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JPH07289278A - 直鎖型のアミロースの製造法 - Google Patents

直鎖型のアミロースの製造法

Info

Publication number
JPH07289278A
JPH07289278A JP11013194A JP11013194A JPH07289278A JP H07289278 A JPH07289278 A JP H07289278A JP 11013194 A JP11013194 A JP 11013194A JP 11013194 A JP11013194 A JP 11013194A JP H07289278 A JPH07289278 A JP H07289278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier
amylose
enzyme
phosphorylase
immobilized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11013194A
Other languages
English (en)
Inventor
Jinichi Miyamoto
仁一 宮本
Kazuhiro Maeda
和宏 前田
Masahiro Fujimori
正宏 藤森
Kichiya Kawamura
吉也 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nakano Vinegar Co Ltd
Original Assignee
Nakano Vinegar Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nakano Vinegar Co Ltd filed Critical Nakano Vinegar Co Ltd
Priority to JP11013194A priority Critical patent/JPH07289278A/ja
Publication of JPH07289278A publication Critical patent/JPH07289278A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ホスホリラーゼを用いてグルコース−1−リ
ン酸もしくはその塩とマルトデキストリンとからアミロ
ースを製造する方法において、酵素として多孔質キトサ
ン担体に固定化したホスホリラーゼを用いることを特徴
とするアミロースの製造法。 【効果】 本発明ではアミロースの製造にあたり、ホス
ホリラーゼの固定化担体として優れた物質拡散性をもつ
多孔質キトサン担体を用いることにより、ホスホリラー
ゼを効果的に固定化して基質溶液の連続通液による酵素
反応が可能となり、効率よく生産量を高めることができ
る。また、バッチ反応においても酵素の反復使用が可能
となり、酵素の消費が節約でき、アミロースの製造コス
トを低減することができる。さらに、反応条件を制御す
ることにより、高重合度のアミロースを得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固定化酵素によるアミロ
ースの製造法に関し、さらに詳しくは多孔質キトサン担
体に固定化したホスホリラーゼを用いることにより、ア
ミロースを効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】アミ
ロースは古くから段ボール等の接着剤、分散剤、アミラ
ーゼの基質等として用いられている他、近年では高速液
体クロマトグラフ(HPLC)用カラムの充填剤の素材
や生分解性プラスチックの原料としても利用されてい
る。従来、アミロースを製造する方法としては、ブタノ
ールを用いてアミロース複合体を形成させ、これを分離
する方法、硫酸マグネシウムを用いてアミロースを分別
する方法、イソアミラーゼやプルラナーゼなどの枝切り
酵素を用いてα−1,6グルコシド結合を切断し、得ら
れるアミロースを分別する方法などが知られている。し
かし、これらの方法で製造したアミロース中には、わず
かに分岐した分子を含むことが明らかにされている。す
なわち、分岐構造を有するアミロースは、α1→6結合
の側鎖が加わったアミロペクチンであるのに対して、本
発明の方法で得られるものはα1→4結合のみを有する
構造のアミロース(直鎖型のアミロース)である。
【0003】一方、酵素的にアミロースを合成する方法
としては、ホスホリラーゼを用いてマルトデキストリン
とグルコース−1−リン酸の塩から製造する方法などが
知られている(Biochemical Journal 、vol. 58, 560(1
954)など) 。しかし、これらの製造法はバッチ反応によ
って行なわれているため、生産性を高めようとすると、
反応を行なうためのタンクの規模が大きくなったり、ま
た精製されたホスホリラーゼが使い捨てになるため、工
業的なアミロースの製造という点でコスト上極めて不利
なものである。また、これらの方法で得られるアミロー
スは重合度が高々数十から400程度であり、さらに重
合度の高いアミロースを得ることは困難であった。
【0004】このような課題を解決するため、ホスホリ
ラーゼを担体に結合させた固定化酵素を用いることが提
案されている。例えば、グルタルアルデヒドもしくは2
−アミノ−4,6−ジクロロ−S−トリアジンを用いた
アルキルアミンガラスあるいはシリカセルロース複合体
への共有結合による固定化酵素が用いられている(Carb
ohydrate Research 、vol. 25, 489(1972))。しかし、
これらの固定化方法はホスホリラーゼ吸着量が低いた
め、アミロースの合成能が低く、かつこれらの固定化方
法で得られた固定化ホスホリラーゼの安定性は工業的な
製造に使用するには十分でないという問題点があった。
また、酵素の固定化をイオン交換等の吸着法によって行
なうと、酵素反応の進行と共に酵素の離脱が激しく、固
定化酵素の活性が低下し、安定した品質のアミロースが
供給できないという欠点があった。さらに、これらの方
法によっても重合度のより高いアミロースを得ることは
困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、ホ
スホリラーゼを用いてマルトデキストリンとグルコース
−1−リン酸を反応させてアミロースを製造する方法に
ついて鋭意研究した結果、多孔質のキトサン担体にホス
ホリラーゼを固定化した固定化酵素を用いれば、アミロ
ースを効率的に製造できることを見出し、またその際の
反応条件を制御することにより、高重合度のアミロース
が得られるという知見を得て本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明はホスホリラーゼを用い
てグルコース−1−リン酸もしくはその塩とマルトデキ
ストリンとからアミロースを製造する方法において、酵
素として多孔質キトサン担体に固定化したホスホリラー
ゼを用いることを特徴とするアミロースの製造法を提供
するものである。
【0007】本発明に用いる固定化担体である多孔質キ
トサンとは、自然界に広く存在する甲殻類・節足動物に
広汎に含まれる天然高分子キチンを脱アセチル化してキ
トサンとし、このキトサンを粒状化あるいは多孔質化し
て良好な吸着性能を持たせたものである。例えばキトパ
ール(商品名、富士紡績(株)製)はこのような担体と
して好適に用いることができる。これは天然高分子キチ
ンを脱アセチル化した後、ジカルボン酸、ジアルデヒ
ド、ジイソシアネート等で架橋して耐酸性を付与したも
のに、さらにスペーサーとして脂肪族または芳香族系な
どの官能基を導入した多孔性担体であり、pH安定性、
耐薬品性、熱安定性、物質拡散性に優れている。この担
体は粒径0.1〜3.0mm、孔径3.0μm 以下、比表面積1
5〜230m2/gであるが、本発明ではこれらの値のもの
に制限されるものではない。
【0008】また、本発明に使用される多孔質キトサン
担体は、多孔質という性質上、物質拡散性に非常に優れ
ているため、固定化された酵素と基質との接触も良好で
あると考えられる。そのため、例えば平均重合度500
以上の高重合アミロースを製造するのにも非常に適して
いる。
【0009】次に、本発明で用いるホスホリラーゼは、
その起源に制限がなく、動物、植物および微生物に広く
分布しているものを使用できる。例えば動物ではウサギ
やネズミなどの筋肉、肝臓、心臓、小腸などに存在し、
植物ではジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、バナ
ナなどに存在する。また、微生物では酵母や大腸菌など
の多くに存在する。本発明に用いるホスホリラーゼは、
その由来は問わないが、できるだけアミラーゼが含まれ
ない精製したホスホリラーゼが好ましい。
【0010】多孔質キトサンからなる担体に、ホスホリ
ラーゼを吸着させる方法についても特に制限はなく、例
えば緩衝液中で担体と酵素とを接触させる方法を採用す
ることができる。この方法の基本的な手順は以下の通り
である。 酵素の吸着に用いる緩衝液により、担体を十分平衡化
(例えば24時間浸潤)させ、必要ならば酵素を完全に
吸着させるために脱気する。 付着水を軽く除去した担体を酵素溶液に加え、室温で
1〜24時間放置するか、または0.5〜5時間往復振盪
処理する。 酵素が吸着した担体を濾紙またはガラスフィルターで
濾過する。 続いて緩衝液で蛋白質が溶出しなくなるまで洗浄す
る。 上記のようにして、本発明で使用する固定化酵素を得る
ことができる。
【0011】しかし、本発明に用いるさらに改善された
固定化酵素は、次のような方法で得ることができる。 (1) 酵素の吸着に用いる緩衝液により、担体を十分に平
衡化(例えば24時間浸潤)させ、必要に応じてさらに
脱気等の前処理を行なう。 (2) 付着水を軽く除去した担体を1〜5%(重量%、以
下同じ)グルタルアルデヒド溶液に加え、室温で1〜2
時間振盪攪拌する。 (3) グルタルアルデヒドが吸着した担体を、グルタルア
ルデヒドが溶出しなくなるまで水で洗浄する。 (4) 次いで、付着水を軽く除去した担体を酵素溶液に加
え、室温で1〜24時間放置するか、または0.5〜5時
間往復振盪処理する。 (5) 酵素が吸着した担体を濾紙またはガラスフィルター
で濾過する。 (6) 続いて緩衝液で蛋白質が溶出しなくなるまで洗浄す
る。 この方法により得られた固定化酵素は、反応中に固定化
担体からの酵素の離脱が少なく、安定で、活性発現率が
高くなる傾向にある。
【0012】また、酵素の固定化方法としては、上述の
方法の他に、多孔質キトサンからなる担体をカラムに充
填した後、必要に応じてグルタルアルデヒド溶液を下降
法または上昇法により通液洗浄し、その後、同様に酵素
液を通液する方法なども採用することができる。
【0013】本発明による固定化酵素を用いたアミロー
スの製造方法は、特に限定されないが、例えば固定化酵
素をカラムに充填し、基質としてグルコース−1−リン
酸とマルトデキストリンの混合溶液を用い、これを上記
カラムに連続通液することにより、目的とするアミロー
スを効率的に製造することができる。なお、本固定化酵
素は、特に失活が認められないpHあるいは温度条件で
あればアミロースを生成するが、酵素反応は、マルチチ
ェーンメカニズムにより進行するため、反応のプライマ
ーとなるマルトデキストリンの量を少なくし、反応時間
を長くすれば、高重合度のアミロースを得ることができ
る。
【0014】基質として用いるグルコース−1−リン酸
はグルコース−1−リン酸塩でもよく、その場合の塩と
しては特に限定されないが、カリウム塩、ナトリウム塩
が好ましい。これらグルコース−1−リン酸またはグル
コース−1−リン酸塩の濃度は0.1〜50%、好ましく
は1.0〜20%であり、pH4.5〜10、好ましくは5.
5〜8.0の緩衝液を用いて調製する。なお、特に高重合
度のアミロースを得ようとする場合は、少なくとも3%
以上の濃度とすることが好ましい。
【0015】また、基質として用いるマルトデキストリ
ンについても特に限定されないが、グルコース重合度が
4以上のマルトテトラオース、マルトペンタオース、マ
ルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどが好まし
く、濃度は通常0.0001〜10%、好ましくは0.01
〜1%である。なお、特に高重合度のアミロースを得よ
うとする場合は、0.005%以下の濃度が好ましい。
【0016】その他の反応条件、例えば固定化酵素量、
反応時間、反応温度、カラム通液時間等は適宜決定すれ
ばよい。なお、反応系に適当な添加剤、防腐剤などを適
宜くわえることができる。ところで、高重合度のアミロ
ースを得ようとする場合、グルコース−1−リン酸また
はグルコース−1−リン酸塩と、マルトデキストリン
(好ましくはマルトテトラオース、マルトペンタオー
ス)溶液(pH5.5〜8.0)を基質とし、特にマルトデ
キストリン濃度を0.0001〜0.005%として、その
基質溶液を40〜55℃の条件下、特定の流速で特定量
の固定化酵素を詰めたカラムに通液すればよい。通液時
間を長くすれば、より重合度の高いアミロースが得られ
るので、流速を調節することによって、重合度をコント
ロールすることができる。
【0017】本発明によれば、基質を連続通液して反応
を行なうことができるので、大型の反応タンクを用いず
に生産量を高めることができる。さらに、ホスホリラー
ゼ活性を長期間にわたり保持することができるので、酵
素を有効に利用して製造コストを低減することが可能と
なる。なお、ここで得られた固定化酵素はバッチ式での
反応にも適用することができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 試験例1 活性発現率の高い固定化担体を検討するため、固定化用
担体として3タイプの「キトパール」(商品名、富士紡
績(株)製)を用いて試験を行なった。すなわち、4級
アミンをもつイオン結合モードの担体(キトパールBC
W−2510)、イオン結合と疎水結合の吸着モードを
もつ担体(キトパールBCW−3010)、疎水結合モ
ードをもつ担体(キトパールBCW−3510)および
対照として陰イオン交換樹脂である「アンバーライト
IRA−93(商品名、ローム・アンド・ハース社
製)」を用いた。
【0019】なお、酵素の固定化は担体と酵素の親和性
による吸着法とグルタルアルデヒド処理をした担体に酵
素を共有結合させる共有結合法とを用いた。すなわち、
それぞれの担体を0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)
で十分に平衡化した後、ジャガイモから精製したホスホ
リラーゼ(澱粉科学、第36巻、第4号、p257〜2
64(1989)参照)を用い、pH5〜8.5とした緩
衝液または水溶液を調製する。この酵素溶液を担体1g
(湿重量)当り、500単位添加し、室温で2時間往復
振盪(120ストローク/分)して担体に酵素を吸着さ
せた後、濾紙またはグラスフィルターで濾過し、得られ
た固定化酵素を上記緩衝液で蛋白質が溶出しなくなるま
で洗浄し、吸着法で酵素を固定化した担体を得た。
【0020】一方、それぞれの担体を0.1Mマレイン酸
緩衝液(pH6.0)で十分に平衡化した後、担体を2.5
%グルタルアルデヒド溶液中で室温で2時間往復振盪し
て、担体を活性化させた。担体を上記緩衝液にて十分に
洗浄した後、ジャガイモから精製したホスホリラーゼ
(澱粉科学、第36巻、第4号、p257〜264(1
989)参照)を用い、この酵素溶液を担体1g(湿重
量)当り500単位添加し、室温で2時間往復振盪(1
20ストローク/分)して担体に酵素を共有結合させた
後、濾紙またはグラスフィルターで濾過し、得られた固
定化酵素を上記緩衝液で蛋白質が溶出しなくなるまで洗
浄し、共有結合法で酵素を固定化した担体を得た。各担
体の活性発現率を図1に示す。なお、活性発現率は次式
によって算出した値である。
【0021】
【数1】
【0022】図1から明らかなように、吸着法によって
酵素を固定化させた場合、陰イオン交換樹脂よりも多孔
質キトサン担体の活性発現率が優れていることが判る。
また、同じ多孔質キトサン担体を使用した場合では、吸
着法よりも共有結合法によって結合させた担体の方が活
性発現率が高いことが判る。これは酵素の使用コストを
節減できることを意味している。
【0023】実施例1 固定化担体「キトパール BCW−2510」(富士紡
績(株)製)を試験例1と同様にして、共有結合法によ
ってホスホリラーゼを固定化させた。この固定化酵素担
体8gを100mlの三角フラスコにとり、その中に基
質溶液として、マルトペンタオース0.05%、グルコー
ス−1−リン酸二カリウム塩4%を含む0.1Mマレイン
酸緩衝液(pH6.0)を50ml入れ、45℃のオーブ
ン中で基質溶液を攪拌させながら20時間反応させた。
さらに、反応終了後、固定化酵素担体を回収し、脱イオ
ン水にて十分洗浄した後、その担体を使用して、同様
に、次のアミロースの合成反応を行なった。この操作を
5回繰り返したが、活性は保持され、一定量のアミロー
スを生成することができた。
【0024】上記の反応毎に、反応終了後、溶液をサン
プリングし、以下の条件のHPLCによるゲル濾過法に
より、生成したアミロースの合成量と平均重合度を求め
た。なお、カラムはTOSOH G6000PWXLと
G3000PWXL(東ソー(株)製)を用い、直列に
つなぎサンプル液量20μlをインジェクションした。
溶離液は0.25M酢酸カリウム溶液を用い、0.7ml/
minの流速、カラム温度55℃の条件で分析した。検
出にはRI検出器SIMAZU RID−6A((株)
島津製作所製)を用いた。なお、分子量の標準試料とし
ては光散乱法にて分子量を測定したアミロース標準品
((株)中埜酢店製)を使用した。また、反応前と反応
後に、使用した固定化酵素の活性発現率の変化をみるた
めに試験例1と同様の方法で活性発現率を測定した。結
果を第1表に示す。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 固定化担体「キトパール BCW−2510」(富士紡
績(株)製)を実施例1と同様にして、吸着法によって
ホスホリラーゼを固定化させたもの(固定化酵素I)と
共有結合法によって固定化させたもの(固定化酵素II)
をそれぞれ60gずつカラムに充填し、45℃のオーブ
ン中で基質溶液を連続通液して、30日間連続生産実験
を行なった。このときの基質溶液の組成は、マルトペン
タオース0.03%、グルコース−1−リン酸二カリウム
塩5%を含む0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.2)であ
り、流速100ml/hrでカラムに通液させた。
【0027】経時的にカラムの出口より反応液をサンプ
リングし、HPLCによるゲル濾過法により、実施例1
と同様の条件で生成したアミロースの合成量と平均重合
度を求めた。その結果、固定化酵素Iのカラムでは、3
0日経過後もアミロースを製造し続けたが、経時的にア
ミロースの合成量と平均重合度は低下した。一方、固定
化酵素IIのカラムでは、30日経過後もアミロースの合
成量と平均重合度をあまり減少させることなく製造を続
けることができた。結果を第2表に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3 本固定化酵素担体を使用してアミロースの製造を行なっ
た場合、その反応条件を変化させることによって生成す
るアミロースの重合度を制御することができるか否かを
検討する目的で、以下の試験を行なった。本固定化酵素
は、特に失活が認められないpHあるいは温度条件であ
ればアミロースを生成するが、高重合度のアミロースを
生成させるためには、好ましくはpH5.5〜6.5、好ま
しくは反応温度は40〜50℃の範囲で反応させるのが
良いことが判った。また、本酵素反応は、マルチチェー
ンメカニズムにより反応が進むため、反応のプライマー
となるマルトデキストリンの量を少なくし、反応時間を
長くすれば、高重合度のアミロースを得ることができ
る。
【0030】実施例2の共有結合法によって固定化させ
た同様の酵素カラムに基質溶液を通液させた。通液流速
をペリスターポンプにて変化させ、流速と生成するアミ
ロースの平均重合度の関係を試験した。重合度の分析は
流速を変化させてから2時間後にカラムの出口から出て
きた液をサンプリングして、実施例1と同様HPLCに
よるゲル濾過法により行なった。結果を第3表に示す。
流速を変化させることにより、生成するアミロースの重
合度を制御させることができた。
【0031】
【表3】
【0032】実施例4 実施例2と同様に共有結合法によって酵素を固定化させ
た担体8gを三角フラスコにとり、その中に基質溶液と
してマルトペンタオース0.0003%、グルコース−1
−リン酸二カリウム塩4%を含む0.1Mマレイン酸緩衝
液(pH6.0)50ml入れ、50℃のオーブン中で溶
液を攪拌下で反応させた。4日後、溶液をサンプリング
し、実施例1と同様に生成したアミロースの重合度を分
析し、その結果重合度5,000の高重合度アミロース
が得られた。
【0033】実施例5 実施例4で得られた高重合度アミロースが直鎖構造であ
るかを確認するため、β−アミラーゼ(シグマ製)によ
るアミロースの分解率を測定した。すなわち、生成した
アミロース粒子15mgを50mM酢酸ナトリウム緩衝
液(pH5.0)50mlに溶解し、この溶液10mlに
β−アミラーゼ200単位加え、30℃で反応させた。
6時間後、十分に加水分解されたことをヨウ素呈色反応
によって確認した後、アミロースの分解率を分析した。
分解率の分析はマルトースを標準物質として、Somo
gyi−Nelson法で反応液中の還元糖量を、また
フェノール硫酸法で全糖量を測定し、分解率を還元糖量
/全糖量×100(%)で示した。その結果、分解率は
100%を示し、本物質は完全直鎖のアミロースである
ことが確認された。
【0034】実施例6 本実施例ではマルトデキストリンの濃度と生成するアミ
ロースの重合度の関係を検討した。固定化担体「キトパ
ール BCW−2510」(富士紡績(株)製)を実施
例2と同様にして、共有結合法によってホスホリラーゼ
を固定化させた。この固定化酵素担体8gを100ml
の三角フラスコにとり、その中に基質溶液として任意の
量のマルトペンタオース(0.01〜0.0005%)、グ
ルコース−1−リン酸二カリウム塩4%を含む0.1Mマ
レイン酸緩衝液(pH6.0)を50ml入れ、50℃の
オーブン中で基質溶液を攪拌させながら反応させた。
【0035】重合度の伸びが安定した状態になる24〜
72時間後に、反応溶液の一部をサンプリングし、トリ
クロロ酢酸にて反応を停止させた。重合度の測定は、以
下の条件でHPLCによるゲル濾過法により、生成した
アミロースの合成量と平均重合度を求めた。カラムはT
OSOH G6000PWXLとG3000PWXL
(東ソー(株)製)を用い、直列につなぎサンプル液量
20μlをインジェクションした。溶離液は0.25M酢
酸カリウム溶液を用い、0.7ml/minの流速、カラ
ム温度55℃の条件で分析した。検出にはRI検出器S
IMAZU RID−6A((株)島津製作所製)を用
いた。なお、分子量の標準試料としては光散乱法にて分
子量を測定したアミロース標準品((株)中埜酢店製)
を使用した。結果を第4表に示した。表から明らかなよ
うに、基質のマルトペンタオース濃度が低いものほど高
重合度のアミロースが生成した。
【0036】
【表4】
【0037】実施例7 本実施例では酵素反応時間と生成するアミロースの重合
度の関係を検討した。マルトペンタオースの濃度を0.0
04%にしたこと以外は実施例6と同様に行ない、経時
的に反応液をサンプリングしてHPLCによる分析を行
なった。結果を図2に示した。
【0038】実施例8 本実施例では反応温度と生成するアミロースの重合度の
関係を検討した。マルトペンタオースの濃度を0.004
%にし、オーブン温度を35〜55℃の各温度に設定し
て反応を行なったこと以外は実施例6と同様に行ない、
24時間後に反応液をサンプリングし、HPLCによる
分析を行なった。結果を図3に示した。
【0039】実施例9 本実施例では反応pHと生成するアミロースの重合度の
関係を検討した。マルトペンタオースの濃度を0.004
%にし、反応pHを5.5〜8.0(1N塩酸,1N Na
OHにて調整)の各pHに設定して反応を行なったこと
以外は実施例6と同様に行ない、24時間後に反応液を
サンプリングし、HPLCによる分析を行なった。結果
を図4に示した。
【0040】
【発明の効果】本発明では直鎖型のアミロースの製造に
あたり、ホスホリラーゼの固定化担体として優れた物質
拡散性をもつ多孔質キトサン担体を用いることにより、
ホスホリラーゼを効果的に固定化して基質溶液の連続通
液による酵素反応が可能となり、効率よく生産量を高め
ることができる。また、バッチ反応においても酵素の反
復使用が可能となり、酵素の消費が節約でき、アミロー
スの製造コストを低減することができる。さらに、反応
条件を制御することにより、高重合度のアミロースを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 固定化ホスホリラーゼの活性発現率を比較し
たものである。
【図2】 反応時間とアミロースの重合度の関係を示し
たものである。
【図3】 反応温度とアミロースの重合度の関係を示し
たものである。
【図4】 反応pHとアミロースの重合度の関係を示し
たものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホリラーゼを用いてグルコース−1
    −リン酸もしくはその塩とマルトデキストリンとからア
    ミロースを製造する方法において、酵素として多孔質キ
    トサン担体に固定化したホスホリラーゼを用いることを
    特徴とするアミロースの製造法。
  2. 【請求項2】 ホスホリラーゼが多孔質キトサン担体に
    共有結合で固定化させたものであることを特徴とする請
    求項1記載のアミロースの製造法。
  3. 【請求項3】 固定化したホスホリラーゼを酵素連続反
    応用カラムに充填して用いることを特徴とする請求項1
    記載のアミロースの製造法。
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