JPH0714784A - サブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法 - Google Patents
サブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法Info
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- JPH0714784A JPH0714784A JP15567193A JP15567193A JPH0714784A JP H0714784 A JPH0714784 A JP H0714784A JP 15567193 A JP15567193 A JP 15567193A JP 15567193 A JP15567193 A JP 15567193A JP H0714784 A JPH0714784 A JP H0714784A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 基板上に原料分子の少なくとも一部を吸着さ
せる第一工程と、吸着しなかった残留分子を排気する第
二工程と、表面励起の手段により基板表面に吸着した分
子または原子のうちの不要な分子または原子を基板表面
から離脱させ、同時にまたは引き続いて、基板表面の温
度を所望の吸着原子が移動できる温度に高めて熱励起し
て表面原子を移動させ、表面を平坦化する第三の工程と
が包含される複数の工程を1サイクルとし、各サイクル
毎に一原子層以下の層数を形成する。 【効果】 一原子層以下のサブ原子層単位で任意の層数
の結晶薄膜を成長させることができる。
せる第一工程と、吸着しなかった残留分子を排気する第
二工程と、表面励起の手段により基板表面に吸着した分
子または原子のうちの不要な分子または原子を基板表面
から離脱させ、同時にまたは引き続いて、基板表面の温
度を所望の吸着原子が移動できる温度に高めて熱励起し
て表面原子を移動させ、表面を平坦化する第三の工程と
が包含される複数の工程を1サイクルとし、各サイクル
毎に一原子層以下の層数を形成する。 【効果】 一原子層以下のサブ原子層単位で任意の層数
の結晶薄膜を成長させることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、一原子層以下のサブ
原子層単位で任意の層数の結晶薄膜を成長させることの
できる新しい結晶薄膜の製造法に関するものである。
原子層単位で任意の層数の結晶薄膜を成長させることの
できる新しい結晶薄膜の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年の電子素子、特に半導体
素子の開発においては、性能の向上と新しい機能の発現
を求めて、超格子素子または量子井戸素子などの原子層
単位で組性や原子種を制御した素子の開発が注目されて
おり、様々なアプローチによってそのための方策が検討
されている。このような素子を実現するためには、原子
層単位で結晶成長を制御する必要があるが、このような
成長制御を可能とする方法として、Suntraにより提案さ
れた原子層エピタキシー(ALE:Atomic Layer Epita
xy)法が知られている。この方法では、原理的に一原子
層単位で任意の層数を成長できるので、原子スケールで
結晶成長する方法としては理想的な方法として着目さ
れ、この方法に関連する技術の開発が盛んである。そし
て、近年、このALE法は III−V族半導体などの二元
化合物半導体の成長法として応用されている。具体的に
は、二元化合物半導体の二種の原子の一方をそれぞれ含
む二種の分子を用い、それぞれの分子を交互に基板に照
射する。二種の原子間結合力は同種間よりも異種間で強
く、照射される分子は下地に吸着している異種の分子と
反応しやすく、下地に吸着した同種の分子とは反応し難
い。このため、一方の原料分子を照射したときは、その
同種の分子またはその分解種が一層吸着して飽和する。
原料分子に含まれる不要分子は前記の吸着過程で離脱す
る。このような飽和吸着は自己停止機能と呼ばれる。こ
の機能によって、一原子層単位で結晶を成長することが
できる。従って、このALE法は二種以上の原子で構成
された化合物半導体の作製法に適している。
素子の開発においては、性能の向上と新しい機能の発現
を求めて、超格子素子または量子井戸素子などの原子層
単位で組性や原子種を制御した素子の開発が注目されて
おり、様々なアプローチによってそのための方策が検討
されている。このような素子を実現するためには、原子
層単位で結晶成長を制御する必要があるが、このような
成長制御を可能とする方法として、Suntraにより提案さ
れた原子層エピタキシー(ALE:Atomic Layer Epita
xy)法が知られている。この方法では、原理的に一原子
層単位で任意の層数を成長できるので、原子スケールで
結晶成長する方法としては理想的な方法として着目さ
れ、この方法に関連する技術の開発が盛んである。そし
て、近年、このALE法は III−V族半導体などの二元
化合物半導体の成長法として応用されている。具体的に
は、二元化合物半導体の二種の原子の一方をそれぞれ含
む二種の分子を用い、それぞれの分子を交互に基板に照
射する。二種の原子間結合力は同種間よりも異種間で強
く、照射される分子は下地に吸着している異種の分子と
反応しやすく、下地に吸着した同種の分子とは反応し難
い。このため、一方の原料分子を照射したときは、その
同種の分子またはその分解種が一層吸着して飽和する。
原料分子に含まれる不要分子は前記の吸着過程で離脱す
る。このような飽和吸着は自己停止機能と呼ばれる。こ
の機能によって、一原子層単位で結晶を成長することが
できる。従って、このALE法は二種以上の原子で構成
された化合物半導体の作製法に適している。
【0003】一方、近年、Si/GeなどのIV族系半導
体が、ヘテロ接合バイポーラトランジスタや変調ドープ
電界効果トランジスタなどの高速トランジスタや、歪超
格子光素子への応用が期待され、原子層単位の結晶成長
が必要とされてきている。しかしながら、単元素の材料
では化合物半導体のALE法に見られる交互吸着の原理
が使えないため、単分子層を得る一般原理はなく、単分
子層の飽和吸着量を得るのは難しい。このため、単元素
材料のALE法では、原料分子を照射する吸着過程で、
原料分子またはその分解種が単分子層の吸着量で飽和す
ることを期待するしかない。もちろん、その後、飽和吸
着した単分子層に含まれる不要な分子は、加熱による熱
励起、または光照射による光励起で離脱させるか、他の
反応分子をさらに照射してその分子と一緒に離脱する方
法が採用される。これによって、不要分子が離脱した後
は所望の原子が一層成長したことになる。従って、単元
素材料のALE法の一般的手順は、(1)原料分子の照
射、(2)不要分子の除去、というサイクルを繰り返し
て、各サイクル毎に理想的には単原子層成長させること
になる。そしてこれまで、IV族半導体のALE法に関す
る研究として、Ge(C2 H5 )2 H2 、Ge(C
H3 )2 H2 を用いたGeのALE法に関する研究やS
iH2 Cl2 を用いたSiのALE法に関する研究が進
められてきており、その過程において、飽和吸着量がお
よそ単分子層であるという自己停止機能の発現が報告さ
れている。すなわち、これらの原料分子を用いた研究で
はおよそ単原子層を単位としたALE成長が実現されて
いる。しかしながら、この方法ではCやClの不純物が
微量に残留すると言う問題があり、このような原料分子
は結晶の純度の点で問題が残る。
体が、ヘテロ接合バイポーラトランジスタや変調ドープ
電界効果トランジスタなどの高速トランジスタや、歪超
格子光素子への応用が期待され、原子層単位の結晶成長
が必要とされてきている。しかしながら、単元素の材料
では化合物半導体のALE法に見られる交互吸着の原理
が使えないため、単分子層を得る一般原理はなく、単分
子層の飽和吸着量を得るのは難しい。このため、単元素
材料のALE法では、原料分子を照射する吸着過程で、
原料分子またはその分解種が単分子層の吸着量で飽和す
ることを期待するしかない。もちろん、その後、飽和吸
着した単分子層に含まれる不要な分子は、加熱による熱
励起、または光照射による光励起で離脱させるか、他の
反応分子をさらに照射してその分子と一緒に離脱する方
法が採用される。これによって、不要分子が離脱した後
は所望の原子が一層成長したことになる。従って、単元
素材料のALE法の一般的手順は、(1)原料分子の照
射、(2)不要分子の除去、というサイクルを繰り返し
て、各サイクル毎に理想的には単原子層成長させること
になる。そしてこれまで、IV族半導体のALE法に関す
る研究として、Ge(C2 H5 )2 H2 、Ge(C
H3 )2 H2 を用いたGeのALE法に関する研究やS
iH2 Cl2 を用いたSiのALE法に関する研究が進
められてきており、その過程において、飽和吸着量がお
よそ単分子層であるという自己停止機能の発現が報告さ
れている。すなわち、これらの原料分子を用いた研究で
はおよそ単原子層を単位としたALE成長が実現されて
いる。しかしながら、この方法ではCやClの不純物が
微量に残留すると言う問題があり、このような原料分子
は結晶の純度の点で問題が残る。
【0004】そこで、この発明の発明者は、このような
不純物の問題のない水素化合物分子に初めて着目し、原
子レベルの解析の結果、Si2 H6 が、SiのALEの
原料分子として適用できる可能性があることJ. Vac. Sc
i. Technol. B7, 1171(1989)で発表した。そ
の後、Si2 H6 を含め数多く水素化合物分子を用いた
ALEの研究が行われているが、吸着量が飽和するもの
の、その飽和吸着量が単分子層未満であることが問題と
なっている。また、最近、GeH4 を用いた研究が報告
され、およそ単分子で飽和吸着することが示された。し
かしながら、その成長条件範囲が狭いなどの問題が残っ
ている。このように、水素化合物分子を用いた場合は、
その多くが飽和吸着現象を示すが、その飽和吸着量が単
分子層未満であるため、原子を平坦に積んでいくことが
難しく、このため、不純物原子を含まないという利点が
あるにも拘わらず、ALE法の確立が困難になってい
る。
不純物の問題のない水素化合物分子に初めて着目し、原
子レベルの解析の結果、Si2 H6 が、SiのALEの
原料分子として適用できる可能性があることJ. Vac. Sc
i. Technol. B7, 1171(1989)で発表した。そ
の後、Si2 H6 を含め数多く水素化合物分子を用いた
ALEの研究が行われているが、吸着量が飽和するもの
の、その飽和吸着量が単分子層未満であることが問題と
なっている。また、最近、GeH4 を用いた研究が報告
され、およそ単分子で飽和吸着することが示された。し
かしながら、その成長条件範囲が狭いなどの問題が残っ
ている。このように、水素化合物分子を用いた場合は、
その多くが飽和吸着現象を示すが、その飽和吸着量が単
分子層未満であるため、原子を平坦に積んでいくことが
難しく、このため、不純物原子を含まないという利点が
あるにも拘わらず、ALE法の確立が困難になってい
る。
【0005】この発明は、以上の通りの従来技術の状況
に鑑みてなされたものであって、飽和吸着量が単分子層
未満であってもその量(サブ原子層)を成長単位とし
て、ディジタル成長することのできる、新しいサブ原子
層単位で制御した結晶薄膜の製造方法を提供することを
目的としている。
に鑑みてなされたものであって、飽和吸着量が単分子層
未満であってもその量(サブ原子層)を成長単位とし
て、ディジタル成長することのできる、新しいサブ原子
層単位で制御した結晶薄膜の製造方法を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、基板上に原料分子の少くとも一
部を吸着させる第一工程と、吸着しなかった残留分子を
排気する第二工程と、表面励起の手段により基板表面に
吸着した分子または原子のうちの不要な分子または原子
を基板表面から離脱させ、同時にまたは引き続いて、基
板表面の温度を所望の吸着原子が移動できる温度に高め
て熱励起して表面原子を移動させ、表面を平坦化する第
三の工程とが包含される複数の工程を1サイクルとし、
各サイクル毎に一原子層以下の層数を形成することを特
徴とするサブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法を
提供する。
を解決するものとして、基板上に原料分子の少くとも一
部を吸着させる第一工程と、吸着しなかった残留分子を
排気する第二工程と、表面励起の手段により基板表面に
吸着した分子または原子のうちの不要な分子または原子
を基板表面から離脱させ、同時にまたは引き続いて、基
板表面の温度を所望の吸着原子が移動できる温度に高め
て熱励起して表面原子を移動させ、表面を平坦化する第
三の工程とが包含される複数の工程を1サイクルとし、
各サイクル毎に一原子層以下の層数を形成することを特
徴とするサブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法を
提供する。
【0007】
【作用】すなわち、この発明に係わる結晶薄膜の製造法
について詳しく説明すると、上記の通り、まず(A)第
一工程としては、結晶薄膜を形成する基板上に原料分子
を一定量照射し、各原料分子の少なくとも一部を前記基
板上に吸着させる。(B)第二工程としては、吸着しな
かった残留分子を排気する。そして(C)第三工程とし
ては、たとえば熱励起などの表面励起の手段を用いて、
基板表面に吸着した分子または原子のうち、不要な分子
または原子を基板表面から離脱させ、かつ同時にまたは
引き続いて、基板表面の温度を所望の吸着原子が移動で
きる温度に高め、前記基板表面を一定時間、より好適に
は1msec以上の時間熱励起し、表面原子の移動によ
って表面を平坦化する。このような(A)(B)(C)
の三つの工程を包含する複数の工程を1サイクルとし、
各サイクル毎に一原子層以下の層数を形成する。
について詳しく説明すると、上記の通り、まず(A)第
一工程としては、結晶薄膜を形成する基板上に原料分子
を一定量照射し、各原料分子の少なくとも一部を前記基
板上に吸着させる。(B)第二工程としては、吸着しな
かった残留分子を排気する。そして(C)第三工程とし
ては、たとえば熱励起などの表面励起の手段を用いて、
基板表面に吸着した分子または原子のうち、不要な分子
または原子を基板表面から離脱させ、かつ同時にまたは
引き続いて、基板表面の温度を所望の吸着原子が移動で
きる温度に高め、前記基板表面を一定時間、より好適に
は1msec以上の時間熱励起し、表面原子の移動によ
って表面を平坦化する。このような(A)(B)(C)
の三つの工程を包含する複数の工程を1サイクルとし、
各サイクル毎に一原子層以下の層数を形成する。
【0008】この場合、(C)第三の工程では、必ず加
熱による熱励起が含まれることが重要である。この熱励
起によって表面原子を移動させるからである。たとえ
ば、飽和吸着量が0.5原子層である場合、完全に平坦
な表面に第一工程で吸着させると、0.5原子層分の原
料分子が吸着する。第三工程で熱励起すると、不要原子
が離脱し、かつ、吸着原子が移動して集まり広いテラス
ができる。テラスの量は0.5原子層分に相当し、ま
だ、0.5原子層分の埋まっていないサイトができる。
次の第二サイクルの第一工程では原料分子がテラスの上
か第一サイクルで埋まっていない0.5原子層分のサイ
トに吸着する。第二サイクルの第三工程では、主に第二
サイクルでばらばらに吸着している原子が移動し、テラ
ス上の原子はテラスの上を移動し、テラスの端から落ち
て埋まっていないサイトに吸着する。このようにして熱
励起による原子の移動で最表面が平坦化され、飽和吸着
量が0.5原子層である場合は、2サイクルで平坦化さ
れた1原子層が成長する。
熱による熱励起が含まれることが重要である。この熱励
起によって表面原子を移動させるからである。たとえ
ば、飽和吸着量が0.5原子層である場合、完全に平坦
な表面に第一工程で吸着させると、0.5原子層分の原
料分子が吸着する。第三工程で熱励起すると、不要原子
が離脱し、かつ、吸着原子が移動して集まり広いテラス
ができる。テラスの量は0.5原子層分に相当し、ま
だ、0.5原子層分の埋まっていないサイトができる。
次の第二サイクルの第一工程では原料分子がテラスの上
か第一サイクルで埋まっていない0.5原子層分のサイ
トに吸着する。第二サイクルの第三工程では、主に第二
サイクルでばらばらに吸着している原子が移動し、テラ
ス上の原子はテラスの上を移動し、テラスの端から落ち
て埋まっていないサイトに吸着する。このようにして熱
励起による原子の移動で最表面が平坦化され、飽和吸着
量が0.5原子層である場合は、2サイクルで平坦化さ
れた1原子層が成長する。
【0009】このように平坦化する機構は基板にSi
(100)面、原料分子にSi2 H6を用いた系でこの
発明の発明者によって実現された。反射型電子線回折に
より表面原子の周期を観察した結果、熱励起によって不
要原子である水素の離脱と同時に表面が平坦化できるこ
とを見いだした。具体的にはSi2 H6 の飽和吸着量は
およそ0.45原子層であり、およそ2サイクルで1原
子層が成長する。
(100)面、原料分子にSi2 H6を用いた系でこの
発明の発明者によって実現された。反射型電子線回折に
より表面原子の周期を観察した結果、熱励起によって不
要原子である水素の離脱と同時に表面が平坦化できるこ
とを見いだした。具体的にはSi2 H6 の飽和吸着量は
およそ0.45原子層であり、およそ2サイクルで1原
子層が成長する。
【0010】この発明では、このように表面の熱励起に
よって表面原子を泳動させることが重要であり、不要な
分子を光励起または電子線励起等で離脱させる場合は、
光照射または電子線照射等によって同時にまたは引き続
いて表面を加熱するか、第二の励起手段で同時にまたは
引き続いて表面を熱励起する必要がある。第一工程の飽
和吸着過程の表面温度は第三工程の表面温度よりも低い
温度で実施する。従って、吸着過程に適切な表面温度に
達してから第一工程を実施する場合は第四工程として表
面温度を制御する期間を設ける必要がある。熱励起で表
面原子を泳動させるためには表面近傍のみ励起されれば
よい。表面のみを効率的に励起するためには光や電子線
を表面に照射すればよい。特に、波長の短い光は吸収係
数が大きく、特に1μm以下の光は表面近傍で吸収さ
れ、表面近傍を加熱するのに適している。また、第三工
程で不要原子を離脱し、表面原子を泳動させるためには
適切な励起エネルギーを表面に与えて1msec以上の
時間励起を続けることが必要である。このためには、連
続発振できるレーザーなどを用い、照射時間を適切に調
整すればよい。光照射で加熱するには大きな光出力が必
要であり、この点でも、レーザーが適している。特にイ
オンレーザーは、大きな光出力を得ることが可能であ
り、連続発振で、かつ光波長も1μm以下であるため、
表面の熱励起に最適である。そしてまた、発明に拠れ
ば、飽和吸着量が単分子層未満でも、広い範囲の条件で
一定の飽和吸着量が得られれば、自己停止機能が同じ広
い範囲の条件で得られることになる。
よって表面原子を泳動させることが重要であり、不要な
分子を光励起または電子線励起等で離脱させる場合は、
光照射または電子線照射等によって同時にまたは引き続
いて表面を加熱するか、第二の励起手段で同時にまたは
引き続いて表面を熱励起する必要がある。第一工程の飽
和吸着過程の表面温度は第三工程の表面温度よりも低い
温度で実施する。従って、吸着過程に適切な表面温度に
達してから第一工程を実施する場合は第四工程として表
面温度を制御する期間を設ける必要がある。熱励起で表
面原子を泳動させるためには表面近傍のみ励起されれば
よい。表面のみを効率的に励起するためには光や電子線
を表面に照射すればよい。特に、波長の短い光は吸収係
数が大きく、特に1μm以下の光は表面近傍で吸収さ
れ、表面近傍を加熱するのに適している。また、第三工
程で不要原子を離脱し、表面原子を泳動させるためには
適切な励起エネルギーを表面に与えて1msec以上の
時間励起を続けることが必要である。このためには、連
続発振できるレーザーなどを用い、照射時間を適切に調
整すればよい。光照射で加熱するには大きな光出力が必
要であり、この点でも、レーザーが適している。特にイ
オンレーザーは、大きな光出力を得ることが可能であ
り、連続発振で、かつ光波長も1μm以下であるため、
表面の熱励起に最適である。そしてまた、発明に拠れ
ば、飽和吸着量が単分子層未満でも、広い範囲の条件で
一定の飽和吸着量が得られれば、自己停止機能が同じ広
い範囲の条件で得られることになる。
【0011】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明の方法について説明する。
明の方法について説明する。
【0012】
【実施例】添付した図面の図1は、この発明の製造法に
用いた装置例を示したものである。この装置において、
Si(100)面を表面に持つ試料(1)を真空容器
(2)の中央に取付ける。真空容器(2)は常に排気ポ
ンプ(3)で排気される。第二工程の表面励起には、A
r+ イオンレーザー(4)を用いた。出力光の主波長の
範囲は458〜515nmであり、この光を真空用の窓
(5)を通して試料(1)表面に照射する。原料分子に
はジシラン(Si2 H6 )を用いた。ボンベ(6)を出
たジシランは減圧弁(7)でその圧力が制御され、ノズ
ル(8)から試料表面に照射される。ジシランを照射す
るか照射しないかはon/offバルブ(9)で制御し
た。サブ原子層結晶成長の手順は、(1)原料分子の照
射10秒(第一工程)、(2)不要ガスの排気10秒
(第二工程)、(3)レーザー照射10秒(第三工
程)、(4)冷却10秒(第四工程)、である。ただ
し、第一工程の照射過程での表面温度が300℃になる
ように、ヒータ(10)で常時試料を加熱した。また、
第三工程では表面温度が700℃になるようにレーザー
を照射した。第三工程での表面温度の設定値の理由につ
いては後述する。図2のaに840サイクル繰り返した
ときの膜厚分布を示す。図2のbに、比較のため、レー
ザーと原料分子を連続照射して成長した膜の膜厚分布を
示す。どちらの分布もピークの膜厚で規格化している。
bの分布はレーザーのパワー密度の分布に比例してお
り、ガウス分布の形をしている。aの分布には平坦な部
分があり、一定の飽和吸着量に飽和したための自己停止
機能が働いているのがわかる。平坦な部分の成長速度は
0.45原子層/サイクルであった。
用いた装置例を示したものである。この装置において、
Si(100)面を表面に持つ試料(1)を真空容器
(2)の中央に取付ける。真空容器(2)は常に排気ポ
ンプ(3)で排気される。第二工程の表面励起には、A
r+ イオンレーザー(4)を用いた。出力光の主波長の
範囲は458〜515nmであり、この光を真空用の窓
(5)を通して試料(1)表面に照射する。原料分子に
はジシラン(Si2 H6 )を用いた。ボンベ(6)を出
たジシランは減圧弁(7)でその圧力が制御され、ノズ
ル(8)から試料表面に照射される。ジシランを照射す
るか照射しないかはon/offバルブ(9)で制御し
た。サブ原子層結晶成長の手順は、(1)原料分子の照
射10秒(第一工程)、(2)不要ガスの排気10秒
(第二工程)、(3)レーザー照射10秒(第三工
程)、(4)冷却10秒(第四工程)、である。ただ
し、第一工程の照射過程での表面温度が300℃になる
ように、ヒータ(10)で常時試料を加熱した。また、
第三工程では表面温度が700℃になるようにレーザー
を照射した。第三工程での表面温度の設定値の理由につ
いては後述する。図2のaに840サイクル繰り返した
ときの膜厚分布を示す。図2のbに、比較のため、レー
ザーと原料分子を連続照射して成長した膜の膜厚分布を
示す。どちらの分布もピークの膜厚で規格化している。
bの分布はレーザーのパワー密度の分布に比例してお
り、ガウス分布の形をしている。aの分布には平坦な部
分があり、一定の飽和吸着量に飽和したための自己停止
機能が働いているのがわかる。平坦な部分の成長速度は
0.45原子層/サイクルであった。
【0013】この実験に先だって、反射型高速電子線回
折と言う表面の周期構造を観察する方法でサブ原子層結
晶成長の過程を観察した。その結果、(1)飽和吸着面
を次第に高い温度で加熱していくと、700℃で水素が
離脱し、原子がテラス状に集合できるのがわかった。ま
た、(2)2サイクルでおよそ1原子層成長できるのが
わかった。この結果は、(ア)飽和吸着量がおよそ0.
5原子層であること、(イ)原子を表面泳動できるこ
と、(ウ)表面泳動の結果、飽和吸着量がおよそ0.5
原子層であっても、2サイクルで表面を平坦化できるこ
と、というこの発明の原理を具体的に示している。レー
ザーを用いたサブ原子層結晶成長の実験では、この発明
に基づいて、第三の工程での表面温度が700℃になる
ようにレーザーを照射した。この発明による実験結果で
も、1サイクルおよそ0.5原子層成長するという結果
が得られ、一定の飽和吸着量を840回繰り返したこと
がわかる。即ち、表面泳動による平坦化機能が働いたこ
とがわかる。
折と言う表面の周期構造を観察する方法でサブ原子層結
晶成長の過程を観察した。その結果、(1)飽和吸着面
を次第に高い温度で加熱していくと、700℃で水素が
離脱し、原子がテラス状に集合できるのがわかった。ま
た、(2)2サイクルでおよそ1原子層成長できるのが
わかった。この結果は、(ア)飽和吸着量がおよそ0.
5原子層であること、(イ)原子を表面泳動できるこ
と、(ウ)表面泳動の結果、飽和吸着量がおよそ0.5
原子層であっても、2サイクルで表面を平坦化できるこ
と、というこの発明の原理を具体的に示している。レー
ザーを用いたサブ原子層結晶成長の実験では、この発明
に基づいて、第三の工程での表面温度が700℃になる
ようにレーザーを照射した。この発明による実験結果で
も、1サイクルおよそ0.5原子層成長するという結果
が得られ、一定の飽和吸着量を840回繰り返したこと
がわかる。即ち、表面泳動による平坦化機能が働いたこ
とがわかる。
【0014】
【発明の効果】この発明では、飽和吸着量が単原子層の
分数次に相当する量である場合、すなわち、飽和吸着量
が1/n原子層に相当する場合、その逆数のnサイクル
で単原子層成長する。従って、単原子層単位で結晶成長
を制御できるばかりでなく、この場合は、分数次層を単
位とするディジタル成長ができる。一般に飽和吸着量が
サブ原子層であれば、サブ原子層を単位とするディジタ
ル成長ができる。たとえば、飽和吸着量が0.3原子層
に相当する場合、3サイクルで0.9原子層成長し、次
の6サイクルで1.8原子層成長する。この場合は、単
原子層単位で成長できないが、単原子層に近い量を単位
として結晶成長ができ、原子層スケール成長への応用が
可能となる。このように、従来、飽和吸着量が単原子層
未満であったために、平坦に原子を積層することが不可
能であった系に対しても、原子層スケール結晶成長への
道が開かれたことになる。また、同時に、発振波長が6
00nm以下のAr+ イオンレーザーを用いたとき、発
明の概要で述べたように、最適に表面の熱励起が行われ
るが、発振光のビーム半径を光学的に絞れるため、狭い
範囲を選択的に描画し、微細な選択成長が可能である。
このため、従来は非常に困難であった、図3のような構
造の新しい超格子素子の作製も可能となる。このように
本発明によって、原子層スケール結晶薄膜成長技術の適
用範囲が広がる。
分数次に相当する量である場合、すなわち、飽和吸着量
が1/n原子層に相当する場合、その逆数のnサイクル
で単原子層成長する。従って、単原子層単位で結晶成長
を制御できるばかりでなく、この場合は、分数次層を単
位とするディジタル成長ができる。一般に飽和吸着量が
サブ原子層であれば、サブ原子層を単位とするディジタ
ル成長ができる。たとえば、飽和吸着量が0.3原子層
に相当する場合、3サイクルで0.9原子層成長し、次
の6サイクルで1.8原子層成長する。この場合は、単
原子層単位で成長できないが、単原子層に近い量を単位
として結晶成長ができ、原子層スケール成長への応用が
可能となる。このように、従来、飽和吸着量が単原子層
未満であったために、平坦に原子を積層することが不可
能であった系に対しても、原子層スケール結晶成長への
道が開かれたことになる。また、同時に、発振波長が6
00nm以下のAr+ イオンレーザーを用いたとき、発
明の概要で述べたように、最適に表面の熱励起が行われ
るが、発振光のビーム半径を光学的に絞れるため、狭い
範囲を選択的に描画し、微細な選択成長が可能である。
このため、従来は非常に困難であった、図3のような構
造の新しい超格子素子の作製も可能となる。このように
本発明によって、原子層スケール結晶薄膜成長技術の適
用範囲が広がる。
【図1】実施例に使用した装置の構成例を示した概要図
である。
である。
【図2】実施例としての膜厚分布図である。
【図3】この発明による超格子素子を例示した斜視図で
ある。
ある。
1 試料 2 真空容器 3 排気ポンプ 4 Ar+ イオンレーザー 5 窓 6 ボンベ 7 減圧弁 8 バルブ 9 ノズル 10 ヒータ
Claims (6)
- 【請求項1】 基板上に原料分子の少なくとも一部を吸
着させる第一工程と、吸着しなかった残留分子を排気す
る第二工程と、表面励起の手段により基板表面に吸着し
た分子または原子のうちの不要な分子または原子を基板
表面から離脱させ、同時にまたは引き続いて、基板表面
の温度を所望の吸着原子が移動できる温度に高めて熱励
起して表面原子を移動させ、表面を平坦化する第三の工
程とが包含される複数の工程を1サイクルとし、各サイ
クル毎に一原子層以下の層数を形成することを特徴とす
るサブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法。 - 【請求項2】 基板温度を下げる第四の工程を加える請
求項1の結晶薄膜の製造法。 - 【請求項3】 励起手段として波長が1μm以下の光を
用いる請求項1または2の結晶薄膜の製造法。 - 【請求項4】 励起手段として連続出力するレーザーを
用いる請求項1または2の結晶薄膜の製造法。 - 【請求項5】 励起手段として電子線を用いる請求項1
または2の結晶薄膜の製造法。 - 【請求項6】 原料分子にシラン(SiH4 )、ジシラ
ン(Si2 H6 )、ゲルマン(GeH4 )を用いる請求
項1、2、3、4または5の結晶薄膜の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15567193A JPH0714784A (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | サブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15567193A JPH0714784A (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | サブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0714784A true JPH0714784A (ja) | 1995-01-17 |
Family
ID=15611044
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15567193A Pending JPH0714784A (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | サブ原子層単位で制御した結晶薄膜の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0714784A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19853598B4 (de) * | 1998-08-07 | 2013-04-18 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Dünnschichtherstellungsverfahren mit atomarer Schichtabscheidung |
-
1993
- 1993-06-25 JP JP15567193A patent/JPH0714784A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19853598B4 (de) * | 1998-08-07 | 2013-04-18 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Dünnschichtherstellungsverfahren mit atomarer Schichtabscheidung |
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