JPH06340941A - ナノ相複合硬質材料とその製造方法 - Google Patents
ナノ相複合硬質材料とその製造方法Info
- Publication number
- JPH06340941A JPH06340941A JP15614693A JP15614693A JPH06340941A JP H06340941 A JPH06340941 A JP H06340941A JP 15614693 A JP15614693 A JP 15614693A JP 15614693 A JP15614693 A JP 15614693A JP H06340941 A JPH06340941 A JP H06340941A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phase
- metals
- hard
- nano
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】硼化物の硬質相と、鉄族金属の金属結合相とか
らなる硬質材料の強度とビッカース硬度を顕著に向上さ
せる。 【構成】Fe、Ni、Co、Ti、Al、Mg、Cu、
Si、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moおよび
Wの金属群、炭化物群、窒化物群、硼化物群、酸化物
群、珪化物群および炭化硼素から選ぶ1種以上の粒径が
300nmより小さいナノ相を硬質相中に0.01体積
%以上30体積%以下散在せしめる。
らなる硬質材料の強度とビッカース硬度を顕著に向上さ
せる。 【構成】Fe、Ni、Co、Ti、Al、Mg、Cu、
Si、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moおよび
Wの金属群、炭化物群、窒化物群、硼化物群、酸化物
群、珪化物群および炭化硼素から選ぶ1種以上の粒径が
300nmより小さいナノ相を硬質相中に0.01体積
%以上30体積%以下散在せしめる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、代表的な硬質材料(サ
ーメットともいう)であるタングステンカーバイト−コ
バルト(WC−Co)系超硬合金に匹敵する強度と硬度
を室温において有し、金属材料や超硬合金が強度と硬度
を維持できない600℃以上の高温においても優れた強
度と硬度を保持する硬質材料に関する。
ーメットともいう)であるタングステンカーバイト−コ
バルト(WC−Co)系超硬合金に匹敵する強度と硬度
を室温において有し、金属材料や超硬合金が強度と硬度
を維持できない600℃以上の高温においても優れた強
度と硬度を保持する硬質材料に関する。
【0002】
【従来の技術】WC−Co系超硬合金が優れた強度と硬
度を有していることによって多くの用途を確保し、既に
大きなマーケットを形成している現状から推して、硼化
物の硬質相がWC−Co系超硬合金の炭化物の硬質相よ
り耐酸化性に優れ、アルミニウムや亜鉛などの溶融金属
に対する耐食性にも優れているので、高温域における強
度と硬度を付与できれば、広範な用途が開拓できるもの
と期待される。
度を有していることによって多くの用途を確保し、既に
大きなマーケットを形成している現状から推して、硼化
物の硬質相がWC−Co系超硬合金の炭化物の硬質相よ
り耐酸化性に優れ、アルミニウムや亜鉛などの溶融金属
に対する耐食性にも優れているので、高温域における強
度と硬度を付与できれば、広範な用途が開拓できるもの
と期待される。
【0003】しかし、ただ単に硼化物と金属結合相を組
み合わせるだけでは、多くの場合脆弱な化合物が生成し
て実用性のある硬質材料とはならない。たとえば、Ti
B2やZrB2 などはFeやNiと反応して脆弱な硼化
物相であるFeBやNiBが生成することになるため、
実用性のある材料物性を有する硼化物系の硬質材料の製
造には困難がともなう。
み合わせるだけでは、多くの場合脆弱な化合物が生成し
て実用性のある硬質材料とはならない。たとえば、Ti
B2やZrB2 などはFeやNiと反応して脆弱な硼化
物相であるFeBやNiBが生成することになるため、
実用性のある材料物性を有する硼化物系の硬質材料の製
造には困難がともなう。
【0004】硼化物には一群の複硼化物のグループがあ
り、Mo2 FeB2 、Mo2 NiB2 、W2 CoB2 な
どの複硼化物は、1950年代にSteinitzらの
論文(Powder Met.Bull.6,123
(1953))に報告され、硬質材料の硬質相に利用で
きることが示唆されている。Mo2 FeB2 やMo2 N
iB2 などの複硼化物の場合には、FeやNi系の金属
結合相と組み合わせても、上記のような好ましくない硼
化物相を生成せず、実用性のある強度と硬度を有する硬
質材料が焼結によって得られる。
り、Mo2 FeB2 、Mo2 NiB2 、W2 CoB2 な
どの複硼化物は、1950年代にSteinitzらの
論文(Powder Met.Bull.6,123
(1953))に報告され、硬質材料の硬質相に利用で
きることが示唆されている。Mo2 FeB2 やMo2 N
iB2 などの複硼化物の場合には、FeやNi系の金属
結合相と組み合わせても、上記のような好ましくない硼
化物相を生成せず、実用性のある強度と硬度を有する硬
質材料が焼結によって得られる。
【0005】このため、特公昭60−57499、特公
昭62−196353、特公昭63−143236など
において、Mo2 FeB2 、Mo2 NiB2 、W2 Co
B2などの複硼化物を硬質相とし、鉄族金属を主とする
金属結合相とから構成される硬質材料が既に提案されて
いる。
昭62−196353、特公昭63−143236など
において、Mo2 FeB2 、Mo2 NiB2 、W2 Co
B2などの複硼化物を硬質相とし、鉄族金属を主とする
金属結合相とから構成される硬質材料が既に提案されて
いる。
【0006】これらの複硼化物を硬質相とする硬質材料
は、硼化物がAlやZnなどの溶融金属に対して耐食性
があり、600℃以上の高温域でも強度と硬度を保有す
るという好ましい特徴があり、600℃以上の高温域で
超硬合金より優れた強度と硬度を有しているので、アル
ミニウムのダイカスト成形用の部材などに応用が試みら
れ、現在実用化が進行中であり、複硼化物を硬質相とす
る硬質材料が見直されつつある。
は、硼化物がAlやZnなどの溶融金属に対して耐食性
があり、600℃以上の高温域でも強度と硬度を保有す
るという好ましい特徴があり、600℃以上の高温域で
超硬合金より優れた強度と硬度を有しているので、アル
ミニウムのダイカスト成形用の部材などに応用が試みら
れ、現在実用化が進行中であり、複硼化物を硬質相とす
る硬質材料が見直されつつある。
【0007】他方において、超硬合金やTiC系の硬質
材料の改良にもその後目覚ましい進展があり、常温にお
ける強度と硬度については非常に高い水準の材料が実現
し、超硬合金の曲げ強度には500kg/mm2 という
ものも報告されている。
材料の改良にもその後目覚ましい進展があり、常温にお
ける強度と硬度については非常に高い水準の材料が実現
し、超硬合金の曲げ強度には500kg/mm2 という
ものも報告されている。
【0008】また一方において、特開平5−58751
にはセラミックスの結晶粒子中にnm(ナノメートル)
オーダーの第2相を分散せしめることにより、従来のセ
ラミックスと比べて高温強度と靭性に優れたセラミック
体を得ることが提案されている。この着想が金属と硼化
物セラミックスの複合材料である硼化物のサーメットに
ついても応用できれば、極限条件下で使用されることが
多いサーメットの高温強度と硬度を向上せしめ得ると予
想される。
にはセラミックスの結晶粒子中にnm(ナノメートル)
オーダーの第2相を分散せしめることにより、従来のセ
ラミックスと比べて高温強度と靭性に優れたセラミック
体を得ることが提案されている。この着想が金属と硼化
物セラミックスの複合材料である硼化物のサーメットに
ついても応用できれば、極限条件下で使用されることが
多いサーメットの高温強度と硬度を向上せしめ得ると予
想される。
【0009】現在、複硼化物を硬質相とする硬質材料で
は、曲げ強度が大きいものでも250kg/mm2 程度
である。複硼化物の硬質材料の常温における強度を向上
せしめて超硬合金の強度に匹敵するレベルにできれば、
600℃以上の高温における強度も顕著に大きくなると
予想され、高温における強度が大きくなれば、新技術の
開発を促す原動力となり、広範な用途が開けるはずであ
る。
は、曲げ強度が大きいものでも250kg/mm2 程度
である。複硼化物の硬質材料の常温における強度を向上
せしめて超硬合金の強度に匹敵するレベルにできれば、
600℃以上の高温における強度も顕著に大きくなると
予想され、高温における強度が大きくなれば、新技術の
開発を促す原動力となり、広範な用途が開けるはずであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の硬質材
料における技術の現状を背景とし、硼化物に鉄族金属を
主成分とする金属結合相を組み合わせた硬質材料で、強
度と硬度が顕著に大きい硬質材料を提供することを目的
とする。
料における技術の現状を背景とし、硼化物に鉄族金属を
主成分とする金属結合相を組み合わせた硬質材料で、強
度と硬度が顕著に大きい硬質材料を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を達
成すべくなされたものであり、本発明のナノ相複合硬質
材料は、硼化物の硬質相と、Fe、Co、Niから選ば
れた1種以上の金属を主成分とする金属結合相と、硬質
相中に0.01体積%以上30体積%以下散在して含ま
れている粒径が300nm未満のナノ相とからなり、該
ナノ相がFe、Ni、Co、Al、Cu、Mg、Si、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moおよび
Wからなる金属群、これら金属の炭化物群、これら金属
の窒化物群、これら金属の硼化物群、これら金属の酸化
物群、これら金属の珪化物群および炭化硼素から選ばれ
る1種以上であることを特徴とする。
成すべくなされたものであり、本発明のナノ相複合硬質
材料は、硼化物の硬質相と、Fe、Co、Niから選ば
れた1種以上の金属を主成分とする金属結合相と、硬質
相中に0.01体積%以上30体積%以下散在して含ま
れている粒径が300nm未満のナノ相とからなり、該
ナノ相がFe、Ni、Co、Al、Cu、Mg、Si、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moおよび
Wからなる金属群、これら金属の炭化物群、これら金属
の窒化物群、これら金属の硼化物群、これら金属の酸化
物群、これら金属の珪化物群および炭化硼素から選ばれ
る1種以上であることを特徴とする。
【0012】大抵の場合、硬質材料の破断は亀裂が硬質
材料の大部分を占めている硬質相中を横断することによ
り進行するが、本発明のナノ相複合硬質材料では、硼化
物の硬質相中に非常に粒径の小さいナノ相と呼ぶ微細な
第3相が散在していることにより、複硼化物の硬質相が
強度と硬度の両面で強化され、硬質材料の強度と硬度が
向上せしめられている。
材料の大部分を占めている硬質相中を横断することによ
り進行するが、本発明のナノ相複合硬質材料では、硼化
物の硬質相中に非常に粒径の小さいナノ相と呼ぶ微細な
第3相が散在していることにより、複硼化物の硬質相が
強度と硬度の両面で強化され、硬質材料の強度と硬度が
向上せしめられている。
【0013】硬質相の破断強度が硬質相中に散在するナ
ノ相によって高められている理由は今のところ明白でな
いが、亀裂の先端がナノ相にぶつかる部分で亀裂の先端
付近での応力集中が緩和されることにより、硬質相の破
断強度が向上するものと推定される。
ノ相によって高められている理由は今のところ明白でな
いが、亀裂の先端がナノ相にぶつかる部分で亀裂の先端
付近での応力集中が緩和されることにより、硬質相の破
断強度が向上するものと推定される。
【0014】ナノ相が硬質相中に散在しているナノ相複
合硬質材料は、多くの場合、その製造方法として通常採
用されている常圧焼結によっては得難く、原料の調製条
件と焼結条件を厳密にコントロールした焼結方法によっ
て始めて得られる。
合硬質材料は、多くの場合、その製造方法として通常採
用されている常圧焼結によっては得難く、原料の調製条
件と焼結条件を厳密にコントロールした焼結方法によっ
て始めて得られる。
【0015】まず、硬質材料中に散在せしめるナノ相
は、原料中に予め微細な粒子として、好ましくは最終的
に散在せしめる金属または化合物の形で存在せしめてお
く。焼結はナノ相が300nm以上の粒径の結晶に成長
しないように、またナノ相が硬質相中に固溶して消えた
りしないように、相対的に低い温度において温度制御を
厳密にして焼結を行う必要がある。したがって、焼結温
度の範囲を広くできることもあって、低い温度でも焼結
が容易なホットプレスやホットアイソスタチックプレス
(HIP)によって焼結するのが好ましい。
は、原料中に予め微細な粒子として、好ましくは最終的
に散在せしめる金属または化合物の形で存在せしめてお
く。焼結はナノ相が300nm以上の粒径の結晶に成長
しないように、またナノ相が硬質相中に固溶して消えた
りしないように、相対的に低い温度において温度制御を
厳密にして焼結を行う必要がある。したがって、焼結温
度の範囲を広くできることもあって、低い温度でも焼結
が容易なホットプレスやホットアイソスタチックプレス
(HIP)によって焼結するのが好ましい。
【0016】鉄鋼などの材料において、焼き入れや焼き
戻しを行って微細な炭化物などを材料中に析出せしめる
技術が存在するが、大抵の硼化物相は鉄族金属などと比
べて溶融温度が高いので、結晶成長が起きやすく複硼化
物相中にナノ相(第3相)を析出せしめることは容易で
はない。
戻しを行って微細な炭化物などを材料中に析出せしめる
技術が存在するが、大抵の硼化物相は鉄族金属などと比
べて溶融温度が高いので、結晶成長が起きやすく複硼化
物相中にナノ相(第3相)を析出せしめることは容易で
はない。
【0017】硼化物の硬質相中にナノ相として散在せし
める相としては、Fe、Ni、Co、Al、Cu、M
g、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
MoおよびWからなる金属群、Si、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化物群、
Al、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoおよびWの窒化物群、Fe、Ni、Co、A
l、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの硼化物群、Fe、Ni、Co、Al、Si、M
g、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの酸化物群、Fe、Ni、Co、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの珪化物群お
よび炭化硼素から選ばれる1種以上であるのが好まし
い。
める相としては、Fe、Ni、Co、Al、Cu、M
g、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
MoおよびWからなる金属群、Si、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化物群、
Al、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、MoおよびWの窒化物群、Fe、Ni、Co、A
l、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの硼化物群、Fe、Ni、Co、Al、Si、M
g、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの酸化物群、Fe、Ni、Co、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの珪化物群お
よび炭化硼素から選ばれる1種以上であるのが好まし
い。
【0018】硬質相中に散在せしめるナノ相としては、
硬質材料の焼結時における相の安定性と製造の容易さ、
および得られる焼結体の特性から、上記のうちTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、硼化物群、酸化物群、炭化硼素、アルミナ、炭化
珪素および窒化珪素から選ばれる1種以上であるのがさ
らに好ましい。
硬質材料の焼結時における相の安定性と製造の容易さ、
および得られる焼結体の特性から、上記のうちTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、硼化物群、酸化物群、炭化硼素、アルミナ、炭化
珪素および窒化珪素から選ばれる1種以上であるのがさ
らに好ましい。
【0019】第3相の大きさは、その粒径が300nm
未満のナノ相であることによって材料の強度と硬度の顕
著な向上効果が得られ、粒径が300nm以上になると
その効果は小さい。
未満のナノ相であることによって材料の強度と硬度の顕
著な向上効果が得られ、粒径が300nm以上になると
その効果は小さい。
【0020】また、硬質相中に散在せしめるナノ相の量
は、硬質相中に0.01体積%以上含まれていれば硬質
材料を強化する効果が得られ、多く含まれた状態での緻
密化が困難という問題と、硬質材料の硬質相をそれ以上
強化する効果が得られないことから30体積%未満とさ
れている。強度と硬度のバランスがとれた好ましい硬質
材料は、硬質材料中のナノ相の量を0.03体積%以上
10体積%以下とすることにより得られる。
は、硬質相中に0.01体積%以上含まれていれば硬質
材料を強化する効果が得られ、多く含まれた状態での緻
密化が困難という問題と、硬質材料の硬質相をそれ以上
強化する効果が得られないことから30体積%未満とさ
れている。強度と硬度のバランスがとれた好ましい硬質
材料は、硬質材料中のナノ相の量を0.03体積%以上
10体積%以下とすることにより得られる。
【0021】硼化物の硬質相としては、溶融金属に対し
て耐食性を示すなどの実用性を備えていることから、ま
た既に実用性のある物性を有する硬質材料を製造する技
術が開発されていることもあり、TiB2 、ZrB2 、
WB、CrB、TaB2 、NbB2 、MoB、Mo2 N
iB2 、Mo2 CrB2 、Mo2 FeB2 、Mo2 Co
B2 MoCoB、W2 CoB2 およびWCoBから選ば
れた1種以上が好ましく、TiB2 、ZrB2 、Mo2
NiB2 、Mo2 CrB2 、Mo2 FeB2 およびWC
oBから選ばれた1種以上とするのがさらに好ましい。
て耐食性を示すなどの実用性を備えていることから、ま
た既に実用性のある物性を有する硬質材料を製造する技
術が開発されていることもあり、TiB2 、ZrB2 、
WB、CrB、TaB2 、NbB2 、MoB、Mo2 N
iB2 、Mo2 CrB2 、Mo2 FeB2 、Mo2 Co
B2 MoCoB、W2 CoB2 およびWCoBから選ば
れた1種以上が好ましく、TiB2 、ZrB2 、Mo2
NiB2 、Mo2 CrB2 、Mo2 FeB2 およびWC
oBから選ばれた1種以上とするのがさらに好ましい。
【0022】また、硬質材料の実用的な強度と硬度を考
慮し、硼化物の硬質相と硬質材料中のナノ相が、硬質材
料中に合量で35体積%以上98体積%以下含まれてい
るのが好ましい。硬質材料中に含まれる硬質相とナノ相
の合量が35体積%未満であると硬度が小さく耐摩耗性
に欠け、98体積%を超えると脆くなって強度も小さく
なる。硬質材料中に含まれる硬質相と硬質相中のナノ相
のより好ましい量は、得られる材料の強度と硬度のバラ
ンスを考慮し、65体積%以上90体積%以下である。
慮し、硼化物の硬質相と硬質材料中のナノ相が、硬質材
料中に合量で35体積%以上98体積%以下含まれてい
るのが好ましい。硬質材料中に含まれる硬質相とナノ相
の合量が35体積%未満であると硬度が小さく耐摩耗性
に欠け、98体積%を超えると脆くなって強度も小さく
なる。硬質材料中に含まれる硬質相と硬質相中のナノ相
のより好ましい量は、得られる材料の強度と硬度のバラ
ンスを考慮し、65体積%以上90体積%以下である。
【0023】また、硬質相中だけでなく、金属結合相中
についてもナノ相を散在せしめることによって金属結合
相を強化でき、硬質材料の強度と硬度の向上に寄与せし
めることができる。すなわち、本発明の好ましいナノ相
複合硬質材料では、金属結合相中にTi、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる金属群、
Fe、Co、Ni、Al、Si、Cu、Mg、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、窒化物群、硼化物群、酸化物群、珪化物群および
炭化硼素から選ばれる1種以上が300nm未満の粒径
のナノ相として散在している。
についてもナノ相を散在せしめることによって金属結合
相を強化でき、硬質材料の強度と硬度の向上に寄与せし
めることができる。すなわち、本発明の好ましいナノ相
複合硬質材料では、金属結合相中にTi、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる金属群、
Fe、Co、Ni、Al、Si、Cu、Mg、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、窒化物群、硼化物群、酸化物群、珪化物群および
炭化硼素から選ばれる1種以上が300nm未満の粒径
のナノ相として散在している。
【0024】金属結合相中のナノ相については、硬質相
中のナノ相の場合と異なり、ナノ相の種類によっては焼
き入れや焼き鈍しなどの方法によっても導入が可能と考
えられる。金属結合相中に散在せしめるナノ相として
は、硬質相中に散在せしめるナノ相と同じく、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、硼化物群、酸化物群、炭化硼素、アルミナ、炭化
珪素および窒化珪素から選ばれる1種以上を選ぶのがよ
り好ましい。
中のナノ相の場合と異なり、ナノ相の種類によっては焼
き入れや焼き鈍しなどの方法によっても導入が可能と考
えられる。金属結合相中に散在せしめるナノ相として
は、硬質相中に散在せしめるナノ相と同じく、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、硼化物群、酸化物群、炭化硼素、アルミナ、炭化
珪素および窒化珪素から選ばれる1種以上を選ぶのがよ
り好ましい。
【0025】ナノ相が硬質材料の硬質相中および金属結
合相中に含まれていることは、透過電子顕微鏡などによ
り観察でき、その含有量は撮影した電子顕微鏡写真を解
析して測定できる。
合相中に含まれていることは、透過電子顕微鏡などによ
り観察でき、その含有量は撮影した電子顕微鏡写真を解
析して測定できる。
【0026】Fe、Ni、Coを主成分とする金属結合
層(合金)中に固溶させて金属結合相を強化し得る金属
としては、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Zr、
Nb、Mo、Hf、Ta、WおよびCuがある。金属結
合相中に固溶せしめて効果のある量は、0.5重量%以
上50重量%以下である。これらの金属のうちで、Ta
とNbは1.5重量%以上30重量%以下固溶せしめる
ことによって顕著な強化効果が認められる。硬質材料中
には、原料中に含まれていたり、粉砕工程などで導入さ
れる不可避の不純物が含まれていても通常特に支障はな
い。
層(合金)中に固溶させて金属結合相を強化し得る金属
としては、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Zr、
Nb、Mo、Hf、Ta、WおよびCuがある。金属結
合相中に固溶せしめて効果のある量は、0.5重量%以
上50重量%以下である。これらの金属のうちで、Ta
とNbは1.5重量%以上30重量%以下固溶せしめる
ことによって顕著な強化効果が認められる。硬質材料中
には、原料中に含まれていたり、粉砕工程などで導入さ
れる不可避の不純物が含まれていても通常特に支障はな
い。
【0027】実際に、ホットプレスやHIPを使用して
焼結して得たナノ相複合硬質材料には、類似の相からな
るナノ相が硬質相中と金属結合相中の両方に散在して含
まれる場合が多くあり、この場合には両方の相がナノ相
によって強化されているため、より優れた物性の硬質材
料が得られる。
焼結して得たナノ相複合硬質材料には、類似の相からな
るナノ相が硬質相中と金属結合相中の両方に散在して含
まれる場合が多くあり、この場合には両方の相がナノ相
によって強化されているため、より優れた物性の硬質材
料が得られる。
【0028】本発明のナノ相複合材料は、硼化物の硬質
相を形成する原料と、Fe、NiおよびCoから選ばれ
る1種以上の金属を主成分とする金属結合相を形成する
原料と、300nm未満の粒径を有する、Fe、Ni、
Co、Al、Si、Cu、Mg、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの金属群、これら
金属の炭化物群、これら金属の窒化物群、これら金属の
硼化物群、これら金属の酸化物群、これら金属の珪化物
群および炭化硼素から選ばれる1種以上のナノ相を形成
する原料との混合粉体をナノ相が残留するように焼結す
ることにより得られる。焼結法としては無加圧焼結、ホ
ットプレス、HIPなどが採用でき、好ましくはホット
プレスまたはHIPである。特に好ましくは、無加圧焼
結後にHIP焼結する2段焼結法である。
相を形成する原料と、Fe、NiおよびCoから選ばれ
る1種以上の金属を主成分とする金属結合相を形成する
原料と、300nm未満の粒径を有する、Fe、Ni、
Co、Al、Si、Cu、Mg、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの金属群、これら
金属の炭化物群、これら金属の窒化物群、これら金属の
硼化物群、これら金属の酸化物群、これら金属の珪化物
群および炭化硼素から選ばれる1種以上のナノ相を形成
する原料との混合粉体をナノ相が残留するように焼結す
ることにより得られる。焼結法としては無加圧焼結、ホ
ットプレス、HIPなどが採用でき、好ましくはホット
プレスまたはHIPである。特に好ましくは、無加圧焼
結後にHIP焼結する2段焼結法である。
【0029】本発明のナノ相複合硬質材料の一例とし
て、複硼化物であるMo2 NiB2 を硬質相とし、Ni
を主成分とする金属結合相で結合したものを例に挙げて
説明する。この硬質材料の主な出発原料には、MoB、
Mo、NiおよびBの組み合わせ、Mo2 NiB2 、M
oおよびNiの組み合わせ、Mo、NiおよびBの組み
合わせなどを選ぶことができる。
て、複硼化物であるMo2 NiB2 を硬質相とし、Ni
を主成分とする金属結合相で結合したものを例に挙げて
説明する。この硬質材料の主な出発原料には、MoB、
Mo、NiおよびBの組み合わせ、Mo2 NiB2 、M
oおよびNiの組み合わせ、Mo、NiおよびBの組み
合わせなどを選ぶことができる。
【0030】これらの主な出発原料に、ナノ相を形成す
るTa、TaOx などをさらに配合した混合原料を、振
動ミル、ボールミル、アトリションミルなどに投入し、
エチルアルコール、アセトン、ヘキサンなどの媒体を加
えて湿式で混合粉砕、あるいは酸化を防ぐためにアルゴ
ンや窒素を封入した状態の乾式で混合を行う。
るTa、TaOx などをさらに配合した混合原料を、振
動ミル、ボールミル、アトリションミルなどに投入し、
エチルアルコール、アセトン、ヘキサンなどの媒体を加
えて湿式で混合粉砕、あるいは酸化を防ぐためにアルゴ
ンや窒素を封入した状態の乾式で混合を行う。
【0031】混合粉砕に用いる粉砕機のボールとポット
は、ステンレス、超硬合金、ジルコニアまたはこれらの
材料で内張りしたものとし、好ましくはボールやポット
が摩耗して原料中に導入される分を予め考慮し、湿式で
混合粉砕する。混合粉砕された媒体を含むスラリー状の
混合原料は、エバポレータにより減圧乾燥して篩を通
し、またはスプレードライヤーで乾燥することによって
成形用原料とされる。
は、ステンレス、超硬合金、ジルコニアまたはこれらの
材料で内張りしたものとし、好ましくはボールやポット
が摩耗して原料中に導入される分を予め考慮し、湿式で
混合粉砕する。混合粉砕された媒体を含むスラリー状の
混合原料は、エバポレータにより減圧乾燥して篩を通
し、またはスプレードライヤーで乾燥することによって
成形用原料とされる。
【0032】次に、通常のプレスやアイソスタチックプ
レスなどにより成形し、成形体を真空中、窒素中、アル
ゴン中などにおいて予備焼結し、必要に応じて予備加工
した仮焼成品をNi箔などの袋に封入し、HIPによっ
て緻密に焼結する。
レスなどにより成形し、成形体を真空中、窒素中、アル
ゴン中などにおいて予備焼結し、必要に応じて予備加工
した仮焼成品をNi箔などの袋に封入し、HIPによっ
て緻密に焼結する。
【0033】ここで注意が必要なのは、ナノ相を形成す
る原料として粒径が小さい原料粉末あるいは予め粒径が
300nm未満となるまで粉砕した粉末を混合粉体中に
配合するのが好ましく、ナノ相を形成する原料粉末の粒
径が十分に小さくない場合には、混合粉砕時にナノ相を
形成できる粒径にナノ相の原料粉末を粉砕する必要があ
るが、混合粉砕で微粉砕するのはあまり効率がよいとは
いえない。
る原料として粒径が小さい原料粉末あるいは予め粒径が
300nm未満となるまで粉砕した粉末を混合粉体中に
配合するのが好ましく、ナノ相を形成する原料粉末の粒
径が十分に小さくない場合には、混合粉砕時にナノ相を
形成できる粒径にナノ相の原料粉末を粉砕する必要があ
るが、混合粉砕で微粉砕するのはあまり効率がよいとは
いえない。
【0034】ナノ相を形成する細かい粒径を有する粉体
を得るには、ボールミルやアトリションミルなどによっ
て粉砕する場合、粉砕エネルギーの大きい粉砕を行うこ
とが必要である。このような粉砕は、たとえば消耗が少
ない硬い材料で、類似系統の材料からなるボールとポッ
トなどを準備し、さらにボールの量に対する被粉砕粉末
の量を少なくし、かつ湿式粉砕を行うとよい。
を得るには、ボールミルやアトリションミルなどによっ
て粉砕する場合、粉砕エネルギーの大きい粉砕を行うこ
とが必要である。このような粉砕は、たとえば消耗が少
ない硬い材料で、類似系統の材料からなるボールとポッ
トなどを準備し、さらにボールの量に対する被粉砕粉末
の量を少なくし、かつ湿式粉砕を行うとよい。
【0035】また、細かい粉末は非常に酸化されやすい
ので、粉砕後の混合原料の保存、乾燥、成形、焼結など
の工程において混合原料あるいは成形体が空気中の酸素
に触れて酸化されないような配慮が必要とされる。
ので、粉砕後の混合原料の保存、乾燥、成形、焼結など
の工程において混合原料あるいは成形体が空気中の酸素
に触れて酸化されないような配慮が必要とされる。
【0036】本発明のナノ相複合硬質材料の焼結は、従
来の硬質材料で行われているように1300℃において
焼結すると、TaやTaOx 相は3〜5μmに結晶成長
してナノ相として残留しないことになる。したがって、
焼結は緻密化が可能になるできるだけ低い温度で行うの
が好ましく、この意味でホットプレスやHIPにより焼
結するのが好ましい手段ということになる。
来の硬質材料で行われているように1300℃において
焼結すると、TaやTaOx 相は3〜5μmに結晶成長
してナノ相として残留しないことになる。したがって、
焼結は緻密化が可能になるできるだけ低い温度で行うの
が好ましく、この意味でホットプレスやHIPにより焼
結するのが好ましい手段ということになる。
【0037】
[例1]MoB粉末(平均粒径4.5μm)、Mo粉末
(平均粒径3.0μm)、Ni粉末(平均粒径2μm)
およびTa粉末(平均粒径3.5μm)をそれぞれ5
7.9重量%、7.2重量%、32.0重量%および
2.9重量%秤取し、ステンレスポットに入れてエタノ
ールを媒体として加え、ステンレスボールにより72時
間湿式で混合粉砕を行った。
(平均粒径3.0μm)、Ni粉末(平均粒径2μm)
およびTa粉末(平均粒径3.5μm)をそれぞれ5
7.9重量%、7.2重量%、32.0重量%および
2.9重量%秤取し、ステンレスポットに入れてエタノ
ールを媒体として加え、ステンレスボールにより72時
間湿式で混合粉砕を行った。
【0038】ポットから取り出したスラリーを非酸化性
雰囲気中において噴霧乾燥機で乾かし、200kg/c
m2 の圧力で20×30×40mmの予備成形体とし、
さらに圧力1500kg/cm2 でアイソスタチックプ
レスして成形体を得た。
雰囲気中において噴霧乾燥機で乾かし、200kg/c
m2 の圧力で20×30×40mmの予備成形体とし、
さらに圧力1500kg/cm2 でアイソスタチックプ
レスして成形体を得た。
【0039】この成形体を10-3torr以下の真空中
において1250℃で2時間無加圧焼結した。得られた
無加圧焼結体をさらにHIP装置に入れ、1150℃、
1500kg/cm2 で1時間HIP処理した。得られ
たHIP焼結体(本発明の硬質材料)について次のよう
にして物性を評価した。
において1250℃で2時間無加圧焼結した。得られた
無加圧焼結体をさらにHIP装置に入れ、1150℃、
1500kg/cm2 で1時間HIP処理した。得られ
たHIP焼結体(本発明の硬質材料)について次のよう
にして物性を評価した。
【0040】この硬質材料をダイヤモンド切断機で切断
した試料をダイヤモンドペーストで鏡面研磨し、SEM
観察、ナノ相の大きさと分散量を調べるための透過電子
顕微鏡(TEM)観察とEPMA分析を行い、析出相の
同定とその量を調べた。
した試料をダイヤモンドペーストで鏡面研磨し、SEM
観察、ナノ相の大きさと分散量を調べるための透過電子
顕微鏡(TEM)観察とEPMA分析を行い、析出相の
同定とその量を調べた。
【0041】また、強度を評価するため、平均粒径34
μm(400番)のダイヤモンド砥石により研削加工し
た3×4×30mmの曲げ強度試験片を作成し、3点曲
げ試験により室温と800℃(いずれも空気中)におけ
る曲げ強度を測定した。
μm(400番)のダイヤモンド砥石により研削加工し
た3×4×30mmの曲げ強度試験片を作成し、3点曲
げ試験により室温と800℃(いずれも空気中)におけ
る曲げ強度を測定した。
【0042】TEM観察では、微細なナノ相硬質相と金
属結合相の両方の存在が確認された。またこの硬質材料
中には、TaNやTaOx の形態で3〜5μmの粒径の
相が共存していた。EPMA観察から、金属結合相中に
Taが固溶していることもわかった。硬質相であるMo
2 NiB2 の平均粒径は約6.5μmであった。
属結合相の両方の存在が確認された。またこの硬質材料
中には、TaNやTaOx の形態で3〜5μmの粒径の
相が共存していた。EPMA観察から、金属結合相中に
Taが固溶していることもわかった。硬質相であるMo
2 NiB2 の平均粒径は約6.5μmであった。
【0043】図1に示した写真は、例1の試料の薄片で
撮影したTEM写真であり、写真の右下にある破線の長
さが666nmであるので、複硼化物の硬質相中に粒径
が300nm未満の数個のTaOx の球状粒子からなる
ナノ相が観察される。
撮影したTEM写真であり、写真の右下にある破線の長
さが666nmであるので、複硼化物の硬質相中に粒径
が300nm未満の数個のTaOx の球状粒子からなる
ナノ相が観察される。
【0044】この硬質材料の曲げ強度は、室温で280
kg/mm2 、800℃で300kg/mm2 であっ
た。
kg/mm2 、800℃で300kg/mm2 であっ
た。
【0045】[例2(比較例)]1250℃で2時間無
加圧焼結するかわりに1300℃で2時間無加圧焼結し
た他は例1と同様にして硬質材料を得、同様に諸物性を
測定した。この硬質材料には、硬質相中にも金属結合相
中にもナノ相は認められなかった。硬質相であるMo2
NiB2 の平均粒径は約8μmであった。この硬質材料
の曲げ強度は、室温で200kg/mm2 、800℃で
210kg/mm2 であった。
加圧焼結するかわりに1300℃で2時間無加圧焼結し
た他は例1と同様にして硬質材料を得、同様に諸物性を
測定した。この硬質材料には、硬質相中にも金属結合相
中にもナノ相は認められなかった。硬質相であるMo2
NiB2 の平均粒径は約8μmであった。この硬質材料
の曲げ強度は、室温で200kg/mm2 、800℃で
210kg/mm2 であった。
【0046】例1と例2との強度の差には、例1の硬質
相の平均粒径が小さいことによる寄与も若干含まれてい
るが、硬質相の平均粒径を6.5μmとしてもナノ相の
存在しないものにあってはこのような大きい強度が得ら
れないことから、主たる寄与は硬質相中にナノ相が散在
して含まれていることによると判断された。
相の平均粒径が小さいことによる寄与も若干含まれてい
るが、硬質相の平均粒径を6.5μmとしてもナノ相の
存在しないものにあってはこのような大きい強度が得ら
れないことから、主たる寄与は硬質相中にナノ相が散在
して含まれていることによると判断された。
【0047】[例3〜12]焼結を無加圧焼結のみとし
た他は例1に準じた処方により、原料として前記原料の
他にTiB2 (平均粒径3μm)、Fe(平均粒径2μ
m)、Cr(平均粒径4μm)、TaC(平均粒径2μ
m)、TiN(平均粒径1.5μm)、WB(平均粒径
4.5μm)、ZrB2 (平均粒径2.5μm)、Co
(平均粒径2μm)、Al2 O3 (平均粒径0.5μ
m)を使用し、調合組成と無加圧焼結温度を変えて硬質
材料を試作し、ナノ相の存在と物性の評価を行い、その
結果を表1と表2に示した。なお、例9、例10、例1
1、例12(いずれも比較例)の調合組成はそれぞれ例
3、例4、例5、例6の調合組成と同一である。
た他は例1に準じた処方により、原料として前記原料の
他にTiB2 (平均粒径3μm)、Fe(平均粒径2μ
m)、Cr(平均粒径4μm)、TaC(平均粒径2μ
m)、TiN(平均粒径1.5μm)、WB(平均粒径
4.5μm)、ZrB2 (平均粒径2.5μm)、Co
(平均粒径2μm)、Al2 O3 (平均粒径0.5μ
m)を使用し、調合組成と無加圧焼結温度を変えて硬質
材料を試作し、ナノ相の存在と物性の評価を行い、その
結果を表1と表2に示した。なお、例9、例10、例1
1、例12(いずれも比較例)の調合組成はそれぞれ例
3、例4、例5、例6の調合組成と同一である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表2に示された硬質材料の曲げ強度から、
ナノ相を複合化した硬質材料では曲げ強度、特に800
℃における曲げ強度が顕著に向上していることがわか
る。また、例1と例2で室温におけるビッカース硬度を
測定したところ、ナノ相を含まない硬質材料では950
kg/mm2 であったのに対し、ナノ相を含む硬質材料
では1100でkg/mm2 であり、ビッカース硬度の
向上にもナノ相の複合化が有効であることが認められ
た。
ナノ相を複合化した硬質材料では曲げ強度、特に800
℃における曲げ強度が顕著に向上していることがわか
る。また、例1と例2で室温におけるビッカース硬度を
測定したところ、ナノ相を含まない硬質材料では950
kg/mm2 であったのに対し、ナノ相を含む硬質材料
では1100でkg/mm2 であり、ビッカース硬度の
向上にもナノ相の複合化が有効であることが認められ
た。
【0051】
【発明の効果】以上の試験結果から、300nmより細
かい粒径のナノ相が硼化物の硬質相中に散在して含まれ
ている硬質材料では、強度の顕著な向上が室温において
認められるとともに、800℃においてもこの強度がま
ったく劣化せず、800℃において300kg/mm2
という硼化物系硬質材料では前例のない高い曲げ強度に
到達できた。また、硬質材料のビッカース硬度について
も同時に向上し、硬質材料をナノ相と複合せしめたこと
による硬質材料の物性の向上効果は非常に顕著である。
かい粒径のナノ相が硼化物の硬質相中に散在して含まれ
ている硬質材料では、強度の顕著な向上が室温において
認められるとともに、800℃においてもこの強度がま
ったく劣化せず、800℃において300kg/mm2
という硼化物系硬質材料では前例のない高い曲げ強度に
到達できた。また、硬質材料のビッカース硬度について
も同時に向上し、硬質材料をナノ相と複合せしめたこと
による硬質材料の物性の向上効果は非常に顕著である。
【0052】これらの硬質材料は非常に厳しい極限条件
下で使用される場合が多く、多くの場合その耐用が材料
の強度に依存することを考慮すると、本発明のナノ相複
合硬質材料で作成された部材の耐用は大幅に伸びること
は確実であり、これらの部材が製造装置やそのマザーマ
シンに組み込まれれば、工業製品の歩留と品質が顕著に
向上することになり、その産業上の利用価値は多大であ
る。
下で使用される場合が多く、多くの場合その耐用が材料
の強度に依存することを考慮すると、本発明のナノ相複
合硬質材料で作成された部材の耐用は大幅に伸びること
は確実であり、これらの部材が製造装置やそのマザーマ
シンに組み込まれれば、工業製品の歩留と品質が顕著に
向上することになり、その産業上の利用価値は多大であ
る。
【図1】本発明のナノ相複合材料の一例の組織を示す透
過電子顕微鏡写真。
過電子顕微鏡写真。
Claims (6)
- 【請求項1】硼化物の硬質相と、Fe、Co、Niから
選ばれた1種以上の金属を主成分とする金属結合相と、
硬質相中に0.01体積%以上30体積%以下散在して
含まれている粒径が300nm(ナノメートル)未満の
ナノ相とからなり、該ナノ相がFe、Ni、Co、A
l、Cu、Mg、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、MoおよびWからなる金属群、これら金属
の炭化物群、これら金属の窒化物群、これら金属の硼化
物群、これら金属の酸化物群、これら金属の珪化物群お
よび炭化硼素から選ばれる1種以上であることを特徴と
するナノ相複合硬質材料。 - 【請求項2】主な硼化物の硬質相がTiB2 、ZrB
2 、Mo2 NiB2 、Mo2 CrB2、Mo2 FeB2
およびWCoBから選ばれた1種以上である請求項1に
記載のナノ相複合硬質材料。 - 【請求項3】ナノ相がTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、MoおよびWの炭化物群、硼化物群、酸化物
群、炭化硼素、アルミナ、炭化珪素および窒化珪素から
選ばれた1種以上である請求項1または2に記載のナノ
相複合硬質材料。 - 【請求項4】金属結合相中に、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる金属群、F
e、Co、Ni、Al、Cu、Mg、Si、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化
物群、これら金属の窒化物群、これら金属の硼化物群、
これら金属の酸化物群、これら金属の珪化物群および炭
化硼素から選ばれる1種以上が300nm未満の粒径の
ナノ相として0.01体積%以上30体積%以下散在し
て含まれている請求項1〜3のいずれか1つに記載のナ
ノ相複合硬質材料。 - 【請求項5】硬質相と硬質相中のナノ相を合わせた相が
硬質材料中に35体積%以上98体積%以下含まれてい
る請求項1〜4のいずれか1つに記載のナノ相複合硬質
材料。 - 【請求項6】硼化物の硬質相を形成する原料と、Fe、
NiおよびCoから選ばれる1種以上の金属を主成分と
する金属結合相を形成する原料と、300nm未満の粒
径を有するFe、Ni、Co、Al、Cu、Mg、S
i、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moお
よびWの金属群、これら金属の炭化物群、これら金属の
窒化物群、これら金属の硼化物群、これら金属の酸化物
群、これら金属の珪化物群および炭化硼素から選ばれる
1種以上のナノ相を形成する原料との混合粉体をナノ相
が残留するように焼結することを特徴とするナノ相複合
硬質材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15614693A JPH06340941A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | ナノ相複合硬質材料とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15614693A JPH06340941A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | ナノ相複合硬質材料とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340941A true JPH06340941A (ja) | 1994-12-13 |
Family
ID=15621340
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15614693A Withdrawn JPH06340941A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | ナノ相複合硬質材料とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06340941A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012133328A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-04 | 東洋鋼鈑株式会社 | 硬質焼結合金 |
CN104313378A (zh) * | 2014-09-23 | 2015-01-28 | 武汉科技大学 | 一种多组元硬质相增强Mo2FeB2金属陶瓷材料及其制备方法 |
CN115786757A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-03-14 | 西安近代化学研究所 | 一种Mo2NiB2-Al2O3基复合材料的制备方法 |
CN116121616A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-05-16 | 西安近代化学研究所 | 一种TiN改性Mo2NiB2基复合材料的制备方法 |
-
1993
- 1993-06-02 JP JP15614693A patent/JPH06340941A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012133328A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-04 | 東洋鋼鈑株式会社 | 硬質焼結合金 |
CN104313378A (zh) * | 2014-09-23 | 2015-01-28 | 武汉科技大学 | 一种多组元硬质相增强Mo2FeB2金属陶瓷材料及其制备方法 |
CN115786757A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-03-14 | 西安近代化学研究所 | 一种Mo2NiB2-Al2O3基复合材料的制备方法 |
CN116121616A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-05-16 | 西安近代化学研究所 | 一种TiN改性Mo2NiB2基复合材料的制备方法 |
CN115786757B (zh) * | 2022-11-25 | 2024-04-30 | 西安近代化学研究所 | 一种Mo2NiB2-Al2O3基复合材料的制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100509700C (zh) | 用于机械加工化学反应性材料的烧结坯 | |
JP3717525B2 (ja) | 硬質焼結合金 | |
JPH05209247A (ja) | サーメット合金及びその製造方法 | |
WO2010008004A1 (ja) | 硬質粉末、硬質粉末の製造方法および焼結硬質合金 | |
JP2660455B2 (ja) | 耐熱硬質焼結合金 | |
CN110438384B (zh) | 一种铁镍基超细晶硬质合金及其制备方法 | |
JP4403286B2 (ja) | 超硬合金工具材料、およびその製造方法 | |
JP4149623B2 (ja) | 複硼化物系硬質焼結合金及びその合金を用いた樹脂加工機械用スクリュー | |
JP4282298B2 (ja) | 超微粒超硬合金 | |
JPH06340941A (ja) | ナノ相複合硬質材料とその製造方法 | |
JP2003013169A (ja) | 耐酸化性に優れたWC−Co系微粒超硬合金 | |
JPH073357A (ja) | 高硬度で耐酸化性に優れた超硬合金 | |
JP2004256863A (ja) | 超硬合金およびその製造方法、並びにそれを用いた回転工具 | |
CN115305403A (zh) | 一种超强超硬高断裂韧性的硬质合金及其制备方法 | |
JP2000218411A (ja) | 立方晶窒化硼素質焼結体切削工具 | |
JP3341776B2 (ja) | 超硬質合金 | |
JPH11139882A (ja) | 窒化ケイ素複合粉末及びその製造方法 | |
JPS58213842A (ja) | 高強度サ−メツトの製造方法 | |
JP2796011B2 (ja) | ウイスカー強化超硬合金 | |
JP4540791B2 (ja) | 切削工具用サーメット | |
JP3213903B2 (ja) | 炭化タンタル基焼結体及びその製造方法 | |
JP3603318B2 (ja) | 複硼化物系焼結合金 | |
RU2133296C1 (ru) | Твердый сплав (варианты) и способ его получения | |
JP2003081677A (ja) | 分散強化cbn基焼結体およびその製造方法 | |
JPH10259433A (ja) | 高強度を有する微粒炭化タングステン基超硬合金の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000905 |