JPH07197315A - ポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方法及び紡糸方法 - Google Patents
ポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方法及び紡糸方法Info
- Publication number
- JPH07197315A JPH07197315A JP35314693A JP35314693A JPH07197315A JP H07197315 A JPH07197315 A JP H07197315A JP 35314693 A JP35314693 A JP 35314693A JP 35314693 A JP35314693 A JP 35314693A JP H07197315 A JPH07197315 A JP H07197315A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 商業的に入手可能な程度のケン化度を有する
ポリビニルアルコールから,耐熱水性の改良に有効なケ
ン化度の高いポリビニルアルコール系紡糸原液と繊維
を,簡便に,効率よく得る方法を提供する。 【構成】 ポリビニルアルコールを溶媒に溶解して紡糸
原液を調製するに際し,アルカリ性成分を溶媒やポリビ
ニルアルコールに添加して溶解する。
ポリビニルアルコールから,耐熱水性の改良に有効なケ
ン化度の高いポリビニルアルコール系紡糸原液と繊維
を,簡便に,効率よく得る方法を提供する。 【構成】 ポリビニルアルコールを溶媒に溶解して紡糸
原液を調製するに際し,アルカリ性成分を溶媒やポリビ
ニルアルコールに添加して溶解する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ポリビニルアルコール
(以下,PVAと略記する。)系繊維を得るための紡糸原
液の調製方法と紡糸方法に係わり,さらに詳しくは,商
業的に入手可能な程度のケン化度を有するPVAから,
耐熱水性の改良に有効なケン化度の高いPVA系紡糸原
液と繊維を,簡便に,効率よく得る方法に関するもので
ある。
(以下,PVAと略記する。)系繊維を得るための紡糸原
液の調製方法と紡糸方法に係わり,さらに詳しくは,商
業的に入手可能な程度のケン化度を有するPVAから,
耐熱水性の改良に有効なケン化度の高いPVA系紡糸原
液と繊維を,簡便に,効率よく得る方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維の耐熱水性と原料PVAの
ケン化度の関係は,過去に詳細に検討されており,ケン
化度が低いと熱水収縮率が高くなることが知られてい
る。一方,PVA系繊維の用途は産業資材分野が主であ
り,この分野の繊維は一般に熱水収縮率が低いことが要
求されている。
ケン化度の関係は,過去に詳細に検討されており,ケン
化度が低いと熱水収縮率が高くなることが知られてい
る。一方,PVA系繊維の用途は産業資材分野が主であ
り,この分野の繊維は一般に熱水収縮率が低いことが要
求されている。
【0003】PVAは,商業的には通常,酢酸ビニルを
メタノール溶媒中で重合してポリ酢酸ビニルのメタノー
ル溶液とし,これを酸又はアルカリを触媒としてケン化
してPVAに変えることによって製造されている。しか
しながら,このケン化反応はエステル交換反応であるた
め,ケン化度が99モル%を超えるあたりから正反応と逆
反応の速度が等しくなり,ケン化度が上がらなくなる。
そこで,商業的に入手可能なPVAのケン化度は99モル
%程度であり,より高いケン化度を望む場合には,後述
する方法による再ケン化処理を行うことが必要である。
メタノール溶媒中で重合してポリ酢酸ビニルのメタノー
ル溶液とし,これを酸又はアルカリを触媒としてケン化
してPVAに変えることによって製造されている。しか
しながら,このケン化反応はエステル交換反応であるた
め,ケン化度が99モル%を超えるあたりから正反応と逆
反応の速度が等しくなり,ケン化度が上がらなくなる。
そこで,商業的に入手可能なPVAのケン化度は99モル
%程度であり,より高いケン化度を望む場合には,後述
する方法による再ケン化処理を行うことが必要である。
【0004】PVA系繊維は従来からビニロンとして生
産されているが,ビニロンの製造工程では,高濃度のア
ルカリ性成分を含む凝固浴が使用されているために,原
料PVAのケン化度がそれほど高くなくても凝固浴中で
ケン化反応が進み,最終製品のケン化度は99.9モル%以
上となっている。このため,従来のPVA系繊維の製造
においては原料PVAのケン化度に対しては特別な注意
は払われておらず,商業的に入手可能な程度のケン化
度,例えば99モル%程度以上であれば特に問題は生じて
いなかった。
産されているが,ビニロンの製造工程では,高濃度のア
ルカリ性成分を含む凝固浴が使用されているために,原
料PVAのケン化度がそれほど高くなくても凝固浴中で
ケン化反応が進み,最終製品のケン化度は99.9モル%以
上となっている。このため,従来のPVA系繊維の製造
においては原料PVAのケン化度に対しては特別な注意
は払われておらず,商業的に入手可能な程度のケン化
度,例えば99モル%程度以上であれば特に問題は生じて
いなかった。
【0005】一方,最近,PVA繊維の強度,弾性率を
高めようとする試みが種々なされている。例えば,特開
昭59−140314号公報には,重量平均分子量が50万以上の
PVAのグリセリン溶液をメタノール浴中に紡糸する方
法が,また特開昭60−126311号公報にはPVAのジメチ
ルスルホキシド溶液をメタノール浴中に紡糸する方法が
開示されている。これらの紡糸方法は,紡糸原液の調製
から,凝固,洗浄等のすべての紡糸工程が有機溶媒を用
いて行われるものであるため,先に述べたビニロンのよ
うに工程中でケン化反応が進行することはない。
高めようとする試みが種々なされている。例えば,特開
昭59−140314号公報には,重量平均分子量が50万以上の
PVAのグリセリン溶液をメタノール浴中に紡糸する方
法が,また特開昭60−126311号公報にはPVAのジメチ
ルスルホキシド溶液をメタノール浴中に紡糸する方法が
開示されている。これらの紡糸方法は,紡糸原液の調製
から,凝固,洗浄等のすべての紡糸工程が有機溶媒を用
いて行われるものであるため,先に述べたビニロンのよ
うに工程中でケン化反応が進行することはない。
【0006】このため,耐熱水性の改良のためにケン化
度の高いPVAからなる繊維を得ようとすれば,PVA
のケン化度を原料段階から高める必要がある。原料PV
Aのケン化度を高める方法としては,従来からいくつか
の方法が知られている。例えば,粉状,あるいは顆粒状
のPVAを水に分散して懸濁液とし,この懸濁液にケン
化反応に必要な量よりも過剰のアルカリ性成分を加え,
必要ならば若干の加熱を行ってケン化反応を行わせる方
法がある。また,同様の操作をアルコールを用いて行う
方法も知られている。
度の高いPVAからなる繊維を得ようとすれば,PVA
のケン化度を原料段階から高める必要がある。原料PV
Aのケン化度を高める方法としては,従来からいくつか
の方法が知られている。例えば,粉状,あるいは顆粒状
のPVAを水に分散して懸濁液とし,この懸濁液にケン
化反応に必要な量よりも過剰のアルカリ性成分を加え,
必要ならば若干の加熱を行ってケン化反応を行わせる方
法がある。また,同様の操作をアルコールを用いて行う
方法も知られている。
【0007】しかしながら,これらの方法ではケン化度
を高めることはできても,その操作や,その後のポリマ
ーの取り扱いが煩雑であるという問題があった。すなわ
ち,通常,PVAポリマーは商業的には乾燥ポリマーと
して入手される。そこでまずこのポリマーを水,あるい
はアルコール中に懸濁する必要がある。さらにそこに過
剰のアルカリ性成分を加えてケン化反応を行わせ,その
後,余剰のアルカリを酸で中和しなければならない。次
いで,液とポリマーを脱水等の方法により分離し,さら
に洗浄する工程が必要であるし,洗浄工程の後,またも
との乾燥ポリマーに戻すためには乾燥工程を経る必要も
ある。
を高めることはできても,その操作や,その後のポリマ
ーの取り扱いが煩雑であるという問題があった。すなわ
ち,通常,PVAポリマーは商業的には乾燥ポリマーと
して入手される。そこでまずこのポリマーを水,あるい
はアルコール中に懸濁する必要がある。さらにそこに過
剰のアルカリ性成分を加えてケン化反応を行わせ,その
後,余剰のアルカリを酸で中和しなければならない。次
いで,液とポリマーを脱水等の方法により分離し,さら
に洗浄する工程が必要であるし,洗浄工程の後,またも
との乾燥ポリマーに戻すためには乾燥工程を経る必要も
ある。
【0008】このように,PVAのケン化度を原料ポリ
マーの段階で高めるためには,いくつもの処理を行う必
要があり,当然,原料コストの上昇につながるという問
題がある。このため,有機溶媒を用いる紡糸方法でPV
A繊維を製造する際に,商業的に入手可能な程度のケン
化度を有するPVAから,ケン化度の高い紡糸原液を調
製する方法が望まれていたが,これを解決する方法はこ
れまでに全く提案されていない。
マーの段階で高めるためには,いくつもの処理を行う必
要があり,当然,原料コストの上昇につながるという問
題がある。このため,有機溶媒を用いる紡糸方法でPV
A繊維を製造する際に,商業的に入手可能な程度のケン
化度を有するPVAから,ケン化度の高い紡糸原液を調
製する方法が望まれていたが,これを解決する方法はこ
れまでに全く提案されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって,本発明
は,商業的に入手可能な程度のケン化度を有するPVA
から,耐熱水性の改良に有効なケン化度の高いPVA系
紡糸原液と繊維を,簡便に,効率よく得る方法を提供す
ることを技術的な課題とするものである。
は,商業的に入手可能な程度のケン化度を有するPVA
から,耐熱水性の改良に有効なケン化度の高いPVA系
紡糸原液と繊維を,簡便に,効率よく得る方法を提供す
ることを技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,次の構成を有するものであ
る。 (1) PVAを溶媒に溶解して紡糸原液を調製するに際
し,アルカリ性成分を溶媒又は/及びPVAに添加して
溶解することを特徴とするPVA系紡糸原液の調製方
法。 (2) PVAを溶媒に溶解して調製した紡糸原液を紡糸す
るに際し,アルカリ性溶液を紡糸原液に添加して紡糸す
ることを特徴とするPVA系繊維の紡糸方法。
を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,次の構成を有するものであ
る。 (1) PVAを溶媒に溶解して紡糸原液を調製するに際
し,アルカリ性成分を溶媒又は/及びPVAに添加して
溶解することを特徴とするPVA系紡糸原液の調製方
法。 (2) PVAを溶媒に溶解して調製した紡糸原液を紡糸す
るに際し,アルカリ性溶液を紡糸原液に添加して紡糸す
ることを特徴とするPVA系繊維の紡糸方法。
【0011】以下,本発明について,第1発明から詳細
に説明する。なお,本発明でいう重合度とケン化度はJI
S K 6726に準じて測定するものである。本発明で用いる
PVAは,特に限定されるものではないが,高強度,高
弾性率の最終繊維製品を得るために,重合度は1500以上
であることが好ましく,より好ましくは3000以上であ
る。本発明においては,PVAを溶解する際にアルカリ
性成分を添加して溶解し,ケン化度を高めるので,PV
Aのケン化度は商業的に入手可能な程度のケン化度であ
ればよいが,99モル%以上であることが好ましい。
に説明する。なお,本発明でいう重合度とケン化度はJI
S K 6726に準じて測定するものである。本発明で用いる
PVAは,特に限定されるものではないが,高強度,高
弾性率の最終繊維製品を得るために,重合度は1500以上
であることが好ましく,より好ましくは3000以上であ
る。本発明においては,PVAを溶解する際にアルカリ
性成分を添加して溶解し,ケン化度を高めるので,PV
Aのケン化度は商業的に入手可能な程度のケン化度であ
ればよいが,99モル%以上であることが好ましい。
【0012】本発明においてはこのようなPVAを溶媒
に溶解して紡糸原液とするが,用いる溶媒としては,
水,エチレングリコール,ジメチルスルホキシド,グリ
セリン,あるいはこれらの混合物を挙げることができ,
中でもジメチルスルホキシドが好ましい。
に溶解して紡糸原液とするが,用いる溶媒としては,
水,エチレングリコール,ジメチルスルホキシド,グリ
セリン,あるいはこれらの混合物を挙げることができ,
中でもジメチルスルホキシドが好ましい。
【0013】紡糸原液を調製する際のPVA濃度は,良
好な物性の最終繊維製品を得るためには3〜35重量%の
範囲に設定するのが好ましい。濃度が3重量%未満では
曳糸性が低下し,35重量%を超えると粘度が高くなりす
ぎ,得られる繊維の延伸性が低下する傾向にある。
好な物性の最終繊維製品を得るためには3〜35重量%の
範囲に設定するのが好ましい。濃度が3重量%未満では
曳糸性が低下し,35重量%を超えると粘度が高くなりす
ぎ,得られる繊維の延伸性が低下する傾向にある。
【0014】本発明においてはPVAを溶媒に溶解して
紡糸原液とするが,その際,アルカリ性成分を溶媒とP
VAのいずれかに添加するか,あるいは溶媒とPVAの
両方に添加してPVAを溶解することが極めて重要であ
る。先に述べたように,PVA繊維の耐熱水性は最終繊
維製品のケン化度に大きく左右され,ケン化度が低い,
具体的には99.4モル%以下では 100℃の沸騰水に溶解す
る。ところが, 本発明によれば,PVAを溶解する際に
アルカリ性成分を溶媒又は/及びPVAに添加して溶解
するので,溶解と同時に,あるいは段階的にケン化反応
が進み,ケン化度を99.8モル%以上に高めることが可能
となる。
紡糸原液とするが,その際,アルカリ性成分を溶媒とP
VAのいずれかに添加するか,あるいは溶媒とPVAの
両方に添加してPVAを溶解することが極めて重要であ
る。先に述べたように,PVA繊維の耐熱水性は最終繊
維製品のケン化度に大きく左右され,ケン化度が低い,
具体的には99.4モル%以下では 100℃の沸騰水に溶解す
る。ところが, 本発明によれば,PVAを溶解する際に
アルカリ性成分を溶媒又は/及びPVAに添加して溶解
するので,溶解と同時に,あるいは段階的にケン化反応
が進み,ケン化度を99.8モル%以上に高めることが可能
となる。
【0015】本発明において,アルカリ性成分を溶媒や
PVAに添加する方法は特に限定されるものではなく,
溶媒にそのまま添加する方法,アルカリ性成分の溶液を
作り,これを溶媒に添加する方法,アルカリ性成分の溶
液を粉状や顆粒状のPVAに含浸させて添加する方法,
あるいはこれらを組み合わせた方法等を採用することが
できるが,アルカリ性成分の溶液を作り,これを溶媒に
添加する方法,あるいはPVAに含浸させて添加する方
法が操作が簡単で好ましい。
PVAに添加する方法は特に限定されるものではなく,
溶媒にそのまま添加する方法,アルカリ性成分の溶液を
作り,これを溶媒に添加する方法,アルカリ性成分の溶
液を粉状や顆粒状のPVAに含浸させて添加する方法,
あるいはこれらを組み合わせた方法等を採用することが
できるが,アルカリ性成分の溶液を作り,これを溶媒に
添加する方法,あるいはPVAに含浸させて添加する方
法が操作が簡単で好ましい。
【0016】アルカリ性成分の添加量は,PVAの残存
アセチル基量に対して0.1当量以上,2.0当量以下であ
ることが好ましい。アルカリ性成分の添加量が0.1当量
よりも少ないとケン化度が高くなり難く,2.0当量より
も多いと紡糸原液中に残存するアルカリ性成分の量が多
くなるので好ましくない。アルカリ性成分の添加量を0.
8当量以上,1.3当量以下とすると,ケン化度を十分に
高め,しかも残存するアルカリ性成分の量を少なくする
ことができるのでさらに好ましい。
アセチル基量に対して0.1当量以上,2.0当量以下であ
ることが好ましい。アルカリ性成分の添加量が0.1当量
よりも少ないとケン化度が高くなり難く,2.0当量より
も多いと紡糸原液中に残存するアルカリ性成分の量が多
くなるので好ましくない。アルカリ性成分の添加量を0.
8当量以上,1.3当量以下とすると,ケン化度を十分に
高め,しかも残存するアルカリ性成分の量を少なくする
ことができるのでさらに好ましい。
【0017】アルカリ性成分を溶液として溶媒又は/及
びPVAに添加する際,この溶液を作るための溶媒は,
用いるアルカリ性成分の溶解度が高いものであればよ
く,水,アルコール,あるいはこれらの混合物を用いるの
が簡便で好ましい。この場合,水やアルコールの量は,
紡糸原液の全重量に対して0.1重量%以上,10重量%以
下となるように調整するとアルカリ性成分を十分溶解す
ることができ,さらに紡糸原液の曳糸性も損なわないの
で好ましい。
びPVAに添加する際,この溶液を作るための溶媒は,
用いるアルカリ性成分の溶解度が高いものであればよ
く,水,アルコール,あるいはこれらの混合物を用いるの
が簡便で好ましい。この場合,水やアルコールの量は,
紡糸原液の全重量に対して0.1重量%以上,10重量%以
下となるように調整するとアルカリ性成分を十分溶解す
ることができ,さらに紡糸原液の曳糸性も損なわないの
で好ましい。
【0018】本発明で用いることができるアルカリ性成
分は,ケン化反応を進めることができるものであれば特
に限定されるものではないが,水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ性成分が安価で
入手しやすいので好ましく,これらを単独又は組み合わ
せて用いてもよい。本発明においては,このようにして
紡糸原液を調製する際,ケン化反応を阻害しない範囲で
各種の耐熱剤,架橋剤,顔料,その他の添加剤を添加し
てもよい。
分は,ケン化反応を進めることができるものであれば特
に限定されるものではないが,水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ性成分が安価で
入手しやすいので好ましく,これらを単独又は組み合わ
せて用いてもよい。本発明においては,このようにして
紡糸原液を調製する際,ケン化反応を阻害しない範囲で
各種の耐熱剤,架橋剤,顔料,その他の添加剤を添加し
てもよい。
【0019】本発明によれば,ケン化度が高くなったP
VAからなる紡糸原液が得られるが,これは紡糸原液を
紡糸して得られる未延伸糸のケン化度を測定すれば確認
することができる。
VAからなる紡糸原液が得られるが,これは紡糸原液を
紡糸して得られる未延伸糸のケン化度を測定すれば確認
することができる。
【0020】本発明の方法で調製された紡糸原液の紡糸
方法は,紡糸原液の溶媒に有機溶媒を用い,これを有機
溶媒からなる凝固,あるいは冷却浴中に不活性雰囲気層
を通して吐出する乾湿式紡糸方法,水を溶媒として紡糸
原液を調製し,これを凝固浴中に吐出する湿式紡糸方
法,あるいは加熱空気中に吐出する乾式紡糸方法等に適
用可能であるが,有機溶媒を用いる乾湿式紡糸方法が好
ましい。
方法は,紡糸原液の溶媒に有機溶媒を用い,これを有機
溶媒からなる凝固,あるいは冷却浴中に不活性雰囲気層
を通して吐出する乾湿式紡糸方法,水を溶媒として紡糸
原液を調製し,これを凝固浴中に吐出する湿式紡糸方
法,あるいは加熱空気中に吐出する乾式紡糸方法等に適
用可能であるが,有機溶媒を用いる乾湿式紡糸方法が好
ましい。
【0021】上述した第1発明は,ポリビニルアルコー
ルを溶媒に溶解して紡糸原液を調製する際に,アルカリ
性成分を添加するものであるが,アルカリ性溶液を添加
することなく調製した紡糸原液に,アルカリ性溶液を添
加して紡糸しても(第2発明),第1発明と同様の作用効
果を奏することができる。
ルを溶媒に溶解して紡糸原液を調製する際に,アルカリ
性成分を添加するものであるが,アルカリ性溶液を添加
することなく調製した紡糸原液に,アルカリ性溶液を添
加して紡糸しても(第2発明),第1発明と同様の作用効
果を奏することができる。
【0022】すなわち,第2発明においては,あらかじ
め調製した紡糸原液にアルカリ性溶液を添加して紡糸す
ることが極めて重要である。第2発明では,アルカリ性
溶液を紡糸原液に添加して紡糸するので,原料PVAの
ケン化度が低くても紡糸原液の段階でケン化反応を進
め,最終製品のケン化度を99.8モル%以上に高めること
が可能となる。
め調製した紡糸原液にアルカリ性溶液を添加して紡糸す
ることが極めて重要である。第2発明では,アルカリ性
溶液を紡糸原液に添加して紡糸するので,原料PVAの
ケン化度が低くても紡糸原液の段階でケン化反応を進
め,最終製品のケン化度を99.8モル%以上に高めること
が可能となる。
【0023】第2発明において,アルカリ性溶液を紡糸
原液に添加する時期は特に限定されるものではなく,例
えば,PVAをタンク内で溶解して紡糸原液を調製する
際には,PVAの溶解後,タンクにアルカリ性溶液を投
入して添加する方法が採用でき,また,PVAを連続式
溶解機で溶解する際には,溶解機の出口近傍で添加する
こともできる。さらに,紡糸原液を紡糸口金まで移送す
る配管中で添加する方法はより簡便で好ましい。この場
合,添加位置以降の配管に静的撹拌装置を設けると,添
加されたアルカリ性溶液をより均一に紡糸原液全体に混
合することができるので好ましい。
原液に添加する時期は特に限定されるものではなく,例
えば,PVAをタンク内で溶解して紡糸原液を調製する
際には,PVAの溶解後,タンクにアルカリ性溶液を投
入して添加する方法が採用でき,また,PVAを連続式
溶解機で溶解する際には,溶解機の出口近傍で添加する
こともできる。さらに,紡糸原液を紡糸口金まで移送す
る配管中で添加する方法はより簡便で好ましい。この場
合,添加位置以降の配管に静的撹拌装置を設けると,添
加されたアルカリ性溶液をより均一に紡糸原液全体に混
合することができるので好ましい。
【0024】第2発明においては,紡糸原液を調製する
際又はアルカリ性溶液を添加する際に,ケン化反応を阻
害しない範囲で各種の耐熱剤,架橋剤,顔料,その他の
添加剤を添加してもよい。
際又はアルカリ性溶液を添加する際に,ケン化反応を阻
害しない範囲で各種の耐熱剤,架橋剤,顔料,その他の
添加剤を添加してもよい。
【0025】
【作用】本発明の第1発明及び第2発明で,商業的に入
手可能な程度のケン化度を有するPVAを用いて,ケン
化度の高い紡糸原液を得ることができるのは,紡糸原液
を調製する際に,溶媒又は/及びPVAにアルカリ性成
分を添加してPVAを溶解する(第1発明)か,又は紡
糸原液にアルカリ性成分を添加して紡糸することによ
り,溶解と同時に,又は紡糸までの段階で,PVAの残
存アセチル基とアルカリ性成分が反応するためと認めら
れる。
手可能な程度のケン化度を有するPVAを用いて,ケン
化度の高い紡糸原液を得ることができるのは,紡糸原液
を調製する際に,溶媒又は/及びPVAにアルカリ性成
分を添加してPVAを溶解する(第1発明)か,又は紡
糸原液にアルカリ性成分を添加して紡糸することによ
り,溶解と同時に,又は紡糸までの段階で,PVAの残
存アセチル基とアルカリ性成分が反応するためと認めら
れる。
【0026】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,実施例中,熱水収縮率と乾熱収縮率はJIS L
1013に準じて,試料長90cmで測定したものである。
る。なお,実施例中,熱水収縮率と乾熱収縮率はJIS L
1013に準じて,試料長90cmで測定したものである。
【0027】実施例1,比較例1 重合度4000,ケン化度 99.45モル%(残存アセチル基量
0.55モル%)のPVAを,濃度が15重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,残存アセチル基量に対して1.0当量の水酸化ナトリ
ウムを水に溶解した溶液をジメチルスルホシキドに添加
し,この中にPVAを投入して撹拌しながら 115℃に昇
温して溶解し,紡糸原液を調製した。この時,水の量は
紡糸原液全体量に対して4重量%となるように調整し
た。
0.55モル%)のPVAを,濃度が15重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,残存アセチル基量に対して1.0当量の水酸化ナトリ
ウムを水に溶解した溶液をジメチルスルホシキドに添加
し,この中にPVAを投入して撹拌しながら 115℃に昇
温して溶解し,紡糸原液を調製した。この時,水の量は
紡糸原液全体量に対して4重量%となるように調整し
た。
【0028】また,比較例1として,水酸化ナトリウム
を添加しない以外は実施例1と同様にして紡糸原液を調
製した。この場合も,水の量は紡糸原液全体量に対して
4重量%となるように調整した。これらの紡糸原液を,
孔径0.3mm,孔数 300の紡糸口金から,乾湿式紡糸法によ
り室温のメタノール凝固浴中に 100℃で吐出した。次い
で,凝固糸条を引き取りつつ,さらにメタノールで洗浄
し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した後,油剤
を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
を添加しない以外は実施例1と同様にして紡糸原液を調
製した。この場合も,水の量は紡糸原液全体量に対して
4重量%となるように調整した。これらの紡糸原液を,
孔径0.3mm,孔数 300の紡糸口金から,乾湿式紡糸法によ
り室温のメタノール凝固浴中に 100℃で吐出した。次い
で,凝固糸条を引き取りつつ,さらにメタノールで洗浄
し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した後,油剤
を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
【0029】これらの未延伸糸のケン化度と重合度を測
定したところ, 実施例1の未延伸糸はケン化度 99.97モ
ル%,重合度3970,比較例1の未延伸糸はそれぞれ 99.
45モル%,3980であり,実施例1の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
定したところ, 実施例1の未延伸糸はケン化度 99.97モ
ル%,重合度3970,比較例1の未延伸糸はそれぞれ 99.
45モル%,3980であり,実施例1の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
【0030】これらの未延伸糸を,表面温度がそれぞれ
80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取りロー
ル,及びこの間に配設された,糸条の入口温度 160℃,
出口温度 220℃の熱風炉を用いて17.7倍に熱延伸し, P
VA繊維を得た。
80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取りロー
ル,及びこの間に配設された,糸条の入口温度 160℃,
出口温度 220℃の熱風炉を用いて17.7倍に熱延伸し, P
VA繊維を得た。
【0031】実施例1の水酸化ナトリウムを添加して調
製した紡糸原液から得られたPVA繊維は,熱水収縮率
が1.42%と良好な耐熱水性を示したが,比較例1の水酸
化ナトリウムを添加せずに調製した紡糸原液から得られ
たPVA繊維は,熱水収縮率68.2%と極めて不満足な性
能であった。
製した紡糸原液から得られたPVA繊維は,熱水収縮率
が1.42%と良好な耐熱水性を示したが,比較例1の水酸
化ナトリウムを添加せずに調製した紡糸原液から得られ
たPVA繊維は,熱水収縮率68.2%と極めて不満足な性
能であった。
【0032】実施例2,比較例2 重合度3300,ケン化度 99.21モル%(残存アセチル基量
0.79モル%)のPVAを,濃度が17重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,PVAの残存アセチル基量に対して1.25当量の水酸
化カリウムをメタノールに溶解した溶液をジメチルスル
ホシキドに添加し,この中にPVAを投入して撹拌しな
がら 115℃に昇温して溶解し,紡糸原液を調製した。こ
の時,メタノールの量は,紡糸原液全体量に対して2重
量%となるように調整した。
0.79モル%)のPVAを,濃度が17重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,PVAの残存アセチル基量に対して1.25当量の水酸
化カリウムをメタノールに溶解した溶液をジメチルスル
ホシキドに添加し,この中にPVAを投入して撹拌しな
がら 115℃に昇温して溶解し,紡糸原液を調製した。こ
の時,メタノールの量は,紡糸原液全体量に対して2重
量%となるように調整した。
【0033】また,比較例2として,水酸化カリウムを
添加しない以外は実施例2と同様にして紡糸原液を調製
した。この場合も,メタノールの量は,紡糸原液全体量
に対して2重量%となるように調整した。これらの紡糸
原液を,孔径0.4mm,孔数 172の紡糸口金から,乾湿式紡
糸法により室温のメタノール凝固浴中に 100℃で吐出し
た。次いで,凝固糸条を引き取りつつ,さらにメタノー
ルで洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した
後,油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
添加しない以外は実施例2と同様にして紡糸原液を調製
した。この場合も,メタノールの量は,紡糸原液全体量
に対して2重量%となるように調整した。これらの紡糸
原液を,孔径0.4mm,孔数 172の紡糸口金から,乾湿式紡
糸法により室温のメタノール凝固浴中に 100℃で吐出し
た。次いで,凝固糸条を引き取りつつ,さらにメタノー
ルで洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した
後,油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
【0034】これらの未延伸糸のケン化度,重合度を測
定したところ, 実施例2の未延伸糸はケン化度 99.98モ
ル%,重合度3280,比較例2の未延伸糸はそれぞれ 99.
20モル%,3270であり,実施例2の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
定したところ, 実施例2の未延伸糸はケン化度 99.98モ
ル%,重合度3280,比較例2の未延伸糸はそれぞれ 99.
20モル%,3270であり,実施例2の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
【0035】次いで,これらの未延伸糸を,表面温度が
それぞれ80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取
りロール,及びこの間に配設された入口温度 160℃,出
口温度 220℃の熱風炉を用いて18.3倍に熱延伸し, PV
A繊維を得た。
それぞれ80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取
りロール,及びこの間に配設された入口温度 160℃,出
口温度 220℃の熱風炉を用いて18.3倍に熱延伸し, PV
A繊維を得た。
【0036】実施例2の,水酸化カリウムを添加して調
製した紡糸原液から得られたPVA繊維は,熱水収縮率
が1.22%と良好な耐熱水性を示したが,比較例2の,水
酸化カリウムを添加せずに調製した紡糸原液から得られ
たPVA繊維は,熱水収縮率を測定しようとしたとこ
ろ,繊維が溶断して測定できなかった。
製した紡糸原液から得られたPVA繊維は,熱水収縮率
が1.22%と良好な耐熱水性を示したが,比較例2の,水
酸化カリウムを添加せずに調製した紡糸原液から得られ
たPVA繊維は,熱水収縮率を測定しようとしたとこ
ろ,繊維が溶断して測定できなかった。
【0037】実施例3〜7 実施例1で用いたPVAを,濃度が15重量%となるよう
にジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,残存アセチル基量に対して0.2当量(実施例3),
0.5当量(実施例4),0.8当量(実施例5),1.2当
量(実施例6),1.7当量(実施例7)の水酸化ナトリウ
ムを水に溶解した溶液をジメチルスルホシキドに添加
し,この中にPVAを投入して撹拌しながら 115℃に昇
温して溶解し,紡糸原液を調製した。この時,水の量は
紡糸原液全体量に対して5重量%となるように調整し
た。
にジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製する
際,残存アセチル基量に対して0.2当量(実施例3),
0.5当量(実施例4),0.8当量(実施例5),1.2当
量(実施例6),1.7当量(実施例7)の水酸化ナトリウ
ムを水に溶解した溶液をジメチルスルホシキドに添加
し,この中にPVAを投入して撹拌しながら 115℃に昇
温して溶解し,紡糸原液を調製した。この時,水の量は
紡糸原液全体量に対して5重量%となるように調整し
た。
【0038】これらの紡糸原液を,実施例1と同様に乾
湿式紡糸して未延伸糸を得,さらに同様に延伸した。得
られた未延伸糸のケン化度と重合度,及び延伸糸の熱水
収縮率,乾熱収縮率を表1に示す。さらに,実施例1の
結果も含め,アルカリの添加量と未延伸糸のケン化度の
関係を図1に示す。
湿式紡糸して未延伸糸を得,さらに同様に延伸した。得
られた未延伸糸のケン化度と重合度,及び延伸糸の熱水
収縮率,乾熱収縮率を表1に示す。さらに,実施例1の
結果も含め,アルカリの添加量と未延伸糸のケン化度の
関係を図1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】図1から明らかなように,水酸化ナトリウ
ムの添加量が,PVAの残存アセチル基量に対して1.3
当量までは, 水酸化ナトリウムの添加量の増加に比例し
てケン化度も高くなったが,1.3当量を超えると,ケン
化度はほぼ横這いであった。
ムの添加量が,PVAの残存アセチル基量に対して1.3
当量までは, 水酸化ナトリウムの添加量の増加に比例し
てケン化度も高くなったが,1.3当量を超えると,ケン
化度はほぼ横這いであった。
【0041】また,表1から明らかなように,実施例3
〜7で得られたPVA繊維は,いずれも良好な耐熱水性
を示したが,特に水酸化ナトリウムの添加量が0.5当量
以上の実施例4〜7で得られたPVA繊維は,いずれも
熱水収縮率が2%未満ときわめて良好な耐熱水性を示し
た。
〜7で得られたPVA繊維は,いずれも良好な耐熱水性
を示したが,特に水酸化ナトリウムの添加量が0.5当量
以上の実施例4〜7で得られたPVA繊維は,いずれも
熱水収縮率が2%未満ときわめて良好な耐熱水性を示し
た。
【0042】実施例8 重合度3300,ケン化度 99.64モル%(残存アセチル基量
0.36モル%)のPVAに,残存アセチル基量に対して1.
1当量の水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を噴霧して
含浸させ,このPVAを濃度が17重量%となるようにジ
メチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。こ
の時,水の量は紡糸原液全体の量に対して7重量%とな
るように調整した。
0.36モル%)のPVAに,残存アセチル基量に対して1.
1当量の水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を噴霧して
含浸させ,このPVAを濃度が17重量%となるようにジ
メチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。こ
の時,水の量は紡糸原液全体の量に対して7重量%とな
るように調整した。
【0043】この紡糸原液を孔径0.5mm,孔数 100の紡糸
口金からメタノール凝固浴中に乾湿式紡糸して未延伸糸
を得,さらにこれを延伸してPVA繊維を得た。得られ
た未延伸糸のケン化度は 99.99モル%であり,また延伸
糸の熱水収縮率は1.12%と優れたものであった。
口金からメタノール凝固浴中に乾湿式紡糸して未延伸糸
を得,さらにこれを延伸してPVA繊維を得た。得られ
た未延伸糸のケン化度は 99.99モル%であり,また延伸
糸の熱水収縮率は1.12%と優れたものであった。
【0044】実施例9,比較例3 重合度4000,ケン化度99.45モル%(残存アセチル基量
0.55モル%)のPVAを,濃度が15重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡糸して未延伸糸を
得る際,濃度0.1重量%に調整した水酸化ナトリウム水
溶液を,紡糸原液の吐出量160g/分に対して0.1g/分の
割合で紡糸原液の移送配管中で添加しつつ紡糸した。次
いで,凝固糸条を引き取りながら,さらにメタノールで
洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した後,
油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
0.55モル%)のPVAを,濃度が15重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡糸して未延伸糸を
得る際,濃度0.1重量%に調整した水酸化ナトリウム水
溶液を,紡糸原液の吐出量160g/分に対して0.1g/分の
割合で紡糸原液の移送配管中で添加しつつ紡糸した。次
いで,凝固糸条を引き取りながら,さらにメタノールで
洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去した後,
油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
【0045】この時,水酸化ナトリウムの添加量はPV
Aの残存アセチル基量に対して1.0当量であり,水の量
は紡糸原液量に対して4重量%であった。また,比較例
3として,水酸化ナトリウム水溶液に代えて,水を実施
例9と同様に添加しつつ紡糸して未延伸糸を得た。
Aの残存アセチル基量に対して1.0当量であり,水の量
は紡糸原液量に対して4重量%であった。また,比較例
3として,水酸化ナトリウム水溶液に代えて,水を実施
例9と同様に添加しつつ紡糸して未延伸糸を得た。
【0046】これらの未延伸糸のケン化度と重合度を測
定したところ,実施例9の未延伸糸はケン化度 99.91モ
ル%,重合度3990,比較例3の未延伸糸はそれぞれ 99.
45モル%,3980であり,実施例1の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
定したところ,実施例9の未延伸糸はケン化度 99.91モ
ル%,重合度3990,比較例3の未延伸糸はそれぞれ 99.
45モル%,3980であり,実施例1の未延伸糸は十分にケ
ン化度が高くなっていた。
【0047】これらの未延伸糸を,表面温度がそれぞれ
80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取りロー
ル,及びこの間に配設された,糸条の入口温度 160℃,
出口温度 220℃の熱風炉を用いて17.7倍に熱延伸し, P
VA繊維を得た。
80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取りロー
ル,及びこの間に配設された,糸条の入口温度 160℃,
出口温度 220℃の熱風炉を用いて17.7倍に熱延伸し, P
VA繊維を得た。
【0048】実施例9の水酸化ナトリウム水溶液を添加
しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収縮率が1.
49%と良好な耐熱水性を示したが,比較例3の水だけを
添加しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収縮率
68.2%と極めて不満足な性能であった。
しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収縮率が1.
49%と良好な耐熱水性を示したが,比較例3の水だけを
添加しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収縮率
68.2%と極めて不満足な性能であった。
【0049】実施例10,比較例4 重合度3300,ケン化度 99.21モル%(残存アセチル基量
0.79モル%)のPVAを,濃度が17重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡糸して未延伸糸を
得る際,濃度0.2重量%に調整した水酸化カリウムのメ
タノール溶液を,紡糸原液の吐出量120g/分に対して0.
1g/分の割合で紡糸原液の移送配管中で添加しつつ紡糸
した。次いで,凝固糸条を引き取りながら,さらにメタ
ノールで洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去
した後,油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
0.79モル%)のPVAを,濃度が17重量%となるように
ジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡糸して未延伸糸を
得る際,濃度0.2重量%に調整した水酸化カリウムのメ
タノール溶液を,紡糸原液の吐出量120g/分に対して0.
1g/分の割合で紡糸原液の移送配管中で添加しつつ紡糸
した。次いで,凝固糸条を引き取りながら,さらにメタ
ノールで洗浄し,糸条中のジメチルスルホキシドを除去
した後,油剤を付与して乾燥し,未延伸糸を得た。
【0050】この時,水酸化カリウムの添加量はPVA
の残存アセチル基量に対して1.0当量であり,メタノー
ルの量は紡糸原液量に対して4重量%であった。また,
比較例4として,水酸化カリウムのメタノール溶液に代
えて,メタノールを実施例10と同様に添加しつつ紡糸し
未延伸糸を得た。
の残存アセチル基量に対して1.0当量であり,メタノー
ルの量は紡糸原液量に対して4重量%であった。また,
比較例4として,水酸化カリウムのメタノール溶液に代
えて,メタノールを実施例10と同様に添加しつつ紡糸し
未延伸糸を得た。
【0051】これらの未延伸糸のケン化度,重合度を測
定したところ実施例10の未延伸糸はケン化度 99.96モル
%,重合度3270,比較例4の未延伸糸はそれぞれ 99.20
モル%,3270であり,実施例10の未延伸糸は十分にケン
化度が高くなっていた。
定したところ実施例10の未延伸糸はケン化度 99.96モル
%,重合度3270,比較例4の未延伸糸はそれぞれ 99.20
モル%,3270であり,実施例10の未延伸糸は十分にケン
化度が高くなっていた。
【0052】次いで,これらの未延伸糸を,表面温度が
それぞれ80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取
りロール,及びこの間に配設された入口温度 160℃,出
口温度 220℃の熱風炉を用いて18.1倍に熱延伸し, PV
A繊維を得た。
それぞれ80℃と 170℃に設定された供給ロールと引き取
りロール,及びこの間に配設された入口温度 160℃,出
口温度 220℃の熱風炉を用いて18.1倍に熱延伸し, PV
A繊維を得た。
【0053】実施例10の水酸化カリウムのメタノール溶
液を添加しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収
縮率が1.29%と良好な耐熱水性を示したが,比較例4の
メタノールだけを添加しつつ紡糸して得られたPVA繊
維は,熱水収縮率を測定しようとしたところ,繊維が溶
断して測定できなかった。
液を添加しつつ紡糸して得られたPVA繊維は,熱水収
縮率が1.29%と良好な耐熱水性を示したが,比較例4の
メタノールだけを添加しつつ紡糸して得られたPVA繊
維は,熱水収縮率を測定しようとしたところ,繊維が溶
断して測定できなかった。
【0054】実施例11〜15 実施例9で用いたPVAを,濃度が15重量%となるよう
にタンク内でジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液
を調製した。その後,タンク内のPVAの残存アセチル
基量に対して0.2当量(実施例11) ,0.6当量(実施例
12),0.9当量(実施例13),1.1当量(実施例14),
1.9当量(実施例15)の水酸化ナトリウムを水に溶解し
た溶液を紡糸原液に添加して撹拌した。この時,水の量
は紡糸原液に対して5重量%となるように調整した。
にタンク内でジメチルスルホキシドに溶解して紡糸原液
を調製した。その後,タンク内のPVAの残存アセチル
基量に対して0.2当量(実施例11) ,0.6当量(実施例
12),0.9当量(実施例13),1.1当量(実施例14),
1.9当量(実施例15)の水酸化ナトリウムを水に溶解し
た溶液を紡糸原液に添加して撹拌した。この時,水の量
は紡糸原液に対して5重量%となるように調整した。
【0055】これらの紡糸原液を,実施例9と同様に乾
湿式紡糸して未延伸糸を得,さらに同様にして延伸し
た。得られた未延伸糸のケン化度と重合度,及び延伸糸
の熱水収縮率と乾熱収縮率を表2に示す。
湿式紡糸して未延伸糸を得,さらに同様にして延伸し
た。得られた未延伸糸のケン化度と重合度,及び延伸糸
の熱水収縮率と乾熱収縮率を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2から明らかなように,実施例11〜15で
得られたPVA繊維は,いずれも良好な耐熱水性を示し
たが,特に水酸化ナトリウムの添加量が0.8当量以上の
実施例12〜15で得られたPVA繊維は,いずれも熱水収
縮率が2%未満ときわめて良好な耐熱水性を示した。
得られたPVA繊維は,いずれも良好な耐熱水性を示し
たが,特に水酸化ナトリウムの添加量が0.8当量以上の
実施例12〜15で得られたPVA繊維は,いずれも熱水収
縮率が2%未満ときわめて良好な耐熱水性を示した。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば,商業的に入手可能な程
度のケン化度を有するPVAを用いて,ケン化度の高い
PVA繊維を得るための紡糸原液を簡便に,しかも効率
よく得ることが可能となり,その有用性は極めて高い。
度のケン化度を有するPVAを用いて,ケン化度の高い
PVA繊維を得るための紡糸原液を簡便に,しかも効率
よく得ることが可能となり,その有用性は極めて高い。
【図1】本発明におけるアルカリ性成分の添加量と,得
られる未延伸糸のケン化度の関係の一例を示すグラフで
ある。
られる未延伸糸のケン化度の関係の一例を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 伸哉 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 秋山 芳広 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリビニルアルコールを溶媒に溶解して
紡糸原液を調製するに際し,アルカリ性成分を溶媒又は
/及びポリビニルアルコールに添加して溶解することを
特徴とするポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方
法。 - 【請求項2】 アルカリ性成分の量が,ポリビニルアル
コールの残存アセチル基量に対して0.1当量以上,2.0
当量以下である請求項1記載のポリビニルアルコール系
紡糸原液の調製方法。 - 【請求項3】 ポリビニルアルコールを溶媒に溶解して
調製した紡糸原液を紡糸するに際し,アルカリ性溶液を
紡糸原液に添加して紡糸することを特徴とするポリビニ
ルアルコール系繊維の紡糸方法。 - 【請求項4】 アルカリとしての添加量が,ポリビニル
アルコールの残存アセチル基量に対して0.8当量以上,
1.3当量以下となるようにアルカリ性溶液を添加する請
求項3記載のポリビニルアルコール系繊維の紡糸方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35314693A JPH07197315A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | ポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方法及び紡糸方法 |
EP94203761A EP0661392A1 (en) | 1993-12-28 | 1994-12-27 | Method for preparation of a polyvinyl alcohol-based spinning solution |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35314693A JPH07197315A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | ポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方法及び紡糸方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07197315A true JPH07197315A (ja) | 1995-08-01 |
Family
ID=18428876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35314693A Pending JPH07197315A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | ポリビニルアルコール系紡糸原液の調製方法及び紡糸方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07197315A (ja) |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP35314693A patent/JPH07197315A/ja active Pending
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