JPH07216357A - コークス炉への装入石炭の圧密化方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コークス炉の炭化室への装入原料石炭に含ま
れた大気による復圧を防止でき、しかも、充分な面圧を
装入石炭の上面層に付与できる手段の提供。 【構成】 コークス炉炭化室に石炭を装入した後、レベ
ラーを炭化室内に挿入して装入石炭を均す装入石炭の圧
密化方法において、装入石炭の上面層に凸凹の圧密化層
を形成する。円周方向に突部を形成した算盤の球を連続
して配置したようなロール構造、また、ローラの軸方向
の断面に凹凸面を形成した構造とすることができる。装
入石炭の上層に押圧凹凸面を形成するので、凸部で圧
密、凹部で排気機能を形成し、石炭層に内蔵された大気
が放出され易くなり、大気の膨張による復圧が防止され
て、圧密化された状態は、そのまま維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コークス炉の炭化室に
装入した石炭層の上部石炭を均し、且つ、圧密化に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】コークス炉において、得られたコークス
の密度を高め、しかも、そのバラツキを少なくするため
に、原料石炭の装入末期に、装入石炭層の上にレベラー
に取り付けたローラを押し当てて往復運動させている。

【０００３】従来から、この装入原料石炭灰の圧密化
を、効率的に、しかも、全面にわたって均質に行うため
の方策が種々提案されている。

【０００４】例えば、特開昭６０−１５４８７号公報に
は、レベラーを往復運動の度毎に圧接ローラー高さを調
節して、炉巾方向の中央部の嵩密度を増大させることが
記載され、また、特開平４−１７０４９４号公報には、
装入原料の石炭を装入前に加圧ローラーで圧密して、任
意の位置より落下させ、炉高方向の嵩密度を均一化する
ことが開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、何れの
場合も、押圧ローラによって表面層が圧密化されても、
装入石炭に随伴した大気のために、加熱による大気の膨
張によって装入石炭の内部から復圧し、圧密状態が破壊
されてしまう。

【０００６】本発明の目的は、コークス炉の炭化室への
装入原料石炭に含まれた大気による復圧を防止でき、し
かも、充分な面圧を装入石炭の上面層に付与できる手段
を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、コークス炉炭
化室に石炭を装入した後、レベラーを炭化室内に挿入し
て装入石炭を均す装入石炭の圧密化方法において、装入
石炭の上面層に凸凹の圧密化層を形成することを特徴と
する。

【０００８】この凹凸の巾、深さは、レベラー寸法，装
入石炭性状等の状態にもよるが従来実施されている石炭
の均し動作中の、レベラーの前後進方向に条溝を形成し
た凹凸条であることが、凹凸の圧密化層形成精度向上、
乾留促進投資コスト削減の点から好ましい。

【０００９】この凸凹の圧密化層を形成するための装置
として、コークス炉炭化室に装入した石炭の上面から押
圧して、上面を均すと共に圧密化層を形成するためのレ
ベラー装置に、その往復運動によって凸凹条の圧密化層
を形成する回転体を設けた装置を使用できる。

【００１０】ローラ表面の凸凹の配置に当たっては、巾
方向では限定されないが、長さ方向では圧密後の石炭が
掻き採られないように配慮する必要がある。

【００１１】回転によって装入石炭層の上方層を加圧
し、且つ、凹凸状を形成するためには種々の形状のロー
ラを使用できるが、円周方向に突部を形成した算盤の球
を連続して配置したようなロール構造、また、ローラの
軸方向の断面に凹凸面を形成した構造とするのが、従来
のレベラーによる均し作業の操作手順を変える必要がな
く効果的である。

【００１２】

【作用】装入石炭の上層に押圧凹凸面を形成するので、
凸部で圧密、凹部で排気機能を形成し、石炭層に内蔵さ
れた大気が放出され易くなり、大気の膨張による復圧が
防止されて、圧密化された状態は、そのまま維持でき
る。

【００１３】表面に回転方向に形成された押圧ロールの
凸部によって、その部分の石炭層への面圧は増大し、全
体としての圧密化が増大する。

【００１４】その凸部の先端角は６０度〜１５０度にす
ると前述の理由から望ましい結果が得られる。

【００１５】更に、６０度未満では、石炭への面圧作用
方向が本来目標の垂直方向から水平方向へ移動し、圧密
範囲が狭くなり、かつ、石炭凸部が脆弱化し、その結
果、充分な圧密効果が得られず、一方、１５０度を越え
ると石炭への面圧作用方向は本来目標の垂直方向に集中
するものの石炭層に内蔵された大気が放出されにくくな
り（排気機能低下）、充分な圧密効果が得られない。

【００１６】この理由から凸部の先端角は９０度〜１１
０度がより好ましい。

【００１７】

【実施例】図１は、本発明を実施したコークス炉の炭化
室の概要を示す側面図である。

【００１８】同図において、１はコークス炉の炭化室を
示し、同炭化室１の上方に開口する複数の装入口２か
ら、石炭装入車３からの原料石炭が装入され、石炭層を
形成する。４は石炭乾留に際して発生するガスの放出の
ための上昇管を示す。その上昇管４の下方位置にはレベ
ラーの挿入口５が設けられており、石炭装入後期にその
挿入口５から押出機６に取り付けられたレベラー７が積
層石炭層８の上面を前後進して石炭層８の表面を均す。
レベラー７の先端下面には圧密化のための凹凸面形成の
ための凹凸形成用のローラ９が２連に設けられており、
これによって、積層石炭層８の上面には圧密化された凹
凸条８１がレベラー７の前後進方向に形成される。

【００１９】図２および図３は、レベラー７に取り付け
られた凹凸形成用のローラ９を平面から見た形状例を示
す。

【００２０】図２は、凹凸形成用のローラ９の例とし
て、円周方向に突部を形成した算盤の球を連続して配置
したようなロール構造を示す。

【００２１】この算盤球状ローラ１０は、前方に３列、
後方に２列が配列され、圧密化された凹部列の間隔が密
になるように形成されている。この凹凸形成のための算
盤球状ローラーの凸部の先端角θは、圧密化と石炭層内
のガス放出に影響し、その凸部の先端角θは９０度の場
合に優れた圧密化の深さが得られた。同一の炉での同一
の積層石炭に、同一径のロールにおいて、この凹凸面を
形成しない押圧ロールを用いて圧密化処理を行ったとこ
ろ、図２に示す場合、圧密化の層は、通常の平坦ロール
が平均で略３０ｍｍであったのに対して、本発明の場合
は、４２ｍｍの深さに圧密化が行われた。また、先端角
９０度以上１１０度以下及び、この角度範囲を除く６０
度から１５０度についても実施した結果、９０度〜１１
０度、６０度〜１５０度の順に良好であった。

【００２２】図３は、凹凸形成用のローラ９の例とし
て、通常のレベラーの押圧ロールに平坦な山と谷を有す
るローラ１１の例を示す。

【００２３】その他、装入原料石炭層に凹凸条を形成す
るロールに代わって、ロール表面にスパイク状あるいは
疣状の凹凸を形成しても、ある程度の効果は期待でき
る。

【００２４】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏する。

【００２５】（１） ロールによる最大加圧部が交互に
形成され、また、表面積も増大するので、石炭の装入時
に付随して導入される大気の放出が充分に行われ、圧密
化の深さと均一化が達成される。

【００２６】（２）したがって、装入原料石炭の上部層
の圧密化の達成により、石炭粉の粒子間距離が短縮さ
れ、乾留時の上部石炭の軟化溶融性が向上し、コークス
品質、特に強度を向上できる。

【００２７】（３）装置そのものは単純な構造であるの
で、従来のコークス炉の構造を変更することなく、良質
のコークスが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の装置を配置したコークス炉の炭化室
の構造を示す。

【図２】 加圧ロールの一つの形状の実施例を示す。

【図３】 加圧ロールの他の実施例を示す。

【符号の説明】

１ コークス炉の炭化室 ２ 石炭装入口 ３ 石炭装入車 ４ 上昇管 ５ レベラーの挿入口 ６ 押出機 ７ レベラー ８ 積層石炭層 ８１ 積層石炭層の上層圧密化層 ９ 押圧ローラ １０ 算盤球状ローラ １１ 凹凸ローラ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コークス炉炭化室に石炭を装入した後、
   レベラーを炭化室内に挿入して装入石炭を均す装入石炭
   の圧密化方法において、装入石炭の上面層に凸凹の圧密
   化層を形成するコークス炉への装入石炭の圧密化方法。
2. 【請求項２】 コークス炉炭化室に装入した石炭の上面
   から押圧して、上面を均すと共に圧密化層を形成するた
   めの装置において、装入石炭との接触面に凸凹形成用回
   転体を設けたコークス炉への装入石炭の圧密化装置。