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JPH0751028B2 - 海水系養殖魚の外部寄生虫駆除方法 - Google Patents

海水系養殖魚の外部寄生虫駆除方法

Info

Publication number
JPH0751028B2
JPH0751028B2 JP63293787A JP29378788A JPH0751028B2 JP H0751028 B2 JPH0751028 B2 JP H0751028B2 JP 63293787 A JP63293787 A JP 63293787A JP 29378788 A JP29378788 A JP 29378788A JP H0751028 B2 JPH0751028 B2 JP H0751028B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fish
seawater
hydrogen peroxide
cage
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63293787A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01317346A (ja
Inventor
邦之 宮原
重登 柴原
国男 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Katayama Chemical Works Co Ltd
Original Assignee
Katayama Chemical Works Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Katayama Chemical Works Co Ltd filed Critical Katayama Chemical Works Co Ltd
Priority to JP63293787A priority Critical patent/JPH0751028B2/ja
Publication of JPH01317346A publication Critical patent/JPH01317346A/ja
Publication of JPH0751028B2 publication Critical patent/JPH0751028B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Landscapes

  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は海水系養殖魚に寄生する外部寄生虫の駆除方
法に関する。
(ロ)従来の技術 海水系の養殖場のハマチ、ブリ等に寄生虫が寄生する
と、それらの成長が阻害され、ついには斃死するか、斃
死しないまでも魚体が変色して商品価値が低下する。そ
のような寄生虫には体表面寄生のBenedenia seriolaeと
魚鰓葉寄生のHeteraxine heterocercaの2種が主なもの
として挙げられる。
さらに、最近、ブリやシマアジの養殖場において、ウオ
ジラミ類の一種であるカリグス(Caligus spinosus)の
寄生による被害が問題になっている。
これらの寄生虫の魚体着生は、比較的に外洋水の影響の
強い水域における小割方式を採用している養殖場におい
てこの傾向が大きいとされている。
養殖魚の種類または魚の成長度毎に魚網で一定海面を区
画して養殖する小割方式において、有機錫系の魚網防汚
剤が開発され網地の付着生物の着生防止が効果的に行わ
れているときは、その普及と並行して前記、寄生虫によ
る被害も減少していたが、周知のように公害的見地から
有機錫系の漁網防汚剤が使われなくなった養殖場におい
て再びこの寄生虫による被害が発生し問題になってい
る。
養殖場の寄生虫の駆除は寄生虫卵の孵化を含め寄生虫の
生活史の日程と魚・卵に体する駆除効果の差を考慮して
周期的に駆除処理を実施する必要があるとされている
が、その対策として古くより淡水浴法および濃塩水浴法
が知られており(江草周三著、恒星社厚生閣、昭和59年
5月10日発刊「魚の感染病」P-468,P-472)、また、駆
除剤を用いる方法として薬浴法が検討されている(静岡
水産試験場、昭和40年魚病対策に対する研究報告(196
6)保科利一「Benedenia seriolaeに関する研究」;
「魚病研究」1(2)1967.1笠原正五郎「過酸化ピロリ
ン酸ナトリウムによるハマチ寄生吸虫の駆除につい
て」;「魚病研究」4(2)1970.3大岩靖之・南沢篤
「過炭酸ソーダによるハマチの外部寄生虫Benedeniaの
駆除について−I」;「魚病研究」5(2)1971.3笠原
正五郎「ハマチの外部寄生吸虫に対する過酸化リン酸二
ナトリウム薬浴法の検討」;魚病研究2(2)1968.1藤
田矢郎「蓄養ブリに寄生するカリグスの駆除」など)。
(ハ)発明が解決しようとする課題 周知の淡水浴法、濃塩水浴法とは、船槽等に用意した淡
水または濃塩水中に魚をすくい上げて3〜6分間浸漬処
理することにより、寄生虫を淡水または濃塩水の浸透圧
により活力を失わせ、魚体より脱落・死亡させるもので
あるが、この方法は処理水の塩濃度が海水と異なること
により魚の生態に影響がある上、処理を実施する養殖場
まで用水を運搬しなければならない不便があり、とくに
大量の魚を処理する場合、実施上重大な困難を伴う。こ
れに対し薬浴法は、前述の文献にも記載されているよう
に過酸化ピロリン酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過
酸化リン酸二ナトリウム、0,0−ジメチル−2,2,2−トリ
クロロ−1−ヒドロキシエチルホスホン酸、その他効力
面で必ずしも推奨されないまでもホルマリン、氷酢酸等
の薬剤の作用を利用して、寄生虫を魚体より駆除しよう
とするものであり、相応の効果が確認されており、かつ
上記淡水浴、濃塩水浴法の不利を一部解決し得るもので
ある。
しかし乍ら、従来の薬浴法において検討され薬効が認め
られている薬剤は、その化学的物理的性状にもとづく使
用上の難点がある。
即ち、薬浴法も淡水浴、濃塩水浴法同様、魚を一定の区
画内に収容し、処理するが、これら前掲の化学薬剤は海
水中でアルカリ性を呈して海水の性状を変化させるか、
およびまたは海水に難溶であり海水中で無機沈澱物を形
成し魚の鰓に付着して呼吸困難をきたすおそれがあり、
あるいは危険であり、その使用方法については魚の生態
に与える影響を考え充分な注意が必要である。
とくに、上記海水に難溶性であることによって予め淡水
に溶解した溶液を用意しなければならず大量使用の場合
の設備上、労力上の被害は重大であり、魚業者らの採用
し得る現実的実施方法とはいえない。
この発明は、従来の方法のような不利・困難を全く伴う
ことなく大量処理においても容易な操作で効率よく処理
し、養殖魚に寄生する寄生虫を駆除する方法を提供しよ
うとするものである。
(ニ)課題を解決するための手段 この発明は、海水系養殖場の養殖魚を通水を遮断し得る
隔壁をもって縮小された生簀内の遊泳区画に収容し、該
区画内に過酸化水素を添加し、その濃度が200〜3000ppm
処理時間が1〜20分の範囲で適宜の条件を選択して魚体
を洗浄処理した後、隔壁を撤去することを特徴とする海
水系養殖魚に寄生する外部寄生虫の駆除方法を提供す
る。
この発明は、ハマチ、ブリ、カンパチ、シマアジまたは
鯛等海水系の養殖場生簀の縮小された魚の遊泳区画につ
いて直接過酸化水素水溶液を投与して実施される。各海
辺の養殖場生簀の大きさは必ずしも一定ではないが通常
は水深約7〜10m、平面積的100m2位であるため、この大
量の海水に対して有効量の過酸化水素を投与することは
全く経済的ではなく、故にこの発明においては適宜単位
の魚群を密集させ、かつ海水量を限定して実施する。
この発明において駆除剤として用いる過酸化水素は、極
めて容易に海水に溶解、拡散して希釈するため、確実な
寄生虫の駆除効果を保証する濃度を維持するために、例
えばプラスチックスシートのような通水を遮断する薄布
をもって生簀の一部を囲繞した上で過酸化水素水溶液を
例えばポンプか、またはバケツをもって撒水または一時
に投入する。遊泳区画(処理区域)の縮小範囲はとくに
限定されないが、処理を希望する魚群の大きさ、規模に
応じ決められ、例えば第1図に示すようにプラスチック
スシートをもって海水中に処理槽を形成設置するか、ま
たは第2図に示すように魚群の遊泳する生簀の魚網に外
接するごとくプラスチックスシートをもって全周をでき
るだけ海底に達するようにカーテン状にたらし、囲繞す
るか、または第3図に示すように縮小された魚群の遊泳
する生簀をその魚網に外接するごとくプラスチックスシ
ートをもって全周と底面をプールを形成するようにして
囲繞する。かくして第1図に示す処理槽については養殖
生簀中の魚をすくい上げて処理槽中に移槽し、処理した
後、槽を解体して魚を元の生簀中に放流するようにして
実施し、第2図の場合は既述のごとくプラスチックスシ
ートをもって生簀を囲繞した上で魚網の底をできるだけ
引き上げて魚群をここに密集させ処理した後、魚網を元
にもどしかつ、プラスチックスシートを撒去する。また
第3図の場合は予め養殖生簀の漁網の底を引き上げた
後、既述のごとく漁網の全周と底面をプラスチックスシ
ートで囲繞したプール内に魚群を密集させ処理した後、
プラスチックスシートを撒去し、漁網を元にもどす。
これらのいずれの方式においても生簀平面を適宜に縮小
することは任意である。かく、これら縮小された処理区
画内で処理する実施方式を採用することによって、確実
に所望する過酸化水素濃度を維持して駆除処理を実施す
ることができる。
過酸化水素は発明者らの検討により以下の処理条件を実
施することにより魚体に寄生するB.seriolae、H.hetero
cerca及びCaligus sp.の駆除に有効に作用すること、お
よびこの発明の処理手順に従って使用するための好適な
性状を有することが確かめられた。
すなわち、生簀に添加される過酸化水素水溶液の濃度は
とくに限定されるものではないが、魚体に直接ふりかか
り影響を与えることを配慮して、通常35%以下の濃度で
任意に海水で希釈して用いるのが好ましい。また生簀内
における魚体の過酸化水素による処理は海水中濃度を20
0〜3000ppmを維持し、処理時間を1〜20分の範囲に保持
して行われるが、維持濃度と処理時間は寄生虫の駆除効
果と魚体の生態に対する影響度について相互に依存関係
を有し、上記濃度以下及び処理時間以下では寄生中の駆
除効果が充分でなく、上記濃度以上および処理時間以上
では魚体に対する影響の危険が生ずるので、上記の濃度
と時間の範囲内で条件を適宜に組み合わせて実施するこ
とが好ましく、且つ、より好ましい範囲として過酸化水
素水溶液濃度400〜1000ppm、処理時間3〜10分の範囲内
で選択して実施することがとくに推奨される。かくして
魚群を予め縮小した遊泳区画内に導き、これに過酸化水
素水溶液を添加して魚体を洗浄処理した後、隔壁用の薄
布を撒去することによって終了する。なお、過酸化水素
水溶液を添加して上記濃度に均一分散する方法として
は、公知の種々の方法が適用できるが、実用上、上記区
画上部から過酸化水素水溶液を散布して行うのが好まし
い。
このような添加処理により、区画内の魚の遊泳による攪
拌作用と相俟って、区画内で短時間で均一な濃度が調整
できる。このような化学剤による処理において寄生中の
駆除効果の他、最も留意しなければならないことは処理
後における魚の生態の異状および斃死の有無である。即
ち魚影濃度の高い狭められた区画内の正常ではない環境
で処理されるため、処理にあたっては、魚が過酸化水素
に接触する時間を所定濃度においてできるだけ短縮する
必要があるが、この点過酸化水素は海水に任意の濃度で
極めて容易に溶解し、魚群の遊泳により、均一且つ速や
かに拡散するため、魚体の生育に全く障害のない過酸化
水素濃度および処理時間を調整して実施することが可能
である。
実験例1 三重県の某海水系養殖場で昭和62年12月小割方式により
飼育中の体長25〜30cm、体重約800g、何れもB.seriolae
が寄生している1年魚のハマチ3尾を選択して供試魚と
し、過酸化水素水溶液による該寄生中の駆除効果を実験
室的に試験した。即ち、75容ポリ容器に18℃の海水50
を入れ、過酸化水素を各濃度になるように加えて、エ
アレーションを行いながら、寄生中の付着しているハマ
チを入れた。そして一定時間処理した後、清海水に戻
し、96時間後の魚体への影響を観察し、対照区と比較し
た。
寄生虫の除去率を求める方法は次の手順で行った。先ず
処理後の各海水をプランクトンネットで濾過し脱落した
寄生虫数を計数した。処理後96時間飼育した魚体に残存
している寄生虫数を計測し、下式により除去率を求め
た。
実験結果を第1表に示す。
実験例2 過酸化水素と他の過酸化物を海水中へ添加したときの性
状を試験した。各化合物を純水で5w/v%になるように調
製し、1の濾過海水に各処理剤を所定濃度になるよう
添加した。その時、過酸化水素以外は白く濁ったので、
海水の性状を調べた。その結果を第2表に示す。
実施例1 三重県にある某ハマチ養殖場において寄生虫の駆除を実
施した。第1図に示す漁網(1)で形成した生簀(2)
の隣の別の生簀(2′)内のポリエチレンシート(3)
で囲繞した1m×2m×1.5mの海水プール(4)を作り、こ
れに2m3の海水を充たし、予め用意した3w/v%の過酸化
水素水溶液をプール(4)の海水中濃度が400ppmになる
量をポンプで添加した。元の生簀(2)より約1kgのハ
マチをたもですくい上げ約300尾をプール(4)に移し
た。
このハマチにはB.seriolaeが平均30〜60匹生着してい
た。ハマチは密集状態で5分間放置された後、プール
(4)を解体し、ハマチを生簀(2′)中に放流した。
このときのプール(4)の過酸化水素濃度は150ppmであ
った。
3時間後ハマチを10尾ランダムにすくい上げ、B.seriol
aeの生着状況を調べた結果、全く観察されなかった。
数日間、ハマチの斃死魚や餌の摂取状況を観察したが全
く異状は認められなかった。
実施例2 前記、養殖場において、第2図に示す一辺10m、深さ10m
のハマチ生簀(2)をビニールシート(3)を水深6mま
で生簀(2)を形成する漁網(1)に外接するようにカ
ーテン状にたらし、生簀(2)を囲繞した。
この生簀(2)には1尾約700gのハマチが約1万尾生育
しており、そのハマチにはB.seriolaeが平均20〜50匹生
着していた。
生簀の漁網(1)の底部(1′)を水深約2mまでたくし
上げてハマチを約200m3の縮小された生簀中で密集状態
にした。直ちに予め用意した2w/v%の過酸化水素水溶液
を海水200m3中の濃度が500ppmになる量、ポンプで1分
間でシャワー状に添加した。
15分間放置後、生簀を囲っていたビニールシート(3)
を撒去し、ハマチを元の生簀(2)中にもどした。撒去
前生簀の過酸化水素濃度は100ppmであった。ハマチの斃
死魚や餌の摂取状況は、数日間寄生虫の生着数は24時間
後に観察及び調査した。その結果死亡したか、または弱
まったハマチは観察されず、ランダムに採取した10尾の
ハマチには寄生虫の生着は全く認められなかった。
実施例3 前記、ハマチ養殖場において第3図に示す一辺10m、深
さ10mの養殖生簀(2)に生育する約1万尾のハマチに
はB.seriolaeが1尾平均20〜50匹生着していた。
生簀(2)の漁網(1)の底部(1′)を水深約2mまで
たくし上げ、ハマチを約200m3の縮小された区画に密集
状態とした。直ちにビニールシート(3)をもって縮小
された漁網(1)に外接するように包みプール(4)を
形成せしめ、これに過酸化水素水溶液をプール(4)内
の濃度が400ppmになる量、ポンプで30秒間でシャワー状
に添加した。5分間放置後ビニールシート(3)を撒去
し、生簀(2)を元の状態にもどした。
24時間後ランダムにすくい上げたハマチには寄生虫の生
着は認められず、また数日後まで観察した結果、死亡し
た魚は皆無であり食餌の摂取状態も良好であった。
実験例3 静岡県の某海水系養殖場で昭和63年10月小割方式により
飼育中の体長約30cm、体重約1kg、何れもCaligus sp.が
寄生している3年魚のシマアジを選択して供試魚とし、
過酸化水素水溶液による該寄生虫の駆除効果を実験室的
に試験した。
75容ポリ容器に15℃の海水50を入れ、過酸化水素を
各濃度になるように加えて、エアレーションを行いなが
ら、寄生虫の付着しているシマアジを各3尾入れた。そ
して一定時間処理した後、清海水に戻し、96時間後の魚
体への影響を観察し、対照区と比較した。
寄生虫の除去率を求める方法は次の手順で行った。先ず
処理後の各海水をプランクトンネットで濾過し脱落した
寄生虫数を計数した。処理後96時間飼育した魚体に残存
している寄生虫数を計数し、下式により除去率を求め
た。
実験結果を第3表に示す。
実験例4 魚種や試験方法及び評価方法は、実験例3と同様の方法
でおこなった。
薬剤としては、文献に記載されているデップテレックス
(乳剤:有効成分50%)を使用した。
実験結果を第4表に示す。
デップテレックスを使用した場合、寄生虫が完全に除去
出来る濃度は、100ppmで1分間以上の接触が必要であ
る。しかし、薬剤との接触時間が3分以上になると、全
ての魚体が死亡することから、寄生虫の処理剤としては
非常に危険であり、実用上は使用できない。
また、デップテレックスは農薬であり、人体への危険性
から使用するべき処理剤ではない。
実施例4 静岡県にある某シマアジ養殖場において寄生虫の駆除を
実施した。第1図に示す漁網(1)で形成した生簀
(2)の隣の別の生簀(2′)内にポリエチレンシート
(3)で囲繞した1m×2m×1.5mの海水プール(4)を作
り、これに2m3の海水を充たし、予め用意した5w/v%の
過酸化水素水溶液をプール(4)の海水中濃度が300ppm
になる量をポンプで添加した。元の生簀(2)より1kg
のシマアジをたもですくい上げ約400尾をプール(4)
に移した。
このシマアジにはCaligus sp.が平均40〜70匹生着して
いた。シマアジは密集状態で3分間放置された後、プー
ル(4)を解体し、シマアジを生簀(2′)中に放流し
た。このときのプール(4)の過酸化水素濃度は100ppm
であった。
3時間後シマアジを5尾ランダムにすくい上げ、Caligu
s sp.の生着状況を調べた結果、全く観察されなかっ
た。
数日間、シマアジの斃死魚や餌の摂取状況を観察したが
全く異状は認められなかった。
実施例5 前記、シマアジ養殖場において第3図に示す一辺10m、
深さ10mの養殖生簀(2)に生育する約2000尾のシマア
ジにはCaligus sp.が1尾平均30〜50匹生着していた。
生簀(2)の漁網(1)の底部(1′)を水深約2mまで
たくし上げ、シマアジを約200m3の縮小された区画に密
集状態とした。直ちにビニールシート(3)をもって縮
小された漁網(1)に外接するように包みプール(4)
を形成せしめ、これに過酸化水素水溶液をプール(4)
内の濃度が300ppmになる量、ポンプで30秒間でシャワー
状に添加した。3分間放置後ビニルシート(3)を撒去
し、生簀(2)を元の状態にもどした。
24時間後ランダムにすくい上げたシマアジには寄生中の
生着は認められず、また数日後まで観察した結果、死亡
した魚は皆無であり食餌の摂取状態も良好であった。
実施例6 過酸化水素以外の過酸化水素発生化合物を海水で直接溶
解すると白濁し、溶解したかが不明であり、高濃度溶解
した場合は経時変化による濃度低下が著しい。淡水に溶
解した場合は、溶解液の白濁はないがやはり濃度低下が
著しく、溶解して薬浴処理するまでの時間的な制約を受
けると共に、海辺では多量の淡水を入手することが困難
でもあり、溶解してから海上輸送するには多大な労力が
必要である。調製液の安定性試験結果を第5表及び第6
表に示す。
実施例7 (ブリのぁエラムシ」ヘテラキシネ(Heteraxine heter
ocerca)症に対する効果) 三重県にある某ハマチ養殖場において、小割方式により
飼育中のハマチ(体重約250g/尾)にエラムシ(ハダム
シも付着していた)が寄生しているものを供試魚とし
て、過酸化水素による駆除試験を現場にて行った。
即ち、75容ポリ容器に海水(水温21℃)50を入れ、
過酸化水素を各濃度になるように加えてエラムシの付着
したハマチ3尾を入れ、3分間処理した後、清海水に戻
しエアーレーションを行いながら96時間飼育して魚体へ
の影響を観察した。
寄生虫の除去率を求める方法は、次の手順で行った。ま
ず処理後の各海水をプランクトンネットで濾過し、脱落
した寄生虫(エラムシとハダムシ)数を計数した。そし
て処理後96時間飼育した魚体のエラ及び体表に残存して
いる虫数を計数し除去率を求めた。この実験結果を第7
表に示す。
実施例8 (マダイの「エラムシ」ビバギナ(Bivagina tai)症に
対する効果) 三重県にある某マダイ養殖場において、小割方式により
飼育中のマダイ(体重約350g/尾)にエラムシが寄生し
ているものを供試魚として、過酸化水素による駆除試験
を現場にて行った。
即ち、75容ポリ容器に海水(水温21℃)50を入れ、
過酸化水素を各濃度になるように加えてエラムシの付着
したマダイ3尾を入れた。そして一定時間処理した後、
清海水に戻しエアーレションを行いながら96時間飼育し
て魚体への影響を観察した。
寄生虫の除去率を求める方法は、次の手順で行った。ま
ず処理後の各海水をプランクトンネットで濾過し、脱落
した寄生虫数を計算した。そして処理後96時間飼育した
魚体のエラに残存している寄生虫数を計数し除去率を求
めた。その実験結果を第8表に示す。
実施例9 三重県にある某マダイ養殖場において、マダイのエラム
シ寄生虫の駆除を実施した。
処理対象魚のイケスに接して新しいイケスを置き、その
新しいイケスの中にキャンバスシート製の処理槽(2.5m
×2.5m,深さ1.5m,内容量約9トン)を設ける。
処理槽に海水を1/2程度入れ、過酸化水素を約500ppmに
なるように添加した。そして養殖中のイケスよりマダイ
4,000尾を処理槽に海水と共に追い込み、約10分間処理
槽内で遊泳させた後処理槽の一端を解き放し、マダイを
新しいイケスに放流した。
この場合の処理槽内の過酸化水素濃度は250ppmであっ
た。処理水の一部をプランクトンネツトで濾過し、脱落
したエラムシを確認した。
96時間経過後も斃死魚は見られず、正常な摂餌行動が見
られた。
実施例10 三重県にある某カンパチ養殖場において、カンパチのエ
ラムシ寄生虫の駆除を実施した。
処理対象魚のイケスに接して新しいイケスを置き、その
新しいイケスの中にキャンバスシート製の処理槽(2m×
2m,深さ1.5m,内容量約6トン)を設ける。
処理槽に海水を1/2程度入れ、過酸化水素を約500ppmに
なるように添加した。そして養殖中のイケスよりカンパ
チ500尾を処理槽に海水と共に追い込み、約5分間処理
槽内で遊泳させた後処理槽の一端を解き放し、カンパチ
を新しいイケスに放流した。この操作を繰り返し5000尾
のカンパチを処理した。この時の処理槽内の過酸化水素
濃度は250ppmであり、海水温度は21℃であった。
処理96時間後の飼育カンパチをランダムに5尾とりエラ
ムシの有無を調べたところ、観察されず、過酸化水素の
処理で全て脱落したと思われる。
過酸化水素による処理25日前からと、処理後30日間の斃
死魚数を計数することにより過酸化水素の効果を確認し
た。その結果を第9表に示す。
実施例11(魚の生育への影響の確認) 三重県の某ハマチ養殖場において、ハダムシの寄生した
ハマチを供試魚として、過酸化水素,過炭酸ソーダ,淡
水による薬浴試験を行い、各薬剤の効力比較を行った。
平均体重550gのハマチ1000尾を9月1日,9月15日の2
回、それぞれの薬剤で処理し、ハマチの成長、生存率を
調べた。その結果を第10表に示す。
このように、過酸化水素を用いるこの発明の方法は、魚
の生育に何ら阻害しないのみならず、むしろ魚の生育を
促進させる作用も有し、海水系養殖魚の外部寄生吸虫の
駆除方法として極めて好都合であることが分かる。
(ホ)発明の効果 この発明により、過酸化水素水が養殖魚に寄生するB.se
riolae、H.heterocerca、Caligus sp.等の駆除に有効な
作用を有することが確認され、その適用技術条件を明ら
かにしたことによって以下のような効果がある。
1. 生簀中の大量の養殖魚を縮小区画に収容したのみ
で、海水中で直接寄生虫駆除を効率よく実施することを
可能とし、淡水浴、濃塩水浴法のごとく小規模、労働過
重的実施や他の過酸化物化合物を使用する場合のごと
く、予め淡水に溶かして使用しなければならない不便が
解消された。
これは過酸化水素が海水に任意の濃度で容易に溶解し、
希釈する性状を利用し得たことによる効果である。
2. 養殖魚の生態に影響を与えないで駆除効果を発揮す
る使用方法を採用することが可能であり淡水浴、濃塩水
浴法における魚に対する浸透圧の影響や他の過酸化物化
合物を使用する場合のごとく海水の性状に変化を与えた
り、生成沈澱物のよる呼吸困難を招来するような心配が
ない。これは上記1の過酸化水素の性状にもとづき、且
つ濃度と処理時間を髄意にコントロールできることによ
り得られる効果である。また、他の薬剤(農薬等)を使
用した場合のように魚類に対する危険性の心配がなく、
安全に処理出来る。
3. 以上の効果にもとづき、漁業者が実施し得る実効あ
る現業的方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図及び第3図は、各々本発明の実施態様を
示す装置の斜視図であり、第1図は実施例1及び4で用
いた装置、第2図は実施例2で用いた装置および第3図
は実施例3及び5で用いた装置を示す。 1……生簀を形成する漁網、 1′……底部漁網、 2……養殖生簀、 3……合成樹脂製シート、 4……海水プール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 国男 大阪府大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15 号 株式会社片山化学工業研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海水系養殖魚の養殖魚を通水を遮断し得る
    隔壁をもって縮小された生簀内の遊泳区画に収容し、該
    区画内に過酸化水素を添加し、その濃度が200〜3000pp
    m、処理時間が1〜20分の範囲で適宜の条件を選択して
    魚体を洗浄処理した後、隔壁を撤去することを特徴とす
    る海水系養殖魚の外部寄生虫駆除方法。
  2. 【請求項2】養殖魚の縮小された遊泳区画が、生簀内で
    通水を遮断し得る薄布をもって囲繞するか、またはプー
    ルを形成して成る請求項1記載の海水系養殖魚の外部寄
    生虫駆除方法。
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