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JPH07290655A - 積層樹脂板製自販機前面板 - Google Patents

積層樹脂板製自販機前面板

Info

Publication number
JPH07290655A
JPH07290655A JP9132594A JP9132594A JPH07290655A JP H07290655 A JPH07290655 A JP H07290655A JP 9132594 A JP9132594 A JP 9132594A JP 9132594 A JP9132594 A JP 9132594A JP H07290655 A JPH07290655 A JP H07290655A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laminated
weight
acrylic resin
resin
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9132594A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Miyauchi
雅弘 宮内
Hiroyuki Hirano
弘幸 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP9132594A priority Critical patent/JPH07290655A/ja
Publication of JPH07290655A publication Critical patent/JPH07290655A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Control Of Vending Devices And Auxiliary Devices For Vending Devices (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 永続的な帯電防止性能を有し、かつ材料にク
ラック等の物性低下を生じさせない自動販売機前面板を
提供する。 【構成】 自動販売機前面板のポカーボネート樹脂から
なる基板部の内側面にポリオキシエチレングリコールセ
グメントを30〜99%含有する数平均分子量500〜
4000のジオール類をソフトセグメントとし、50重
量%以上のカプロラクタムを含有するポリアミド形成性
モノマー及び多価カルボン酸から得られる両末端がカル
ボキシル基のポリアミドをハードセグメントとし、かつ
ソフトセグメント含有量40〜85重量%、ヘイズ値5
0%以下、相対粘度1.5〜3のポリアミドエラストマ
ーとアクリル系樹脂とを有するアクリル系樹脂組成物を
10〜200μm積層させ、外側面に紫外線吸収剤を含
むアクリル樹脂を10〜200μm積層させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート樹脂
を主体としてなる単層または積層の基板部を有する積層
樹脂板からなる自動販売機前面板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動販売機設置台数の急速な増加
が見られ、さらに販売商品の展示し易さから前面板はほ
ぼ全体が透明プラスチック化される傾向にある。このた
め自動販売機前面板用の樹脂板の需要が急激に伸びてき
た。この自動販売機前面板の用途には、透明性、外観の
美麗さ、耐候性、耐衝撃性、成形加工性に優れたアクリ
ル系樹脂板が多く用いられている。最近はアクリル系樹
脂板のうち耐衝撃性に優れたゴム強化タイプの耐衝撃性
アクリル樹脂板が常用されているが、その衝撃強度は自
動販売機前面板の割れを防止するには実用上不十分で改
良が求められている。
【0003】また、アクリル系樹脂は比較的燃焼しやす
い樹脂の部類に属し、難燃化が検討されているが、例え
ば難燃剤を添加する場合にはその効果を高めるために多
量の難燃剤を必要とし、その結果耐熱性が落ちたり難燃
剤によって着色するなど種々の問題があった。これらの
問題点を解決するために、より衝撃強度の高いポリカー
ボネート樹脂板を用いようという試みもある。しかしな
がら、ポリカーボネート樹脂は表面抵抗が高く容易に帯
電してしまい、商品展示された自動販売機前面板の内側
面に付着したちりやほこりは、その構造から簡単に清掃
することができず、特に清涼飲料水を含む食品類の商品
展示では、清潔感が無くなるなど商品イメージを大きく
損なうことになり、重大な欠陥としてその改善が強く求
められている。このような問題に対して従来から帯電防
止剤が研究されており、これらの帯電防止剤を材料の表
面に塗布したり、又は材料と一緒に練り込んだりして材
料の帯電防止が図られているが、現状ではまだ十分なも
のが得られているとはいい難い。すなわち前者において
は材料の表面に帯電防止剤を塗布するときの溶剤の問題
があり、材料にクラックが入ったり又は塗布層の剥離が
生じたりする。また後者の場合は均一に帯電防止剤を練
り込むことができるが、材料の物性低下がどうしても生
じてしまう。このように今日、帯電防止効果をこれらの
樹脂に付与する研究は各種開発中の段階といえる。しか
も帯電防止効果は永続性に問題があり、半永久的にその
効果を持続するものは同様に開発中の段階にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、永続的な帯電防止性能を有し、かつ材料
にクラック等の物性低下を生じさせない、耐衝撃性、難
燃性、帯電防止性に優れた積層樹脂板からなる自動販売
機前面板を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アクリル
樹脂より耐衝撃性、難燃性に優れたポリカーボネート樹
脂を自動販売機前面板の基板部に用い、該自動販売機前
面板の内側面になる基板面にポリアミドエラストマーを
含むアクリル系樹脂組成物を積層させ、自動販売機前面
板の外側面になる基板面に紫外線吸収剤含有アクリル樹
脂を積層させた積層樹脂板とすることによって、上記課
題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち本発明は次の通りである。 1. 自販機前面板のポリカーボネート樹脂を主体とし
てなる単層又は多層の基板部の内側面に、透明なポリア
ミドエラストマー(A)3〜70重量%とアクリル系樹
脂(B)97〜30重量%を含有してなるアクリル系樹
脂組成物からなる積層部(I)を10〜200μm積層
せしめ、上記基板部の外側面に積層部厚み(μm)×紫
外線吸収剤濃度(%)=10〜200を満足する濃度の
紫外線吸収剤を含むアクリル樹脂からなる積層部(I
I)を10〜200μm積層せしめた積層樹脂板からな
り、上記ポリアミドエラストマー(A)は、(イ)少な
くとも50重量%のカプロラクタムを含有するポリアミ
ド形成性モノマー、(ロ)炭素数4〜20の多価カルボ
ン酸、並びに(ハ)ポリオキシアルキレングリコール及
びα,ωジヒドロキシ炭化水素の中から選ばれた少なく
とも1種類のジオールからなり、該ジオール類中のポリ
オキシエチレングリコールセグメントの含有量が30〜
99重量%であって、かつ数平均分子量が500〜40
00であるジオール類を、上記(ハ)成分の含有量が4
0〜85重量%となるように縮重合させてなるポリエス
テルエラストマーであり、かつこのポリアミドエラスト
マー(A)は温度30℃における相対粘度が1.5〜
3、厚み1mmのヘイズ値が50%以下であることを特
徴とする積層樹脂板製自動販売機前面板である。 2. 積層部(I)が、ポリアミドエラストマー(A)
成分とアクリル系樹脂(B)成分との合計量100重量
部に対し、有機電解質及び無機電解質の中から選ばれた
少なくとも1種を0.01〜10重量部含有してなるア
クリル系樹脂組成物からなる上記1の積層樹脂板製自動
販売機前面板。
【0007】本発明は、耐衝撃性、難燃性に優れたポリ
カーボネート樹脂を基板部に用い、該基板部に30〜9
9重量%の割合でポリオキシエチレングリコールセグメ
ントを含有する500〜4000の数平均分子量のジオ
ール類をソフトセグメントとし、カプロラクタムを少な
くとも50重量%含有するポリアミド形成性モノマー
と、炭素数4〜20の多価カルボン酸とから形成された
両末端がカルボキシル基のポリアミドをハードセグメン
トとし、かつ40〜85重量%のソフトセグメントの含
有量を有し、30℃における相対粘度が1.5〜3、厚
み1mmのヘイズ値が50%以下であるポリアミドエラ
ストマーは耐熱性を有し、アクリル系樹脂との相溶性が
良く、かつ比較的少量で優れた帯電防止効果を永続的に
発揮しうることから、ポリカーボネート樹脂の優れた物
性を損なうことなく帯電防止効果を付与することができ
ることを見出したことによるものである。
【0008】樹脂成形品の帯電防止効果は特定の厚み以
上の表面層が帯電防止効果を有していれば、内部迄帯電
防止性能は必ずしも必要とされず、そういった意味から
は本発明の積層樹脂板とすることによって自動販売機全
面板の内側面に帯電防止性能を付与することができる。
しかしながら、帯電防止効果を付与する表面層の厚さが
厚すぎると基板部の有する優れた特性を損なうことにな
るが、本発明のアクリル樹脂組成物は基板部樹脂の優れ
た特性を保持しながら永続的な帯電防止効果を付与する
ことが出来る。
【0009】一方、特に屋外で用いられる自動販売機全
面板の外側面は耐侯性に優れていることが必要である
が、一般にポリカーボネート樹脂の耐侯性はアクリル樹
脂に比べ優れておらず、長時間屋外に暴露されることで
黄変や失透が発生する。外側面は簡便に清掃が可能であ
ることから、要求される性能としては上述の帯電防止性
能よりもむしろその耐侯性にあり、紫外線吸収剤を特定
の濃度で含んだアクリル樹脂を外側面に積層し高度の耐
侯性を付与することで高品位の自動販売機前面板とする
ことができる。しかもこの積層部の厚みを特定の厚みに
することによって、基板部樹脂の特性を保持することが
できることがわかった。すなわち、帯電防止性能に優れ
た面を自動販売機の内側面に、耐侯性の優れた面を外側
面に用いることによって高品位の自動販売機前面板を得
ることができる。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明で基
板部に用いるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール
Aに代表される二価のフェノール系化合物から誘導され
る重合体が用いられる。ポリカーボネート樹脂の製造方
法については特に限定せず、ホスゲン法、エステル交換
法あるいは固相重合法のいずれにより製造されたもので
も使用できる。分子量についても特に限定はしないが、
押出成形により所望の厚みのシートを作り、これを熱成
形して自動販売機前面板を製造するという観点から、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)
を用い、単分散ポリスチレンを標準とした検量線から求
めた重量平均分子量が2〜7万のものが好ましく、3〜
6万のものが特に好ましい。本発明における基板部は上
記のポリカーボネート樹脂からなるが、成形加工時の熱
分解性や熱着色性を改良するため各種の酸化防止剤を添
加することもできる。各種の紫外線吸収剤や難燃剤を配
合することももちろん可能である。また、有機系あるい
は無機系の染料やブルーイング剤を配合して着色するこ
ともさしつかえない。
【0011】本発明で自動販売機前面板の内側面になる
積層部(I)に用いるポリアミドエラストマー(A)
は、(イ)少なくとも50重量%のカプロラクタムを含
有するポリアミド形成性モノマーと、(ロ)炭素数4〜
20の多価カルボン酸と、(ハ)ポリオキシアルキレン
グリコール及びα,ωジヒドロキシ炭化水素の中から選
ばれた少なくとも1種類のジオール類であって、該ジオ
ール類中のポリオキシエチレングリコールセグメントの
含有量が30〜99重量%で、かつ数平均分子量が50
0〜4000のジオール類から得られ、かつ上記(イ)
成分と(ロ)成分とから形成されたハードセグメントと
なる両末端にカルボキシル基を有するポリアミドと、ソ
フトセグメントとなる(ハ)成分のジオール類とをエス
テル結合で連結したマルチブロック型の共重合体であ
る。
【0012】上記(イ)成分のカプロラクタム以外のポ
リアミド形成性モノマーとしては、例えばラウリルラク
タム、1,1−アミノウンデカン酸、1,2−アミノウ
ンデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、
ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレ
ンジアミン−ドデカン二塩酸、ヘキサメチレンジアミン
−イソフタル酸塩などが挙げられ、これらは1種類用い
てもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。カプロラ
クタムとそれ以外のポリアミド形成性モノマーを併用す
ることで、ポリアミドセグメントに異種構造が導入さ
れ、ポリアミドエラストマーに透明性の改良や融点の低
下をもたらしたり、あるいはポリアミドセグメントの結
晶化が防止され、アクリル系樹脂との組成物の流動性が
改良されるなどの効果がもたらされる。
【0013】得られるポリアミドエラストマーの透明性
やアクリル系樹脂との親和性及び帯電防止性能を十分に
発揮させるためには、ポリアミド形成性モノマー中のカ
プロラクタムの含有量が50重量%以上であることが必
要であり、その量は(ハ)成分のジオール類の分子量が
大きくなるほど、またポリアミドセグメントの含有量が
多くなるほど50重量%より多くした方が上記特性を満
たしやすい。(ハ)成分のジオール類の分子量にもよる
が、ポリアミド形成性モノマー中のカプロラクタムの含
有量は70重量%以上が望ましい。また、ヘキサメチレ
ンジアミン−アジピン酸塩を共重合成分として用いる場
合には透明性が低下しやすいので、ポリアミド形成性モ
ノマーのカプロラクタムの含有量を70重量%以上にす
るのが望ましい。同じ含有量でも(ハ)成分のジオール
類の分子量が大きくなるとポリヘキサメチレンアジパミ
ドの分子量も大きくなり易く、透明性が低下しやすくな
る。別の指標で表せば、(ハ)成分のジオール類と等モ
ル以下のヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩を用い
るようにするのが望ましい。
【0014】上記(ロ)成分の炭素数4〜20の多価カ
ルボン酸は脂肪族ジカルボン酸であってもよいし、芳香
族ジカルボン酸であってもよく、このようなものとして
は、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、この
他トリカルボン酸としてトリメリト酸などが挙げられ
る。これらは1種類用いても、2種類以上を組み合わせ
てもよい。この(ロ)成分の多価カルボン酸は、後に示
す(ハ)成分のジオール類と事実上等モル使用すること
で、高分子量のポリアミドエラストマーが得られる。
【0015】ハードセグメントであるポリアミドは該エ
ラストマーの耐熱性、強度、硬度やアクリル系樹脂との
親和性に関係するものであり、ポリアミドエラストマー
中での含有量は15〜60重量%(すなわち、(ハ)成
分のジオール類の含有量が85〜40重量%)の範囲に
あることが必要であり、30〜40重量%の範囲がより
好ましい。このポリアミドの含有量が15重量%未満で
はアクリル系樹脂に混練した場合に帯電防止性能が充分
ではなく、60重量%を超える量ではアクリル系樹脂と
の親和性が悪くなり積層部(I)の透明性が低下する。
【0016】また、このポリアミドセグメントの数平均
分子量は、通常400〜1500、好ましくは500〜
1200の範囲で選ばれる。この数平均分子量が400
未満では融点が低く、得られる積層部(I)の耐熱性が
劣るし、1500を超えると積層部(I)の透明性が低
下する傾向がみられ好ましくない。(ハ)成分のジオー
ル類のポリオキシアルキレングリコールとしては、例え
ば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、ポリオキシヘキサメチレングリコールやエチレンオ
キサイドとプロピレンオキサイドとのブロック共重合グ
リコールなどが用いられる。またこれらのポリオキシア
ルキレングリコールとしては、他のジオール類、例えば
ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ヒドロキノンなどをエーテル成分として共
重合したものも用いることができる。
【0017】また、α,ωジヒドロキシ炭化水素として
は、例えばオレフィンやブタジエンを重合して末端を水
酸基化し、かつその二重結合を水添して得られるポリオ
レフィングリコールや、水添ポリブタジエングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ
ン、ジブチレングリコールなどを用いることができる。
【0018】これらのジオール類のうち、特にポリオキ
シエチレングリコールとポリオキシテトラメチレングリ
コール、ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプ
ロピレングリコールとの組み合わせ、及びポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレングリコールブロック共重合
体とポリオキシエチレングリコール、さらにポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレングリコール共重合体とポ
リオキシエチレングリコールとの組み合わせが比較的広
い構成比率の範囲で透明なエラストマーが得られ好まし
い。
【0019】上記のジオール類のうちポリオキシエチレ
ングリコール以外のポリオキシアルキレングリコール及
びα,ωジヒドロキシ炭化水素は、得られるエラストマ
ーの親和性を適度に低下させる作用を有し、その量によ
って親和性を調整することができるが、本発明における
ジオール類中のポリオキシエチレングリコールセグメン
トの量が30〜99重量%であるように選ぶことが必要
であり、50〜99重量%となるように選ぶのがより望
ましい。ポリオキシエチレングリコールセグメントが3
0重量%未満の量では透明なエラストマーが得にくくな
り、帯電防止性能の付与能力も小さくなる。
【0020】該ジオール類は、それら全体の数平均分子
量が500〜4000の範囲であることが必要であり、
より好ましくは1000〜3000である。各構成比に
よってこの範囲になるようにジオールの数平均分子量を
選定する必要がある。この数平均分子量が500未満で
は、エラストマー中のハードセグメントの数平均分子量
が小さくなって、得られるエラストマーの融点が低くな
り、固まりにくくなる。一方、数平均分子量が4000
を超えると透明なエラストマーが形成されにくくなる。
【0021】上記(A)成分のポリアミドエラストマー
の製造方法については、均質で透明なエラストマーが得
られる方法であればよく、特に制限はないが、例えば前
記の(イ)成分、(ロ)成分及び(ハ)成分を、(ロ)
成分と(ハ)成分とが実質的に等モルになるような割合
で混合し、反応で生成する重合物中の水分を反応系中に
窒素ガスを流すかあるいは700〜300Torr程度
に減圧することによって系外へ除去しながら、好ましく
は150〜300℃、より好ましくは180〜280℃
の範囲において重合させる方法などを用いることができ
る。この方法においては脱水縮合させる際に反応温度を
段階的に昇温させることもできる。この際、一部のカプ
ロラクタムは未反応で残るが、これは減圧下に留去して
反応混合系からのぞくことが望ましい。この未反応のカ
プロラクタムをのぞいた後の反応混合物は、必要に応じ
て減圧下に、好ましくは200〜300℃、より好まし
くは230〜280℃の範囲の温度で後重合することに
よりさらに高重合させることができる。この後、重合に
際しては、チタニウムアルコキサイドやジルコニウムア
ルコキサイドなどの脱水縮合触媒を用いると反応時間が
短縮され、ポリマーの着色も防止できるので有利であ
る。これらの触媒は水が存在すると失活しやすいので、
未反応カプロラクタムの留去と共に反応系の水を系外に
除去した後に添加するのが有利である。このようにする
ことにより、短期間で高重合度化することができ、着色
もきわめて少ない透明なポリアミドエラストマーが得ら
れる。
【0022】上記の反応方法では、脱水縮合の過程でエ
ステル化とアミド化を同時に起こさせることにより、粗
大相分離することを防止し、これにより均質で透明なエ
ラストマーが得られる。このエラストマーはアクリル系
樹脂との親和性に優れ、アクリル系樹脂に混練した際に
帯電防止効果と機械的特性をもたらす。このようにして
重合した本発明のポリアミドエラストマーは、ストラン
ド状又はシート状にして水中に抜き出して冷却し、回収
することができる。
【0023】本発明において、(A)成分として用いら
れるポリアミドエラストマーは、肉厚1mmでのヘイズ
値が50%以下、より好ましくは40%以下の透明性を
有することが必要であり、このヘイズ値が50%を超え
ると得られる積層体の透明性が低下する傾向が見られ
る。本発明に用いられるポリアミドエラストマーの重合
度は必要に応じて変えることができるが、該エラストマ
ー濃度が0.5重量/容量%のメタクレゾール溶液の温
度30℃で測定した相対粘度が1.5〜3であることが
必要である。この相対粘度が1.5未満では機械的強度
に劣り、アクリル系樹脂に混練した場合に積層部(I)
の機械的強度が不足するおそれがある。好ましい相対粘
度は1.6〜3である。
【0024】さらに、得られたポリアミドエラストマー
の熱安定性を高めるために、各種の耐熱老化防止剤、酸
化防止剤などの耐熱安定剤を用いることができ、これら
はポリアミドエラストマーの重合の初期、中期、末期の
どの段階で添加してもよい。また、ポリアミドエラスト
マーをアクリル系樹脂と混練する際に添加することもで
きる。
【0025】この耐熱安定剤としては、例えばN,N′
−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシケイ皮酸アミド)、4,4′−ビス(2,6
−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビ
ス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタ
エリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕など
の各種のヒンダードフェノール類:N,N′−ビス(β
−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ
フェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,3,4
−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)などの芳香
族アミン類;ジラウリルチオジプロピオネートなどのイ
オウ化合物やリン化合物などが用いられる。
【0026】本発明で前記のポリアミドエラストマー
(A)は予め該ポリアミドエラストマー(A)とアクリ
ル系樹脂(B)との混合体にして、公知の方法例えばバ
ンバリーミキサー、ミキシングロール、一軸もしくは二
軸の押出機を使用して混練させる方法や溶剤等で溶解さ
せる等で調整しておく。その際の該ポリアミドエラスト
マー(A)とアクリル系樹脂(B)の割合は該ポリアミ
ドエラストマーが3〜70重量%であることが必要であ
る。3重量%未満だと帯電防止効果が小さくなり70重
量%を超えると強度低下を招き積層樹脂板表面層の物性
を悪くする。より好ましくは該ポリアミドエラストマー
(A)が5〜50重量%含まれているものである。
【0027】積層部(I)としてポリアミドエラストマ
ー(A)と予め混合されるアクリル系樹脂(B)は、例
えばポリメタクリル酸メチル(MMA樹脂)、ゴム強化
ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ブタジ
エン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メタクリル酸
メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体(MABS樹脂)及びメタクリル酸メチル60重量
%以上と他の共重合体ビニルモノマー40重量%以下と
を共重合させてなる重合体、分子鎖中に無水グルタル酸
単位またはグルタルイミド単位を有する重合体などが挙
げられ、これらは1種類用いてもよいし、2種類以上を
組み合わせてもよい。また、上記共重合体ビニルモノマ
ーとしては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2メチルヘキシル、
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸t−ブチルシク
ロヘキシル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロ
ニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレ
イン酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0028】本発明の積層部(I)のアクリル系樹脂組
成物においては、帯電防止性をより優れたものとするた
めに、場合により積層部(I)のアクリル系樹脂組成物
層に(C)成分として有機電解質や無機電解質を添加す
ることができる。前記(A)成分のポリアミドエラスト
マーと(C)成分の電解質を併用することにより、相乗
効果によって、帯電防止性能のより優れた組成物が得ら
れる。
【0029】これらの有機及び無機電解質は特開平3−
255161号公報に詳細に示されているが、そこには
例えばドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸、ラウリルスルホン酸、ステアリン酸やそれらの
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、トリメチルオク
チルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウム
クロリドなどの四級アンモニウム塩、アミルトリフェニ
ルホスホニウムブロミドなどの四級ホスホニウム塩、無
機電解質としてはAgNO3 、KBr、KSCN、Na
Brなどの塩が挙げられる。該(C)成分の電解質の添
加量は、ポリアミドエラストマー(A)成分とアクリル
系樹脂(B)成分との合計量100重量部に対して10
重量部以下、好ましくは0.01〜10重量部、より好
ましくは0.1〜5重量部の範囲で選ばれる。この量が
0.01重量部未満では添加物の効果が十分に発揮され
ないし、10重量部を超えると衝撃強度の低下や外観の
低下などが好ましくない。また、これらの電解質の中
で、金属腐食性や外観の点から有機電解質の方が無機電
解質より好ましい。
【0030】本発明の積層部(I)には、本発明の目的
をそこなわない範囲で、所望に応じ各種添加成分、例え
ば顔料、染料、補強性充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、
核剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、
他の重合剤などを、混練過程や成形過程など任意の過程
において含有させることができる。補強性充填剤として
は、例えばガラス繊維、炭素繊維などの繊維状補強材や
マイカ、タルク、クレー、ケイ酸カルシウム、炭酸カル
シウム、ガラス箔、ガラスビーズ、他のポリマーの粒状
又は薄片状充填剤を挙げることができる。また、難燃性
を付与するために用いられる難燃剤としては、例えば有
機ハロゲン系、有機リン系、金属水酸化物などを挙げる
ことができる。
【0031】本発明において積層部(I)の厚みは10
〜200μmの範囲で積層させることが必要であり、2
0〜100μmの範囲がより好ましい。この積層部
(I)の厚みが10μm未満では帯電防止効果が小さく
なることに加え、均一に積層させることが困難になる。
200μmを超える厚みでは難燃性や強度など基板部の
ポリカーボネート樹脂の特性が低下する。
【0032】本発明で積層部(I)に用いるアクリル樹
脂は、一般グレードアクリル樹脂および耐衝撃性アクリ
ル樹脂が適している。ここで一般グレードアクリル樹脂
とは、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタ
クリレート単位を有するアクリル樹脂であり、押出、そ
の他熱加工時の安定性の点から、炭素数1〜4のアルキ
ル基を有するアルキルアクリレートを1〜20重量%共
重合させたものが好ましい。
【0033】なお、上記の炭素数1〜4のアルキル基を
有するアルキルメタクリレートの例としては、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタク
リレート、ブチルメタクリレート等があり、これらの中
では物性上メチル及びエチルメタクリレートが最も好ま
しい。また、耐衝撃性アクリル樹脂とはメチルメタクリ
レートを主成分とする連続樹脂相中に常温でゴム状を示
す弾性体を粒子状で不連続的に5〜70重量%分散させ
たもの等である。
【0034】ここで、常温でゴム状を示す弾性体として
は、例えばアクリル酸エステル系重合体およびエチレン
−酢酸ビニル共重合体等のゴム状弾性体をいう。また、
アクリル酸エステル系重合体の具体例としては、ブチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を主
成分とするものがあり、その代表例としてはブチルアク
リレート等のアルキルアクリレートとスチレンのグラフ
ト化ゴム弾性成分とメチルメタクリレートおよび/また
はメチルメタクリレートとアルキルアクリレートとがコ
ア−シェル構造で多層を形成している粒子状の弾性体が
ある。
【0035】また、本発明で積層部(II)に用いられ
る紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキ
シベンゾフェノン系またはサリチル酸フェニルエステル
系紫外線吸収剤等から選ばれる。ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤としては2−(5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキ
シ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニ
ル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−
t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール等が例示でき、2−ヒドロ
キシベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′
−クロルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,
4′−ジメトキシベンゾフェノン等が例示でき、またサ
リチル酸フェニルエステル紫外線吸収剤としてはパラ−
t−ブチルフェニルサリチル酸エステル、パラ−オクチ
ルフェニルサリチル酸エステル等が例示できる。
【0036】これらの紫外線吸収剤は、積層部(II)
の厚みに応じて決められた範囲の濃度で予め積層部2用
のアクリル樹脂と混合させておく必要がある。その濃度
はポリカーボネートの耐候性を改良するために下記に示
す関係を満足する必要がある。 積層部(II)の厚み(μm)×紫外線吸収剤濃度
(%)=10〜200 であり、好ましくは上記の積が20〜150の範囲であ
る。
【0037】上記の積層部(II)の厚み(μm)と紫
外線吸収剤濃度(%)の積が10未満の場合は耐候性改
善の効果が小さく、また該積が200を超えた場合は積
層部(II)に着色が現れたりして透明体としては好ま
しくない。本発明における積層部(II)の厚みは10
〜200μm、好ましくは20〜100μmであること
が必要である。該厚みが10μm未満では積層部(I
I)を基板部であるポリカーボネート樹脂に安定して均
一に積層させることが難しく、そのため耐候性改善の効
果を確実なものとすることができず、また該厚みが20
0μmを超えると基板部の耐衝撃性を低下させ好ましく
ない。
【0038】また本発明の積層部(II)には、本発明
の目的をそこなわない範囲で、顔料、染料、補強性充填
剤、熱安定剤、酸化防止剤、核剤、滑剤、可塑剤、離型
剤、難燃剤、他の重合剤などを、混練過程や成形過程な
ど任意の過程において含有させることができる。本発明
の積層部(I)、基板部及び積層部(II)からなる自
動販売機前面板の全体厚みは、一般に1.5〜5mmで
あり、2〜3mmの厚みのものがよく用いられる。
【0039】本発明の積層部(I)、基板部及び積層部
(II)からなる自動販売機前面板を製造するための方
法については特に制限はない。例えば積層部(I)、基
板部及び積層部(II)の原料樹脂を同時に溶融押出し
てシート化する共押出法や、押出成形されたポリカーボ
ネート樹脂基板部に積層部(I)、積層部(II)の原
料樹脂をTダイより溶融押出しラミネートする方法、あ
らかじめフィルム状に成形された積層部(I)、積層部
(II)をポリカーボネート基板部に加熱ロール間で連
続的にラミネートする方法、シート状に成形された積層
部(I)、積層部(II)をプレスで熱圧着する方法等
を用いて、まずポリカーボネート樹脂積層樹脂板を作製
し、この積層樹脂板を真空成形等により自動販売機前面
板に加工するのが一般的な製造方法である。あるいは真
空成形時に積層部(I)と基板部、積層部(II)を積
層して一体化する方法なども用いうる。
【0040】積層樹脂板をつくる一つの方法である共押
出法は積層時に両層の流動性を合わせ均一にすることが
できるので両層の密着性がよく成形歪も類似になる点で
優れている。共押出は通常の押出機を3台以上使って基
板部は40mmφ、60mmφ、90mmφ、110m
mφ等の押出機で、また積層部(I)、積層部(II)
はそれより小さい20mmφ、30mmφ、45mmφ
等の押出機を用いる。他の方法としてラミネート法があ
るが、この場合は予め積層部(I)、積層部(II)か
らなるフィルムを作成しておき、積層樹脂板はこのフィ
ルムを押出機出口のポリッシングロール部で基板部シー
トと重ね合わせることにより作成することができる。
【0041】この場合、重ね合わせ時の空気混入防止
と、ロール温度等による密着性の向上等が技術上のポイ
ントである。積層樹脂板をつくる方法として前記の様に
共押出法、ラミネート法、コーティング法などがある
が、この中で経済性、製品の出来上がり外観、耐溶剤性
などの問題からみて共押出法によるものが一般的であり
優れた製品を得ることができ好ましい。
【0042】積層樹脂板の積層部(I)、基板部及び積
層部(II)の厚みコントロールは3台以上の押出機の
押出量と押出機出口にあるポリッシングロールクリアラ
ンスで調整できる。また、積層樹脂板を作成する場合、
いわゆる積層部(I)と基板部、基板部と積層部(I
I)の流動性を合わせることが大事であるが、これは具
体的には押出機の温度を調整することで実施することが
できる。
【0043】
【実施例】以下に実施例、比較例を用いて本発明の効果
をさらに具体的に説明する。なお、各実施例および比較
例で用いた評価、試験方法を以下に示す。 (1)全光線透過率:JIS K 7105に基づき、
3mm厚みの試験片を用いて23℃で測定した。 (2)耐衝撃性:開口部23cm角の指示台の上に積層
板を置き、重さ5kgの鋼球を1mの高さから落下させ
て、前面板の割れの有無を観察した。 (3)燃焼性:積層板の下端部にライターの炎を10秒
間あて、炎を離した後の板の燃焼時間を計測した。結果
を下記の記号で示した。 ○ 炎を離すと10秒以内に消火する。 △ 炎を離すと30秒以内に消火する。 × 炎を離しても30秒以上燃え続ける。 (4)表面抵抗:東亜電波社製ULTLAMEGOHM
METER MODEL SM−10Eを用い、23
℃、55%RHで積層部(I)が積層されている面を測
定した。 (5)耐候性:スガ試験機(株)製のサンシャインウエ
ザーメーターで、サンシャインスーパーロングライフカ
ーボンを使用し連続照射、ブラックパネル温度63℃、
降雨無し102分後降雨18分のサイクルを繰り返す条
件下で、積層部(II)を積層した面に照射されるよう
積層板ををセットし、1000時間照射後のサンプルの
黄色度を測定し、試験前黄色度からの変化を黄変度とし
て評価した。
【0044】
【実施例1】 (1)積層部(I)用アクリル系樹脂組成物の作製 かきまぜ機、窒素導入口、留去管を取り付けた500ミ
リリットルのガラス製反応器に数平均分子量1490の
ポリオキシエチレングリコール64.0g、数平均分子
量1830のポリオキシテトラメチレングリコール6
4.0g、セバシン酸15.8g、カプロラクタム7
7.5g、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩2.
0g及びペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕0.4gを仕込み、窒素を90ミリリットル
/分で流しながら260℃で4時間反応させた。ついで
徐々に減圧して未反応のカプロラクタムを留去した後、
常圧に戻してからテトラブトキシジルコニウム0.4g
を添加して、260℃、1Torrで1.0時間反応さ
せた。反応器から溶融ポリマーをストランド状にして水
中に抜き出して冷却し、ペレタイザーでカットして透明
なポリアミドエラストマーのチップを得た。このエラス
トマーは、ソフトセグメント含有量が63重量%で、そ
のうちポリオキシエチレングリコールセグメントを50
重量%含有し、ヘイズ値9%、相対粘度2.1であっ
た。
【0045】このようにして得られたポリアミドエラス
トマー10重量部とアクリル樹脂(デルペット(登録商
標)LP−1 旭化成工業(株)製)89.5重量部及
び添加剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5
重量部を混合してアクリル系樹脂組成物として、一軸押
出機(30mmφダルメージ付きスクリュー、L/D=
26)で混練押出し、冷却路を通じてペレット化した。
このペレットを80℃で3時間真空乾燥した後積層樹脂
板の積層部(I)用樹脂(A−1)とした。 (2)積層部(II)用アクリル樹脂の作製 アクリル樹脂としてメチルメタクリレートとメチルアク
リレートの共重合体のデルペット(登録商標)LP−1
(旭化成工業(株)製)96.8重量%、紫外線吸収剤
として2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビン329 商品名
日本チバガイギー(株)製)を3重量%、さらに押出
機内での熱分解を防ぐためにイルガノックス1076
(商品名日本チバガイギー(株)製)0.2重量%をブ
ラベンダーを用い、約2時間機械的に混合した。これを
一軸押出機(30mmφダルメージ付きスクリュー、L
/D=26)で混練押出し、冷却路を通じてペレット化
した。このペレットを80℃で3時間真空乾燥した後、
積層樹脂板の積層部(II)用樹脂(A−2)とした。
【0046】(3)積層樹脂板の作製 上記の積層部(I)用樹脂(A−1)をバレル直径30
mm、スクリューのL/D=32の押出機を用いシリン
ダー温度270℃で押し出し、同様に積層部(II)用
樹脂(A−2)をバレル直径30mm、スクリューのL
/D=32の押出機を用いシリンダー温度270℃で押
し出し、一方、ポリカーボネート樹脂(タフロン(登録
商標)IV2700 出光石油化学(株)製)を基板部
用樹脂としてバレル直径110mm、スクリューのL/
D=32の押出機を用いてシリンダー温度270℃で押
し出し、マルチマニホールドタイプのダイ(温度270
℃)を用いて、基板部の片面に積層厚み30μmの積層
部(I)を、もう片面に積層厚み30μmの積層部(I
I)を設けた積層樹脂板(全体厚み3mm、長さ130
0mm、巾1100mm)を試作した。積層部(I)お
よび積層部(II)の厚みのコントロールは押出機の回
転数で押出量を調整して行った。また積層部(I)およ
び積層部(II)の厚みは、成形した積層樹脂板を切り
出し、断面を研磨してから光学顕微鏡を用いてそれぞれ
観察した。 (4)自動販売機前面板の作製 上記のようにして得られた積層樹脂板を用い、積層部
(I)を積層した面が自動販売機前面板の内側になるよ
う型上にクランプし、400℃のヒーターで10秒間加
熱した後突き上げ成形を行い、自動販売機前面板を作製
した。このようにして得られたサンプルについて耐衝撃
性、燃焼性、表面抵抗、耐候性の評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0047】
【実施例2】積層部(I)用樹脂(A−1)の積層厚み
を70μmにした以外は実施例1と同様に実施した。そ
の評価結果を表1に示す。
【0048】
【実施例3】積層部(II)用樹脂(A−2)の紫外線
吸収剤濃度を4重量%にし、かつ積層部(II)の積層
厚みを20μmにした以外は実施例1と同様に実施し
た。その評価結果を表1に示す。
【0049】
【比較例1】積層部(I)用樹脂(A−1)の積層厚み
を5μmにした以外は実施例1と同様に実施した。その
評価結果を表1に示す。
【0050】
【比較例2】積層部(I)用樹脂(A−1)の積層厚み
を300μmにした以外は実施例1と同様に実施した。
その評価結果を表1に示す。
【0051】
【比較例3】積層部(II)用樹脂(A−2)の積層厚
みを3μmにした以外は実施例1と同様に実施した。そ
の評価結果を表1に示す。
【0052】
【比較例4】積層部(II)用樹脂(A−2)の紫外線
吸収剤濃度を6重量%にし、かつ積層部(II)の積層
厚みを50μmにした以外は実施例1と同様に実施し
た。その評価結果を表1に示す。
【0053】
【比較例5】積層部(I)および積層部(II)を設け
ず、ポリカーボネート樹脂(タフロン(登録商標)IV
2700 出光石油化学(株)製)を単独で押し出し厚
さ3mmの板を得、自動販売機前面板に成形したのち実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
【比較例6】積層部(I)および積層部(II)を設け
ず、アクリル樹脂(デルペット(登録商標)SR 旭化
成工業(株)製)を単独で押し出し厚さ3mmの板を
得、自動販売機前面板に成形したのち実施例1と同様の
評価を行った。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明により、基板部樹脂の特性を低下
させることなく、帯電防止性能に優れ、かつ耐候性に優
れた積層樹脂板製の自動販売機前面板を提供しうる。こ
の自動販売機前面板は、耐衝撃性アクリル樹脂板製に比
べ、耐衝撃性、難燃性に優れており、なおかつ前面板内
側で帯電防止性能を有していることから自動販売機内部
面でのちりやほこりの付着がほとんどなく、かつ外側は
黄変や失透等が発生しないため、外観の美麗さを長期間
保持することができ、大いに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G07F 9/10 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自販機前面板のポリカーボネート樹脂を
    主体としてなる単層または積層の基板部の内側面に、透
    明なポリアミドエラストマー(A)3〜70重量%とア
    クリル系樹脂(B)97〜30重量%を含有してなるア
    クリル系樹脂組成物からなる積層部(I)を10〜20
    0μm積層せしめ、上記基板部の外側面に積層部厚み
    (μm)×紫外線吸収剤濃度(%)=10〜200を満
    足する濃度の紫外線吸収剤を含むアクリル樹脂からなる
    積層部(II)を10〜200μm積層せしめた積層樹
    脂板からなり、上記ポリアミドエラストマー(A)は、
    (イ)少なくとも50重量%のカプロラクタムを含有す
    るポリアミド形成性モノマー、(ロ)炭素数4〜20の
    多価カルボン酸、並びに(ハ)ポリオキシアルキレング
    リコール及びα,ωジヒドロキシ炭化水素の中から選ば
    れた少なくとも1種類のジオールからなり、該ジオール
    類中のポリオキシエチレングリコールセグメントの含有
    量が30〜99重量%であって、かつ数平均分子量が5
    00〜4000であるジオール類を、上記(ハ)成分の
    含有量が40〜85重量%となるように縮重合させてな
    るポリエステルエラストマーであり、かつ該ポリアミド
    エラストマー(A)は、温度30℃における相対粘度が
    1.5〜3、厚み1mmのヘイズ値が50%以下である
    ことを特徴とする積層樹脂板製自動販売機前面板。
  2. 【請求項2】 積層部(I)が、ポリアミドエラストマ
    ー(A)成分とアクリル系樹脂(B)成分との合計量1
    00重量部に対し、有機電解質及び無機電解質の中から
    選ばれた少なくとも1種を0.01〜10重量部含有し
    てなるアクリル系樹脂組成物からなる請求項1記載の積
    層樹脂板製自動販売機前面板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012016819A (ja) * 2010-06-09 2012-01-26 Sumitomo Bakelite Co Ltd 構造物および樹脂プレート
JP2012040724A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Origin Electric Co Ltd 不燃材

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