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JPH0681036A - リジング性および加工性に優れたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

リジング性および加工性に優れたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH0681036A
JPH0681036A JP21966792A JP21966792A JPH0681036A JP H0681036 A JPH0681036 A JP H0681036A JP 21966792 A JP21966792 A JP 21966792A JP 21966792 A JP21966792 A JP 21966792A JP H0681036 A JPH0681036 A JP H0681036A
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JP
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rolling
less
stainless steel
hot
hot rolling
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JP21966792A
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Katsuhisa Miyakusu
克久 宮楠
Yoshihiro Uematsu
美博 植松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リジング性および加工性に優れたフエライト
系ステンレス鋼板を表面性状と製造性を向上させながら
製造する。 【構成】 熱間加工温度域でフエライト+オーステナイ
トの2相組織を呈するフエライト系ステンレス鋼を,粗
熱間圧延および仕上熱間圧延を経て熱延鋼帯となし,冷
間圧延と焼鈍を組み合わせて冷延鋼板または鋼帯を製造
するさいに,本文記載の(1)式で示されるγmaxが35以
上で80以下となるように化学成分をバランスさせたフ
エライト系ステンレス鋼のスラブ製造し,このスラブを
1150〜1250℃に加熱して粗熱間圧延を開始し,仕上圧延
出側速度が 7.0 m/s以上でかつ仕上圧延出側温度が 860
℃以上で仕上熱間圧延を終了し,650 ℃以上で巻き取
る。 【効果】 より多量のオーステナイト相がフエライト相
と共存した状態で高温・高速熱延されとフエライト相の
細分化とひずみ蓄積が促進され, その結果,表面性状お
よび製造性を確保しつつ,リジング性および加工性に優
れたフエライト系ステンレス鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,プレス成形や曲げ加
工, ロールフォーミングなどの加工に供されるリジング
性および加工性に優れたフエライト系ステンレス鋼板の
製造方法に関する。本発明の鋼は冷延鋼帯もしくは冷延
鋼板の形で市場に供されるが,本明細書においてはこれ
らを鋼板と総称する。
【0002】
【従来の技術】SUS430に代表されるフエライト系ステン
レス鋼は,良好な耐食性ならびに加工性を有し, また高
価なNiを含有せず,オーステナイト系ステンレス鋼に
比べると経済的な利点も合わせ持つことなどから,耐久
消費財を中心に広く使用されている。しかしフエライト
系ステンレス鋼板ではプレス成形時にリジングと呼ばれ
る独特のシワ状の表面凹凸を生じる現象がある。リジン
グは成形品の美観を損ない商品価値を低下させるばかり
か,これを除去するために研磨負荷の増大を招くなど,
フエライト系ステンレス鋼の加工上の大きな問題であ
る。
【0003】リジングの成因については, これまでに数
多くの報告がなされているが,つまるところ, 鋳造組織
や熱延板組織に由来する方位の近い結晶粒の集団からな
る単位領域が冷延焼鈍板においても温存され,プレス成
形などの加工に際してそれぞれの単位領域が異なった変
形挙動を示し, 鋼板の圧延方向にうね状の表面起伏を生
じるものと考えられている。したがって,リジング性の
改善にはこの単位領域を微細化, 粉砕化することが有効
であり, この観点から各種の改善策が提案されている。
【0004】従来, フエライト系ステンレス鋼板の製造
は,連続鋳造スラブを熱間圧延により熱延鋼帯とし,箱
型炉もしくは連続焼鈍炉による熱延板焼鈍を行った後,
酸洗し,一回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を含む複数回
の冷間圧延を行い, 再結晶焼鈍して製品化するのが一般
的な方法である。ただし,熱延板焼鈍は省略される場合
もあるが,特に深絞り加工などに供されるリジング性お
よび加工性が重要となる薄板のプレス成形用途に対して
は,熱延板焼鈍を行い且つ中間焼鈍を含む2回の冷間圧
延を実施して製造されることが多い。
【0005】このような従来のフエライト系ステンレス
鋼冷延鋼板の製造において,標準的に採用されている熱
間圧延条件は次の通りである。
【0006】また,生産能率の上で重要となる圧延速度
については,従来のフエライト系ステンレス鋼では仕上
圧延出側速度で4.0〜6.0m/s程度である。これは, オー
ステナイト系ステンレス鋼の約8m/s以上, 普通鋼の約1
0m/s以上に比べるとかなり遅い。
【0007】熱間圧延におけるリジング改善策として
は,低温圧延が有効であることが知られており, このた
めフエライト系ステンレス鋼は,通常はオーステナイト
系ステンレス鋼より低い温度で熱間圧延が実施されてい
る。加工用途向けなどで特にリジング性が重要視される
場合は,一般のフエライト系ステンレス鋼よりもさらに
仕上熱間圧延終了温度を低く規制することも行われてい
る。
【0008】より積極的には,比較的低温で強圧下の圧
延パスを施したり, 圧延中に材料を一時的に待機させて
パス間時間を大きくするいわゆるディレイ圧延がリジン
グ改善に有効であることも知られている。例えば特公昭
45-34016号公報では,熱間圧延の少なくとも50%の圧下
を871℃以下の温度で行なうこと,また, 熱間圧延の途
中で圧延を一時停止し,材料を760〜871℃よりも高くな
い温度に冷却した後に後段の熱間圧延を行なうリジング
改善方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の熱間圧延温度の
低温化によるリジング性の改善は,低温化するために必
然的に圧延速度の低減を伴うという問題がある。このた
め生産性の低下が免れ得ない。事実, 先にも述べたよう
にフエライト系ステンレス鋼の仕上圧延速度はオーステ
ナイト系ステンレス鋼に比べてもかなり遅く,生産性に
劣っている。またディレイ圧延についても圧延時間の増
大を招き,生産性の低下をもたらす。したがって,これ
も経済的な方法とは言えない。
【0010】加えて,低温熱延は,確かにリジング性の
改善には有効であっても,表面疵を発生しやすく鋼帯の
表面品質の劣化をもたらすという問題がある。これは,
圧延温度が低くなると被圧延材の変形抵抗が上昇するの
で圧延負荷が大きくなり,ロールと被圧延材との焼付き
を生じて被圧延材の一部が凝着物としてロール表面に移
着し,その後の鋼帯表面に転写されることによると考え
られる。また,圧延温度が低いと鋼帯表面に生成される
酸化皮膜も薄くなり,これが焼付けを一層助長すること
も考えられる。このようなことから,低温熱延では,そ
の後の工程で鋼帯の表面研磨を要するなど,工程負荷の
増大をもたらすという問題がある。
【0011】したがって,熱延鋼帯の生産性や表面品質
を損なうことなく,なおかつ加工用冷延鋼板で必要とさ
れる良好な深絞り性や延性を確保しつつ,リジング性を
改善するフエライト系ステンレス鋼の経済的な工業的熱
間圧延技術は未だ完成されていない。本発明の課題はこ
の点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決すべ
く,本発明者らはフエライト系ステンレス鋼のリジング
性および加工性に及ぼす合金組成,金属組織および熱延
条件の影響に関し,詳細な検討を行ってきた。
【0013】その結果,次のような幾つかの有益な事実
を見出した。高温でのγ相量を増加させる方向で鋼の成
分バランスを厳密に制御し,仕上熱間圧延において多量
のオーステナイト相が共存する状態で高温・高速熱延を
行なうと,フエライト相の細分化並びにひずみ蓄積を図
ることができ,巻取後もしくは熱延焼鈍時にフエライト
相の回復・再結晶が促進され,冷間圧延・焼鈍後に優れ
たリジング性,加工性を具備するフエライト系ステンレ
ス鋼板が得られることがわかった。すなわち,熱延鋼帯
における良好な表面品質と高い生産性が確保できるよう
な高温・高速熱延を採用しても後述のγmax の適正な制
御によって,冷間圧延・焼鈍後に優れたリジング性と加
工性を付与することができる。
【0014】加えて, 適正量のBを添加すると,高温・
高速熱延の後にγ相が分散化した分布形態となり,冷間
圧延・焼鈍後にリジング性と加工性がより向上するこ
と, さらにTi,Nb,ZrおよびVの適量の添加によって
加工性は一層向上することがわかった。
【0015】本発明はこのような知見に基づき完成した
ものであり,その要旨とするところは,熱間加工温度域
でフエライト+オーステナイトの2相組織を呈するフエ
ライト系ステンレス鋼を,粗熱間圧延および仕上熱間圧
延を経て熱延鋼帯となし,冷間圧延と焼鈍を組み合わせ
て冷延鋼板または鋼帯を製造するさいに,下記(1)式で
示されるγmaxが35以上で80以下となるように化学
成分をバランスさせたフエライト系ステンレス鋼のスラ
ブを製造し(ただし,この鋼は(1)式中の全ての成分が
添加されていることを意味するものではなく,含有しな
い成分は0%としてγmaxを算出する), このスラブを1
150〜1250℃に加熱して粗熱間圧延を開始し,仕上圧延
出側速度が 7.0 m/s以上でかつ仕上圧延出側温度が 860
℃以上で仕上熱間圧延を終了し,650 ℃以上で巻き取る
ことを特徴とする,リジング性および加工性に優れたフ
エライト系ステンレス鋼板の製造法である。 γmax =420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+7(%Mn)−11.5(%Cr) −11.5(%Si)−23(%V)−49(%Ti)−50(%Nb)−50(%Zr) +189 ・・(1)
【0016】
【作用】γmaxは熱間圧延温度域などの高温での最大オ
ーステナイト相量に対応する指標であり, 本発明の対象
とする鋼は,基本的には前記γmaxが35以上80以下のフ
エライト系ステンレス鋼であればよい。本発明が有利に
達成できる好ましいフエライト系ステンレス鋼は,質量
%でC:0.10%以下, Si:0.75%以下, Mn:2.0%以
下, Ni:0.50%以下, Cr:10.00〜20.00%, N:0.04
%以下, B:0.0010〜0.0300%を含有し,必要に応じて
さらにTi:0.01〜0.30%, Nb:0.01〜0.30%, Zr:
0.01〜0.30%またはV:0.01〜0.30%の1種または2種
以上を含有し,残部がFeおよび不可避の不純物からな
り, γmaxが35以上80以下の鋼である。
【0017】代表的な実験結果を参照しながら以下に本
発明の作用効果を具体的に説明しよう。
【0018】供試鋼の化学成分を表1に示した。A鋼は
SUS430として一般的な化学成分を有するγmaxが17.0の1
7%Cr鋼である。B鋼はγmaxが45.1とA鋼よりも高く,
またC鋼はγmaxが42.1でB (ほう素)を含有する鋼で
ある。これらの鋼は真空高周波溶解炉で溶製し,凝固速
度を遅くし実機スラブに近い鋳造組織を得るために,耐
火物で内張りした鋳型に鋳造し,100kg鋼塊を作製し
た。この鋼塊から40mm厚み×100mm幅×lmm長さの熱間
圧延用試料を採取した。
【0019】
【表1】
【0020】これらの試料は,表2に示した条件で高温
熱延と低温熱延を行い,板厚3.6mmの熱延鋼板を作製し
た。いずれの場合も熱延速度は変化させず5m/sの一定
とした。この熱延板に850℃×6hの熱延板焼鈍を施
し,デスケール後,板厚0.7mmに冷間圧延し,830℃×1
minの焼鈍を行った。
【0021】得られた冷延焼鈍板から, 圧延方向と平行
に平行部35mm幅×120mm長さの引張り試験片を採取し,2
0%の引張りひずみを付与して表面に現れるリジングを
評価した。リジングは表面粗さ計を用いて圧延方向と直
角方向の中心線平均粗さRaを測定することにより評価
した。その結果を図1にまとめて示した。
【0022】
【表2】
【0023】図1は,フエライト系ステンレス鋼のリジ
ング性に対してγmaxおよび熱延温度が非常に興味深い
影響を及ぼすことを示している。すなわちγmaxが低い
鋼Aの場合はRaに対する熱延温度の影響が大きく, 高
温熱延では著しくRaは大きくなってリジング性は劣る
のに対し,γmaxが高い鋼BではRaに及ぼす熱延温度の
影響は比較的小さくなると共に,どの熱延温度ともRa
は小さくなり, 高温熱延であってもリジング性に優れ
る。
【0024】また図1の結果から,従来条件に対応する
鋼Aを低温熱延した場合の冷延焼鈍板と同等以下の中心
線平均粗さは,高温熱延の場合にはγmaxが約35以上で
得られることが分かる。B (ほう素) を含有する鋼Cで
はRaは一層小さくなり, 高温熱延においても非常に優
れたリジング性を示すようになる。
【0025】図1の結果は,熱間圧延において圧延速度
を高め熱延温度を上昇させても,γmaxを高めれば良好
なリジング性が確保できる可能性を示すものであり, ま
たBは一層その効果を助長することを示している。
【0026】γmaxを高めると,高温熱延であっても良
好なリジング特性が得られる理由については,次のよう
に考えられる。
【0027】γmaxは先にも述べたように高温での最大
オーステナイト量に対応し,オーステナイトの析出ノー
ズは1050〜1100℃にあることから, γmaxを高めること
は粗熱間圧延後半の温度域でのオーステナイト量を増加
させることになる。ただし,フエライト系ステンレス鋼
のように多量のCrを含有する鋼では普通鋼に比べγ→
α変態が遅く, 粗熱間圧延段階で生成したオーステナイ
トは仕上熱間圧延時にもほぼそのまま持ち来される。
【0028】従って, γmaxを高めることにより, フエ
ライト相に比べ熱間での変形抵抗の大きいオーステナイ
ト相がより多量にフエライト相と共存する状態で仕上熱
間圧延されることになり, フエライト相の細分化ならび
にひずみ蓄積に寄与し,これが巻取後もしくは熱延板焼
鈍時にフエライト相の回復・再結晶を促進する作用を果
たし, その結果, リジング性が改善されるものと考えら
れる。また高速熱延はひずみ速度を高めるから実質的に
低温で熱延したと同様にフエライト相へひずみ蓄積を促
進する作用を供する。
【0029】一方,Bについての作用は次のように考え
ることができる。図2は,前記試験の鋼Aの熱延板の金
属組織を示した写真,図3は同じく鋼C(ほう素Bを含
有する鋼)の熱延板の金属組織を示した写真である。両
図の比較から,B(ほう素)を含有する鋼Cでは熱間圧
延中にオーステナイト相であった変態相が粒状に分散化
して分布しており,帯状で展伸度の高い鋼Aとは金属組
織が大きく異なることが分かる。
【0030】従って,Bはオーステナイト量の多少に影
響するよりは,むしろ,オーステナイト相の大きさや分
布状態を変える役割を供し,前述の熱延中のオーステナ
イト相の効果をより一層高める作用を果たすものと考え
られる。この変態相の分布状態に及ぼすBの影響のメカ
ニズムについては現時点では必ずしも明らかではない
が,おそらくBの関与する析出物がフエライト中に多数
存在し,これが粗熱間圧延中に生成するオーステナイト
の生成サイトとなるのではないかと考えられる。
【0031】以下に,本発明で規定する要件の数値の限
定理由について説明する。
【0032】先にも述べたように,γmaxは熱間圧延温
度域での最大オーステナイト量の指標である。このγma
xの規定は本発明の最も重要な点であって,γmaxが35以
下では高温でのオーステナイト量が少なく, 本発明で規
定する高速・高温熱延を施した場合に十分なリジング特
性が得られない。一方, γmaxを高めるためには,C,
N, Mn,Niなどのオーステナイト生成元素量を高める
必要があるが,これらは材質の硬質化やコスト上昇を招
くためγmaxとして80以下に規定する。
【0033】粗熱間圧延前のスラブ加熱温度は, 1150℃
未満では高速圧延を行ったとしても従来の熱間圧延で問
題となっている生産性の低下や表面疵発生の問題が完全
には解決され得ない。一方, 1250℃を超えるスラブ加熱
温度を採用することはエネルギーコストの上昇を招いて
不利となる。このため, スラブ加熱温度は1150〜1250℃
の範囲とする。
【0034】仕上圧延速度の規制は本発明の重要な点で
あって, 生産性を高めかつ圧延温度を確保し表面品質の
良好な熱延鋼帯を得るため7.0m/s以上に規定する。仕上
圧延終了温度については,前記の1150℃以上のスラブ加
熱温度を採用する場合にこの終了温度を860℃未満とす
るには,圧延速度を規制したり熱延中のストリップの冷
却強化を図ることか必要となり,またロールとの焼付き
に起因する表面疵発生の危険性も高まる。このような理
由から仕上圧延終了温度は 860℃以上とする。
【0035】巻取温度を低くするためには,仕上圧延機
出側から巻取機までの間で積極的な水冷を行なうなどの
処置が必要であり, 鋼帯の形状不良を招く。逆に高温巻
取を行なうには, 必要以上の高温熱延を行なう必要があ
る。そこで, 本発明で規定する前記スラブ加熱温度なら
びに仕上圧延終了温度を採用し,特段の水冷却などを行
なう必要のない巻取温度として, 650℃以上に規定す
る。
【0036】本発明で対象とする鋼は,基本的には前記
γmaxが35以上で80以下のフエライト系ステンレス
鋼であればよいが,本発明の課題が有利に達成できるフ
エライト系ステンレス鋼としては,質量%でC:0.10%
以下, Si:0.75%以下, Mn:2.0%以下, Ni:0.50%
以下, Cr:10.00〜20.00%, N:0.04%以下,B:0.00
10〜0.0300%を含有し,必要に応じてさらにTi:0.01
〜0.30%, Nb:0.01〜0.30%, Zr:0.01〜0.30%また
はV:0.01〜0.30%の1種または2種以上を含有し,残
部がFeおよび不可避の不純物からなり, γmaxが35以上
80以下の鋼である。この鋼の各成分の含有量限定理由は
次のとおりである。
【0037】Cはγmaxを高める元素である。このため
熱間圧延温度域でのオーステナイトを増加させて組織微
細化に有利に働き,リジング性の向上に好ましい。しか
しCは冷延焼鈍後の強度を上昇させる元素でもあり, あ
まり高いと延性の低下を招くため,0.10%を上限とす
る。
【0038】Siは脱酸に有効な元素であるが,固溶強
化能が大きく, あまりその含有量が高いと材質が硬化し
延性の低下を招くので0.75%以下とする。
【0039】Mnはオーステナイト生成元素でありγmax
の制御に有効利用できると共に,固溶強化能が小さく材
質への悪影響が少ない。しかし2.0%を超える添加は耐
食性の劣化やコスト上昇を招くため2.0%を上限とす
る。
【0040】NiはMnと同様にオーステナイト生成元素
でありγmaxの制御に有効な元素である。しかし0.50%
を超える添加は硬質化やコスト上昇を招くため0.50%を
上限とする。
【0041】Crの下限10.00%は,ステンレス鋼として
の耐食性を保持するに必要最低限の量である。他方,多
量の含有は加工性の低下を招くため,20.00%を上限と
する。
【0042】NはCと同様にγmaxを高める元素であり,
リジング性の改善に好ましい。しかし多量の添加は硬
質化による延性低下や表面疵の発生を招くため,0.04%
を上限とする。
【0043】Bは先にも述べたように熱延板の変態相分
布を均一分散化させ, リジングの原因となる単位領域を
微細化, 分断化する効果を有する。その効果は0.0010%
未満では十分ではない。一方, 0.0300%を超えるとスラ
ブ鋳造欠陥の増加や溶接性の低下を招くため,適正含有
量として0.0010%〜0.0300%に規定する。
【0044】Ti,Nb,ZrまたはVは,いずれもr値を
上昇させ, 深絞り性改善に有効な元素である。一方では
フエライト生成元素でありγmaxを低下させる。そこ
で,それぞれの適正含有量範囲として, それぞれ0.01〜
0.30%に規制する。
【0045】なお,前記の成分のほか,MoやCu, Al
などのその他の元素についても, 耐食性や耐酸化性など
の諸特性の向上を目的に適宜添加するこは許容され得
る。
【0046】
【実施例】表3に示す化学成分を有する鋼を溶製し,各
鋼を表4に示すスラブ加熱温度,仕上圧延速度および仕
上圧延温度の条件に従って熱間圧延を行い,いずれも板
厚3.6mmの熱延鋼帯とした。各熱延鋼帯について,圧延
ロールとの焼付きによる表面疵発生の有無を確認した
後, 850℃×6hの焼鈍を施し,デスケール後,板厚0.7
mmに冷間圧延し,830℃×1minの焼鈍を行った。
【0047】得られた各冷延鋼帯について,リジング
性, 引張特性およびr値を調査した。リジング性は圧延
方向と平行に平行部35mm幅×120mm長さの引張り試験片
を採取し,20%の引張ひずみを付与した後に表面粗さ計
を用いて圧延方向と直角方向の中心線平均粗さRaを測
定し,次に示す5段階で評価した。
【0048】
【0049】引張特性およびr値は,JIS 13B号試験片
を用いて圧延方向, 圧延方向と45o方向, 圧延方向と90o
方向の3方向について測定し,その平均を求めた。得ら
れた結果を表4に合わせて示した。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】表4から明らかなように,本発明例No.a
〜gに従う鋼はいずれも熱延鋼帯での表面疵の発生もな
く,優れたリジング性ならびに加工性を有している。
【0053】これに対し,比較例No.hは,使用した鋼N
o.8のγmaxが22.8である(本発明で規定する範囲より
小さい)ためリジング性が劣っている。また,伸びおよ
びr値も低く加工性も劣っている。
【0054】低温・低速熱延を行った比較例No.i〜l
はリジングならびに加工性は比較的良好であるものの,
熱延鋼帯にステンレス鋼との焼付きに起因する表面疵が
多発した。このため,製品化には後工程での表面研磨を
要した。
【0055】本実施例は,長時間の熱延板焼鈍を行い,
中間焼鈍を行わない一回冷延法の例を示したが,熱延焼
鈍の有無,熱延板焼鈍の方法および中間焼鈍の有無によ
らず同様の効果が奏される。
【0056】
【発明の効果】以上のように,本発明によれば生産性の
低下やコスト上昇を招くことなく,良好な表面性状を有
し,リジング性および加工性に優れたフエライト系ステ
ンレス鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リジング評価のための中心線平均粗さRa に及
ぼすγmax と熱延温度の影響を示す図である。
【図2】実施例中の鋼Aの熱延板の金属組織を示す写真
である。
【図3】実施例中の鋼Cの熱延板の金属組織を示す写真
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間加工温度域でフエライト+オーステ
    ナイトの2相組織を呈するフエライト系ステンレス鋼
    を,粗熱間圧延および仕上熱間圧延を経て熱延鋼帯とな
    し,冷間圧延と焼鈍を組み合わせて冷延鋼板または鋼帯
    を製造するさいに,下記の(1)式で示されるγmaxが35
    以上で80以下となるように化学成分をバランスさせた
    フエライト系ステンレス鋼のスラブを製造し,このスラ
    ブを1150〜1250℃に加熱して粗熱間圧延を開始し,仕上
    圧延出側速度が 7.0 m/s以上でかつ仕上圧延出側温度が
    860℃以上で仕上熱間圧延を終了し,650 ℃以上で巻き
    取ることを特徴とするリジング性および加工性に優れた
    フエライト系ステンレス鋼板の製造法。 γmax =420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+7(%Mn)−11.5(%Cr) −11.5(%Si)−23(%V)−49(%Ti)−50(%Nb)−50(%Zr) +189 ・・(1)
  2. 【請求項2】 フエライト系ステンレス鋼は,質量%
    で,C:0.10%以下,Si:0.75%以下, Mn:2.0%以
    下, Ni:0.50%以下, Cr:10.00〜20.00%, N:0.04
    %以下, B:0.0010〜0.0300%を含有し,残部がFeお
    よび不可避の不純物からなり, かつγmaxが35以上で
    80以下である請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 フエライト系ステンレス鋼は,質量%
    で,C:0.10%以下,Si:0.75%以下, Mn:2.0%以
    下, Ni:0.50%以下, Cr:10.00〜20.00%, N:0.04
    %以下, B:0.0010〜0.0300%を含有し,さらにTi:
    0.01〜0.30%, Nb:0.01〜0.30%, Zr:0.01〜0.30%
    またはV:0.01〜0.30%の1種または2種以上を含有
    し,残部がFeおよび不可避の不純物からなり, かつγm
    axが35以上で80以下である請求項1に記載の製造
    法。
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