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JPH08127916A - カーペット用ポリエステル捲縮糸およびカーペット - Google Patents

カーペット用ポリエステル捲縮糸およびカーペット

Info

Publication number
JPH08127916A
JPH08127916A JP26361694A JP26361694A JPH08127916A JP H08127916 A JPH08127916 A JP H08127916A JP 26361694 A JP26361694 A JP 26361694A JP 26361694 A JP26361694 A JP 26361694A JP H08127916 A JPH08127916 A JP H08127916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
yarn
carpet
crimped yarn
hollow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26361694A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuya Matsumura
一也 松村
Hiroyuki Maeda
浩亨 前田
Masashi Fujita
雅士 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP26361694A priority Critical patent/JPH08127916A/ja
Publication of JPH08127916A publication Critical patent/JPH08127916A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Carpets (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Automatic Embroidering For Embroidered Or Tufted Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】バルキー性と耐久性にすぐれ、かつ良好なカバ
ーリング性によって軽量化を可能としたカーペットを与
え得るポリエステル捲縮糸、およびこのポリエステル捲
縮糸をフェースヤーンとして用いてなるタフティングカ
ーペット等、特に自動車用としてノすぐれた性能を有す
るカーペットを提供する。 【構成】分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以
上がエチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度が
0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる中空断
面単糸の集合体であって、捲縮伸長率が15パーセント
以上、総繊度が500〜5000デニールのポリエステ
ルマルチフィラメントより構成され、前記中空断面単糸
は、その外輪郭Aと中空部輪郭Bとの間隔よりなる厚a
さが3μ以上であることを特徴とするカーペット用ポリ
エステル捲縮糸。ポリエステル捲縮糸をフェースヤーン
として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業用の利用分野】本発明はカーペット用ポリエステ
ル捲縮糸およびカーペットに関するものであり、さらに
詳しくは、嵩高性と耐久性にすぐれカーペットのフェー
スヤーンなどに適したポリエステル捲縮糸およびそのポ
リエステル捲縮糸をフェースヤーンとして用いてなる、
特に自動車用としてのすぐれた性能を発揮するタフティ
ングカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、そのすぐれた反撥
弾性、防汚性および染色堅牢性などのの特性を生かし
て、従来から種々のパイル素材として用いられている。
【0003】また、ポリエステル繊維は、ステープルの
紡績糸を中心に、カーペットのフェースヤーンとしても
利用されているが、ポリエステルステープル紡績糸をフ
ェースヤーンとして構成したカーペットは、いわゆる遊
び毛と呼ばれる単繊維の抜けやピリングをおこしやすい
という問題を有していた。
【0004】近年、これらの問題を改善するために、ポ
リエステル長繊維、つまりポリエステルマルチフィラメ
ントの捲縮糸が、カーペットのフェースヤーンとして用
いられ始めており、このような技術については、例えば
特開平4−82910号公報などに開示されている。
【0005】しかしながら、ポリエステルマルチフィラ
メントは、ポリアミドフィラメントやポリオレフィンフ
ィラメントなどの他の繊維素材に比較して比重が高く、
また十分な嵩高性が得にくいことから、軽量でかつバル
キー性が要求されるタフティングカーペット、特に自動
車用カーペットなどの用途には適さない場合が多かっ
た。
【0006】さらに言及すれば、上記比重の欠点を改善
するために、ポリエステルフィラメントの単糸断面を中
空化したり、または異形化しようとする場合には、フィ
ラメントの製糸工程において単糸切れが生じやすくなる
とともに、カーペットとして使用中にも中空部が破れ、
フィブリル化を起こしやすいという大きな問題があっ
た。
【0007】また、ポリエステルマルチフィラメントに
対し、特にカーペットのフェースヤーンに適した嵩高性
のある捲縮を与えるためには、流体捲縮を付与する直前
に高い延伸倍率にて延伸する必要があって、この際に単
糸の延伸切れが頻発したり、加熱流体捲縮装置内で糸切
れを生じたりするという問題があった。
【0008】上述した問題点は、他の素材を用いた場合
に比較して、ポリエステルフィラメントの場合に特に顕
著に生じる現象であり、従来公知の技術では、上記比重
の欠点を補うために単糸断面を中空化した際の延伸加工
の安定化、およびすぐれた耐久性と嵩高性を全て同時に
満足するカーペット用ポリエステル捲縮糸は実現されて
いないのが実情であって、この点でなお解決すべき課題
を残したものとなっていた。
【0009】同じく、従来のポリエステル捲縮糸を用い
たタフティングカーペットにおいては、遊び毛の解消、
バルキー性、耐久性および軽量化などの点で、いたまだ
に問題が残されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点を解消するため検討した結果、達
成されたものである。
【0011】したがって、本発明の目的は、バルキー性
と耐久性にすぐれ、かつ良好なカバーリング性によって
軽量化を可能としたカーペットを与え得るポリエステル
捲縮糸、およびこのポリエステル捲縮糸をフェースヤー
ンとして用いてなるタフティングカーペット等、特に自
動車用としてノすぐれた性能を有するカーペットを提供
することにある。
【0012】さらに本発明の他の目的は、自動車用製品
に要求される使用後の再利用をも可能としたタフテイン
グカーペットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のカーペット用ポリエステル捲縮糸は、分
子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上がエチレ
ンテレフタレート単位からなり、固有粘度が0.65以
上のポリエステルを溶融紡糸してなる中空断面単糸の集
合体であって、捲縮伸長率が15パーセント以上、総繊
度が500〜5000デニールのポリエステルマルチフ
ィラメントより構成され、前記中空断面単糸は、その外
輪郭と中空部輪郭との間隔よりなる厚さが3μ以上であ
ることを特徴とする。
【0014】そして、上記カーペット用ポリエステル捲
縮糸において、素材となるポリエステル中空断面単糸
は、好適には外部に突出した3個の山部と3個の谷部と
により外郭形状を形成され、また繊維の軸方向に1〜3
個の中空部を有することが望ましい。
【0015】さらに、上記カーペット用ポリエステル捲
縮糸においては、ポリエステルマルチフィラメントは、
好ましくは0.08〜1.2重量パーセントの着色剤を
含有し、更に好ましくは着色剤がカーボンブラックであ
ることを特徴とする。
【0016】また、本発明のタフティングカーペット
は、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上が
エチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度が0.
65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる中空断面単
糸の集合体であって、捲縮伸長率が15パーセント以
上、総繊度が500〜5000デニールのポリエステル
マルチフィラメントより構成され、前記中空断面単糸
は、その外輪郭と中空部輪郭との間隔よりなる厚さが3
μ以上であるポリエステル捲縮糸をフェースヤーンとし
て用いたことを特徴とし、特に自動車用カーペットとし
て用いられることを特徴とする。
【0017】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明で用いるポリエステル捲縮糸は、ポ
リエステルマルチフィラメントに対し、例えば加熱空気
あるいは蒸気などの加熱流体によって捲縮を付与した捲
縮糸を意味し、これらの捲縮を有するものであれば特に
限定されないが、従来公知の加熱流体による捲縮加工装
置、例えば特公昭58−1214号公報および特開昭5
6−101925号公報などに記載される捲縮加工装置
を用いて捲縮付与されたものが好ましい。
【0019】本発明のポリエステル捲縮糸の構成素材
は、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上、
好ましくは95パーセント以上がエチレンテレフタレー
ト単位からなるポリエステルであり、使用するポリエス
テルは本発明の構成要件および目的を損なわない範囲に
おいて、エチレングリコールおよびテレフタル酸以外の
第三成分を含むことができる。
【0020】そして、本発明で構成素材として用いるポ
リエステルは、オルソクロフェノールを溶媒とし、オス
ワルド型粘度計を用いて25℃にて測定した固有粘度が
0.65以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは
0.8以上の範囲にある高粘度ポリエステルであること
が重要な条件である。
【0021】すなわち、上記の固有粘度は、ポリエステ
ルの数平均分子量を示す指標でもあり、この固有粘度を
特定することによって機械的特性が向上し、耐候性、耐
熱性および耐疲労性などのタフティングカーペットのフ
ェースヤーンとして要求される耐久性能の向上を図るこ
とができる。
【0022】一般に、固有粘度の低いポリエステルを構
成素材として用いたフィラメントの場合には、上記比重
の欠点を解消しようとして単糸断面を変形したり中空化
したりすればするほど、フィラメント製糸工程において
単糸切れを生じやすいばかりか、このポリエステルフィ
ラメントを用いたカーペットは、使用中にフィブリル化
を起こしやすい。
【0023】また、カーペットのフェースヤーンに適し
た捲縮を有するポリエステルフィラメントを得ようとす
る場合には、流体捲縮を付与する直前に高い延伸倍率で
フィラメントを延伸する必要があり、この際に単糸の延
伸切れが頻発するという問題も生じやすくなる。
【0024】しかるに、本発明では高い分子量で安定し
た高粘度ポリエステルを構成素材として用いているた
め、フィラメント製造時の延伸加工性を損なうことな
く、またこのポリエステルフィラメントからなるカーペ
ットがフィブリル化するといった問題も発生することが
なく、バルキー性と耐久性にすぐれ、かつ良好なカバー
リング性によって軽量化を可能としたカーペットを与え
得るポリエステル捲縮糸を得ることができる。
【0025】さらに、本発明のポリエステル捲縮糸はポ
リエステル中空断面単糸の集合体からなり、個々のポリ
エステル中空断面糸は、その外輪郭と中空部輪郭との間
隔よりなる厚さが3μ以上、好ましくは5μ以上である
ことが必須要件である。
【0026】上記の間隔は、ポリエステル捲縮糸をカー
ペットのフェースヤーンとして使用中に、中空部分の破
れや潰れによる損傷を防止するために重要な要件であ
り、この厚さを3μ以上,好ましくは5μ以上にするこ
とによって、より長期間使用しても損傷を生じることの
ないポリエステル捲縮糸を得ることができる。
【0027】なお、ここでいう中空断面単糸の外輪郭と
中空部輪郭との間隔よりなる厚さとは、例えば田型中空
断面糸の場合には、図1に示した中空断面単糸の外輪郭
(A)と、中空部輪郭(B)との間隔よりなる厚さ
(a)を意味するものである。
【0028】同じく、Y型中空断面糸の場合には、図2
で示した中空断面単糸の外輪郭(A)と、中空部輪郭
(B)との間隔よりなる厚さ(a)を意味するものであ
る。
【0029】上記の厚さ(a)が3μ未満になると、ポ
リエステル捲縮糸の耐圧縮疲労性や耐熱耐候性が極度に
低下し、カーペットのフェースヤーン用途には適さなく
なるため好ましくない。
【0030】なお、本発明のポリエステル中空断面単糸
において、単糸断面に占める中空部の面積占有率をしめ
す中空率については特に限定するものではないが、軽量
化と艶消し効果を考慮すると、5〜20%の範囲が好ま
しい。
【0031】また、本発明のポリエステル捲縮糸を構成
するマルトフィラメントは、カーペットのフェースヤー
ンとして高次加工する際の取扱いを考慮して、その捲縮
伸長率が15パーセント以上、好ましくは20パーセン
ト以上、総繊度が500〜5000デニール、好ましく
は800〜3000デニールの範囲にあることが適切で
ある。
【0032】すなわち、上記捲縮伸長率が15パーセン
ト未満では、このポリエステル捲縮糸を用い加工して得
られたカーペット表面のカバーリング性を満足すること
ができず、格調の高いカーペットを得ることができな
い。
【0033】また、上記総繊度が500デニール未満で
は、カーペット加工時のタフト目付を多くする必要があ
って加工コストが高くなり、逆に5000デニールを越
えると、タフト時の取扱いが繁雑となり実用的でないた
め好ましくない。
【0034】そして、本発明のポリエステル捲縮糸は、
中空断面単糸であればその形状を限定するものではない
が、特にその嵩高性をより向上させるために、ポリエス
テル中空断面単糸の外郭形状を、外部に突出した好まし
くは3個の山部と3個の谷部で形成し、かつ1〜3個の
中空部を形成すると共に、その単糸繊度8〜25デニー
ルであることが望ましい。
【0035】すなわち、図2は上述の外郭形状であるY
断面中空断面単糸の一例を示したものであり、図中の
(C)が中空部、(D)が3個の山部、(E)が3個の
谷部をそれぞれ示している。
【0036】このように、山部(D)と谷部(E)を形
成することによって、ポリエステル中空断面単糸の断面
2次モーメントが大きくなり、その結果屈曲回復性が向
上して、また単糸1本1本の占有する領域が増すため、
より弾力感がありカバーリング性にすぐれたカーペット
のフェースヤーンが得られる。
【0037】上記の山部(D)および谷部(E)は、そ
の効果と、ポリエステルを溶融し異形断面を形成する際
の紡糸の容易性とを考慮して、それぞれ3個にするこ
と、つまり図2に示した略Y型形状にすることが、最も
実用的である。
【0038】次に、本発明のポリエステル捲縮糸は、こ
れを用いるカーペットの製造工程におけるコストダウン
指向、特に染色レスの要求、あるいは染色による物性値
の変化を避ける点から、糸中に0.08〜1.2重量パ
ーセント、好ましくは0.1〜0.5%の着色剤を含有
することが望ましい。
【0039】ただし、着色剤の含有量が1.2重量パー
セントを越えると、フィラメント製糸工程での糸切れを
誘発したり、ポリエステルの粘度低下を引き起こすなど
の問題を生じ、また0.08重量パーセント以下ではフ
ィラメントの色相の均一性が悪化したり、また色相が淡
くなり過ぎたりといった欠点が生じるため好ましくな
い。
【0040】本発明で用いることのできる着色剤の一例
としては、カーボンブラック、アントラキノン系着色
剤、ジオキサジン系着色剤、フタロシアニン系着色剤、
ペリレン系着色剤、ペリノン系着色剤、縮合アゾ系着色
剤、チオインジゴ系着色剤、二酸化チタン、および酸化
鉄系着色剤などが挙げられるが、着色材のコストやカー
ペットフェースヤーンとして利用後に廃棄処分せず再利
用することを考慮すると、なかでもカーボンブラック系
着色剤の使用が最も望ましい。
【0041】これら着色剤の添加の方法としては、ポリ
エステル縮重合のためのエステル化工程あるいは、エス
テル交換工程、または、縮重合反応工程において添加す
る方法、チップ乾燥時にブレンドして紡糸する方法、紡
糸時に着色剤を直接添加する方法、着色剤を高濃度含有
するマスターチップを溶融し別途溶融したベースポリマ
とブレンドして紡糸する方法(メルトブレンド方式)、
および着色剤を高濃度含有するマスターチップとベース
チップをブレンドして溶融紡糸する方法(チップブレン
ド方式)などの添加技術を適用することができるが、品
質の安定性、操業の安定性およびコストなどの点を考慮
すると、なかでもマスターチップを使用する方法が特に
有効である。
【0042】次に、本発明のタフティングカーペット
は、上記で説明したカーペット用ポリエステル捲縮糸、
すなわち、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント
以上がエチレンテレフタレート単位からなり、固有粘度
が0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してなる中空
断面単糸の集合体であって、捲縮伸長率が15パーセン
ト以上、総繊度が500〜5000デニールのポリエス
テルマルチフィラメントより構成され、前記中空断面単
糸は、その外輪郭と中空部輪郭との間隔よりなる厚さが
3μ以上であるポリエステル捲縮糸、好ましくは外部に
突出した3個の山部と3個の谷部とにより外郭形状を形
成され、かつ繊維の軸方向に1〜3個の中空部を有する
ポリエステル捲縮糸、さらに好ましくは着色剤を含有す
るポリエステル捲縮糸を、フェースヤーンとして用いて
構成されたものである。
【0043】ここで、フェースヤーンの形態は特に限定
されず、例えばカットパイル、ループパイルあるいはそ
れらの組合わせを用いることができ、また本発明のポリ
エステル捲縮糸を複数撚糸したものを用いてもよく、さ
らに本発明のポリエステル捲縮糸の効果が損なわれない
範囲であれば、他の捲縮糸や素材と組合わせて用いても
よい。
【0044】上述したポリエステル捲縮糸をフェースヤ
ーンとして用いた本発明のカーペットは、バルキー性と
耐久性にすぐれ、かつ軽量化を可能とした機能を備える
とともに、その使用後においては再溶融してポリエステ
ル樹脂あるいは繊維としてリサイクル使用可能である。
【0045】一般に、ポリエステルはきわめてリサイク
ルに適した素材であり、そのリサイクル方法は回収ポリ
マーをモノマーまで分解することなく再溶融して利用す
るケースが多いが、その再溶融によって粘度低下を起こ
すことから、回収品の固有粘度は0.65以上、さらに
はより高いものが好ましい。
【0046】そして、本発明のポリエステル捲縮糸に着
色剤を含有せしめる場合には、リサイクルを考慮してカ
ーボンブラック系着色剤を用いることが望ましい。
【0047】またさらに、フェースヤーンとそれ以外の
部材の分離の繁雑さを考慮すると、カーペットを構成す
る1次基布、あるいは2次基布を、ポリエステル繊維の
不織布とすることが望ましい。
【0048】次に、本発明のポリエステル捲縮糸の製造
方法の一例について説明する。
【0049】まず、ポリエステルのベースチップを押出
機に供給して、溶融ポリエステルとなし、続いて所望の
中空断面型紡糸口金から溶融紡糸する。
【0050】使用するポリエステルに着色剤を含有させ
る場合は、例えば、着色剤を10重量パーセント以上、
好ましくは15重量パーセント以上、より好ましくは2
0重量パーセント以上含有するポリエステルマスターチ
ップを、ポリエステル原着糸中の着色剤濃度が0.08
〜1.2重量パーセントの範囲となるよう計量して前記
ポリエステルベースチップと混合するとよい。
【0051】紡糸された糸条は、冷風により冷却・固化
され、さらに引き続いて油剤を付着された後、300〜
1200m/分で回転する引取りロールで引取られる。
【0052】さらに、この未延伸フィラメントを、次い
で2〜6倍で延伸する延伸工程に導き、引き続いて加熱
流体捲縮付与装置に導入する。
【0053】捲縮付与工程における加熱流体としては、
加熱蒸気を用いるのが好ましい。
【0054】加熱流体にて捲縮を付与されたマルチフィ
ラメントは、冷却された後、捲縮がへたらない程度に引
き伸ばされて、最後にパッケージに巻き取られる。
【0055】上記工程の任意部分で、一旦フィラメント
を巻取ってもよいが、好ましくは連続で行なわれる。
【0056】かくして得られる本発明のカーペット用ポ
リエステル捲縮糸は、生産性が安定しており、またバル
キー性と耐久性にすぐれ、かつカバ−リング性が良好で
あるため、軽量化が可能なタフティングカーッペットを
与えることができる。
【0057】また、本発明のタフティングカーペット
は、上記の方法により得たポリエステル捲縮糸をタフテ
ィング機にセットし、このポリエステル捲縮糸をフェー
スヤーンとして、ポリエステル不織布の一次基布などに
タフティングした後、裏張りを行うことにより得ること
ができる。
【0058】また、必要に応じて、タフティング途中
に、スチーミング、ブラッシング、スプレー、染色、シ
ャーリング、およびポリシャーなどの加工を行うことが
可能である。
【0059】本発明のカーペット用ポリエステル捲縮糸
を用いたタフティングカーペットは、バルキー性と耐久
性にすぐれ、かつ軽量でリサイクル性を有していること
から、これらの特性を生かして特に自動車用カーペット
として適しているが、その効果、目的を必要とするもの
であれば、もちろん自動車用カーペット以外のカーペッ
トや他の用途にも利用可能である。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の目的および効
果をさらに説明する。
【0061】なお、上述および以下に説明する実施例中
の物性値は次のようにして求めた値である。
【0062】<固有粘度>オルソクロロフェノールを溶
媒としてオスワルド型粘度計を用い、25℃の温度にて
測定した。
【0063】<捲縮伸長率>繊維に無荷重化で98℃×
5分間の沸騰水処理を施した後、風乾し、初荷重(2m
mg/d)をかけ、長さ(L1)を測定する。次いで定
荷重(100mmg/d)をかけ、長さ(L2)を測定
し、下記式にて算出した。
【0064】捲縮伸長率(%)=100×(L2−L
1)/(L1) <中空率>単糸断面を切断後、光学顕微鏡を用いて、中
空部を含む単糸全体の断面積(D)と、中空部の断面積
(E)を求め、下記式にて算出した。
【0065】中空率(%)=100×(E)/(D) <原糸強力・強度・伸度>オリエンテック社製テンシロ
ン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度30
0mm/分で測定した。
【0066】<耐候強力保持率・伸度保持率>スガ試験
機株式会社製のサンシャインウェザーメータにて、83
℃×200時間の照射をおこなった後、オリエンテック
社製テンシロン引張り試験機を用い、試長250mm、
引張速度300mm/分で測定し、上記で求めた照射処
理前の値からの保持率を求めたものである。
【0067】[実施例1〜4]表1に示したように、そ
れぞれ固有粘度が相違(ただし、すべて固有粘度0.7
以上)するポリエスチレンテレフタレートベースチップ
を、エクストルダー型紡糸機で溶融し、中空断面型口金
より紡糸した。
【0068】紡糸部より紡出せしめたフィラメントに対
し、先ず油剤を付着せしめ、続いて引取りロールで引取
り、加熱延伸ロールにて延伸することにより、単糸断面
形状、フィラメント数および中空率がそれぞれ表1に示
したように相違する4種類のマルチフィラメントを得
た。
【0069】さらに、各マルチフィラメントを、連続し
て特公昭58ー1214号公報に記載の捲縮加工装置に
供し、230℃以上での加熱蒸気処理条件を行いて捲縮
を付与した後、付与した捲縮がへたらない程度に引き伸
ばし、最後に0.08g/デニール程度の巻取張力で巻
き取ることにより、表1に示したように、トータル繊度
(総繊度)および捲縮伸長率が相違する4種類のポリエ
ステル捲縮糸に加工した。
【0070】なお、実施例3および実施例4では、カー
ボンブラックを10重量パーセント含有するポリエチレ
ンテレフタレートを、ベースチップに対して重量比40
分の1で計量、混合した後、上記方法にて紡糸延伸加工
して巻き取った。
【0071】この際の、延伸加工性を評価すると共に、
得られたポリエステルマルチフィラメント捲縮糸の原糸
特性として固有粘度、原糸強度、伸度、捲縮伸長率、お
よび前述した中空断面単糸の外輪郭と中空部輪郭との間
隔よりなる厚さ(a)を測定した結果を表1に併せて示
す。
【0072】ここで、表1における延伸加工性の評価は
次の基準にしたがったものである。 ◎・・・きわめて良好 ○・・・良好 ×・・・不良。
【0073】また、上記にて得られた各ポリエステル捲
縮糸をフェースヤーンとして用い、ポリエステルの不織
布に対し目付600g/m2 のカットパイルカーペット
としてタフティングした。
【0074】このようにして得られた各タフティングカ
ーペットの特性として、下記基準によりカーペット表面
のバルキー性、耐摩耗性および表面のカーバーリング性
を評価し、この結果を上記原糸特性の評価と合わせて表
1に示した。
【0075】<カーペットの評価基準> ◎・・・きわめて良好 ○・・・良好 △・・・若干不良 ×・・・不良。
【0076】
【表1】 表1の結果から明らかなように、本実施例1〜4のポリ
エステル捲縮糸は、きわめてすぐれた延伸加工性を有す
ると共に、強度、伸度および捲縮伸長率などの物理特性
や嵩高性は、カーペットヤーンとして非常にすぐれたも
のであった。
【0077】また、上記各ポリエステル捲縮糸を用いて
得られたタフティングカーペットは、圧縮弾性に富んで
いるため、バルキー性およびカバーリング性が良好であ
り、また耐久性にもすぐれていた。
【0078】[比較例1〜4]表2に示したように固有
粘度がそれぞれ相違するポリエスチレンテレフタレート
のベースチップを用い、実施例3と同様な方法にて、表
2に示したように、トータル繊度(総繊度)、フィラメ
ント数、断面形状、中空率、捲縮伸長率、および前記厚
さ(a)がそれぞれ相違する3種類のポリエステル捲縮
糸、およびこれらポリエステル捲縮糸をフェースヤーン
として用いた3種類のタフティングカーペットを得た。
【0079】各ポリエステル捲縮糸およびタフティング
カーペットについて、上記実施例と同様の評価を行った
結果を、表2に併せて示す。
【0080】
【表2】 表2の結果から明らかなように、比較例1は、ポリエス
テルの固有粘度が低いことから、カーペットのバルキー
性は良好であったが、耐摩耗性に劣り、また、延伸加工
時に糸切れが多発するとともに、原糸の破断強度および
破断伸度が低いものであった。
【0081】同じく比較例2は、ポリエステルの固有粘
度が低く、また中空断面単糸の外輪郭と中空部輪郭との
間隔よりなる厚さ(a)が3μ未満であるため、原糸の
延伸加工性、破断強度および破断伸度が劣るばかりか、
カーペットは使用中に摩耗によって中空部が破れて捲縮
糸がフィブリル化してしまい、耐摩耗性にも劣るもので
あった。
【0082】さらに、比較例3では、中空部の無い丸断
面糸としたため、原糸の捲縮伸長率が低いばかりか、嵩
高性にも乏しく、またカーペットはバルキー性およびカ
バーリング性に劣るものであった。
【0083】
【発明の効果】以上説明したとおり、、本発明のポリエ
ステル捲縮糸は、ポリエステルの固有粘度、断面形状、
断面寸法および捲縮伸長率などを特定したため、生産性
が安定しており、またバルキー性と耐久性にすぐれ、か
つカバーリング性が良好であるため、軽量化が可能なタ
フティングカーッペットを与えることができる。
【0084】また、本発明のタフティングカーペット
は、カバーリング性、バルキー性および耐久性にすぐ
れ、かつ軽量でリサイクル性を有していることから、こ
れらの特性を生かして特に自動車用カーペットとして好
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るポリエステル捲縮糸(田型
中空断面糸)を断面方向に切断し光学顕微鏡によってス
ケッチしたものの一例である。
【図2】図2は同じく本発明に係るポリエステル捲縮糸
(Y型中空断面糸)を断面方向に切断し光学顕微鏡によ
ってスケッチしたものの一例である。
【符号の説明】
(A) 中空断面単糸の外輪郭 (B) 中空断面単糸の中空部輪郭 (a) 中空断面単糸の外輪郭と中空部輪郭との間隔
よりなる厚さ (C) 中空断面単糸の中空部 (D) 中空断面単糸の山部 (E) 中空断面単糸の谷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 1/04 6/92 303 B 8/14 B D02G 3/02 D05C 17/02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子鎖の全繰返し単位の90モルパー
    セント以上がエチレンテレフタレート単位からなり、固
    有粘度が0.65以上のポリエステルを溶融紡糸してな
    る中空断面単糸の集合体であって、捲縮伸長率が15パ
    ーセント以上、総繊度が500〜5000デニールのポ
    リエステルマルチフィラメントより構成され、前記中空
    断面単糸は、その外輪郭と中空部輪郭との間隔よりなる
    厚さが3μ以上であることを特徴とするカーペット用ポ
    リエステル捲縮糸。
  2. 【請求項2】 ポリエステル中空断面単糸は、外部に
    突出した3個の山部と3個の谷部とにより外郭形状を形
    成され、かつ繊維の軸方向に1〜3個の中空部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のカーペット用ポリエ
    ステル捲縮糸。
  3. 【請求項3】 ポリエステルマルチフィラメントが、
    0.08〜1.2重量パーセントの着色剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のカーペット用
    ポリエステル捲縮糸。
  4. 【請求項4】 着色剤が、カーボンブラック系着色剤
    であることを特徴とする請求項3に記載のカーペット用
    ポリエステル捲縮糸。
  5. 【請求項5】 単糸断面に占める中空部の面積占有率
    をしめす中空率が、5〜20%の範囲である請求項1、
    2、3または4に記載のカーペット用ポリエステル捲縮
    糸。
  6. 【請求項6】 単糸が繊度8〜25デニールである請
    求項1、2、3、4または5に記載のカーペット用ポリ
    エステル捲縮糸。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6に
    記載のカーペット用ポリエステル捲縮糸をフェースヤー
    ンとして用いたことを特徴とするカーペット。
  8. 【請求項8】 自動車用カーペットに用いることを特
    徴とする請求項7に記載のカーペット。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005211108A (ja) * 2004-01-27 2005-08-11 Japan Vilene Co Ltd フロアマット
JP2010116630A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Suminoe Textile Co Ltd 原着ポリエチレンテレフタレート仮撚糸及びその製造方法並びにそれを用いたカーペット
KR20170112596A (ko) * 2016-03-31 2017-10-12 도레이케미칼 주식회사 흑색도가 향상된 중공섬유, 이의 제조용 복합섬유, 이를 포함하는 원단 및 이의 제조방법
EP3835472A4 (en) * 2018-08-09 2021-06-30 Hyosung Advanced Materials Corporation AUTOMOTIVE TUFFED MAT WITH CONTINUOUS INFLATABLE POLYETHYLENE TEREPHTHALATE FILAMENTS
CN119145070A (zh) * 2024-11-19 2024-12-17 桐昆集团浙江恒通化纤有限公司 一种保暖炫黑纤维及制备用喷丝板及生产方法

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