[go: up one dir, main page]

JPH07188577A - 熱可塑性重合体用着色剤 - Google Patents

熱可塑性重合体用着色剤

Info

Publication number
JPH07188577A
JPH07188577A JP5346978A JP34697893A JPH07188577A JP H07188577 A JPH07188577 A JP H07188577A JP 5346978 A JP5346978 A JP 5346978A JP 34697893 A JP34697893 A JP 34697893A JP H07188577 A JPH07188577 A JP H07188577A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coloring
thermoplastic polymer
resins
thermoplastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5346978A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsunori Fujiyama
實則 藤山
Masakazu Kimura
昌数 木村
Nobuhiko Naito
暢彦 内藤
Yoshio Takamura
善雄 高村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CHIYOURI KK
PORIKOOLE KOGYO KK
Original Assignee
CHIYOURI KK
PORIKOOLE KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CHIYOURI KK, PORIKOOLE KOGYO KK filed Critical CHIYOURI KK
Priority to JP5346978A priority Critical patent/JPH07188577A/ja
Publication of JPH07188577A publication Critical patent/JPH07188577A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 着色成分と、スチグマステロール、カンペス
テロール、プラシカステロール、β−シトステロール等
のフィトステロールまたはこれらのフィトステロールの
改質物の1種または2種以上を含有する熱可塑性重合体
用着色剤、並びにこれらの成分にさらにマスターバッチ
のキャリヤーレジンとして熱可塑性樹脂を配合してなる
熱可塑性重合体用着色剤。 【効果】 本発明の熱可塑性重合体用着色剤は、着色成
分の分散性に優れており、熱可塑性重合体に対して、低
濃度域の0.01%から高濃度域の30%の割合で添加
した場合においても、着色剤の分散不良に伴う顔料凝集
体の発生が見られない。また、熱可塑性重合体への均一
着色性および均一発色性に優れている。さらに、高温成
形が要求される熱可塑性重合体の着色熱安定性に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性重合体用着色
剤に関する。さらに詳しくは、スチグマステロール、カ
ンペステロール、プラシカステロール、β−シトステロ
ール等のフィトステロールまたはこれらのフィトステロ
ールの改質物の1種または2種以上を含有する熱可塑性
重合体用着色剤、並びにこれらの成分にマスターバッチ
のキャリヤーレジンとして熱可塑性樹脂をさらに配合し
てなる熱可塑性重合体用着色剤に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性重合体の着色は、着色顔料およ
び染料等の着色成分を、あらかじめ脂肪酸金属塩、アマ
イド系ワックス、ポリエチレンワックスなどのポリマー
ワックス等と混合、共粉砕あるいは混練、練肉等により
分散処理を行って、ドライカラー(粉末状着色剤)とす
るか、またはさらにキャリヤーレジン(担体樹脂)と混
練して、マスターバッチとして使用するのが一般的であ
る。
【0003】従来のドライカラーによる着色の場合は、
顔料分散剤としてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム等の高級脂肪酸の金属塩が配合されており、こ
のドライカラーは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂等の比較的低温度
で成形されるような汎用樹脂への着色には、特に問題な
く使用することができるが、ポリアミド系樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の
高温成形が要求されるエンジニアリング樹脂への使用に
おいては、これら樹脂(または熱可塑性重合体)の熱劣
化、熱分解、分子量低下等の問題を発生させるため、使
用することができなかった。
【0004】また、着色成分と、ポリエチレンワックス
などのポリマーワックスとを配合して作成された従来の
ドライカラー、または、さらにキャリヤーレジンと配合
して作成された従来のマスターバッチは、ポリエチレン
樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂へ
の着色には、非常に優れた分散性能を有しており、また
比較的に優れた熱安定性をも有しているが、他方、ポリ
オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(熱可塑性重合
体)とは相溶性および混和性が非常に悪く、着色成分の
分散不良、濁り、着色むら等の問題が発生する。このた
め、例えばポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等
のポリスチレン系樹脂、並びにポリアミド系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹
脂等のエンジニアリング樹脂への着色には適正(相溶不
良、着色顔料の分散不良等)が合わない等のことから使
用することができなかった。
【0005】したがって、これらエンジニアリング樹脂
への着色において、着色成分の分散性が優れ、かつ、こ
れらの樹脂への相溶性、熱安定性に優れた熱可塑性重合
体用着色剤の開発が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、着色
成分が熱可塑性重合体の種類によって異なることなく容
易に分散して均一に着色することのできる熱可塑性重合
体用着色剤を提供することである。特に、ポリスチレン
系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、
ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアミアミド系樹脂
等の透明性を有する熱可塑性重合体に添加し、着色成形
した場合に、これらの熱可塑性重合体への着色成分の分
散性が優れ、分散不良に伴う顔斑(顔料の凝集体)や相
溶不良に伴う色むら等を発生させることのない熱可塑性
重合体用着色剤を提供することである。
【0007】また、成形加工温度が240℃を超えるよ
うな高温成形が要求されるエンジニアリング樹脂、例え
ばボリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート
樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアミド系樹
脂等の熱可塑性重合体に添加し、着色成形した場合に
も、熱劣化、熱分解等の変質を起こさず、またこれら熱
可塑性重合体の機械的強度物性の低下、分子量の低下を
発生させない熱可塑性重合体用着色剤を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述した
従来の着色剤がもつ問題点を解決すべく鋭意研究を重ね
ていた際、ある植物から抽出されたワックス状物質を前
記した高温成形が要求される(高融点を有する)熱可塑
性重合体に添加、配合し、試験サンプルを作成してみた
ところ、このワックス状物質が着色成分の分散性を著し
く向上させる特徴を有しており、また、これら熱可塑性
重合体との相溶性、混和性がよく、しかも、これら熱可
塑性重合体の熱による熱分解、熱劣化等の変質を抑制す
る特徴を有していることを見いだした。そして、植物か
ら抽出されたこの物質について成分を分析したところ、
後述するフィトステロールおよびフィトステロールのエ
ステル成分が比較的多く含まれていることが判った。
【0009】さらに、本発明者らは、医薬用途に使われ
ているコレステロールの制御剤が植物から抽出、精製さ
れたフィトステロールを主成分としていることに着目
し、この制御剤に着色成分等を配合し、混合および共粉
砕してドライカラーを作成し、また、さらにキャリヤー
レジンを配合して押出機によりマスターバッチを作成し
て、これらの着色剤を、ポリカーボネート樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂等に適用したところ、着色成
分の分散性が優れていること、また高温成形においても
熱分解や熱劣化を起こさせない効果があることを見いだ
した。
【0010】本発明者らは、さらに、透明性を有する多
種類の熱可塑性重合体への着色、および高温成形が要求
される多種類の熱可塑性重合体への着色について研究を
拡大し、いずれも良好な結果を得て、本発明を完成する
に至った。すなはち、本発明は、以下に示すとおりであ
る。
【0011】(1) 着色成分として無機顔料、有機顔
料、染料および無機体質顔料から選ばれた1種または2
種以上、並びに少なくとも0.1重量%のスチグマステ
ロール、カンペステロール、ブラシカステロール、β−
シトステロールおよびこれら環状アルコールの改質物か
ら選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴と
する熱可塑性重合体用着色剤。
【0012】(2) 着色成分として無機顔料、有機顔
料、染料および無機体質顔料から選ばれた1種または2
種以上、少なくとも0.1重量%のスチグマステロー
ル、カンペステロール、ブラシカステロール、β−シト
ステロールおよびこれら環状アルコールの改質物から選
ばれた1種または2種以上、並びに合成ワックス、天然
ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩および脂肪
酸のアマイド等から選ばれた1種または2種以上を含有
することを特徴とする熱可塑性重合体用着色剤。
【0013】(3) キャリヤーレジンとして熱可塑性
樹脂をさらに配合してなることを特徴とする前記(1)
または(2)項記載の熱可塑性重合体用着色剤。以下
に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】本発明では、着色成分として、無機顔料、
有機顔料、染料および無機体質顔料から選ばれた1種ま
たは2種以上が必須である。着色成分のうち無機顔料と
しては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、硫化カ
ドミウム(黄色)、硫セレン化カドミウム(橙色または
赤色)、クロームイエロー(黄鉛)、クロムオレンジ、
弁柄(赤色酸化鉄、黄色酸化鉄)、群青、コバルトバイ
オレット、クロムグリーン、アルミン酸コバルト、チタ
ニウムイエロー、硫化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、
焼成顔料(複合金属酸化物系の顔料)等の無機顔料が使
用される。また、有機顔料もしくは染料としては、アゾ
系顔料、ポリアゾ系顔料、イソインドリノン顔料、キノ
フタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリノン系顔料、ペ
リレン顔料、アンスラキノン顔料、銅フタロシアニン顔
料等の有機顔料または染料(蛍光性の染料を含む)が使
用される。また、無機体質顔料としては、光拡散顔料と
してのタルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、合成
および天然のゼオライト等の無機体質顔料並びにマイカ
箔チタンコート粉(パール顔料)、アルミ、銅等の金属
箔粉顔料が使用される。なお、本発明は、これらの例示
に制限されるものではない。
【0015】本発明では、着色成分の分散媒体または配
合媒体として、スチグマステロール、カンペステロー
ル、ブラシカステロール、β−シトステロールの環状ア
ルコール(フィトステロール)およびこれらの改質物か
ら選ばれた1種もしくは2種以上が必須である。
【0016】環状アルコール(フィトステロール)また
はそのエステル(フィトステロールエステル)は、ある
種の植物中に比較的少量であるが含有されており、これ
らの植物から抽出、精製して得ることができる。また、
この抽出、精製されて得られたフィトステロールおよび
フィトステロールエステルは、さらに反応を進めて、脂
肪酸等の有機酸やスルホン酸等の無機酸とのエステルと
することができ、またはNa、K、Ca、Cu、Mg、
Zn、Al等の金属と反応させてフィトステロールの金
属化合物(金属付加反応生成物)とすることができる。
【0017】前記した本発明でいう環状アルコールの改
質物とは、例えば、フィトステロールエステル、脂肪酸
等の有機酸とのエステル、スルホン酸等の無機酸とのエ
ステル、Na、K、Ca、Cu、Mg、Zn、Al等と
の金属付加反応生成物、またはメチル、エチル等のアル
キルでアルコキシ化された環状アルコールの改質物をい
う。これらの環状アルコールの改質物は、フィトステロ
ールと同様の多くの環状の基本骨格を有している。
【0018】フィトステロールの成分であるスチグマス
テロール(融点170℃)、カンペステロール(融点1
57℃)、プラシカステロール(融点145℃)および
β−シトステロール(融点140℃)は、いずれも14
0℃以上の高い融点を有する環状アルコールである。
【0019】これらの環状アルコールを分子式で示す
と、それぞれC2948O、C2848O、C2846Oおよ
びC2950Oであり、また構造式で示すと、下記する化
1、化2、化3および化4のとおりである。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】これらの環状アルコールは、植物の中で
も、特に大豆、菜種、トール、小豆、砂糖きび等の農産
物、昆布等の海産物に比較的少量ではあるが含まれてお
り、これらの植物中に前記の環状アルコールが混合物と
して存在している。例えば、大豆に含まれる環状アルコ
ール(フィトステロール)は、約0.08重量%の割合
で含まれており、β−シトステロール、カンペステロー
ル、スチグマステロールの3種の環状アルコールおよび
そのエステルが主成分となっている。また、菜種に含ま
れる環状アルコールは、約0.04重量%の割合で含ま
れており、β−シトステロール、スチグマステロール、
カンペステロール、ブラシカステロールの4種の環状ア
ルコールが主成分となっている。
【0025】これらの環状アルコールまたはそのエステ
ルを大量に得るには、例えば大豆からであると、大豆油
の精製、脱臭工程において溜出してくるスカムを、ヘキ
サン、メタノール等の溶媒を用いて抽出し、最後に環状
アルコールおよびそのエステルを結晶化して得ることが
できる。さらに精製を行うことによって純度を上げるこ
とができる。
【0026】このようにして得られる本発明の環状アル
コール(フィトステロール)は、着色成分に配合して、
混合または混練することにより、着色成分の分散性を非
常に向上させる特徴を有している。すなわち、これらの
環状アルコール(フィトステロール)は、熱可塑性重合
体の種類によって異なることなく熱可塑性重合体との混
和性、相溶性に優れており、その中でも特に、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、メチ
ルメタクリレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ
エチレンナフタレート樹脂、ポリアミド系樹脂等の高温
成形加工が要求される熱可塑性重合体との混和性、相溶
性に優れている。また、フィトステロールが添加、配合
された熱可塑性重合体は、熱劣化、分子量低下を起こさ
ずに非常に優れた熱安定性をも有している。
【0027】また、植物から抽出されるもう一方の成分
である環状アルコールのエステル(フィトステロールエ
ステル)は、一般的にはフィトステロールと高級脂肪酸
とのエステルであり、これらの融点は約90℃前後で、
元の環状アルコール(フィトステロール)の融点よりも
若干低下する傾向にある。しかし、これらの環状アルコ
ールのエステル成分もまた、元の環状アルコールと同
様、前記した熱可塑性重合体との混和性および相溶性に
優れており、また、前記した着色成分と配合し、混合ま
たは混練などの表面処理を行うことにより、着色成分の
分散性を著しく向上させる特徴を有している。また、こ
のフィトステロールエステルが配合された熱可塑性重合
体は、優れた熱安定性を有している。
【0028】本発明では、スチグマステロール、カンペ
ステロール、ブラシカステロール、β−シトステロール
の環状アルコール(フィトステロール)およびこれらの
改質物から選ばれた1種もしくは2種以上が、着色成
分、フィラー(充填剤)、その他の添加剤等に対して、
一般的には0.1〜99重量%、好ましくは2〜80重
量%、最も好ましくは5〜60重量%の割合で配合され
る。0.1重量%未満の配合割合では本発明の特徴とす
る効果はあまり期待できない。
【0029】本発明では、着色成分の1種または2種以
上と、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシ
カステロール、β−シトステロールおよびこれらの環状
アルコールの改質物から選ばれた1種または2種以上と
が、配合されて熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラ
ー)とされる。また、さらに、マスターバッチのキャリ
ヤーレジン(担体樹脂)として熱可塑性樹脂を配合し
て、熱可塑性重合体用着色剤(マスターバッチ)とされ
る。
【0030】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライ
カラーおよびマスターバッチ)が適用される熱可塑性重
合体には、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、
ポリメチルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂等のエンジニアリングプラスチックと称される
熱可塑性重合体、並びにポリエチレンおよびその共重合
体、ポリプロピレンおよびその共重合体、ポリスチレン
およびその共重合体、AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニ
ールおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共
重合体、酢酸ビニールおよびその共重合体、スチレンブ
タジエンブロックコポリマー、1,2−ポリブタジエン
系熱可塑性エラストマー、スチレンブタジエン系熱可塑
性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエス
テル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ア
イオノマー樹脂等がある。
【0031】これらの熱可塑性重合体の中で特に好まし
いのは、ポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアリレ
ート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、AS樹脂、ABS
樹脂等の溶融軟化温度が高く、高い成形加工温度が要求
されるような熱可塑性重合体、並びにポリスチレン系樹
脂、透明ABS樹脂、ポリプロピレンおよびその共重合
体、酢酸ビニールおよびその共重合体、塩化ビニールお
よびその共重合体、塩化ビニリテンおよびその共重合
体、ポリエチレンおよびその共重合体等の透明性を有す
る熱可塑性重合体である。
【0032】また、本発明のマスターバッチのキャリヤ
ーレジン(担体樹脂)としては、前記した熱可塑性重合
体と同様の樹脂を用いることができる。特に好ましい樹
脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン系
樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、
その他の樹脂である。
【0033】本発明では、着色成分の1種または2種以
上と、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシ
カステロール、β−シトステロールおよびこれら環状ア
ルコールの改質物から選ばれた1種または2種以上に加
えて、助剤として合成ワックス、天然ワックス、高級脂
肪酸、高級脂肪酸の金属塩および高級脂肪酸のアマイド
等のワックス類を配合することができる。
【0034】例えば、合成ワックスとしては、ポリエチ
レンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワ
ックス等の合成ワックスがある。天然ワックスとして
は、モンタンワックス、モンタンエステル等の鉱物系ワ
ックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、砂
糖キビワックス、ライスワックス(米ぬか硬化油)等の
植物系ワックス、蜜ロウ、牛脂硬化油等の動物系ワック
スがある。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アル
ミニウム等の高級脂肪酸の金属塩、エチレンビスアマイ
ド、オレイン酸アマイド等の脂肪酸アマイド系滑剤、高
級脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のアルコールエステ
ル等の一般に使用される添加剤等が含まれる。
【0035】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライ
カラーおよびマスターバッチ)には、さらに必要に応じ
て、成形加工時の熱劣化を防止するための酸化防止剤、
熱劣化防止剤、および金属不活性化剤等の添加剤、熱可
塑性重合体の成形品の耐光性を向上させるための紫外線
吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
また樹脂の帯電性を防止するための帯電防止剤、および
防曇剤等の添加剤を配合することができる。
【0036】本発明の熱可塑性重合体用着色剤の製造法
としては、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等による混
合、アトマイザー等の微粉砕機による共粉砕、ロールミ
ル、ニーダー等の混練機による混練または二軸押出機、
単軸押出機等のエクストルーダー(スクリュータイプの
混練押出機)等の公知のいずれの方法も採用することが
できる。
【0037】例えば、本発明の熱可塑性重合体用着色剤
(ドライカラー)の製造の場合には、前記した着色成分
と環状アルコール(フィトステロール)またはその改質
物とをヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ドラム
タンブラー等の混合機で混合し、または、アトマイザ
ー、ピンミル等の微粉砕機を使用し共粉砕して、粉末状
のドライカラーとするか、または、二本ロールミル、三
本ロールミル等のロールミル、加熱ニーダー、加圧加熱
ニーダー、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー
等の混練機を使用して混合、混練した後にペレット状ま
たは顆粒状にするか、またはさらに粉砕してドライカラ
ーとする方法が用いられる。
【0038】また、マスターバッチの製造の場合は、着
色成分と環状アルコール(フィトステロール)またはそ
の改質物からなる配合物を、または前記した方法で作成
されたドライカラー、ペレット状または顆粒状の着色剤
に、さらに、前記したキャリヤーレジンとして熱可塑性
樹脂を配合した後、エクストルーダー(スクリュータイ
プの混練押出機)等で混練した後にペレット状(造粒)
のマスターバッチとする方法が用いられる。
【0039】このようにして得られたドライカラータイ
プおよびマスターバッチタイプの熱可塑性重合体用着色
剤は、前述した熱可塑性重合体と混合して着色された熱
可塑性樹脂組成物となる。この際、本発明の熱可塑性重
合体用着色剤は、熱可塑性重合体に対して、0.01〜
30%の割合で添加される。
【0040】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、従来の一般的な着色剤に比べて、着色成分の分散
性が優れており、顔斑(顔料の凝集体)、色むらおよび
発色むら等の着色剤の分散不良を発生することがない樹
脂組成物として有用である。また、この熱可塑性樹脂組
成物は、フィルム、繊維等を含む種々の成型体に成型さ
れる。
【0041】
【発明の効果】
(1) 熱可塑性重合体への着色成分の分散性が優れる 本発明の熱可塑性重合体用着色剤は、着色成分の分散性
に優れており、熱可塑性重合体に対して低濃度域の0.
01%から高濃度域の30%の割合で添加した場合にお
いても、着色成分の分散不良に伴う顔料凝集体の発生が
見られない。 (2) 熱可塑性重合体への均一着色性および均一発色
性が優れる ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性重合
体は、均一な着色または均一に発色をさせることが大変
難しい重合体とされているが、本発明の熱可塑性重合体
用着色剤は、これらの重合体に低濃度域の0.01%か
ら高濃度域の30%の割合で添加した場合においても、
発色むら、着色むら等の色むらを発生させない。
【0042】(3) 高温成形が要求される熱可塑性重
合体の着色熱安定性が優れる 本発明の熱可塑性重合体用着色剤は、樹脂着色時の熱安
定性に優れており、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリメチル
メタクリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂
等の高温成形が要求されるが、樹脂の熱劣化、熱分解を
発生しやすい熱可塑性重合体に対して低濃度域の0.0
1%から高濃度域の30%の割合で添加して着色成形し
た場合においても、これらの熱可塑性重合体の熱劣化、
熱分解等の変質を起こさせない。また、これら熱可塑性
重合体の機械的強度等の物性の低下、分子量の低下を発
生させない。
【0043】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を具体的に詳
述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中、%とあるのは重量%を意味す
る。
【0044】
【実施例1〜9および比較例1〜5】表1に示す着色成
分に対して環状アルコール(フィトステロール成分とし
て90%以上含有)を0〜100%の範囲で配合し、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、さらにアトマイザー
(微粉砕混合機)にて共粉砕してドライカラータイプの
本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラー)を得
た。また、比較として、環状アルコールが配合されてい
ないドライカラーおよび高級脂肪酸の金属塩が配合され
たドライカラーを作成した。これらドライカラーの組成
を表2に示す。
【0045】さらに、これらのドライカラーを、密度
1.03g/cm3 、メルトフローレート(MFR)
7.5g/10minの透明性ポリスチレン(GPP
S)(スタイロン666、旭化成工業(株)、商品名)
に対して0.01〜30%の範囲で添加、配合した後、
型締圧力40トンの射出成形機を使用し、肉厚1mm、
2mm、3mmの3段平板状の金型を取り付け、成形温
度240℃、射出圧力40kg/cm2 、成形サイクル
60sec/cycleの成形条件にて着色成形品(プ
レート)を作成した。
【0046】これらの着色成形品(プレート)につい
て、環状アルコールが配合されていないドライカラーお
よび高級脂肪酸の金属塩が配合されたドライカラーと比
較して、環状アルコールが配合された場合の配合濃度ご
とに、着色成分の凝集体の有無および凝集体の粒子径を
光学顕微鏡にて観察し、分散性の評価を行った。
【0047】その結果、本発明のドライカラーは、着色
成分の粗大凝集体が殆ど見られない非常に優れた分散性
を示した。また、本発明のドライカラーは、着色成分の
種類に影響されずに、どの顔料に対しても高い分散性効
果が得られた。また、環状アルコール(フィトステロー
ル成分として90%以上含有)の分散効果は、ほぼ配合
濃度に比例して良くなり、実験結果から得られた適性配
合濃度は、20〜80%であった。
【0048】これに比較し、表2に記した環状アルコー
ルが配合されていない着色顔料は、粒子径が100μを
超えるような粗大凝集体が非常に多く見られた。また、
表2に記した従来から一般的に使用されている高級脂肪
酸の金属塩が配合された着色剤も、非常に優れた分散性
を示していた。しかし、この高級脂肪酸の金属塩系の分
散剤は、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリアミド系樹脂等のエンジニアリング
樹脂に添加、配合した場合は、それらの樹脂に対して熱
劣化、熱分解および著しい分子量の低下を起こさせ、こ
のため樹脂の機械的物性を大幅に低下させる傾向がみら
れ、実際には使用することができない。
【0049】
【実施例10〜20および比較例6〜13】表1に示す
着色成分に対して環状アルコール(フィトステロール成
分として90%以上含有)を0〜100%の範囲で配合
し、温度140℃に加熱した三本ロールミルにて混練し
た後、さらにパンライトL−1225(帝人化成
(株)、商品名)と混合し、35mmφの二軸押出機に
て混練、ペレット化して、着色マスターペレット状の本
発明の熱可塑性重合体用着色剤(マスターバッチ)を得
た。比較例として、高級脂肪酸の金属塩が配合されたマ
スターバッチおよびポリエチレンワックスが配合された
一般的な着色マスターバッチを作成した。これらの着色
マスターバッチの組成を表3に示す。
【0050】さらに、これらの着色マスターバッチを、
パンライトL−1225に対して1〜30重量%の範囲
で添加した後、型締圧力40トンの射出成形機を使用
し、成形品肉厚が2mm、3mmの2段平板状の金型を
取り付け、成形温度290℃、射出圧力60kg/cm
2 、成形サイクル60sec/cycleの成形条件に
て着色成形品(プレート)を作成した。
【0051】これらの着色成形品(プレート)につい
て、環状アルコールが配合されていないマスターバッチ
およびポリエチレンワックスが配合された一般的なマス
ターバッチと比較して、本発明のマスターバッチの配合
濃度ごとに、顔料分散性および着色成形品表面の均一着
色性の試験を行った。顔料分散性については、光学顕微
鏡を使用し、実施例1〜9の場合と同様に、着色成形品
中に存在する100μm以上の粗大な顔料凝集体の有無
および粗大凝集体の大きさ(凝集体の粒径)を比較し
た。また、着色成形品の着色均一性については、成形品
表面の着色むらおよび発色むらの発生状態を測色分光光
度計(色差計)を使用し、着色成形品の中央部を基準発
色とし、その周辺の角付近、4点の色差(△E)を測定
した。ポリカーボネート樹脂に着色した場合の成形品表
面の着色均一性(色差(△E))試験結果を、表4に示
す。
【0052】その結果、表4に記したように、本発明の
着色マスターバッチは、ポリカーボネート樹脂に着色し
た場合、マスターバッチの添加濃度が1%の低濃度域か
ら30%の高濃度域の範囲において色差の値が、0.5
以下の数値を示しており、成形品への発色むらが無く、
非常に安定した着色均一性を示した。
【0053】これに対して、比較例に示された一般的な
マスターバッチでは、低濃度域の1%においても、色差
(△E)が1.5〜2.0以上の比較的高い数値を示し
ており、また色差(△E)の値には成形品の測定箇所に
よる大きなバラツキが見られた。また、マスターバッチ
の添加濃度が5%以上の高濃度域では、色差(△E)が
3〜5以上の非常に大きな数値を示し、また着色成形品
の測定場所により非常に大きなバラツキを示していた。
これは、顔料分散剤としてポリエチレンワックスや高級
脂肪酸の金属塩が配合された従来のマスターバッチで
は、熱可塑性重合体に着色した場合に発色むらが激しく
発生していることを示している。
【0054】
【実施例21〜31および比較例14〜21】一般的
に、熱可塑性重合体は、着色成分、滑剤、分散剤、フィ
ラー等の添加により、熱劣化、酸化劣化または熱分解等
の樹脂劣化現象を発生し、その樹脂劣化に伴い機械的強
度を低下させる原因となる。特に、高温成形が要求され
るようなエンジニアリング樹脂では、それに使用される
着色剤や添加剤により、機械的樹脂物性への影響が大き
く左右される。以下に、本発明の熱可塑性重合体用着色
剤と他の一般的な着色剤とを比較した熱安定性の比較試
験を行った。
【0055】表1に示す着色成分に対して環状アルコー
ル(フィトステロール成分として90%以上含有)を0
〜100%の範囲で配合して作成された本発明の熱可塑
性重合体用着色剤(ドライカラーおよびマスターバッ
チ)について、高温成形が要求されるようなエンジニア
リング樹脂に添加し、着色した場合の熱安定性の試験
(機械的樹脂物性強度試験および樹脂の分子量低下の測
定)を行った。
【0056】また、比較例として、従来使用されている
一般的な着色剤であるポリエチレンワックスが配合され
たドライカラーおよび高級脂肪酸の金属塩が配合された
ドライカラーの比較試験を行った。
【0057】熱安定性の評価試験としては、ポリカーボ
ネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂につ
いては、樹脂の分子量(極限粘度法)を測定し、その分
子量の低下度合いから熱安定性の評価を行った。その試
験結果を図1〜4に示す。また、熱劣化または熱分解に
よる機械的樹脂物性の低下度合いの比較として、着色成
形品のアイゾット衝撃強度を測定した。その結果を表5
に示す。
【0058】その結果、図1〜4に示したように、環状
アルコール(フィトステロール成分として90%以上を
含有)を配合して作成された本発明の着色ドライカラー
および着色マスターバッチは、ポリカーボネート樹脂に
添加して着色成形した場合にも、そのポリカーボネート
樹脂の分子量を殆ど低下させることなしに着色させるこ
とができた。また、実際の着色成形品についても、表5
に示したように、アイゾット衝撃強度の低下は殆ど見ら
れなかった。
【0059】これに比較して、従来一般的に使用されて
いる高級脂肪酸の金属塩が配合された着色剤は、ポリカ
ーボネート樹脂の分子量を激しく低下させる傾向が見ら
れ、また一般的な添加濃度においても、元の分子量(2
5000)に対して約70%の15000〜18000
に低下していた。また、着色成形品のアイゾット衝撃強
度についても、添加濃度に比例してアイゾット衝撃強度
の低下が顕著に見られた。
【0060】
【実施例32】無機顔料として、密度4.2g/c
3 、平均粒子径0.21μmのルチル型酸化チタン
(タイペークCR−60、石原産業(株)商品名)を使
用し、この酸化チタンに環状アルコール(フィトステロ
ール成分として90%以上を含有)を20%配合し、ヘ
ンシェルミキサーで混合した後、さらにアトマイザー
(微粉砕混合機)にて共粉砕してドライカラータイプの
本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラー)を得
た。
【0061】さらに、このドライカラーを、密度1.4
0、融点260℃のポリエチレンテレフタレート(三井
PET J125、三井ペット樹脂(株)、商品名)に
対して0.01〜10%の濃度に添加した後、型締圧力
40トンの射出成形機を使用して、成形温度270℃、
射出圧力50kg/cm2 、成形サイクル60sec/
cycleの成形条件にて着色成形品(プレート)を作
成した。
【0062】この着色成形品(プレート)について、溶
液粘度法によりポリエチレンテレフタレート樹脂の分子
量の測定を行い、その分子量の低下度合いから着色剤の
熱安定性の評価を行った。その結果を図5に示す。
【0063】その結果、本発明の熱可塑性重合体用着色
剤は、低濃度の0.01%から比較的高濃度の5%の添
加濃度まで、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量
低下が殆ど見られなかった。但し、10%の高濃度添加
においては、若干の分子量低下が見られた。
【0064】
【比較例22】実施例32に対して、環状アルコール
(フィトステロール成分として90%以上を含有)に代
えて高級脂肪酸の金属塩を配合し、実施例32の場合と
同様に、一般的なドライカラータイプの着色剤を作成
し、さらに実施例32と同様の樹脂、成形装置および成
形条件にて着色成形品プレートを作成し、この着色成形
品について、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量
の測定を行った。その結果を図5に示す。
【0065】高級脂肪酸の金属塩が配合された一般的な
着色剤の場合は、添加濃度が、極微量の0〜0.01%
までの濃度では特に顕著な分子量低下は見られないが、
比較的に低濃度の0.025%以上の添加濃度において
顕著な分子量低下が見られ、0.5%添加濃度では分子
量が約60%に低下してしまった。
【0066】
【実施例33】有機系の着色顔料として、α型の銅フタ
ロシアニンブルー(C.I,Pigment Blue
15:4)の密度1.6g/cm3 、平均粒子径0.
10μmの商品名ファーストゲンブルー5050(大日
本インキ(株)製)を使用し、環状アルコール(フィト
ステロール成分として90%以上を含有)を50%配合
し、ヘンシェルミキサーで混合した後、さらにアトマイ
ザー(微粉砕混合機)にて共粉砕してドライカラータイ
プの本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラー)
を得た。
【0067】さらに、このドライカラーを、密度1.4
0、融点260℃のポリエチレンテレフタレート(三井
PET J125、三井ペット樹脂(株)、商品名)に
対して、0.01〜10%の濃度に添加した後、型締圧
力40トンの射出成型機を使用して、成形温度270
℃、射出圧力50kg/cm2 、成形サイクル60se
c/cycleの成形条件にて着色成形品(プレート)
を作成した。
【0068】実施例32と同様に、この着色成形品につ
いて、溶液粘度法によりポリエチレンテレフタレート樹
脂の分子量の測定を行い、その分子量の低下度合いから
着色剤の熱安定性の評価を行った。その結果を図6に示
す。
【0069】その結果、本発明の熱可塑性重合体用着色
剤は、低濃度の0.01%から比較的に高濃度の5%の
添加濃度まで、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子
量低下は殆ど見られなかった。但し、10%の高濃度添
加においては、若干の分子量低下が見られた。
【0070】
【比較例23】実施例33に対して、環状アルコール
(フィトステロール成分として90%以上を含有)に代
えて高級脂肪酸の金属塩を配合し、実施例33の場合と
同様に、一般的なドライカラータイプの着色剤を作成
し、さらに実施例33と同様の樹脂、成形装置および成
形条件にて着色成形品(プレート)を作成し、この着色
成形品について、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分
子量の測定を行った。その結果を図6に示す。
【0071】その結果、高級脂肪酸の金属塩が配合され
た一般的な着色剤は、添加濃度が、極微量の0〜0.0
1%までの濃度では特に顕著な分子量低下は見られなか
ったが、比較的に低濃度の0.02%以上の添加濃度に
おいて顕著な分子量の低下が見られ、0.3%の添加濃
度では分子量が約50%に低下していた。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラ
ー)をポリカーボネート樹脂に添加したときの添加濃度
とポリカーボネート樹脂の分子量との関係を示すグラフ
である。
【図2】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラ
ー)をポリカーボネート樹脂に添加したときの添加濃度
とポリカーボネート樹脂の分子量との関係を示すグラフ
である。
【図3】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(マスターバ
ッチ)をポリカーボネート樹脂に添加したときの添加濃
度とポリカーボネート樹脂の分子量との関係を示すグラ
フである。
【図4】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(マスターバ
ッチ)をポリカーボネート樹脂に添加したときの添加濃
度とポリカーボネート樹脂の分子量との関係を示すグラ
フである。
【図5】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラ
ー)をポリエチレンテレフタレート樹脂に添加したとき
の添加濃度とポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量
との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の熱可塑性重合体用着色剤(ドライカラ
ー)をポリエチレンテレフタレート樹脂に添加したとき
の添加濃度とポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量
との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 暢彦 神奈川県横浜市神奈川区斉藤分町36番地 (72)発明者 高村 善雄 千葉県印旛郡白井町七次台3丁目45番7号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色成分として無機顔料、有機顔料、染
    料および無機体質顔料から選ばれた1種または2種以
    上、並びに少なくとも0.1重量%のスチグマステロー
    ル、カンペステロール、ブラシカステロール、β−シト
    ステロールおよびこれら環状アルコールの改質物から選
    ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする
    熱可塑性重合体用着色剤。
  2. 【請求項2】 着色成分として無機顔料、有機顔料、染
    料および無機体質顔料から選ばれた1種または2種以
    上、少なくとも0.1重量%のスチグマステロール、カ
    ンペステロール、ブラシカステロール、β−シトステロ
    ールおよびこれら環状アルコールの改質物から選ばれた
    1種または2種以上、並びに合成ワックス、天然ワック
    ス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩および脂肪酸のア
    マイド等から選ばれた1種または2種以上を含有するこ
    とを特徴とする熱可塑性重合体用着色剤。
  3. 【請求項3】 キャリヤーレジンとして熱可塑性樹脂を
    さらに配合してなることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の熱可塑性重合体用着色剤。
JP5346978A 1993-12-27 1993-12-27 熱可塑性重合体用着色剤 Pending JPH07188577A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5346978A JPH07188577A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 熱可塑性重合体用着色剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5346978A JPH07188577A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 熱可塑性重合体用着色剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07188577A true JPH07188577A (ja) 1995-07-25

Family

ID=18387101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5346978A Pending JPH07188577A (ja) 1993-12-27 1993-12-27 熱可塑性重合体用着色剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07188577A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100352246B1 (ko) * 1999-09-14 2002-09-12 홍치흠 착색 필러의 제조방법 및 이를 함유하는 시이트용 컴파운드 조성물
JP2002322290A (ja) * 2001-04-26 2002-11-08 Teijin Chem Ltd 光学成形品用着色マスターペレットおよび着色された光ディスク基板
JP2006028226A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 着色剤組成物
JP2017145350A (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 東洋インキScホールディングス株式会社 顔料分散体、および積層体
JP2020007459A (ja) * 2018-07-09 2020-01-16 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2020511585A (ja) * 2017-02-21 2020-04-16 李耀輝 暗色の布帛、もしくはエンジニアリングプラスチックに用いるカラーマスターバッチ組成物及びその製品

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100352246B1 (ko) * 1999-09-14 2002-09-12 홍치흠 착색 필러의 제조방법 및 이를 함유하는 시이트용 컴파운드 조성물
JP2002322290A (ja) * 2001-04-26 2002-11-08 Teijin Chem Ltd 光学成形品用着色マスターペレットおよび着色された光ディスク基板
JP2006028226A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 着色剤組成物
JP2017145350A (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 東洋インキScホールディングス株式会社 顔料分散体、および積層体
JP2020511585A (ja) * 2017-02-21 2020-04-16 李耀輝 暗色の布帛、もしくはエンジニアリングプラスチックに用いるカラーマスターバッチ組成物及びその製品
JP2020007459A (ja) * 2018-07-09 2020-01-16 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101392077B (zh) 带珠光干涉效果的聚丙烯着色母粒及其制备方法
JPS63245475A (ja) 顔料配合物
US5604279A (en) Colorant preparation for producing masterbatches
EP1882013A1 (de) Hochgefüllte farbmittelzusammensetzung zum einfärben olefinischer wie nichtolefinischer kunststoffe
DE102006039913A1 (de) Hochgefüllte Farbmittelzusammensetzung zum Einfärben und Modifizieren olefinischer wie nichtolefinischer Kunststoffe
JP2673712B2 (ja) 充填剤含有着色熱可塑性樹脂組成物の製造方法
EP2655483A2 (en) Thermoplastic composition
JPH07188577A (ja) 熱可塑性重合体用着色剤
JPH02105839A (ja) 充填剤含有ポリプロピレン組成物用顔料マスターバッチ
JPH0693189A (ja) 色材およびそれを含む樹脂組成物
JPH11322949A (ja) 着色剤組成物
JPH0693201A (ja) カラーマスターバッチと加工顔料
JP2866049B2 (ja) 樹脂着色剤の製造方法
JPH054423B2 (ja)
CN110894364A (zh) 一种超分散无载体色母料及其制备方法和应用
DE2019203A1 (de) Verfahren zur Herstellung eines Pigmentpraeparates
JPH0925447A (ja) 充填剤含有着色マスターバッチ
JP4877569B2 (ja) 粒状有彩色樹脂組成物
JP2628347B2 (ja) 弗化ビニリデン樹脂組成物の製造方法
JPH10279877A (ja) 着色用顔料組成物の製造方法
JP3010932B2 (ja) 固形描画材
JPH04339877A (ja) 着色剤の製造方法
JPH0753772A (ja) 着色用樹脂組成物
JPH0419264B2 (ja)
JPS58118827A (ja) 熱可塑性樹脂用のペレツト状着色剤