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JPH07273402A - 歪量子井戸デバイスの製造方法 - Google Patents

歪量子井戸デバイスの製造方法

Info

Publication number
JPH07273402A
JPH07273402A JP8092494A JP8092494A JPH07273402A JP H07273402 A JPH07273402 A JP H07273402A JP 8092494 A JP8092494 A JP 8092494A JP 8092494 A JP8092494 A JP 8092494A JP H07273402 A JPH07273402 A JP H07273402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
lattice constant
substrate
starting substrate
clad
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8092494A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshisada Sekiguchi
利貞 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP8092494A priority Critical patent/JPH07273402A/ja
Publication of JPH07273402A publication Critical patent/JPH07273402A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性層について良好な結晶性を保ちながら必
要な膜厚を得ると共に、必要な歪を導入して所望の特性
を得ることを可能とした歪量子井戸デバイスの製造方法
を提供する。 【構成】 出発基板11上に、第1のクラッド層12、
MQW構造の活性層13、第2のクラッド層14及びキ
ャップ層15を順次エピタキシャル成長させる。クラッ
ド12、14は基板11とは異なる同じ格子定数を持つ
組成とし、活性層13中のバリア層はクラッド層12、
14と同じ格子定数を持つ組成とし、井戸層はこれらと
は逆方向に基板11と格子定数が異なる組成とし、キャ
ップ層15は成長層全体の歪を打ち消す方向の格子定数
を持つ組成及び厚みとする。その後基板11をエッチン
グ除去し、キャップ層15を除去してクラッド層14上
にこれと同じ格子定数の最終素子基板となるオーバーク
ラッド層16を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歪量子井戸構造を用い
たレーザやレーザアンプ、光スイッチ等の歪量子井戸デ
バイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体レーザを始めとして、
様々な量子井戸光デバイスが研究されている。多重量子
井戸(Multi-Quantum-Well,MQW)構造は、井戸層と
バリア層を電子波長(10nm)以下の薄層で交互に積層
したもので、半導体レーザの場合は数層程度、光スイッ
チや光変調器の場合は30層程度繰り返し積層される。
このMQW構造では、注入されたキャリアが井戸層に閉
じ込められて光導波路領域での吸収損失が少なくなる。
この結果例えば半導体レーザであれば、しきい値電流の
低下、発振波長の安定化等の利点が得られる。
【0003】この様なMQW構造において最近、特に歪
MQW構造が注目されている。これは、MQW層の井戸
層を基板に対して故意に格子不整合させることにより歪
を導入したもので、これにより微分利得の増大、非発光
再結合による効率低下の抑制といった効果が得られる。
この現象は、歪の導入によるバンド構造の変化、具体的
には重い正孔帯と軽い正孔帯のエネルギー準位のシフト
量により説明されている。
【0004】例えば、InGaAs/InP系のMQW
構造では、井戸層に基板より格子定数の僅かに大きい材
料を用いて井戸層に圧縮歪を導入することにより、レー
ザの発振しきい値の低下、オージェ非発光再結合による
発光効率の低下の抑制、発振波長の長波長側へのシフト
といった特性向上が得られる。逆に井戸層に引っ張り歪
を導入した場合には、同様にレーザの発振しきい値の低
下、発振利得飽和の抑制といった特性向上の他、発振波
長の短波長側へのシフトや、偏波無依存性になり易い等
の作用が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、基板結晶に対
して格子定数のズレがある半導体層をエピタキシャル成
長させようとするとき、良好な結晶性を保った半導体層
を得るには限界膜厚がある。これは臨界膜厚と呼ばれ
る。臨界膜厚は格子不整合の大きさ、即ち導入する歪量
の大きさに依存し、歪量が大きい程臨界膜厚が小さくな
るという関係があることが報告されている(例えば、R.
People and J.C.Bean, "Calculation of critical laye
r thickness versus lattice mismatch for GexSi1-x/S
i strained-layer heterostructures" Appl. Phys. Lee
t. 47(3). 1 August 1985 参照)。臨界膜厚を越える
と、クロスハッチ等が生じて所望の結晶性が得られなく
なり、また歪も閉じ込められなくなる。
【0006】従って歪量子井戸レーザを作る場合、特に
歪量子井戸を含む活性層について、良好な結晶性を保ち
ながら如何にして所望の歪量を導入するかということが
重要な問題になる。特に量子井戸層に引っ張り歪を導入
してレーザを作製する場合には、導入する歪量が約1%
以上と大きくないと効果がなく、それ以下ではかえって
非発光再結合が大きくなる等のデメリットが出る。従来
法では、大きな歪を導入するために基板と井戸層の格子
不整合を大きく選ぶと、良好な結晶性を保って充分な膜
厚を得ることができず、良好な結晶性を得ようとすれば
大きな歪を導入できないというトレードオフの関係があ
った。
【0007】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
活性層について良好な結晶性を保って必要な膜厚を得る
と共に、必要な歪を導入して所望の特性を得ることを可
能とした歪量子井戸デバイスの製造方法を提供すること
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る歪量子井戸
デバイスの製造方法は、出発基板上に、出発基板と異な
る格子定数を持つ第1のクラッド層、この第1のクラッ
ド層と同じ方向に出発基板と格子定数が異なるバリア層
とこれとは逆方向に出発基板と格子定数が異なる井戸層
とが交互に積層された量子井戸構造の活性層、前記第1
のクラッド層と同じ組成の第2のクラッド層、及び以上
の成長層全体の歪を打ち消す方向の格子定数を持つキャ
ップ層を順次結晶成長させる工程と、前記出発基板の少
なくとも有効素子領域下の部分を含む主要部をエッチン
グ除去する工程と、前記第2のクラッド層上または前記
出発基板を除去した側の面に第1のクラッド層と同じ格
子定数を持ち最終的に素子基板となるオーバークラッド
層を結晶成長させる工程とを有することを特徴としてい
る。
【0009】本発明に係る歪量子井戸デバイスの製造方
法はまた、出発基板上にエッチングストップ層を介し
て、出発基板と異なる格子定数を持つ第1のクラッド
層、この第1のクラッド層と同じ方向に出発基板と格子
定数が異なる第1の光閉じ込め層、この第1の光閉じ込
め層と同じ方向に出発基板と格子定数が異なるバリア層
とこれとは逆方向に出発基板と格子定数が異なる井戸層
とが交互に積層された量子井戸構造の活性層、前記第1
の光閉じ込め層と同じ組成の第2の光閉じ込め層、前記
第1のクラッド層と同じ組成の第2のクラッド層、及び
以上の成長層全体の歪を打ち消す方向の格子定数を持つ
キャップ層を順次結晶成長させる工程と、前記キャップ
層をエッチング除去した後、前記第2のクラッド層から
前記第1のクラッド層に達する深さのエッチングにより
有効素子領域をストライプ状にパターン形成する工程
と、前記有効素子領域の周囲に電流ブロッキング層を表
面が平坦になるまで埋め込み形成する工程と、前記出発
基板の少なくとも前記有効素子領域下の部分を含む主要
部をエッチング除去する工程と、前記第2のクラッド層
及び電流ブロッキング層の上または前記出発基板を除去
した側の面に前記第1のクラッド層と同じ格子定数を持
ち、最終的に素子基板となるオーバークラッド層を結晶
成長させる工程とを有することを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明によると、活性層中の井戸層と、クラッ
ド層及び活性層中のバリア層とが出発基板に対して互い
に逆方向に格子定数がずれた関係を持たせて結晶成長が
行われる。そして出発基板は除去されて、上部の第2ク
ラッド層上または出発基板が除去された側の面には最終
的に素子基板となる第1のクラッド層と同じ格子定数の
オーバークラッド層が形成される。つまり本発明では、
結晶成長の段階での量子井戸層の基板に対する格子定数
のズレに比べて、最終的な素子基板に対する量子井戸層
の格子定数のズレが大きいものとなる。これは言い換え
れば、結晶成長の段階では臨界膜厚が比較的大きい条件
に設定されて、良好な結晶性を保った必要な膜厚の結晶
成長が可能になり、最終的にはオーバークラッド層を素
子基板とすることで大きな歪が量子井戸層に導入される
ことになる。オーバークラッド層を素子基板とすること
で最終的に量子井戸層に大きな歪を導入しても、量子井
戸層はオーバークラッド層形成工程の前に既に良好な結
晶層として成長形成されているから、その結晶性を損な
うことはない。
【0011】本発明において、第2のクラッド層上にキ
ャップ層を形成しているのは、ここまでの一連の結晶成
長をウェハ工程の区切りとしてこのウェハを保存する場
合に、ウェハ表面を保護し、またウェハの反りを防止し
て活性層に余分な応力がかかるのを防止するためであ
る。従ってその後、最終的な素子基板となるオーバーク
ラッド層を形成する場合にはこのキャップ層は除去され
る。また、埋め込みストライプ構造のレーザを形成する
場合のストライプ加工、電流ブロッキング層埋め込み等
もキャップ層を除去した後に行われる。なお本発明にお
いて、オーバークラッド層の成長工程と出発基板のエッ
チング除去工程とは、いずれが先であってもよい。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を説
明する。図1は、本発明の基本的な実施例を示すMQW
レーザの製造工程図である。図1(a)に示すように、
出発基板11上に、第1のクラッド層12、MQW構造
の活性層13、第2のクラッド層14及びキャップ層1
5を順次エピタキシャル成長させる。活性層13を構成
するバリア層と井戸層を、第1のクラッド層12及び第
2のクラッド層14に比べて組成波長の長い材料により
形成することにより、活性層13がキャリア閉じ込めと
光閉じ込めを行うことになる。なお光閉じ込め層を活性
層13とは別に形成することもできる。また基板11上
に第1のクラッド層12を形成する前に、後に基板11
をエッチング除去する際のストッパとなる基板11に対
してエッチングの選択性があるエッチングストップ層を
形成することも有効である。
【0013】活性層13中の井戸層に歪を導入するため
に、各部の格子定数と厚みの関係はつぎのように選択さ
れる。出発基板11の格子定数に対して、第1、第2の
クラッド層12、14の格子定数のズレをΔaclad、バ
リア層の格子定数のズレをΔaB 、井戸層の格子定数の
ズレをΔaW とし、第1、第2のクラッド層12,14
のトータル厚みをtclad、バリア層のトータル厚みをt
B 、井戸層のトータル厚みをtW としたとき、全体とし
て無歪状態となる条件である下記数1を満たすように選
択する。
【0014】
【数1】 ΔaW ・tW +ΔaB ・tB +Δaclad・tclad=0
【0015】例えば、井戸層に圧縮歪を導入する場合に
は、基板11の格子定数に対して、ΔaB 及びΔaclad
が負、ΔaW が正となるような組成を用いる。井戸層に
引っ張り歪を導入する場合にはこれとは逆の関係になる
組成を用いる。そして数1の関係を満たすように厚みを
設定することにより、成長層全体としてほぼ無歪状態が
得られる。キャップ層15には、以上の成長層の無歪状
態を得るに好ましい格子定数の材料を用いる。また、M
QWの周期数が多い場合、例えば周期数が10以上の場
合、基板の格子定数asub に対して、バリア層の格子定
数aB と、井戸層の格子定数aW とが次の数2の関係を
満たすように組成を選択することが望ましい。
【0016】
【数2】|aW −aB |/asub <0.01
【0017】以上のウェハプロセスにおいて、各部のエ
ピタキシャル成長に当たっては格子定数の基板からのズ
レで決まる臨界膜厚を越えないようにする。活性層のバ
リア層と井戸層の基板からの格子定数のズレが逆である
ことは、井戸層を成長させる際の臨界膜厚を増大させる
という好ましい作用をする。即ち、バリア層と井戸層の
格子定数の基板からのズレが逆であると、MQW層全体
としての基板との間の格子不整合の度合いが小さくなる
からである(例えば、C.P.Seltzer et al., "Long-term
reliability of strain-compensated InGaAs(P)/InP M
QW BH lasers",ELECTRONICS LETTERS 3rd February 199
4 vol.30 No.3 参照)。以上により、井戸層とバリア
層とは各周期毎に互いに歪を打消し合い、成長層全体と
して無歪状態とされる。
【0018】キャップ層15は、上に述べた歪の調整の
働きとともに、ウェハ状態で表面の清浄度を保ち、且つ
反りが入ったりすることを防止する働きをする。
【0019】その後、図1(b)に示すように出発基板
11をエッチング除去する。そして、キャップ層15を
エッチング除去して第2のクラッド層上に最終的に素子
基板となるオーバークラッド層16をエピタキシャル成
長させる。オーバークラッド層16は、第1のクラッド
層12や第2のクラッド層14と同じ格子定数の組成を
選ぶ。最後に、図では省略したが必要な電極を形成し、
両端面に無反射膜をコーティングして完成する。なお出
発基板11のエッチング工程は、オーバークラッド層1
6の形成後であってもよい。また最終的な素子基板とな
るオーバークラッド層16は、図の例とは逆に、出発基
板11を除去した側の面に成長形成してもよい。
【0020】この実施例によると、井戸層の出発基板1
1に対する格子定数のズレの大きさは、|ΔaW |であ
り、最終的な素子基板となるオーバークラッド層16に
対する格子定数のズレの大きさは、|ΔaW −Δaclad
|であり、ΔaW とΔacladとは符号が逆であるから、
後者の方が大きい。従って、結晶成長の段階では臨界膜
厚が比較的大きい状態にあり、良好な結晶性を保って充
分な膜厚,周期数の活性層を得ることができる。そして
最終的には基板との間の格子定数のズレがより大きい状
態になり、このズレにより決定される結晶成長時より大
きな歪が活性層に導入される。
【0021】以上のようにこの実施例によれば、出発基
板と最終素子基板とを異ならせることによって、充分な
厚みのMQW活性層を良好な結晶性を保持しながら成長
させ、且つ必要な歪を導入することが可能になる。これ
により優れた歪MQWレーザが得られる。また結晶成長
段階では導入される歪が比較的小さく抑えられるから、
結晶性劣化による素子特性劣化をもたらすことなく、活
性層厚みやMQW周期数を大きくすることができる。
【0022】次に本発明を、より具体的にBHストライ
プ構造のMQWレーザ及びレーザアンプに適用した実施
例について、図2以下を参照して説明する。なお、以下
の説明において、一般にInx Ga1-x Asy P1-y と
して表される化合物半導体を、その組成比x,yが種々
異なる場合を含めて、簡単にInGaAsPとして表
す。
【0023】図2(a)に示すように、出発基板として
p型InP基板21を用い、まずこの上にp型InGa
AsPからなるエッチングストップ層22をエピタキシ
ャル成長させ、続いてp型InGaAsPからなる第1
のクラッド層23、p型InGaAsPからなる第1の
光閉じ込め層24、MQW構造のi型活性層25、n型
InGaAsPからなる第2の光閉じ込め層26、n型
InGaAsPからなる第2のクラッド層27、及びn
型InGaAsPからなるキャップ層28をエピタキシ
ャル成長させる。図2(b)は、図1(a)の破線Aで
囲んだ活性層部分の拡大断面図である。図示のように活
性層25は、i型InGaAsPからなるバリア層25
1とi型InGaAsPからなる井戸層252を交互に
積層形成して得られる。
【0024】以上の各成長層において、第1、第2の光
閉じ込め層24、26は、第1、第2のクラッド層2
3、27より屈折率の大きな材料であること、また活性
層25は光閉じ込め層24、26よりバンドギャップが
小さい材料であることが必要である。歪導入のために各
部の格子定数の関係は次のように設定される。基板21
の格子定数をasub 、クラッド層23、27の格子定数
をaclad、光閉じ込め層24、26の格子定数を
OCL 、バリア層251の格子定数をaB 、井戸層25
2の格子定数をaW として、井戸層に圧縮歪を導入する
場合には、下記数3を満たすようにする。
【0025】
【数3】aW >asub >aOCL =aclad≧aB
【0026】井戸層に引っ張り歪を導入する場合には、
下記数4を満たすように各部の組成を選択する。
【0027】
【数4】aW <asub <aOCL =aclad≦aB
【0028】また一般に、複数周期のトータルの井戸層
厚をtW 、バリア層厚をtB 、上下を含めた光閉じ込め
層厚をtOCL 、上下を含めたクラッド層厚をtclad
し、井戸層、バリア層、光閉じ込め層及びクラッド層の
基板との格子不整合の大きさをそれぞれΔaW 、Δ
B 、ΔaOCL 、Δacladとして、成長層全体として無
歪となる条件は、下記数5で表されるから、キャップ層
28の格子定数acap1はこの数5の0からのズレをでき
るだけ補償するように選択される。
【0029】
【数5】ΔaW ・tW +ΔaOCL ・tOCL +Δaclad
clad+ΔaB ・tB =0
【0030】以上のような屈折率や格子定数の関係、更
にキャリア閉じ込めために必要な当然のバンドギャップ
の関係を満たしながら、且つ各成長層が臨界膜厚を越え
ないように成長させる。圧縮歪を導入したレーザの場合
について以上の条件を満たす各部の具体的な組成比x,
yと厚みt(μm )の好ましい例、及びそのときの各層
の格子定数の基板のそれからのズレΔa/a(%)を挙
げれば、次の表1のようになる。
【0031】
【表1】
【0032】同様に、引っ張り歪を導入したレーザアン
プの場合について、組成比x,y及び膜厚tの好ましい
例を挙げれば、表2のようになる。
【0033】
【表2】
【0034】以上のウェハ工程が終了した後、次に図3
に示すように、キャップ層28をエッチング除去し、C
VDガラス膜によるマスク29をフォトリソグラフィに
より形成して、有効素子領域が紙面に垂直方向に走るス
トライプ状に残るようにエッチングを行う。このストラ
イプ加工は、図示のように第1のクラッド層23に達す
る深さとする。続いて図4に示すように、加工された溝
部にp型InGaAsP層311、n型InGaAsP
層312及びp型InGaAsP層313からなる電流
ブロッキング層31をウェハ表面が平坦になるように埋
め込み成長する。この電流ブロッキング層31の組成は
クラッド層23,27等と同じ格子定数になるように選
択される。
【0035】次に、ガラスマスク29を除去した後、図
5に示すように、第2のクラッド層27及び電流ブロッ
キング層31の表面全体に最終的に素子基板として用い
られるn型InGaAsPからなるオーバークラッド層
32を厚くエピタキシャル成長させ、更にその上に再度
n型InGaAsPキャップ層33を成長させる。この
キャップ層33は、後に出発基板21をエッチング除去
する際にマスクとなり、また電極を形成するためのオー
ミックコンタクト層となるものである。これらのオーバ
ークラッド層32及びギャップ層33の組成はクラッド
層23,27等と同じ格子定数になるように選択され
る。
【0036】この後、図6に示すように、InPからな
る出発基板21を塩酸系溶液でエッチング除去する。続
いて、図7に示すように、キャップ層33上の有効素子
領域の外側にCVDガラス膜34を選択的に形成した
後、オーミック電極35をスパッタ等により形成する。
更に図8に示すように、オーミック電極35上の有効素
子領域の外側にレジストマスク34を形成し、両面にメ
ッキ下地金属膜37,38を形成する。最後に図9に示
すように、Auメッキを行って上下電極39,40を形
成して、歪MQWレーザやレーザアンプが完成する。上
部Au電極39は、レジストマスク34を除去すること
によりリフトオフ加工される。
【0037】なお先の実施例と同様に、出発基板のエッ
チング除去工程は、オーバークラッド層形成の前であっ
てもよい。また最終素子基板となるオーバークラッド層
は、出発基板を除去した側の面に成長形成してもよい。
この場合、最初に出発基板21上に形成したエッチング
ストップ層22の上にオーバークラッド層を成長させる
ことになるので、エッチングストップ層22とオーバー
クラッド層とは格子定数が同じ組成とすることが好まし
い。
【0038】以上のようにしてこの実施例によれば、出
発基板により規定される結晶成長条件で結晶性の優れた
活性層を必要な膜厚及び周期数をもって形成することが
できる。また出発基板とは異なるオーバークラッド層を
最終素子基板として用いて、これにより規定された必要
な歪を最終的に活性層に導入することができる。具体的
に上に例示した好ましい組成及び膜厚例の場合、圧縮歪
及び引っ張り歪いずれも、活性層25の周期数20とし
て、導入歪量1.5%以上の歪MQWレーザやレーザア
ンプを得ることが可能である。またこの実施例によれ
ば、ウェハ工程では表面に出発基板と同じ格子定数のキ
ャップ層を設けることにより、表面保護と同時に、基板
の反りによる素子特性への悪影響を防止することができ
る。
【0039】なお上の実施例では出発基板21を全て除
去したが、これは少なくとも素子活性層の歪導入量に影
響する主要部について除去すればよく、例えば図10に
示すように周辺部に出発基板21を残した状態としても
よい。また、実施例ではp型基板を出発基板として用い
たがn型基板を用いることも可能である。この場合各層
の導電型が上の実施例と逆になる。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、出発
基板と最終素子基板とを異ならせて、出発基板により結
晶成長条件を規定し、最終素子基板により量子井戸層に
対する歪導入量を規定することにより、活性層について
優れた結晶性を保持して必要な膜厚を実現し、且つ必要
な歪を導入した歪量子井戸デバイスを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による歪MQWレーザの製
造工程を示す。
【図2】 他の実施例による歪MQWレーザのウェハ工
程を示す。
【図3】 同実施例のストライプ加工工程を示す。
【図4】 同実施例の電流ブロッキング層埋め込み工程
を示す。
【図5】 同実施例のオーバークラッド層成長工程を示
す。
【図6】 同実施例の基板エッチング工程を示す。
【図7】 同実施例の電極形成工程を示す。
【図8】 同実施例のメッキ前処理工程を示す。
【図9】 同実施例の電極メッキ工程を示す。
【図10】 他の実施例の歪MQWレーザを示す。
【符号の説明】
11…出発基板、12…第1のクラッド層、13…活性
層、14…第2のクラッド層、15…キャップ層、16
…オーバークラッド層(最終素子基板)、21…InP
基板(出発基板)、21…InGaAsPエッチングス
トッパ層、23…InGaAsP第1のクラッド層、2
4…InGaAsP第1の光閉じ込め層、25…InG
aAsP活性層、251…バリア層、252…井戸層、
26…InGaAsP第2の光閉じ込め層、27…In
GaAsP第2のクラッド層、28…InGaAsPキ
ャップ層、29…ガラスマスク層、31…InGaAs
P電流ブロッキング層、32…InGaAsPオーバー
クラッド層、33…InGaAsPキャップ層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出発基板上に、出発基板と異なる格子定
    数を持つ第1のクラッド層、この第1のクラッド層と同
    じ方向に出発基板と格子定数が異なるバリア層とこれと
    は逆方向に出発基板と格子定数が異なる井戸層とが交互
    に積層された量子井戸構造の活性層、前記第1のクラッ
    ド層と同じ組成の第2のクラッド層、及び以上の成長層
    全体の歪を打ち消す方向の格子定数を持つキャップ層を
    順次結晶成長させる工程と、 前記出発基板の少なくとも有効素子領域下の部分を含む
    主要部をエッチング除去する工程と、 前記第2のクラッド層上または前記出発基板を除去した
    側の面に前記第1のクラッド層と同じ格子定数を持ち最
    終的に素子基板となるオーバークラッド層を結晶成長さ
    せる工程とを有することを特徴とする歪量子井戸デバイ
    スの製造方法。
  2. 【請求項2】 出発基板上にエッチングストップ層を介
    して、出発基板と異なる格子定数を持つ第1のクラッド
    層、この第1のクラッド層と同じ方向に出発基板と格子
    定数が異なる第1の光閉じ込め層、この第1の光閉じ込
    め層と同じ側に出発基板と格子定数が異なるバリア層と
    これとは逆方向に出発基板と格子定数が異なる井戸層と
    が交互に積層された量子井戸構造の活性層、前記第1の
    光閉じ込め層と同じ組成の第2の光閉じ込め層、前記第
    1のクラッド層と同じ組成の第2のクラッド層、及び以
    上の成長層全体の歪を打ち消す方向の格子定数を持つキ
    ャップ層を順次結晶成長させる工程と、 前記キャップ層をエッチング除去した後、前記第2のク
    ラッド層から前記第1のクラッド層に達する深さのエッ
    チングにより有効素子領域をストライプ状にパターン形
    成する工程と、 前記有効素子領域の周囲に電流ブロッキング層を表面が
    平坦になるまで埋め込み形成する工程と、 前記出発基板の少なくとも前記有効素子領域下の部分を
    含む主要部をエッチング除去する工程と、 前記第2のクラッド層及び電流ブロッキング層の上また
    は前記出発基板を除去した側の面に前記第1のクラッド
    層と同じ格子定数を持ち、最終的に素子基板となるオー
    バークラッド層を結晶成長させる工程とを有することを
    特徴とする歪量子井戸デバイスの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021034586A (ja) * 2019-08-26 2021-03-01 住友電気工業株式会社 半導体素子およびその製造方法

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