JPH07256783A - コードのテンション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カレンダー装置において、コードの幅方向端
部にかかる大きなテンションを小さくして、幅方向で均
一化し複数本のコードを内部に埋設した良質なゴム帯状
体を得るようにする。 【構成】 カレンダー装置にコードを引き込む際に、前
記コードにテンションを付与するためにお互いの軸線が
平行な一対のロールからなり、一方のロールは鉄等の硬
い材質からなり、他方のロールはその表面がゴム等の弾
性のある材質からなるコードのテンション装置におい
て、 前記一対のロールのうち、両方のロールの両端部
またはロール表面がゴム等の弾性のある材質からなるロ
ールの両端部に、径が大きくなる方向に段差を設けたこ
とを特徴とするコードのテンション装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スチールワイヤー又
は、テキスタイルからなる複数本のコードを内部に埋設
したタイヤ構成部材であるゴム帯状体を形成するための
カレンダー装置において、コードにテンションを付与す
るための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５に示すごとく、スチールワイヤー又
は、テキスタイルからなる複数本のコード０１を内部に
埋設したタイヤ構成部材であるゴム帯状体０９は、カレ
ンダー装置０８において複数本のコード０１にゴムが被
覆されることにより作られるが、このカレンダー装置０
８に引き込まれる直前の複数本のコード０１は所定の間
隔で一平面に整列した状態を保持されていなければなら
ず、したがって一定の緊張状態にある必要がある。この
ため従来は、下側の鉄ロール０２と上側のゴムロール０
３から構成され、お互いの軸線が平行な一対のロールか
らなるコードのテンション装置０４を使用していた。こ
の従来のテンション装置０４によれば、複数のリール０
１０から巻きほぐされた複数本のコード０１は、下側の
鉄ロール０２と上側のゴムロール０３の間に挟まれ、上
からゴムロール０３が軸受０１１を介してシリンダー０
１２の力により押えつけており、下側の鉄ロール０２に
ブレーキ０１３の抵抗により複数本のコード０１にテン
ションを与えている。カレンダーロール０６の上流側に
接してプレスロール０５が設けてあり、このプレスロー
ル０５の表面には複数の環状溝を軸方向に等間隔に形成
している。テンション装置０４より下流に向かったコー
ド０１は前記プレスロール０５を下方から巻きついて、
プレスロール０５の表面に形成されている複数の環状溝
にガイドされ、カレンダーロール０６との間で押圧され
て一平面に整列した状態となった後、カレンダー装置０
８のカレンダーロール０６とカレンダーロール０７の間
に引き込まれ、複数本のコード０１の上下の表面にゴム
のコーティングがなされ広幅のゴム帯状体０９が形成さ
れる。以上のようにコード０１は、プレスロール０５に
巻きついてカレンダー装置０８に引き込まれ、これを上
流側で幅方向に長い鉄ロール０２とゴムロール０３が挟
みつけて抵抗を加え複数本のコード０１にテンションを
与えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
に幅方向に長いロール０２，０３で複数本のコード０１
を挟みつけるので、ロール０２，０３にどうしてもたわ
みが生じ、幅方向端部の押圧力が中央の押圧力よりも大
きくなり、よって幅方向に配列された複数本のコード０
１の各テンションの分布を見ると、図４に示す如く、幅
方向両端部におけるコード０１のテンションが極端に大
きくなっている。このような不具合をなくそうと、前記
上側のロール０３の表面は弾性のあるゴムになっている
が、不十分で問題は解決されていない。このように端部
のコード０１のテンションが大きいと、カレンダー装置
０８でゴムコーティングされた後のゴム帯状体０９を、
埋設されたコード０１と直角方向に切断したときに端縁
が反り返る不具合が生じ、この端縁を接合面として使用
すると、接合が不完全となる問題が発生する。そこで、
本発明の目的は、これらの問題を解決して複数本のコー
ドを内部に埋設した良質なゴム帯状体を得る様にするこ
とにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るためには、複数のリールに巻き付けられた複数本のコ
ードを巻きほぐし整列させた後、前記コードにゴムを被
覆するためにカレンダー装置にコードを引き込む際に、
前記コードにテンションを付与するためにお互いの軸線
が平行な一対のロールからなり、一方のロールは鉄等の
硬い材質からなり、他方のロールはその表面がゴム等の
弾性のある材質からなるコードのテンション装置におい
て、前記一対のロールのうち、両方のロールの両端部ま
たはロール表面がゴム等の弾性のある材質からなるロー
ルの両端部に、径が大きくなる方向に段差を設けるよう
にすれば良い。

【０００５】

【作用】コードのテンション装置である一対のロールの
うち、両方のロールの両端部またはロール表面がゴム等
の弾性のある材質からなるロールの両端部に、径が大き
くなる方向に段差を設け、複数のコ−ドを押えつける
と、ロール両端部の押圧力の一部をロールの両端部に設
けた段差が受けるので、幅方向に配列された複数のコー
ドの幅方向両端部のコードが受ける押圧力が軽減され、
幅方向中央部のコードが受ける押圧力と同じ位の大きさ
になり、幅方向に配列された複数のコードの受ける押圧
力を全幅方向で平均化することが出来る。その結果、全
幅でコードのテンションが平均化され、幅方向両端部の
コードのテンションが大きくなる不具合が解消される。
そして生産サイズの変更にともないコードの径が変わる
ときには、一対のロールの両方のロールの両端部に段差
を設けている場合は、両方のロールの両側の段差又は片
方のロールの両側の段差の大きさを変更することによ
り、又一対のロールの片方のロールだけの両端部に段差
を設けている場合は、この片方のロールだけの両端部の
段差の大きさを変更することにより対応できる。

【０００６】

【実施例】以下、この発明の実施例を図１ないし図２に
基づいて説明する。図１はこの発明の実施例１を示すも
ので、コードのテンション装置の概略正面図である。符
号４はお互いの軸線が平行な上側のロール３と下側のロ
ール２から主として構成されるコードのテンション装置
である。上側のロール３の両端部には径が大きくなる方
向に段差７，７を設けており、これら両側の段差７と段
差７の間のロール表面は、コード１への押え圧を幅方向
で均一にするために鉄製ロールの上に焼き付けしたゴム
８で形成され、ロール３の両端には一体形成されたジャ
ーナル６，６がロール３の同軸上に伸びており、このジ
ャーナル６，６部でロール３は回転自由に軸受により支
持されている。更に、図示していないこれら左右の軸受
は各々シリンダーによりロール２側に押し付けられる様
になっており、スチールワイヤー又はテキスタイルから
なる複数のコード１が一平面に整列した状態でロール３
とロール２に挟まれて押圧されている。下側のロール２
の両端には一体形成されたジャーナル５，５がロール２
の同軸上に伸びている。このジャーナル５，５部でロー
ル２は回転自由に軸受により支持されており、更に、こ
のジャーナル５，５の一端部または両端部には図示しな
いブレーキが設けてあり、この抵抗力によりカレンダー
装置とテンション装置４との間でコード１にテンション
が与えられる。

【０００７】ロール３の両端部に設けている段差７，７
は耐摩耗性のある鉄等で出来ている円筒形状のもので、
両側の段差７，７の大きさＡ，Ａは同じ大きさで、ロー
ル２とロール３によるコード１への押圧が幅方向で平行
にかかる様にしている。そして、コード１の径の変化に
応じて両側の段差７，７を取り替えることにより、段差
の大きさＡ，Ａを変えることが出来る様になっている。

【０００８】次に、実施例１の作用について述べる。ロ
ール３の両端部に段差７，７を設けることにより、複数
のコード１の幅方向両端部にかかっていたロール２とロ
ール３による押圧力の一部を、ロール３の両端部の段差
７，７が受けるので、複数のコード１の幅方向両端部に
かかっていた大きな押圧力が軽減され、複数のコード１
の幅方向にかかる押圧力が全幅で平均化される。テンシ
ョン装置４で複数のコード１への幅方向の押圧力が平均
化されると、カレンダー装置とテンション装置４との間
でコード１にかけられるテンションは、図３に示すよう
に、コード１の幅方向で平均化され、幅方向両端部でコ
ード１のテンションが極端に大きくなる不具合は減少す
る。また、コード１の生産サイズが切り替わりコード１
の径を変えるときには、コード１の径に応じてロール３
の両側に設けている段差７，７を取り替えることによ
り、段差の大きさＡ，Ａを変えることが出来る様になっ
ているので、コード１の径が変わっても、幅方向両端部
のコード１を押え過ぎたり押圧が不足するようなことは
ない。

【０００９】次に、別の実施例について述べる。図２は
この発明の実施例２を示すもので、コードのテンション
装置の概略正面図である。符号１４はお互いの軸線が平
行な上側のロール１３と下側のロール１２から主として
構成されるコードのテンション装置である。上側のロー
ル１３の両端部には径が大きくなる方向に段差１８，１
８を設けており、これら両側の段差１８と段差１８の間
のロール表面は、コード１への押え圧を幅方向で均一に
するために鉄製ロールの上に焼き付けしたゴム１９で形
成され、更にロール１３の両端には一体形成されたジャ
ーナル１６，１６がロール１３の同軸上に伸びている。
このジャーナル１６，１６部でロール１３は回転自由に
軸受により支持されている。更に、図示していないこれ
ら左右の軸受は各々シリンダーによりロール１２側に押
し付けられる様になっており、複数のコード１が一平面
に整列した状態でロール１３とロール１２に挟まれて押
圧されている。ロール１３の両端部に設けている段差１
８，１８は耐摩耗性のある鉄等で出来ている円筒形状の
もので、両側の段差１８，１８の大きさＢ，Ｂは同じ大
きさで、ロール１２とロール１３によるコード１への押
圧が幅方向で平行にかかる様にしている。

【００１０】下側のロール１２の両端部には径が大きく
なる方向に段差１７，１７を設けており、更にロール１
２の両端には一体形成されたジャーナル１５，１５がロ
ール１２の同軸上に伸びている。このジャーナル１５，
１５部でロール１２は回転自由に軸受により支持されて
おり、更に、このジャーナル１５，１５の一端部または
両端部には図示しないブレーキが設けてあり、この抵抗
力によりカレンダー装置とテンション装置１４との間で
コード１にテンションが与えられる。ロール１２の両端
部に設けている段差１７，１７は耐摩耗性のある鉄等で
出来ている円筒形状のもので、両側の段差１７，１７の
大きさＣ，Ｃは同じ大きさで、ロール１２とロール１３
によるコード１への押圧が幅方向で平行にかかる様にし
ている。

【００１１】上側のロール１３の両端部に設けている段
差１８，１８と下側のロール１２の両端部に設けている
段差１７，１７とは相対する位置にあり、ロール１３を
押圧したときは、お互いの左右の段差どうしが接触する
ようになっている。そして、ロール１３に設けている段
差１８の大きさＢとロール１２に設けている段差１７の
大きさＣの両方を加えたものが、実施例１の図１で説明
した段差７の大きさＡと同じになっている。従って、複
数のコード１にかかる押圧力の一部を前記の段差１８と
１７で受けるので、複数のコード１の幅方向両端部にか
かる押圧力が軽減される。また、ロール１３の両端部に
設けている段差１８，１８及びロール１２の両端部に設
けている段差１７，１７はいずれも取り替えできるよう
になっているので、コード１の径が変われば、それに応
じて段差１８の大きさＢ又は段差１７の大きさＣを変更
することが出来る様になっている。

【００１２】なお、今まで述べてきた本発明に係わる一
対のロールからなるコードのテンション装置において、
一方のロールは鉄等の硬い材質からなり、他方のロール
はその表面がゴム等の弾性のある材質からなるものとし
たが、一対のロールの両方共ロールはその表面がゴム等
の弾性のある材質からなるものとしてもよい。また逆
に、一対のロールの両方共鉄等の硬い材質からなるもの
としてもよい。更に、ロール表面に弾性を持たせる為の
材質としてゴムの他にウレタン等を使用してもよい。な
お、実施例２の作用については、実施例１の作用と同じ
なので省略する。

【００１３】次に、実施例の効果について述べる。幅方
向に配列された複数本のコードの各テンションの分布
は、従来の技術では、図４に示す如く幅方向両端部にお
けるコードのテンションが極端に大きくなっている、し
かし本発明に係る実施例１又は実施例２によれば、図３
に示したごとく幅方向で平均化されて、極端にテンショ
ンが大きくなっている部分は解消されていることがわか
る。この結果、複数本のコードがカレンダー装置でゴム
コーティングされた後のゴム帯状体を、埋設されたコー
ドと直角方向に切断したときに端縁が反り返る不具合は
解消され、この端縁を接合面として使用する場合、接合
が完全に行われ、品質の良い接合面が得られるようにな
る。

【００１４】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明による
コードのテンション装置によれば、比較的簡単な方法で
効果的にコードのテンションばらつきを小さくして、複
数本のコードを内部に埋設した良質なゴム帯状体を得る
ことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１に係る、コードのテンション
装置の概略正面図である。

【図２】本発明の実施例２に係る、コードのテンション
装置の概略正面図である。

【図３】幅方向に配列されたコードにかかるテンション
の分布図である。

【図４】幅方向に配列されたコードにかかるテンション
の分布図である。

【図５】従来技術に係る、コードのテンション装置の前
後の概略側面図である。

【符号の説明】

０１：コード ０２：（下側の
鉄）ロール ０３：（上側のゴム）ロール ０４：テンション
装置 ０５：プレスロール ０６，０７：カレンダー
ロール ０８：カレンダー装置 ０９：ゴム帯状体 ０１０：リール ０１１：軸受 ０１２：シリンダー ０１３：ブレーキ １：コード ２：（下側の鉄）
ロール ３：（上側のゴム）ロール ４：テンション装
置 ５，６：ジャーナル ７：段差 ８：ゴム １２：（下側の鉄）ロール １３：（上側のゴ
ム）ロール １４：テンション装置 １５，１６：ジャーナル １７：段差 １８：段差 １９：ゴム Ａ：段差の大きさ Ｂ：段差の大きさ Ｃ：段差の大きさ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のリールに巻き付けられた複数本の
   コードを巻きほぐし整列させた後、前記コードにゴムを
   被覆するためにカレンダー装置にコードを引き込む際
   に、前記コードにテンションを付与するためにお互いの
   軸線が平行な一対のロールからなり、一方のロールは鉄
   等の硬い材質からなり、他方のロールはその表面がゴム
   等の弾性のある材質からなるコードのテンション装置に
   おいて、 前記一対のロールのうち、両方のロールの両端部または
   ロール表面がゴム等の弾性のある材質からなるロールの
   両端部に、径が大きくなる方向に段差を設けたことを特
   徴とするコードのテンション装置。