JPH06300040A - 電磁軸受制御装置 - Google Patents
電磁軸受制御装置Info
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- JPH06300040A JPH06300040A JP26878091A JP26878091A JPH06300040A JP H06300040 A JPH06300040 A JP H06300040A JP 26878091 A JP26878091 A JP 26878091A JP 26878091 A JP26878091 A JP 26878091A JP H06300040 A JPH06300040 A JP H06300040A
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C32/00—Bearings not otherwise provided for
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- F16C32/0406—Magnetic bearings
- F16C32/044—Active magnetic bearings
- F16C32/0444—Details of devices to control the actuation of the electromagnets
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- F16C32/0453—Details of controllers, i.e. the units determining the power to be supplied, e.g. comparing elements, feedback arrangements with P.I.D. control for controlling two axes, i.e. combined control of x-axis and y-axis
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電磁軸受において、不つりあい振動をロータ
の軸上での一点毎に抑制制御したい。 【構成】 本発明は、ロータの軸上でのロータの半径方
向位置を、該一点でのX方向とY方向の直角2方向より
検出する手段をもつ電磁軸受制御装置において、あらか
じめ設定した半径方向位置に前記ロータを保持するよう
に、前記検出する手段から出る変位信号に感応して電磁
コイルへ供給電流を制御する回路をX方向とY方向に2
チヤネルもつサーボ回路を構成し、前記ロータ回転速度
と等しい周波数に中心を置き、回転同期成分を抽出する
回転数トラツキングフイルタに前記X方向及びY方向変
位検出信号を入力し、その出力信号の内、X方向信号を
Y方向サーボ回路に加算加入し、かつY方向信号をX方
向サーボ回路に減算入力する手段をもつ。
の軸上での一点毎に抑制制御したい。 【構成】 本発明は、ロータの軸上でのロータの半径方
向位置を、該一点でのX方向とY方向の直角2方向より
検出する手段をもつ電磁軸受制御装置において、あらか
じめ設定した半径方向位置に前記ロータを保持するよう
に、前記検出する手段から出る変位信号に感応して電磁
コイルへ供給電流を制御する回路をX方向とY方向に2
チヤネルもつサーボ回路を構成し、前記ロータ回転速度
と等しい周波数に中心を置き、回転同期成分を抽出する
回転数トラツキングフイルタに前記X方向及びY方向変
位検出信号を入力し、その出力信号の内、X方向信号を
Y方向サーボ回路に加算加入し、かつY方向信号をX方
向サーボ回路に減算入力する手段をもつ。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁軸受で支えられた
磁気浮上形ロータの制御装置に係り、特にロータの不つ
りあい振動に対して共振振幅を小さく押えうるに好適な
電磁軸受制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ロータを剛体運動体としてとらえ、ジャ
イロ効果の観点からの共振動の抑制をはかった従来例に
は(イ)、「5自由度制御形磁気軸受制御系の最適設計
(第3報)−不つりあいを考慮した制御系の構成−」水
野毅、他(計測自動制御学会、第21回、学術講演会予
稿集1605(第185及び186頁))、及び
(ロ)、「5自由度制御形磁気軸受制御系の最適設計
(第6報)−不つりあい補償の基礎実験−」水野毅、他
(計測自動制御学会、第22回、学術講演会予稿集32
09(第539及び540頁))、及び(ハ)、「5自
由度制御形磁気軸受制御系の最適設計(第7報)−回転
同期信号を利用した不つりあい補償法−」水野毅、他
(日本自動車制御会、第28回、システムと制御研究発
表講演会論文集H4(第157及び158頁))、及び
(ニ)、特開昭58年81217号がある。(イ)〜
(ニ)は、ジャイロ効果の利用及び重心集中化の考え方
であり、振れまわり運動におけるロータの任意の一点の
制御との観点はない。ここで、ロータの任意の一点の制
御についての従来例を以下述べる。吸引形電磁石を軸受
とした電磁軸受で支えられた回転機械の構成の概略は図
4のようになつており、はじめにX軸方向の1次元で説
明する。ロータ1に対して電磁石のコイル2は左右に配
置される。この状態でロータ1が右へ変位すると左側の
電磁石コイル2に制御電流iが流れ、ロータ1は左側に
変位するように吸引力が作用する。反対にロータが左側
へ変位すると右側の電磁石コイル2に制御電流iが流
れ、吸引力が作用する。このようにロータ1の左右への
変位に応じて、反対側の電磁石コイル2に制御電流iを
流し、その吸引力によつて、ロータ1が中心位置に位置
するようにサーボ制御する。 【0003】ロータ1の左右への変位を検出するために
変位センサ3が少なくとも1つ必要である。変位センサ
3としては誘導コイル形、容量形あるいは光学式など非
接触のものがよく用いられている。 【0004】変位センサ3によつて検出された変位信号
xは制御回路4に入力され、ロータ1の中心位置からの
左右のずれに応じて制御電圧vを決定し、左右の電磁石
コイル用パワアンプ5に入力され、それに応じた制御電
流iがコイル2に流れる。左右のパワアンプ5への制御
電圧vの流し方は、電磁石の吸引力によつてロータの求
心作用が生じるようになされる。 【0005】このように、ロータ1の位置制御のためサ
ーボ回路の構成では、X方向に対して、変位センサ1が
1個、左右の電磁石コイル2とパワアンプ5が2個、制
御回路4が1個の構成となる。一般には図5に示すよう
に、ロータ1の磁気軸受による位置制御のためには、X
方向とY方向の2次元の位置制御となる。よつて、サー
ボ回路の構成としては同じ仕様のものがX方向用とY方
向用の2系列並ぶことになる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】次に回転軸振動の特徴
について述べる。不つりあい振動を説明するため図6が
よく用いられる。空間固定座標O−XY軸系からみてロ
ータ1の軸心Orはx,yの変位のところにあるとす
る。ロータ1に固定した回転座表Or−XrYr軸系から
みたロータ1の重心Gの偏心量をεとして、そのXr,
Yr方向の成分をεx及びεyとする。ロータ1の回転速
度をωと記すと、OX軸とOrXr軸の間の開き角度が回
転角度でωt(tは時間)である。 【0007】このような記号の下で、不つりあいにより
ロータ1に作用する力は、ロータ質量をmとすると、 【数1】 である。これをF=Fx+iFy(i:虚数単位)の複素
平面で表示すると 【数2】 となり、ロータ回転と同じ方向に回転する力すなわち前
向きの力である。 【0008】一方、ロータ1の振動はX方向及びY方向
から検出されその振動数は回転速度ωに一致しているか
ら次の形に表わされる。 【数3】 【0009】X方向及びY方向の振幅をそれぞれax,
ayとし、回転角度からみた位相遅れをθx、θyとして
いる。これを先程と同じように複素平面で表し、その軸
心の軌跡をかくと図7のようにだ円軌道となる。ここで
θy−θx<180°だから、軌道の向きは回転方向ωと
同じく矢印で示すように前向きである。 【0010】X方向のサーボ制御回路を通じての電磁石
による支持剛性とY方向のそれが等しい時、すなわちX
方向とY方向の軸受支持剛性が等方性に設定されている
時には、X方向とY方向への振動振幅は等しい。しかも
両者の位相差は90°であり、X方向振動がY方向振動
に対して90°進んでいる。これを式でかくと、次のよ
うになる。 【数4】 【0011】ロータに作用する不つりあい力は〔数2〕
に示したようにX及びY方向に等方性に作用し、かつそ
れを受ける軸受の特性も等方性だから当然の帰結であ
る。この時のロータ振動の表現は次のようになる。 【数5】 【0012】これを同様に複素平面にてロータ軸受の軌
跡としてみると図7のように円運動となる。軌道の向き
は回転速度ωと同じだから前向きである。 【00013】以上述べたようにロータ振動は、軸受支
持剛性が等しい時には円運動となり、異方性がある時に
はだ円軌道となる。軌道の向きはロータ回転と同じ方向
で前向きである。よつて、複素変位Zを導入として、複
素数形式で表現すると、 【数6】 【数7】 【数8】 【0014】ただし、a、af、ab:複素振幅を表わす
複素数 |af|>|ab| となる。電磁軸受支持の場合には、一般には低速回転で
は異方性のある場合もあるが、高速回転になる程等方性
の性質に近づく。 【0015】不つりあい振動応答曲線の一例を図8に示
す。回転数の低い方の2つの振動振幅のピークがロータ
剛体モードの共振点である。3番目の振動振幅のピーク
がロータの曲げモードの共振点である。通常の磁気軸受
支持ロータにおいて、サーボ制御回路の比例動作,微分
動作,積分動作の調整によつて、低速の剛体モードの共
振点の振幅を小さく押えて通過することが可能である。
しかし、高速回転の曲げモードの共振点においては、減
衰力不足のため、鋭くかつ大振幅で通過せざるを得な
い。むしろ、サーボ制御回路の調整を巧みに行うことに
より、剛体モードの共振振幅を小さく押え得ても、曲げ
モードの共振振幅を押ええず、曲げモード共振点の回転
速度を越えて運転できないのが普通である。 【0016】このような電磁軸受形ロータの共振点での
共振振幅を小さく押えて通過させるサーボ制御回路とし
て、詳しく述べてあるものに特開昭52−93853号
がある。この特許を把握するためには、公知の技術であ
る回転数同期のトラツキングフイルタの原理について
と、それを用いての高減衰付与の制御の方法についての
段階に分けて説明する。 【0017】高速回転域で回転している場合のロータ振
動の一般的な特徴を図8に用いて説明する。図8の曲げ
モード共振点近くで回転しているとする。この時のロー
タ振動としては、不つりあいによる回転数同期の前向き
振動が主成分で、その他にケーシングの揺れなどの外力
によるロータのゆらぎ振動が発生する。ゆらぎ振動は剛
体モードの固有振動数に近く、回転数に比べ低周波数の
ものである。よつてロータ振動Zは複素形式で、〔数
7〕を流用して 【数9】 とかける。これを入力して回転数同期成分のみ 【数10】 を出力するトラツキングフイルタの原理は図9である。 【0018】入力信号に〔数23〕で定義するAをかけ
ることにより回転座標系への変換となる。すなわち 【数11】 となり、回転数同期成分aは回転座標系の信号Z1にお
いては直流成分となる。また上式の第1項にみるよう
に、静止座標系Zinにおいて低周波数にみえていたもの
が、回転座標系Z1においては高周波成分に移つてい
る。 【0019】ここで、回転数同期の直流成分aを抽出す
るすために、ローパスフイルタを通す。その出力をZ2
とすると、 【数12】 である。ローパスフイルタの遮断周波数は回転数に比べ
微小である。通常数HZあるいはそれ以下の0.1HZ位
に設定される。このローパスフイルタのゲインは1であ
る。 【0020】次に、この回転座標系の信号Z2を静止座
標系へ逆変換するために〔数23〕で定義するBをかけ
る。その結果、〔数10〕に示すように、入力信号Zin
の中から回転数同期成分のみを抽出した出力信号Zout
得る。 【0021】これが回転数同期成分フイルタの原理であ
る。回転数ωの変化に追従していく形となつているとき
にはトラツキングフイルタと呼ぶ。〔数23〕で定義す
るBは回転数同期のcosあるいはsin関数をマトリ
ツクス演算する手法で達成される。この数学的な原理を
回路の表現に交換したものが図10である。この図7で
回転パルスを入力してそれと同期したsinとcos波
形の発生回路が9である。入力xin、yin(Zin=xin
+iyin)に対してマトリツクス演算Tを行い、x1及び
y1(Z1=x1+iy1)を求める。 【数13】 としてx1,y1に対してそれぞれ独立にローパスフイル
タを通しx2,y2(Z2=x2+iy2)を求める。さらに
この信号に対してTの逆変換を行い、xout及びy
out(Zout=xout+iyout)を求める。 【数14】 【0022】このようにして、実際の電子回路によつて
x変位信号及びy変位信号の中から回転同期成分のみを
抽出することができる。 【0023】次に、この回転数同期トラツキングフイル
タ回路を用いた特開昭52−93853号に述べられて
いる共振振幅低減の方法を図11に説明する。 【0024】X方向及びY方向のロータの変位をx及び
yとして検出できたとする。この変位信号xとyを(回
路6)DxとDyにそれぞれ入力するとax+bx′及び
ay+by´が出力される比例微分方式の回路である
(ダッシュ表示が微分)。そしてこのようにして派生さ
せられたX方向の派生信号ax+bx´とY方向の派生
信号ay+by´を先程の回転数同期トラツキングフイ
ルタ7に入力する。 【0025】トラツキングフイルタの最初の処理は 【数15】 による回転座標系への変換である。そして第2の処理に
よつてゲインKのローパスフイルタ(狭帯域の積分操作
に相当)にかけらx2及びy2の信号が得られる。この第
2の処理はX方向とY方向でそれぞれ個別にフイルタリ
ングされる。そして次に第3の処理によつて再び静止座
標系への逆変換 【数16】 によつて出力信号x0とy0が得られる。この出力信号x
0及びY0は入力信号xとyの振動波形のうち、回転数と
同期した成分のみが抽出されたものに相当する。そして
供給回路6の係数a及びbの大きさあるいはローパスフ
イルタのゲインKの大きを調整することにより、xとy
の回転数同期成分の位相進み動作を持たせることとがで
きる。すなわち共振振幅の減衰作用を与えることができ
る。 【0026】この図11に示された臨界周波数減衰装置
においては、例えばX方向の共振振幅低減のためにx変
位信号を制御回路4に入力すると同時に、先程のX変位
信号の中から回転同期成分のみを抽出したx0信号をも
サーボ制御に用いる。Y方向にもとづいても同様であ
る。x0信号及びy0信号をサーボ制御に利用することに
より、回転数同期成分については係数a,bやゲインK
の調整によつて位相進み特性をもたせることができるこ
とになる。このことによつてロータには減衰作用が与え
られ、図8に示すような共振振幅も破線のように小振幅
で通過させることができる。 【0027】しかし、このような制御方式では、回路6
のDxあるいはDyに示す微分回路によつて変位信号
(x、y)から速度信号(x´、y´)を作る必要があり
回路が複雑になるのが欠点である。 【0028】この方式の本質は、検出した変位信号x及
びyから微分回路を通じ速度信号x´及びy´を作り、
この変位信号と速度信号を回転数同期トラツキングフイ
ルタ7に通す。そして変位と速度の回転同期成分のみを
抽出し、回転数同期の不つりあい振動のみの制御に供し
ようとするものである。変位成分の大きさによつて軸受
剛性の調整が可能で、また速度成分の大きさによつて軸
受減衰の調整が可能な仕組みとなつている。 【0029】本発明の目的は、回転数同期の不つりあい
振動の共振振幅を下げるような、電磁軸受の制御装置を
提供することにある。 【0030】 【課題を解決するための手段,作用】すべり軸受で支え
られたロータではオイルウイツプと呼ばれる自励振動が
発生することが知られている。この原因を考える。すべ
り軸受における油膜の反作用はロータの変位及び速度に
対して次のように表わされる。 【数17】 【0031】ただし Fx、Fy;X方向及びY方向への軸受反力 kij(i、j=x、y):すべり軸受の油膜弾性定数 cij(i、j=x、y):すべり軸受の油膜減衰定数 【0032】概念的に述べると、kxxやkyyあるいはc
xyやcyxは軸受剛性として作用する。またcxxやcyyは
軸受減衰として作用するのでロータの安定化作用を及ぼ
す。ところでkxyやkyxはX方向とY方向のクロス項を
示し、ロータ振動に対して不安定化作用を起こす原因と
なる。特に、kxy<0、kyx<0となる回転数において
は、ロータにはオイルウイツプと呼ばれる前向きの不安
定振動が発生する原因となる。すなわち、前向きの固有
振動数に対して安定性が低下する訳で、減衰作用が弱ま
ることになる。すべり軸受は受動素子であるからこの符
号を変えることはできない。 【0033】しかし、電磁軸受では電子回路の構成によ
つてこの符号を逆転させることは可能である。すなわ
ち、kxy<0でkyx>0となるようにX方向制御回路と
Y方向制御回路のチヤンネルをクロスさせれば、前向き
の固有振動数に対する安定性を向上させることができ
る。またこのようなチヤンネルのクロスによると、同時
に存在する後向きの固有振動数に対する安定性が低下す
ることは否めない。 【0034】そこで、先に述べた回転同期のトラツキン
グフイルタを併用することにより、共振点近傍における
前向きの固有振動数に対してのみ安定性の向上が可能と
なる。この時、後向きの固有振動数に対する安定性は不
変で低下するようなことは起こらない。 【0035】このようにして、チヤンネルクロスと回転
同期トラツキングフイルタの併用によつて、前向き成分
のみ固有振動数安定性向上すなわち減衰性の向上が達成
される。不つりあい振動は前向きの力であり、これで引
起こされる不つりあい振動の共振ピークは前向きの固有
振動数の減衰を大きくとればとる程、小さい共振振幅に
押え得ることになる。 【0036】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明す
る。X方向のロータ変位を検出した変位信号xは制御回
路4に入力され、その演算結果はパワアンプ5に入力さ
れ制御電流を電磁石コイル2に流す構成とする。Y方向
についても同様である。このような構成は図5に示した
ように、電磁軸受によるサーボ制御方式の基本構成であ
る。 【0037】さて、この検出した変位信号xとyを回転
同期成分のトラツキングフイルタ7に入力し、ロータの
変位振動成分の内回転同期成分xNとyNのみを抽出す
る。軸受が等方性の時には、〔数7〕に示したように、
その不つりあい振動ZN=xN+iyNは】 【数18】 となる。 【0038】すなわち 【数19】 である。 【0039】ここで注目するべきことは 【数20】 の関係が成立していることである。これは不つりあい振
動は図7に示すように円軌道となりX軸からY軸へと回
転と同方向に進むことに関係する。このような円軌道で
は、x振動の90°前の振動は−y振動と予見され、y
軸動の90°前の振動は+x振動と予見される。この予
見は微分操作を意味しているから上式が物理的に肯け
る。 【0040】不つりあい振動成分のみに注目すれば〔数
20〕が成立するので、トラツキングフイルタ7の出力
信号xNとyNに対してそれぞれ微分信号y´N及び−x
´Nと見ればよい。そこでY方向への減衰作用を与える
ためxN信号をα倍して、Y方向チヤンネルへ加算入力
する。一方、X方向への減衰作用を与えるためyN信号
を−α倍してX方向チヤンネルへ加算入力する。この図
1では−α倍はX方向への減算入力としている。 【0041】このようにして、チヤンネルクロスで加算
と減算入力することにより、回転数同期成分に対する反
力は 【数21】 【数22】 【数23】 と表わされることになる。このことはkxy<0でkyx>
0に設定することに相当する。よつてロータの前向き振
動に対する減衰性向上を計ろうとする目的が達成され
る。尚〔数23〕は前述のA、Bの定義式である。 【0042】チヤンネルクロスで加算減算入力するとき
の係数2は大きい程良い訳であるが、電子回路の飽和防
止の制約もあり、適当な共振振幅となるようにαのゲイ
ン調整をすればよい。 【0043】図2により一般的に、軸受の特性が異方性
があるために図7のだ円軌道あるいは〔図8〕のような
不つりあい振動が起こつている場合の回路構成である。 【0044】この場合、〔数8〕の前向きのafB(但
し、Bは〔数23〕で定義したもの)振動を押える方法
は先述の図1と同 じである。後向きの成分abA(但
し、Aは〔数23〕で定義したもの)の振動成分を押え
る方法は前向きの時の処理の逆をとればよい。トラツキ
ングフイルタは逆回転の回転数同期フイルタ8の構成と
なり、トラツキングフイルタ8の出力のチヤンネルクロ
スの加算減算入力の方式はαと逆の符号となるβ倍をと
ればよい。 【0045】図3は本発明の回転同期トラツキングフイ
ルタとチヤンネルクロスを使つた場合の実験データであ
る。横軸に回転数を縦軸に振動振幅を示している。同図
でONとは本発明の図1の動作をさせた時のものであ
る。OFFとはチヤンネルクロスを切つた時(α=0に
相当)のものである。ONにすることにより振動振幅は
著しく低下し、OFFにすることにより振動振幅は元の
大きな振幅に戻つていることがわかる。 【0046】よつて、本発明の方法によれば、図8に示
されるような曲げモードの共振振幅も、適当な減衰が与
えられることになり、一点破線のような小さな共振振幅
で危険速度を通過させることが可能となる。 【0047】 【発明の効果】本発明によれば次のような効果が達成で
きる。 【0048】(イ)新たな微分回路の増設を必要とせ
ず、チヤンネルのクロスのみでよく部品点数が少なくて
すむ。 【0049】(ロ)共振点通過時の前向き振動に対する
減衰力が向上できるので、不つりあい振動に対して小さ
な共振振幅で通過できる。 【0050】(ハ)ロータのバランス精度が多少悪くて
も共振点通過が可能となるので、バランス作業が簡略化
される。 【0051】
磁気浮上形ロータの制御装置に係り、特にロータの不つ
りあい振動に対して共振振幅を小さく押えうるに好適な
電磁軸受制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ロータを剛体運動体としてとらえ、ジャ
イロ効果の観点からの共振動の抑制をはかった従来例に
は(イ)、「5自由度制御形磁気軸受制御系の最適設計
(第3報)−不つりあいを考慮した制御系の構成−」水
野毅、他(計測自動制御学会、第21回、学術講演会予
稿集1605(第185及び186頁))、及び
(ロ)、「5自由度制御形磁気軸受制御系の最適設計
(第6報)−不つりあい補償の基礎実験−」水野毅、他
(計測自動制御学会、第22回、学術講演会予稿集32
09(第539及び540頁))、及び(ハ)、「5自
由度制御形磁気軸受制御系の最適設計(第7報)−回転
同期信号を利用した不つりあい補償法−」水野毅、他
(日本自動車制御会、第28回、システムと制御研究発
表講演会論文集H4(第157及び158頁))、及び
(ニ)、特開昭58年81217号がある。(イ)〜
(ニ)は、ジャイロ効果の利用及び重心集中化の考え方
であり、振れまわり運動におけるロータの任意の一点の
制御との観点はない。ここで、ロータの任意の一点の制
御についての従来例を以下述べる。吸引形電磁石を軸受
とした電磁軸受で支えられた回転機械の構成の概略は図
4のようになつており、はじめにX軸方向の1次元で説
明する。ロータ1に対して電磁石のコイル2は左右に配
置される。この状態でロータ1が右へ変位すると左側の
電磁石コイル2に制御電流iが流れ、ロータ1は左側に
変位するように吸引力が作用する。反対にロータが左側
へ変位すると右側の電磁石コイル2に制御電流iが流
れ、吸引力が作用する。このようにロータ1の左右への
変位に応じて、反対側の電磁石コイル2に制御電流iを
流し、その吸引力によつて、ロータ1が中心位置に位置
するようにサーボ制御する。 【0003】ロータ1の左右への変位を検出するために
変位センサ3が少なくとも1つ必要である。変位センサ
3としては誘導コイル形、容量形あるいは光学式など非
接触のものがよく用いられている。 【0004】変位センサ3によつて検出された変位信号
xは制御回路4に入力され、ロータ1の中心位置からの
左右のずれに応じて制御電圧vを決定し、左右の電磁石
コイル用パワアンプ5に入力され、それに応じた制御電
流iがコイル2に流れる。左右のパワアンプ5への制御
電圧vの流し方は、電磁石の吸引力によつてロータの求
心作用が生じるようになされる。 【0005】このように、ロータ1の位置制御のためサ
ーボ回路の構成では、X方向に対して、変位センサ1が
1個、左右の電磁石コイル2とパワアンプ5が2個、制
御回路4が1個の構成となる。一般には図5に示すよう
に、ロータ1の磁気軸受による位置制御のためには、X
方向とY方向の2次元の位置制御となる。よつて、サー
ボ回路の構成としては同じ仕様のものがX方向用とY方
向用の2系列並ぶことになる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】次に回転軸振動の特徴
について述べる。不つりあい振動を説明するため図6が
よく用いられる。空間固定座標O−XY軸系からみてロ
ータ1の軸心Orはx,yの変位のところにあるとす
る。ロータ1に固定した回転座表Or−XrYr軸系から
みたロータ1の重心Gの偏心量をεとして、そのXr,
Yr方向の成分をεx及びεyとする。ロータ1の回転速
度をωと記すと、OX軸とOrXr軸の間の開き角度が回
転角度でωt(tは時間)である。 【0007】このような記号の下で、不つりあいにより
ロータ1に作用する力は、ロータ質量をmとすると、 【数1】 である。これをF=Fx+iFy(i:虚数単位)の複素
平面で表示すると 【数2】 となり、ロータ回転と同じ方向に回転する力すなわち前
向きの力である。 【0008】一方、ロータ1の振動はX方向及びY方向
から検出されその振動数は回転速度ωに一致しているか
ら次の形に表わされる。 【数3】 【0009】X方向及びY方向の振幅をそれぞれax,
ayとし、回転角度からみた位相遅れをθx、θyとして
いる。これを先程と同じように複素平面で表し、その軸
心の軌跡をかくと図7のようにだ円軌道となる。ここで
θy−θx<180°だから、軌道の向きは回転方向ωと
同じく矢印で示すように前向きである。 【0010】X方向のサーボ制御回路を通じての電磁石
による支持剛性とY方向のそれが等しい時、すなわちX
方向とY方向の軸受支持剛性が等方性に設定されている
時には、X方向とY方向への振動振幅は等しい。しかも
両者の位相差は90°であり、X方向振動がY方向振動
に対して90°進んでいる。これを式でかくと、次のよ
うになる。 【数4】 【0011】ロータに作用する不つりあい力は〔数2〕
に示したようにX及びY方向に等方性に作用し、かつそ
れを受ける軸受の特性も等方性だから当然の帰結であ
る。この時のロータ振動の表現は次のようになる。 【数5】 【0012】これを同様に複素平面にてロータ軸受の軌
跡としてみると図7のように円運動となる。軌道の向き
は回転速度ωと同じだから前向きである。 【00013】以上述べたようにロータ振動は、軸受支
持剛性が等しい時には円運動となり、異方性がある時に
はだ円軌道となる。軌道の向きはロータ回転と同じ方向
で前向きである。よつて、複素変位Zを導入として、複
素数形式で表現すると、 【数6】 【数7】 【数8】 【0014】ただし、a、af、ab:複素振幅を表わす
複素数 |af|>|ab| となる。電磁軸受支持の場合には、一般には低速回転で
は異方性のある場合もあるが、高速回転になる程等方性
の性質に近づく。 【0015】不つりあい振動応答曲線の一例を図8に示
す。回転数の低い方の2つの振動振幅のピークがロータ
剛体モードの共振点である。3番目の振動振幅のピーク
がロータの曲げモードの共振点である。通常の磁気軸受
支持ロータにおいて、サーボ制御回路の比例動作,微分
動作,積分動作の調整によつて、低速の剛体モードの共
振点の振幅を小さく押えて通過することが可能である。
しかし、高速回転の曲げモードの共振点においては、減
衰力不足のため、鋭くかつ大振幅で通過せざるを得な
い。むしろ、サーボ制御回路の調整を巧みに行うことに
より、剛体モードの共振振幅を小さく押え得ても、曲げ
モードの共振振幅を押ええず、曲げモード共振点の回転
速度を越えて運転できないのが普通である。 【0016】このような電磁軸受形ロータの共振点での
共振振幅を小さく押えて通過させるサーボ制御回路とし
て、詳しく述べてあるものに特開昭52−93853号
がある。この特許を把握するためには、公知の技術であ
る回転数同期のトラツキングフイルタの原理について
と、それを用いての高減衰付与の制御の方法についての
段階に分けて説明する。 【0017】高速回転域で回転している場合のロータ振
動の一般的な特徴を図8に用いて説明する。図8の曲げ
モード共振点近くで回転しているとする。この時のロー
タ振動としては、不つりあいによる回転数同期の前向き
振動が主成分で、その他にケーシングの揺れなどの外力
によるロータのゆらぎ振動が発生する。ゆらぎ振動は剛
体モードの固有振動数に近く、回転数に比べ低周波数の
ものである。よつてロータ振動Zは複素形式で、〔数
7〕を流用して 【数9】 とかける。これを入力して回転数同期成分のみ 【数10】 を出力するトラツキングフイルタの原理は図9である。 【0018】入力信号に〔数23〕で定義するAをかけ
ることにより回転座標系への変換となる。すなわち 【数11】 となり、回転数同期成分aは回転座標系の信号Z1にお
いては直流成分となる。また上式の第1項にみるよう
に、静止座標系Zinにおいて低周波数にみえていたもの
が、回転座標系Z1においては高周波成分に移つてい
る。 【0019】ここで、回転数同期の直流成分aを抽出す
るすために、ローパスフイルタを通す。その出力をZ2
とすると、 【数12】 である。ローパスフイルタの遮断周波数は回転数に比べ
微小である。通常数HZあるいはそれ以下の0.1HZ位
に設定される。このローパスフイルタのゲインは1であ
る。 【0020】次に、この回転座標系の信号Z2を静止座
標系へ逆変換するために〔数23〕で定義するBをかけ
る。その結果、〔数10〕に示すように、入力信号Zin
の中から回転数同期成分のみを抽出した出力信号Zout
得る。 【0021】これが回転数同期成分フイルタの原理であ
る。回転数ωの変化に追従していく形となつているとき
にはトラツキングフイルタと呼ぶ。〔数23〕で定義す
るBは回転数同期のcosあるいはsin関数をマトリ
ツクス演算する手法で達成される。この数学的な原理を
回路の表現に交換したものが図10である。この図7で
回転パルスを入力してそれと同期したsinとcos波
形の発生回路が9である。入力xin、yin(Zin=xin
+iyin)に対してマトリツクス演算Tを行い、x1及び
y1(Z1=x1+iy1)を求める。 【数13】 としてx1,y1に対してそれぞれ独立にローパスフイル
タを通しx2,y2(Z2=x2+iy2)を求める。さらに
この信号に対してTの逆変換を行い、xout及びy
out(Zout=xout+iyout)を求める。 【数14】 【0022】このようにして、実際の電子回路によつて
x変位信号及びy変位信号の中から回転同期成分のみを
抽出することができる。 【0023】次に、この回転数同期トラツキングフイル
タ回路を用いた特開昭52−93853号に述べられて
いる共振振幅低減の方法を図11に説明する。 【0024】X方向及びY方向のロータの変位をx及び
yとして検出できたとする。この変位信号xとyを(回
路6)DxとDyにそれぞれ入力するとax+bx′及び
ay+by´が出力される比例微分方式の回路である
(ダッシュ表示が微分)。そしてこのようにして派生さ
せられたX方向の派生信号ax+bx´とY方向の派生
信号ay+by´を先程の回転数同期トラツキングフイ
ルタ7に入力する。 【0025】トラツキングフイルタの最初の処理は 【数15】 による回転座標系への変換である。そして第2の処理に
よつてゲインKのローパスフイルタ(狭帯域の積分操作
に相当)にかけらx2及びy2の信号が得られる。この第
2の処理はX方向とY方向でそれぞれ個別にフイルタリ
ングされる。そして次に第3の処理によつて再び静止座
標系への逆変換 【数16】 によつて出力信号x0とy0が得られる。この出力信号x
0及びY0は入力信号xとyの振動波形のうち、回転数と
同期した成分のみが抽出されたものに相当する。そして
供給回路6の係数a及びbの大きさあるいはローパスフ
イルタのゲインKの大きを調整することにより、xとy
の回転数同期成分の位相進み動作を持たせることとがで
きる。すなわち共振振幅の減衰作用を与えることができ
る。 【0026】この図11に示された臨界周波数減衰装置
においては、例えばX方向の共振振幅低減のためにx変
位信号を制御回路4に入力すると同時に、先程のX変位
信号の中から回転同期成分のみを抽出したx0信号をも
サーボ制御に用いる。Y方向にもとづいても同様であ
る。x0信号及びy0信号をサーボ制御に利用することに
より、回転数同期成分については係数a,bやゲインK
の調整によつて位相進み特性をもたせることができるこ
とになる。このことによつてロータには減衰作用が与え
られ、図8に示すような共振振幅も破線のように小振幅
で通過させることができる。 【0027】しかし、このような制御方式では、回路6
のDxあるいはDyに示す微分回路によつて変位信号
(x、y)から速度信号(x´、y´)を作る必要があり
回路が複雑になるのが欠点である。 【0028】この方式の本質は、検出した変位信号x及
びyから微分回路を通じ速度信号x´及びy´を作り、
この変位信号と速度信号を回転数同期トラツキングフイ
ルタ7に通す。そして変位と速度の回転同期成分のみを
抽出し、回転数同期の不つりあい振動のみの制御に供し
ようとするものである。変位成分の大きさによつて軸受
剛性の調整が可能で、また速度成分の大きさによつて軸
受減衰の調整が可能な仕組みとなつている。 【0029】本発明の目的は、回転数同期の不つりあい
振動の共振振幅を下げるような、電磁軸受の制御装置を
提供することにある。 【0030】 【課題を解決するための手段,作用】すべり軸受で支え
られたロータではオイルウイツプと呼ばれる自励振動が
発生することが知られている。この原因を考える。すべ
り軸受における油膜の反作用はロータの変位及び速度に
対して次のように表わされる。 【数17】 【0031】ただし Fx、Fy;X方向及びY方向への軸受反力 kij(i、j=x、y):すべり軸受の油膜弾性定数 cij(i、j=x、y):すべり軸受の油膜減衰定数 【0032】概念的に述べると、kxxやkyyあるいはc
xyやcyxは軸受剛性として作用する。またcxxやcyyは
軸受減衰として作用するのでロータの安定化作用を及ぼ
す。ところでkxyやkyxはX方向とY方向のクロス項を
示し、ロータ振動に対して不安定化作用を起こす原因と
なる。特に、kxy<0、kyx<0となる回転数において
は、ロータにはオイルウイツプと呼ばれる前向きの不安
定振動が発生する原因となる。すなわち、前向きの固有
振動数に対して安定性が低下する訳で、減衰作用が弱ま
ることになる。すべり軸受は受動素子であるからこの符
号を変えることはできない。 【0033】しかし、電磁軸受では電子回路の構成によ
つてこの符号を逆転させることは可能である。すなわ
ち、kxy<0でkyx>0となるようにX方向制御回路と
Y方向制御回路のチヤンネルをクロスさせれば、前向き
の固有振動数に対する安定性を向上させることができ
る。またこのようなチヤンネルのクロスによると、同時
に存在する後向きの固有振動数に対する安定性が低下す
ることは否めない。 【0034】そこで、先に述べた回転同期のトラツキン
グフイルタを併用することにより、共振点近傍における
前向きの固有振動数に対してのみ安定性の向上が可能と
なる。この時、後向きの固有振動数に対する安定性は不
変で低下するようなことは起こらない。 【0035】このようにして、チヤンネルクロスと回転
同期トラツキングフイルタの併用によつて、前向き成分
のみ固有振動数安定性向上すなわち減衰性の向上が達成
される。不つりあい振動は前向きの力であり、これで引
起こされる不つりあい振動の共振ピークは前向きの固有
振動数の減衰を大きくとればとる程、小さい共振振幅に
押え得ることになる。 【0036】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明す
る。X方向のロータ変位を検出した変位信号xは制御回
路4に入力され、その演算結果はパワアンプ5に入力さ
れ制御電流を電磁石コイル2に流す構成とする。Y方向
についても同様である。このような構成は図5に示した
ように、電磁軸受によるサーボ制御方式の基本構成であ
る。 【0037】さて、この検出した変位信号xとyを回転
同期成分のトラツキングフイルタ7に入力し、ロータの
変位振動成分の内回転同期成分xNとyNのみを抽出す
る。軸受が等方性の時には、〔数7〕に示したように、
その不つりあい振動ZN=xN+iyNは】 【数18】 となる。 【0038】すなわち 【数19】 である。 【0039】ここで注目するべきことは 【数20】 の関係が成立していることである。これは不つりあい振
動は図7に示すように円軌道となりX軸からY軸へと回
転と同方向に進むことに関係する。このような円軌道で
は、x振動の90°前の振動は−y振動と予見され、y
軸動の90°前の振動は+x振動と予見される。この予
見は微分操作を意味しているから上式が物理的に肯け
る。 【0040】不つりあい振動成分のみに注目すれば〔数
20〕が成立するので、トラツキングフイルタ7の出力
信号xNとyNに対してそれぞれ微分信号y´N及び−x
´Nと見ればよい。そこでY方向への減衰作用を与える
ためxN信号をα倍して、Y方向チヤンネルへ加算入力
する。一方、X方向への減衰作用を与えるためyN信号
を−α倍してX方向チヤンネルへ加算入力する。この図
1では−α倍はX方向への減算入力としている。 【0041】このようにして、チヤンネルクロスで加算
と減算入力することにより、回転数同期成分に対する反
力は 【数21】 【数22】 【数23】 と表わされることになる。このことはkxy<0でkyx>
0に設定することに相当する。よつてロータの前向き振
動に対する減衰性向上を計ろうとする目的が達成され
る。尚〔数23〕は前述のA、Bの定義式である。 【0042】チヤンネルクロスで加算減算入力するとき
の係数2は大きい程良い訳であるが、電子回路の飽和防
止の制約もあり、適当な共振振幅となるようにαのゲイ
ン調整をすればよい。 【0043】図2により一般的に、軸受の特性が異方性
があるために図7のだ円軌道あるいは〔図8〕のような
不つりあい振動が起こつている場合の回路構成である。 【0044】この場合、〔数8〕の前向きのafB(但
し、Bは〔数23〕で定義したもの)振動を押える方法
は先述の図1と同 じである。後向きの成分abA(但
し、Aは〔数23〕で定義したもの)の振動成分を押え
る方法は前向きの時の処理の逆をとればよい。トラツキ
ングフイルタは逆回転の回転数同期フイルタ8の構成と
なり、トラツキングフイルタ8の出力のチヤンネルクロ
スの加算減算入力の方式はαと逆の符号となるβ倍をと
ればよい。 【0045】図3は本発明の回転同期トラツキングフイ
ルタとチヤンネルクロスを使つた場合の実験データであ
る。横軸に回転数を縦軸に振動振幅を示している。同図
でONとは本発明の図1の動作をさせた時のものであ
る。OFFとはチヤンネルクロスを切つた時(α=0に
相当)のものである。ONにすることにより振動振幅は
著しく低下し、OFFにすることにより振動振幅は元の
大きな振幅に戻つていることがわかる。 【0046】よつて、本発明の方法によれば、図8に示
されるような曲げモードの共振振幅も、適当な減衰が与
えられることになり、一点破線のような小さな共振振幅
で危険速度を通過させることが可能となる。 【0047】 【発明の効果】本発明によれば次のような効果が達成で
きる。 【0048】(イ)新たな微分回路の増設を必要とせ
ず、チヤンネルのクロスのみでよく部品点数が少なくて
すむ。 【0049】(ロ)共振点通過時の前向き振動に対する
減衰力が向上できるので、不つりあい振動に対して小さ
な共振振幅で通過できる。 【0050】(ハ)ロータのバランス精度が多少悪くて
も共振点通過が可能となるので、バランス作業が簡略化
される。 【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーボ制御方式の実施例を示すブロツ
ク図である。 【図2】異方性支持特性の場合の本発明に基づくサーボ
制御方式のブロツク図である。 【図3】本発明の試験データ特性線図である。 【図4】電磁軸受のサーボ制御動作を説明する図であ
る。 【図5】電磁軸受支持ロータのサーボ回路構成図であ
る。 【図6】ロータ変位と不つりあいを示す力学モデル図で
ある。 【図7】不つりあい振動のロータ軸心ふれまわり軌跡図
である。 【図8】不つりあい振動応答曲線図である。 【図9】回転数同期フイルタの原理説明図である。 【図10】回転数同期トラツキングフイルタ回路構成図
である。 【図11】従来の臨界周波数減衰装置のブロツク図であ
る。 【符号の説明】 1 ロータ 2 電磁石コイル 3 変位検出器 4 制御回路 5 パワアンプ 6 比例微分回路 7 回転数同期トラツキングフイルタ 8 逆回転数同期トラツキングフイルタ 9 回転同期sin,cos波形発生器
ク図である。 【図2】異方性支持特性の場合の本発明に基づくサーボ
制御方式のブロツク図である。 【図3】本発明の試験データ特性線図である。 【図4】電磁軸受のサーボ制御動作を説明する図であ
る。 【図5】電磁軸受支持ロータのサーボ回路構成図であ
る。 【図6】ロータ変位と不つりあいを示す力学モデル図で
ある。 【図7】不つりあい振動のロータ軸心ふれまわり軌跡図
である。 【図8】不つりあい振動応答曲線図である。 【図9】回転数同期フイルタの原理説明図である。 【図10】回転数同期トラツキングフイルタ回路構成図
である。 【図11】従来の臨界周波数減衰装置のブロツク図であ
る。 【符号の説明】 1 ロータ 2 電磁石コイル 3 変位検出器 4 制御回路 5 パワアンプ 6 比例微分回路 7 回転数同期トラツキングフイルタ 8 逆回転数同期トラツキングフイルタ 9 回転同期sin,cos波形発生器
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 菅谷 豊美
茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日
立製作所機械研究所内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 (1)、ロータの軸上の任意の一点での、ロータの半径
方向位置を、該一点でのX方向とY方向の直角2方向よ
り検出する手段と、予め設定した半径方向位置に前記ロ
ータを保持するように、前記検出する手段から出る変位
信号に感応して電磁コイルへ供給電流を制御する回路を
X方向とY方向に2チャンネル持つサーボ回路と、前記
ロータ回転速度と等しい周波数に中心を置き、回転同時
成分を抽出する回転数トラッキングフィルタと、該フィ
ルタに前記X方向及びY方向変位検出信号を入力する手
段と、該フィルタの出力信号のうちX方向信号を上記Y
方向サーボ回路に加算入力し、且つY方向信号をX方向
サーボ回路に減算入力する手段と、より成る電磁軸受制
御装置。 (2)、ロータ軸上の任意の一点での、ロータの半径方
向位置を、該一点でのX方向とY方向の直角2方向より
検出する手段と、予め設定した半径方向位置に前記ロー
タを保持するように、前記検出する手段から出る変位信
号に感応して電磁コイルへ供給電流を制御する回路をX
方向とY方向に2チャンネル持つサーボ回路と、前記ロ
ータ回転速度と等しい周波数に中心を置き、回転同時成
分を抽出する回転数トラッキングフィルタと、該フィル
タに前記X方向及びY方向変位検出信号を入力する手段
と、該フィルタの出力信号のうちX方向信号を上記Y方
向サーボ回路に減算入力し、且つY方向信号をX方向サ
ーボ回路に加算入力する手段と、より成る電磁軸受制御
装置。 (3)、ロータの軸上の任意の一点での、ロータの半径
方向位置を、該一点でのX方向とY方向の直角2方向よ
り検出する手段と、予め設定した半径方向位置に前記ロ
ータを保持するように、前記検出する手段から出る変位
信号に感応して電磁コイルへ供給電流を制御する回路を
X方向とY方向に2チャンネル持つサーボ回路と、前記
ロータ回転速度と等しい周波数に中心を置き、前向き回
転同時成分を抽出する第1の回転数トラッキングフィル
タと、該第1のフィルタに前記X方向及びY方向変位検
出信号を入力する手段と、前記ロータ回転速度と等しい
周波数に中心を置き、後向き回転同期成分を抽出する第
2の回転数トラッキングフィルタと、該第2のフィルタ
に前記X方向及びY方向変位検出信号を入力する手段
と、第1のフィルタの出力信号のうちX方向信号を上記
Y方向サーボ回路に加算入力し、且つY方向信号をX方
向サーボ回路に減算入力し、第2のフィルタの出力信号
のうちX方向信号を上記Y方向サーボ回路に減算入力し
且つY方向信号をX方向サーボ回路に加算入力する手段
と、より成る電磁軸受制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3268780A JP2565438B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 電磁軸受制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3268780A JP2565438B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 電磁軸受制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06300040A true JPH06300040A (ja) | 1994-10-25 |
JP2565438B2 JP2565438B2 (ja) | 1996-12-18 |
Family
ID=17463187
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3268780A Expired - Fee Related JP2565438B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 電磁軸受制御装置 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2565438B2 (ja) |
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- 1991-09-20 JP JP3268780A patent/JP2565438B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN113124053A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-07-16 | 清华大学 | 同步阻尼方法及装置 |
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Publication number | Publication date |
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JP2565438B2 (ja) | 1996-12-18 |
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