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JPH07228641A - 表面潤滑性フィルム - Google Patents

表面潤滑性フィルム

Info

Publication number
JPH07228641A
JPH07228641A JP4966494A JP4966494A JPH07228641A JP H07228641 A JPH07228641 A JP H07228641A JP 4966494 A JP4966494 A JP 4966494A JP 4966494 A JP4966494 A JP 4966494A JP H07228641 A JPH07228641 A JP H07228641A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
outermost layer
cellulose
copolymer
polyorganosiloxane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4966494A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Nakajima
賢二 中嶌
Junichi Yamanouchi
淳一 山之内
Masahiro Eto
雅弘 江藤
Itaru Sasaki
格 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP4966494A priority Critical patent/JPH07228641A/ja
Publication of JPH07228641A publication Critical patent/JPH07228641A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い表面潤滑性を有し、しかもロール状に巻
つけた状態でも潤滑剤が反対側表面に転写などして接触
した表面の特性に悪影響を与えることのない表面潤滑性
フィルムを提供する。 【構成】 セルロース誘導体にポリオルガノシロキサン
単位をグラフト化したセルロース共重合体、又はポリオ
ルガノシロキサン単位を側鎖又は主鎖の一部として含む
合成共重合体からなる膜状物を最外層として有すること
を特徴とする表面潤滑性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料や磁気記録材料等の支持体として、また製図トレー
シングフィルム、液晶表示盤用フィルム、電気絶縁材料
等として有用な、高い表面潤滑性を有するフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】フィルム状の写真感光材料には、その製
造工程やカメラに装填したときの耐傷性を高めるため
に、優れた表面潤滑性を有することが要求される。この
ような写真感光材料に高い表面潤滑性を付与するため
に、例えば、特開平4−355750号公報には、写真
感光材料の最外層(乳剤層側やバック層側の最外層)に
ポリオルガノシロキサンを含有させることが提案されて
いる。この写真感光材料に於いては、バインダーとして
ゼラチンのような水溶性バインダーを使用し、分散剤と
して一般的な界面活性剤を使用して、ポリオルガノシロ
キサンを最外層に含有させているので、ポリオルガノシ
ロキサンが移動し易いという問題点がある。即ち、フィ
ルム状の写真感光材料は、一般に製造中、貯蔵中、使用
中等にロール状に巻かれているので、写真感光材料の一
方側の最外層が反対側の最外層と接触しており、ポリオ
ルガノシロキサンが移動し易いと最外層に含まれている
ポリオルガノシロキサンが反対側の最外層に転写される
ことがある。例えば、支持体のバック層側の最外層にポ
リオルガノシロキサンが含まれていると、支持体の反対
側表面にハロゲン化銀乳剤層を塗布する前である場合に
は、巻かれている間にポリオルガノシロキサンが支持体
の表面に転写し、シリコーンオイルのようなポリオルガ
ノシロキサンは表面張力が極めて小さいので支持体表面
が水に濡れず、そのためにハロゲン化銀乳剤液などを塗
布する際に所謂「ハジキ」という問題を起こし、ハロゲ
ン化銀乳剤液などを均一に塗布することができない。ま
た、支持体の反対側表面にハロゲン化銀乳剤層などを塗
布した後では、バック層側の最外層のポリオルガノシロ
キサンがハロゲン化銀乳剤層などの最外層の表面に転写
して、現像処理の際に現像処理液が撥じかれ、処理ムラ
を起こすという問題が生じる。
【0003】また、磁気テープのようなフィルム状の磁
気記録材料に於いても、磁気ヘッドやガイドローラなど
の摺動部材と接触することが多く、走行性や耐久性を向
上させるためにその表面潤滑性を高くすることが要求さ
れる。表面潤滑性を向上させるために、例えば、バック
層側の最外層に移動し易いポリオルガノシロキサンが含
まれていると、上記と同様にロール状に巻かれている間
にポリオルガノシロキサンが支持体の反対側の磁性層を
形成する表面に転写して、支持体表面への磁性層塗布液
の均一な塗布ができないという問題がある。特開平5−
247483号公報には、磁気記録材料の潤滑性を高め
ることを目的として、末端に水酸基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと、分子内に水酸基を有する長鎖炭化水
素とからなる潤滑剤を保有する磁気記録材料が記載され
ているが、その潤滑性能は十分満足できるものではな
い。
【0004】更に、液晶表示盤用フィルムに於いても、
これを用いて偏向板を組み立てる加工搬送工程での表面
の傷防止のために、液晶表示盤用フィルムの表面は良好
な潤滑性能を有することが必要であるが、そのために一
方の表面の層内に含ませた潤滑剤が反対側の表面に転写
して、粘着剤の塗布を均一に行うことができないという
問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
表面潤滑性を有し、しかもロール状に巻つけた状態でも
潤滑剤が反対側表面に転写などして、前記のような従来
の技術に於ける問題点を生じることのない表面潤滑性フ
ィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、セルロース誘
導体にポリオルガノシロキサン単位をグラフト化したセ
ルロース共重合体、又はポリオルガノシロキサン単位を
側鎖又は主鎖の一部として含む合成共重合体からなる膜
状物を最外層として有することを特徴とする表面潤滑性
フィルムにある。
【0007】本発明の好適な態様は下記の通りである。 (1)上記の最外層が、更にセルロース誘導体を含む上
記の表面潤滑性フィルム。 (2)上記のセルロース誘導体が、セルロースジアセテ
ートである上記の表面潤滑性フィルム。 (3)上記の最外層が、更にシリコーンオイルを含む上
記の表面潤滑性フィルム。 (4)上記セルロース誘導体にポリオルガノシロキサン
単位をグラフト化したセルロース共重合体が、下記一般
式(1):
【0008】
【化1】
【0009】(式中、R1 〜R6 は独立に、水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はアルキルス
チリル基を表わし、X1 は一般式(2):
【0010】
【化2】
【0011】(式中、X11はカルボキシル基、アミノ基
又はグリシジルオキシ基を表わし、kは0〜6の整数で
ある)で示される基を表わし、Y1 は水素原子、炭素数
1〜6のアルキル基、フェニル基、アルキルスチリル
基、又はX1 で示される基を表わし、m及びnはそれぞ
れ独立に2〜400の整数である)で表わされるポリオ
ルガノシロキサンをセルロース誘導体にグラフト化させ
た共重合体である上記の表面潤滑性フィルム。 (5)上記合成共重合体が、下記一般式(3):
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R11〜R16は独立に、水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はアルキルス
チリル基を表わし、X2 は一般式(4):
【0014】
【化4】
【0015】(式中、pは0〜6の整数である)で示さ
れる基を表わし、Y2 は水素原子、炭素数1〜6のアル
キル基、フェニル基、アルキルスチリル基、又はX2
示される基を表わし、q及びrはそれぞれ独立に2〜4
00の整数である)で表わされるポリオルガノシロキサ
ンと、メチルメタクリレート又は2ビニルピリジンとの
共重合体である上記の表面潤滑性フィルム。 (6)上記シリコーンオイルが、下記一般式(5):
【0016】
【化5】
【0017】(式中、R21〜R210 は独立に、水素原
子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はアルキ
ルスチリル基を表わし、s及びtはそれぞれ独立に2〜
400の整数である)で表わされる化合物である上記の
表面潤滑性フィルム。
【0018】本発明の表面潤滑性フィルムの形態には、
狭義のフィルムに限定されるものではなく、通常フィル
ムと呼ばれているもの及びシートと呼ばれているものの
両方が含まれる。また、本発明の表面潤滑性フィルム
は、フィルム状支持体の少なくとも一方の面に前記のよ
うな特定の物質からなる膜状物を最外層として有するも
のであり、支持体の反対側表面には層が設けられず支持
体が露出していたり、一個又は二個以上の他の層が設け
られていてもよく、また上記最外層と支持体との間に他
の層が設けられていてもよい。上記最外層は支持体の両
面に直接又は一個若しくは二個以上の他の層を介在させ
て設けられていてもよいが、上記最外層は支持体の片面
に設けるだけで十分であり、支持体の反対側に設ける種
々の層に悪影響を与えない点で支持体の片面に上記最外
層を設けることが好ましい。
【0019】本発明の表面潤滑性フィルムの具体例の一
つは写真感光材料である。写真感光材料には、カラーネ
ガフィルム、カラーリバーサルフィルム、映画用ポジフ
ィルム、映画用ネガフィルム、黒白ネガフィルム、マイ
クロフィルム、X線用フィルム、サーベランス用フィル
ム、赤外線写真フィルム、リスフィルム等の製版用フィ
ルム等々が含まれる。写真感光材料の構成は公知であ
り、例えば、支持体の一方の表面に感光性ハロゲン化銀
乳剤層(ハロゲン化銀乳剤、カプラー、増感色素、DI
R化合物、ゼラチン等が含まれる)、下塗層、ハレーシ
ョン防止層、フィルター層、保護層等が設けられ、反対
側表面にバック層が設けられている。写真感光材料の支
持体や各層に含まれる構成成分、各成分の塗布量、各層
の形成方法等についても、それ自体公知のものを特に限
定されることなく使用することができる。本発明がこの
ような写真感光材料である場合、上記最外層はバック面
(感光性ハロゲン化銀乳剤層が設けられた面とは反対側
の面)に設ける。
【0020】本発明の表面潤滑性フィルムの他の具体例
は磁気記録媒体であり、その代表的なものはオーディオ
用、ビデオ用、コンピュータ用等の磁気テープである。
磁気テープの構成は公知であり、例えば、非磁性支持体
の一方の表面に強磁性体の金属、金属酸化物、合金等の
微粒子がバインダー中に分散されている磁性層が塗布に
より形成されたもの、非磁性支持体の一方の面に強磁性
金属の薄層が蒸着により形成されている金属薄膜型の磁
気テープ等がある。磁気テープの支持体や磁性層に含ま
れる構成成分、各成分の塗布量、層の形成方法等につい
ても、それ自体公知のものを特に限定されることなく使
用することができる。本発明がこのような磁気記録材料
である場合、上記最外層はバック面(磁性層が設けられ
た面とは反対側の面)に設ける。本発明の表面潤滑性フ
ィルムには、更に、透明フィルム支持体の片面又は両面
に上記の最外層が設けられた製図用トレーシングフィル
ム、液晶表示盤用保護フィルム、OHP用フィルム等が
含まれる。
【0021】本発明に於けるフィルム状支持体として
は、例えば、紙、プラスチックフィルム、レジンコーテ
ッド紙、合成紙等を挙げることができ、これらは透明、
半透明、不透明の何れのものであってもよい。プラスチ
ックフィルムの材料は、一般にフィルム状支持体用とし
て使用されるものであれは特に限定されないが、特に好
ましいものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン等のビニル系重合体;6,6−ナイロン、
6−ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエ
ステル;ポリカーボネート;セルローストリアセテー
ト、セルロースジアセテート等のセルロース誘導体等が
挙げられる。これらのプラスチックは共重合体であって
もよい。レジンコーテッド紙に用いられる樹脂として
は、ポリエチレン等のポリオレフィンが一般的である
が、他の樹脂であってもよく、レジンコーテッド紙の表
面は平滑面でもよく粗面であってもよい。本発明に於け
るフィルム状支持体の厚さは、3〜500μmであるこ
とが好ましい。
【0022】本発明に於ける最外層は、セルロース誘導
体にポリオルガノシロキサン単位をグラフト化したセル
ロース共重合体(以下、単に「セルロース共重合体」と
いうことがある)、又はポリオルガノシロキサン単位を
側鎖又は主鎖の一部として含む合成共重合体(以下、単
に「合成共重合体」ということがある)からなる膜状物
である。
【0023】上記のセルロース共重合体は、前記一般式
(1)で表わされるポリオルガノシロキサンを、セルロ
ース誘導体にグラフト化させた共重合体であることが好
ましい。一般式(1)に於いて、R1 〜R6 は独立に、
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、フェニル基
又はアルキルスチリル基(例えば、メチルスチリル)を
表わす。R1 〜R6 として特に好ましいものは、メチル
基、エチル基、プロピル基、メチルスチリル基等であ
る。一般式(1)に於いて、X1 は前記一般式(2)で
示される基であり、一般式(2)に於いて、X11はカル
ボキシル基、アミノ基又はグリシジルオキシ基を表わ
し、kは0〜6の整数で、特に好ましくは0〜3の整数
である。一般式(1)に於いて、Y1 は水素原子、炭素
数1〜6のアルキル基(上記のR1 について例示したも
の)、フェニル基、アルキルスチリル基、又はX1 で示
される基を表わす。Y1 として特に好ましいものは、炭
素数3以下のアルキル基である。一般式(1)に於い
て、m及びnはそれぞれ独立に2〜400の整数であ
り、特に4〜400の整数であることが好ましい。一般
式(1)で表わされるポリオルガノシロキサンとして特
に好ましいものは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエ
チルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン等の一端又
は両端にX1 の官能基が結合している化合物である。
【0024】一般式(1)で表わされるポリオルガノシ
ロキサンをグラフト化させるセルロース誘導体は、遊離
の水酸基を有するセルロース誘導体であれば特に限定さ
れないが、その好ましい具体例としては、セルロースト
リアセテート、セルロースジアセテート、セルロースア
セテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセ
テートプロピオネート、セルロースブチレート、セルロ
ースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテー
トヘキサハイドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースヘキサハイドロフタレート等を挙げること
ができる。中でもセルロースジアセテート(酢化率40
〜56%)が特に好ましい。上記セルロース共重合体
は、上記一般式(1)で表わされるポリオルガノシロキ
サンのX1 の官能基と、セルロース誘導体が有する水酸
基(セルロース誘導体が例えば、セルローストリアセテ
ートであっても、酢化率は理論量62.5%に対して6
0%程度であり、遊離の水酸基を有する)とを常法によ
る反応で結合させることにより製造することができる。
例えば、末端がカルボキシル基であるポリオルガノシロ
キサンとセルロース誘導体とをp−トルエンスルホン酸
を触媒として使用し70〜110℃で反応させると、ポ
リオルガノシロキサンのカルボキシル基とセルロース誘
導体の水酸基とが反応してエステル結合が形成され、セ
ルロース誘導体の主鎖にポリオルガノシロキサン単位の
側鎖がグラフト化した共重合体が生成する。この場合、
ポリオルガノシロキサンのカルボキシル基を予め例え
ば、塩化チオニルと反応させて塩化アシル基に変えた
後、セルロース誘導体と反応させてもよい。また、末端
がグリシジル基であるポリオルガノシロキサンとセルロ
ース誘導体とを例えば、三フッ化ホウ素エチルエーテル
を触媒として使用し加温下で反応させると、ポリオルガ
ノシロキサンのグリシジル基とセルロース誘導体の水酸
基とが反応してエーテル結合が形成され、セルロース誘
導体の主鎖にポリオルガノシロキサン鎖がグラフト化し
た共重合体が生成する。
【0025】上記セルロース共重合体中のポリオルガノ
シロキサン単位の含有量は、3〜50重量%の範囲内で
あることが好ましい。ポリオルガノシロキサン単位の含
有量が上記の範囲よりも小さいと、本発明に於ける最外
層の潤滑性能が不足する傾向にあり、上記の範囲よりも
大きいと、支持体から離脱し易くなる傾向にある。ま
た、セルロース共重合体の平均分子量は、1万〜20万
であることが好ましい。このセルロース共重合体の平均
分子量が上記の範囲よりも小さいと、このセルロース共
重合体の他の層や支持体への転写や移動が起こり易くな
り、また上記の範囲よりも大きいとセルロース共重合体
の膜状物を形成するための溶液の粘度が高くなり過ぎ
て、この溶液の均一な塗布が困難になる傾向がある。
【0026】上記のポリオルガノシロキサン単位を側鎖
又は主鎖の一部として含む合成共重合体として好ましい
ものは、前記一般式(3)で表わされるポリオルガノシ
ロキサンと、メチルメタクリレート又は2−ビニルピリ
ジンとの共重合体である。一般式(3)に於いて、R11
〜R16は独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基
(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル)、フェニル基又はアルキルスチリル基(例えば、メ
チルスチリル)を表わす。R11〜R16として特に好まし
いものは、メチル基、エチル基、プロピル基、メチルス
チリル基等である。一般式(3)に於いて、X2 は前記
一般式(4)で示される基であり、一般式(4)に於い
てpは0〜6の整数で、特に好ましくは0〜3の整数で
ある。一般式(3)に於いて、Y2 は水素原子、炭素数
1〜6のアルキル基(上記のR11について例示したも
の)、フェニル基、アルキルスチリル基、又はX2 で示
される基を表わす。Y2 として特に好ましいものは、炭
素数3以下のアルキル基である。一般式(3)に於い
て、q及びrはそれぞれ独立に2〜400の整数であ
り、特に4〜400の整数であることが好ましい。一般
式(3)で表わされるポリオルガノシロキサンとして特
に好ましいものは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエ
チルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン等の一端又
は両端にX2 の官能基が結合している化合物である。
【0027】上記合成共重合体は、一般式(3)で表わ
されるポリオルガノシロキサンとメチルメタクリレート
又は2−ビニルピリジンとを、アゾビスイソブチロニト
リル等のようなラジカル重合触媒の存在下で常法により
共重合させることによって製造することができる。一般
式(3)で表わされるポリオルガノシロキサンがX2
表わされる基を一個有するものである場合は、ポリオル
ガノシロキサン単位が側鎖となり、一般式(3)で表わ
されるポリオルガノシロキサンがX2 で表わされる基を
二個有するものである場合は、ポリオルガノシロキサン
単位は主鎖中に含まれたり、側鎖になったり、網目状共
重合体になったりする。上記合成共重合体中のポリオル
ガノシロキサン単位の含有量は、3〜50重量%の範囲
内であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン単位
の含有量が上記の範囲よりも小さいと、本発明に於ける
最外層の潤滑性能が不足する傾向にあり、上記の範囲よ
りも大きいと、支持体から離脱し易くなる傾向にある。
また、合成共重合体の平均分子量は1万〜20万である
ことが好ましい。この共重合体の平均分子量が上記の範
囲よりも小さいと、共重合体の他の層や支持体への転写
や移動が起こり易くなり、また上記の範囲よりも大きい
と合成共重合体の膜状物を形成するための溶液の粘度が
高くなり過ぎて、この溶液の均一な塗布が困難になる傾
向がある。
【0028】本発明の表面潤滑性フィルムの最外層は、
上記セルロース共重合体又は合成共重合体と共に、更に
セルロース誘導体を含むものであってもよい。このセル
ロース誘導体は、前記のセルロース共重合体の製造の原
料として記載したセルロース誘導体と同様のものであ
る。また、セルロース誘導体の平均分子量は1万〜20
万であることが好ましい。セルロース誘導体の平均分子
量が上記の範囲よりも小さいとバインダーとしての性能
が低下する傾向があり、また上記の範囲よりも大きいと
最外層形成用塗布溶液の粘度が高くなり過ぎて、この溶
液の均一な塗布が困難になる傾向がある。セルロース共
重合体又は合成共重合体とセルロース誘導体とは、適当
な手段(例えば、溶液混合、粉末混合等)により混合す
ることができる。本発明の表面潤滑性フィルムの最外層
が合成共重合体とセルロース誘導体とからなる場合、合
成共重合体はセルロースと相溶性であるものが好まし
い。ここで「相溶性である合成共重合体」とは、合成共
重合体とセルロース誘導体との1:1重量比の混合物の
溶液を、ガラス板上に流延し乾燥してフィルムを形成さ
せたとき、透明なフィルムが得られるような合成共重合
体を意味する。上記最外層中の、セルロース誘導体とセ
ルロース共重合体又は合成共重合体との割合は、使用す
る共重合体に含まれるポリオルガノシロキサンの含有量
によって変わり、混合物全体のポリオルガノシロキサン
単位の含有量が3〜40重量%の範囲内になるようにす
ることが好ましい。
【0029】本発明の表面潤滑性フィルムの最外層に
は、更にシリコーンオイルが含まれていてもよい。この
シリコーンオイルは特に限定されず、例えば、伊藤邦雄
編「シリコーンハンドブック」日刊工業新聞社刊(19
90年)に記載されているものを使用することができる
が、前記の一般式(5)で表わされる化合物であること
が好ましい。一般式(5)に於いて、R21〜R210 は独
立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(具体例と
しては、前記のR1 について例示したものが挙げられ
る)、フェニル基又はアルキルスチリル基を表わす。R
21〜R210 として特に好ましいものは、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、メチルスチリル基等である。また、
s及びtはそれぞれ独立に2〜400の整数で、特に好
ましくは4〜400の整数である。シリコーンオイルの
特に好ましい例としては、ポリジメチルシロキサン、ポ
リメチルメチルスチリルシロキサン、ポリジメチルスチ
リルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロ
ピルシロキサン等、並びにこれらの化合物が非反応性の
置換基で置換されている化合物を挙げることができる。
シリコーンオイルの含有量は、最外層形成組成物の30
重量%以下であることが好ましい。シリコーンオイルの
含有量が上記の値より多くなると、相対的に最外層に含
まれるセルロース共重合体又は合成共重合体(及び場合
によりセルロース誘導体)の量が減少して最外層の膜強
度が低下し、シリコーンオイルが移動され易くなる傾向
がある。
【0030】本発明のフィルムに於ては、最外層に前記
のようなセルロース共重合体又は合成共重合体(及び場
合によりセルロース誘導体)が含まれているので、これ
らがシリコーンオイルを確実に保持し固定化するので、
シリコーンオイルが移動したり接触する他の面に転写さ
れることが実質的に無い。最外層にシリコーンオイルを
含有させる場合は、セルロース共重合体又は合成共重合
体のポリオルガノシロキサン単位の含有量が、シリコー
ンオイルの4重量%以上になるように配合することが、
セルロース共重合体又は合成共重合体(及び場合により
セルロース誘導体)とシリコーンオイルとの相溶性を高
くする点から望ましい。セルロース共重合体又は合成共
重合体(及び場合によりセルロース誘導体)にシリコー
ンオイルをできるだけ均一に分散混合させることが望ま
しい。両者の特に好ましい混合方法としては、セルロー
ス共重合体又は合成共重合体(及び場合によりセルロー
ス誘導体)の有機溶媒中の溶液にシリコーンオイルを添
加し攪拌して分散させる方法や、シリコーンオイルの中
にセルロース共重合体又は合成共重合体(及び場合によ
りセルロース誘導体)の有機溶媒中の溶液を添加し攪拌
する方法を挙げることができる。本発明のフィルムの最
外層には、更に、マット剤、界面活性剤、架橋剤、粘稠
剤、防腐剤、導電性物質、紫外線吸収剤、コロイダルシ
リカ等の無機微粒子等が含有されていてもよい。
【0031】本発明に於ける最外層は、一般に上記の最
外層形成成分を適当な有機溶媒に溶解して調製した溶液
を、公知の塗布方法、例えば、スライドコート、ローラ
ービードコート、スプレーコート、エクストルージョン
コート、カーテンコート、ワイヤーバーコート等の方法
を使用して塗布したり、あるいはバンド流延機、ドラム
流延機等を使用して流延することにより支持体の表面に
(中間層がある場合はその上に)形成することができ
る。上記の溶液を調製するための有機溶媒としては、最
外層形成成分を溶解し得るものであれば特に限定されな
いが、特に好ましい有機溶媒としては、テトラヒドロフ
ラン、アセトン、ジクロロメタン、ジオキサン、トルエ
ン等及びこれらの混合物を挙げることができる。上記の
溶液中の最外層形成成分の濃度は、最外層形成成分の種
類、溶媒の種類、塗布方法等によって変わるが、溶液の
粘度を高くし過ぎないために一般に30重量%以下であ
ることが好ましく、溶媒消費量及び塗膜からの溶媒除去
コストを低減させるために一般に1重量%以上であるこ
とが好ましい。最外層形成成分の種類によっては、溶媒
を使用することなく最外層形成成分を加熱熔融して、流
延法により支持体の表面に(中間層がある場合はその上
に)最外層を形成することもできる。最外層の膜厚は
0.05〜400μmであることが好ましい。
【0032】前記のように、本発明のフィルムに於ては
最外層は支持体に直接設けられていてもよく、支持体と
最外層との間に他の層(例えば、静電気によるダメージ
を防止するために導電性の機能を果たす層)が設けられ
ていてもよい。この他の層のバインダーとしては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポ
リ酢酸ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリフッ
化ビニリデンのようなフッ素樹脂、ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、天然ゴム等のゴム類、ポリメチルメタ
クリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル酸又
はメタクリル酸エステル等の水不溶性ポリマー、並びに
これらの誘導体を挙げることができる。これらは一種類
のモノマーからなるホモポリマーでも二種類以上のモノ
マーから得られる共重合体でもよい。またこれらは単独
で用いてもよく二種類以上を用いてもよい。更に、石灰
処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼ
ラチン誘導体及び変性ゼラチン等の、一般に用いられて
いるゼラチン類を用いることができる。また、コロイド
状アルブミン、カゼイン等のタンパク質、寒天、アルギ
ン酸ナトリウム、デンプン誘導体等の糖誘導体、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース化
合物、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリ
ドン、ポリアクリルアミド等の合成親水性化合物を用い
ることもできる。
【0033】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。
【0034】[共重合体の製造例1]平均分子量が3
0,000の一端にメタクリルオキシ基を有するポリジ
メチルシロキサン1g及びメチルメタクリレート1gを
7.26mlのトルエンに溶解し、得られた溶液にラジ
カル重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル36m
gを添加し、60℃で共重合させて、ポリジメチルシロ
キサン単位を31重量%含有する合成共重合体を製造し
た。得られた合成共重合体を共重合体Aとする。
【0035】[共重合体の製造例2]ポリオルガノシロ
キサンとして、平均分子量が5,000の一端にメタク
リルオキシ基を有するポリジメチルシロキサンを同量使
用し、アゾビスイソブチロニトリルの量を22mgにし
た他は共重合体の製造例1に於けると同様にして、ポリ
ジメチルシロキサン単位を20重量%含有する合成共重
合体を製造した。得られた共重合体を共重合体Bとす
る。
【0036】[共重合体の製造例3]平均分子量が約4
万で酢化率が40%であるセルロースジアセテート1g
をテトラヒドロフラン32.6mlに溶解し、この溶液
に平均分子量が2,200の一端にカルボキシプロピル
基を有するポリジメチルシロキサン4.5g及び触媒と
してp−トルエンスルホン酸(セルロースジアセテート
1g当り130mg)を添加し、70℃で共重合させ
て、ポリジメチルシロキサン単位を4.6重量%含有す
るセルロース共重合体を製造した。得られた共重合体を
共重合体Cとする。
【0037】[共重合体の製造例4]平均分子量が約2
9,000で酢化率が40%であるセルロースジアセテ
ート1gを33mlのアセトンに溶解し、この溶液に平
均分子量が1,200の両端にグリシジルオキシ基を有
するポリジメチルシロキサン3.2g及び触媒として三
フッ化ホウ素エチルエーテル(セルロースジアセテート
1g当り58mg)を添加し、65℃で共重合させて、
ポリジメチルシロキサン単位を12.3重量%含有する
セルロース共重合体を製造した。得られた共重合体を共
重合体Dとする。
【0038】[実施例1]アセトンに、平均分子量が約
5万で酢化率が46%であるセルロースジアセテート5
0重量部及び上記の共重合体A50重量部を溶解して、
固形分濃度が1重量%である最外層形成用塗布液を調製
した。支持体としての厚さが122μmのセルロースト
リアセテートフィルムの片面に、最外層形成用塗布液を
ワイヤーバーを用いて、固形分の塗布量が0.25g/
2 になるように塗布し、50℃の温風を当てて乾燥し
て、支持体の片面に最外層が設けられた表面潤滑性フィ
ルムを作製した。
【0039】作製した表面潤滑性フィルムについて、下
記の試験方法により潤滑性能及びポリオルガノシロキサ
ン成分の転写挙動について評価した。 [潤滑性能]潤滑性能は、100gの荷重をかけた直径
5mmの鋼球を、評価フィルムの最外層の表面と接触さ
せながら20mm/秒の速度で走行させたときの摩擦力
を、ロードセルで検出することによって測定した動摩擦
係数によって表わす。 [転写挙動]ポリオルガノシロキサン成分の転写挙動
は、下記の三種の測定値により評価する。 (1)セルローストリアセテートフィルムの表面に厚さ
0.3μmのゼラチン下引層を設けた試験用フィルムを
評価フィルムと、下引層と最外層とを接触させて重ね、
これらに100g/cm2 の荷重をかけたまま、46℃
のインキュベーター内に24時間保管した後、これを取
り出して試験用フィルムの下引層の表面の蒸留水の接触
角を25℃で測定した。蒸留水の接触角が大きいほど疎
水性であり、ポリオルガノシロキサンの転写量が多いこ
とを示す。 (2)上記(1)と同様にしてインキュベーションした
後の、試験用フィルムの下引層の表面のケイ素元素量を
X線光電子分光法(XPS)によって測定した。ケイ素
元素量が多いほどポリオルガノシロキサンの転写量が多
いことを示す。 (3)上記(1)と同様にしてインキュベーションした
後の、試験用フィルムの下引層の表面に、コロイド銀粒
子をゼラチン及び界面活性剤を用いて水分散させた塗布
液を塗布し、そのときのハジキの発生個数(個/100
cm2 )を測定した。ハジキの発生個数の多いほどポリ
オルガノシロキサンの転写量が多いことを示す。なお、
コロイド銀粒子を分散させた塗布液のWhilhelmy プレー
ト法による表面張力は32mN/mであり、東京計器製
のB型粘度計により測定した粘度(40℃)は18mP
as・sであった。作製した表面潤滑性フィルムの潤滑
性能及びポリオルガノシロキサン成分の転写挙動につい
ての評価結果を表1に示す。
【0040】[実施例2]アセトンに、平均分子量が約
5万で酢化率が46%であるセルロースジアセテート6
0重量部及び上記の共重合体B20重量部を溶解し、こ
の溶液にシリコーンオイルとして側鎖のメチル基の一部
がメチルスチリル基で置換されたポリジメチルシロキサ
ン(信越化学工業株式会社製、商品名KF−410)2
0重量部を添加し溶解させて、固形分濃度が1重量%で
ある最外層形成用塗布液を調製した。この最外層形成用
塗布液を使用した他は実施例1に於けると同様にして、
支持体の片面に最外層が設けられた表面潤滑性フィルム
を作製した。得られた表面潤滑性フィルムの、潤滑性能
及びポリオルガノシロキサン成分の転写挙動について、
実施例1に於けると同様にして測定した評価結果を表1
に示す。
【0041】[実施例3]共重合体Bの代わりに上記の
共重合体Cを同量使用した他は実施例2に於けると同様
にして、固形分濃度が1重量%である最外層形成用塗布
液を調製した。この最外層形成用塗布液を使用した他は
実施例1に於けると同様にして、支持体の片面に最外層
が設けられた表面潤滑性フィルムを作製した。得られた
表面潤滑性フィルムの、潤滑性能及びポリオルガノシロ
キサン成分の転写挙動について、実施例1に於けると同
様にして測定した評価結果を表1に示す。
【0042】[比較例1]共重合体Aを使用せずセルロ
ースジアセテートのみを使用した他は実施例1に於ける
と同様にして、固形分濃度が1重量%である最外層形成
用塗布液を調製した。この最外層形成用塗布液を使用し
た他は実施例1に於けると同様にして、支持体の片面に
最外層が設けられたフィルムを作製した。得られたフィ
ルムの潤滑性能及びポリオルガノシロキサン成分の転写
挙動について、実施例1に於けると同様にして測定した
評価結果を表1に示す。
【0043】[比較例2]共重合体Bを使用せずセルロ
ースジアセテート95重量部及びシリコーンオイル5重
量部を使用した他は実施例2に於けると同様にして、固
形分濃度が1重量%である最外層形成用塗布液を調製し
た。この最外層形成用塗布液を使用した他は実施例1に
於けると同様にして、支持体の片面に最外層が設けられ
たフィルムを作製した。得られたフィルムの潤滑性能及
びポリオルガノシロキサン成分の転写挙動について、実
施例1に於けると同様にして測定した評価結果を表1に
示す。
【0044】[比較例3]共重合体Bを使用せずセルロ
ースジアセテート90重量部及びシリコーンオイル10
重量部を使用した他は実施例2に於けると同様にして、
固形分濃度が1重量%である最外層形成用塗布液を調製
した。この最外層形成用塗布液を使用した他は実施例1
に於けると同様にして、支持体の片面に最外層が設けら
れたフィルムを作製した。得られたフィルムの潤滑性能
及びポリオルガノシロキサン成分の転写挙動について、
実施例1に於けると同様にして測定した評価結果を表1
に示す。
【0045】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 潤滑性能 ポリオルガノシロキサン成分の転写挙動 動摩擦係数 蒸留水接触角 ケイ素元素量 ハジキ個数 (度) (cps) (個/100cm2) ──────────────────────────────────── 実施例1 0.13 58 60 0 実施例2 0.05 64 120 1 実施例3 0.04 65 220 1.5 比較例1 0.38 63 20 1 比較例2 0.10 73 2300 13 比較例3 0.07 74 3280 45 ────────────────────────────────────
【0046】表1の結果から、本発明の表面潤滑性フィ
ルムである実施例1〜3で得られたフィルムは、何れも
潤滑性能が優れており、その最外層を試験用フィルムに
接触させたとき、接触させた試験用フィルムの表面の蒸
留水接触角、ケイ素元素量及びハジキ個数は何れも非常
に小さく、最外層に含まれるポリオルガノシロキサン成
分が試験用フィルムに実質的に転写しないことが明らか
である。これに対して、比較例1で得られた最外層にポ
リオルガノシロキサン成分を含まないフィルムは、当然
のことながら接触させた試験用フィルムの表面の蒸留水
接触角、ケイ素元素量及びハジキ個数は何れも小さい
が、最外層の潤滑性能が著しく劣っている。また、比較
例2で得られた最外層にシリコーンオイルを含むフィル
ムは、潤滑性能は優れているが、最外層のシリコーンオ
イルの含有量は実施例のものよりも著しく少ないにもか
かわらず、接触させた試験用フィルムの表面の蒸留水接
触角、ケイ素元素量及びハジキ個数は何れも著しく大き
く、これは最外層に共重合体が含まれていないためにシ
リコーンオイルが非常に転写し易いものであることを示
している。シリコーンオイルの含有量を増加させた比較
例3に於ては、シリコーンオイルの転写挙動が一層増強
されている。なお、前記共重合体Dについても共重合体
A〜Cと同様の挙動を示すことが確認された。
【0047】[参考例1]実施例2に於けると同様にし
て調製した最外層形成用塗布液を、ガラス板上に流延し
た後アセトンを蒸発させて、厚さが約0.1mmのポリ
マーフィルムを作製した。作製したポリマーフィルムに
ついて、下記の試験方法により潤滑性能及びポリオルガ
ノシロキサン成分の転写挙動について評価した。 [潤滑性能]潤滑性能は、直径5mmの円筒形状の鋼製
のピンに2Nの荷重をかけて、円盤状に形を整えた評価
フィルムに接触させながら2mm/秒の速度で走行させ
たときの摩擦力を、ロードセルで検出することによって
測定した動摩擦係数によって表わす。1分間接触させた
後及び2時間接触させた後の動摩擦係数を測定すること
により接触時間による変化を示す。 [転写挙動]ポリオルガノシロキサン成分の転写挙動
は、下記の測定値により評価する。セルローストリアセ
テートフィルムの表面に厚さ0.3μmのゼラチン下引
層を設けた試験用フィルムを評価フィルムと、下引層と
最外層とを接触させて重ね、これらに100g/cm2
の荷重をかけたまま、46℃のインキュベーター内に2
4時間保管した後、これを取り出して試験用フィルムの
下引層の表面のケイ素元素量をX線光電子分光法(XP
S)によって測定した。ケイ素元素量が多いほどポリオ
ルガノシロキサンの転写量が多いことを示す。作製した
ポリマーフィルムの潤滑性能及びポリオルガノシロキサ
ン成分の転写挙動についての評価結果を表2に示す。
【0048】[比較参考例1]比較例1に於けると同様
にして調製した最外層形成用塗布液を、ガラス板上に流
延した後アセトンを蒸発させて、厚さが約0.1mmの
ポリマーフィルムを作製した。作製したポリマーフィル
ムの潤滑性能及びポリオルガノシロキサン成分の転写挙
動について、参考例1に於けると同様にして測定した評
価結果を表2に示す。
【0049】[比較参考例2]比較例3に於けると同様
にして調製した最外層形成用塗布液を、ガラス板上に流
延した後アセトンを蒸発させて、厚さが約0.1mmの
ポリマーフィルムを作製した。作製したポリマーフィル
ムの潤滑性能及びポリオルガノシロキサン成分の転写挙
動について、参考例1に於けると同様にして測定した評
価結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 潤滑性能 転写挙動 動摩擦係数 ケイ素元素量 1分間接触後 2時間接触後 (cps) ──────────────────────────────────── 参考例1 0.07 0.14 70 比較参考例1 0.39 40分接触後 20 フィルムが破壊 比較参考例2 0.09 0.35 4380 ────────────────────────────────────
【0051】
【発明の効果】本発明の表面潤滑性フィルムは、高い表
面潤滑性を有し、しかもロール状に巻つけた状態でも潤
滑剤であるポリオルガノシロキサン成分を含む物質が、
反対側表面に転写して接触した表面の特性に悪影響を与
えることが無いという顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 格 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース誘導体にポリオルガノシロキ
    サン単位をグラフト化したセルロース共重合体、又はポ
    リオルガノシロキサン単位を側鎖又は主鎖の一部として
    含む合成共重合体からなる膜状物を最外層として有する
    ことを特徴とする表面潤滑性フィルム。
  2. 【請求項2】 該最外層が、更にセルロース誘導体を含
    む請求項1記載の表面潤滑性フィルム。
  3. 【請求項3】 該セルロース誘導体が、セルロースジア
    セテートである請求項1又は請求項2記載の表面潤滑性
    フィルム。
  4. 【請求項4】 該最外層が、更にシリコーンオイルを含
    む請求項1乃至3の何れか一項記載の表面潤滑性フィル
    ム。
JP4966494A 1994-02-22 1994-02-22 表面潤滑性フィルム Withdrawn JPH07228641A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1095959A2 (en) * 1999-10-28 2001-05-02 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Cosmetic composition
FR2818535A1 (fr) * 2000-12-22 2002-06-28 Oreal Composition cosmetique comprenant un polysaccharide greffe par un polysiloxane et une silicone soluble

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