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JPH0682446A - 腎疾患の診断法 - Google Patents

腎疾患の診断法

Info

Publication number
JPH0682446A
JPH0682446A JP25347792A JP25347792A JPH0682446A JP H0682446 A JPH0682446 A JP H0682446A JP 25347792 A JP25347792 A JP 25347792A JP 25347792 A JP25347792 A JP 25347792A JP H0682446 A JPH0682446 A JP H0682446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
albumin
urine
degradation product
human albumin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25347792A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirokazu Suzuki
宏和 鈴木
Yoshinori Sakurai
美典 櫻井
Yoshitami Ohashi
良民 大橋
Masayoshi Goto
正義 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP25347792A priority Critical patent/JPH0682446A/ja
Publication of JPH0682446A publication Critical patent/JPH0682446A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗ヒトアルブミン分解物抗体を用いてヒト尿
中のアルブミン分解物を特異的に検出し、早期腎症の診
断方法を提供する。 【構成】 健常人と腎症患患者との尿中ヒトアルブミン
分解物を検出するにあたり、 1) 腎疾患患者由来の尿中アルブミン分解物およびヒ
トアルブミンを化学的、酵素的処理によって得られるア
ルブミン分解物をそれぞれ免疫原としたポリクロナール
抗体およびモノクロナール抗体の収得。 2) 上記ポリクロナール抗体およびモノクロナール抗
体を利用したRIA法、EIA法、金コロイド粒子法、
ラテックス凝集法などの測定法を確立。 2)項の各種測定法を用いて被検者の尿を検査すること
によって早期の腎疾患を診断する。 【効果】本発明の方法によって従来に比べ簡便性、迅速
性、特異性に優れ早期の腎疾患に対する診断が可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は尿中のアルブミン分解物
を検出することによって早期腎症を発見し診断に役立て
るものである。
【0002】
【従来の技術ならびに発明が解決すべき問題点】腎症、
特に糖尿病性腎症は腎生検が困難なことから持続性蛋白
尿、腎機能障害、高血圧等の知見から臨床診断がなされ
てきた。しかし、蛋白尿が出現すると治療が難しく、5
〜6年経過で末期腎不全に陥るのが通例である。そのた
め、通常の尿試験紙法で尿蛋白が陽性となる前に腎病変
を診断して早期治療を行なうことが臨床医学の立場から
強く望まれている。この目的で開発されたのが尿中アル
ブミンの微量測定法であり、近年腎症の診療にとって必
須の検査法になりつつある。
【0003】尿中の微量アルブミンは放射線免疫測定法
(以下RIAと略す)、酵素免疫測定法(以下EIAと
略す)や免疫沈澱法により、正確に定量できるが、最近
は簡易キットが市販されており、アルブシュア(登録商
標)(エーザイ株式会社)もその一つである。これは免
疫凝集阻止反応を原理としており、試薬はアルブミン感
作ラテックスとアルブミン抗体であり、尿中にアルブミ
ンが殆どなければ抗原抗体反応でラテックスが凝集する
が、尿中にアルブミンがあればこれを妨害して凝集が阻
止される。
【0004】このように微量のアルブミンを測定するこ
とにより腎疾患を診断する方法はあるが、さらに早期に
腎症の診断ができるものはない。すなわち、Mogen
senら(EnglMed.,310,35
6,1984)の分類によると、微量アルブミン尿は糖
尿病発症6〜20年の早期腎症の時期であり、第四期
(顕性腎症)へ移行する危険性が大きいのでさらに前期
の腎症診断の手法を開発することが望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に糖尿
病性腎症を含めた各腎疾患の早期診断の立場から、尿中
アルブミンに着目しヒトアルブミンとは異なるアルブミ
ン分解物〔以下uAFと略す。uAFとはヒトアルブミ
ン(分子量69KD,等電点4.9)と異なる分子量ま
たは等電点を示すすべてのヒトアルブミン断片をいう。
uAFは未還元条件下ではジスルフィド結合を有するも
のが多いため比較的分子量の大きいものが多いが、還元
処理を行うとジスルフィド結合が開裂してさらに低分子
化されるものが多い。〕をはじめて発見するに至り、そ
の検出方法としてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動法を用いた「腎疾患の診断法」特願平3−14808
0の発明を完成させた。その後、uAFの検出方法を精
査した結果、セルロースアセテート膜電気泳動法や等電
点ゲル電気泳動法さらには高速液体クロマトグラフィー
による分析法によってもuAFの検出や定量にも有効で
あることが判り、これらの方法をまとめて「腎疾患の診
断法」特願平4−105214の発明を完成させるに至
った。しかしながら、これらの方法を詳細に検討した結
果迅速性や簡便性に欠ており、またかなりの熟練と経験
を必要とするものであることが判り、いつでもどこでも
誰にでもuAFの検出や定量を行い得ることが要望され
ていた。
【0006】本発明はこれらの問題を解決するためにヒ
トアルブミン(69KD)とは反応せずuAFのみに反
応する抗体を用いて例えばEIA法、金コロイド粒子
法、RIA法、ラテックス凝集法、逆受身赤血球凝集反
応(以下RPHAと略す)法など抗原抗体反応を基本原
理としたあらゆる公知の方法を用いてuAFを検出し定
量できる方法を見出し本発明の完成に至った。
【0007】1) 免疫原の調製方法 (a) ヒトアルブミン分子の化学的切断によるアルブ
ミン分解物(以下cAFと略す)の調製 ヒトアルブミン分子は分子量69KDを有しアミノ酸残
基が585個からなり、かつ17ケ所にわたってジスル
フィド結合をした強固な球状タンパク質であることはよ
く知られた事実である。ヒトアルブミン分子の化学的な
切断方法としては、
【0008】・ ヒトアルブミン分子の一次配列中のメ
チオニンや一部アスパラギン酸−プロリン結合残基を選
択的に切断するBrCN法 ・ システイン残基を選択的に切断する2−ニトロ−5
−チオシアノ安息香酸や1−シアノ−4−ジメチルアミ
ノピリジン塩を用いる方法 ・ アスパラギン−グリシン結合残基を選択的に切断す
るヒドロキシルアミンを用いる方法
【0009】・ トリプトファン残基を選択的に切断す
る2−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−3−メチ
ル−3−ブロモインドール−スカトール、DMSO−H
Cl−HBr,氷酢酸−12NHCl−DMSO,48
%HBr−DMSO,BrCN−ヘプタフオロ酪酸,
−ヨード安息香酸,N−ブロモコハク酸イミド,などが
良く知られている。
【0010】cAFを得るためには上記いずれの試薬に
よる化学的な切断を行うことが可能であり、所期目的は
達成される。特にヒトアルブミン由来のcAFの分子量
は抗体産生可能な長さのペプチド鎖を有していれば問題
はないが、余り分子量の小さいペプチド断片が得られる
化学的切断方法は一般的に好ましいとは云えない。
【0011】上記化学的切断法と単離精製に関する実施
方法は通常の化学的知識を有しておれば容易に目的を達
成しうるが、特に参考となる実験書としては続生化学実
験講座第2巻「タンパク質の化学」270〜292ペー
ジ(日本生化学会編、東京化学同人)に実験例を列挙し
て懇切丁寧に解説されている。化学的切断を終えた混合
物から、cAFの単離精製については一般に反応試薬を
不活性化し、これを反応系外へ取出すことが必要とな
り、また未反応のヒトアルブミンの除去も重要なポイン
トとなる。
【0012】通常の反応試薬は低分子化合物であるため
透析やゲルフィルトレーションクロマトグラフィーの手
法で容易に取り除くことができる。
【0013】ゲルフィルトレーションに用いる担体とし
てはセファデックス類(例えばセファデックス(登録商
標)G−15,G−25,G−50などファルマシア社
製)や近年高速液体クロマトグラフィーに使用されてい
る有機ゲルの担体(例えばTSK−gel(登録商標)
3000SWなど、東ソー株式会社製)などが有効に利
用される。充分な反応時間と適切な温度管理のもとで反
応を制御することによりヒトアルブミンを完全に部分分
解へと導びくことが可能であるが、万一、未分解のヒト
アルブミンが分解液中に混入した場合は、先のゲルフィ
ルトレーションクロマトグラフィー法や通常汎用されて
いる電気泳動法、さらには、分子量の差で分離されるS
DS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法や等電点の差
を利用して分離される等電点電気泳動法、各種イオン交
換クロマトグラフィーなどの方法を単独もしくは組合せ
によってcAFを単離することが可能である。
【0014】このようにして得られるcAF溶液を透析
後、凍結乾燥することにより容易にcAFを取得するこ
とができる。以上、化学的切断によるcAFの調製法に
ついて記載してきたが、いづれの化学的切断法を用いて
もcAFを取得できるが、本出願の実施例1には、その
1例として「BrCNによる切断法」を示したものであ
って、特にこの方法によって本出願は限定されるもので
はない。
【0015】(b) ヒトアルブミン分子の酵素的切断
によるアルブミン分解物(以下eAFと略す)の調製 ヒトアルブミン分子の酵素的切断としては通常のタンパ
ク質の部分加水分解に使用されているプロテアーゼ類を
用いることができる。
【0016】プロテアーゼ類はペプチド結合の切断方法
からみるとエキソ(exo)型とエンド(endo)型
に大別されるが、本目的となるeAFの取得にはエンド
型のプロテアーゼを使用するのが好ましい。
【0017】エンド型のプロテアーゼにはペプチド配列
の特定な配列を認識して選択的に切断することが可能で
あるため、先の化学的切断にくらべて副反応も少なく常
温、常圧で反応し、また高純度の酵素を同一条件下で使
用すれば極めて再現性に優れ、かつ高収率でペプチド断
片(ここではeAFを云う)を得ることが可能である。
【0018】エンド型プロテアーゼの代表的な酵素は一
般に市販されているものが多く、容易に入手することが
できる。例えば、牛膵臓由来のトリプシンやキモトリプ
シン、牛胃液や豚胃粘膜由来のペプシン、微生物の産生
するサーモライシンやズブチリシン、さらには植物由来
のブロメラインやパパインなどが工業的にも良く用いら
れる酵素である。
【0019】また研究用に使用されているエンド型プロ
テアーゼとしてはリジン残基を特異的に認識して切断す
Achromobacter lyticus産生の
プロテアーゼI(和光純薬株式会社製)やLysoba
cter enzymogenes によって産生され
るセリンプロテアーゼの一種であるエンドプロティナー
ゼLys−C(ベーリンガーマンハイム社製)がある。
【0020】その他、アルギニンを特異的に認識して切
断するセリンプロテアーゼの一種であるエンドプロティ
ナーゼArg−C(ベーリンガーマンハイム社製)や
lostridium histolyticumの産
生するチオールプロテアーゼの一種であるクロストリパ
イン(ベーリンガーマンハイム社製)、グルタミン酸お
よびアスパラギン酸を特異的に認識して切断するSta
phylococcus aureus産生のV8プロ
テアーゼ(メレス社製)、プロリンを特異的に認識して
切断するプロリン特異性エンドペプチダーゼなどがよく
知られており通常タンパク質の一次構造解析(アミノ酸
配列の決定)によく利用されているが、これらの酵素も
eAFの取得に使用することができる。
【0021】上記酵素的切断法と単離精製に関する実施
方法は通常の化学的または生化学的知識を有しておれば
容易に目的を達成しうるが、特に参考となる実験書とし
ては続生化学実験講座第2巻「タンパク質の化学」26
0〜270,278〜292ページ(日本生化学会編、
東京化学同人)に実験例を列挙して懇切丁寧に解説され
ている。
【0022】酵素的切断を終えた混合物からeAFの単
離、精製については使用した酵素を不活化しこれを反応
系外へ取出すことが必要である。通常使用する酵素はe
AFより高分子化合物であるためゲルフィルトレーショ
ンクロマトグラフィーや各種電気泳動(通常の電気泳
動、等電点電気泳動、SDS−PAGE電気泳動)や各
種イオン交換クロマトグラフィー、などの手法を単独も
しくは組合せによってeAFを単離することができる。
【0023】また、実施例2に示すごとく使用する酵素
をいろいろな樹脂に固定化することによってバイオリア
クターとして利用すれば基質であるヒトアルブミンを効
率よく加水分解することができる。反応終了後は固定化
酵素(樹脂に結合した酵素=不溶化酵素)を濾別した
り、遠心分離することによって容易に使用した酵素を除
くことができる。このようにして得られるeAF溶液を
透析後、凍結乾燥することによって容易にeAFを取得
できる。
【0024】以上、酵素的切断によるeAFの調製法に
ついて記載してきたが、いずれの酵素的切断法を用いて
もeAFを取得することができるが、本出願の実施例2
にはその1例として「トリプシンによる切断法」を示し
たものであって、特にこの方法によって本出願は限定さ
れるものではない。
【0025】(c) 腎症患者の尿中に含まれるuAF
の単離精製 糖尿病性腎症を含めた腎症患者の尿を多量に集尿し−8
0℃に凍結保存を行うか、適当なプロテアーゼ阻害剤や
アジ化ナトリウムを加えて低温保存を行って集尿する。
【0026】これらの集尿した尿を例えば抗ヒトアルブ
ミン抗体をリガンドしたアフィニティークロマトグラフ
ィーに吸着せしめ、洗浄後溶離することによって効率よ
くヒトアルブミン及びuAFの混合物の画分を得ること
ができる。このようにして得られる画分をさらにヒトア
ルブミンとuAFを分離する手段としては先に記載した
(a)項の「化学的切断法によるcAFの調製」で示し
たと同様な分離方法が適用できる。
【0027】例えば、分子量の差で分離できるゲルフィ
ルトレーションクロマトグラフィーや調製用のSDS−
PAGE電気泳動あるいは等電点の差によって分離でき
る調製用の等電点電気泳動(アンホライン(登録商標)
LKB社製、ファルマライト(登録商標)ファルマシア
社製など)、さらには通常の調製用アガロースゲル電気
泳動や各種イオン交換クロマトグラフィーなどの方法を
単独もしくは組合せによってuAFを単離することがで
きる。
【0028】電気泳動に用いる装置のタイプとしてはデ
ィスク(円柱状)型とスラブ(平板状)型が主に汎用さ
れているが、目的とするuAFの分離には特に限定する
ものではない。しかしながら、調製すると云う観点に立
てばスラブ電気泳動法の方が好ましい。その理由とし
て、泳動を終えたゲルからuAFを単離するには、例え
ばスラブ型のSDS−PAGE電気泳動の場合スラブゲ
ルの両端の一部をそれぞれ切り取りクマシーブリリアン
トブルーで染色し、ヒトアルブミン(分子量69KD)
と同じ移動度を示すバンドを切り捨て残りのゲルを集め
て例えばテフロン製のホモゲナイザーを用いてゲルを細
かく砕いた後に適当な緩衝液でuAFを抽出することも
簡単に行い得るからである。
【0029】また、スラブ型の調製用等電点電気泳動の
場合も泳動後調製用のSDS−PAGE電気泳動法と同
様にスラブゲルの両端の一部を切り取ってクマシーブリ
リアントブルーで染色し、ヒトアルブミン由来のpI
4.9のバンドを切り捨て残りのゲルを集めて先に説明
した例えばテフロン製ホモゲナイザーを用いて細かく砕
いた後に適当な緩衝液でuAFを抽出することもでき
る。
【0030】一方、カラム型の等電点電気泳動の場合は
泳動後は容易に下部より一定量ずつ分画するこができる
のでpI4.9附近のヒトアルブミンに由来する画分を
取り去ることによって容易にuAF画分を得ることがで
きる。このようにして得られるuAFの抽出液または分
画液を透析後、凍結乾燥してuAFを単離することがで
きる。
【0031】また、実施例2に示したごとく抗ヒトアル
ブミン抗体に反応しない抗uAFモノクロナール抗体を
収得しているので、このモノクロナール抗体をリガンド
したアフィニティークロマトグラフィーを利用すること
によって腎症患者の尿を処理すると一挙に目的とするu
AFを得ることができる。この方法の詳細については実
施例3に記載した通りである。
【0032】2) 抗体の調製法 (a) ポリクロナール抗体の作製 本発明で用いるポリクロナール抗体はまず免疫原である
アルブミン分解物(以下AFと略す。AFとはuAF,
cAF,eAFのいずれかを示す総称である。)をアジ
ュバントに混合し、他動物に免疫して抗血清を得ること
によりなされる。免疫法は通常の抗血清を得るための方
法であれば特に限定されるものではないが、Freun
dのコンプリートアジュバントが最適である。
【0033】他動物としてはウサギ、ラット、ヤギなど
が利用できるが抗血清の量的確保の問題、飼育条件など
を考慮するとウサギが適している。免疫方法としては、
例えばウサギに免疫する場合、皮下、腹腔内、静脈内、
筋肉内、皮内などのいずれでも可能であるが、主とし
て、皮下、腹腔内、静脈内に注入するのが好ましい。ま
た接種間隔、接種量についても特に限定されるものでは
ないが、例えば2週間隔で2〜10回接種する方法が適
している。接種量は1回にAF量10μg 以上好ましく
は100μg 〜10mg用いることが望ましい。
【0034】最終免疫後、3〜10日目好ましくは7日
目に全採血を行ない、抗血清を得ることができる。得ら
れた抗血清はAFと反応する抗体の他にヒトアルブミン
とも反応する抗体を含有しているため、ヒトアルブミン
と反応する抗体を除去する必要がある。
【0035】そこで、AFに対する特異抗体を得る方法
は通常の抗体を精製する種々の方法を利用できるが、特
にアフィニティークロマトグラフィーが最適である。ア
フィニティークロマトグラフィーの担体としては種々の
市販品があり、特に限定されるものではないが、BrC
N活性化セファロース4B(ファルマシア社製)などが
適している。AF特異抗体を得る一例を示すと、まずヒ
トアルブミンをBrCN活性化セファロース4Bに一定
量結合させ、ヒトアルブミン−セファロースカラムを作
製する。カラムを一定量の緩衝液(pH7.0〜8.
5)で平衡化させ、一定量の抗血清を吸着させる。吸着
後、平衡化に用いた緩衝液で洗浄を行ない、未吸着画分
を集める。
【0036】次にAFをBrCN活性化セファロース4
Bに一定量結合させ、AF−セファロースカラムを作製
する。カラムを一定量の緩衝液(pH7.0〜8.5)
で平衡化させ、一定量のヒトアルブミン−セファロース
カラムより得られた未吸着画分を吸着させる。吸着後、
平衡化に用いた緩衝液で洗浄を行ない、溶離液(pH
2.0〜4.0)にて溶出を行ない、AF特異的抗体を
得ることができる。
【0037】精製抗体は硫安塩析、限外濾過、イオン交
換クロマトグラフィー、凍結乾燥などを用いてuAF測
定に必要な濃度に濃縮する。
【0038】(b) モノクロナール抗体の作製 本発明で用いるモノクロナール抗体はKoehier
Milstein(Nature256,495,1
975)によって示された免疫動物の脾臓細胞と同種動
物由来のミエローマ細胞との融合によってつくられる融
合細胞(ハイブリドーマ)から製造することができる。
免疫する動物としてはマウス、ラット、ハムスターなど
の実験動物が用いられるが、最も実績のあるマウスが適
している。細胞融合に用いられるミエローマ細胞として
は細胞融合の効率が高く、増殖性が良いマウスミエロー
マ細胞とくにヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシ
ルトランスフェラーゼ欠損株やチミジンキナーゼ欠損の
ようなマーカーをもったミエローマ(P3−x63−A
g8,x63−Ag8−6.5.3,SP2/0−Ag
14)が利用できる。
【0039】モノクロナール抗体を収得するためには、
マウス、ラット、ハムスターなどの実験動物を利用する
ことができるがその中でもマウスが好適である。
【0040】免疫方法としては、例えばマウスに免疫す
る場合、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内などのい
ずれでも可能であるが主として皮下、腹腔内、静脈内に
注入するのが好ましい。また接種間隔、接種量について
も特に限定されるものではないが、例えば1週間隔で2
〜10回接種し、最終免疫後、1〜5日、好ましくは2
〜4日後の脾細胞を用いる方法が好適である。接種量は
1回にAF量として1μg 以上好ましくは100μg 〜
10mg用いることが望ましい。
【0041】リンパ球とミエローマ細胞との細胞融合は
例えば、免疫したマウスのリンパ球(脾臓細胞由来のも
の)をヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ欠損やチミジン欠損のようなマーカーを
持った適当なミエローマとの間で融合させる。融合には
センダイウィルス、ポリエチレングリコール(PEG)
などの融合剤が用いられる。
【0042】また、DMSOその他の融合促進剤を加え
ることもできる。PEGの平均分子量は通常1,000
〜10,000好ましくは1,000〜5,000、濃
度は10%〜80%などが利用されるが通常40〜60
%で行なった場合に効率よく融合させることができる。
融合細胞(ハイブリドーマ)はヒポキサンチン−アミノ
プテリン−チミジン培地(HAT培地)などを用いて、
選択的に増殖させることができる。
【0043】増殖した細胞の培養上清は目的とする抗体
を産生しているか否かをスクリーニングすることによっ
て達成されるが、特に本スクリーニングはヒトアルブミ
ンとAFに対する抗体の反応性の差異を調べ、AFに対
してのみ特異性の高い抗体を得ることが重要である。
【0044】すなわち、本反応性の差異を調べるに当っ
ては、EIA法またはRIA法などの方法で調べること
ができるが、これらの方法についても種々の変法が可能
である。一例として、EIA法を用いる方法について記
載する。
【0045】AFおよびヒトアルブミンを96穴のマイ
クロタイタープレートに一定の蛋白濃度で常法に従って
固定化する。これに測定したい培養上清を一定量加え、
一定時間、一定温度で反応させる。ついで反応物をよく
洗浄後、酵素標識抗マウスIgGを加え、一定時間、一
定温度で反応させる。反応物を洗浄後、基質を加え、一
定時間、一定温度で反応させ、その後反応生成発色物を
吸光度または蛍光強度などで測定することができる。
【0046】選択培地で増殖を示し、AFに対してのみ
抗体活性を示すウエルの細胞を限界希釈法などによりク
ローニングを行なう。クローン化された細胞の上清につ
いて同様にスクリーニングを行い、抗体価の高いウエル
の細胞を増やすことにより、目的とする本発明のモノク
ロナール抗体産生ハイブリドーマクローンが得られる。
【0047】3) uAFの測定法について uAFの測定は得られたAF特異抗体(モノクロナール
抗体、ポリクロナール抗体)を用いて、抗原抗体反応を
行なうことによりなされる。抗原抗体反応を利用した測
定は種々の方法が開発されているが、本測定の手法は特
に限定されるものではない。すなわち一般に対象物の測
定に用いられているラテックス凝集反応、RPHA法、
EIA法、RIA法、金コロイド粒子法などが本測定に
も利用できる。
【0048】uAFの測定について2〜3の例を以下に
示す。EIA法には競合法、非競合法など種々の反応様
式があり、本出願においても特に限定されるものではな
いが、一例として非競合法のサンドイッチ法を述べる。
【0049】まず、精製抗AF抗体を一定量に希釈し、
96穴マイクロタイタープレートのウエルに一定量添加
する。一定時間、一定温度で反応後、過剰の抗体液を除
去する。安定化剤(例えばウシ血清アルブミン、以下B
SAと略す)を含むリン酸生理緩衝液(以下PBSと略
す)を各ウエルに一定量添加し、一定時間、一定温度で
マスキングを行なう。その後液を除去し、安定化剤を含
むPBSを各ウエルに一定量添加し、AF抗体結合プレ
ートを作製する。
【0050】次にAF抗体結合プレートに尿検体の一定
量を添加し、一定時間攪拌した後、一定温度、一定時間
反応させる。反応後の液を除去した後、安定化剤を含む
PBSを各ウエルに一定量ずつ添加して洗浄を行なう。
洗浄を数回好ましくは3〜5回繰り返した後、酵素標識
抗AF抗体を各ウエルに一定量を添加し、数分間攪拌し
た後、一定温度で一定時間反応を行なう。反応後、洗浄
し、基質液を一定量ウエルに添加し、一定時間、一定温
度で反応させる。反応停止液を一定量添加し、酵素反応
を停止させる。その後、反応生成発色物を吸光度または
蛍光強度などで測定し、判定を行なうことができる。
【0051】次に金コロイド粒子を用いたuAFの免疫
測定法を示す。金コロイド粒子は一般に2〜20nm程度
のものが使用されるが本法においても粒子径は特に限定
されるものではないが好ましくは3〜17nmが適してい
る。この粒子の調製法はSlot & Geuze(
urCell Biol.,38,87,198
5)らによって報告されている方法により容易に調製す
ることができる。すなわち4倍容の塩化金酸(1%塩化
金酸を80倍に蒸留水で希釈したもの)に1倍容の還元
液(1%クエン酸ナトリウムにタンニン酸の量を変化さ
せ、蒸留水で5倍希釈したもの)を一定温度で混合し、
淡黄色から紫ないし赤に変色したら、沸騰させ直ちに氷
冷することにより得ることができる。
【0052】金コロイド粒子懸濁液の一定量を結合した
い抗体の等電点付近に調整し、抗AF抗体を一定量加え
る。数分間攪拌した後、数%のBSAを一定量加え、メ
ンブランフィルターを用いて濾過を行い、抗AF抗体感
作金コロイド粒子を得ることができる。
【0053】金コロイド粒子着色法に用いる固相化シー
トとしてはニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビ
ニリデンなどの担体が用いられるが好ましくはニトロセ
ルロースが最適である。ニトロセルロースは種々市販さ
れているがSchleicher & Schuell
社製が適している。担体への結合は容易になされる。す
なわち第1の領域として抗AF抗体をPBSにて一定濃
度に調製したものを担体上に垂直方向に印字する。第2
の領域として同一担体上に抗マウスIgGをPBSにて
一定濃度に調製したものを水平方向に印字し、一定温度
で一定時間反応させ固相化する。次にスキムミルク、カ
ゼイン、BSA、ブロックエースなどの安定化剤を用い
るが、好ましくはスキムミルクを一定濃度に調製し、一
定温度で一定時間含浸させ、マスキングを行なう。マス
キング後乾燥を行ない抗AF抗体固相化シートとして用
いることができる。
【0054】測定は抗AF抗体固相化シートの断片を試
験管に入れ、尿検体液を一定量加え、一定温度で一定時
間反応させる。反応後、未反応液を除去し、洗浄剤とし
て界面活性剤などを用いるが、その中でも好ましくはT
ween−20を含有するPBSで洗浄するのが望まし
い。数回洗浄を行なった後、抗AF抗体感作金コロイド
粒子を一定量加え、一定温度で一定時間反応させる。次
に過剰の抗AF抗体感作金コロイド粒子を除去し、緩衝
液好ましくはHEPES緩衝液で洗浄した後、+印字さ
れたものを陽性、−印字されたものを陰性として肉眼判
定を行なうことができるが、陽性、陰性の表示はこれに
限定されるものではない。なお金コロイド粒子による検
出法の一例を上記に示したが、他に金コロイド粒子凝集
法を用いて、反応液の色調変化で測定を行なうことも可
能である。
【0055】次にラテックス凝集法によるuAF測定法
の一例を示す。ラテックス凝集法は種々の検査に利用さ
れているが、本出願はこれに限定されるものではない。
例えば抗AF抗体の一定量を緩衝液(pH7.0〜9.
0)の一定量に加え溶解する。これにラテックス粒子を
一定量加え、一定温度で一定時間反応させる。なお、ラ
テックス粒子径は特に限定されるものではないが通常
0.3〜0.5μm が好ましい。反応後、一定温度で遠
心分離を行ない、沈渣の抗AF抗体感作ラテックス粒子
に安定化剤(スキムミルク、カゼイン、ブロックエー
ス、BSAなど)好ましくはブロックエースを用いてマ
スキングを行ない、抗AF抗体感作ラテックスを調製す
ることができる。
【0056】測定は一定量の尿検体を緩衝液(pH7.
0〜9.0)にて希釈し、試料とすることができる。次
にラテックス凝集板上に一定量の試料と一定量の抗AF
抗体感作ラテックス粒子懸濁液を加え、攪拌後、混合液
を円運動させながら数分間揺動し、凝集塊の有無により
判定を行なう。
【0057】
【実施例】
実施例1 〔cAFの調製法〕BrCN処理によるcAFの調製は
McMenamyらの方法(BiolChe
.,246,4744−4750,1971)に準じ
て行なった。すなわち、ヒトアルブミン(フラクション
V,シグマ社製)1gを蒸留水4mlに溶解した後、蟻酸
16ml,BrCN 1gを加え、4℃、24時間反応さ
せた。次にあらかじめ1%プロピオン酸で平衡化したセ
ファデックスG−25(ファルマシア社製)カラムに付
し、280nmの吸収を示す画分を集め、凍結乾燥してc
AF800mgを得た。
【0058】〔抗cAFポリクロナール抗体の調製〕c
AFを10mg/mlに調製した抗原液とFreundのコ
ンプリートアジュバント(カルビオケム社製)を等量混
合し、オイルエマルジョンとした。これを家兎(ニュー
ジーランドホワイト、11週齢、雌)の四肢皮下に1ml
ずつ注射し、初回免疫とした。その後14日目、21日
目、28日目に追加免疫をした。最終免疫から7日目に
採血を行い、抗血清30mlを得た。
【0059】次にBrCN活性化セファロース4B(フ
ァルマシア社製)にヒトアルブミン(フラクションV、
シグマ社製)を結合したアルブミン−セファロースカラ
ム(30ml)を5mMホウ酸緩衝液(pH8.0)で平衡
化し、抗血清10mlを同ホウ酸緩衝液10mlに混合し、
カラムに吸着させた。その後、カラムを同ホウ酸緩衝液
にて洗浄し、未吸着画分を集めた。
【0060】次にBrCN活性化セファロース4B(フ
ァルマシア社製)にcAFを結合したcAF−セファロ
ースカラム(5ml)を5mMホウ酸緩衝液(pH8.0)
で平衡化し、先の未吸着画分をカラムに吸着させた。そ
の後、同ホウ酸緩衝液にて洗浄後、0.5Mグリシン緩
衝液(pH3.0)にて溶出を行なった。280nmの吸
光値により活性画分を集め、60%飽和硫安を加えた。
懸濁液を3,000rpm で30分間冷却下で遠心分離を
行ない、沈渣を集め、PBSで4℃、一晩透析を行なっ
た。その結果、精製抗cAFポリクロナール抗体0.5
mgを得た。
【0061】〔uAFの測定〕精製抗cAFポリクロナ
ール抗体をPBSにて10μg /mlに希釈し、96穴E
IAプレート(コースター社製)に各ウエル200μl
ずつ添加し、4℃で一晩反応させた。次に過剰の抗体液
を除去した後、1%BSAを含むPBSを各ウエル25
0μl 添加し、37℃、1時間マスキングを行なった。
その後マスキング液を除去し、0.1%BSAを含むP
BSを各ウエル200μl 添加し、抗cAFポリクロナ
ール抗体固相化EIAプレートとした。
【0062】次に抗cAFポリクロナール抗体固相化E
IAプレートの保存液を除去した後、尿検体200μl
を添加し、1分間攪拌した後、37℃、1時間反応させ
た。反応後の液を除去した後、0.1%BSAを含むP
BSを各ウエル250μl ずつ添加して洗浄を行なっ
た。洗浄を3回繰り返した後、ペルオキシダーゼ標識抗
cAF抗体(1:200)を各ウエル200μl 添加
し、1分間攪拌した後、37℃、1時間反応を行なっ
た。反応後、上記と同様に洗浄を行なった後基質液
(0.1M −フェニレンジアミンと0.012%過
酸化水素水)を各ウエル200μl 添加し、室温で15
分間反応させた。反応後、4N硫酸を各ウエル50μl
添加し、酵素反応を停止した。次にマイクロプレート用
比色計で492nmの吸光値を測定し、判定を行なった。
吸光値0.3以上を示す検体を陽性とした。
【0063】健常者5名、IgA腎症3名、糖尿病性腎
症3名、糖尿病患者9名について測定を行なったとこ
ろ、表1に示すように健常者では全例陰性を示したのに
対し、IgA腎症および糖尿病性腎症では全例陽性であ
った。また糖尿病では9例中5例が陽性であった。
【0064】
【0065】実施例2 〔eAFの調製法〕BrCN活性化セファロース4B
(ファルマシア社製)にトリプシン(和光純薬社製)を
結合したトリプシン−セファロース4B(10ml;10
mgトリプシン/ml樹脂)を0.1Mリン酸緩衝液(pH
8.0)に懸濁させ、ヒトアルブミン(フラクション
V、シグマ社製)100mgを加え、室温で2時間攪拌し
た。その後、冷却下で遠心分離(3,000rpm 、10
分間)を行ない、樹脂を除去後、濾液を凍結乾燥して分
解物を50mg得た。
【0066】〔抗eAFモノクロナール抗体の作製〕e
AFを滅菌蒸留水に溶解し、蛋白濃度10mg/mlとした
抗原液とFreundのコンプリートアジュバントを等
量混合し、オイルエマルジョンとした。これをBALB
/cマウス(BALB/cAjcl,7週齢、雌)背部
皮下に0.2mlずつ投与した。
【0067】初回免疫後7日目と16日目に追加免疫を
行い、さらに細胞融合3日前に抗原液を0.25mg/
0.2mlずつ腹腔内投与した。最終免疫から3日目のマ
ウス脾細胞とミエローマ細胞(P3x63−Ag8−
6,5,3)を10:1の割合で50%ポリエチレング
リコール4000を用いて融合し、HAT培地により選
択した。細胞融合後、14日目に培養上清中のヒトアル
ブミンとeAFに対する抗体活性をEIA法により測定
した。すなわちヒトアルブミン及びeAFを各々100
μg /mlの蛋白濃度で固相化した96穴EIAプレート
(コースター社製)を用い、融合細胞の培養液を200
μl 添加した。37℃、1時間反応後、洗浄を行ない、
ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(Cappel社
製、1:500)200μl を添加した。洗浄後、基質
液(0.1M −フェニレンジアミンと0.012%
過酸化水素水)を各ウエル200μl 添加し、室温で1
5分間反応させた。反応後、4N硫酸を各ウエル50μ
l 添加し、酵素反応を停止した。次に492nmにおける
吸光値を測定し、eAFにのみ陽性のクローンを限界希
釈法により、2回クローニングを行なった。その結果、
クローニング後腹水として得られたモノクロナール抗体
は2クローンであった。2クローンのイムノグロブリン
サブクラスはともにIgG1 であり、L鎖はカッパー型
であった。得られた各々の腹水1mlに対して、PBS1
mlで2倍に希釈し、飽和硫酸アンモニウム2mlを滴下
し、4℃で4時間放置後、3,000rpm 、20分間遠
心分離し、沈渣をPBS2mlに浮遊し、透析後、0.2
2μm のフィルターで濾過し、精製モノクロナール抗体
を得た。
【0068】<金コロイド着色法>抗eAF抗体固相化シート 固相化シートとして、ニトロセルロースBA−S−85
(Schleicher & Schuell社製、
0.45μm )を使用した。第1の領域として抗eAF
モノクロナール抗体をPBSにて0.5mg/mlになるよ
うに調製したものをニトロセルロースシートに垂直方向
に印字した。第2の領域として同一シート上にウサギ抗
マウスIgG(Cappel社製)をPBSで0.5mg
/mlに調製したものを水平方向に印字し、室温にて一晩
反応させ、固相化した。これにPBSで3%濃度に調製
したスキムミルク(DIFCO社製)を37℃にて3時
間含浸させ、マスキングを行ない、乾燥させたものを抗
eAF固相化シートとした。
【0069】金コロイド粒子の調製 蒸留水395mlに1%塩化金酸(和光純薬社製)水溶液
5mlを混合し、60℃に加熱した(溶液A)。次に1%
クエン酸ナトリウム20ml、1%タンニン酸(シグマ社
製)25ml蒸留水77.5mlを混合し、60℃に加熱し
た(溶液B)。溶液Aを攪拌しながら溶液Bを速やかに
混合し、溶液の色が薄い黄色から紫ないし赤色に変わる
まで攪拌した後、沸騰するまで加熱することにより目的
とする金コロイド粒子を得た。
【0070】抗eAFモノクロナール抗体感作金コロイ
ド粒子の調製 金コロイド粒子懸濁液100mlを攪拌しながら、0.1
M炭酸カリウムでpH70に調整した。次に精製抗eA
Fモノクロナール抗体500μg を加え、10分間攪拌
した後、5%BSA25mlを加え、0.45μm のメン
ブランフィルターで濾過し、2〜8℃で貯蔵した。
【0071】金コロイド着色法による測定 抗eAFモノクロナール抗体固相化シート(1cm×1c
m)を試験管に入れ、尿検体0.5mlを加え、室温で5
分間反応させた。次にアスピレーターで尿検体液を除去
し、0.1%Tween−20を含むPBS1mlで洗浄
を行った。3回繰り返し洗浄した後、抗eAFモノクロ
ナール抗体感作金コロイド粒子溶液(A540nm=5.
0)0.5mlを加え、室温で5分間反応させた。
【0072】アスピレーターで過剰の抗eAFモノクロ
ナール抗体感作金コロイド粒子溶液を除去し、0.1%
NaN3 を含む10mM HEPES緩衝液で洗浄後、肉
眼判定を行なった。
【0073】尿検体として健常者5名、IgA腎症3
名、糖尿病患者9名について測定を行なったところ、表
2に示すように健常者では全例、第二の領域にのみ印字
され、陰性を示したのに対し、IgA腎症および糖尿病
性腎症では全例、第一および第二の領域に印字され陽性
であった。また糖尿病では9例中4例が陽性であった。
【0074】
【0075】実施例3 〔uAFの調製法〕糖尿病性腎症の患者尿1LをpH
8.0に調整し、実施例2で得られた抗eAFモノクロ
ナール抗体をBrCN活性化セファロース4B(ファル
マシア社製)に結合させた抗eAFモノクロナール抗体
結合セファロース4Bカラム(10ml:5mgモノクロナ
ール抗体/ml樹脂)に吸着させた。5mMホウ酸緩衝液で
洗浄後、0.5Mグリシン緩衝液(pH3.0)にて溶
出を行なった。280nmの吸光値により活性画分を集め
た。PBSにて透析後、得られたuAFは6mgであっ
た。
【0076】〔抗uAFポリクロナール抗体の調製〕u
AF1mg/mlとした抗原液1mlとFreundのコンプ
リートアジュバントを等量混合し、オイルエマルジョン
とした。これを家兎(ニュージーランドホワイト、11
週齢、雌)の四肢皮下に初回免疫した。その後、14日
目、21日目、28日目に追加免疫を行ない、最終免疫
から7日目に採血を行い抗血清30mlを得た。
【0077】次にBrCN活性化セファロース4B(フ
ァルマシア社製)にヒトアルブミン(フラクションV,
シグマ社製)を結合したアルブミン−セファロースカラ
ム(30ml)を5mMホウ酸緩衝液で平衡化し、抗血清1
0mlを同ホウ酸緩衝液10mlに混合しカラムに吸着させ
た。その後、同ホウ酸緩衝液にて洗浄し、未吸着画分を
集めた。
【0078】次にBrCN活性化セファロース4B(フ
ァルマシア社製)にcAFをリガンドしてcAF−セフ
ァロース4Bカラム(5ml)を調製し、5mMホウ酸緩衝
液(pH8.0)で平衡化を行い、未吸着画分をカラム
に吸着させた。その後、同ホウ酸緩衝液にて洗浄後、
0.5Mグリシン緩衝液(pH3.0)にて溶出を行な
った。280nmの吸光値により活性画分を集め、60%
飽和硫安を加えた。懸濁液を3,000rpm で30分間
遠心分離を行ない沈渣を集め、PBSで4℃、一晩透析
を行なった。その結果、精製抗uAFポリクロナール抗
体1.5mgを得た。
【0079】〔ラテックス法によるuAFの測定〕抗uAFポリクロナール抗体感作ラテックス粒子の調製 抗uAFポリクロナール抗体0.5mgを0.2Mアンモ
ニウム緩衝液(pH8.0)0.5mlに加え溶解した。
10%ラテックス粒子(0.4μm 、積水化学工業社
製)0.5mlを加え、室温で1時間攪拌した。その後、
冷却下で遠心分離(10,000rpm ,30分間)し、
沈渣の抗ヒトアルブミン分解物抗体結合ラテックス粒子
をブロックエース(大日本製薬社製)に懸濁させ、抗u
AFポリクロナール抗体感作ラテックス粒子が0.2%
になるように調製した。
【0080】測定 尿検体0.1mlに0.2Mアンモニウム緩衝液(pH
8.0)0.4mlに加え、希釈尿検体液とした。ラテッ
ク凝集板上に希釈尿検体液0.05mlと0.2%抗uA
Fポリクロナール抗体感作ラテックス懸濁液0.05ml
を加え、攪拌後、混合液を円運動させながら、3分間揺
動し、凝集塊の有無により、判定を行なった。
【0081】健常者5名、IgA腎症3名、糖尿病性腎
症3名、糖尿病患者9名について測定を行なったとこ
ろ、IgA腎症3名、糖尿病性腎症3名および糖尿病4
名について凝集塊が観察され、陽性と判定された。一方
健常者5名、糖尿病5名については凝集塊が観察され
ず、陰性と判定された。(表3)
【0082】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト尿中のアルブミン分解物を検出する
    ことによる腎疾患の診断方法。
  2. 【請求項2】 抗ヒトアルブミン分解物抗体を用いるヒ
    ト尿中のアルブミン分解物の検出方法。
  3. 【請求項3】 ヒト尿中のアルブミン分解物と特異的に
    反応する下記方法により調製される抗体を利用する検出
    方法。 糖尿病、糖尿病性腎症および各腎疾患に罹病した患
    者の尿より分離精製したアルブミン分解物に対するポリ
    クロナール抗体およびモノクロナール抗体。 ヒトアルブミン(69KD)をプロテアーゼ類で部
    分加水分解して得られるアルブミン分解物に対するポリ
    クロナール抗体およびモノクロナール抗体。 ヒトアルブミン(69KD)を化学的に切断して得
    られる分解物に対するポリクロナール抗体およびモノク
    ロナール抗体。
  4. 【請求項4】 請求項3で得られた抗体を利用する検出
    方法が酵素免疫測定法、放射線免疫測定法、ラテックス
    凝集法、逆受身赤血球凝集反応、金コロイド粒子法であ
    る請求項2記載の検出方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000037944A1 (en) * 1998-12-21 2000-06-29 Monash University Kidney disease detection and treatment
US6447989B1 (en) 1998-12-21 2002-09-10 Monash University Kidney disease detection and treatment
US6883651B2 (en) 2002-05-08 2005-04-26 Showa Corporation Dust cover receiving structure of hydraulic shock absorber

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