JPH0794565B2 - 耐クリ−プ性高強力ポリエチレン成型物およびその製造方法 - Google Patents
耐クリ−プ性高強力ポリエチレン成型物およびその製造方法Info
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- JPH0794565B2 JPH0794565B2 JP19485687A JP19485687A JPH0794565B2 JP H0794565 B2 JPH0794565 B2 JP H0794565B2 JP 19485687 A JP19485687 A JP 19485687A JP 19485687 A JP19485687 A JP 19485687A JP H0794565 B2 JPH0794565 B2 JP H0794565B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は非常に優れた耐クリープ性を示す高強力ポリエ
チレン成型物に関する。
チレン成型物に関する。
粘度平均分子量が数十万から数百万に達するようないわ
ゆる超高分子量のポリエチレンを原料に高強力高弾性物
品を成形しようとする試みは近年活発であり、非常に高
い強度と弾性率を有する素材が開発されている(例えば
特開昭56-15408号、特開昭55-107506号など)。超高分
子量ポリエチレン可撓性高分子として一番最初に高強力
化された背景には、その一次構造が極めて単純であるこ
とが挙げられるだろうが、その反面、分子鎖間に水素結
合などを持たず、しかも繰り返し単位が単純で立体的障
害もないため、分子鎖間のスリツプが容易に起こり、ク
リープしやすいとう欠点があつた。かかる欠点は、特に
長時間静的な荷重がかかるような用途への本素材の使用
範囲を限定したものにしていた。
ゆる超高分子量のポリエチレンを原料に高強力高弾性物
品を成形しようとする試みは近年活発であり、非常に高
い強度と弾性率を有する素材が開発されている(例えば
特開昭56-15408号、特開昭55-107506号など)。超高分
子量ポリエチレン可撓性高分子として一番最初に高強力
化された背景には、その一次構造が極めて単純であるこ
とが挙げられるだろうが、その反面、分子鎖間に水素結
合などを持たず、しかも繰り返し単位が単純で立体的障
害もないため、分子鎖間のスリツプが容易に起こり、ク
リープしやすいとう欠点があつた。かかる欠点は、特に
長時間静的な荷重がかかるような用途への本素材の使用
範囲を限定したものにしていた。
従来、耐クリープ性を改良しようとする試みとしては電
子線などを照射して分子鎖間の架橋を導入し、分子鎖の
スリツプを抑えようとする検討があるが、高強度を保持
したまま架橋させることが非常に難かしい。また、特開
昭61-28911号には後延伸または熱処理することで耐クリ
ープ性が改良されたと記載されているが、非常に低速な
延伸と複雑な工程のため経済性、生産性という面で問題
があつた。
子線などを照射して分子鎖間の架橋を導入し、分子鎖の
スリツプを抑えようとする検討があるが、高強度を保持
したまま架橋させることが非常に難かしい。また、特開
昭61-28911号には後延伸または熱処理することで耐クリ
ープ性が改良されたと記載されているが、非常に低速な
延伸と複雑な工程のため経済性、生産性という面で問題
があつた。
以上の観点より、本発明は高強度、高弾性であり、しか
もいままでにない非常に優れた耐クリープ性を有する高
強力ポリエチレン繊維を提供することを目的とするもの
である。かかる目的のため本発明者らは鋭意検討した結
果、ポリマーの一次構造として分岐部をある適当量成形
物(例えば繊維)内に形成されている結晶内部に導入す
るときは高強力、高弾性を保持したままで従来にない画
期的な耐クリープ性を有する高強力ポリエチレン成型物
が得られることを見出し本発明を完成するに到つたので
ある。
もいままでにない非常に優れた耐クリープ性を有する高
強力ポリエチレン繊維を提供することを目的とするもの
である。かかる目的のため本発明者らは鋭意検討した結
果、ポリマーの一次構造として分岐部をある適当量成形
物(例えば繊維)内に形成されている結晶内部に導入す
るときは高強力、高弾性を保持したままで従来にない画
期的な耐クリープ性を有する高強力ポリエチレン成型物
が得られることを見出し本発明を完成するに到つたので
ある。
すなわち本発明は引張強度25g/d以上、引張弾性率800g/
d以上のポリエチレン成型物であつて、粘度平均分子量
が50万以上のポリエチレンより構成され、かつ広角X線
で求めた室温20℃、湿度65%における結晶単位胞のa軸
が7.45Å以上であることを特徴とする耐クリープ性の改
良された高強力ポリエチレン成型物を提供するものであ
る。
d以上のポリエチレン成型物であつて、粘度平均分子量
が50万以上のポリエチレンより構成され、かつ広角X線
で求めた室温20℃、湿度65%における結晶単位胞のa軸
が7.45Å以上であることを特徴とする耐クリープ性の改
良された高強力ポリエチレン成型物を提供するものであ
る。
本発明はまたかかる成型物の製造法をも提供するもので
あり、それは超高分子量ポリエチレンを、該超高分子量
ポリエチレンの溶剤に分散させて成型工程に供給し、紡
糸あるいは押出して溶解温度以下に冷却して得られるポ
リマーゲル状物を熱延伸することにより高強力、高弾性
率ポリエチレン成型物を製造する方法において、超高分
子量ポリエチレンが、粘度平均分子量50万以上で主鎖の
炭素原子1000個あたり2個未満の分岐を有する超高分子
量ポリエチレン(A)と粘度平均分子量50万以上で主鎖
の炭素原子1000個あたり4個以上の分岐を有する超高分
子量ポリエチレン(B)とのブレンドであることを特徴
とする耐クリープ高強力ポリエチレン成型物の製造方法
である。
あり、それは超高分子量ポリエチレンを、該超高分子量
ポリエチレンの溶剤に分散させて成型工程に供給し、紡
糸あるいは押出して溶解温度以下に冷却して得られるポ
リマーゲル状物を熱延伸することにより高強力、高弾性
率ポリエチレン成型物を製造する方法において、超高分
子量ポリエチレンが、粘度平均分子量50万以上で主鎖の
炭素原子1000個あたり2個未満の分岐を有する超高分子
量ポリエチレン(A)と粘度平均分子量50万以上で主鎖
の炭素原子1000個あたり4個以上の分岐を有する超高分
子量ポリエチレン(B)とのブレンドであることを特徴
とする耐クリープ高強力ポリエチレン成型物の製造方法
である。
本発明による高強力および高弾性と耐クリープ性を兼ね
備えた高強力ポリエチレン成型物は粘度平均分子量が50
万以上の高分子量ポリエチレンからなり、まず第一に25
g/d以上、好ましくは30g/d以上、特に33g/d以上の引張
強力と3×10-7sec-1以下、好ましくは2×10-7sec-1以
下、特に1×10-7sec-1以下のクリープ速度と800g/d以
上の引張弾性率を有する。これらの値は高強力成型物
(例えば繊維)として最低具備していなければならない
値である。なおかかる高分子量ポリエチレンは粘度平均
分子量が50万以上でありかつ、主鎖の炭素原子1000個あ
たり2個未満の分岐を有する超高分子量ポリエチレン
(A)と粘度平均分子量が50万以上であり、かつ主鎖の
炭素原子1000個あたり4個以上の分岐を有する超高分子
量ポリエチレン(B)の少なくとも2種類のブレンドポ
リマーからなることが特に好ましい。ここで(A),
(B)各ポリマーの分子量はまず第一に重要であり、い
ずれも粘度平均分子量が50万以上であるを要する。これ
が50万未満であると分子末端が増大し、それが欠陥とし
て作用し、到達強度が低くなるばかりか、耐クリープ性
も著しく悪くなる。また分岐の少ないポリマー(A)と
比較的分岐の多いポリマー(B)をブレンドすることに
より(B)のポリマーの分岐を積極的に結晶中に導入す
ることが可能となる。しかも直線性ポリマー(A)が有
する結晶性の良さにより、高強力化を同時に達成するこ
とが可能になつたと思われる。ここでいう分岐とはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の線状の脂肪
族炭化水素基または分岐にさらに分岐を有するような構
造であつても良いが、分岐があまり長くなると(例えば
炭素原子数が6以上)分岐部は結晶内に取り込まれず、
むしろ非晶として存在しクリープ低減の効果が薄れるば
かりか、高強力化、高弾性化にとつては不都合である。
そこで分岐の種類としてはメチル基、エチル基までくら
いの短鎖分岐が良く、特にメチル基の時(A)と(B)
両ポリマーの混合性、分岐が結晶中に取り込まれる効果
が最も高いことが確かめられている。次に(A)ポリマ
ーの分岐と(B)ポリマーの分岐の量は(A)ポリマー
では主鎖1000炭素あたり2個未満、(B)ポリマーでは
主鎖1000炭素あたり4個以上であることが必要である。
(A)のポリマーの分岐が2個/1000炭素(以下主鎖で
あることを省略)以上となると延伸性および結晶性が低
下し、また(B)ポリマーの分岐が4個/1000炭素未満
になると、耐クリープ性の効果が発現しなくなる。ま
た、(B)ポリマーの分岐の上限としては特に限定はし
ないが、好ましくは1000炭素あたり100個以下、さらに
好ましくは20個以下が良い。ここでいう分岐の量は後で
述べるが高分解能の13C NMRで測定したものである。さ
らに(A)ポリマーと(B)ポリマーのブレンド比につ
いても特に限定するものではなく(A),(B)両ポリ
マーの分岐の種類と量により、適切なブレンド比を選択
すれば良い。例えばメチル基を分岐の主成分として有す
るポリマーを(A)および(B)ポリマーとして使用す
る場合、混合後の分岐の割合として主鎖の1000炭素あた
り分岐が2.5個以上10個以下、好ましくは4個以上7個
以下になるように混合比を選択することにより、高強力
を保持したまま非常に優れた耐クリープ性を有すること
が確かめられている。なお極端な場合ポリマー(A)の
分岐は0であつてもよい。
備えた高強力ポリエチレン成型物は粘度平均分子量が50
万以上の高分子量ポリエチレンからなり、まず第一に25
g/d以上、好ましくは30g/d以上、特に33g/d以上の引張
強力と3×10-7sec-1以下、好ましくは2×10-7sec-1以
下、特に1×10-7sec-1以下のクリープ速度と800g/d以
上の引張弾性率を有する。これらの値は高強力成型物
(例えば繊維)として最低具備していなければならない
値である。なおかかる高分子量ポリエチレンは粘度平均
分子量が50万以上でありかつ、主鎖の炭素原子1000個あ
たり2個未満の分岐を有する超高分子量ポリエチレン
(A)と粘度平均分子量が50万以上であり、かつ主鎖の
炭素原子1000個あたり4個以上の分岐を有する超高分子
量ポリエチレン(B)の少なくとも2種類のブレンドポ
リマーからなることが特に好ましい。ここで(A),
(B)各ポリマーの分子量はまず第一に重要であり、い
ずれも粘度平均分子量が50万以上であるを要する。これ
が50万未満であると分子末端が増大し、それが欠陥とし
て作用し、到達強度が低くなるばかりか、耐クリープ性
も著しく悪くなる。また分岐の少ないポリマー(A)と
比較的分岐の多いポリマー(B)をブレンドすることに
より(B)のポリマーの分岐を積極的に結晶中に導入す
ることが可能となる。しかも直線性ポリマー(A)が有
する結晶性の良さにより、高強力化を同時に達成するこ
とが可能になつたと思われる。ここでいう分岐とはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の線状の脂肪
族炭化水素基または分岐にさらに分岐を有するような構
造であつても良いが、分岐があまり長くなると(例えば
炭素原子数が6以上)分岐部は結晶内に取り込まれず、
むしろ非晶として存在しクリープ低減の効果が薄れるば
かりか、高強力化、高弾性化にとつては不都合である。
そこで分岐の種類としてはメチル基、エチル基までくら
いの短鎖分岐が良く、特にメチル基の時(A)と(B)
両ポリマーの混合性、分岐が結晶中に取り込まれる効果
が最も高いことが確かめられている。次に(A)ポリマ
ーの分岐と(B)ポリマーの分岐の量は(A)ポリマー
では主鎖1000炭素あたり2個未満、(B)ポリマーでは
主鎖1000炭素あたり4個以上であることが必要である。
(A)のポリマーの分岐が2個/1000炭素(以下主鎖で
あることを省略)以上となると延伸性および結晶性が低
下し、また(B)ポリマーの分岐が4個/1000炭素未満
になると、耐クリープ性の効果が発現しなくなる。ま
た、(B)ポリマーの分岐の上限としては特に限定はし
ないが、好ましくは1000炭素あたり100個以下、さらに
好ましくは20個以下が良い。ここでいう分岐の量は後で
述べるが高分解能の13C NMRで測定したものである。さ
らに(A)ポリマーと(B)ポリマーのブレンド比につ
いても特に限定するものではなく(A),(B)両ポリ
マーの分岐の種類と量により、適切なブレンド比を選択
すれば良い。例えばメチル基を分岐の主成分として有す
るポリマーを(A)および(B)ポリマーとして使用す
る場合、混合後の分岐の割合として主鎖の1000炭素あた
り分岐が2.5個以上10個以下、好ましくは4個以上7個
以下になるように混合比を選択することにより、高強力
を保持したまま非常に優れた耐クリープ性を有すること
が確かめられている。なお極端な場合ポリマー(A)の
分岐は0であつてもよい。
このような超高分子量ポリエチレンのブレンド物から高
強力物品(繊維、テープ、フイルム等)を成型する手法
としては、例えば特開昭55-107506号に開示されている
ような手法を用いれば効率良く高強力成型物を作成する
ことが可能となるが、特にそれに限定するものではな
い。高強力化の一手法については実施例にその一例を示
す。このようにして得られた成型物の広角X線で求めた
室温20℃、湿度65%での結晶単位胞のa軸が7.45Å以上
であることが好ましい。7.45Å未満であると分岐が結晶
中に取り込まれているとはいえず、耐クリープ性に優れ
た新規の性質が得難くなる。
強力物品(繊維、テープ、フイルム等)を成型する手法
としては、例えば特開昭55-107506号に開示されている
ような手法を用いれば効率良く高強力成型物を作成する
ことが可能となるが、特にそれに限定するものではな
い。高強力化の一手法については実施例にその一例を示
す。このようにして得られた成型物の広角X線で求めた
室温20℃、湿度65%での結晶単位胞のa軸が7.45Å以上
であることが好ましい。7.45Å未満であると分岐が結晶
中に取り込まれているとはいえず、耐クリープ性に優れ
た新規の性質が得難くなる。
このようにして得られた本発明の高強力ポリエチレン成
型物の耐クリープ性は非常に優れており、クリープ速度
(50℃、9g/d荷重)として3×10-7sec-1以下を示す。
ここでいうクリープ速度とは例えばJournal of Polymer
Science,22,561(1984)に示されているように試料に
荷重を加えて後、時間に対しての伸びの変化率が一定に
なつた時、もしくは少なくとも変化率がもつとも少ない
時、すなわち平坦部クリープ(plateau creep)の変形
速度をいう。
型物の耐クリープ性は非常に優れており、クリープ速度
(50℃、9g/d荷重)として3×10-7sec-1以下を示す。
ここでいうクリープ速度とは例えばJournal of Polymer
Science,22,561(1984)に示されているように試料に
荷重を加えて後、時間に対しての伸びの変化率が一定に
なつた時、もしくは少なくとも変化率がもつとも少ない
時、すなわち平坦部クリープ(plateau creep)の変形
速度をいう。
なおポリマーブレンドによることなく単一ポリマーを用
いて全体の分岐の程度が本発明の好ましい範囲に入る成
型物を製造しても成型性、特に延伸性が劣り、高強力化
が困難となり、さらには結晶性も低下するので好ましく
ない。
いて全体の分岐の程度が本発明の好ましい範囲に入る成
型物を製造しても成型性、特に延伸性が劣り、高強力化
が困難となり、さらには結晶性も低下するので好ましく
ない。
文中記載の各種特性値の求め方は以下の方法によつた。
粘度平均分子量 ASTM D 2857により135℃のデカリン溶液の粘度の濃度依
存性より固有粘度〔η〕を求めた。この〔η〕を次式に
代入して粘度平均分子量とした。
存性より固有粘度〔η〕を求めた。この〔η〕を次式に
代入して粘度平均分子量とした。
▲▼=3.64×104×〔η〕1.39 強伸度の測定法 JIS-1013に準じた。即ち東洋ボールドウイン社製テンシ
ロンを用い、試長200mm引張速度100mm/minの条件でS−
S曲線を測定し、引張強度、引張弾性率を算出した。引
張弾性率は、S−S曲線の原点付近の最大勾配より算出
した。
ロンを用い、試長200mm引張速度100mm/minの条件でS−
S曲線を測定し、引張強度、引張弾性率を算出した。引
張弾性率は、S−S曲線の原点付近の最大勾配より算出
した。
分岐の種類と量 ポリエチレンパウダーまたは、細かく粉砕した成型物を
オルトジクロルベンゼンに10重量%となるように120℃
で溶解した。この溶液を120℃の温度条件、75MHzで13C
NMRのスペクトルを観測した。この時シグナルの同定はM
akromol.Chem.184,569(1983)に記載の方法を参考にし
た。また、分岐度は、分岐点に由来するピークと主鎖の
メチレンピークの強度の比とした。
オルトジクロルベンゼンに10重量%となるように120℃
で溶解した。この溶液を120℃の温度条件、75MHzで13C
NMRのスペクトルを観測した。この時シグナルの同定はM
akromol.Chem.184,569(1983)に記載の方法を参考にし
た。また、分岐度は、分岐点に由来するピークと主鎖の
メチレンピークの強度の比とした。
結晶単位胞のa軸の大きさ 広角X線散乱パターンの測定は、例えば理学電機社製X
線発生装置(RU−3H型)を用いて行なう。測定には管電
圧45KV、管電流70mA、銅対陰極、ニツケルフイルターで
単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を使用する。サンプ
ルホルダーに繊維試料を単糸どうしがお互いに平行にな
るように取り付ける。厚みとしては0.5〜1.0mm位が好ま
しい。この平行に配列した繊維の繊維軸方向を子午線方
向として広角X線回折図の赤道回折曲線の(200)面の
回折ピーク位置の散乱角2α(degree)から結晶単位胞
のa軸の大きさは次式で求められる。
線発生装置(RU−3H型)を用いて行なう。測定には管電
圧45KV、管電流70mA、銅対陰極、ニツケルフイルターで
単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を使用する。サンプ
ルホルダーに繊維試料を単糸どうしがお互いに平行にな
るように取り付ける。厚みとしては0.5〜1.0mm位が好ま
しい。この平行に配列した繊維の繊維軸方向を子午線方
向として広角X線回折図の赤道回折曲線の(200)面の
回折ピーク位置の散乱角2α(degree)から結晶単位胞
のa軸の大きさは次式で求められる。
(散乱角の補正など詳細は例えば丸善株式会社発行「X
線結晶学」(仁田勇監修)参照)。
線結晶学」(仁田勇監修)参照)。
クリープ速度 本明細書でいうクリープ速度とは例えばJournal Polyme
r Science,22,561(1984)に記載されているような試料
に荷重を加えてから時間に対しての歪率の変化が一定に
なつた時、または少なくとも、もつとも変化率の少ない
時、すなわち平坦部クリープ(plateau creep)での変
形速度をいうある時刻t(sec)での試料の長さをl
(t)(cm)とするとクリープ速度は次式で与えられ
る。
r Science,22,561(1984)に記載されているような試料
に荷重を加えてから時間に対しての歪率の変化が一定に
なつた時、または少なくとも、もつとも変化率の少ない
時、すなわち平坦部クリープ(plateau creep)での変
形速度をいうある時刻t(sec)での試料の長さをl
(t)(cm)とするとクリープ速度は次式で与えられ
る。
l0:荷重をかけない試料の長さ(cm) a :任意の微少時間(sec) 〔実施例〕 以下実施例で本発明を説明する。
実施例1 線状ポリエチレンとして粘度平均分子量190万であり高
分解能NMRで測定した結果、主鎖炭素原子1000個あたり
1.2個のメチル基分岐を有するポリエチレン(A)と粘
度平均分子量190万で同じくNMRで測定したメチル基分岐
が主鎖の炭素原子1000個あたり13.0個のポリエチレン
(B)とを重量比10:90の割合でパウダーの状態で混合
した。引き続きこの混合物10重量部に対して90重量部の
デカヒドロナフタレンを混入し、スラリー状の原液とし
た。この原液を230℃の温度を有する二軸の押出機で混
練溶解し、均一透明な溶解物を0.5mm径のオリフイスよ
り押し出した。押し出された溶解物は、空気流で冷却さ
れながら30m/minの引き取り速度で引き取られ、ひきつ
づき、空気加熱炉にて5倍に延伸された。したがつてこ
の中間延伸物の巻き取り速度は150m/minであつた。引き
つづき、50mの長さを有するオーブンで加熱雰囲気下で
延伸最大延伸倍率3.2倍(したがつて合計の延伸倍率は1
6.0倍)に延伸した。この時の延伸巻き取り速度は100m/
minであつた。
分解能NMRで測定した結果、主鎖炭素原子1000個あたり
1.2個のメチル基分岐を有するポリエチレン(A)と粘
度平均分子量190万で同じくNMRで測定したメチル基分岐
が主鎖の炭素原子1000個あたり13.0個のポリエチレン
(B)とを重量比10:90の割合でパウダーの状態で混合
した。引き続きこの混合物10重量部に対して90重量部の
デカヒドロナフタレンを混入し、スラリー状の原液とし
た。この原液を230℃の温度を有する二軸の押出機で混
練溶解し、均一透明な溶解物を0.5mm径のオリフイスよ
り押し出した。押し出された溶解物は、空気流で冷却さ
れながら30m/minの引き取り速度で引き取られ、ひきつ
づき、空気加熱炉にて5倍に延伸された。したがつてこ
の中間延伸物の巻き取り速度は150m/minであつた。引き
つづき、50mの長さを有するオーブンで加熱雰囲気下で
延伸最大延伸倍率3.2倍(したがつて合計の延伸倍率は1
6.0倍)に延伸した。この時の延伸巻き取り速度は100m/
minであつた。
実施例2,3,4,5および比較例1,2 実施例1と同様のポリマーを用い、そのブレンド比とし
てポリマー(A)に対して分岐ポリマー(B)の混合重
量比を表1のように変えた他は、実施例1とまつたく同
じ方法、条件により糸状成型物を作成した。ただし、2
段延伸における最大延伸倍率は表1のように各実施例ご
とに、異なつた(最終巻き取り速度は100m/min一定)。
したがつて最終成型物の到達強度にも差が生じた。
てポリマー(A)に対して分岐ポリマー(B)の混合重
量比を表1のように変えた他は、実施例1とまつたく同
じ方法、条件により糸状成型物を作成した。ただし、2
段延伸における最大延伸倍率は表1のように各実施例ご
とに、異なつた(最終巻き取り速度は100m/min一定)。
したがつて最終成型物の到達強度にも差が生じた。
比較例3 ポリマーとして粘度平均分子量190万、高分解能13C NMR
で測定したメチル分岐が主鎖炭素原子1000個あたり5.0
個を有する超高分子量ポリエチレン(C)を用いた他は
実施例とまつたく同じ製法で製糸した。また最大延伸倍
率は表1に示されるごとくであつた。
で測定したメチル分岐が主鎖炭素原子1000個あたり5.0
個を有する超高分子量ポリエチレン(C)を用いた他は
実施例とまつたく同じ製法で製糸した。また最大延伸倍
率は表1に示されるごとくであつた。
表2に実施例および比較例で得られた成型物の到達最大
強度とその時の50℃、9g/dで測定したクリープ速度を示
す。各実施例ともすぐれた高物性とすぐれた耐クリープ
性を示す。特に実施例3の場合比較例1に比べ約1/20の
耐クリープ性を示す。分岐ポリマー100%では比較例2,3
のようにクリープは低くなるが、高強力糸が得られな
い。
強度とその時の50℃、9g/dで測定したクリープ速度を示
す。各実施例ともすぐれた高物性とすぐれた耐クリープ
性を示す。特に実施例3の場合比較例1に比べ約1/20の
耐クリープ性を示す。分岐ポリマー100%では比較例2,3
のようにクリープは低くなるが、高強力糸が得られな
い。
〔発明の効果〕 本発明によれば高強力、高弾性率ポリエチレン成型物の
優れた特性、即ち、軽量で耐光性、耐摩耗性、耐薬品性
等の特性を損うことなく、驚くべき耐クリープ性の改良
された高強力ポリエチレン成型物が提供される。
優れた特性、即ち、軽量で耐光性、耐摩耗性、耐薬品性
等の特性を損うことなく、驚くべき耐クリープ性の改良
された高強力ポリエチレン成型物が提供される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 C08L 23:02
Claims (6)
- 【請求項1】実質的に超高分子量ポリエチレンからな
り、粘度平均分子量が50万以上、引張強度が25g/d以
上、引張弾性率800g/d以上、クリープ速度(50℃、9g/d
荷重下で測定)が3×10-7sec-1以下であることを特徴
とする耐クリープ高強力ポリエチレン成型物。 - 【請求項2】超高分子量ポリエチレンが、粘度平均分子
量50万以上で主鎖の炭素原子1000個あたり2個未満の分
岐を有する超高分子量ポリエチレン(A)と粘度平均分
子量50万以上で主鎖の炭素原子1000個あたり4個以上の
分岐を有する超高分子量ポリエチレン(B)とのブレン
ドである特許請求の範囲第1項記載の耐クリープ高強力
ポリエチレン成型物。 - 【請求項3】ポリエチレン成型物の広角X線で求めた室
温20℃、湿度65%における結晶単位胞のa軸が7.45Å以
上である特許請求の範囲第1項または第2項記載の耐ク
リープ高強力ポリエチレン成型物。 - 【請求項4】ポリエチレン成型物が繊維、テープまたは
フイルムである特許請求の範囲第1項乃至第3項のいず
れかに記載の耐クリープ高強力ポリエチレン成型物。 - 【請求項5】超高分子量ポリエチレンを、該超高分子量
ポリエチレンの溶剤に分散させて成型工程に供給し、紡
糸あるいは押出して溶解温度以下に冷却して得られるポ
リマーゲル状物を熱延伸することにより高強力、高弾性
率ポリエチレン成型物を製造する方法において、超高分
子量ポリエチレンが、粘度平均分子量50万以上で主鎖の
炭素原子1000個あたり2個未満の分岐を有する超高分子
量ポリエチレン(A)と粘度平均分子量50万以上で主鎖
の炭素原子1000個あたり4個以上の分岐を有する超高分
子量ポリエチレン(B)とのブレンドであることを特徴
とする耐クリープ高強力ポリエチレン成型物の製造方
法。 - 【請求項6】ポリエチレン成型物が繊維、テープまたは
フイルムである特許請求の範囲第5項記載の耐クリープ
高強力ポリエチレン成型物の製造方法。
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GR91401817T GR3003200T3 (en) | 1986-10-31 | 1991-11-27 | Process for preparing polyethylene articles of high tensile strength and modulus and low creep and articles thus obtained |
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-
1987
- 1987-08-04 JP JP19485687A patent/JPH0794565B2/ja not_active Expired - Fee Related
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