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JPH07220310A - 記録媒体及び情報処理装置 - Google Patents

記録媒体及び情報処理装置

Info

Publication number
JPH07220310A
JPH07220310A JP3081094A JP3081094A JPH07220310A JP H07220310 A JPH07220310 A JP H07220310A JP 3081094 A JP3081094 A JP 3081094A JP 3081094 A JP3081094 A JP 3081094A JP H07220310 A JPH07220310 A JP H07220310A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
recording medium
recording
electrode
recording layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3081094A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Ikeda
勉 池田
Harunori Kawada
春紀 河田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP3081094A priority Critical patent/JPH07220310A/ja
Publication of JPH07220310A publication Critical patent/JPH07220310A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走査型プローブ顕微鏡の原理を用いた超高密
度記録/再生方式に適用され、記録層の外力に対するダ
メージを抑制し得る記録媒体を提供することにある。 【構成】 電極層102と記録層103の間に、硫黄原
子を有する官能基、特にチオール基を含む分子或いはそ
の重合体からなる密着層106が形成されていることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
の原理を用いた超高密度記録/再生方式に適用される記
録媒体及び情報処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、メモリ材料の用途は、コンピュー
タ及びその関連機器、ビデオディスク、デジタルオーデ
ィオディスク等のエレクトロニクス産業の中核をなすも
のであり、その材料開発も極めて活発に進んでいる。メ
モリ材料に要求される性能は用途により異なるが、一般
的には 1)高密度で記録容量が大きい 2)記録再生の応答速度が速い 3)消費電力が少ない 4)生産性が高く価格が安い 等が挙げられる。
【0003】一方、導体の表面原子の電子構造を直接観
察できる走査型トンネル顕微鏡(STM)が開発され
(G.Binnig et al.Phys.Rev.
Lett.49,57(1982))、単結晶、非晶質
を問わず実空間像の高い分解能の測定ができるようにな
り、しかも媒体に電流による損傷を与えずに低電力で観
察できる利点をも有し、さらに大気中でも動作し、種々
の材料に対して用いることができるため広範囲な応用が
期待されている。
【0004】STMは、金属の探針(プローブ電極)と
導電性物質の間に電圧を加えて1nm程度の距離まで近
づけると、これらの間にトンネル電流が流れることを利
用している。この電流は両者の距離変化に非常に敏感で
あり、トンネル電流を一定に保つように探針を走査する
ことにより実空間の表面構造を描くことができると同時
に表面原子の全電子雲に関する種々の情報をも読みとる
ことができる。この際面内方向の分解能は0.1nm程
度である。従って、STMの原理を応用すれば十分に原
子オーダー(数Å)で高密度記録再生を行なうことが可
能である。この際の記録再生方法としては、粒子線(電
子線、イオン線)或いはX線等の高エネルギー電磁波及
び可視・紫外光等のエネルギー線を用いて適当な記録層
の表面状態を変化させて記録を行ない、STMで再生す
る方法や、記録層として電圧電流のスイッチング特性に
対してメモリ効果をもつ材料、例えばπ電子系有機化合
物やカルコゲン化物類の薄膜層を用いて記録・再生をS
TMを用いて行なう方法等が提案されている。
【0005】図3にSTMを応用した情報処理装置の構
成図を示す。以下、図面に従って説明する。101は基
板、102は電極層、103は記録層である。201は
XYステージ、202はプローブ電極、203はプロー
ブ電極の支持体、204はプローブ電極をZ方向に駆動
するZ軸リニアアクチュエータ、205,206はXY
ステージをそれぞれX,Y方向に駆動するリニアアクチ
ュエータである。
【0006】301はプローブ電極202から記録層1
03を介して電極層102へ流れるトンネル電流を検出
する増幅器である。302はトンネル電流の変化をプロ
ーブ電極202と記録層103の間隔距離に比例する価
に変換するための対数圧縮器、303は記録層103の
表面凹凸成分を抽出するための低域通過フィルタであ
る。304は基準電圧VREFと低域通過フィルタ303
の出力との誤差を検出する誤差増幅器、305はアクチ
ュエータ204を駆動するドライバーである。306は
XYステージ201の位置制御を行う駆動回路である。
307はデータ成分を分離する高域通過フィルタであ
る。308はプローブ電極202と電極層102との間
に情報処理用のパルス電圧を印加する電源である。パル
ス電圧を印加するとプローブ電流が急激に変化するた
め、サーボ回路309を用いてプローブ電極202のZ
方向への急激な変位を制御できるようになっている。
【0007】これらの装置に使用される記録媒体の断面
図を図4に示す。101は基板、102は平滑面を有す
る電極層、103は記録層、104はトラックである。
また202は情報処理装置のプローブ電極で、401は
データビットである。
【0008】この記録媒体の作成方法を図5に示す。ま
ず金属がエピタキシャル成長可能な平滑基板101を用
意し(図5(a))、これに真空蒸着法により電極層1
02としての貴金属をエピタキシャル成長させる(図5
(b))。この後、トラッキング用の溝が必要な場合は
イオンビーム技術等を用いて電極層102に形成する
(図5(c))。次に、係る電極層102上に有機分子
からなる記録層103を形成し、記録媒体が完成する
(図5(d))。この記録媒体を情報処理装置に使用す
ることによって、高密度な情報記録再生が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た記録媒体を使用した場合には以下のような問題点があ
った。
【0010】前記情報処理装置はSTMの原理を応用し
ているため、記録媒体の電極層には酸化膜の生成しない
材料、即ち貴金属を用いることが望ましい。一方、記録
層としては、特開昭63−161552号公報に開示さ
れているように、電流−電圧特性においてメモリースイ
ッチング現象(電気メモリー効果)を有する材料を使用
することが望ましいが、そのほとんどは有機材料であ
る。一部の有機材料は貴金属に対して密着性があまり良
くなく、記録媒体においても例外ではない。例えば、記
録媒体に使用するような上記有機材料からなる薄膜の、
基板上での強度について記載のある報告としては、
「E. Meyer et al., Nature,
349,398−400(1991)」などがある。
これらはSi基板上に有機膜を形成し、その表面を原子
間力顕微鏡(AFM)を用いて、荷重を加えて強度実験
を行っているが、比較的強い荷重に対しては膜剥れ等の
ダメージが発生することを示唆している。記録媒体にお
いて、電極層と記録層の密着性が不十分であると、まず
記録層が物理的な外力に弱くなるという問題点が発生す
る。例えば、情報の記録再生時にプローブが外的ショッ
クなど何らかの原因で記録層と強く接触してしまった場
合、プローブが容易に記録層を剥ぎ取ってしまうことが
ある。
【0011】以上のような従来例の問題点に鑑み、本発
明の目的とするところは、電極層に対する記録層の密着
性を高め、記録層の外力に対するダメージを抑制し得る
記録媒体、さらにはそれを用いた情報処理装置を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】すなわち、上記
目的を達成すべく成された本発明は、電極層と記録層の
間に、硫黄原子を有する官能基を含む分子或いはその重
合体からなる密着層が形成されていることを特徴とする
記録媒体にあり、また、上記記録媒体と、少なくとも一
本のプローブ電極と、記録媒体とプローブ電極間に電圧
を印加する手段と、記録媒体とプローブ電極を近接配置
させて記録媒体とプローブ電極間に流れる電流を検知す
る手段を有する情報処理装置にある。
【0013】図1は本発明の記録媒体の一例を示す断面
図である。101は基板、102は平滑面を有する電極
層、103は記録層、104はトラック、106は密着
層である。この記録媒体の製造工程を図2の工程図に従
って説明する。
【0014】まず平滑基板101を用意する(図2
(a))。この平滑基板は表面凹凸の最大値と最小値が
1nm以下の平滑面を少なくとも一辺が1μmの正方形
の領域内以上有するものであることが望ましい。それと
同時に係る平滑基板は金属がエピタキシャル成長するの
に適しているものが望ましい。これらの条件を満たす平
滑基板としては、マイカ,MgO,TiC,Si,グラ
ファイト等が挙げられる。
【0015】次に、平滑基板上に電極層102として金
属をエピタキシャル成長させる(図2(b))。係る金
属としては、Au,Ag,Pdなどのほか、Au−A
g,Au−Pdなどの合金を用いても良い。
【0016】続いて、係る平滑電極基板上にイオンビー
ム技術を用いて、所望のトラックパターンを形成する
(図2(c))。トラックパターンの形成には従来の公
知の種々のリソグラフィー技術を用いることも可能であ
るが、プロセスの簡略化、段差の制御性、ビーム径の大
きさなどから、本発明においては集束イオンビーム(F
IB)などのイオンビーム技術を用いるのが好ましい。
また、記録されたデータの凹凸と区別でき、且つデータ
追跡時のプローブ電極の損傷を防ぐために、トラックの
段差は3nm〜30nmであるのが望ましい。
【0017】以上の工程から得られた電極層102の表
面形状をSTMを用いて測定したところ、その表面凹凸
は一辺が10μmの正方形内の領域において、十分な平
滑性を有していることを確認した。
【0018】次に、上記工程で作成した電極層102に
密着層105である硫黄原子を有する官能基を含む分子
を形成する(図2(d))。係る密着層の最も簡便な形
成方法としては、硫黄原子を有する官能基を含む分子を
有機溶剤等の溶媒に溶解したのち、電極層を溶媒に浸漬
して電極表面にそれらの分子を化学吸着させる方法があ
る。
【0019】本発明において、上記硫黄原子を有する官
能基としては、特にチオール基が好適である。チオール
基は貴金属、特にAuに対して選択的に化学吸着する特
性を有する「W.S.V. Kwan et al.,
Langmuir, 7,1419−25(199
1)」ため、電極層としてAuを用いることで極めて強
固な密着性が得られる。
【0020】また、後述のように、記録層として例えば
イミド結合を有する分子を用いる場合には、前記の硫黄
原子を有する官能基を含む分子が酸無水物部位を有する
ことも好ましい。これは密着層の酸無水物部位と記録層
のイミド部位との化学結合により強固な密着性が得られ
るためである。
【0021】次に、係る密着層の上に有機化合物からな
る記録層103を形成する(図2(e))。係る記録層
の形成方法としては、従来公知の真空蒸着法やクラスタ
ーイオンビーム法、塗布吸着法などが挙げられるが、最
も簡便に均一な膜厚を得るにはラングミュアーブロジェ
ット(LB)法が好ましい。LB法によれば、有機化合
物の単分子膜又は該単分子膜を累積した累積膜を容易に
形成することが可能である。
【0022】さらに、本発明で用いる記録層は、電流−
電圧特性においてメモリースイッチング現象(電気メモ
リー効果)を有する材料、例えば、π電子準位をもつ群
とσ電子準位のみを有する群を併有する分子の有機単分
子膜或いはその累積膜を用いることが可能となる。尚、
電気メモリー効果は前記の有機単分子膜、或いはその累
積膜等の薄膜を一対の電極間に配置させた状態で、それ
ぞれ異なる2つ以上の導電率を示す状態(図6 ON状
態、OFF状態)へ遷移させることが可能な閾値を越え
た電圧を印加することにより、可逆的に低抵抗状態(O
N状態)および高抵抗状態(OFF状態)へ遷移(スイ
ッチング)させることができる。またそれぞれの状態は
電圧を印加しなくとも保持(メモリー)しておくことが
できる。
【0023】一般に有機材料のほとんどは絶縁性もしく
は半絶縁性を示すことから、本発明において適用可能な
π電子準位を持つ群を有する有機材料は著しく多岐にわ
たる。本発明に好適なπ電子系を有する色素の構造とし
て例えば、フタロシアニン,テトラフェニルポルフィリ
ン等のポルフィリン骨格を有する色素、スクアリリウム
基及びクロコニックメチン基を結合鎖として持つアズレ
ン系色素、及びキノリン,ベンゾチアゾール,ベンゾオ
キサゾール等の2個の含窒素複素環をスクアリリウム基
及びクロコニックメチン基により結合したシアニン系類
似の色素、又はシアニン色素、アントラセン及びピレン
等の縮合多環芳香族、及び芳香環及び複素環化合物が重
合した鎖状化合物及びジアセチレン基の重合体、さらに
はテトラシアノキノジメタンまたはテトラチアフルバレ
ンの誘導体及びその類似体及びその電荷移動錯体、また
さらにはフェロセン,トリスビピリジンルテニウム錯体
等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0024】本発明に好適な高分子材料としては、例え
ばポリイミド,ポリアミド等の縮合重合体、バクテリオ
ロドプシン等の生体高分子が挙げられる。
【0025】これらのπ電子準位を有する化合物の電気
メモリー効果は数10μm以下の膜厚のもので観測され
ているが、前述した記録・再生方法を用いるため、プロ
ーブ電極と記録媒体の電極層間にトンネル電流が流れる
ように両者間の距離を近づけなければならない。このた
め本発明に関わる記録層と密着層を加えた膜厚は、0.
3nm以上10nm以下、好ましくは、0.3nm以上
3nm以下であることが好ましい。
【0026】また、本発明の情報処理装置に関わるプロ
ーブ電極の材料は、導電性を示すものであれば何を用い
てもよく、例えばPt,Pt−Ir,W,Au,Ag等
が挙げられる。プローブ電極の先端は、記録・再生・消
去の分解能を上げるためできるだけ尖らせる必要があ
る。後述する本発明の実施例では、針状の導電性材料を
電界研磨法を用い先端形状を制御して、プローブ電極を
作製しているが、プローブ電極の作製方法及び形状は何
らこれに限定するものではない。更にはプローブ電極の
本数も一本に限る必要もなく、位置検出用と記録・再生
用とを分ける等、複数のプローブ電極を用いても良い。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0028】(実施例1)図1に示した記録媒体を以下
のようにして作製した。
【0029】先ず大気中でマイカ板を劈開し、平滑基板
101を作製した。
【0030】次に、平滑基板上にAuを真空蒸着法を用
いて電極層102を形成した。蒸着は、基板温度:40
0℃、成膜速度:0.5nm/sec、到達真空度:5
×10-7torr、膜厚:500nmの条件で行った。
【0031】続いて、集束イオンビームにより、幅0.
1μm、ピッチ1.0μm、深さ5nmのトラックを平
滑電極基板上に形成した。集束イオンビームはAu++
オンを用い、加速電圧40kV、イオン電流14pA、
ドーズ量1×1016/cm2の条件で行った。
【0032】次に、以下に示したチオール基を末端に有
する構造の化合物を0.1mMの濃度で溶解したクロロ
ホルム溶媒中に平滑電極基板を浸漬した。
【0033】
【化1】
【0034】浸漬30min後、基板を取り出し、クロ
ロホルム溶媒で十分洗浄後乾燥させた。その結果、基板
上に約10Å程度の密着層が形成された。
【0035】次に、かかる平滑電極基板上に記録層とし
て、特開平4−341947号に開示されている方法に
従って、ポリイミドLB膜を4層累積した。なお、ポリ
イミドLB膜の形成方法は以下の通りである。
【0036】ポリアミド酸(分子量約20万)を濃度1
×10-3%(g/g)で溶かしたジメチルアセトアミド
溶液と、別途調製したN,N−ジメチルオクタデシルア
ミンの同溶媒による1×10-3M溶液を1:2(v/
v)に混合し、ポリアミド酸オクタデシルアミン塩溶液
を調製した。係る溶液を水温20℃の純水からなる水相
上に展開し、水面上に単分子膜を形成した。この単分子
膜の表面圧を25mN/mまで高め、さらにこれを一定
に保ちながら、前記基板を水面に横切るように5mm/
分で移動させて浸漬、引き上げを行ない、Y型単分子膜
の累積を行なった。係るポリアミド酸単分子累積膜を3
00℃で10分間加熱を行なうことによりポリイミドに
した。
【0037】なお、ポリイミド1層あたりの厚さは、エ
リプソメトリー法により約0.4nmと求められた。
【0038】以上のようにして作成した記録媒体に対
し、図3に示す情報処理装置を用いて、情報の記録・再
生・消去を行った。以下、記録・再生方法について述べ
る。
【0039】プローブ電極202を記録媒体上トラック
パターンに対して走査した。図7は記録媒体の一部の平
面図である。この際、平滑電極基板に対してプローブ電
極(Pt−Rh合金)202に−0.5Vのバイアス電
圧を印加し、トンネル電流が0.1nAとなるようにド
ライバー305及びアクチュエータ204を用いてプロ
ーブ電極202と電極層102との距離Zを一定に保ち
ながら走査し、トラック104の位置を検出し、係る検
出されたトラック104の位置をもとに501の如き走
査パターンに従ってプローブ電極202を走査させた。
係るトラック位置の検出はプローブ電極202とトラッ
ク104の間でトンネル電流が急激に変化することを利
用している。係る走査パターンの一部、即ちトラック1
04の段差より50nmの位置から記録を10nmピッ
チで行った。
【0040】記録は記録層103の電気メモリ効果を利
用して行った。即ち、情報に従って図8に示した波形を
持つ三角波パルス電圧をパルス電源308を用いて記録
層103に印加し、印加部に低抵抗状態を生じさせた。
この時、トンネル電流は2nAとなった。なお図8にお
いて、プローブ電極202側が+極、電極層102側が
−極としてある。
【0041】記録後再び最初の走査パターン501に従
って記録情報の再生を行った。再生用バイアス電圧は新
たな情報の記録、或いは記録された情報の消去が生じな
い様、0.5Vとし、トンネル電流の変化を測定し、情
報再生を行なった。
【0042】以上の再生実験において、データ転送速度
を1Mbpsとした時のビットエラーレートは1×10
-5であった。引き続き情報記録部に図9に示すパルス電
圧を印加した後に再び再生してみると、初期の高抵抗状
態(トンネル電流=0.1nA)に戻っており、記録情
報の消去が行われたことを確認できた。
【0043】次に、本実施例で作成した記録媒体に対し
てAFM装置を用いて荷重操作を行い、記録層の密着性
を測定した。AFM装置に使用するカンチレバー及びテ
ィップは窒化シリコン製のものを用いた。測定は、ティ
ップを2×10-7Nの荷重で500nm角内を10回走
査させて行った。その結果、走査後の記録層表面には膜
剥れ等のダメージは観察されなかった。
【0044】このように膜剥れが抑制された理由として
は、チオール基を末端に有する構造の化合物のチオール
基が電極層のAuと強固に化学吸着しているため、及び
酸無水物の部位が記録層であるポリイミド層と化学結合
しているためと考えられる。
【0045】(実施例2)実施例1と同様に平滑電極基
板を形成した。続いて、集束イオンビームにより、トラ
ックを平滑電極上に形成した。
【0046】次に、以下に示したチオール基を末端に有
する構造の化合物を0.05mMの濃度で溶解した2−
ブタノール溶媒中に平滑電極基板を浸漬した。
【0047】
【化2】
【0048】次に、かかる平滑電極基板上に実施例1と
同様に記録層としてポリイミドLB膜を4層累積した。
【0049】次に、上記のように作成した記録媒体に対
してAFM装置を用いて荷重操作を行い、記録層の密着
性を測定した。AFM装置に使用するカンチレバー及び
ティップは窒化シリコン製のものを用いた。測定は、テ
ィップを2×10-7Nの荷重で500nm角内を10回
走査させて行った。その結果、走査後の記録層表面には
膜剥れ等のダメージは観察されなかった。
【0050】(実施例3)実施例1と同様な方法で作成
した記録媒体に対して、特開平5−40968号に開示
されている情報記録再生装置を用いて、記録媒体上をプ
ローブ電極を走査させて記録層へのダメージを測定し
た。この情報処理装置は、プローブ電極と記録媒体の間
の距離を両者の間に斥力が作用するまで近接した状態で
プローブ電極を記録媒体表面上を走査し、かつ両者間に
電圧印加回路によって所望の電圧を加え、記録、再生、
及び消去を行なう装置である。
【0051】この装置を用いて、本実施例の記録媒体に
対して、プローブ電極走査をを行った。この時、走査時
のプローブ電極と記録媒体間に働く力は5×10-8Nで
あった。その結果、同一箇所を数十回繰り返し走査して
も、記録層の剥れは発生しなかった。
【0052】(比較例)実施例1と同様に平滑電極基板
を形成した後、密着層形成操作を行わずに、実施例1と
同様に平滑電極基板上にポリイミドLB膜の記録層を形
成した。この記録媒体に対して実施例1と同様に密着性
の測定を行った。その結果、2×10-7Nの荷重で50
0nm角内をティップ走査させたところ、3回目の走査
で記録層にダメージが観察されはじめ、6回目で膜剥れ
が発生した。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば密着
性の良くない貴金属からなる電極層と有機膜からなる記
録層との間に硫黄原子を有する分子或はその重合層を設
けることにより両層の密着性を十分に高めることができ
る。この密着性強度の向上により、例えば、情報の記録
再生時にプローブが外的ショックなど何らかの原因で記
録層と強く接触してしまった場合などにおいても、従来
に比べ数段高い耐性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による記録媒体の一例を示す模式断面図
である。
【図2】本発明による記録媒体の各製造工程における断
面図の一例である。
【図3】STMを応用した情報記録再生装置の構成図で
ある。
【図4】従来の記録媒体の模式断面図である。
【図5】従来の記録媒体の製造方法の模式断面図であ
る。
【図6】電気メモリー効果の説明図である。
【図7】本発明による記録媒体表面上にプローブ電極走
査パターンとトラック及び記録ビットとの位置関係の一
形態を示した模式図である。
【図8】本発明の記録媒体の記録層を高抵抗状態から低
抵抗状態へ遷移させるのに必要な電気パルスの波形の一
例を示す図である。
【図9】本発明による記録媒体の記録層上の低抵抗状態
部位を再び高抵抗状態に戻すのに必要な電気パルスの波
形の一例を示す図である。
【符号の説明】
101 基板 102 電極層 103 記録層 104 トラック 105 密着層 201 XYステージ 202 プローブ電極 203 支持体 204 Z軸リニアアクチュエータ 205 X軸リニアアクチュエータ 206 Y軸リニアアクチュエータ 301 増幅器 302 対数圧縮器 303 低域通過フィルタ 304 誤差増幅器 305 ドライバー 306 ステージ駆動回路 307 高域通過フィルタ 308 パルス電源 309 サーボ回路 401 データビット 501 走査パターン 502 データビット

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極層と記録層の間に、硫黄原子を有す
    る官能基を含む分子或いはその重合体からなる密着層が
    形成されていることを特徴とする記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記硫黄原子の有する官能基がチオール
    基であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記硫黄原子を有する官能基を含む分子
    が酸無水物部位を有することを特徴とする請求項1又は
    2記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記電極層が金であることを特徴とする
    請求項1〜3いずれかに記載の記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記記録層がイミド結合を有する単分子
    膜或いは該単分子膜を累積した単分子累積膜であること
    を特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載の記録媒体
    と、少なくとも一本のプローブ電極と、記録媒体とプロ
    ーブ電極間に電圧を印加する手段と、記録媒体とプロー
    ブ電極を近接配置させて記録媒体とプローブ電極間に流
    れる電流を検知する手段を有する情報処理装置。
  7. 【請求項7】 前記記録媒体とプローブ電極間に流れる
    電流がトンネル電流であることを特徴とする請求項6記
    載の情報処理装置。
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