては、レーザー光線に対
して略透明で、かつ熱的安定性の良い材料であればよい
が、熱伝導率の高い材料が特に好ましい。例えば、金属
や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化
物、炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的には
SiO2,SiO,Al2O3,GeO2,In2O3,Ta2O5,TeO2,TiO2,MoO3,W
O3,ZrO2,Si3N4,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,Ag
F,PbF2,MnF2,NiF2,SiC等の単体あるいはこれらの混合物
等、さらにはダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカ
ーボン等は、特に熱伝導率が大きく有効である。
して略透明で、かつ熱的安定性の良い材料であればよい
が、熱伝導率の高い材料が特に好ましい。例えば、金属
や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化
物、炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的には
SiO2,SiO,Al2O3,GeO2,In2O3,Ta2O5,TeO2,TiO2,MoO3,W
O3,ZrO2,Si3N4,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,Ag
F,PbF2,MnF2,NiF2,SiC等の単体あるいはこれらの混合物
等、さらにはダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカ
ーボン等は、特に熱伝導率が大きく有効である。
【0052】また、無機薄膜層材料として、第1の誘電
体層もしくは第2の誘電体層と同じ材料を用いれば製造
が容易になる。
体層もしくは第2の誘電体層と同じ材料を用いれば製造
が容易になる。
【0053】さらに、容易に推測できるように、光学計
算に取り込む層の数は、なるべく少ない方が望ましい。
すなわち、計算に要する手間が省けるばかりでなく、計
算精度も高くなる。
算に取り込む層の数は、なるべく少ない方が望ましい。
すなわち、計算に要する手間が省けるばかりでなく、計
算精度も高くなる。
【0054】そこで、最後の層である無機薄膜層の厚さ
をλ/2n(λはレーザ波長、nは熱拡散層の屈折率)
の整数倍近傍に選ぶことが賢い方法である。当該波長に
対して透明な物質層が、λ/2nの整数倍の厚さに形成
されても記録面側からみた媒体全体の光学的特性は変化
しないからである。すなわち、無機薄膜層の膜厚を(m
×λ)/(2×n)とすればよい。ここでmは正の整数
である。
をλ/2n(λはレーザ波長、nは熱拡散層の屈折率)
の整数倍近傍に選ぶことが賢い方法である。当該波長に
対して透明な物質層が、λ/2nの整数倍の厚さに形成
されても記録面側からみた媒体全体の光学的特性は変化
しないからである。すなわち、無機薄膜層の膜厚を(m
×λ)/(2×n)とすればよい。ここでmは正の整数
である。
【0055】なお、各薄膜はスパッタリング法、真空蒸
着法、プラズマCVD法等で成膜できるが、本願発明は
成膜法を限定するものではない。
着法、プラズマCVD法等で成膜できるが、本願発明は
成膜法を限定するものではない。
【0056】次に本願発明に至った具体的実施例につい
て記す。 (実施例1)図1おいて記録層としてGeSbTe:2
0nm、反射層としてAu:10nmとし、ZnS−S
iO2(SiO2:20mol%)の第1および第2の誘
電体層の厚さを変化させて光ディスクを作製した。
て記す。 (実施例1)図1おいて記録層としてGeSbTe:2
0nm、反射層としてAu:10nmとし、ZnS−S
iO2(SiO2:20mol%)の第1および第2の誘
電体層の厚さを変化させて光ディスクを作製した。
【0057】基板は厚さ1.2mm、直径120mmの
ポリカーボネイト製であり、その表面にはレーザー光線
を導くための深さ60nm、幅0.6μmのスパイラル
状の連続溝が、1.2μmピッチで刻まれている。
ポリカーボネイト製であり、その表面にはレーザー光線
を導くための深さ60nm、幅0.6μmのスパイラル
状の連続溝が、1.2μmピッチで刻まれている。
【0058】薄膜の成膜は、すべてスパッタリング法で
おこなった。この設計は図3に基づくものであり、レー
ザー波長が780nm、誘電体層の屈折率が2.1のた
め、誘電体の光学厚さλは誘電体層厚として約371n
mである。
おこなった。この設計は図3に基づくものであり、レー
ザー波長が780nm、誘電体層の屈折率が2.1のた
め、誘電体の光学厚さλは誘電体層厚として約371n
mである。
【0059】(表1)に第1の誘電体層の厚さt2、第
2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合における吸
収率差ΔAおよび反射率差ΔRを示す。
2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合における吸
収率差ΔAおよび反射率差ΔRを示す。
【0060】作製したディスクの記録特性の評価には、
レーザ出力を記録信号に応じて、ピークレベル(アモル
ファス化レベル)とバイアスレベル(結晶化レベル)間
で2値変調し、古い信号を消しながら、新しい信号を記
録する方法(いわゆる1ビームオーバライト法)を用い
た。
レーザ出力を記録信号に応じて、ピークレベル(アモル
ファス化レベル)とバイアスレベル(結晶化レベル)間
で2値変調し、古い信号を消しながら、新しい信号を記
録する方法(いわゆる1ビームオーバライト法)を用い
た。
【0061】ディスクを1800rpmで回転させ、直
径φ85mm(線速度8m/s)の位置で、オーバライ
トを繰返した。信号はデューティー50%の単一周波数
モードとし、f1(5MHz)とf2(3MHz)の2
つの信号を交互に記録した。
径φ85mm(線速度8m/s)の位置で、オーバライ
トを繰返した。信号はデューティー50%の単一周波数
モードとし、f1(5MHz)とf2(3MHz)の2
つの信号を交互に記録した。
【0062】レーザー波長は、780nm、対物レンズ
N.Aは0.55である。記録パワーは、ピークパワー
がCNR(信号対雑音比)が飽和する最小パワー、バイ
アスは最大消去率が得られるパワーをそれぞれのディス
クにおいて求めた。
N.Aは0.55である。記録パワーは、ピークパワー
がCNR(信号対雑音比)が飽和する最小パワー、バイ
アスは最大消去率が得られるパワーをそれぞれのディス
クにおいて求めた。
【0063】それぞれのディスクにおいてCNR、消去
率、繰り返し特性を求めた。CNRはf1を記録した場
合の値、消去率はf1を記録した後f2をオーバーライ
トした場合のf1成分の減衰量、繰り返し特性はf1と
f2を交互にオーバーライトした場合にf1のCNRが
3dB低下するサイクル回数で定義した。各ディスクの
CNR、消去率、サイクル回数の測定結果を(表1)に
併せて記す。
率、繰り返し特性を求めた。CNRはf1を記録した場
合の値、消去率はf1を記録した後f2をオーバーライ
トした場合のf1成分の減衰量、繰り返し特性はf1と
f2を交互にオーバーライトした場合にf1のCNRが
3dB低下するサイクル回数で定義した。各ディスクの
CNR、消去率、サイクル回数の測定結果を(表1)に
併せて記す。
【0064】
【表1】
【0065】(表1)から分かるように、ΔR≧10%
であれば信号振幅が大きいためCNR≧50dBが達成
されている。さらには、ΔA≧0であれば30dB以上
の消去率が得られている。
であれば信号振幅が大きいためCNR≧50dBが達成
されている。さらには、ΔA≧0であれば30dB以上
の消去率が得られている。
【0066】また(表1)の結果のうち、第1の誘電体
層t2の膜厚が93nmの場合における第2の誘電体層
とサイクル回数の関係を図12に示す。サイクル回数は
ΔR、ΔAの大きさとは関係なく、第2の誘電体層の厚
さに大きく依存するのが分かる。
層t2の膜厚が93nmの場合における第2の誘電体層
とサイクル回数の関係を図12に示す。サイクル回数は
ΔR、ΔAの大きさとは関係なく、第2の誘電体層の厚
さに大きく依存するのが分かる。
【0067】第2の誘電体層の膜厚t4が3nm〜45
nmの範囲であれば、サイクル回数は1万回以上であ
り、t4がさらに厚くてΔR≧10%かつΔA≧0を満
たす領域(従来構成)より、繰り返し特性に優れる光デ
ィスクが得られることが分かる。
nmの範囲であれば、サイクル回数は1万回以上であ
り、t4がさらに厚くてΔR≧10%かつΔA≧0を満
たす領域(従来構成)より、繰り返し特性に優れる光デ
ィスクが得られることが分かる。
【0068】t4が2nmの場合、サイクル回数は2百
回と極端に少ないが、これは第2の誘電体層が薄いた
め、熱的に破壊されたためと考えられる。特にt2が5
nm以上30nm以下のとき、サイクル回数は10万回
以上を達成しており、きわめて繰り返し特性の優れた光
ディスクが得られることが分かった。
回と極端に少ないが、これは第2の誘電体層が薄いた
め、熱的に破壊されたためと考えられる。特にt2が5
nm以上30nm以下のとき、サイクル回数は10万回
以上を達成しており、きわめて繰り返し特性の優れた光
ディスクが得られることが分かった。
【0069】(実施例2)実施例1と同様の実験を、G
eSbTe層厚とAu厚を変えて行なった。GeSbT
e層厚10nmとAu厚10nmの場合、およびGeS
bTe層厚20nmとAu厚20nmの場合である。
eSbTe層厚とAu厚を変えて行なった。GeSbT
e層厚10nmとAu厚10nmの場合、およびGeS
bTe層厚20nmとAu厚20nmの場合である。
【0070】基板、誘電体材料は実施例1と同じであ
る。作製したディスクは、実施例1と同じ評価手段によ
りCNR、消去率、繰り返し特性を求めた。
る。作製したディスクは、実施例1と同じ評価手段によ
りCNR、消去率、繰り返し特性を求めた。
【0071】(表2)にGeSbTe層厚10nm、A
u厚10nmの場合における第1の誘電体層の厚さ
t2、第2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合にお
ける吸収率差ΔAおよび反射率差ΔR、さらに評価結果
のCNR、消去率、繰り返し特性を示す。
u厚10nmの場合における第1の誘電体層の厚さ
t2、第2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合にお
ける吸収率差ΔAおよび反射率差ΔR、さらに評価結果
のCNR、消去率、繰り返し特性を示す。
【0072】
【表2】
【0073】また、(表3)にGeSbTe層厚20n
m、Au厚20nmの場合における第1の誘電体層の厚
さt2、第2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合に
おける吸収率差ΔAおよび反射率差ΔR、さらに評価結
果のCNR、消去率、繰り返し特性を示す。
m、Au厚20nmの場合における第1の誘電体層の厚
さt2、第2の誘電体層の厚さt4と、それぞれの場合に
おける吸収率差ΔAおよび反射率差ΔR、さらに評価結
果のCNR、消去率、繰り返し特性を示す。
【0074】
【表3】
【0075】どちらの構成の場合も、実施例1と同様な
結果が得られた。すなわち、ΔR≧10%のときCNR
≧50dBであり、ΔA≧0のとき30dB以上の消去
率が得られている。
結果が得られた。すなわち、ΔR≧10%のときCNR
≧50dBであり、ΔA≧0のとき30dB以上の消去
率が得られている。
【0076】また、第2の誘電体層の膜厚t4が3nm
以上45nm以下の範囲であればサイクル回数は1万回
以上である。特に、t2が5nm以上30nm以下のと
き、サイクル回数は10万回以上を達成しており、きわ
めて繰り返し特性の優れた光ディスクが得られることも
実施例1と同じである。
以上45nm以下の範囲であればサイクル回数は1万回
以上である。特に、t2が5nm以上30nm以下のと
き、サイクル回数は10万回以上を達成しており、きわ
めて繰り返し特性の優れた光ディスクが得られることも
実施例1と同じである。
【0077】(実施例3)次に反射層の上にさらに無機
薄膜層を設けた図2の構成に関する具体的実施例につい
て述べる。
薄膜層を設けた図2の構成に関する具体的実施例につい
て述べる。
【0078】実施例1のディスクNo.5のAu反射層
の上に、さらにZnS−SiO2(SiO2:20mol
%)を100nm設けたNo.5a、Ta2O5を100
nm設けたNo.5b、SiO2を100nm設けたN
o.5c、SiNxを100nm設けたNo.5d、ダ
イアモンドライクカーボンを100nm設けたNo.5
eの5種類の光ディスクを作製した。
の上に、さらにZnS−SiO2(SiO2:20mol
%)を100nm設けたNo.5a、Ta2O5を100
nm設けたNo.5b、SiO2を100nm設けたN
o.5c、SiNxを100nm設けたNo.5d、ダ
イアモンドライクカーボンを100nm設けたNo.5
eの5種類の光ディスクを作製した。
【0079】無機薄膜層としてのZnS−SiO2、T
a2O5、SiO2、SiNxはスパッタリング法で成膜
し、また、ダイアモンドライクカーボンはECRプラズ
マ法で成膜した。
a2O5、SiO2、SiNxはスパッタリング法で成膜
し、また、ダイアモンドライクカーボンはECRプラズ
マ法で成膜した。
【0080】無機反射層以外の構成はディスクNo.5
と同じであり、作製したディスクの評価方法も実施例1
と同じである。
と同じであり、作製したディスクの評価方法も実施例1
と同じである。
【0081】5枚のディスクのCNRと消去率とはほぼ
同等であった。しかし、サイクル回数はNo.5が40
万回であったのに対して、No.5aが65万回、N
o.5bが80万回、No.5cが75万回、No.5
dが80万回、No.5eが170万回と、どのディス
クにおいても無機薄膜層の採用による効果が見られる。
特に、熱伝導率の高いダイアモンドライクカーボンを設
けた場合において大きな繰り返し特性の改善がみられ
る。
同等であった。しかし、サイクル回数はNo.5が40
万回であったのに対して、No.5aが65万回、N
o.5bが80万回、No.5cが75万回、No.5
dが80万回、No.5eが170万回と、どのディス
クにおいても無機薄膜層の採用による効果が見られる。
特に、熱伝導率の高いダイアモンドライクカーボンを設
けた場合において大きな繰り返し特性の改善がみられ
る。
【0082】同様の検討を実施例1および実施例2の他
の構成のディスクに試みたところ、全てのディスクの繰
り返し回数の改善がみられた。
の構成のディスクに試みたところ、全てのディスクの繰
り返し回数の改善がみられた。
【0083】無機薄膜の材質としては、本実施例3の材
料に限定されるものではなく、レーザー光線に対して略
透明で、かつ熱的安定性の良い材料であればよい。例え
ば、金属や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、
フッ化物、炭化物等およびこれらの混合物を採用するこ
とができる。
料に限定されるものではなく、レーザー光線に対して略
透明で、かつ熱的安定性の良い材料であればよい。例え
ば、金属や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、
フッ化物、炭化物等およびこれらの混合物を採用するこ
とができる。
【0084】
【発明の効果】本願発明は、基板上に、第1の誘電体
層、レーザ−光線の照射によって結晶状態とアモルファ
ス状態との間で光学的に検出可能な可逆的状態変化を生
じる材料からなる記録層、第2の誘電体層、反射層を順
に積層した積層体を含む光学情報記録媒体であって、前
記第2の誘電体層の厚さが3nm以上45nm以下であ
り、かつ、前記入射レーザー光線に対する記録層での吸
収率を結晶状態でAc、アモルファス状態でAaとする
とき、Ac−Aa≧0であり、かつ、前記入射レーザー
光線に対する反射率を結晶状態でRc、アモルファス状
態でRaとするとき、Rc−Ra≧10%となるよう
に、各層の膜厚が選ばれる光学的情報記録媒体であるた
め、大きな信号振幅、高い消去率、良好な繰り返し特性
を同時に満たす光学的情報記録媒体を提供することがで
きる。
層、レーザ−光線の照射によって結晶状態とアモルファ
ス状態との間で光学的に検出可能な可逆的状態変化を生
じる材料からなる記録層、第2の誘電体層、反射層を順
に積層した積層体を含む光学情報記録媒体であって、前
記第2の誘電体層の厚さが3nm以上45nm以下であ
り、かつ、前記入射レーザー光線に対する記録層での吸
収率を結晶状態でAc、アモルファス状態でAaとする
とき、Ac−Aa≧0であり、かつ、前記入射レーザー
光線に対する反射率を結晶状態でRc、アモルファス状
態でRaとするとき、Rc−Ra≧10%となるよう
に、各層の膜厚が選ばれる光学的情報記録媒体であるた
め、大きな信号振幅、高い消去率、良好な繰り返し特性
を同時に満たす光学的情報記録媒体を提供することがで
きる。
【図1】本願発明の光学的情報記録媒体の代表的な構成
を示す断面図
を示す断面図
【図2】本願発明の光学的情報記録媒体の他の態様の構
成を示す断面図
成を示す断面図
【図3】GeSbTe記録層20nm、Au反射層10
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図4】GeSbTe記録層10nm、Au反射層10
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図5】GeSbTe記録層15nm、Au反射層10
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図6】GeSbTe記録層10nm、Au反射層20
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図7】GeSbTe記録層15nm、Au反射層20
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図8】GeSbTe記録層20nm、Au反射層20
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図9】GeSbTe記録層10nm、Au反射層30
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図10】GeSbTe記録層15nm、Au反射層3
0nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
0nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図11】GeSbTe記録層20nm、Au反射層3
0nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
0nmの場合における本願発明の構成限定範囲を示す図
【図12】第2の誘電体層の厚さとサイクル回数の関係
を示す図
を示す図
1 基板 2 第1の誘電体層 3 記録層 4 第2の誘電体層 5 反射層 6 保護材 7 無機材料層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 7/24 538 F 7215−5D L 7215−5D B41M 5/26 (72)発明者 西内 健一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 長田 憲一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (11)
- 【請求項1】基板上に、第1の誘電体層、レーザ−光線
の照射によって結晶状態とアモルファス状態との間で光
学的に検出可能な可逆的状態変化を生じる材料からなる
記録層、第2の誘電体層、反射層を順に積層した積層体
を含む光学情報記録媒体であって、前記第2の誘電体層
の厚さが3nm以上45nm以下であり、かつ、前記入
射レーザー光線に対する記録層での吸収率を結晶状態で
Ac、アモルファス状態でAaとするとき、Ac−Aa
≧0であり、かつ、前記入射レーザー光線に対する反射
率を結晶状態でRc、アモルファス状態でRaとすると
き、Rc−Ra≧10%となるように、各層の膜厚が選
ばれることを特徴とする光学的情報記録媒体。 - 【請求項2】反射層の厚さが、3nm以上30nm以下
であることを特徴とする、請求項1記載の光学的情報記
録媒体。 - 【請求項3】反射層の厚さが、20nm以下であること
を特徴とする、請求項2記載の光学的情報記録媒体。 - 【請求項4】第2の誘電体層の厚さが、5nm以上30
nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の光学
的情報記録媒体。 - 【請求項5】反射層をAuで構成したことを特徴とす
る、請求項1記載の光学的情報記録媒体。 - 【請求項6】反射層の上に、さらにレーザ光線に対して
略透明な無機薄膜層を積層してなることを特徴とする請
求項1または5何れかに記載の光学的情報記録媒体。 - 【請求項7】無機薄膜層が、少なくとも第1の誘電体層
もしくは第2の誘電体層のいずれか一方と同じ材料で構
成したことを特徴とする、請求項6記載の光学的情報記
録媒体。 - 【請求項8】無機薄膜層が、少なくとも第2の誘電体層
材料よりも熱伝導率が大きい材料で構成したことを特徴
とする、請求項6記載の光学的情報記録媒体。 - 【請求項9】無機薄膜層をダイアモンド薄膜またはダイ
アモンドライクカーボン膜で構成したことを特徴とする
請求項8記載の光学的情報記録媒体。 - 【請求項10】無機薄膜層の膜厚を、略(m×λ)/
(2×n)としたことを特徴とする、請求項6記載の光
学的情報記録媒体(但し、λはレーザ光線の波長を示
し、nは無機材料層の屈折率を示し、mは正の整数であ
る)。 - 【請求項11】記録層が、Ge−Sb−Te合金または
これをベースにした合金で構成したことを特徴とする、
請求項1記載の光学的情報記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6269569A JPH08129777A (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 光学的情報記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6269569A JPH08129777A (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 光学的情報記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08129777A true JPH08129777A (ja) | 1996-05-21 |
Family
ID=17474195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6269569A Pending JPH08129777A (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 光学的情報記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08129777A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6159571A (en) * | 1997-08-14 | 2000-12-12 | Lg Electronics Inc. | Phase-change optical disc |
US6449239B1 (en) | 1998-11-25 | 2002-09-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Optical information recording medium with thermal diffusion layer |
-
1994
- 1994-11-02 JP JP6269569A patent/JPH08129777A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6159571A (en) * | 1997-08-14 | 2000-12-12 | Lg Electronics Inc. | Phase-change optical disc |
US6449239B1 (en) | 1998-11-25 | 2002-09-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Optical information recording medium with thermal diffusion layer |
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