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JPH07166285A - 焼付硬化型Al合金板及びその製造方法 - Google Patents

焼付硬化型Al合金板及びその製造方法

Info

Publication number
JPH07166285A
JPH07166285A JP15168194A JP15168194A JPH07166285A JP H07166285 A JPH07166285 A JP H07166285A JP 15168194 A JP15168194 A JP 15168194A JP 15168194 A JP15168194 A JP 15168194A JP H07166285 A JPH07166285 A JP H07166285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
temperature
alloy
content
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15168194A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Sakurai
健夫 櫻井
Akinori Yoshizawa
成則 吉澤
Hiroshi Iwamura
宏 岩村
Shojiro Oya
正二郎 大家
Osamu Takezoe
修 竹添
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Original Assignee
Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinko Alcoa Yuso Kizai KK filed Critical Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Priority to JP15168194A priority Critical patent/JPH07166285A/ja
Publication of JPH07166285A publication Critical patent/JPH07166285A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 成形加工性に優れ、又は成形加工性に優れて
いると共に、常温時効性が抑制された焼付硬化型Al合
金板。 【構成】 重量%で、Mg:0.1〜1.0、Si:
0.5〜2.0の範囲において、MgSiを構成する
Mgに対しSi過剰の配合であって、MgとSiがMg
Si量として0.35〜1.5で含み、且つ、残留す
るSi量が0.35〜1.2で含有し、更にCu:0.
5〜2.0及びMn:0.05〜0.50を含有し、残
部がAl及び不可避的不純物からなり、板材の組織が結
晶粒径で35μm以下で、且つ板の表面及び断面の組織
が等軸粒である、焼付硬化型Al合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形加工性に優れ、又
は成形加工性に優れていると共に、常温時効性が抑制さ
れた焼付硬化型Al合金板及びその製造方法に関し、更
に詳述すると、自動車用、家電用及び機械部品用等パネ
ル材に用いられるAl合金板材で、プレス又は曲げ等の
加工時の成形加工性が優れ、これらの製造工程にある焼
付塗装(ベーキング)等の短時間加熱処理において強度
が向上する焼付硬化型Al合金板及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用、家電用、機械部品用等
の軽量化を目的に主として使用されているAl合金板
は、プレス又は曲げ等の成形加工が行われ、加工後の塗
装工程において塗装膜に強度を与えるために加熱処理
(焼付塗装、ベーキング)が行われている。その際の加
熱温度を利用してAl合金板の強度を向上させる方法が
行われている。
【0003】かかるAl合金板としては、プレス等の成
形加工時には強度を低くし、成形が容易であり、一方、
成形加工後は焼付塗装の加熱処理により強度が著しく向
上する材料であることが理想とされ、主としてAl−M
g−Si系アルミニウム合金が使用されている。このよ
うにAl合金については、特開平1−111851号が
提案されている。
【0004】しかし、従来、この種の用途に使用される
Al−Mg−Si系アルミニウム合金及びその製造方法
においては、成形性又は形状凍結性の重視により、T4
状態での強度が極めて低く、更には焼付硬化後に強度が
向上したとしても十分な強度が得られず、軽度な外力を
加えただけで変形してしまうという問題があった。
【0005】一方、自動車用部品においては、自動車の
低燃費規制により、更に軽量化が促進する傾向にある。
これにより、Al合金板の薄肉化が要求されるが、従来
のAl合金板及びその製造方法では、T4状態での素材
強度を低くし成形性を向上させると上記問題が生じ、又
は薄肉化のため素材強度を高くすると成形性が著しく劣
る等の問題があった。
【0006】更に、最近の焼付塗装の焼付条件は、省エ
ネルギ化及び生産性向上のため、加えて樹脂などの高温
に処理できない部品が増える等、部品の多様化が進み、
塗料が進歩したこと等により低温化してきている。例え
ば、自動車用部品に用いられるAl合金の焼付温度は、
従来は約200℃であったが、近年、150〜170℃
の低温で処理されるようになっている。しかし、従来、
Al−Mg−Si系アルミニウム合金板及びその製造方
法において、このような低温・短時間処理によって焼付
硬化性を向上させるための製造方法が提案されている
が、この処理法を行うと、殆どの合金において成形加工
性が著しく低下するという欠点があった。そこで、この
低温焼付塗装処理に対応すべく、特開昭62−8985
2号が提案されている。
【0007】しかし、これらの提案では、室温に放置す
ると、強度の増加とそれに伴う加工後のスプリングバッ
ク量の増加と成形性の劣化が著しい。このため、製造
後、数カ月放置すると、プレス加工が困難になり、製造
直後のプレス加工条件では、加工形状が得られなかった
り、成形不可能となるという問題がある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、軽量化に伴う薄肉化に対応した素材強度の
高強度化と、低温・短時間の焼付塗装の焼付条件におい
て十分な焼付硬化性と共に優れた成形加工性とが得ら
れ、更に常温時効性が抑制された成形加工性が優れた焼
付硬化型Al−Mg−Si−Cu−Mn系Al合金板及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る焼付硬化型
Al合金板は、Mg:0.2〜1.0%、Si:0.5
〜2.0%の範囲において、Mg2Siを構成するMg
に対しSi過剰の配合であって、MgとSiがMg2
i量として0.35〜1.5%で含み、且つ、残留する
Si量が0.35〜1.2%で含有し、更にCu:0.
5〜2.0%及びMn:0.05〜0.50%を含有
し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、板材の組
織が結晶粒径で35μm以下で、且つ板の表面及び断面
の組織が等軸粒であることを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る他の焼付硬化型Al合
金板は、Mg:0.3〜1.0%、Si:0.5〜1.
4%の範囲において、Mg2Siを構成するMgに対し
Si過剰の配合であって、MgとSiがMg2Si量と
して0.9〜1.1%で含み、且つ、残留するSi量が
0.6〜1.2%で含有し、更にCu:0.5〜1.0
%及びMn:0.05〜0.50%を含有し、残部がA
l及び不可避的不純物からなり、板材の組織が結晶粒径
で35μm以下で、且つ板の表面及び断面の組織が等軸
粒であることを特徴とする。
【0011】これらの焼付硬化型Al合金板は、更に、
Zr:0.3%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.
1%以下及びFe:0.3%以下からなる群から選択さ
れた1種又は2種以上を含有してもよい。
【0012】そして、本発明に係る焼付硬化型Al合金
板の製造方法は、前記いずれかの化学成分を有するAl
合金鋳塊にバーニング温度以下の温度で均質化処理する
工程と、熱間圧延する工程と、加熱速度300℃/分以
上で450〜520℃の温度に0〜10秒保持し、且
つ、冷却速度300℃/分以上で冷却する焼鈍処理する
工程と、所望の板厚に冷間圧延する工程と、溶体化処理
する工程と、300℃/分以上の冷却速度で50〜12
0℃の温度に焼入れし、5分以内に、50〜120℃の
温度に1〜48時間保持する工程とを有することを特徴
とする。
【0013】また、前記50〜120℃の温度に1〜4
8時間保持する工程の後工程として、焼付塗装(ベーキ
ング処理)を温度150〜200℃で5〜120分保持
の条件で行い、時効析出物β´−Mg2Siをマトリッ
クスの全体の体積含有率で10〜45%の範囲で析出さ
せる工程を設けても良い。
【0014】
【作用】本願発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究
を重ねた結果、従来のAl−Mg−Si系合金の強化機
構は以下のような時効硬化機構に基づくものであること
が判明した。S.S.(固溶体)→G.P.ゾーン(T
4状態)→β′−Mg2Si(焼付塗装後)。
【0015】即ち、素材強度を高強度化する機構は、こ
の時効析出物によるものであり、低温・短時間の焼付塗
装処理において焼付硬化性を増加させる製造法では、素
材がT4状態での強度が高いため、成形性は著しく低下
する。よって、Mg及びSi量が適正でないと、強度と
成形性との関係が双方ともに良好な値をとることが難し
い。従って、高強度化の主たる機構を時効析出物β′−
Mg2Siに依存する機構とするのは望ましくないこと
が判明した。
【0016】一方、6009及び6010で知られるA
l−Mg−Si系合金は、Cuを添加した合金であり、
時効析出物θ′−CuAl2を析出させて強度を増加さ
せるものである。更に、CuはAl−Mg−Si系合金
の時効析出物β′−Mg2Siの密度を上げて緻密に
し、ベークハード性を向上させたり、更に変形機構を均
一変形にする効果がある。従って、高強度化の主たる機
構を時効析出物β′−Mg2Siに依存する機構とする
のが望ましいことが判明した。
【0017】更に、Mnを主添加元素とすることで、再
結晶を抑制し、結晶粒を35μm以下にすることで、高
い成形性が得られることを見い出した。
【0018】また、常温時効性に関しては、前述のとお
り、従来のAl−Mg−Si系合金では、低温で高いベ
ークハード性を得るための手法で製造すると、室温での
経時変化が著しく、室温に数カ月放置すると、強度の増
加と、それに伴うスプリングバック量の増加及び成形性
の著しい劣化が起こる。これは、低温でベークハードさ
せるために、溶体化焼入れ処理後の焼入れ処理で、マト
リックス中に、析出の核を生成させ、低温・短時間処理
においてこの析出の核が成長し、時効析出物となり、強
度を増加させる機構を利用している。これにより、この
析出物が温度に敏感に反応し、常温でも成長し、強度の
増加と、それに伴うスプリングバック量の増加及び成形
性低下の原因となることが判明した。
【0019】この問題に対しては、Cuの添加と、Mg
2Si量を一定範囲に規制することでT4状態での常温
時効性を抑制できることを見い出した。
【0020】本発明はこのような知見に基づき、更にそ
の含有成分及び製造条件について詳細に研究を重ねた結
果、完成したものである。
【0021】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。先ず、本発明における成分添加理由及び組成限定理
由について説明する。Mg Mgは、それ自体の固溶体強化と、Siと共同して強度
を付与する元素で、時効析出物β´−Mg2Siを析出
し、この量はMgの添加量に依存する。しかし、0.2
%未満では十分な強度(以下、強度とは、素材及び17
0℃の焼付塗装後の耐力をいう)が得られず、また、
1.0%を超えて添加すると鋳造時に平衡相Mg2Si
が晶出物として成長し、伸びの低下が見られることによ
り成形性が著しく低下する。よって、Mg含有量は0.
2〜1.0%の範囲とする。
【0022】Si SiはMgと共同し主として時効析出物β´−Mg2
iの析出による析出硬化で強度に付与する元素で、この
量は添加量に依存する。しかし、0.5%未満では十分
な強度が得られず、また、2.0%を超えると平衡相M
2Siが晶出し、伸びを大きく低下させ、成形性の劣
化が生ずる。よって、Si含有量は0.5〜2.0%の
範囲とする。
【0023】但し、MgとSiとの関係については、M
gに対し、Si過剰の配合であって、MgとSiがMg
2Si量として0.35〜1.5で含み、且つ、残留す
るSi量が0.35〜1.2%で含有する必要がある。
【0024】即ち、強度及び成形性はMg、Siの添加
量に依存し、強度及び焼付塗装において強度上昇に寄与
するのがこれらによって造られるβ´−Mg2Siによ
るものである。しかし、Mg2Si量が0.35%未満
では強度が非常に低く、焼付硬化性も殆どなく、また、
1.5%を超えると伸びが低下し、成形性が著しく低下
する。よって、Mg、Si量はMg2Siとして0.3
5〜1.5%の範囲とする。 更に、SiはMgに対し
過剰に添加するとMg2Siとして造られずに残ったS
iが残Siとして存在し、これは成形性を上昇させる効
果がある。しかもこの残SiがT4状態で固溶している
と、固溶体硬化により強度は上昇する。しかし、残Si
が0.35%未満では強度は十分得られず、また、1.
2%を超えると強度が増加し、成形性は劣化する。従っ
て、残Si量は0.35〜1.2%の範囲とする。この
ようなMg2Si量と残Siの量を考慮して、Mg及び
Si量を適正に配合する。
【0025】Mn MnはCuと同様に第二相析出物としてMnAl6が析
出し、溶体化処理を十分に行い固溶させて強度を上昇さ
せることができ、しかも、合金組織の再結晶を抑制して
結晶粒を微細化する効果がある。そのため、成形向上に
付与する元素である。しかし、0.05%未満では、結
晶粒微細化効果が現れず、しかも第二相析出物MnAl
6の析出が顕著でないため、成形加工性の向上が認めら
れない。また、0.50%を超えて含有すると粗大な晶
出物を生成し、成形性を低下させる。よって、Mnの含
有量は0.05〜0.50%の範囲とする。この範囲で
Mnを添加することにより、溶体化処理を十分に行い素
材強度を上げても、結晶粒が35μm以下となるため、
成形性の劣化は認められない。
【0026】Cu Cuは時効析出物θ´−CuAl2により強度を付与す
る元素である。本発明では、強度の増加はβ´−Mg2
Si(焼付塗装後)によるものだけでなく、Cu添加に
よりこの時効析出物β´が緻密で微細になることによ
り、強度の向上と共に低温焼付での焼付硬化性を向上さ
せる。しかし、Cuが0.5%未満では低温焼付時に十
分な強度が得られず、また、2.0%を超えると、θ´
−CuAl2の析出が増大し、且つ、このθ´−CuA
2の析出物は室温で成長するため、経時変化により強
度が上がり、それに伴い、伸びと成形性が低下する。よ
って、Cu含有量は0.5〜2.0%の範囲とする。こ
の範囲でCuを添加すると、上述のようにβ´−Mg2
Si(焼付塗装後)を緻密で微細にし、強度向上の効果
があると共に、Al−Mg−Si系合金の変形機構を均
一変形させるため、成形性を向上させる効果がある。
【0027】本発明では、上述の成分調整により、薄肉
化に対応する素材強度の高強度化、低温短時間の焼付塗
装での十分な焼付硬化性と共に優れた成形性が得られる
が、更に、常温時効性を抑制するには、以下の成分組成
とすることが好ましい。
【0028】即ち、Mg:0.3〜1.0%、Si:
0.5〜1.4%の範囲において、Mg2Siを構成す
るMgに対しSi過剰の配合であって、MgとSiがM
2Si量として0.9〜1.1%で含み、且つ残留す
るSi量が0.6〜1.2%で含有し、更にCu:0.
5〜1.0%及びMn:0.05〜0.50%を含有
し、必要に応じて更に、Zr:0.3%以下、Cr:
0.3%以下、Ti:0.1%以下、Fe:0.3%以
下のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び
不純物からなる組成である。その理由は以下のとおりで
ある。
【0029】前述のように、Cuは時効析出物θ´−C
uAl2により強度を付与する元素である。しかし、本
発明では、強度の増加はほぼβ´−Mg2Siによるも
ので、Cuの添加効果は、この時効析出物を緻密で微細
にすることにより、強度の向上並びに低温焼付で焼付硬
化性を向上させるものである。更に、Cuの添加は、常
温時効性を抑制する効果がある。後述の実施例に示すよ
うに強度及び成形性共にCuの添加範囲が0.5〜1.
0%で、常温時効性が急激に抑制されていることが判明
した。しかし、0.5%未満では強度の増加及び常温時
効性を抑制する効果が認められず、また、1.0%を超
えるとθ´−CuAl2の析出が増大し、且つこのθ´
−CuAl2の析出物は伸びと成形性を低下させ、更に
耐食性が劣化する。よって、Cu含有量は0.5〜1.
0%の範囲とする。
【0030】更に、常温時効による強度の増加とそれに
伴う成形性の劣化を抑制するために、Mgの下限を0.
3%、Siの上限を1.4%とすると共に、Mg2Si
量を0.9〜1.1%、残留するSi量を0.6〜1.
2%とする。
【0031】なお、本発明におけるAl−Mg−Si−
Cu−Mn系合金は、上述のMg、Si、Cu及びMn
を必須成分とすれば、その効果は十分得られるが、他の
元素を本発明の効果を損なわない限度で必要に応じて添
加し、又は不純物として許容できる。特に、Zr:0.
3%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、
Fe:0.3%以下のうちの1種又は2種以上を含有さ
せると、成形性が向上する。
【0032】ここで、Crは金属間化合物を形成し、微
細化した化合物は、再結晶を抑制し、結晶粒を微細化
し、成形性向上に効果を与えるが、0.3%を超えて添
加すると、粗大な金属間化合物として成長し、伸びの著
しい低下と成形性の急激な劣化の原因となる。従って、
Crの添加量は0.3%以下が望ましい。
【0033】Zrは、Crと同様に金属間化合物を形成
し、微細化した化合物は、再結晶を抑制し、結晶粒を微
細化し、成形性向上に効果を与えるが、0.3%を超え
て添加すると、粗大な金属間化合物として成長し、伸び
の著しい低下と成形性の急激な劣化の原因となる。従っ
て、Crの添加量は0.3%以下が望ましい。
【0034】Tiは鋳塊の結晶粒を微細にし、且つ成形
性を向上させる元素であるが、0.1%を超えて含有す
ると、粗大な晶出物を生成し、成形性を低下させる。よ
って、Tiの含有量は0.1%以下が望ましい。
【0035】Feは強度向上効果は小さいが、0.3%
を超えると晶出物の生成が著しく、粗大化の原因ともな
り、更に結晶粒を粗大化させる。これらは、成形性を著
しく低下させることになる。よって、Fe含有量は0.
3%以下が望ましい。
【0036】次に、本発明の製造条件について説明す
る。
【0037】上記Al−Mg−Si−Cu−Mn系アル
ミニウム合金は、常法により、溶解→鋳造→均質化熱処
理→熱間圧延を行い、熱間圧延後、組織制御のため焼鈍
処理を行う。
【0038】但し、本発明では、この焼鈍を行うことに
より、合金中の析出物を微細で、且つ、均一分散させ、
再結晶を抑制することによって、冷間圧延→溶体化処理
後の結晶粒組織を微細にする効果があり、結晶粒の微細
化により成形性の増加を得るための処理である。しか
し、その加熱及び冷却速度が300℃/分未満では、焼
鈍時に時効析出物であるMg2Siが粗大析出し、冷延
後T4処理してもこの析出物は溶けることがないため低
温・短時間ベーキングでのベークハード性が低減する。
よって、この焼鈍時の加熱・冷却速度は300℃/分以
上とする。また、そのときの加熱温度は、450℃未満
では、結晶粒の微細化効果が無く、成形性は向上しな
い。更に、520℃を超えると、溶体化処理温度に近づ
き固溶体強化が起き、強度が上がるため、その後の冷間
圧延で耳割れ等を起こす原因となる。よって、熱間圧延
後の焼鈍温度は、450〜520℃の範囲とする。な
お、保持時間は10秒以下で十分である。
【0039】その後、冷間圧延を行って所望の板厚とし
た後、溶体化処理を施す。冷間圧延→溶体化処理の工程
の条件は特に制限されない。
【0040】溶体化処理後は、従来は常温まで水冷又は
空冷により焼入れが行われていたが、本発明では、焼入
れ→保持の新規プロセスを採用し、以下に示すように、
焼入温度、焼入時の冷却速度並びに焼入温度での保持時
間をコントロールするものである。
【0041】焼入温度(即ち、焼入終了温度)が50℃
未満では、150℃程度の非常に低い温度での焼付塗装
で焼付硬化性が殆どなく、更に常温に放置する時間の経
過と共に消失する。一方、焼入温度が120℃を超える
と、Mg2Siの析出により、T4処理での強度が上が
りすぎて、成形性が劣化し並びに焼付硬化性が認められ
ない。従って、焼入温度の範囲は50〜120℃とす
る。
【0042】この焼入温度(50〜120℃)に焼入れ
るときの冷却速度は、300℃/分未満では焼入後の強
度が低くなり、且つ、低温(150℃)での焼付硬化性
が認められなくなる。従って、冷却速度は300℃/分
以上とする。
【0043】次に、焼入温度での保持時間については、
50℃という低温焼入れの場合、短時間保持では目的と
する低温での焼付硬化性の向上は認められず、また、1
20℃で長時間保持すると平衡相Mg2Siが析出し、
T4処理での強度が上がりすぎて、焼付硬化性は認めら
れなくなる。また、焼付温度が50℃未満の時、48時
間を超えて長時間保持すると、低温焼付硬化性は消失
し、また120℃を超える温度で1時間未満の短時間保
持を行ってもMg2Siが既に析出しているため、焼付
硬化性は認められない。従って、焼入条件としては、焼
入温度は50〜120℃、保持時間は1〜48時間とす
る。更に、この焼入温度での保持工程は、焼入れ後5分
以上経過した後に行うと、低温時の焼付硬化性が著しく
低下するため、5分以内に行うこととする。
【0044】更に、本発明のAl合金板材の組織につい
て説明する。
【0045】結晶粒径は、成形性、SSマーク、肌荒れ
性、曲げ加工性等を左右する重要なファクターである。
成形性、特に張出性は結晶粒径が小さいと向上し、肌荒
れ性、曲げ加工性についても、結晶粒径が小さい程良好
となる。SSマークについては、Al−Mg系合金等に
見られるような結晶粒の微細による劣化は、本発明合金
系であるAl−Mg−Si系合金では殆ど認められず、
結晶粒径は、微細化してもSSマークは発生しない。従
って、結晶粒径は35μmより大きいと、特に成形性及
び肌荒れ性を著しく低下させるため、35μm以下とす
る。
【0046】また、板の表面及び断面の組織が等軸粒で
あるので、成形に対する方向性が殆どなく、局部的な変
形を伴わず、均一変形機構を有しながら変形するため、
張出や絞り等の成形を向上させる効果がある。製造条件
のうち特に、熱間圧延後の焼鈍処理(加熱速度300℃
/分以上で450〜520℃の温度に0〜10秒保持)
を行うことにより、この等軸粒が得られ、この処理が本
発明範囲外であると等軸粒を得るのが困難である。
【0047】合金内部組織については、Cu添加による
効果と高温焼入処理による効果によって、150〜20
0℃×5〜120分のベーキング処理後の時効析出物
β′−Mg2Siの析出はマトリックス全体の体積含有
率で10〜45%が得られる。ベーキング処理後の時効
析出物の体積含有率が10%未満では十分な強度を得る
ことができず、45%を超えると過時効となり強度を低
下させる。
【0048】素材の持つ変形機構については、6000
系合金においては、局部変形タイプであり、全体の変形
は5000系合金に比して小さいため成形性が悪い。し
かし、5000系合金は均一変形タイプであるため、成
形がAl合金の種類中では比較的良好である。この点、
本発明合金は、基本組成となる6000系Al−Mg−
Si中にCuを添加することにより、6000系合金の
欠点を解消して5000系合金の利点を生かしたものと
なり、変形機構が均一変形になる。
【0049】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。第1実施例 下記表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金を常
法により溶解→鋳造し得られた50mm厚鋳塊に510
℃×4時間の均質化処理を施した後、480℃以下の温
度で板厚5mmまでの熱間圧延を行った。熱間圧延材を
室温まで放置した後、昇温速度40℃/時で450℃×
5秒の条件にて焼鈍処理を行い、その後、常温にて冷間
圧延を施し、板厚1mmとし、実験に供した。
【0050】この冷延材を530℃の溶体化処理温度に
加熱して20秒間保持し、次いで表2に焼入条件、即
ち、530℃から常温まで冷却する時の平均冷却速度を
50〜800℃/分の範囲で変化させて焼入温度に焼入
れし、その焼入温度のまま0.3〜72時間の範囲で保
持した後、常温まで冷却した。
【0051】得られた材料について、焼入れ後室温にて
5日間放置後の機械的性質を調べると共に、170℃×
20分のベーキング処理した時の機械的性質(焼付硬化
性)を調べた。それらの結果を表3に示す。
【0052】表3から明らかなように、本発明の実施例
は、表2の焼入条件で焼入れを行うことにより、低温
(170℃)でのベーキング処理で焼付硬化性が極めて
優れていることが分かる。更に、本発明の実施例は、表
2に示す焼入条件で処理しても、成形性が優れているこ
とがわかる。一方、本発明範囲以外の化学成分のAl合
金では、本発明範囲内の焼入条件を採用しても、焼付硬
化性は全く認められない。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】第2実施例 第1実施例の表1に示した合金No.3のAl合金(本発
明範囲内の化学成分)と、No.10のAl合金(本発明
範囲外の化学成分)を常法で溶解、鋳造し、得られた鋳
塊について、加熱速度40℃/時で510℃の温度に4
時間保持する均質化熱処理を施した後、熱間圧延を行
い、厚さ5mmの板とした。得られた熱間圧延材を表4
に示す条件で焼鈍処理し、その後冷間圧延を行って厚さ
1.0mmの板とした。
【0057】次いで、得られた板を加熱速度400℃/
分で530℃の温度に20秒間保持し、800℃/分の
冷却速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃の
温度に24時間保持し、実験に供した。得られた材料に
つき、強度、成形性、結晶粒の測定を行った。結晶粒
は、厚さ1.0mmの材料板をエメリー紙(320〜1
200番)により研磨した後、バフ(アルミナ粒径50
μm)により鏡面研磨し、フッ化水素酸により電解腐食
し、その後、光学顕微鏡にて組織観察をし、切片法によ
りその大きさを測定した。得られた素材の特性と結晶粒
径並びに焼付(170℃×20分)後の焼付硬化性を表
5に示す。また、合金No.3のAl合金について表4中
の焼鈍条件(iii)で焼鈍した材料と、合金No.10の合
金で表4中の焼鈍条件(iv)の材料との各結晶組織写真
を図1及び図2に示す。
【0058】表5及び図1、図2から明らかなように、
本発明例は熱間圧延後に本発明条件で行い、冷間圧延す
ることで、20μm以下の結晶粒が得られ、比較例合金
について本発明範囲外の条件で焼鈍を施したものに比し
て、微細化していることがわかる。更に、本発明例は成
形性が優れ、焼付硬化性も向上している。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】第3実施例 第1実施例の表1に示した合金No.3のAl合金(本発
明範囲内の化学成分)と、合金No.10のAl合金(本
発明範囲外の化学成分)を常法で溶解し、鋳造し、得ら
れた鋳塊について、加熱速度40℃/時で510℃の温
度に4時間保持する均質化熱処理を施した後、熱間圧延
を行い、厚さ5mmの板とした。得られた熱間圧延材を
室温まで放置した後、昇温速度300℃/分で500℃
×5秒、その後の冷却速度300℃/分の条件にて焼鈍
処理を行い、その後、冷間圧延を行って、厚さ1.0m
mの板とした。
【0062】次いで、得られた板を加熱速度400℃/
分で530℃の温度に20秒間保持し、800℃/分の
冷却速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃の
温度に24時間保持し、実験に供した。この熱処理を施
した材料につき、JIS5号引張試験片に加工し、平行
部において、図3に示すように5mm間隔で50mmま
でゲージレングス(G.L.)を11ポイントけがき、
実験に供した。実験は、そのゲージレングスの初期状態
と引張試験後の状態を測定し、その差をとり、それを変
化量とした。その結果を図4に示す。本発明例は比較例
に比して均一変形機構を持ち、全伸びを大きくしている
ことが分かる。このため、本発明例の合金は成形性が良
好である。
【0063】第4実施例 第1実施例の表1に示した合金No.3のAl合金(本発
明範囲内の化学成分)及びNo.10のAl合金(比較合
金)を常法で溶解、鋳造し、得られた鋳塊について、加
熱速度40℃/時で510℃の温度に4時間保持する均
質化熱処理を施した後、熱間圧延を行い、厚さ5mmの
板とした。得られた熱間圧延材を室温まで放置した後、
昇温速度300℃/分で500℃×5秒、その後冷却速
度300℃/分の条件にて焼鈍処理を行い、その後、常
温にて冷間圧延を施し、板厚1mmとし、次いで得られ
た板を加熱速度400℃/分で530℃の温度に20秒
間保持し、800℃/分の冷却速度で50℃の温度に焼
入れし、そのまま50℃の温度に24時間保持し、実験
に供した。この熱処理を施した材料につき、ベーキング
処理を行った。ベーキング処理条件及びそのときの時効
析出物の体積含有率及び強度を表6に示す。更に、ベー
キング処理後の時効析出物の析出状態を透過型電子顕微
鏡にて観察した結果を図5に示す。
【0064】この結果より、本発明範囲内のベーキング
処理を行うことにより、時効析出物の体積含有率は26
〜42%で、強度は170〜230N/mm2と高いこ
とが分かる。
【0065】
【表6】
【0066】第5実施例 下記表7に示す化学成分を有するアルミニウム合金を常
法により溶解→鋳造し得られた50mm厚鋳塊に560
℃×4時間の均質化処理を施した後、即熱間圧延を行
い、板厚5mmとした。熱間圧延材を室温まで放置し、
昇温速度200℃/時で500℃×5秒の条件にて焼鈍
処理を行い、その後、常温にて冷間圧延を施し、板厚1
mmとした。この冷延材を530℃の溶体化処理温度に
加熱して30秒間保持し、次いで50℃の温湯焼入れ
し、2時間の保持を行い、T4材を製作した。その後、
室温放置7日間経過材と室温放置3カ月間経過材を製作
し、実験に供した。
【0067】強度の測定は、島津製オートグラフによる
引張試験を行い、耐力の常温時効による耐力の変化を求
め、(3カ月時σ0.2−7日時σ0.2)が15N/mm2
以下であるものを合格とした。
【0068】成形性は、エリクセン試験機を用い、JI
S−Z2247エリクセン試験B方法に従って評価し
た。3カ月経過材を用い、そのときのエリクセン値が
9.8mm以上の値を示したものをAl−Mg系合金と
同等の成形性とし、合格とした。
【0069】強度及び成形試験の結果を下記表8に示
す。表8から明らかなように、本発明例の実施例21か
ら24の合金強度は、(3カ月時σ0.2−7日時σ0.2
が15N/mm2以下であり、且つ、成形性の指標であ
るエリクセン値が9.8mm以上と、常温放置しても成
形性が劣化せず、優れていることが分かる。
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】第6実施例 第5実施例の表7に示した合金No.21のAl合金
(本発明範囲内の化学成分)と合金No.25のAl合
金(本発明範囲外の化学成分)を常法で溶解、鋳造し、
得られた鋳塊について560℃×4時間の均質化処理を
施した後、即熱間圧延を行い、板厚2.5mmとした。
No.21合金は、熱間圧延材を室温まで放置し、昇温
速度200℃/時で500℃×5秒の条件にて焼鈍処理
を行い、その後、常温にて冷間圧延を施し、板厚1mm
とした。No.25合金については、比較のため、焼鈍
処理を行わず、熱間圧延後、常温で冷間圧延し、板厚1
mmとした。これらの冷延材を530℃の溶体化処理温
度に加熱して30分間保持し、次いで50℃の温湯焼入
れし、2時間の保持を行い、T4材を製作した。
【0073】得られた材料につき成形性、結晶粒の測定
を行った。成形性はエリクセン試験機を用い、JIS−
2247エリクセン試験B法に従って評価した。結晶粒
径は厚さ1mmの材料板をエメリー紙(320〜120
0番)、バフ(アルミナ粒径50μm)により鏡面研磨
し、ふっ化水素酸による電解腐食を行い、その後、光学
顕微鏡にて組織観察し、写真撮影後、切片法による結晶
粒の大きさを測定した。
【0074】下記表9はNo.21材(本発明例)及び
No.25材(比較例)のエリクセン高さと結晶粒径を
示し、図6、図7に夫々No.21材、No.25材の
結晶組織写真を示す。表9及び図6、図7より明かなよ
うに、No.21材(本発明例)は、結晶粒が25μm
以下の結晶粒が得られ、且つ、エリクセン値が10.0
mmと非常に高く、No.25材(比較例)より、結晶
粒が微細化され、成形性が優れていることがわかる。
【0075】
【表9】
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
Al−Mg−Si−Cu−Mn系合金板のMg、Siの
含有量を調整し、最適なMg2Si量及び残Si量に
し、更に強度及び成形性を向上させる効果のあるCu及
びMnを添加し、結晶粒径が35μm以下であるので、
素材強度が高く、しかも低温での焼付塗装においても十
分な焼付硬化性が得られると共に成形加工性を優れたも
のとすることができる。これは従来材と異なり、Cu添
加により時効析出物β′−Mg2Si(焼付塗装後)を
緻密で微細にすることで強度増加並びに低温での焼付塗
装で優れた焼付硬化性が得られるものであり、更にはC
u添加により変形機構を均一変形させることで低温での
焼付塗装でも成形性向上が発揮されるものである。従っ
て、Al合金板の薄肉化が可能となり、更には成形加工
性が良好なため、自動車、家電製品、機械部品の軽量化
に寄与し、利用頻度が向上する効果は極めて顕著であ
る。
【0077】また、更に限定された成分調整をすること
により、常温時効による強度の増加とそれに伴う成形性
の劣化を抑制し、3カ月経過しても、製造時とほぼ変わ
らぬ性能を維持するAl合金板材として、経時によるプ
レス加工時の条件を変えることがないため、自動車、家
電製品、機械部品の軽量化に寄与し、工業的に使用頻度
を一層向上させることが可能となり、その効果は極めて
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2実施例で得られた材料の金属組織を示す写
真で、本発明例の場合である。
【図2】第2実施例で得られた材料の金属組織を示す写
真で、比較例である。
【図3】変形機構測定用の試験片の形状を示す図であ
る。
【図4】変形機構(全伸びの状態)を示す図である。
【図5】第4実施例で得られたベーキング処理後の材料
の金属組織を示す写真で、(a)は本発明例(170℃
×20分ベーキング)、(b)は比較例(120℃×1
0分ベーキング)、(c)は比較例(200℃×120
分ベーキング)である。
【図6】第6実施例で得られたT4材の金属組織を示す
写真で、本発明例の場合である。
【図7】第6実施例で得られたT4材の金属組織を示す
写真で、比較例の場合である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大家 正二郎 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 竹添 修 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、Mg:0.2
    〜1.0%、Si:0.5〜2.0%の範囲において、
    Mg2Siを構成するMgに対しSi過剰の配合であっ
    て、MgとSiがMg2Si量として0.35〜1.5
    %で含み、且つ、残留するSi量が0.35〜1.2%
    で含有し、更にCu:0.5〜2.0%及びMn:0.
    05〜0.50%を含有し、残部がAl及び不可避的不
    純物からなり、板材の組織が結晶粒径で35μm以下
    で、且つ板の表面及び断面の組織が等軸粒であることを
    特徴とする焼付硬化型Al合金板。
  2. 【請求項2】 Mg:0.3〜1.0%、Si:0.5
    〜1.4%の範囲において、Mg2Siを構成するMg
    に対しSi過剰の配合であって、MgとSiがMg2
    i量として0.9〜1.1%で含み、且つ、残留するS
    i量が0.6〜1.2%で含有し、更にCu:0.5〜
    1.0%及びMn:0.05〜0.50%を含有し、残
    部がAl及び不可避的不純物からなり、板材の組織が結
    晶粒径で35μm以下で、且つ板の表面及び断面の組織
    が等軸粒であることを特徴とする焼付硬化型Al合金
    板。
  3. 【請求項3】 Mg:0.2〜1.0%、Si:0.5
    〜2.0%範囲において、Mg2Siを構成するMgに
    対しSi過剰の配合であって、MgとSiがMg2Si
    量として0.35〜1.5%で含み、且つ、残留するS
    i量が0.35〜1.2%で含有し、更にCu:0.5
    〜2.0%及びMn:0.05〜0.50%を含有し、
    更に、Zr:0.3%以下、Cr:0.3%以下、T
    i:0.1%以下及びFe:0.3%以下からなる群か
    ら選択された1種又は2種以上を含有し、残部がAl及
    び不可避的不純物からなり、板材の組織が結晶粒径で3
    5μm以下で、且つ板の表面及び断面の組織が等軸粒で
    あることを特徴とする焼付硬化型Al合金板。
  4. 【請求項4】 Mg:0.3〜1.0%、Si:0.5
    〜1.4%の範囲において、Mg2Siを構成するMg
    に対しSi過剰の配合であって、MgとSiがMg2
    i量として0.9〜1.1%で含み、且つ、残留するS
    i量が0.6〜1.2%で含有し、更にCu:0.5〜
    1.0%及びMn:0.05〜0.50%を含有し、更
    に、Zr:0.3%以下、Cr:0.3%以下、Ti:
    0.1%以下及びFe:0.3%以下からなる群から選
    択された1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不
    可避的不純物からなり、板材の組織が結晶粒径で35μ
    m以下で、且つ板の表面及び断面の組織が等軸粒である
    ことを特徴とする焼付硬化型Al合金板。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    化学成分を有するAl合金鋳塊にバーニング温度以下の
    温度で均質化処理する工程と、熱間圧延する工程と、加
    熱速度300℃/分以上で450〜520℃の温度に0
    〜10秒保持し、且つ、冷却速度300℃/分以上で冷
    却する焼鈍処理する工程と、所望の板厚に冷間圧延する
    工程と、溶体化処理する工程と、300℃/分以上の冷
    却速度で50〜120℃の温度に焼入れし、5分以内
    に、50〜120℃の温度に1〜48時間保持する工程
    とを有することを特徴とする焼付硬化型Al合金板の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記50〜120℃の温度に1〜48時
    間保持する工程の後工程として、焼付塗装(ベーキング
    処理)を温度150〜200℃で5〜120分保持の条
    件で行い、時効析出物β´−Mg2Siをマトリックス
    の全体の体積含有率で10〜45%の範囲で析出させる
    工程を有することを特徴とする請求項5に記載の焼付硬
    化型Al合金板の製造方法。
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