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JPH07106149B2 - アミノペプチダーゼ及びその使用 - Google Patents

アミノペプチダーゼ及びその使用

Info

Publication number
JPH07106149B2
JPH07106149B2 JP63051573A JP5157388A JPH07106149B2 JP H07106149 B2 JPH07106149 B2 JP H07106149B2 JP 63051573 A JP63051573 A JP 63051573A JP 5157388 A JP5157388 A JP 5157388A JP H07106149 B2 JPH07106149 B2 JP H07106149B2
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JP
Japan
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amino acid
genus
amide
alanine
enzyme
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP63051573A
Other languages
English (en)
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JPH01225482A (ja
Inventor
泰久 浅野
章子 仲沢
康夫 加藤
聖 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sagami Chemical Research Institute filed Critical Sagami Chemical Research Institute
Priority to JP63051573A priority Critical patent/JPH07106149B2/ja
Publication of JPH01225482A publication Critical patent/JPH01225482A/ja
Publication of JPH07106149B2 publication Critical patent/JPH07106149B2/ja
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Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、新規なアミノペプチダーゼ及びその製造方
法、該酵素を生産する微生物、該酵素又は該微生物を使
用するD−アミノ酸の製造法、並びに該酸素又は該微生
物を使用するD−アミノ酸N−置換アミドの製造法に関
する。D−アラニンアルキルアミドは、人工甘味料の合
成原料として有用である(特公昭61−9320明細書)。
〔従来の技術〕
アミノペプチダーゼとは、ペプチドのN末端よりアミノ
酸を順次遊離するエキソペプチダーゼのことをいう(EC
3.4.11.)「酵素ハンドブック」、p.531−536、朝倉書
店1982。)アミノペプチダーゼは、通常、L−アミノ酸
よりなるペプチドにL立体特異的に作用してL−アミノ
酸を遊離する。それらのうちD−アミノ酸をN末端とす
るペプチドに非立体特異的に作用するアミノペプチダー
ゼもわずかに知られているが、一般にその反応速度はL
−アミノ酸よりなるペプチドに対する反応速度よりはる
かに遅い。
ロビンソンら(Journal of Biological Chemistry,202,
1(1953))、ホプス(Archives of Biochemistry and
Biophysics,114,567(1966))、ミナミウラら(Journa
l of Fermentation Technology,33,653(1969))、プ
ラスコットら(Journal of Biochemistry,75,185(197
4))は、各種生物由来のアミノペプチダーゼが、L−
アミノ酸からなるペプチドに作用するのみならず、D−
アミノ酸をN末端とするペプチドに対してもわずかに作
用することを報告しているが、これらは、D−アミノ酸
からなるペプチドにのみ特異的に作用するアミノペプチ
ダーゼではない。
チィエリーら(Journal of Basic Microbiology,5,299
(1986))は、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)
属細菌の産生するアシルアミド・アミドヒドロラーゼ
(EC3.5.1.4)がD−アラニンアミドにも作用すること
を報告しているが、D立体特異的な加水分解ではない。
又、この酵素はアミノペプチダーゼではない。
特開昭57−13000、特開昭59−159789、特開昭60−3644
6、特開昭62−55097、特開昭62−253397には、各種微生
物によるDL−アミノ酸アミド又は、L−アミノ酸アミド
の、対応するL−アミノ酸への酵素的加水分解法が記載
されているが、酵素化学的見地から、いかなる酵素が関
与しているのかについて記載されていない。又、D−ア
ミノ酸アミド含有物のD立体特異的な加水分解について
は全く記載されていない。
特開昭60−184392にはアクロモバクター(Achromobacte
r)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、及びクルチ
ア(Kurthia)属細菌菌体によるD−アミノ酸アミド
の、対応するD−アミノ酸への酵素的加水分解法が記載
されているが、酵素化学的見地から、いかなる酵素が関
与しているのかについて記載されていない。又、記載さ
れている加水分解反応はD−アミノ酸アミドを原料とす
るものであり、D−アミノ酸アミド含有物のD立体特異
的な加水分解については確認されていない。
特開昭61−96989はロドコッカス・エリスロポリス(Rho
dococcus etythropolis)菌体によるD−アラニンアミ
ド、D−バリンアミド、D−アミノ酪酸アミド、D−ロ
イシンアミド、D−セリンアミド、又はD−スレオニン
アミドを対応するD−アミノ酸へ酵素的に加水分解する
方法を特許請求し、実施例においては、D−アラニンア
ミド、D−バリンアミドおよびD−ロイシンアミドを対
応するD−アミノ酸へ酵素的に加水分解する方法を記載
しているが、酵素化学的見地から、いかなる酵素が関与
しているのかについて記載されていない。又、D−アミ
ノ酸アミド含有物のD立体特異的な加水分解については
全く記載されていない。
特開昭61−274690には、シュードモナス・フローレッセ
ンス(Pseudomonas fluorescens)、ロドコッカス・エ
リスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、及び、セ
ラチア・マルセッセンス(Serratia mercescens)菌体
によるD−メチオニンアミド、D−グルタミンアミド、
D−スレオニンアミド、D−ロイシンアミド、D−フェ
ニルアラニンアミド、D−チロシンアミド、およびD−
バリンアミドのそれぞれ対応するD−アミノ酸への加水
分解法が記載されているが、酵素化学的見地からいかな
る酵素が関与しているのかについて記載されていない。
又、記載されている加水分解反応はD−アミノ酸アミド
を原料とするものであり、D−アミノ酸アミドとL−ア
ミノ酸アミドとの混合物のD立体特異的な加水分解につ
いては全く記載されていない。
特公昭61−68には、D−アミノ酸を含むオリゴペプチド
に作用するストレプトマイセス属に属する放線菌由来の
D−アミノ酸ペプチダーゼの製造法が記されているが、
本酵素はペプチドのC末端に作用するカルボキシペプチ
ダーゼ様酵素であって、D−アミノ酸誘導体に特異的な
アミノペプチダーゼではない。
従って、D−アミノ酸誘導体に特異的なアミノペプチダ
ーゼは従来全く知れておらず、又、該酵素を用い、D−
アミノ酸アミド含有物を原料としてD立体特異的加水分
解を行い、D−アミノ酸を合成する方法については全く
知られていない。
酵素あるいは微生物を用いてD−アミノ酸を合成する方
法は、ストレプトマイセス属に属する法線菌由来のD立
体特異的なアミノ酸アシラーゼを用いてN−アセチルDL
−アミノ酸を光学分割し、D−フェニルグリシンやD−
バリンを合成する方法(それぞれ、特公昭53−36035及
び特開昭63−39598)、ヒダントイン化合物のシュード
モナス属細菌によるD立体特異的加水分解による方法
(特公昭56−1911)、α−ケト酸を原料としてD−アミ
ノ酸トランスアミナーゼとアミノ基供与体再生系を利用
するD−アラニンを除くD−アミノ酸の合成方法(特開
昭62−205790)等が挙げられる。しかしながら、D−ア
ミノ酸アミド含有物を原料とし、D−アミノ酸アミドに
特異的な酵素を用いてD−アミノ酸を合成する方法は全
く知られていない。
ところで、ペプチドの合成は化学合成法によりものが主
であるが、保護基を必要とする、ラセミ化及び副反応が
起きやすい等の問題点を有している。一方、近年、ペプ
チダーゼ、プロテアーゼ等アミド結合加水分解酵素を触
媒として用い、逆反応条件でペチド合成を行う技術が開
発されている。酵素によるペプチド結合合成反応は反応
条件が温和であり、化学合成法が有する上記の問題点を
回避することができる優れた方法である。
酵素法によるペプチド合成法は、これまでトリプシン、
α−キモトリプシン、ペプシン、パパイン、サーモライ
シン、ズブチリシン、プロナーゼ等のエンドペプチダー
ゼや、エキソペプチダーゼであるカルボキシペプチダー
ゼ等を用いてきた。酵素によるペプチド合成の重要な方
法として、ペプチド結合の加水分解の逆反応及び、アミ
ノ酸アルキルエステルのアミノリシス法が挙げられる
が、いずれの合成法においても、基質の酸部分となるア
ミノ酸誘導体のアミノ基はことごとく保護されていなけ
ればならなかった。一方、ペプチドのN末端よりアミノ
酸を順次遊離するエキソペプチダーゼであるアミノペプ
チダーゼをペプチド合成に利用する研究は従来知られて
いなかった。
D−アミノ酸は天然には稀なアミノ酸である。天然の蛋
白は、L−アミノ酸から出来ており、従って、それらの
加水分解酵素をペプチド結合合成反応に用いる手法はL
−アミノ酸からなるペプチド合成法として発達してき
た。既知の蛋白質加水分解酵素を用いる、D−アミノ酸
を含むペプチドの合成反応が報告されている。例えば、
モリハラら(Journal of Biochemistry,84,1277(197
8))は、Z−L−フェニルアラニル−D−ロイシンア
ミドのα−キモトリプシンの触媒による合成法を示し
た。それ以来、ストイネバとペトコフ(FEBS Letters,1
83,103(1985))、ウエストとウォング(Journal of O
rganic Chimstry,51,2728(1986))、バルバスとウォ
ング(Journal of Chemical Society,Chemical Communi
ncations,1987,533)、マルゴリンとクリバノフ(Journ
al of American Chemical Society,109,3802(198
7))、マトスら(Biotechnology Letters 9,233(198
7))は、α−キモトリプシンあるいはリパーゼを接触
として用いるD−アミノ酸を含むペプチドの合成法を記
載している。しかし、これらのエンドペプチダーゼを用
いる合成法は、ことごとく酸部分のアミノ酸誘導体のア
ミノ基が保護された化合物を基質としており、そのアミ
ノ基が遊離である化合物を基質とする合成については全
く記載されていない。又、これらの合成では、D−アミ
ノ酸はアミノ部分に含まれており、本発明とは異なる。
マルゴリンら、(Journal of American Chemical Socie
ry,109,7885(1987))には、N−ホルミルD−アラニ
ン2−クロロエチルエステルを酸部分とし、D−アラニ
ンアミド等をアミン部分とするスブチリシンを触媒とす
る合成を報告している。
しかしながら、これらの報告にあるD−アミノ酸アミド
の酵素的合成法においては、ことごとく酸部分に保護基
を必要としており、本発明とは異なる。又、酸部分にDL
−アミノ酸誘導体を用い、立体選択的なアミノリシスに
るD−アミノ酸アミド合成法は知られていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って本発明は、今まで存在することが全く知られてい
なかったD−アミノ酸誘導体に特異的なアミノペプチダ
ーゼ、該酵素の新規な製造方法、該酵素を利用するD−
アミノ酸の新規な製造法、並びに該酵素を用いて、酸部
分のアミノ酸誘導体を立体選択的にD−アミノ酸アミド
に導く新規なD−アミノ酸アミドの製造法を提供しよう
とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、該酵素を生産する新規な微生物及び該酵
素の新規な製造方法を開発するために、D−アミノ酸誘
導体に特異的に作用するアミノペプチダーゼ活性を有す
る菌株部を広範囲にスクリーニングしたところ、多くの
細菌が新規なD−アミノ酸アミノペプチダーゼを生産す
ることを見出した。
従って本発明は、D−アミノ酸誘導体に特異的に作用す
ることを特徴とするアミノペプチダーゼ;アミノペプチ
ダーゼを生産する細菌を培養し、この培養物から前記酵
素を採取することを特徴とする前記酵素の製造方法;前
記酵素又は該酵素の含有物を下でD−アミノ酸誘導体に
作用させてD−アミノ酸を生成せしめ、該D−アミノ酸
を採取することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法;
並びに前記酸素又は該酵素の含有物の存在下でD−アミ
ノ酸誘導体とアミンとを反応せしめてD−アミノ酸N−
置換アミドを生成せしめ、これを採取することを特徴と
するD−アミノ酸N−置換アミドの製造方法を提供する
ものである。
〔具体的な説明〕
(1)微生物 本発明において使用する微生物としてD−アミノ酸に特
異的なアミノペプチダーゼを生産ができるものであれば
よく、このような微生物は保存菌のなかから選択するこ
とができる場合もあり、また自然界から分離することが
できる。
このような微生物としては、保存菌株中に見出されたア
クロモバクター・シクロクラステス(Achromobacter cy
cloclastes)IAM 1013、アクロモバクター・デリカツラ
ス(Achromobacter delicatulus)IAM 1433、フラボバ
クテリウム・エステロアロマティカム(Flavobacterium
esteroaromaticum)IFO 3751、フラボバクテリウム・
スアベロレンズ(F.suaverolens)IFO 3752、バシルス
・セレウス(Bacillus cereus)IFO 3001、バシルス・
スフェリカス(B.sphaericus)IFO 3341、バシルス・ス
フェリカス IFO 3527、バシルス・チアミノリティカス
(B.thiamnolyticus)IAM 1034、バシルス・ステアロー
サーモフィラス(B.stearothermophilus)IFO 12550、
ミクロコッカス・ロゼウス(Micrococcus roseus)IFO
3768、ミクロコッカス・sp.(Micrococcus sp.)SCRC 4
14、コリネバクテリウム・スペドニウム(Corynebacter
ium spedonicum)IFO 3306、シュードモナス・アエルギ
ノーザ(Pseudomonas aeruginosa)IFO 3080、シュード
モナス・プチダIFO 12653(P.putida)、プロタミノバ
クタ・ルーバー(Protaminobacter ruber)IFO 3708、
マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium sm
egmatis)IFO 3082、ストレプトマイセス・グリセオラ
ス(Streptomyces griseolus)IFO 3403、及びストレプ
トマイセス・フルビシムス(Sptreptomyces fulvissimu
s)IFO 13482を挙げることができる。これらの保存菌は
それぞれ前記の寄託番号のもとにIFO又はIAMから自由に
入手することができる。
セルロモナスに属する微生物としてはセルロモナスsp.S
CRC 631(京都大学農学部保存菌AKU−676,ヤマダら、Ag
ricultural and Biological Chemistry,46,2325,1982よ
り入手)を挙げることができる。セルロモナスsp.SCRC
631が工業技術院微生物工業技術研究所に備考研菌寄第9
918号(FERM P−9918)と寄託されている。ミクロコッ
カスに属する微生物としてはミクロコッカスsp.SCRC 41
4(京都大学農学部保存菌AKU−510,オガタら、Agricult
ural and Biological Chemistry,30,176,1966より入
手)を挙げることができる。ミクロコッカスsp.SCRC 41
4が工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第991
7号(FFRM P−9917)として寄託されている。
アクロモバクターに属する微生物としては、例えば本発
明者により分離された新菌株アクロモバクターsp.SCRC
C1−38、アクロモバクターsp、SCRC C1−16、アクロモ
バクターsp.SCRC C1−17を挙げることができる。これら
の菌株の菌学的性質は非常に近似しており、これらの代
表株としてアクロモバクターsp.SCRC C1−38が工業技術
院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第9916号(FERM P
−9916)として寄託されている。アルスロバクターに属
する微生物としては、例えば本発明により分離された新
菌株アルスロバクターsp.SCRC C2−9、アルスロバクタ
ーsp.SCRC N1−31を挙げることができる。これらの菌株
の菊学的に性質は非常に近似しており、これらの代表株
としてアルスロバクターsp.SCRC N1−31が工業技術院微
生物工業技術研究所に微工研菌寄第9915号(FERM P−99
15)と寄託されている。
これらの菌株の分離源はいずれも神奈川県相模市であ
る。
前記の新規な菌株は第1表に示すような菌学的性質を有
する。
上記の菌学的性質に基づきチェスターとクーパー(Jorn
al of Clinical Microbiology,9,425(1979))及び、M
anual of Clinical Microbiology 4th ed.,P 330、(19
85)の記述に従って、前記SCRC C1−38、SCRC C1−16、
SCRC C1−17の菌株を次のように同定した。すなわち、
グラム陰性、胞子の生成無し、短桿菌、運動性、好気
的、オキシダーゼ陽性、及びグルコースからの酸の生成
有り。このような性質からアクロモバクター属に属する
細菌であることが明らかである。一方、Bergey′s Manu
al of Systematic Bacteriology 1st ed.,Vol.2.,p 126
6の分類基準に従ってSCRC C2−9及びSCRC N1−31を次
の様に同定した。すなわち、グラム陽性、コリネホルム
型、非運動性、好気性、カタラーゼ陽性、ペプチドクリ
カンにリジンが含まれる、ミコール酸陰性。このような
性質からアルスロバクター属に属する細菌であることが
明らかである。
なお、これらの菌株に変異を生じさせて一層生産性の高
い菌株を得ることもできる。また、これらの菌株の細胞
中に存在するアミノペプチダーゼの生産に関与する遺伝
子を切り出し、これを適切なベクター例えばプラスミド
に挿入し、このベクターを用いて適当な宿主、例えばエ
ッシュリッヒア・コリ(Escherchia coli)や酵母のご
とき異種宿主もしくはアクロモバクター属細菌やアルス
ロバクター属細菌のごとき同種宿主を形質転換すること
により、本発明のアミノペプチダーゼ生産株を人為的に
創成することもできる。
(2)酵素の製造方法 前記の微生物を培養して本発明のアミノペプチダーゼを
製造しようとする場合、基礎栄養培地として、この発明
の微生物が増殖し得るものであればいずれを使用しても
よい。この培地は、窒素源としては例えば硫安、酵母エ
キス、ペプトン、肉エキス等の1種又は複数種類を含有
する。また、この培地には必要に応じて炭素源としてグ
ルコース、澱粉、グリセリン等を加えることができる。
この培地には無機塩類、例えばリ酸二カリウム、塩化ナ
トリウム、硫酸マグネシュウム等を加えることが好まし
い。また、酵素の誘導物質となりうる少量のD−アミノ
酸アミドを添加することも好ましい。D−アミノ酸アミ
ドの添加料は基礎培地の組成、培養する菌株の性質によ
り異なるが、およそ0.01〜5%である。
培養は固体培地又は液体培地のいずれを用いてもよい
が、目的酵素を多量に得るためには、液体培地を用い、
振盪培養、通気・撹拌培養等により好気的条件下で培養
を行なうのが好ましい。培養温度は菌が成育し、アミノ
ペプチダーゼが生産される温度範囲内であればいずれの
温度でも良いが、好ましくは25〜45℃である。pHは5〜
11、好ましくは6〜10の範囲である。培養時間は酵素活
性が発現される時間を選べば良いが好ましくは6〜72時
間である。
次に得られた培養物から本発明のアミノペプチダーゼが
採用されるが、精製法として通常の酵素精製法を用いる
ことが出来る。遠心分離等によって、粗酵素を得、さら
にこれに硫酸プロタミン又は硫酸ストレプトマイシンを
加えて処理を行ない、塩折、有機溶媒沈澱、吸着クロマ
トグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィー等を行ない、さらに硫酸アンモニウム等の塩やポリ
エチレングリコール等の添加による結晶化等の公知の方
法によって均一の結晶酵素標品を単離することが出来
る。
この方法において使用されるアミノペプチダーゼの使用
形態は特に限定されない。例えば、精製された酵素を使
用することができるのは、無論のこと、細胞を含有する
培養液、培養生菌体、アセトン等によって脱水処理され
た風乾菌体、菌体破砕物、種々の段階まで精製された部
分精製物を使用することが出来る。さらにこれらの酵素
またはまたは酵素含有をポリアクリルアミド、光架橋性
樹脂、ポリウレタン樹脂、カッパカラギーナン、アルギ
ン酸ナトリウム、イオン交換樹脂、半透膜、高分子酵素
修飾剤等により固定化したものを使用することが出来
る。
(3)力価の測定法 本発明においては次の方法により力価を測定した。トリ
ス−HCl(pH8.0)50μmol、D−アラニンアミド5μmo
l、及び適当料のサンプルを0.5mlになるように混合し、
30℃において10分間反応せしめた後、沸騰水中に3分間
浸して反応を停止し、生成したD−アラニンを以下の方
法によって定量した。すなわち、上記反応液0.5mlに、
フェノール10.6μmol、4−アミノアンチピリン0.79μm
ol、パーオキシダーゼ5単位を加えて、1.5mlとし、30
℃において5分間保温した後、D−アミノ酸オキシダー
ゼを0.144単位加えて1.6mlとし、37℃において60分間振
盪した。これを沸騰水中に3分間浸して反応を停止し、
500nmにおける吸光度を測定して、検量線より反応液中
のD−アラニン量を求めた。1分間当り1μmolのD−
アラニンを生成する酵素量を1単位とした。
D−アラニン−p−ニトロアニリドを基質とするアミノ
ペプチダーゼ活性は次のように測定した。すなわち、D
−アラニン−p−ニトロアニリド10μmol、リン酸緩衝
液(pH7.0)100μmol及び酵素を含む反応液1mlを30℃に
おいて10分間保温した後、405nmにおける吸光度を測定
して、p−ニトロアニリンの吸光係数から反応液中のD
−アラニン量を求めた。一方L−アラニンアミドに対す
る酵素活性は、次のように測定した。すなわち、L−ア
ラニンアミド5μmol、トリス−塩酸(pH8.0)50μmo
l、及び酵素を含む反応液0.5mlを30℃において10分間保
温した後、沸騰水中に3分間浸して反応を停止し、生成
したL−アラニンを以下の方法によって定量した。すな
わち、グリシン−KCl−KOH(pH10.4)100μmol,NAD+2.5
μmol、上記反応液及びL−アラニン脱水素酵素0.5単位
を含む反応液1mlを30℃において5分間保温し、生成し
たNADHに由来する340nmにおける吸光度の増加を分光光
度計により測定して、検量線より反応液中のL−アラニ
ン量を求めた。1分間当り1μmolのL−アラニンを生
成する酵素量を1単位とした。
(4)酵素の性質 本発明のアミノペプチダーゼの1例として、SCRC C1−3
8により生産されるアミノペプチダーゼは次の性質を有
する。
(1) 作用:次式のに示す反応を触媒する。
D−アミノ酸アミド+H2O →D−アミノ酸+NH3 (2) 基質特異性:本酵素は、D−アラニンアミドを
最も良好な基質とする。N末端が遊離であるD−アラニ
ンとアンモニアとのアミド及び、D−アラニンと各種ア
ルキルアミンとのアミド、D−アラニンのエステル、並
びに、ペプチド等が基質となる。この1例を次の第2表
に示す。
(3) 至適pH:pH8.5付近が至適である。
(4) pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中、30℃に
て1時間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0
〜10.0付近が安定である。
(5) 至適温度:45℃付近における活性が最大であ
る。
(6) 温度安定性:0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)中、各
温度において10分間処理した後の残存活性を測定したと
ころ、45℃で80%の活性が残存していた。
(7) 吸収スペクトル:281nmに極大吸収を有する。
(8) 金属イオン、阻害剤の影響:銀、水銀等の金属
イオン及びRCMB等のSH阻害剤によって活性が阻害され
る。
(9) 等電点:アンホラインを用いる焦点電気泳動に
より測定した場合、約4.2である。
(10) 分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSKG30
00SW)により約122,000と算出される。
(11) サブユニットの分子量:SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動により約59,000と算出される。
(12) 均一性:高速液体クロマトグラフィー(TSK Ph
enyl−5PW)により第5図Aに示す如く単一ピークを与
える。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(1
0.0%,pH7.2)により第1図に示す如く単一にバンドを
与える。
(5) D−アミノ酸の製造 本発明はまた、D−アミノ酸の製造方法を提供する。こ
の方法においては、アミノペプチダーゼ、 又はそれを含有する物を使用してD−アミノ酸の誘導体
をD−アミノ酸に転換し、このD−アミノ酸を採取す
る。
本発明のアミノペプチダーゼは次の反応: を触媒することができ、この反応を利用してD−アミノ
酸誘導体からD−アミノ酸を製造することができる。
本発明の方法はD−アラニンの製造のため最も効果的に
利用することができるが、D−2−アミノ酪酸、D−バ
リン、D−ノルバリン、D−フェニルグリシン、D−ホ
モフェニルアラニン等の製造のためにも適用することが
できる。
基質としてのD−アミノ酸誘導体として、前記反応式
(I)中のXの種類に応じて、D−アミノ酸アミド、N
−置換D−アミノ酸アミド、D−アミノ酸エステル、N
−末端がD−アミノ酸であるペプチド等を使用すること
ができる。N−置換D−アミノ酸の置換基の代表的なも
のとしては低級アルキル基、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基等が挙げられ、従って基質としてD−ア
ミノ酸N−低級アルキルアミド、例えばD−アミノ酸−
N−メチルアミド、−N−エチルアミド、−N−プロピ
ルアミド等を使用することができる。さらに、N−置換
基として芳香族基を含有する基を有する誘導体、その他
第2表に示した種々のアミドを使用することができる。
基質エステルとしては、例えばD−アミノ酸のα−カル
ボキシル基が低級アルカノールによりエステル化された
もの、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピ
ルエステル等を使用することができる。基質ペチドとし
ては、D−アミノ酸−Gly、D−アミノ酸−D−Ala−D
−Ala、D−アミノ酸−L−Ala−L−Ala等、第2表に
示した種々のペプチドを使用することができる。
しかしながら、D−アミノ酸を工業的に製造するために
は安価な基質を用いることが好ましく、このためにはN
−非置換D−アミノ酸アミド、例えばD−アラニンアミ
ド、D−2−酪酸アミド等を用いるのが好ましい。本発
明に用いられるD−アミノ酸アミドは、例えば、公知の
方法に従ってそれぞれのD−アミノ酸メチルエステルを
合成し、続いて、アンモニアガスと反応せしめるか、あ
るいは、ストレッカー法により合成したα−アミノニト
リルを化学的あるいは酵素的に水和して得ることができ
る。また、DL−アミノ酸アミドの酵素による光学分割の
際に副生するD−アミノ酸アミドを用いることもでき
る。
原料としては前記のD−アミノ酸誘導体のみならず、D
−アミノ酸誘導体とD−アミノ酸誘導体とのL−アミノ
酸誘導体との混合物を使用することもできる。この混合
物を使用する場合、本発明の方法によれば、D−アミノ
酸誘導体が立体特異的にD−アミノ酸に転換され、D,L
−アミノ酸誘導体混合物を原料として立体異性的に純粋
なD−アミノ酸を容易に製造することができる。
本発明の方法おいては、反応触媒としてアミノペプチダ
ーゼ又はその含有物を使用する。ここで、アミノペプチ
ダーゼとは、前記のごとき基質にD立体異性的に作用し
てD−アミノ酸を生成する酵素を意味し、アミノペプチ
ダーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、エステラーゼ、
アシダーゼ、アミラーゼ、等と通称するされるものを含
む。この様な酵素として、前記のごとき微生物により生
産される酵素を挙げることができる。しかしながら、本
発明の方法においては、純粋に単離された酵素のほか
に、アミノペプチダーゼの酵素活性を有する任意の材料
を使用することができる。この様な酵素活性材料とし
て、例べば前に挙げた微生物のブロス、すなわち培養菌
体と倍地との混合物、分離された培養菌体、培養上清、
菌体処理物等を使用することができる。菌体処理物とし
ては、乾燥菌体、アセトン、エタノールのごとき溶剤で
処理された乾燥菌体、菌体破砕物、酵素の製造方法の項
(2)で記載した酵素の精製過程の任意の段階で得られ
る部分精製物、等が挙げられる。また、前記の菌体又は
種々の菌体処理物を常用の酵素固定化法により固定した
固定化酵素品を使用することもできる。固定化担体は、
ポリアクリルアミド、光架橋性樹脂、ポリウレタン樹
脂、カッパカラギーナン、アルギン酸ナトリウム、イオ
ン交換樹脂、高分子酵素修飾剤、あるいは半透膜等を用
いることができる。
工業的な実施にあたっては、生菌体、固定化菌体等を用
いるのが有利である。
反応液中のアミノペプチダーゼの量は基質、例えばD−
アミノ酸アミドの濃度等によって異なり特に限定されな
いが、通常1〜100,000単位とするのが便利である。
原料のD−アミノ酸誘導体、例えばアミドの添加量は、
反応液中の前記酵素の濃度等により異なり、反応を阻害
しない程度であれば特に限定されないが、1〜500g/lと
するのが便利である。低濃度で使用する場合には遊離塩
基の形で使用することができるが、比較的高濃度で使用
する場合には例えば、塩酸塩やトシル酸塩等の形で使用
するのがpH調整の観点から好ましい。D−アミノ酸誘導
体もしくはその含有物又はその塩はバッチ式反応におい
ては反応開始時に一度に添加することもでき、又反応の
進行と共に複数回に分割して、もしくは連続的に添加す
ることもできる。
反応媒体としては、水、アセトン、アセニトリル、DMS
O,DMF等を含む緩衝作用を有する水溶液を用いることが
できる。緩衝液としては、例えば、トリス−HCl緩衝
液、リン酸緩衝液、イミダゾール−HCl緩衝液、HEPES−
NaOH緩衝液、TRICINE−NaOH緩衝液、炭酸ナトリウム−
炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸−NaOH緩衝液等を使
用することができる。また、ケトン、エーテル、炭化水
素、芳香族オレフィン、ハロゲン化炭化水素、有機酸エ
ステル、アルコール、ニトリル等水と混合しない有機溶
媒をも用いることもできる。例えば、メチルブチルケト
ン、イソプロピルエーテル、石油エーテル、ヘキサン、
ヘプタン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロフォル
ム、二塩化メチレン、トリクロロエタン、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチリ、ブタノー
ル、ヘキサノール、オクタノール等を水と共存させて使
用することができる。また、それらの有機溶媒の混合物
を使うこともできるし、水を飽和させた有機溶媒、緩衝
作用を有する水溶液との二層系あるいは、ミセル、逆ミ
セル、エマルジョンして反応させることもできる。
反応のpHとしては、pH5〜11、好ましくはpH6〜10とす
る。
反応の温度も反応のpHと同様に考えることができるが、
通常は20〜60℃、好ましくは25〜50℃である。
反応時間は、特に限定されないが、反応混合物の基質濃
度、酵素力価等、に依存して基質D−アミノ酸アミド含
有物が充分な収率でD−アミノ酸に転換するまで反応を
維持する。
生成したD−アミノ酸は任意に常法によって精製採取す
ることができる。例えば、反応終了後に、トリクロロ酢
酸を加えて蛋白質沈澱せしめ、菌体(存在する場合に
は)と共に濾過し、瀘液からイオン交換樹脂等により精
製し、結晶化する。
(6) D−アミノ酸N−置換アミドの製造法 本発明はさらに、D−アミノ酸N−置換アミドの製造方
法を提供する。この方法においては、アミノペプチダー
ゼ又はそれを含有する物の存在下でD−アミノ酸の誘導
体とN−置換アミンとを反応せしめることによりD−ア
ミノ酸N−置換アミドを生成せしめ、これを採取する。
本発明のアミノペプチダーゼは次の可逆反応: を触媒することができ、この反応を利用してD−アミノ
酸N−置換アミドを製造することができる。
この方法は、D−アラニンN−置換アミドの製造のため
に最も効果的に利用することができるが、D−アミノ酸
部分が例えばD−2−アミノ酪酸、D−バリン、D−ノ
ルバリン、D−フェニルグリシン等であるD−アミノ酸
N−置換アミドの製造のためにも使用することができ
る。
基質であるD−アミノ酸誘導体としては、D−アミノ酸
の製造方法(5)において記載したD−アミノ酸誘導体
を使用することができ、反応性の観点から、D−アミノ
酸のエステル、例えばメチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル等が好ましい。気質原料として
は、前記のごときD−アミノ酸誘導体を使用することが
でき、またこれらのD−アミノ酸誘導体とL−アミノ酸
誘導体との混合物を使用することができる。D,L−混合
物を使用する場合、酵素がD立体特異的に作用して、D
−アミノ酸N−置換アミドが選択的に生成する。
もう一方の基質であるアミンとしては、一級炭素、二級
炭素又は三級炭素にアミノ基が結合したアミンが使用さ
れる。N−置換基としてはアルキル基、シクロアルキル
基、シクロアルキル−アルキル基、アリール基、アラル
キル基、複素環基等が挙げられる。アルキル基は例えば
直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、3−ペンチル基等を包含する、炭素原子数1
〜20個のアルキル基であることができる。またシクロア
ルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基等が挙げられる。シクロアキルシ−アルキル基として
は、後えばジシクロプロピルメチル基、フェンチル基、
t−ブチルシクロプロピルメチル基等が挙げられる。ま
た、アリール基としては、例えばフェニル基が挙げら
れ、アラルキル基としてはベンジル基が挙げられる。複
素環基としては例えばテトラヒドロチオフェン−3イン
基、チエタン−3−イル基、テトラメチル−1,1−ジオ
キソエタン−3−イル基等が挙げられる。これらの基は
さらに他の置換基により置換されていてもよい。
この方法において使用する酵素又はその含有物として
は、D−アミノ酸の製造方法(5)において記載した種
々の形態のものを使用することができる。
反応媒体としては、D−アミノ酸の製造方法(5)にお
いて記載した種々の媒体を使用することができる。D−
アミノ酸N−置換アミド合成反応において基質のアミノ
酸エステルや生成物のD−アミノ酸N−置換アミドが、
酵素的、非酵素的に加水分解を受ける可能性であるの
で、水の存在を極力少なくした方がよく、有機溶媒中で
の反応が特に望ましい。
基質であるD−アミノ酸誘導体及びアミンの添加量は、
反応液中の前記酵素の濃度等により異なり、反応を阻害
しない程度であれば特に限定されないが、1〜500g/lと
するのが便利である。低濃度で使用する場合には遊離塩
基の形で使用することができるできるが、比較的高濃度
で使用する場合には例えば、塩酸塩やトシル酸塩等の形
で使用するのがpH調整の観点から好ましい。基質は、バ
ッチ式反応においては反応開始時に一度に添加するとも
でき、又反応の進行と共に複数回に分解して、もしくは
連続的に添加することもできる。
反応のpHとしては、pH5〜11、好ましくはpH6〜10とす
る。
反応の温度も反応のpHと同様に考えることができるが、
通常は20〜60℃、好ましくは25〜50℃である。
反応時間は、特に限定されないが、反応混合物の基質濃
度、酵素力価等に依存して基質アミノ酸アミドあるいは
アミノ酸エステルが充分な収率でD−アミノ酸N−置換
アミドに転換されるまで反応を維持する。
生成したD−アミノ酸N−置換アミドは任意に常法によ
って精製採取することができる。例えば、反応終了後
に、菌体や固定化した酵素剤(存在する場合には)を濾
過し、瀘液中に含まれるD−アミノ酸N−置換アミドを
溶媒抽出やイオン交換樹脂等により精製し、結晶化す
る。
次に実施例によりこの発明をさらに具体的に説明する。
実施例1.アクロモバクターsp.SCRC C1−38からのアミノ
ペプチダーゼの精製 グルコース0.1%、トリプトン0.5%、酵母エキス0.5
%、K2HPO40.1%を含有し、pH7.0に調製した培地10リッ
ターを120℃、15分間加熱殺菌した。これにアクロモバ
クターsp.SCRC C1−38(微工研菌寄第9916号)を接種
し、30℃で約18時間振とう培養して湿重量90gの菌体を
得た。菌体を生理的食塩水で洗浄した後、0.1mM EDTA及
び5mM2−メルカプトエタノールを含むリン酸緩衝液(pH
7.0)300mlに懸濁し、9KHzにおける超音波処理を約20分
(計約2.5時間)行ない菌体を破砕した。破砕菌体は14,
000×g、20分間の遠心分離で除去し、アミノペプチダ
ーゼを含む素抽出液を得た。この無細胞抽出液にプロタ
ミン硫酸を3.8g加えて、30分撹拌した後、14,000×g、
20分間の遠心分離で沈澱を除去した。この上清に固形硫
酸アンモニウムを加え、30%硫酸アンモニウム飽和とし
た。30分撹拌の後、生成した沈澱を14,000×gで20分間
の遠心分離で除去した。この上清に固形硫酸アンモニウ
ムを加え90%硫酸アンモニウム飽和としてた。14,000×
gで20分間の遠心分離で得られる、酵素活性を有する沈
澱を少量の0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、さら
に0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを含
む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析した。酵素液をあ
らかじめ0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノー
ルを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE
−トヨパール650Mのカラムに通過させ、0.1mMのEDTA、5
mMの2−メルカプトエタノール、及び0.1MのNaClを含む
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。活性区分を集
め、0.1mMをEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを
含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)透析後、あらかじめ同
じ緩衝液で平衡化したヒドロキシアパタイトのカラムに
通過させ、0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノ
ールを含む0.01Mから0.5Mリン酸緩衝液(pH7.0)の直線
的な濃度勾配で酵素を溶出させた。この活性区分を集
め、30%飽和となるように硫安を加えた後、あらかじめ
0.1mMのEDTA、5mMの2−メルカプトエタノール、及び30
%飽和の硫安を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したブチルトヨパールのカラムに通過させ、0.1mMのE
DTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを含む30%から
0%飽和の硫安の含む0.01M酸緩衝液(pH7.0)の直線的
濃度勾配を酵素を溶出させた。活性区分を集め、0.1mM
のEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを含む0.01M
リン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、約3mlに濃縮し、0.1m
MのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノール及び0.1M N
aClを含む0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したセ
ファデックスG−200によるゲル濾過クロマトグラフィ
ーを行なった。こうして、アミノペプチダーゼを約4,40
0倍に精製した。この精製過程における比活性を第3表
に示す。
この酵素はPheny−5PWカラムクロマトグラフィーにより
単一のピークを与え(第1図)、及びSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動において均一であることが証明さ
れた(第2図)。
実施例2.アクロモバクターsp.SCRS C1−38からのアミノ
ペプチダーゼの部分精製 グルコール0.1%、トリプトン0.5%、酵母エキス0.5
%、K2HPO40.1%を含有し、pH7.0に調製した培地20リッ
ターを120℃、15分間加熱殺菌した。これにアクロモバ
クターsp.SCRC C1−38(微工研菌寄第9916号)を接種
し、 30℃で約18時間振とう培養とし湿重量約186gの菌体を得
た。菌体を生理的食塩水で洗浄した後、0.1mM EDTA及び
5mM2−メルカプトエタノールを含むリン酸緩衝液(pH7.
0)300mlに懸濁し、9KHzにおける超音波処理を約20分
(計約5時間)行ない菌体を破砕した。破砕菌体は14,0
00×g、20分間の遠心分離で除去し、アミノペプチダー
ゼを含む素抽出液を得た。この無細胞抽出液にプロタミ
ン硫酸を7.6g加えて、30分撹拌した後、14,000×g、20
分間の遠心分離で沈澱を除去した。この上清に固形硫酸
アンモニウムを加え30%硫酸アンモニウム飽和とした。
30分撹拌の後、精製した沈澱を14,000×gで20分間の遠
心分離で除去した。この上清に固形硫酸アンモニウムを
加え90%硫酸アンモニウム飽和とした。14,000×gで20
分間の遠心分離で得られる、酵素活性を有する沈澱を少
量の0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、さらに0.1m
MのEDTAH及び5mMの2−メルカプトエタノールを含む0.0
1Mリ酸緩衝液(pH7.0)で透析した。この酵素液をあら
かじめ0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノール
を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化DEAE−トヨ
パール650Mのカラムに通過させ、0.1mMのEDTA、5mMの2
−メルカプトエタノール、及び0.1MのNaClを含む0.01M
リン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。活性区分を集め、3
0%飽和となるように硫安を加えた後、あらかじめ0.1mM
のEDTA、5mMの2−メルカプトエタノール、及び30%飽
和の硫安を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化し
たブチルトヨパールのカラム通過させ、0.1mMのEDTA及
び5mMの2−メルカプトエタノールを含む30%から0%
の飽和の硫安を0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)の直線的な
濃度勾配で酵素を溶出させた。
活性区分を集め、0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析し
た。こうして、アミノペプチダーゼを約1,500倍に、収
率ほぼ100%で部分精製した。この精製過程に比活性及
び回収率を第4表に示す。
実施例3.アクロモバクターsp.SCRC C1−38の部分精製酵
素によるDL−アラニンアミドからのD−アラニンの合成 DL−アラニンアミド塩酸塩934mg(0.0075mol)を0.2Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)75mlに溶解し、0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で透析したアミノペプチダーゼ210単位(実施
例2において部分精製した比活性30単位/mgの酵素)を
加えて、37℃で1時間保温した。反応液中に生成したD
−アラニンをアンバーライト IRA−400(Cl-)カラムに
吸着させ、水洗後、1N塩酸で溶出させた。この溶液を減
圧下濃縮し、Dowex 50W×8(H+)カラムに吸着させ、
水洗後、1Nアンモニア水で溶出させた。減圧下濃縮し、
D−アラニを313mg(46.9%)得た。得られたD−アラ
ニンは水−メタノール−イソプロピルアルコール−エー
テルで再結晶し、市販のD−アラニンとスペクトルデー
タを比較した。
比施光度 〔α〕=−14.15゜(c=6.6,1N HCl)(標
品▲〔α〕20 D▼=−14〜−15゜(c=6,1H HCl))。
mp 289〜291℃(標品291〜293℃)。
MS,m/e 44(21%),57(22%),75(29%),90(100
%,M+)。
元素分析値 計算値 実測値 C 40.44 40.24 H 7.92 8.12 N 15.72 15.55 グルコース0.1%、トリプトン0.5%、酵母エキス0.5
%、K2HPO40.1%を含有し、pH7.0に調製した培地200ml
を120℃、15分間加熱殺菌した後、フラボバクテリウム
・スアベロレンズIFO3752を接種し、20時間培養した。
菌体を生理的食塩水で洗浄した後、実施例1と同様にし
て菌体を破砕し、破砕菌体を遠心により除去した。上清
を0.01Mリン酸緩衝液に1晩透析し、無細胞抽出液を得
た。
DL−アラニンアミド塩酸塩2.49mg(20μmol)、リン酸
緩衝液(pH7.0)100μmol、上記無細胞抽出液200μl、
D−シクロセリン10μmolを1ml中に含む反応液を30℃で
10分反応させた。煮沸により反応液中に含まれるD−ア
ラニンをD−アミン酸酸化酵素を用いて定量したところ
0.46μmolのD−アラニンを含んでいた。一方反応液中
に含まれるL−アラニンをL−アミノ酸脱水素酵素を用
いて定量したところ0.048μmolのL−アラニンを含んで
いた。
実施例4.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の部分生
成酵素を用いる水中でのD−アラニン−3−アミノペン
タンアミドの合成 D−アラニンメチルエステル塩酸塩0.1mmol、3−アミ
ノペンタン0.5mmol、アミノペプチダーゼ13.2単位(実
施例2において部分精製した比活性30単位/mgの酵素)
を水1ml中に含む反応液を30℃で保温した。反応液中に
生成したアミノ酸アミドは、常法によりペーパークロマ
トグラフィーを行い、ニンヒドリン噴霧により発色さ
せ、スポットを抽出した後、別途化学合成したアミノ酸
アミド標準サンプルとして作成した検量線より定量し
た。その結果、反応時間7.5分を経過した時、収率78%
で、D−アラニン−3−アミノペンタンアミドが生成し
ていた。
実施例5.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定化
酵素を用いる水中でのD−アラニン−3−アミノペンタ
ンアミドの合成 アクロモクターsp.SCRC C1−38由来の酵素をフクイとタ
ナカ(Advance in Biochemical Engineering/Biotechno
logy 29,1(1984))の方法に従って光架橋性樹脂ENTG
−3800でフィルム状に固定化し、さらに細かく裁断し
た。D−アラニンメチルエステル塩酸塩0.1mmol、3−
アミノペンタン0.5mmol、アミノペチダーゼ0.94単位
(実施例2において部分精製し比活性30単位/mgの酵
素)を含む固定化酵素0.5g加えて反応液1mlとし、30℃
で保温した。反応120分後、実施例4の方法に従って定
量したところ、反応液中には、収率24%でD−アラニン
−3−アミノペンタンアミドが生成していた。
同様に、光架橋性樹脂ENTP−2000で固定化した酵素を用
いて、反応180分後、収率33%でD−アラニン−3−ア
ミノペンタンアミドを合成した。
同様に、ウレタン樹脂PU−6で固定化した酵素(1.6単
位)を用いて、上記の反応組成で60分反応したところ、
収率29%でD−アラニン−3−アミノペンタンアミドが
合成できた。
実施例6.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定化
酵素を用いる有機溶媒中でのD−アラニン−3−アミノ
ペンタンアミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の酵素をフクイと
タナカ(Advance in Biochemical Engineering/Biotech
nology 29,1(1984))の方法に従ってウレタン樹脂PU
−6で固定化し、さらに細かく裁断した。D−アラニン
メチルエステル塩酸塩0.1mmol、3−アミノペンタン0.5
mmol、アミノペプチダーゼ1.6単位(実施例2において
部分精製した比活性30単位/mgの酵素)を含む固定化酵
素0.2gを酢酸ブチル、ベンゼン、トリクロロエタン、ト
ルエン、及びイソプロピルエーテルのそれぞれ水飽和溶
液のうち1種、1ml中に加え、30℃で保温した。反応60
分後にD−アラニン−3−アミノペンタンアミドは収率
それぞれ、100,100,90,62,22%で合成された。
実施例7.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定化
酵素を用いる有機溶媒中でのD−アラニン−3−アミノ
ペンタンアミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の酵素をウレタン
樹脂PU−6で固定化し、さらに細かく裁断した。D−ア
ラニンメチルエステル塩酸塩、DL−アラニンメチルエス
テル塩酸塩、L−アラニンメチルエステル塩酸塩の内い
ずれかを0.1mmol、3−アミノペンタン0.5mmol、アミノ
ペプチダーゼ1.6単位(実施例2において部分精製した
比活性30単位/mgの酵素)を含む固定化酵素0.2gと共に
酢酸ブチル水飽和溶液1ml中に加え、30℃で保温した。
D−アラニンメチルエステル塩酸塩を基質とした反応液
では120分後、収率95%でD−アラニン−3−アミノペ
ンタンアミドが生成していた。
DL−アラニンメチルエステル塩酸塩を基質とした反応液
では12時間後、収率50%でD−アラニン−3−アミノペ
ンタンアミドが生成していた。L−アラニンメチルエス
テル塩酸塩を基質とした反応液では12時間後でも全くD
−アラニン−3−アミノペンタンアミドが生成しなかっ
た。
アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の酵素をPU−6ウ
レタンプレポリマーで固定化し、0.1MのDL−アラニンメ
チルエステル塩酸塩及び0.5Mの3−アミノペンタンを含
む、水飽和の酢酸ブチル10mlに2.0g加え、30℃で6時間
振とうした。反応液を減圧濃縮し、4N HCl/酢酸エチル
を加えて塩酸塩とした。無水硫酸マグネシウムで乾燥
し、濃縮後、縮合生成物を単一に精製し、87.9mg(収率
45.2%、理論収率90.4%)得た。
生成物はさらにトリエチルアミン存在下、(Boc)2OでB
oc化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane
/酢酸エチル=1/1)で精製しBoc−D−Ala−NH を105mg得た。
得られたBoc化D−アラニン−3−アミノペンタンアミ
ドはスペクトルデータに於いて標品のそれとよく一致し
た。
比旋光度 ▲〔α〕20 D▼=+50.56゜(c=1.25,CHC
l3)(標品▲〔α〕20 D▼+50.90゜(c=1.21,CHC
l3)。
実施例8.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定化
菌体を用いる有機溶媒中でのD−アラニン−3−アミノ
ペンタンアミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−38の生菌体200mg(0.042
単位)の光架橋性樹脂ENTG−3800固定化物、D−アラニ
ンメチルエステル塩酸塩0.1mmol、3−アミノペンタン
0.5mmolを含む水飽和の酢酸ブチルからなる反応液1ml
を、30℃で保温したところ、240分後に、収率38%でD
−アラニン−3−アミノペンタンアミドが合成できた。
実施例9.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来のアセト
ン乾燥菌体を用いる有機溶媒中でのD−アラニン−3−
アミノペンタンアミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−38のアセトン乾燥菌体10
0mg(4単位)、D−アラニンメチルエステル塩酸塩0.1
mmol、3−アミノペンタン0.5mmolを含む水飽和の酢酸
ブチルからなる反応液1mlを、30℃で保温したところ、2
40分後に、収率5%でD−アラニン−3−アミノペンタ
ンアミドが合成できた。
実施例10.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定
化酵素を用いる有機溶媒中での各種D−アラニンN−置
換−アミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−3由来の酵素(実施例2
において部分精製した比活性30単位/mgの酵素)をウレ
タン樹脂PU−6で固定化し、さらに細かく裁断した。D
−アラニンメチルエステル塩酸塩0.1mmol、n−ブチル
アミン、あるいはベンジルアミンの内1種0.5mmol、ア
ミンペプチダーゼ1.6単位を含む固定化酵素0.2gを酢酸
ブチル水泡和溶液1ml中に加え、30℃で8時間保温し
た。D−アラニンn−ブチルアミド、D−アラニンベン
ジルアミドの収率は、それぞれ、70、及び14%であっ
た。なお、収率は別途合成したD−アラニンアルキルア
ミドと対照として算出した。すなわち、サンプルを常法
によりダンシル化し、これをヘキサンを溶媒とする下降
法でペーパークロマトグラフィーを行い、蛍光を発する
スポットを切取り、メタノール抽出して205nmにおける
吸光度から検量線を作成して算出した。
実施例11.アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の固定
化酵素を用いる有機溶媒中でのD−アラニン−3−アミ
ノペンタンアミドの合成 アクロモバクターsp.SCRC C1−38由来の酵素をウレタン
樹脂PU−6で固定化し、さらに細かく裁断した。D−ア
ラニンアミド塩酸塩、DL−アラニンアミド塩酸塩、L−
アラニンアミド塩酸塩の内いずれかを0.1mmol、3−ア
ミノペンタン0.5mmol、アミノペプチダーゼ1.6単位(実
施例2において部分精製した比活性30単位/cmの酵素)
を含む固定化酵素0.2gと共に酢酸ブチル水飽和溶液1ml
中に加え、30℃で保温した。D−アラニンアミド塩酸塩
を基質とした反応液では480分後、収率97%でD−アラ
ニン−3−アミノペンタンアミドが生成していた。DL−
アラニンアミド塩酸塩を基質とした反応液では600分
後、収率48%でD−アラニン−3−アミノペンタンアミ
ドが生成していた。L−アラニンアミド塩酸塩を基質と
した反応液では24時間後でも全くD−アラニン−3−ア
ミノペンタンアミドが生成しなかった。
実施例12 グリセロール0.1%、トリプトン0.5%、酵母エキス0.5
%、K2HPO40.1%D−アラニンアミド塩酸塩を含有し、p
H7.0に調製した培地100mlを、15分間加熱殺菌した後、
各種の菌株を接種し、30℃で約16時間振とう培養した。
菌体を生理的食塩水で洗浄した後、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)に懸濁し、9KHzにおける超音波処理を5分間
行なった。破砕菌体を遠心分離で除去し、素抽出液を得
た。この素抽出液を0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)に対し
て4℃で1晩透析した。このようにして得た酵素液中の
D−アラニン−p−ニトロアニリドおよびL−アラニン
アミドに対するアミノペプチダーゼ活性を「〔具体的な
説明〕(3)力価を測定」に記した方法で測定した。そ
の結果を第5表に記す。
参考例1. 人工甘味料の合成 (i)β−ベンジルオキシ−N−ベンジルオキシカルボ
ニル−L−アスパルチル−D−アラニン−3−アミノペ
ンタンアミドの合成 酵素反応により合成したD−アラニン−3−アミノペン
タンアミド・塩酸塩85mg(0.568mmol)及び (β−ベンジルオキシ−Nルオキシカルボニル−L−ア
スパラギン酸)203mg(0.57mmol)をアルゴン雰囲気DMF
10mlに溶解させた。反応混合物に水冷下1−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール77mg(0.57mmol)及びN−メチルモ
ルホリン57.6mg(0.57mmol)を加えた。次いで反応液を
−20℃に冷却し、ジシクロヘキシカルボジイミド118mg
(0.57mmol)のDMF溶液5mlを滴下した。室温まで徐々に
昇温し、一晩撹拌後、生成したジシクロヘキシル尿素を
濾別した。反応液を減圧下濃縮し、塩化メチレンを加
え、さらに生じた結晶を濾別した。塩化メチレン層を5
%炭酸水素ナトリウム、水、2規定塩酸、水、次いで飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥及び活
性炭で脱色を行なった。溶媒を留去後、塩化メチレン−
ヘキサンで再結晶を行ない、無色結晶を244mg(86.4
%)を得た (ii)L−アスパルチル−D−アラニン−3−アミノペ
ンタンアミドの合成 アルゴン雰囲気下、2保護ジペプチド252mg(0.497mmo
l)をメタノール(15ml)に溶解し、10%Pd−C(10m
g)を加え、水素置換をした。一晩室温で撹拌後、生成
物をセライトで濾過し、減圧濃縮し、水−メタノールよ
り再結晶すると無色固体のジプペチド133mg(99.8%)
を単一品として得た。
比旋光度▲〔α〕20 D▼+26.92゜(c=1.30CH3OH)。
mp.221〜223℃。
MS,m/e 29(26%),44(100%),57(24%),88(46
%),159(26%),274(5%,M+) 元素分析値 計算値 実測値 C 52.73 53.16 H 8.48 8.40 N 15.37 14.99
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の精製酵素のPhenyl−5PWカラムクロマ
トグラフィーの溶出プロフィールを示し、本発明の酵素
が均一であることを示すものである。 第2図は本発明の精製酵素のSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動の結果をスケッチしたものであり、本発明
の酵素が均一であることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/48 C12R 1:07) (C12N 9/48 C12R 1:265) (C12N 9/48 C12R 1:38) (C12N 9/48 C12R 1:32) (C12N 9/48 C12R 1:06) (C12N 9/48 C12R 1:465) (C12N 9/48 C12R 1:01)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の性質: (1)作用:次式に示す反応を触媒する: D−アミノ酸アミド+H2O →D−アミノ酸+NH3 (2)基質特異性:D−アラニンアミドが良好な基質であ
    り、N末端が遊離であるD−アラニンとアンモニアとの
    アミド、D−アラニンと各種アルキルアミンとのアミ
    ド、D−アラニンのエステル等が基質となる: (3)至適pH:pH8.5付近が至適である: (4)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中、30℃にて
    1時間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0〜1
    0.0付近がある: (5)至適温度:45℃付近における活性が最大である:
    及び (6)分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSKG3000
    SW)により約122,000と算出される: を有するアミノペプチダーゼ。
  2. 【請求項2】アクロモバクター(Achromobacter)属、
    コリネバクテリウム(Corynebacteriumu)属、フラボバ
    クテリウム(Flavobacterium)属、バシルス属(Bacill
    us)、ミクロコッカス(Micrococcus)属、セルロモナ
    ス(Cellulomonas)属、シュードモナス(Pseudomona
    s)属、プロタミノバクター(Protaminobacter)属、マ
    イコバクテリウム(Mycobacterium)属、アルスロバク
    ター(Arthrobacter)属、又はストレプトマイセス(St
    reptomyces)属細菌の培養物、菌体、又は菌体処理物を
    N−置換されている場合があるD−アミノ酸アミド、N
    末端がD−アミノ酸であるペプチド、もしくはD−アミ
    ノ酸エステル、又はこれらの塩、あるいはこれらと、対
    応するL−アミノ酸誘導体との混合物に作用させて立体
    特異的にD−アミノ酸を生成せしめることを特徴とする
    D−アミノ酸の製造方法。
  3. 【請求項3】アクロモバクター(Achromobacter)属、
    コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、フラボバ
    クテリウム(Flavobacterium)属、バシルス属(Bacill
    us)、ミクロコッカス(Micrococcus)属、セルロモナ
    ス(Cellulomonas)属、シュードモナス(Pseudomona
    s)属、プロタミノバクター(Protaminobacter)属、マ
    イコバクテリウム(Mycobacterium)属、アルスロバク
    ター(Arthrobacter)属、又はストレプトマイセス(St
    reptomyces)属細菌の培養物、菌体、又は菌体処理物の
    存在下で、N−置換されている場合があるD−アミノ酸
    アミド、N末端がD−アミノ酸であるペプチド、もしく
    はD−アミノ酸エステル、又はこれらの塩、あるいはこ
    れらと、対応するL−アミノ酸誘導体との混合物と、ア
    ミン又はその塩とを反応せしめて立体特異的にD−アミ
    ノ酸N−置換アミド又はその塩を生成せしめることを特
    徴とするD−アミノ酸N−置換アミドの製造方法。
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