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JPH07177876A - 培養管理方法 - Google Patents

培養管理方法

Info

Publication number
JPH07177876A
JPH07177876A JP5346562A JP34656293A JPH07177876A JP H07177876 A JPH07177876 A JP H07177876A JP 5346562 A JP5346562 A JP 5346562A JP 34656293 A JP34656293 A JP 34656293A JP H07177876 A JPH07177876 A JP H07177876A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
concentration
osmotic pressure
microorganisms
glucose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5346562A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhito Hayakawa
和仁 早川
Satogo Takeuchi
聡吾 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yakult Honsha Co Ltd filed Critical Yakult Honsha Co Ltd
Priority to JP5346562A priority Critical patent/JPH07177876A/ja
Publication of JPH07177876A publication Critical patent/JPH07177876A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 微生物の培養管理方法を提供する。 【構成】 微生物(細胞を含む)の培養の管理方法にお
いて、培養工程における培養液の浸透圧の値を指標にし
て、培養を管理する微生物(細胞を含む)の培養管理方
法。更には、予め、培養工程における培養液の浸透圧の
値と、培養液の基質濃度、代謝産物濃度、または微生物
(細胞を含む)濃度の少なくとも1種の値との相関関係
を求め、これを指標にして、培養を管理する微生物(細
胞を含む)の培養管理方法。 【効果】 微生物(細胞を含む)の培養による物質生
産、細胞増殖などのプロセスにおける培養状態の監視及
び制御等を簡便、かつ迅速に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物、及び動物、植
物などの細胞の培養の管理方法に関するものであり、更
に詳しくは、乳酸発酵、アルコール発酵、アミノ酸発酵
等に代表される食品分野、また、抗生物質発酵生産、生
理活性物質発酵生産等に代表される医薬品分野、動物細
胞、植物細胞の増殖等に代表される農業分野、及びその
他の分野における微生物、及び動物、植物などの細胞の
培養による物質生産、細胞増殖などのプロセスの監視及
び制御などに適用するのに有用な当該微生物(細胞を含
む)の培養管理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、微生物、及び動物、植物などの細
胞を培養することによる各種の物質生産技術が開発さ
れ、実用化される中で、当該物質生産などのプロセス監
視及び制御を正確、かつ迅速に行うことが生産技術上き
わめて重要な地位を占めるに至っている。
【0003】従来、このような微生物、及び動物、植物
などの細胞の培養による物質生産などのプロセス監視及
び制御等を行う方法は、種々開発されているものの、い
ずれの方法も、当該微生物等の培養工程において、培養
液の物質濃度等を逐次測定すると共に、当該培養液中の
物質濃度等の変化及び推移を監視しながら行うものがほ
とんどであり、一般に、例えば、培養工程の適宜の時機
において培養液を採取し、予め濾過処理、除蛋白処理、
希釈処理、有機溶媒による抽出処理等の適宜の前処理を
行ってから、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグ
ラフィー等の分析機器や酵素法などの分析方法で当該培
養液の基質濃度や代謝産物濃度等を測定し、その測定結
果に基づいて培養のプロセス監視及び制御等を行ってい
た。
【0004】しかしながら、このような方法は、前記の
如く、培養液を採取し、更に、予め、濾過処理、除蛋白
処理、希釈処理等の前処理を施すことが必要であり、更
に、各種分析機器で当該培養液中の特定の物質濃度等を
逐次測定することが必要とされるなど、かなりの労力と
時間のかかる方法であることから、物質生産、細胞増殖
などのプロセスの監視及び制御等を時宜を得て簡便、か
つ迅速に行うことが困難であるという問題点を有してお
り、従って、当業界においては、前記のような培養液中
の物質濃度等を測定し、培養のプロセス監視及び制御等
を実施する従来の方法に代わる新しい培養の管理技術を
開発することが強く要請されている状況にあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況を踏ま
え、本発明者らは、前記の如き従来技術の問題点を確実
に解決し得ると共に、前記のような培養液中の物質濃度
等の指標に代わる新しい指標を採用し、正確で、簡便、
かつ迅速に培養のプロセスの監視及び制御等の培養の管
理を実施することが可能な全く新しい培養管理方法を開
発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、培
養工程における培養液の浸透圧の値を指標とすることに
より所期の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、従来、微生物、及び
動物、植物などの細胞の培養の管理方法において必須の
手段として必要とされていた培養液の物質濃度等を測定
する手段を採用することなく、当該微生物等の培養によ
る物質生産、細胞増殖などのプロセスの監視及び制御を
正確、かつ迅速に実施することが可能な新しい培養管理
方法を提供することを目的とするものである。
【0007】また、本発明は、従来の培養管理方法で必
要とされていた培養液の物質濃度等を測定するために不
可欠の各種前処理操作を必要としない簡便な培養管理方
法を提供することを目的とするものである。
【0008】更に、本発明は、培養工程における培養液
の浸透圧を測定するだけで、正確で、簡便、かつ迅速に
培養による物質生産、細胞増殖などのプロセスの監視及
び制御等を行うことが可能な新しい培養管理方法を提供
することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
る本発明は、以下の(1)〜(2)の技術的手段から構
成されるものである。 (1)微生物(細胞を含む)の培養の管理方法におい
て、培養工程における培養液の浸透圧の値を指標にし
て、培養を管理することを特徴とする微生物(細胞を含
む)の培養管理方法。
【0010】(2)上記(1)記載の培養管理方法にお
いて、予め、培養工程における培養液の浸透圧の値と、
培養液の基質濃度、代謝産物濃度、または微生物(細胞
を含む)濃度の少なくとも1種の値との相関関係を求
め、これを指標にして、培養を管理することを特徴とす
る微生物(細胞を含む)の培養管理方法。微生物(細胞
を含む)の培養の管理方法において、培養液の浸透圧の
値を指標とすることを特徴とする微生物(細胞を含む)
の培養管理方法。
【0011】次に、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明の微生物(細胞を含む)の培養管理方法は、
前記の如く、乳酸発酵、アルコール発酵、アミノ酸発酵
などに代表される食品分野、また、抗生物質発酵生産、
生理活性物質発酵生産などに代表される医薬品分野、動
物細胞、植物細胞の大量増殖等に代表される農業分野、
及びその他の分野における微生物、及び動物、植物など
の細胞の培養における物質生産、細胞増殖などのプロセ
スの監視及び制御などに適用されるものであり、その微
生物、細胞の種類、及び発酵方法、培養方法等の種類に
限定されることなく利用することが可能である。また、
本発明でいうところの微生物(細胞を含む)とは、微生
物、及び動物、植物などの細胞を意味するものであり、
その種類及び形態を問わず適宜の微生物、及び動物、植
物の細胞をも含むものとして定義されるものである。
【0012】更に、本発明でいうところの培養液とは、
前記微生物、及び動物、植物などの細胞を一定の液体培
地により培養し、物質生産、細胞増殖などを実施する培
養プロセスにおける当該微生物、及び細胞の培養液を意
味するものであり、いわゆる通常の培養液であれば如何
なるものであってもよく、その種類、組成等に限定され
るものではない。
【0013】次に、本発明においては、培養工程におけ
る培養液の浸透圧を測定することが必要とされるが、当
該浸透圧を測定する方法は、例えば、氷点降下法等を利
用した浸透圧計、望ましくは連続測定可能なオンライン
浸透圧計にて、培養タンク中の培養液の浸透圧を計測す
ればよく、その具体的方法は、適宜の手段でよく、特に
限定されるものではない。
【0014】本発明者らの研究したところによれば、こ
れまでの研究過程の中で、培養工程の適宜の段階におけ
る培養液の浸透圧の値は、従来の培養管理方法において
指標とされていた基質濃度、代謝産物濃度、又は微生物
(細胞を含む)濃度等のいわゆる培養液中の物質濃度と
一定の相関関係があること、そして当該浸透圧の値を培
養管理の指標として利用し得ることが新しい知見として
見い出され、その結果、微生物、及び細胞の培養におい
て、培養工程における培養液の浸透圧を測定することに
より、当該浸透圧の値を指標として、あるいは予め求め
た関係式により、当該浸透圧の値から基質濃度、代謝産
物濃度、あるいは細胞濃度を算出し、それを指標とし
て、培養の状態を監視することができることが明らかと
なった。
【0015】即ち、浸透圧計、望ましくは連続測定可能
なオンライン浸透圧計にて、培養工程における培養液の
浸透圧を計測することにより、従来のような培養液中の
物質濃度等を直接測定する方法よりも簡便、かつ迅速に
培養液の状態を知ることができることが明らかとなっ
た。
【0016】この場合、例えば、上記関係式は、予め、
培養工程における培養液の浸透圧の測定値と、当該培養
液の基質濃度、代謝産物濃度、又は微生物、及び細胞濃
度の少なくとも1種の数値との相関関係を求めることに
より作成することが可能であり、これを指標として培養
の状態を監視することができる。更に、この場合、例え
ば、連続式培養設備における連続培養方法の希釈率、流
加培養方法による新鮮培地の流加速度の制御等の如く、
培養プロセスにおける任意の操作変数の制御に、上記浸
透圧の値あるいはそれから算出される他の状態変数を利
用することも適宜可能である。
【0017】培養液の浸透圧の値と対比される当該培養
液中の物質濃度等の具体的内容は、使用する微生物、及
び細胞の種類、産生される物質の種類、培養液の種類、
培養条件、培養形態等によって個別的に設定すればよい
が、その好適な例を幾つか例示すると、例えば、本発明
者らの研究によれば、酵母のアルコール発酵によるエタ
ノール生産の培養プロセスにおける培養管理の場合、培
養液の浸透圧と当該培養液中の残存グルコース濃度、エ
タノール濃度、及び菌体濃度の関係に一定の相関関係が
あることが見い出され、従って、予め、当該各因子の間
の関係式を求めておけば、培養プロセスの適宜の時期に
おいて培養液の浸透圧を測定するだけで、当該浸透圧の
値を指標として、培養液の培養状態を正確で、簡便、か
つ迅速に培養の管理を行うことができることが判った。
【0018】また、例えば、乳酸菌の乳酸発酵の培養プ
ロセスにおける培養管理の場合、本発明者らの研究によ
れば、培養液の浸透圧と、培養液の乳酸濃度、菌体増
殖、及び残存グルコース濃度との間には、一定の条件の
もとに、一定の比例関係があることが見い出され、従っ
て、予め、当該各因子の間の関係式を求めておけば、培
養プロセスの適宜の時期において培養液の浸透圧を測定
するだけで、当該浸透圧の値を指標として、培養液の培
養状態を正確で、簡便、かつ迅速に管理することができ
ることが判った。
【0019】また、例えば、連続式新鮮培地供給培養設
備におけるクロレラの流加培養方法による培養プロセス
における培養管理の場合、本発明者らの研究によれば、
培養液の浸透圧と、培養液中に残存するグルコース濃度
との間に高い相関性があることが見い出され、従って、
予め、両者の関係式を求めておけば、培養プロセスの適
宜の時期において培養液の浸透圧を測定するだけで、当
該浸透圧の値を指標として、培養液の培養状態を正確
で、簡便、かつ迅速に管理することができ、これによ
り、菌体増殖に同調させてグルコースを流加することが
可能となり、流加培養方式による培養状態の制御を簡
便、かつ迅速に行うことができることが判った。
【0020】このように、本発明によれば、前記した如
く、それぞれ、酵母、乳酸菌、クロレラ等の微生物の培
養プロセスにおける当該微生物の培養管理を、当該培養
液中の浸透圧を測定するだけで、正確で、簡便、かつ迅
速に行うことができるが、かかる結果は、他の微生物、
動物細胞、植物細胞の場合においても同様に得られるこ
とが、本発明者らの総合的、かつ系統的な実験結果から
明らかとなっており、従って、本発明は、これらの微生
物に限らず、当該微生物の場合と同様に、他の微生物、
及び動物、植物等の細胞の場合にも、同様にして適用し
得るものである。
【0021】
【作用】本発明は、前記の如く、微生物(細胞を含む)
の培養の培養プロセスの適宜の時期において測定される
培養液の浸透圧の値は、従来の培養の管理方法の指標と
して使用されている基質濃度、代謝産物濃度、細胞濃度
等の物質濃度の値、更には、細胞の代謝、及び増殖速度
等の値、との間に、一定の条件において、一定の相関関
係を有するという事実を前提として開発されたものであ
り、本発明においては、培養工程における培養液の浸透
圧の値が培養管理の指標として用いられる。従って、本
発明によれば、培養プロセスにおける培養液の浸透圧の
値から、培養液中の基質濃度、代謝産物濃度、細胞濃
度、更に、細胞の代謝及び増殖速度、その他の培養状態
を、正確で、簡便、かつ迅速に監視することが可能であ
り、更には、それらの値に基づいて菌体増殖等に同調さ
せた培養温度の調整や培地の流加、連続培養における希
釈率の最適化の決定等の培養状態に応じた各種の操作変
数の制御等を簡便に実施することができる。
【0022】
【実施例】続いて、本発明の実施例を示して本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は、当該実施例に限定さ
れるものではない。 実施例1 酵母サッカロマイセス・セレビシエによるエタノール発
酵の培養管理 培養液の浸透圧値から残存グルコース濃度、エタノール
濃度、菌体濃度(OD660)を求めて監視することを目的
に、微生物としてSaccharomyces cerevisiae IFD10217
を使用し、これを改変YM培地(酵母エキス0.3%、麦
芽エキス0.3%、ペプトン0.5%、グルコース4.
5%)で、30℃の条件下に、静置培養した。エタノー
ル及びグルコース濃度は、酵素法で測定し、また浸透圧
は、氷点降下法により測定し、273°Kに換算した。
その結果を図1に示す。図1から明らかなように、浸透
圧は、菌体増殖とエタノール濃度に対しては、正の比例
関係を示し、また残存グルコース濃度に対しては、見か
け上、負の比例関係があった。
【0023】グルコース以外の栄養源の消費、及びエタ
ノール以外の代謝産物による浸透圧変化は、グルコース
やエタノールの影響に比べると小さく、またグルコース
あるいはエタノールとパラレルに経時変化することが判
ったので、各々の検討は行わなかった。浸透圧と、残存
グルコース濃度、エタノール濃度、及び菌体濃度の関係
を第2図に示す。残存グルコース濃度(g/l)をGr、エ
タノール濃度(g/l)をE、菌体濃度(OD660) をX、また
浸透圧(0sm/kg)をπとすると、培養中に変化する0.3
0〜0.53 0sm/kg の浸透圧の範囲において、最小二
乗法により以下の(1)〜(3)の関係式を得た。
【0024】 Gr=-185.9 × π + 102.0 (r=-0.996) (1) E = 105.2 × π - 31.3 (r=0.972) (2) X = 24.4 × π - 7.4 (r=0.982) (3)
【0025】この場合は、培養液の浸透圧の経時変化
は、残存グルコース濃度、アルコールの濃度、及び菌体
濃度のいずれとも高い相関関係を示し、培養中の培養液
の浸透圧を測定することで、培養工程の状態が把握でき
ることが判った。従って、酵母によるエタノール発酵の
培養工程における培養液の浸透圧を測定することによ
り、目的とする基質濃度、代謝産物濃度及び細胞濃度の
経時変化を監視できることが明らかとなった。
【0026】実施例2 乳酸菌ラクトバチルス・カゼイによる乳酸発酵の培養管
理 pHの影響を受ける酸の解離率も考慮し、乳酸菌の培養
中の浸透圧による培養監視を検討した。Rogosa培地(J.
Inf. Dis., 110, 258-267, 1962)で、Lactobacillus ca
sei を37℃の条件下で静置培養した。グルコース濃度、
乳酸濃度、菌体濃度(OD660) 、浸透圧、pHの培養経時
変化を図3に示した。浸透圧は、273°Kに換算して
示した。図3から明らかなように、浸透圧は、菌体増殖
と乳酸濃度に対しては正の比例関係を示し、また残存グ
ルコース濃度に対しては、見かけ上、負の比例関係があ
った。
【0027】浸透圧をπatm (atm) 、溶質の質量モル濃
度をC(mole/kg) 、溶液と純溶媒の熱平衡時の絶対温度
をT(°K)、気体定数(0.082 kg・atm・°K-1・mol
e-1)をRとすると、濃度Cがあまり大きくならない範囲
では、以下の(4)のVan'tHoffの式 πatm =RTC (4) が成り立つ。
【0028】従って、浸透圧と温度を測定することによ
り、上記(4)式より、溶質の濃度を算出することがで
きる。ホモ乳酸菌培養において浸透圧変化に関与する主
因子としては、グルコースを主とする栄養源の減少と逆
に増加して行く乳酸がある。更に、乳酸は、培養経時的
に低下する培養液のpHの影響により解離率が小さくな
る。従って、上記実施例1のように、実験値に基づく最
小二乗法による近似式で、各状態変数を浸透圧から算出
することも可能だが、解離率を考慮した理論式を用いた
方がより正確となる。
【0029】そこで、電解質の解離率が50%のときの
pHをpKaとすると、以下の(5)のHenderson-Hass
elbalchの式 pH=pKa + log〔解離濃度〕/〔非解離濃度〕 (5) を変形することにより、解離率(%)は、以下の(6)の式、 解離率={10[pH-pKa]/(10[pH-pKa]+1)}× 100 (6) として求めることができる。
【0030】浸透圧変化に影響を与えるグルコース以外
の窒素源や微量成分等の栄養源の経時変化を各々に測定
することは不可能であり、行っていない。しかしなが
ら、これらは、菌体濃度と比例関係にあり、菌体濃度と
ある定数kとの積として表せる。以上のことから、浸透
圧(0sm/kg)をπ、培養開始時の浸透圧(0sm/kg)をπi
消費グルコース濃度(g/l)をG、菌体濃度(OD660) を
X、生成乳酸濃度(g/l)をLとすると、浸透圧値は、
(6)式により以下の式で得られる。 π=−G/180 + k ・ X + L/90・{10[pH-pKa]/(10[pH-pKa]+1)+1}+ πi (7)
【0031】乳酸のpKaは3.86、また浸透圧の実
測値と計算値が一致するような定数kを求めると、−
0.0057が得られ、これらを上式に代入すると、 π=-G/180−0.0057・X+L/90・{10[pH-3.86]/(10[pH-3.86]+1)+1}+πi (8) が得られた。
【0032】消費グルコースに対する乳酸収率L/G
(g−乳酸/g−グルコース)及び菌体収率X/G(OD
660/g-グルコース)は、実験値より、それぞれ、 L/G=0.85 (9) X/G=0.51 (10) であるから、上記(8)〜(10)の式の連立方程式
を、消費グルコース濃度、乳酸濃度、菌体濃度について
解くと、浸透圧とpHをパラメータとする以下の(1
1)〜(13)の関係式が得られた。
【0033】 G=(π-πi )/[0.0094・{10[pH-3.86]/(10[pH-3.86]+1)+1}-0.0085] (11) L=(π-πi )/[0.0111・{10[pH-3.86]/(10[pH-3.86]+1)+1}-0.0099] (12) X=(π-πi )/[0.0185・{10[pH-3.86]/(10[pH-3.86]+1)+1}-0.0160] (13)
【0034】π1 =365mOsm/kg の条件で、この式よ
り算出される各状態変数数値を実線で、実測値をドット
で図4にプロットした。計算値と実測値とはよく一致し
ており、浸透圧とpHを測定することにより、目的とす
る基質濃度、代謝産物濃度、細胞濃度の経時変化を監視
できることが明らかとなった。即ち、この場合は、培養
液の浸透圧の経時変化は、残存グルコース濃度、乳酸濃
度、及び菌体濃度のいずれとも正又は負の高い相関関係
を示し、乳酸菌による乳酸菌発酵の培養中の培養液の浸
透圧を測定することで、培養工程の状態が把握できるこ
とが判った。
【0035】Rogosa培地の代わりにミルクを用いた培養
において、菌体量としてOD660 の代わりに生菌数を測定
したところ同様な結果が得られ、発酵乳製造プロセスの
監視にも活用できた。
【0036】実施例3 クロレラ、クロレラ・レギュラリスの流加培養工程にお
ける培養管理 発酵槽によるクロレラの暗培養において、基質であるグ
ルコースによる増殖阻害を受けるので、培養液の浸透圧
値から基質量を制御する流加培養を検討した。Chlorell
a regularis をグルコースと尿素を主成分とする培地に
て、35℃の条件下で、通気攪拌培養を行った(Agr. Bio
l. Chem., 38, 1, 9-18, 1974)。上述の実施例1と同様
に、グルコースと連動して変化する他の基質等も含め
て、グルコースを代表状態変数として、クロレラ培養時
のグルコース濃度Gr(g/l)と273 °Kに換算したときの
浸透圧π(0sm/kg)の関係を検討した。その結果、高い
相関性(図5)があることを見出し、最小二乗法により
以下の関係式を得た。 Gr = 101.6 × π − 4.8 (r=0.995) (14)
【0037】この関係式を利用し、培養液中に残存する
グルコースの濃度を浸透圧値から算出し、グルコース濃
度を3%以下に制御する流加培養を検討した。グルコー
スが枯渇する直前の5g/l のときの浸透圧は88m0sm/kg
、30g/l の時は338m0sm/kgであるので、培養の制御液
として、浸透圧88m0sm/kg になった時点でグルコースを
含む流加培地の添加を始め、338m0sm/kgになるまで添加
を続け、ふたたび浸透圧88m0sm/kg になったところで培
地の流加を行った。この方法を繰り返して培養を続けた
結果を図6に示した。
【0038】クロレラ濃度は、パックドセルボリューム
(PCV ml/l)で表した。浸透圧値に基づく培養系内
でのグルコース濃度の計算値と実測値はよく一致し、グ
ルコースは、枯渇することなく3%以下に制御され、菌
体増殖に同調させて指数的に流加できた。浸透圧値に基
づく流加培養制御は、簡便、かつ迅速で優れた方法であ
ることが判った。
【0039】クロレラの場合は、基質としてのグルコー
スが培養工程中に消費されるが、培養初期に添加できる
グルコース濃度は制限があるので、培養途中で適宜追加
する必要がある。また、浸透圧とグルコース濃度に高い
相関があることが判ったので、クロレラの培養管理を、
浸透圧の測定で行うことができることが判った。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、微生物
(細胞を含む)の培養の管理方法において、培養工程に
おける培養液の浸透圧の値を指標とすることを特徴とす
る微生物(細胞を含む)の培養管理方法に関するもので
あり、本発明によれば、微生物(細胞を含む)の培養に
よる物質生産、細胞増殖などのプロセスにおける培養状
態の監視及び制御等を簡便、かつ迅速に行うことができ
る。
【0041】また、本発明によれば、予め、培養工程に
おける培養液の浸透圧の値と、培養液の基質濃度、代謝
産物濃度、又は微生物(細胞を含む)濃度の少なくとも
1種の値との相関関係を求め、これを指標にして、微生
物(細胞を含む)の培養のプロセス監視、及び制御等を
正確で、簡便、かつ迅速に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酵母の培養プロセスにおける各状態変数の経時
変化を示す。
【図2】酵母の培養プロセスにおける浸透圧と各状態変
数の関係を示す。
【図3】乳酸菌の培養プロセスにおける各状態変数の経
時変化を示す。
【図4】各状態変数の計算値と実測値の経時変化を示
す。
【図5】クロレラの培養プロセスにおける浸透圧とグル
コース濃度との関係を示す。
【図6】浸透圧値から算出したグルコース濃度を指標と
した流加培養における各状態変数の経時変化を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物(細胞を含む)の培養の管理方法
    において、培養工程における培養液の浸透圧の値を指標
    にして、培養を管理することを特徴とする微生物(細胞
    を含む)の培養管理方法。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載の培養管理方法におい
    て、予め、培養工程における培養液の浸透圧の値と、培
    養液の基質濃度、代謝産物濃度、または微生物(細胞を
    含む)濃度の少なくとも1種の値との相関関係を求め、
    これを指標にして、培養を管理することを特徴とする微
    生物(細胞を含む)の培養管理方法。
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