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JPH07218468A - 限界電流式酸素センサ - Google Patents

限界電流式酸素センサ

Info

Publication number
JPH07218468A
JPH07218468A JP6012984A JP1298494A JPH07218468A JP H07218468 A JPH07218468 A JP H07218468A JP 6012984 A JP6012984 A JP 6012984A JP 1298494 A JP1298494 A JP 1298494A JP H07218468 A JPH07218468 A JP H07218468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
buffer layer
current
oxygen
solid electrolyte
oxygen sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6012984A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoji Yadori
尚次 宿利
Takafumi Kajima
孝文 鹿嶋
Katsuaki Nakamura
克明 中村
Atsunari Ishibashi
功成 石橋
Yoshinori Kato
嘉則 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP6012984A priority Critical patent/JPH07218468A/ja
Publication of JPH07218468A publication Critical patent/JPH07218468A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い電圧で電流が流れ始めると共に電流立ち
上がり部での電流−電圧特性曲線の傾きが大きくて寿命
が長く、比較的低温で動作可能な限界電流式酸素センサ
を提供する。 【構成】 固体電解質基板1を挟んで、ポーラスなPt
等により構成されたアノード電極3及びカソード電極4
が配設されている。このカソード電極4と固体電解質基
板1との間には、BaTiO3 等の誘電体によりポーラ
スな状態に形成されたバッファ層2が介装されている。
このバッファ層2の厚さ(平均厚さ)は0.005乃至
0.08μmである。基板1上にはキャップ5が設けら
れており、キャップ5と基板1とにより囲まれた内部空
間が形成されている。この内部空間は、気体拡散孔5a
を介して外部と連通している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質部を挟んで
配設された1対の多孔質電極を有し、限界電流特性を利
用して気体中の酸素濃度を検出する限界電流式酸素セン
サに関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の限界電流式酸素センサの一
例を示す断面図である。この種の限界電流式酸素センサ
においては、安定化ジルコニアからなる固体電解質基板
41を挟んで、カソード電極42及びアノード電極43
が形成されている。これらの電極42,43は、いずれ
もポーラス(多孔質)な白金(Pt)又は銀(Ag)に
より構成されており、その内部を気体が通流可能になっ
ている。そして、固体電解質基板41のカソード電極4
2側の面には下端が開放した形状のキャップ44がその
下端縁を基板41に固定して設けられており、これによ
り、キャップ44と基板41とに囲まれた内部空間が形
成される。カソード電極42はこの内部空間に接し、ア
ノード電極43は外部雰囲気に接する。
【0003】キャップ44には1個又は複数個の微細な
気体拡散孔44bが穿設されており、これにより外部雰
囲気と内部空間とが気体拡散孔44bを介して連通して
いる。また、キャップ44上にはヒータ46が設けられ
ており、このヒータ46に通電することによりヒータ4
6が抵抗発熱して酸素センサが加熱されるようになって
いる。更に、カソード電極42とアノード電極43との
間には電源49が接続され、この電源49に直列及び並
列に夫々電流計48及び電圧計47が接続される。
【0004】上述した構造を有する限界電流式酸素セン
サにおいては、ヒータ46に給電して抵抗発熱させるこ
とによりセンサ自体を高温に加熱すると共に、電源49
によりカソード電極42とアノード電極43との間に所
定の電圧(V)を印加する。そうすると、酸素ポンピン
グ作用により、固体電解質基板41とキャップ44とに
囲まれた内部空間に存在する気体中に含有されている酸
素分子(O2 )はカソード電極42を介して電子を得
て、酸素イオンになり、固体電解質基板41内に入る。
この酸素イオンは、基板41内の酸素イオン空孔を介し
て基板41内をその厚さ方向に移動する。そして、この
酸素イオンはアノード電極43に到達して電子を放出
し、再び酸素分子となって外部に放出される。この酸素
イオンの移動により、アノード電極43とカソード電極
42との間に電流(A)が流れる。
【0005】ところで、酸素の移動によりセンサの内部
空間は負圧となり、気体拡散孔44bを介して外部から
気体が流入する。このとき、気体の流入量は気体拡散孔
44bにより制限されるため、酸素センサの電流−電圧
特性において、カソード電極42及びアノード電極43
間に印加する電圧を上昇させても電流が変化しない所謂
フラット域が観測される。この特性を限界電流特性とい
い、このときの電流を限界電流という。
【0006】限界電流式酸素センサの限界電流の値は、
気体拡散孔の形状、使用時のセンサの温度及び雰囲気の
圧力が一定であるとすると、雰囲気中の酸素濃度に依存
する。従って、予め、限界電流値と酸素濃度との関係を
求めておけば、限界電流値を測定することにより酸素濃
度未知の雰囲気中の酸素濃度を知ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
限界電流式酸素センサは必ず劣化し、寿命がくる。即
ち、限界電流式酸素センサを長期間使用すると、電流−
電圧特性曲線の傾きが小さくなる。このような現象が発
生すると、更に高い電圧を印加しないと限界電流特性を
得ることができなくなる。限界電流特性を得るために必
要な最小印加電圧値(以下、単に「最小印加電圧値」と
いう)が監視電圧値を超えると、酸素濃度の検出が不可
能になり、酸素センサとしての寿命が終了する。限界電
流式センサの寿命は、製造直後における最小印加電圧値
に関係し、監視電圧と前記最小印加電圧値との差が大き
いほど寿命は長くなるので、監視電圧は最小印加電圧と
水(H2 O)分解電圧との中間の値にする。なぜなら
ば、水分解電圧以上の電圧を印加すると、H2 O→H2
+1/2O2 なる反応により酸素ガス(O2 )が発生す
るからである。従って、監視電圧の上限は水分解電圧に
より制限される。また、前記最小印加電圧値は、イオン
電流の立ち上がり特性に関係する。即ち、酸素イオンに
よる電流が流れ始める電圧が低く、且つ、電流−電圧特
性曲線のイオン電流立ち上がり部での傾きが大きいほ
ど、前記最小印加電圧値は低くなり、センサの寿命が長
くなる。しかし、従来の限界電流式酸素センサは、イオ
ン電流立ち上がり部での傾きが比較的小さく、前記最小
印加電圧値が比較的高いため、寿命が短い。また、従来
の限界電流式酸素センサは、動作温度が高く、高温に加
熱する必要があるという欠点もある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、低い電圧で電流が流れ始めると共に電流立
ち上がり部での電流−電圧特性曲線の傾きが大きくて寿
命が長く、比較的低温で動作可能な限界電流式酸素セン
サを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る限界電流式
酸素センサは、固体電解質部と、この固体電解質部を挟
んで配設された多孔質のアノード電極及びカソード電極
と、前記固体電解質部と前記カソード電極との間に介装
され多孔質の誘電体により構成されたバッファ層とを有
し、前記バッファ層の平均厚さが0.005乃至0.0
8μmであることを特徴とする。
【0010】
【作用】固体電解質部とカソード電極との間に多孔質の
誘電体により構成されるバッファ層を設けると、酸素の
イオン化が活発化する。その理由は以下のように考える
ことができる。つまり、前記バッファ層が設けられた状
態でアノード電極とカソード電極との間に電圧を印加す
ると、このアノード電極とカソード電極との間の電界に
よりバッファ層内で分極が発生し、バッファ層の高電位
側(アノード電極側)の面に表面電荷が生じる。この表
面電荷により、酸素ガスのイオン化が活発化する。
【0011】本発明に係る限界電流式酸素センサにおい
ては、固体電解質部とカソード電極との間に多孔質の誘
電体により構成されたバッファ層が介装されているた
め、酸素のイオン化が活発になり、低い電圧でイオン電
流が流れ始めると共に、電流−電圧特性曲線の電流の立
ち上がり部での傾きが大きい。従って、本発明に係る限
界電流式酸素センサは、最小印加電圧値が低く、寿命が
長い。また、酸素のイオン化が活発化するので、従来よ
りも低い温度で限界電流特性を得ることができる。
【0012】但し、バッファ層は誘電体(即ち、絶縁
体)であるので、緻密な組織とすると導電性がなくな
り、酸素イオンがバッファ層を通過できなくなる。この
ため、前記バッファ層は、酸素イオンが通過できる程度
に多孔質な状態であることが必要である。
【0013】また、バッファ層の厚さ(平均厚さ)は、
0.005乃至0.08μmであることが必要である。
バッファ層の厚さが0.005μm未満の場合は、酸素
のイオン化を活発化する効果を十分に得ることができな
い。また、バッファ層の厚さが0.08μmを超える
と、酸素イオンによる電流が流れにくくなり、例えばバ
ッファ層の厚さを0.1μm以上とすると、バッファ層
がない場合よりも電流値が低下してしまう。このため、
バッファ層の厚さは0.005乃至0.08μmとす
る。なお、バッファ層のより好ましい範囲は0.01乃
至0.05μm、更に好ましい範囲は0.02乃至0.
04μmである。
【0014】バッファ層の材質としては、例えば、Ba
TiO3 (チタン酸バリウム)、RuO2 (酸化ルテニ
ウム)又はTiO2 (酸化チタン)等の誘電体を使用す
ることができる。このうち、BaTiO3 はセンサの動
作温度(約400℃)における比誘電率が約500と高
く、酸素ガスのイオン化を活発化する効果が高い。この
ため、前記バッファ層は、BaTiO3 により構成され
ていることが好ましい。また、前記バッファ層を固体電
解質中に電極材料を分散させた混合物により形成する
と、固体電解質部及びカソード電極に対する接合性が極
めて高く、電極と固体電解質部との結合を強固なものと
することができ、これによりイオン化が促進される。こ
のため、前記バッファ層は固体電解質中に電極材料を分
散させた混合物により形成してもよい。なお、バッファ
層の比誘電率は100以上であることが好ましい。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る
限界電流式酸素センサを示す断面図である。固体電解質
基板1は、安定化ジルコニア等の固体電解質物質を焼結
してペレット状にしたものである。この基板1の下面側
にはアノード電極3が形成されており、上面側にはバッ
ファ層2及びカソード電極4がこの順で積層されてい
る。アノード電極3及びカソード電極4はいずれもポー
ラスなPt等により形成されている。また、バッファ層
2は、例えばBaTiO3 等の誘電体によりポーラスな
状態に形成されており、その厚さは0.005〜0.0
8μmに設定されている。
【0016】この基板1上には、キャップ5がその下端
縁を基板1の縁部に固定して設けられており、キャップ
5と基板1とに囲まれた内部空間が形成されている。こ
の内部空間は、キャップ5に設けられた気体拡散孔5a
を介して外部雰囲気に連通している。また、キャップ5
上にはヒータ6が設けられており、このヒータ6に通電
することにより、ヒータ6が抵抗発熱してセンサが加熱
されるようになっている。更に、アノード電極3とカソ
ード電極4との間には、電源8から電圧が印加されるよ
うになっている。
【0017】なお、アノード電極3及びカソード電極4
は、基板1又はバッファ層2上にPtペースト又はAg
ペーストをスクリーン印刷し、その後焼成することによ
り形成できる。また、これらのアノード電極3及びカソ
ード電極4は、スパッタ法又は真空蒸着法等の薄膜形成
技術を利用して形成してもよい。例えば、Ptターゲッ
トを用いたRFスパッタ法により、これらの電極3,4
を形成することができる。
【0018】このように構成された酸素センサにおい
て、ヒータ6に給電して抵抗発熱させると共に、電源8
によりアノード電極3とカソード電極4との間に所定の
電圧を印加する。そうすると、基板1とキャップ5とに
囲まれた内部空間に存在する気体中の酸素分子(酸素ガ
ス)のうちバッファ層近傍の部材に接触又は吸着したも
のがイオン化して酸素イオンになる。このとき、バッフ
ァ層4により酸素分子のイオン化が活発化する。酸素イ
オンは、バッファ層2を通過し、固体電解質基板1をそ
の厚さ方向に移動する。そして、この酸素イオンは、ア
ノード電極3に到達すると電子を放出し、酸素分子にな
って雰囲気中に放出される。この酸素の移動によりセン
サの内部空間が負圧になり、気体拡散孔5aを介して外
部から気体が流入する。このとき、気体の流入量は気体
拡散孔5aにより制限されるため、限界電流特性を示
す。
【0019】本実施例においては、固体電解質基板とカ
ソード電極との間にバッファ層が設けられており、この
バッファ層により酸素ガスのイオン化が活発化するた
め、従来に比して低い電圧でイオン電流が流れ始めると
共に、電流−電圧特性曲線における電流立ち上がり部の
傾きが大きい。このため、限界電流特性を得ることがで
きる最小印加電圧値が低く、寿命が長いと共に、比較的
低温で動作させることが可能である。
【0020】図2は本発明の第2の実施例に係る限界電
流式酸素センサを示す断面図である。基板17は多孔質
セラミックスにより形成されおり、その内部を気体が比
較的容易に通流できる。この基板17の下面側にはヒー
タ16が形成されている。また、基板17の上面中央部
には、ポーラスなPt等により構成されたアノード電極
13が設けられている。更に、基板17上には、アノー
ド電極13を被覆するようにして、安定化ジルコニア等
により構成された固体電解質層11が設けられている。
この固体電解質層11上には、BaTiO3 等の誘電体
からなるバッファ層12及びポーラスなPt等により構
成されたカソード電極14がこの順で積層されている。
更にまた、基板17上には、固体電解質層11、バッフ
ァ層12及びカソード電極14を被覆するようにして、
多孔質セラミックス層15が設けられている。このセラ
ミックス層15は、多孔質であるものの通気性が比較的
小さい。更にまた、アノード電極13とカソード電極1
4との間には、電源18から電圧が印加されるようにな
っている。なお、アノード電極13、固体電解質層11
及びカソード電極14は、スパッタ法又は真空蒸着法等
の薄膜形成技術を利用して形成することができる。
【0021】このように構成された本実施例に係る酸素
センサにおいて、ヒータ16に通電してセンサ自体を加
熱すると共に、アノード電極13とカソード電極14と
の間に所定の電圧を印加すると、カソード電極14で酸
素がイオン化し、この酸素イオンが固体電解質層11を
アノード電極13側に移動する。そして、酸素イオンが
アノード電極13に到達すると、電子を得て酸素分子と
なり、多孔質セラミックス基板17を通って雰囲気中に
放出される。酸素の移動によりカソード電極14及びそ
の近傍は負圧になり、多孔質セラミックス層15を介し
て外部からカソード電極14に気体が流入する。この場
合に、気体流入量は多孔質セラミック層15の通気性に
より制限され、限界電流特性が得られる。
【0022】本実施例においても、固体電解質層11と
カソード電極14との間にバッファ層12が介装されて
いるため、酸素ガスのイオン化が活発化し、第1の実施
例と同様の効果を得ることができる。
【0023】図3は本発明の第3の実施例に係る限界電
流式酸素センサを示す断面図である。基板27は、比較
的通気性が低い多孔質セラミックスにより形成されてい
る。この基板27の下面側にはヒータ26が設けられて
いる。また、基板27の上面中央部にはカソード電極2
4及びバッファ層22がこの順で積層されている。更
に、基板27上には、カソード電極24及びバッファ層
22を被覆するようにして、固体電解質層21が形成さ
れている。そして、この固体電解質層21上には、アノ
ード電極23が設けられている。アノード電極23及び
カソード電極24はいずれもポーラスなPt等により構
成されている。また、バッファ層22はBaTiO3
の誘電体によりポーラスな状態に形成されており、その
厚さは0.005乃至0.08μmに設定されている。
更に、アノード電極23とカソード電極24との間に
は、電源28から電圧が印加されるようになっている。
【0024】このように構成された本実施例に係る酸素
センサにおいて、ヒータ26に通電してセンサ自体を加
熱すると共に、アノード電極23とカソード電極24と
の間に所定の電圧を印加する。そうすると、カソード電
極24で酸素ガスがイオン化する。この酸素イオンは、
バッファ層22を通過し、固体電解質層21をアノード
電極23側に移動する。そして、アノード電極23に到
達すると、酸素分子となって雰囲気中に放出される。こ
の酸素の移動によりカソード電極24及びその近傍は負
圧になり、多孔質セラミック基板27を介して外部から
カソード電極24に気体が流入する。この場合に、気体
流入量は多孔質セラミック基板27の通気性により制限
され、限界電流特性が得られる。
【0025】本実施例においても、固体電解質層21と
カソード電極24との間にバッファ層22が介装されて
いるため、酸素のイオン化が活発化し、第1の実施例と
同様の効果を得ることができる。
【0026】以下、バッファ層の材質が相互に異なる限
界電流式酸素センサを製造し、バッファ層の材質と電流
−電圧特性との関係について調べた結果について説明す
る。なお、これらの酸素センサは、いずれも図3に示す
ように構成されている。
【0027】先ず、基板として、多孔質のアルミナによ
り構成された基板を用意した。そして、この基板の一方
の面にヒータを形成し、他方の面にポーラスなPtによ
りカソード電極を形成した。次に、このカソード電極上
に、下記表1に示す材質のターゲットを用いて、RFス
パッタ法により厚さが約0.05μmのバッファ層を形
成した。その後、これらのカソード電極及びバッファ層
を被覆するようにして、安定化ジルコニア(92重量%
ZrO2 −8重量%Y23)からなる厚さが約20μm
の固体電解質層を形成し、この固体電解質層上にポーラ
スなPtによりアノード電極を形成した。
【0028】
【表1】
【0029】このようにして形成した各酸素センサを約
350℃に加熱し、大気中において電流−電圧特性を調
べた。図4は、横軸に印加電圧をとり、縦軸にセンサに
流れる電流(イオン電流)をとって、バッファ層の材質
と電流−電圧特性との関係を示すグラフ図である。バッ
ファ層を誘電体(BaTiO3 、RuO2 、TiO2
Bi23及び混合物)で形成した酸素センサは、バッフ
ァ層が設けられていない酸素センサに比して、イオン電
流が流れ始める電圧が低いと共に、電流の立ち上がり部
での傾きが大きい。即ち、これらのセンサは、バッファ
層により酸素のイオン化が活発化していることが明らか
である。一方、バッファ層をAu及びCrで形成した酸
素センサは、バッファ層が設けられていない酸素センサ
に比して、イオン電流が流れ始める電圧が高くなった。
また、バッファ層をAgとした場合は、バッファ層がな
い場合と殆ど同一の電流−電圧特性となった。
【0030】次に、バッファ層の厚さが相互に異なる限
界電流式酸素センサを製造し、バッファ層の厚さと電流
−電圧特性との関係について調べた結果について説明す
る。
【0031】上述の実施例1と同様にして、バッファ層
(BaTiO3 )の厚さが相互に異なる限界電流式酸素
センサを製造した。そして、これらの酸素センサを約4
00℃に加熱し、大気中において電流−電圧特性を調べ
た。図5は、横軸に印加電圧をとり、縦軸に電流値をと
って、バッファ層の厚さと電流−電圧特性との関係を示
すグラフ図、図6は、横軸にバッファ層の厚さをとり、
縦軸に0.8V印加時の電流値をとって、両者の関係を
示すグラフ図である。なお、図6中の破線は、バッファ
層がない場合の電流値を示す。図5から明らかなよう
に、バッファ層の厚さが0.005乃至0.08μmの
場合は、バッファ層がない場合に比して電流の立ち上が
り部の傾きが大きい。また、図6から明らかなように、
バッファ層の厚さが0.005乃至0.08μmの場合
は、バッファ層がない場合に比して、印加電圧が同じで
あっても電流値が大きい。特に、バッファ層の厚さが
0.01乃至0.05μmの場合は、バッファ層がない
場合に比して約2倍の電流が流れる。
【0032】なお、バッファ層をRuO2 又はTiO2
で形成し、バッファ層の厚さと電流−電圧特性との関係
を調べた。その結果、バッファ層がない場合に比して電
流値が大きくなるバッファ層の厚さの範囲は、上述のB
aTiO3 の場合と略同じであった。
【0033】次に、図2に示す限界電流式酸素センサを
製造し、その限界電流特性をバッファ層が設けられてい
ない比較例と比較した結果について説明する。図7は、
横軸に電圧をとり、縦軸に電流を取って、図2に示す構
造の酸素センサ(実施例6)及びバッファ層が設けられ
ていない以外は実施例6と同一の構造の酸素センサ(比
較例5)の電流−電圧特性を示すグラフ図である。但
し、センサの加熱温度は約350℃である。また、バッ
ファ層の材質はBaTiO3 であり、厚さは約0.03
μmである。この図7から明らかなように、実施例6の
酸素センサは、比較例5に比して低い電圧で限界電流特
性が得られる。
【0034】図8は、上述の実施例6及び比較例5の酸
素センサを使用し、加熱温度を約300℃にして電流−
電圧特性を調べた結果を示すグラフ図である。この図8
から明らかなように、バッファ層が設けられていない比
較例5は、限界電流特性を得ることができず、この温度
では酸素センサとして機能しない。一方、実施例に係る
酸素センサは、この温度でも限界電流特性を得ることが
できる。
【0035】なお、上述した実施例においては、いずれ
も固体電解質部とカソード電極との間にのみバッファ層
が設けられている場合について説明したが、固体電解質
部とアノード電極との間にもバッファ層を設けることも
できる。これにより、酸素イオンの分子化が活発化す
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
固体電解質部とカソード電極との間に所定の厚さの誘電
体からなるバッファ層が設けられているから、酸素のイ
オン化が活発化し、低い電圧で電流が流れ始めると共
に、電流−電圧特性曲線の電流立ち上がり部での傾きが
大きい。従って、本発明に係る限界電流式酸素センサ
は、寿命が長く、比較的低い温度で動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る限界電流式酸素セ
ンサを示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る限界電流式酸素セ
ンサを示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例に係る限界電流式酸素セ
ンサを示す断面図である。
【図4】バッファ層の材質と電流−電圧特性との関係を
示すグラフ図である。
【図5】バッファ層の厚さと電流−電圧特性との関係を
示すグラフ図である。
【図6】バッファ層の厚さと電流値との関係を示すグラ
フ図である。
【図7】本発明の実施例に係る酸素センサ及び比較例の
酸素センサの温度が約350℃における電流−電圧特性
を示すグラフ図である。
【図8】本発明の実施例に係る酸素センサ及び比較例の
酸素センサの温度が約300℃における電流−電圧特性
を示すグラフ図である。
【図9】従来の限界電流式酸素センサの一例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1,41;固体電解質基板 2,12,22;バッファ層 3,13,23,42;アノード電極 4,14,24,43;カソード電極 5,44;キャップ 5a44b;気体拡散孔 6,16,26,46;ヒータ 8,18,28,49;電源 11,21;固体電解質層 15;多孔質セラミックス層 17,27;多孔質セラミックス基板
フロントページの続き (72)発明者 石橋 功成 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 加藤 嘉則 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質部と、この固体電解質部を挟
    んで配設された多孔質のアノード電極及びカソード電極
    と、前記固体電解質部と前記カソード電極との間に介装
    され多孔質の誘電体により構成されたバッファ層とを有
    し、前記バッファ層の平均厚さが0.005乃至0.0
    8μmであることを特徴とする限界電流式酸素センサ。
  2. 【請求項2】 前記バッファ層の平均厚さが0.01乃
    至0.05μmであることを特徴とする請求項1に記載
    の限界電流式酸素センサ。
  3. 【請求項3】 前記バッファ層はBaTiO3 を主成分
    とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の限界電
    流式酸素センサ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0766085A3 (en) * 1995-09-28 1998-06-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Electrochemical device
KR19990047686A (ko) * 1997-12-05 1999-07-05 이구택 한계전류형 산소센서의 제조방법
US8052862B2 (en) * 2006-06-27 2011-11-08 Fujikura Ltd. Limiting current type oxygen sensor and method of sensing and measuring oxygen concentrations using the same
JP2013205349A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Nippon Soken Inc ガスセンサ素子、ガスセンサおよび排ガス浄化装置

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