JPH07110427B2 - ジルコニウム系クラッド材の製造方法 - Google Patents
ジルコニウム系クラッド材の製造方法Info
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- JPH07110427B2 JPH07110427B2 JP61064621A JP6462186A JPH07110427B2 JP H07110427 B2 JPH07110427 B2 JP H07110427B2 JP 61064621 A JP61064621 A JP 61064621A JP 6462186 A JP6462186 A JP 6462186A JP H07110427 B2 JPH07110427 B2 JP H07110427B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、普通鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などの鋼ま
たはニッケル基合金を母材とし、純ジルコニウムまたは
ジルコニウム合金を合わせ材とするジルコニウム系クラ
ッド材の製造方法に関する。
たはニッケル基合金を母材とし、純ジルコニウムまたは
ジルコニウム合金を合わせ材とするジルコニウム系クラ
ッド材の製造方法に関する。
(従来の技術) 純ジルコニウムならびにジルカロイのようなジルコニウ
ム合金(以下、これを総称してジルコニウム系材料とい
う)は、耐食性にすぐれ、また熱中性子吸収断面積が極
めて小さいため、原子炉材料、特に軽水炉の燃料被覆用
に主に利用されてきた。また最近になって、ジルコニウ
ムの優れた耐食性に着目して、ジルコニウム系材料が比
較的高価であるにもかかわらず、電子工業、医療機械材
料などの他の用途への利用が検討され始めている。
ム合金(以下、これを総称してジルコニウム系材料とい
う)は、耐食性にすぐれ、また熱中性子吸収断面積が極
めて小さいため、原子炉材料、特に軽水炉の燃料被覆用
に主に利用されてきた。また最近になって、ジルコニウ
ムの優れた耐食性に着目して、ジルコニウム系材料が比
較的高価であるにもかかわらず、電子工業、医療機械材
料などの他の用途への利用が検討され始めている。
しかし、ジルコニウム系材料は普通鋼、さらには高耐食
性のステンレス鋼あるいはインコネル(インコ社の商品
名)などのニッケル基合金といった汎用材料との溶接が
困難なためその利用分野が著しく狭められている。
性のステンレス鋼あるいはインコネル(インコ社の商品
名)などのニッケル基合金といった汎用材料との溶接が
困難なためその利用分野が著しく狭められている。
ジルコニウム系材料と汎用材料との溶接が困難な理由と
しては、一般に異種金属の直接融接は接合面に非常に脆
弱な合金層を生じ、ZrとFeまたはZrとNiについても例外
ではないこと、さらにこれらの溶接に対する適当なろう
接材料がないことが挙げられる。
しては、一般に異種金属の直接融接は接合面に非常に脆
弱な合金層を生じ、ZrとFeまたはZrとNiについても例外
ではないこと、さらにこれらの溶接に対する適当なろう
接材料がないことが挙げられる。
一方、鉄とジルコニウムのような直接融接しにくい異種
金属を接合させるために開発された溶接技術の1つに拡
散溶接法がある。
金属を接合させるために開発された溶接技術の1つに拡
散溶接法がある。
ジルコニウム系材料に対する拡散溶接の例としては、鋼
を挿入材とするジルカロイ同士の同種材料の接合のほか
に、挿入材を介在させないジルカロイとオーステナイト
系ステンレス鋼(SUS302)との接合が知られている。し
かし、後者の異種材料の接合の例にあっては、ジルカロ
イとステンレス鋼とを直接密着させて、約1000℃以上の
温度に加熱するため、接合面でZr-Fe系の脆弱な合金層
の形成は避けられず、拡散溶接法によってもジルコニウ
ム系材料を鋼などの異種金属に十分な接合強度で溶接す
ることはできなかった。
を挿入材とするジルカロイ同士の同種材料の接合のほか
に、挿入材を介在させないジルカロイとオーステナイト
系ステンレス鋼(SUS302)との接合が知られている。し
かし、後者の異種材料の接合の例にあっては、ジルカロ
イとステンレス鋼とを直接密着させて、約1000℃以上の
温度に加熱するため、接合面でZr-Fe系の脆弱な合金層
の形成は避けられず、拡散溶接法によってもジルコニウ
ム系材料を鋼などの異種金属に十分な接合強度で溶接す
ることはできなかった。
異材継手は、このような直接接合が困難な異種材料の接
合に有効なものとして知られている。
合に有効なものとして知られている。
すなわち、鋼のような鉄系材料とジルコニウム系材料と
の異種材料間の溶接は、第1図に示すように、溶接すべ
き素材と同種の材料からなるクラッド材(すなわち、同
種の鋼とジルコニウム材料からなるクラッド材)があれ
ば、これを継手として図示のように同種材料が向かい合
うように両材料間に介在させてTIG溶接等の通常の溶接
を行うことにより、同種材料の溶接となって、接合面の
脆化を生ずることなく溶接することが可能となる。
の異種材料間の溶接は、第1図に示すように、溶接すべ
き素材と同種の材料からなるクラッド材(すなわち、同
種の鋼とジルコニウム材料からなるクラッド材)があれ
ば、これを継手として図示のように同種材料が向かい合
うように両材料間に介在させてTIG溶接等の通常の溶接
を行うことにより、同種材料の溶接となって、接合面の
脆化を生ずることなく溶接することが可能となる。
この異材継手として、あるいはその素材として、鋼また
はニッケル基合金を母材とし、ジルコニウム系材料を合
わせ材とするジルコニウム系クラッド材は、必要不可欠
なものであるが、鋼またはニッケル基合金とジルコニウ
ム系材料との接合は前述したとおり非常に難しい。した
がってそのクラッド材は製造が困難であり、たとえ製造
できたとしても多くの問題を有することになる。
はニッケル基合金を母材とし、ジルコニウム系材料を合
わせ材とするジルコニウム系クラッド材は、必要不可欠
なものであるが、鋼またはニッケル基合金とジルコニウ
ム系材料との接合は前述したとおり非常に難しい。した
がってそのクラッド材は製造が困難であり、たとえ製造
できたとしても多くの問題を有することになる。
(発明が解決しようとする問題点) ジルコニウムのような高融点の金属を合わせ材とするク
ラッド鋼板は、母材の鋼と合わせ材とを重ね合わせて熱
間圧延する圧延クラッド法か、または板に火薬を置き、
その爆発力を利用して接合する爆着クラッド法により製
造するのが最も一般的である。
ラッド鋼板は、母材の鋼と合わせ材とを重ね合わせて熱
間圧延する圧延クラッド法か、または板に火薬を置き、
その爆発力を利用して接合する爆着クラッド法により製
造するのが最も一般的である。
しかし、ジルコニウムまたはジルコニウム合金と普通
鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などの鋼とを重ねて熱間圧
延すると、前述したように異種金属の加熱になって、接
合部に脆弱な金属間化合物を含有する合金層を生成する
ため、十分な強度を持つ接合部を得ることは困難であ
る。また、ジルコニウムおよびジルコニウム合金はいず
れも酸素、窒素などの親和力が強いため、高温に加熱さ
れると大気を吸収して脆化する。これらの問題点がある
ため、ジルコニウム系材料を合わせ材とする圧延による
クラッド鋼板に十分な性能を持ち合わせたものはいまだ
に存在しない。
鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などの鋼とを重ねて熱間圧
延すると、前述したように異種金属の加熱になって、接
合部に脆弱な金属間化合物を含有する合金層を生成する
ため、十分な強度を持つ接合部を得ることは困難であ
る。また、ジルコニウムおよびジルコニウム合金はいず
れも酸素、窒素などの親和力が強いため、高温に加熱さ
れると大気を吸収して脆化する。これらの問題点がある
ため、ジルコニウム系材料を合わせ材とする圧延による
クラッド鋼板に十分な性能を持ち合わせたものはいまだ
に存在しない。
一方、爆着クラッド法においても、接合部にジルコニウ
ムと鉄の金属間化合物が形成され、安定した接合強度が
得られないのが通例であり、一般には母材と合わせ材と
の間にチタニウムをインサートした形で実用化が進めら
れている(特開昭52-46163号公報)。しかし、このクラ
ッド材においても、インサート材であるチタニウムが原
因となって、Ti-Fe系の金属間化合物を接合部に形成
し、接合部の耐食性が著しく劣化する問題がある。
ムと鉄の金属間化合物が形成され、安定した接合強度が
得られないのが通例であり、一般には母材と合わせ材と
の間にチタニウムをインサートした形で実用化が進めら
れている(特開昭52-46163号公報)。しかし、このクラ
ッド材においても、インサート材であるチタニウムが原
因となって、Ti-Fe系の金属間化合物を接合部に形成
し、接合部の耐食性が著しく劣化する問題がある。
以上は母材が鋼である場合について述べたが、母材がニ
ッケル基合金である場合も事情は全く同じであり、やは
り同様の理由により、ニッケル基合金の母材とジルコニ
ウム系材料の合わせ材とからなるクラッド材に満足でき
るものはない。
ッケル基合金である場合も事情は全く同じであり、やは
り同様の理由により、ニッケル基合金の母材とジルコニ
ウム系材料の合わせ材とからなるクラッド材に満足でき
るものはない。
本発明はこれらの問題点を解決し、接合強度および接合
部の耐食性に優れたジルコニウム系クラッド材の製造方
法の提供を目的とする。
部の耐食性に優れたジルコニウム系クラッド材の製造方
法の提供を目的とする。
(問題点を解決するための手段) 鋼またはニッケル基合金とジルコニウム系材料との接合
性を悪化させているのは、接合界面にZr-Fe系、Zr-Ni系
の金属間化合物が形成されて、接合部を脆化させるのが
原因である。したがって、この接合部の脆化を防ぐため
には、接合界面に金属間化合物を形成させないことが第
1である。また、両材料間にインサート材を挿入する場
合は、インサート材が両材料に対して十分な接合強度を
示さなければならない上に、チタニウムのように接合部
の耐食性を悪化させるものは不適当であり、またインサ
ート材そのものもニッケル基合金やジルコニウム材料に
匹敵する耐食性を持つことを求められる。更に、製造の
容易なことも実用材としては重要である。
性を悪化させているのは、接合界面にZr-Fe系、Zr-Ni系
の金属間化合物が形成されて、接合部を脆化させるのが
原因である。したがって、この接合部の脆化を防ぐため
には、接合界面に金属間化合物を形成させないことが第
1である。また、両材料間にインサート材を挿入する場
合は、インサート材が両材料に対して十分な接合強度を
示さなければならない上に、チタニウムのように接合部
の耐食性を悪化させるものは不適当であり、またインサ
ート材そのものもニッケル基合金やジルコニウム材料に
匹敵する耐食性を持つことを求められる。更に、製造の
容易なことも実用材としては重要である。
本発明者らは、これら要求を総合的に満足させるジルコ
ニウム系クラッド材を開発すべく研究検討を繰返した結
果、鋼またはニッケル基合金とジルコニウム系材料との
間にタンタルを挿入し適正な条件で圧延接合することが
効果的であるとの知見を得た。
ニウム系クラッド材を開発すべく研究検討を繰返した結
果、鋼またはニッケル基合金とジルコニウム系材料との
間にタンタルを挿入し適正な条件で圧延接合することが
効果的であるとの知見を得た。
チタニウムと鋼またはニッケル基合金との間に生じる金
属間化合物は、共晶温度が940〜1000℃程度と低いた
め、クラッド加工中に容易に生じ、また、その化合物自
体、耐食性が良くない。これに対し、タンタルは、鋼ま
たはニッケル基合金との間にTa-Fe系、Ta-Ni系の金属間
化合物を生じるものの、その共晶温度は1300℃以上と高
く、クラッド加工中に容易には生じない。また、たとえ
生じたとしても、それ自体は接合強度、耐食性にチタニ
ウムの場合ほど悪影響を与えない。
属間化合物は、共晶温度が940〜1000℃程度と低いた
め、クラッド加工中に容易に生じ、また、その化合物自
体、耐食性が良くない。これに対し、タンタルは、鋼ま
たはニッケル基合金との間にTa-Fe系、Ta-Ni系の金属間
化合物を生じるものの、その共晶温度は1300℃以上と高
く、クラッド加工中に容易には生じない。また、たとえ
生じたとしても、それ自体は接合強度、耐食性にチタニ
ウムの場合ほど悪影響を与えない。
しかしながら、Ta-Fe系、Ta-Ni系の金属間化合物の形成
を抑えたとしても、母材と合わせ材との間が局部的にし
ろ上記化合物で連結されることは避けられなければなら
ない。すなわち鋼またはニッケル基合金からなる母材と
タンタルとの間で生じた上記化合物が、ジルコニウム系
材料からなる合わせ材に局部的にしろ到達した場合は、
Zr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が形成されて接合強
度、耐食性が著しく劣化するのである。
を抑えたとしても、母材と合わせ材との間が局部的にし
ろ上記化合物で連結されることは避けられなければなら
ない。すなわち鋼またはニッケル基合金からなる母材と
タンタルとの間で生じた上記化合物が、ジルコニウム系
材料からなる合わせ材に局部的にしろ到達した場合は、
Zr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が形成されて接合強
度、耐食性が著しく劣化するのである。
しかるに、Ta-Fe系、Ta-Ni系の金属間化合物は、熱間圧
延、爆着等の通常のクラッド法を採用する限り、たとえ
発生しても高々10μm程度の厚さにしか形成されないこ
とが本発明者らの実験により確かめられている。したが
って、タンタルを挿入する場合にあっては、その厚みを
製品段階で10μm以上にすれば、母材との間に金属間化
合物を生じても、合わせ材との間全面に切れ目のないタ
ンタル層が形成され、両材料間の接合強度および耐食性
を保証することになる。
延、爆着等の通常のクラッド法を採用する限り、たとえ
発生しても高々10μm程度の厚さにしか形成されないこ
とが本発明者らの実験により確かめられている。したが
って、タンタルを挿入する場合にあっては、その厚みを
製品段階で10μm以上にすれば、母材との間に金属間化
合物を生じても、合わせ材との間全面に切れ目のないタ
ンタル層が形成され、両材料間の接合強度および耐食性
を保証することになる。
また十分な厚みのタンタルを挿入しても、接合条件によ
っては接合時にTa-Fe,Ta-Ni系金属間化合物が著しく成
長し、接合界面の耐食性が劣化する。そのため、接合に
際しては接合強度だけでなく接合部の耐食性の点からそ
の条件を限定する必要がある。
っては接合時にTa-Fe,Ta-Ni系金属間化合物が著しく成
長し、接合界面の耐食性が劣化する。そのため、接合に
際しては接合強度だけでなく接合部の耐食性の点からそ
の条件を限定する必要がある。
またタンタルは鋼、ニッケル基合金と比べて性能が低い
ということはなく、したがってタンタル自体が原因とな
って接合部の強度を低下させたり耐食性を悪化させたり
することもない。
ということはなく、したがってタンタル自体が原因とな
って接合部の強度を低下させたり耐食性を悪化させたり
することもない。
本発明のジルコニウム系クラッド材の製造方法は、上記
知見を基礎としてなされたもので、FeおよびNiの1種以
上を合計で5重量%以上含有する、母材となるべき鉄系
材料またはニッケル基合金に、製品段階での厚さが10μ
m以上となるタンタルを介して、合わせ材となるべきジ
ルコニウム系材料を重ねた積層体に、ジルコニウム系材
料の上面を覆う第1の枠材とタンタルおよびジルコニウ
ム系材料の全側面を覆う第2の枠材とを溶接により取り
付けて、鉄系材料またはニッケル基合金上のタンタルお
よびジルコニウム系材料を枠材内に封入した組立材を作
製し、作製された組立材の枠材内を圧力1トル(Torr)
以下の真空もしくは95%以上の不活性ガス雰囲気に保持
して、その組立材を圧下比2以上、圧延開始温度800〜1
300℃で材料重合方向に圧下して熱間圧延することを特
徴とする。
知見を基礎としてなされたもので、FeおよびNiの1種以
上を合計で5重量%以上含有する、母材となるべき鉄系
材料またはニッケル基合金に、製品段階での厚さが10μ
m以上となるタンタルを介して、合わせ材となるべきジ
ルコニウム系材料を重ねた積層体に、ジルコニウム系材
料の上面を覆う第1の枠材とタンタルおよびジルコニウ
ム系材料の全側面を覆う第2の枠材とを溶接により取り
付けて、鉄系材料またはニッケル基合金上のタンタルお
よびジルコニウム系材料を枠材内に封入した組立材を作
製し、作製された組立材の枠材内を圧力1トル(Torr)
以下の真空もしくは95%以上の不活性ガス雰囲気に保持
して、その組立材を圧下比2以上、圧延開始温度800〜1
300℃で材料重合方向に圧下して熱間圧延することを特
徴とする。
なお、ジルコニウムと炭素鋼あるいは低合金鋼との間に
タンタルを挿入することにより、そのクラッド材の接合
強度が改善されること、そのクラッド材を圧延接合によ
り製造できることは特開昭59-47078号公報に示されてい
る。しかし、ここに示された技術は、接合強度にのみ着
目してなされたもので、接合部の耐食性については何ら
配慮しておらず、圧延接合についての具体的条件も一切
示していないので、接合強度と共に接合部の耐食性の点
から圧延接合の具体的条件を厳しく規定した本発明とは
大きく相違する。また、本発明では鉄系材料またはニッ
ケル基合金の上に重ねたタンタルおよびジルコニウム系
材料を枠材内に封入するので、接合界面のみならずタン
タルおよびジルコニウム系材料の全体が外気から隔離さ
れ、このことも接合強度および接合部の耐食性確保に寄
与する。
タンタルを挿入することにより、そのクラッド材の接合
強度が改善されること、そのクラッド材を圧延接合によ
り製造できることは特開昭59-47078号公報に示されてい
る。しかし、ここに示された技術は、接合強度にのみ着
目してなされたもので、接合部の耐食性については何ら
配慮しておらず、圧延接合についての具体的条件も一切
示していないので、接合強度と共に接合部の耐食性の点
から圧延接合の具体的条件を厳しく規定した本発明とは
大きく相違する。また、本発明では鉄系材料またはニッ
ケル基合金の上に重ねたタンタルおよびジルコニウム系
材料を枠材内に封入するので、接合界面のみならずタン
タルおよびジルコニウム系材料の全体が外気から隔離さ
れ、このことも接合強度および接合部の耐食性確保に寄
与する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、鉄系材料とは鋼、低合金鋼、高合金鋼
を意味する。
を意味する。
クラッド材の母材とは、一般に価格の安い方の材料を意
味し、したがって、合わせ材の方が必ずしも薄いとは限
らない。
味し、したがって、合わせ材の方が必ずしも薄いとは限
らない。
本発明者らの得た結果によれば、FeおよびNiの一方また
は両方を合計で、5重量%以上含有する金属材料をジル
コニウム系材料と密着させて高温に加熱すると、FeとZr
またはNiとZrの合金層が形成され、接合面が脆弱にな
る。したがって、本発明は、母材が鋼またはニッケル基
合金である場合に限らず、FeおよびNiの1種以上を合計
で、5重量%以上含有する任意の金属材料を母材とす
る、ジルコニウム系クラッド材に適用することができ
る。
は両方を合計で、5重量%以上含有する金属材料をジル
コニウム系材料と密着させて高温に加熱すると、FeとZr
またはNiとZrの合金層が形成され、接合面が脆弱にな
る。したがって、本発明は、母材が鋼またはニッケル基
合金である場合に限らず、FeおよびNiの1種以上を合計
で、5重量%以上含有する任意の金属材料を母材とす
る、ジルコニウム系クラッド材に適用することができ
る。
母材としては特に好適な鋼は、熱間加工性およびクラッ
ド鋼としての有用性の面から、普通鋼、低合金鋼および
オーステナイトステンレス鋼であり、またCr、Mo含有耐
熱鋼も母材として使用できる。母材として好適なニッケ
ル基合金の例は、Alloy 600(75Ni-15Cr-Fe)、Alloy 6
25(60Ni-20Cr-9Mo 3.5Nb-Fe)などがある。
ド鋼としての有用性の面から、普通鋼、低合金鋼および
オーステナイトステンレス鋼であり、またCr、Mo含有耐
熱鋼も母材として使用できる。母材として好適なニッケ
ル基合金の例は、Alloy 600(75Ni-15Cr-Fe)、Alloy 6
25(60Ni-20Cr-9Mo 3.5Nb-Fe)などがある。
合わせ材はジルコニウム系材料、すなわち純ジルコニウ
ムまたはジルコニウム合金であり、現在容易に入手でき
るジルコニウム合金にはズルカロイ−2(1.5Sn-0.12Fe
-0.1Cr-0.05Ni)およびジルカロイ−4(1.5Sn-0.18Fe-
0.1Cr)がある。ジルカロイは純ジルコニウムに比べて
高温水中および含窒素雰囲気中の耐食性が改善されてい
る。なお、ジルコニウム合金はジルカロイに限られるも
のではなく、本発明においては他のジルコニウム合金も
使用できる。ジルコニウム合金はZrを50%以上含有する
ものが好ましい。
ムまたはジルコニウム合金であり、現在容易に入手でき
るジルコニウム合金にはズルカロイ−2(1.5Sn-0.12Fe
-0.1Cr-0.05Ni)およびジルカロイ−4(1.5Sn-0.18Fe-
0.1Cr)がある。ジルカロイは純ジルコニウムに比べて
高温水中および含窒素雰囲気中の耐食性が改善されてい
る。なお、ジルコニウム合金はジルカロイに限られるも
のではなく、本発明においては他のジルコニウム合金も
使用できる。ジルコニウム合金はZrを50%以上含有する
ものが好ましい。
母材および合わせ材の種類は、用途に応じて適宜選択さ
れる。たとえば、クラッド材の用途が継手である場合に
は、溶接すべき材料と同種の母材および合わせ材を選択
するのが有利である。
れる。たとえば、クラッド材の用途が継手である場合に
は、溶接すべき材料と同種の母材および合わせ材を選択
するのが有利である。
本発明においては母材と合わせ材との間にインサート材
としてタンタルを挿入するが、これは前述したように母
材と合わせ材とを直接接合した場合に接合界面に生じる
Zr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が原因となって接合部
が脆化するのを防止するためである。ただし、接合条件
によっては母材とインサート材との接合界面にTa-Fe、T
a-Ni系の金属間化合物が形成されることがある。本発明
者らの調査によれば、この金属化合物は約10μm程度の
厚さにしか形成されないことが確認されているが、万一
この金属間化合物が合わせ材側のジルコニウムに達した
場合にはZr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が形成されて
接合強度、耐食性が劣化するので、タンタル層の厚みは
製品段階において10μm以上確保されなければならな
い。
としてタンタルを挿入するが、これは前述したように母
材と合わせ材とを直接接合した場合に接合界面に生じる
Zr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が原因となって接合部
が脆化するのを防止するためである。ただし、接合条件
によっては母材とインサート材との接合界面にTa-Fe、T
a-Ni系の金属間化合物が形成されることがある。本発明
者らの調査によれば、この金属化合物は約10μm程度の
厚さにしか形成されないことが確認されているが、万一
この金属間化合物が合わせ材側のジルコニウムに達した
場合にはZr-Fe系、Zr-Ni系の金属間化合物が形成されて
接合強度、耐食性が劣化するので、タンタル層の厚みは
製品段階において10μm以上確保されなければならな
い。
また、タンタル層の厚みの上限は、特に設ける必要はな
いが、経済性の点からは薄い方が望ましく、通常は10mm
程度あればよい。
いが、経済性の点からは薄い方が望ましく、通常は10mm
程度あればよい。
本発明の製造方法において、枠材内の接合雰囲気を圧力
1トル以下の高真空度あるいは95%以上の不活性ガス雰
囲気に保持するのは、積層体の高温加熱時に合わせ材中
のZrが界面で大気を吸収し、大気、特に窒素、酸素と反
応して脆弱化するのを防止するためと、接合界面の酸化
を防止するためとである。Zrは高温環境では、たとえば
100ppmといった極微量の窒素により劣化するので、空隙
部をかかる高真空に保持し、大気を排除する必要があ
る。圧力が1トルを超えたり、不活性ガス純度が95%以
下になると、上記の脆弱化が顕著となって、得られるク
ラッド材の接合強度が低下する。この目的から、高真空
度であるほどあるいは、不活性ガス純度が高いほど望ま
しいわけであり、実際に圧力1トル以下の高真空でも真
空度が高くなるほど接合強度はいくらか増大する傾向が
認められる。しかし、その増大わずかであり、一方、真
空度が高くなるほどコスト高となるので、接合界面の雰
囲気の圧力は経済性を考慮して1トル以下の範囲内で選
択すればよい。
1トル以下の高真空度あるいは95%以上の不活性ガス雰
囲気に保持するのは、積層体の高温加熱時に合わせ材中
のZrが界面で大気を吸収し、大気、特に窒素、酸素と反
応して脆弱化するのを防止するためと、接合界面の酸化
を防止するためとである。Zrは高温環境では、たとえば
100ppmといった極微量の窒素により劣化するので、空隙
部をかかる高真空に保持し、大気を排除する必要があ
る。圧力が1トルを超えたり、不活性ガス純度が95%以
下になると、上記の脆弱化が顕著となって、得られるク
ラッド材の接合強度が低下する。この目的から、高真空
度であるほどあるいは、不活性ガス純度が高いほど望ま
しいわけであり、実際に圧力1トル以下の高真空でも真
空度が高くなるほど接合強度はいくらか増大する傾向が
認められる。しかし、その増大わずかであり、一方、真
空度が高くなるほどコスト高となるので、接合界面の雰
囲気の圧力は経済性を考慮して1トル以下の範囲内で選
択すればよい。
また同方法においては、接合界面雰囲気を上記高真空度
あるいは高純度不活性ガス雰囲気に保ったまま積層体を
熱間圧延のために加熱し、しかる後圧延に移ることにな
るが、十分な接合強度を有するクラッド材を製造するに
は、圧延時に母材と合わせ材とを界面で金属結合させる
ことが必要なので、圧延温度は圧延開始温度で800℃以
上とし、圧下比については十分に原子拡散を生じさせる
ため、2以上とする。800℃〜900℃にて圧延する場合に
は、界面での金属結合を安定にするため母材とタンタル
及びタンタルを合わせ材の間に厚さ10μm程度のニッケ
ル箔を挿入してもよいが、耐食性は挿入しない場合より
もおとる。
あるいは高純度不活性ガス雰囲気に保ったまま積層体を
熱間圧延のために加熱し、しかる後圧延に移ることにな
るが、十分な接合強度を有するクラッド材を製造するに
は、圧延時に母材と合わせ材とを界面で金属結合させる
ことが必要なので、圧延温度は圧延開始温度で800℃以
上とし、圧下比については十分に原子拡散を生じさせる
ため、2以上とする。800℃〜900℃にて圧延する場合に
は、界面での金属結合を安定にするため母材とタンタル
及びタンタルを合わせ材の間に厚さ10μm程度のニッケ
ル箔を挿入してもよいが、耐食性は挿入しない場合より
もおとる。
ただし、ニッケル箔の挿入は、1000℃以上の高温圧延で
は特に必要なく、むしろZr-Ni系共晶を発生させて脆化
の原因となるため行わない方が良い。
は特に必要なく、むしろZr-Ni系共晶を発生させて脆化
の原因となるため行わない方が良い。
圧延温度の上限については、圧延開始温度で1300℃を超
えるとTa-Fe系あるいはTa-Ni系の金属間化合物が10μm
以上の厚さに形成され、接合界面の耐食性劣化を生じる
ので、1300℃以下とすることが必要である。金属間化合
物の厚さは2μm以下に抑えることが望ましく、この点
から圧延温度は1100℃以下が特に望ましい。
えるとTa-Fe系あるいはTa-Ni系の金属間化合物が10μm
以上の厚さに形成され、接合界面の耐食性劣化を生じる
ので、1300℃以下とすることが必要である。金属間化合
物の厚さは2μm以下に抑えることが望ましく、この点
から圧延温度は1100℃以下が特に望ましい。
また、圧下比の上限については、特に規定しないが、圧
下比が大きすぎると、母材、合わせ材とも薄くなりすぎ
るため、通常は10程度が限界とされる。
下比が大きすぎると、母材、合わせ材とも薄くなりすぎ
るため、通常は10程度が限界とされる。
次に、本発明の製造方法の具体的手順の一例を第2図に
より説明する。
より説明する。
適当な厚みの母材(厳密にはその素材)1と、寸法が母
材より一回り小さい適当な厚さの合わせ材(厳密にはそ
の素材)2とを用意し、圧力1トル以下の所定の真空度
まで減圧された電子ビーム溶接用真空チャンバ内におい
て、図示のように母材1と合わせ材2の間に寸法が合わ
せ材と同じ平面形状で適当な厚みのタンタル板(厳密に
はその素材)3を挟んで重ねる。
材より一回り小さい適当な厚さの合わせ材(厳密にはそ
の素材)2とを用意し、圧力1トル以下の所定の真空度
まで減圧された電子ビーム溶接用真空チャンバ内におい
て、図示のように母材1と合わせ材2の間に寸法が合わ
せ材と同じ平面形状で適当な厚みのタンタル板(厳密に
はその素材)3を挟んで重ねる。
次いで、図示のように、母材の四辺の縁部に沿って側面
枠材4を置き、さらに側面枠材4の上に上面枠材5を乗
せて、合わせ材を包囲する。枠材は、たとえばSS41鋼、
SUS304ステンレス鋼から製作することができ、スケール
ロスを考えて相当に強固な構造とするのが好ましい。
枠材4を置き、さらに側面枠材4の上に上面枠材5を乗
せて、合わせ材を包囲する。枠材は、たとえばSS41鋼、
SUS304ステンレス鋼から製作することができ、スケール
ロスを考えて相当に強固な構造とするのが好ましい。
組立を最初から減圧した真空チャンバ内で行う代わり
に、外部で組立てて組立終了後に真空チャンバに移して
減圧するか、あるいは減圧前の真空チャンバ内で組立た
後に減圧してもよい。
に、外部で組立てて組立終了後に真空チャンバに移して
減圧するか、あるいは減圧前の真空チャンバ内で組立た
後に減圧してもよい。
次いで、減圧した真空チャンバ内において、図示のよう
に、母材と側面枠材との接触部および側面枠材と上面枠
材との接触部を電子ビーム溶接によ外面から仮付し、枠
材と母材から構成される容器を密封する。これにより、
母材と合わせ材との間の空隙部および合わせ材の周囲空
間は外部から遮断され、周囲圧力に関係なくその内部の
高真空度が保持できる。
に、母材と側面枠材との接触部および側面枠材と上面枠
材との接触部を電子ビーム溶接によ外面から仮付し、枠
材と母材から構成される容器を密封する。これにより、
母材と合わせ材との間の空隙部および合わせ材の周囲空
間は外部から遮断され、周囲圧力に関係なくその内部の
高真空度が保持できる。
仮付した組立材を真空チャンバから取り出し、仮付の電
子ビーム溶接部をたとえば被覆アーク溶接、MIG、TIG溶
接等により本溶接し、加熱時に内部の真空が保持できる
よう溶接部を強化する。図中、6は溶接個所を示す。
子ビーム溶接部をたとえば被覆アーク溶接、MIG、TIG溶
接等により本溶接し、加熱時に内部の真空が保持できる
よう溶接部を強化する。図中、6は溶接個所を示す。
上記以外の方法として、チャンバ外にて、第2図に示す
組立材を溶接にて組立てた後、枠材4に孔をあけてノズ
ルを取付け、純Arを封入して組立材内部をAr雰囲気にガ
ス置換したのち、ノズルを閉じて圧延用の組立材とする
方法もある。
組立材を溶接にて組立てた後、枠材4に孔をあけてノズ
ルを取付け、純Arを封入して組立材内部をAr雰囲気にガ
ス置換したのち、ノズルを閉じて圧延用の組立材とする
方法もある。
次いで、この組立材をそのまま通常の加熱炉に装入し、
所定の温度に加熱した後、枠材ごと組立材全体を本発明
による圧延スケジュールで熱間圧延する。
所定の温度に加熱した後、枠材ごと組立材全体を本発明
による圧延スケジュールで熱間圧延する。
圧延後に枠材を除去するが、枠材表面にスケール等を付
着させておけば、清浄面が直接接触しにくいため、圧延
によって枠材が母材および合わせ材と接合することがな
く、容易に除去できる。
着させておけば、清浄面が直接接触しにくいため、圧延
によって枠材が母材および合わせ材と接合することがな
く、容易に除去できる。
本発明法により製造されたクラッド材は、FeおよびNiの
1種以上を含有する母材Zr系合わせ材とがTaを介して十
分な強度で接合し、かつ良好な接合部耐食性を有するも
のとなる。
1種以上を含有する母材Zr系合わせ材とがTaを介して十
分な強度で接合し、かつ良好な接合部耐食性を有するも
のとなる。
このクラッド材は、クラッド材本来の用途、例えば腐食
環境の厳しい側の面をジルコニウムとし、他面は鋼とし
て強度を鉄系材料で確保した高耐食性の構造材料として
使用できる。1例として、硝酸などの高腐食性液体用の
タンクを内面がZrとなるようにクラッド材で製造すれ
ば、比較的安価に高耐食性のタンクを得ることができ
る。
環境の厳しい側の面をジルコニウムとし、他面は鋼とし
て強度を鉄系材料で確保した高耐食性の構造材料として
使用できる。1例として、硝酸などの高腐食性液体用の
タンクを内面がZrとなるようにクラッド材で製造すれ
ば、比較的安価に高耐食性のタンクを得ることができ
る。
また、接合部の耐食性に優れるので、鋼あるいはニッケ
ル基合金とジルコニウム系材料との溶接に使用する異材
継手の素材として有用であり、この継手により、ジルコ
ニウム系材料を汎用構造材料である普通鋼、ステンレス
鋼もしくはニッケル基合金に溶接することが可能となっ
て、ジルコニウム系材料の用途拡大に寄与する。なお、
ジルコニウム系材料の同種材料の溶接は、TIG溶接、電
子ビーム溶接等により行うことができる。
ル基合金とジルコニウム系材料との溶接に使用する異材
継手の素材として有用であり、この継手により、ジルコ
ニウム系材料を汎用構造材料である普通鋼、ステンレス
鋼もしくはニッケル基合金に溶接することが可能となっ
て、ジルコニウム系材料の用途拡大に寄与する。なお、
ジルコニウム系材料の同種材料の溶接は、TIG溶接、電
子ビーム溶接等により行うことができる。
(実施例) 以下に本発明の実施例および比較例を説明する。
第1表に示すように、母材用素材に軟鋼(SS41)、21/
4Cr-1Mo鋼、オーステナイトステンレス鋼(SUS304L)お
よびニッケル基合金(Alloy625)、合わせ材用素材には
純ジルコニウム(ASTM グレードR60702)及びジルコニ
ウム合金(ASTM グレードR60802)をそれぞれ使用し、
またインサート材用素材には工業用純タンタル(JISH47
01,TaP及びTaH)と、比較のための純チタン(JIS第1
種)および純ニッケルとをそれぞれ用いて、以下に示す
各種条件の圧延法によりクラッド材を製造した。
4Cr-1Mo鋼、オーステナイトステンレス鋼(SUS304L)お
よびニッケル基合金(Alloy625)、合わせ材用素材には
純ジルコニウム(ASTM グレードR60702)及びジルコニ
ウム合金(ASTM グレードR60802)をそれぞれ使用し、
またインサート材用素材には工業用純タンタル(JISH47
01,TaP及びTaH)と、比較のための純チタン(JIS第1
種)および純ニッケルとをそれぞれ用いて、以下に示す
各種条件の圧延法によりクラッド材を製造した。
なお、ジルカロイを合わせ材とするクラッド材は、母材
がオーステナイトステンレス鋼にのみ製造した。
がオーステナイトステンレス鋼にのみ製造した。
使用素材の寸法は、母材用が厚み50mm×幅200mm×長さ3
00mm、合わせ材用が厚み35mm×幅140mm×長さ240mmであ
り、インサート材用は種々の厚みで幅140mm×長さ240mm
のものを使用した。
00mm、合わせ材用が厚み35mm×幅140mm×長さ240mmであ
り、インサート材用は種々の厚みで幅140mm×長さ240mm
のものを使用した。
これらの材料を用いて、第2図に示す構成の組立材を溶
接にて組立てたのち、枠材に孔をあけてノズルを取付
け、真空ポンプにて、組立材内部の真空度を調整した。
また、真空引きの代わりにノズルからアルゴンガスを封
入し、組立材内部を所定の不活性ガス雰囲気することも
行った。
接にて組立てたのち、枠材に孔をあけてノズルを取付
け、真空ポンプにて、組立材内部の真空度を調整した。
また、真空引きの代わりにノズルからアルゴンガスを封
入し、組立材内部を所定の不活性ガス雰囲気することも
行った。
次にこれらの組立材を加熱炉に入れて、様々な温度に保
持した後、圧下比2.5以下にて熱間圧延を行った。圧延
監視温度は比較の意味を含めて700〜1400℃とした。
持した後、圧下比2.5以下にて熱間圧延を行った。圧延
監視温度は比較の意味を含めて700〜1400℃とした。
得られたクラッド材をJIS G 0601に規定の剪断強度試験
方法に準拠して、母材と合わせ材とを平行方向に剥離さ
せた場合の接合界面での剪断強度を測定し、接合強度を
評価した。また接合界面の耐食性は、8NHNO3水溶液中、
100℃、300h浸漬後の界面の腐食深さにて評価した。試
験片形状は第3図の通りである。
方法に準拠して、母材と合わせ材とを平行方向に剥離さ
せた場合の接合界面での剪断強度を測定し、接合強度を
評価した。また接合界面の耐食性は、8NHNO3水溶液中、
100℃、300h浸漬後の界面の腐食深さにて評価した。試
験片形状は第3図の通りである。
結果を第4図〜第7図及び第2表にまとめて示す。第2
表中のインサート材の厚さは圧延接合後の厚さである。
表中のインサート材の厚さは圧延接合後の厚さである。
第4図は接合強度と圧延開始温度圧下比との関係図を示
しており、圧下比2未満もしくは圧延開始温度700℃以
下及び1300℃超で接合強度が低下するが、圧下比2以上
でかつ圧延開始温度を800〜1300℃とすることにより、1
5kgf/mm2)の剪断強度が得られることがわかる。
しており、圧下比2未満もしくは圧延開始温度700℃以
下及び1300℃超で接合強度が低下するが、圧下比2以上
でかつ圧延開始温度を800〜1300℃とすることにより、1
5kgf/mm2)の剪断強度が得られることがわかる。
第5図は真空度、第6図は不活性ガス(アルゴン)雰囲
気の状態と接合強度との関係を示したもので、真空度1
トル以下あるいは雰囲気のアルゴン純度95%以上で良好
な接合強度となるが、真空度が1トル超もしくはアルゴ
ン雰囲気の純度95%未満では、接合界面にて酸化が生
じ、良好な接合が得られないことがわかる。
気の状態と接合強度との関係を示したもので、真空度1
トル以下あるいは雰囲気のアルゴン純度95%以上で良好
な接合強度となるが、真空度が1トル超もしくはアルゴ
ン雰囲気の純度95%未満では、接合界面にて酸化が生
じ、良好な接合が得られないことがわかる。
第7図は圧延開始温度と接合界面の腐食深さとの関係を
示しており、1300℃以下、特に1100℃以下で良好な接合
部の耐食性が得られることがわかる。
示しており、1300℃以下、特に1100℃以下で良好な接合
部の耐食性が得られることがわかる。
また第2表は圧下比2.5、圧延開始温度1100℃、接合界
面の雰囲気0.1トルにて圧延したクラッド材の接合強
度、耐食性とインサート材の種類との関係を示してい
る。同表から明らかなように、インサート材にタンタル
を用いると接合強度、耐食性とも良好であるが、インサ
ート材を用いない場合、あるいはチタン、ニッケルをイ
ンサート材とした場合には接合強度、耐食性が同時に良
好となるクラッド材は得られない。
面の雰囲気0.1トルにて圧延したクラッド材の接合強
度、耐食性とインサート材の種類との関係を示してい
る。同表から明らかなように、インサート材にタンタル
を用いると接合強度、耐食性とも良好であるが、インサ
ート材を用いない場合、あるいはチタン、ニッケルをイ
ンサート材とした場合には接合強度、耐食性が同時に良
好となるクラッド材は得られない。
(発明の効果) 以上の説明から理解されるように、本発明は、鋼または
ニッケル基合金のようなFeもしくはNiを5%以上含有す
る金属材料からなる母材と、純ジルコニウムまたはジル
コニウム合金からなる合わせ材とから、接合強度が十分
でかつ接合部の耐食性の優れたジルコニウム系クラッド
材を製造でき、これによりジルコニウム系材料の用途拡
大に大きく寄与するものである。
ニッケル基合金のようなFeもしくはNiを5%以上含有す
る金属材料からなる母材と、純ジルコニウムまたはジル
コニウム合金からなる合わせ材とから、接合強度が十分
でかつ接合部の耐食性の優れたジルコニウム系クラッド
材を製造でき、これによりジルコニウム系材料の用途拡
大に大きく寄与するものである。
第1図はクラッド材を異材継手とした場合の説明図、第
2図は本発明の実施例に係る積層体の構造説明図、第3
図は圧延クラッド材の接合強度、耐食性を評価するため
の試験片の形状寸法図、第4図は圧延クラッド材の接合
強度に及ぼす圧延開始温度及び圧下比の影響を示すグラ
フ、第5図および第6図は圧延クラッド材の接合強度に
及ぼす接合界面雰囲気の影響を示すグラフ、第7図は圧
延クラッド材の接合部の耐食性に及ぼす圧延温度の影響
を示すグラフである。 図中、1:母材、2:合わせ材、3:インサート材、4:側面枠
材、5:上面枠材、6:溶接部。
2図は本発明の実施例に係る積層体の構造説明図、第3
図は圧延クラッド材の接合強度、耐食性を評価するため
の試験片の形状寸法図、第4図は圧延クラッド材の接合
強度に及ぼす圧延開始温度及び圧下比の影響を示すグラ
フ、第5図および第6図は圧延クラッド材の接合強度に
及ぼす接合界面雰囲気の影響を示すグラフ、第7図は圧
延クラッド材の接合部の耐食性に及ぼす圧延温度の影響
を示すグラフである。 図中、1:母材、2:合わせ材、3:インサート材、4:側面枠
材、5:上面枠材、6:溶接部。
Claims (1)
- 【請求項1】FeおよびNiの1種以上を合計で5重量%以
上含有する、母材となるべき鉄系材料またはニッケル基
合金に、製品段階での厚さが10μm以上となるタンタル
を介して、合わせ材となるべきジルコニウム系材料を重
ねた積層体に、ジルコニウム系材料の上面を覆う第1の
枠材とタンタルおよびジルコニウム系材料の全側面を覆
う第2の枠材とを溶接により取り付けて、鉄系材料また
はニッケル基合金上のタンタルおよびジルコニウム系材
料を枠材内に封入した組立材を作製し、作製された組立
材の枠材内を圧力1トル(Torr)以下の真空もしくは95
%以上の不活性ガス雰囲気に保持して、その組立材を圧
下比2以上、圧延開始温度800〜1300℃で材料重合方向
に圧下して熱間圧延することを特徴とする接合強度およ
び接合部の耐食性に優れたジルコニウム系クラッド材の
製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61064621A JPH07110427B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | ジルコニウム系クラッド材の製造方法 |
JP5085271A JPH07115188B2 (ja) | 1986-03-22 | 1993-03-18 | 高耐食異材継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61064621A JPH07110427B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | ジルコニウム系クラッド材の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5085271A Division JPH07115188B2 (ja) | 1986-03-22 | 1993-03-18 | 高耐食異材継手 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62220291A JPS62220291A (ja) | 1987-09-28 |
JPH07110427B2 true JPH07110427B2 (ja) | 1995-11-29 |
Family
ID=13263510
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61064621A Expired - Lifetime JPH07110427B2 (ja) | 1986-03-22 | 1986-03-22 | ジルコニウム系クラッド材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07110427B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101506566A (zh) * | 2006-08-30 | 2009-08-12 | 氟石科技公司 | 用于不同材料焊接的构造和方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5947078A (ja) * | 1982-09-10 | 1984-03-16 | Asahi Chem Ind Co Ltd | ジルコニウムクラツド鋼 |
-
1986
- 1986-03-22 JP JP61064621A patent/JPH07110427B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62220291A (ja) | 1987-09-28 |
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