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JPH0681725B2 - ジヒドロピリジン化合物を含有する脳神経細胞保護剤 - Google Patents

ジヒドロピリジン化合物を含有する脳神経細胞保護剤

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Publication number
JPH0681725B2
JPH0681725B2 JP33516688A JP33516688A JPH0681725B2 JP H0681725 B2 JPH0681725 B2 JP H0681725B2 JP 33516688 A JP33516688 A JP 33516688A JP 33516688 A JP33516688 A JP 33516688A JP H0681725 B2 JPH0681725 B2 JP H0681725B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dihydropyridine compound
ischemia
cerebral
cerebral nerve
nerve cell
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP33516688A
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JPH0262825A (ja
Inventor
共之 桑木
壽 佐藤
隆治 小野
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Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP33516688A priority Critical patent/JPH0681725B2/ja
Publication of JPH0262825A publication Critical patent/JPH0262825A/ja
Publication of JPH0681725B2 publication Critical patent/JPH0681725B2/ja
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  • Hydrogenated Pyridines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明はCa2+拮抗作用に基づく脳神経細胞保護賦活剤
に関するものである。
[従来の技術] この発明で使用されるジヒドロピリジン化合物 [式中R1はニトロフェニル、R2,R3およびR4は夫々同一
または異なって低級アルキルを意味する] は、既に英国特許2,036,722号明細書に記載された化合
物であり、またその薬理学的作用に関しては、Ca2+拮抗
作用に基づく狭心症治療剤或は血圧降下剤として、或は
脳循環改良剤や抗動脈硬化剤として有用であることが見
出され、本出願人によって既に特許出願されている(特
願昭62-161648号,特開昭61-155327号)。
[発明の目的] この発明は脳内虚血性障害に基づく脳神経細胞骨格関連
蛋白質の分解をCa2+拮抗作用によって抑制することので
きる薬剤、特に上記抑制作用に基づく脳神経細胞保護剤
の提供を目的とするものである。
[発明の構成] この発明に係る脳神経細胞保護剤は、前記[I]式で示
されるジヒドロピリジン化合物または医薬として許容さ
れるその塩を有効成分として含有するものである。
[I]式におけるR1で示されるニトロフェニルとして
は、2−ニトロフェニル、3−ニトロフェニル、4−ニ
トロフェニルが示され、これらのうち特に好ましいのは
3−ニトロフェニルである。またR2,R3,R4における低
級アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、ペンチ
ル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルブチル、
2−メチルブチル、ヘキシル等の様に炭素数1〜6個の
アルキルが挙げられ、中でも炭素数1〜4個のアルキル
が好ましく、更にR2のもっとも好ましい例としてはイソ
プロピルが挙げられ、R3およびR4のもっとも好ましい例
としてはメチルが挙げられる。
[I]式で示されるジヒドロピリジン化合物における医
薬として許容される塩を例示すると、例えば、アルカリ
金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土
金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)、アンモ
ニウム等の無機塩基との塩;例えば、有機アミン(例え
ば、トルエチルアミン、ピリジン、ピリコン、エタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルア
ミン、N−N′−ジベンジルエチレンジアミン等)等の
有機塩基との塩;で示される様な慣用の無毒性塩が挙げ
られる。
上記ジヒドロピリジン化合物[I]またはその塩は、前
述の様に狭心症治療剤、血圧降下剤、脳循環改良剤或は
抗動脈硬化剤等として有用であることが見出されている
が、更に鋭意検討したところ、薬理学的にはこれまで知
られていなかった作用として脳神経細胞保護効果を有す
ることが分かった。
ジヒドロピリジン化合物[I]は、これまで脳血管拡張
作用、脳血流増加作用、脳エネルギー代謝改善作用等が
確認され、脳血管障害に基づく脳内虚血性障害に対する
臨床効果が期待されている。しかしながら脳内虚血性障
害において最終的に問題となるのは脳神経細胞の障害で
あり、この観点からの検討を加えることが必要であると
考えられた。山下らの報告[神経化学24,31〜33(198
5)]によれば、スナネズミの脳に一時的虚血性障害を
与え、回復後脳内蛋白質を分離・定量したところ、Ca2+
に関連するある種の蛋白質(後述)のみが減少するこ
と、この変化は虚血事態発生直後の非常に初期の段階か
ら観察されること、更に上記変化は脳エネルギー代謝の
早期改善に対して長期間持続し、その点で組織学的知見
とよく一致すること等が知られている。この様に虚血性
障害との間に密接な時間的関係をもって特定の蛋白質の
みに変化が認められることは既に明らかにされている。
これに対し本発明者等がジヒドロピリジン化合物[I]
の薬理作用について種々研究したところによれば、脳神
経細胞外に存在するCa2+が虚血性障害発生時に脳神経細
胞内に流入するのをジヒドロピリジン化合物[I]が特
異的に阻止すること、そしてその効果として脳神経細胞
骨格関連蛋白質の分解が抑制され、脳神経細胞を保護す
るということが判明した。即ち、脳に虚血性障害が発生
したときには脳神経細胞内のCa2+濃度が増大し、それに
よってカルパイン(またはCANP:Calcium Activated Neu
tral Protease)の活性が亢進されてMAP-2(Microtube
Associated Protein-2)やカルスペクチンといった脳神
経細胞骨格関連蛋白質が分解すると考えられるが、上記
Ca2+濃度の増加は細胞外からのCa2+の流入に基づくもの
であり、ジヒドロピリジン化合物[I]はCa2+の流入を
阻止して上記蛋白質の分解を抑制することを見出したの
である。
以上述べた様にジヒドロピリジン化合物[I]はCa2+
抗剤として作用し、脳神経細胞外のCa2+が虚血性障害に
よって細胞内に流入するのを阻止することがその作用原
理となっているのであるが、本発明者等が更に検討した
ところによれば、同じくCa2+拮抗剤とされているニカル
ジピンやニモジピン等ではこれらの薬理作用が非常に僅
少であった。即ち元来Ca2+拮抗剤と称されているものは
化学構造的に様々であり、化学構造的共通性は認められ
ず、従って等しくCa2+拮抗剤の範疇に入るものであって
も、夫々の化学的構造の特異性に由来して個々に特有の
薬理作用を示すに至るからであると考えられる。
上に述べた様なジヒドロピリジン化合物[I]の特異な
Ca2+拮抗作用は、主として実験的虚血性障害に対するジ
ヒドロピリジン化合物[I]の予防的作用効果として確
認されたものであった。即ち後述の薬理試験において示
す様に、 (A)虚血処置の1時間前に薬剤を投与した場合、並び
に、 (B)虚血処置の1時間前だけでなく虚血処理後4日間
連続投与した場合の2つのケースを中心としてその予防
的作用効果を検討したのであるが、これらの成果を踏ま
えて更に (C)虚血処置前には薬剤を投与せず、処置後にはじめ
て薬剤を投与する場合 においても上記の特異なCa2+拮抗作用が発揮されること
を見出した。前記(A),(B)のケースは主として予
防的投薬における有効性を示すものであったが、(C)
のケースは虚血性障害(例えば脳卒中)発生後の予後改
善における有効性を示すものであり、ジヒドロピリジン
化合物[I]は虚血性障害に対し予防的にも治療的にも
有用であることが分かったのである。
この発明の脳神経細胞保護剤は、ヒトを含む哺乳動物
へ、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、
粉末、トローチ剤、丸剤、軟膏剤、坐剤、注射液、シロ
ップ剤等の慣用の医薬製剤の形で経口または非経口投与
することができる。
この発明の脳神経細胞保護賦活剤は、例えばシュクロー
ス、でん粉、マンニット、ソルビット、ラクトース、グ
ルコース、セルロース、タルク、燐酸カルシウム、炭酸
カルシウム等の賦形剤;例えばセルロース、メチルセル
ロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピ
ロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリ
コール、シュクロース、でん粉等の結合剤;例えばでん
粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
でん粉、炭酸水素ナトリウム、燐酸カルシウム、クエン
酸カルシウム等の崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシ
ウム、エアロシル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等
の滑沢剤;例えばクエン酸、メントール、グリシン、オ
レンジ未等の矯味剤;例えば安息香酸ナトリウム、重亜
硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等
の保存剤;例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸
等の安定化剤;例えばメチルセルロース、ポリビニルピ
ロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁化剤;例
えばヒドロキシプロピルメチルセルロース等の分散剤;
例えば水等の希釈剤;例えばカカオバター、白色ワセリ
ン、ポリエチレングリコール等の基材ワックス;等のよ
うな製剤化技術において慣用の有機または無機の各種担
体を用いる常法によって製造することができる。
ジヒドロピリジン化合物[I]の投与量は、患者の体重
および/または年令、ならびに/または疾病の程度、さ
らには投与手段のような種々の要因によって変化する
が、通常は、経口投与により、1日当たり0.1〜1000m
g、好ましくは0.5〜200mgを投与する。有効な1回投与
量は、患者の体重1kg当たり0.001〜20mgの範囲、好まし
くは0.01〜2mgの範囲内で選択される。
[発明の効果] この発明の脳神経細胞保護剤に使用されるジヒドロピリ
ジン化合物[I]または医薬として許容されるその塩の
有用性を示すために、この化合物[I]の薬理試験デー
タを以下に示す。
試験化合物 6−シアノ−5−メトキシカルボニル−2−メチル−4
−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−
3−カルボン酸イソプロピル(以下ジヒドロピリジン化
合物Aと称する) 本品はポリエチレングリコール400(PEG400)に溶解し
て使用した。
試験方法 [A]ジヒドロピリジン化合物Aの予防的効果 (1)脳虚血モデルにおける細胞骨格関連蛋白質の分解 スナネズミを背位に固定し、局所麻酔下に頸部を正中切
開し、並走する迷走・交感神経を傷つけないように両側
の総頸動脈を剥離した。小型クリップを用いて両側総頸
動脈を5、10、15分間閉塞した後これを除去し、その直
後、4日後、1週間後に断頭して脳を摘出した。無処置
のものを対照とし、またSHAM手術(剥離のみの偽手術)
を施したものについても検討した。摘出した脳は氷冷下
に前頭葉皮質(上部2/3、ほぼ第1〜5層に相当、〜80m
g)、線条体(〜20mg)、海馬(〜50mg)に分離し、4
倍容(V/W)の0.01M燐酸緩衝液(pH7.2)でホモゲナイ
ズし、10万G、30分間遠心し上清を得た。この上清を同
量ずつ、SDSポリアクリルアミドゲル(5%)電気泳動
にかけ、デンシトメーター(CS-930、島津製作所)にて
560nmの吸光度を測定することにより蛋白質を定量し
た。定量した蛋白質はMAP-2(MW:250〜260K)、カルス
ペクチン(MW:230〜240K)、クラスリン(MW:180K)の
3者で、各々が全水溶性蛋白質(正確には吸光度面積積
分の合計)中に占める割合を計算し、更にその無処置対
照群の値に対する百分率を算出した。
(2)虚血による細胞骨格関連蛋白質の分解に対するジ
ヒドロピリジン化合物Aの作用 2つのシリーズの実験を行なった。第1のシリーズで
は、虚血手術の1時間前にジヒドロピリジン化合物A
[0,0.01,0.1,1mg/kg]を皮下投与し、5分間の虚血を
施した後、再潅流1時間後に断頭して脳を摘出した。第
2のシリーズでは、ジヒドロピリジン化合物A[0,0.1,
1,10mg/kg]を同様に5分間の虚血操作の1時間前に皮
下投与し、更に翌日から4日間にわたり1日1回(合計
5回)同量を皮下投与した。虚血手術を含めて5日目の
最終投与の1時間後に断頭して摘出した。摘出した脳は
上述と同様に分画し、電気泳動にかけた。
(3)可溶性細胞骨格関連蛋白質のカルシウム依存性分
解 無処置動物の全脳をホモゲナイズして得た遠心上清を2m
MCaCl2、又は1.4mMエチレングリコール−ビス(β−ア
ミノエチルエーテル)N,N,N′,N′−テトラ酢酸(EGT
A)の存在下、あるいはいずれも無添加の3条件で37
℃、60分間インキュベーションした。これを電気泳動
し、上述と同様にデンシトメーターで蛋白質を定量し
た。
[B]ジヒドロピリジン化合物Aの治療的効果 スナネズミを背位に固定し、局所麻酔下に頸部を正中切
開し、並走する迷走・交感神経を傷つけないように両側
の総頸動脈を剥離した。小型クリップを用いて両側総頸
動脈を5分間閉塞した後これを除去し、その1時間後に
断頭したものおよび4日後に断頭したものについて夫々
脳を摘出した。SHAM手術を施したものを対照とし、無処
置のものについても検討した。摘出した脳は試験方法
(1)の項で述べた方法に従って処理し、同様にして検
討した。
尚薬剤投与スケジュールは次の2つのシリーズに分け
た。第1のシリーズでは、5分間の虚血を施した後、0,
10,30分後にジヒドロピリジン化合物A(0,1mg/kg)を
皮下投与し、虚血終了の1時間後に断頭して脳を摘出し
た。第2のシリーズではジヒドロピリジン化合物A(0,
1,10mg/kg)を同様に虚血操作終了の0,10,30,60分後に
皮下投与し、更に翌日から4日間にわたり1日1回(合
計5回)同量を皮下投与した。虚血手術を含めて5日目
の最終投与の1時間後に断頭して脳を摘出した。但し両
シリーズとも溶媒投与群は虚血直後投与のみとし、摘出
した脳は上述の如く分画して電気泳動にかけた。
試験結果 [A]ジヒドロピリジン化合物Aの予防的効果 (1)脳虚血モデルにおける細胞骨格関連蛋白質の分解 電気泳動によれば、MAP-2は分子量250〜260キロダルト
ン(K)に2本の、カルスペクチンは230〜240Kに3〜
4本の、クラスリンは180Kに1本のバンドとして検出さ
れた。これらは各々に対する抗体を用いたイムノブロッ
ティングによって確認した西村、山下らのデータと完全
に一致した。今回の条件では量の変化が観察された蛋白
質は上記3者のみであり、しかもそれらを合計しても全
体の5%未満である。
虚血時間を5、10、15分と変化させ、その1週間後の各
蛋白質量を分析した結果によると、5分間の虚血では、
MAP-2とカルスペクチンの減少が観察されたが、クラス
リンは変化なかった。10分間の虚血では、皮質及び線条
体でMAP-2、カルスペクチンの明らかな減少、クラスリ
ンの減少が観察されたが、海馬ではいずれの蛋白質も減
少していなかった。15分間の虚血では、MAP-2及びカル
スペクチンがいずれの部位でも減少しており、クラスリ
ンの減少は観察されなかった。MAP-2とカルスペクチン
は虚血時間が長くなればなる程、より顕著に減少する傾
向が見られたが、クラスリンの減少は明瞭ではなかっ
た。死亡率についてみると、5分間虚血では0/5(0
%)、10分間虚血では8/17(47%)、15分間虚血では31
/33(94%)であり、死亡例の多くは虚血24時間以内に
死亡した。
虚血時間を5分に固定し、その直後、4日後、1週間後
の各蛋白質の定量結果を検討した。但し上述の死亡率の
結果から、10分以上の虚血は薬剤評価に適さないとの判
断から5分を選んだ。直後及び4日後には、少数の例外
を除いて全ての部位で蛋白質が減少していた。一方、1
週間後ではMAP-2、カルスペクチンのみが減少してお
り、その程度も、直後や4日後にくらべて少なく、クラ
スリンはほとんど減少していなかった。
正常動物の脳水溶性分画にカルシウムまたはそのキレー
ト剤であるEGTAを添加し、in vitroでの分解を測定した
結果によると、MAP-2とカルスペクチンはカルシウム存
在下で著明に減少したが、クラスリンはほとんど変化し
なかった。カルシウム、EGTAとも無添加の場合にもMAP-
2はやや減少しているが、MAP-2は熱耐性蛋白質であるこ
とが知られているので、内因性のカルシウムが溶液中に
微量含まれていたものと思われる。
(2)虚血による細胞骨格関連蛋白質の分解に対する作
用 虚血1時間後および4日後の各蛋白質の定量結果による
と、ジヒドロピリジン化合物Aは全ての部位でMAP-2の
減少を有意に抑制した。また1時間後の海馬および4日
後の海馬および皮質でのカルスペクチンの減少を有意に
抑制した。クラスリンの減少に対しては何等効果を示さ
なかった。有効用量は0.01〜10mg/kgであったが、1mg/k
g以上では抑制効果の上昇はほとんど観察されず、1〜1
0mg/kgでmaximumに達しているものと考えられた。溶媒
投与群での3種の蛋白質の減少は、皮質と比較して線条
体と海馬で大きい傾向にあり、またジヒドロピリジン化
合物Aの抑制効果は線条体で強く現われる傾向にあっ
た。溶媒投与群での虚血1時間後と4日後の各蛋白質量
を比較してみると、いずれの蛋白質も不変ないしはやや
減少傾向にあった。4日後の方が蛋白質の分解が進行し
ているので正常との差が大きく、薬剤効果を判定し易い
ことが期待されたが、ジヒドロピリジン化合物Aの抑制
効果には、虚血1時間後(単回投与)と4日後(合計5
回の連投与)とで明らかな差を見い出すには至らなかっ
た。
以上の試験結果を要約すれば、ジヒドロピリジン化合物
Aは、CANPによって分解されると考えられるMAP-2とカ
ルスペクチンの減少を抑制したが、カルシウムに依存し
ないクラスリンの減少には何ら影響を及ぼさなかった。
この結果はジヒドロピリジン化合物の脳虚血障害に対す
る保護作用を示すと共に、脳虚血時には神経細胞内への
カルシウムの流入が実際に起こっていることを示すもの
と考えられる。
比較化合物との対比 従来のCa2+拮抗剤であるニモジピンおよびニカルジピン
についてジヒドロピリジン化合物Aの作用と比較する
為、前記試験方法の項(1)で述べた手順に従って試験
を行なった。結果を第1〜3表に一括して示す。尚溶媒
としては全てPEG-400を用いた。これらの表に見られる
如くニモジピンとニカルジピンの作用は極めて弱く、ジ
ヒドロピリジン化合物Aのみが顕著に優れた作用を示す
ことが分かる。
[B]ジヒドロピリジン化合物Aの治療的効果 第4表に虚血1時間後の各蛋白質の定量結果を示した。
ジヒドロピリジン化合物Aの1mg/kg投与では虚血直後に
投与した場合には3部位全てでMAP-2の減少を有意に抑
制し、虚血10分後の投与でも海馬ではMAP-2の減少を有
意に抑制した。カルスペクチンの減少に対しては海馬で
のみ有効であったが、この効果は虚血30分後の投与でも
観察された。クラスリンの減少に対しては抑制効果はな
かった。
第5表に虚血4日後の各蛋白質の定量結果を示した。線
条体では虚血直後及び10分後に1回目の投与をした1mg/
kg/day群と10mg/kg/day群、及び30分後に初回投与をし
た10mg/kg/day群でMAP-2の減少を有意に抑制した。海馬
では1mg/kg/day群、10mg/kg/day群ともに、虚血直後〜6
0分後に投与を開始した全ての群でMAP-2の減少を有意に
抑制した。
これらの結果から、海馬におけるMAP-2の減少に対して
は虚血後の投薬開始までの時間が比較的長いときでも有
効であった。これに対し線条体と前頭葉皮質では、可能
な限り早期に投薬することが好ましいと考えられる。
[実施例] 実施例1 ジヒドロピリジン化合物A 100g ヒドロキシプロピルメチルセルロース 500g ジヒドロピリジン化合物Aを無水エタノール(5l)に溶
解し、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース
を加え懸濁液を調製する。次いで、有機溶媒を減圧下に
除去し、固形分散組成物を得る。
実施例2 ジヒドロピリジン化合物A 100g ヒドロキシプロピルメチルセルロース 500g シュクロース 9.4kg ジヒドロピリジン化合物Aおよびヒドロキシプロピルメ
チルセルロースの無水エタノール(5l)中懸濁液にシュ
クロースに加え、得られる混合物を撹拌する。次いで有
機溶媒を減圧下に除去し、固形分散組成物を得る。この
組成物を常法によって細粒剤とする。
実施例3 ジヒドロピリジン化合物A 100g ヒドロキシプロピルメチルセルロース 500g ラクトース 6.87kg 低級置換ヒドロキシプロピルセルロース 1.5kg ステアリン酸マグネシウム 30g ジヒドロピリジン化合物Aおよびヒドロキシプロピルメ
チルセルロースの無水エタノール(5l)中懸濁液に、ラ
クトースおよび低級置換ヒドロキシプロピルセルロース
を加え、得られる混合物を撹拌し、次いで有機溶媒を減
圧下に除去して、固形分散組成物を得る。この組成物を
常法によって顆粒剤とした後、ステアリン酸マグネシウ
ムを加え常法によって錠剤とする。この錠剤は1錠中に
2mgのジヒドロピリジン化合物Aを含有する。
実施例4 実施例3で得られる各錠剤を、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース(5.1mg)、二酸化チタン(1.6mg)、ポリ
エチレングリコール6000(0.8mg)、タルク(0.4mg)、
黄色酸化鉄(0.1mg)よりなるコーティング層で常法に
よってフィルムコートして、1錠中に2mgのジヒドロピ
リジン化合物Aを含有するフィルムコーティング錠を得
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [式中R1はニトロフェニル、R2,R3およびR4は夫々同一
    または異なって低級アルキルを意味する] で示されるジヒドロピリジン化合物または医薬として許
    容されるその塩を含有することを特徴とする脳神経細胞
    保護剤。
  2. 【請求項2】ジヒドロピリジン化合物が、6−シアノ−
    5−メトキシカルボニル−2−メチル−4−(3−ニト
    ロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン
    酸イソプロピルである請求項(1)に記載の脳神経細胞
    保護剤。
JP33516688A 1987-12-29 1988-12-28 ジヒドロピリジン化合物を含有する脳神経細胞保護剤 Expired - Lifetime JPH0681725B2 (ja)

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JP33516688A JPH0681725B2 (ja) 1987-12-29 1988-12-28 ジヒドロピリジン化合物を含有する脳神経細胞保護剤

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JP33558287 1987-12-29
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JP12161988 1988-05-17
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