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JPH0627025A - 分子認識機能膜及びこれを用いたセンサー - Google Patents

分子認識機能膜及びこれを用いたセンサー

Info

Publication number
JPH0627025A
JPH0627025A JP20197492A JP20197492A JPH0627025A JP H0627025 A JPH0627025 A JP H0627025A JP 20197492 A JP20197492 A JP 20197492A JP 20197492 A JP20197492 A JP 20197492A JP H0627025 A JPH0627025 A JP H0627025A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
compound
harmonic
molecular recognition
molecule
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP20197492A
Other languages
English (en)
Inventor
Taiji Osada
泰二 長田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
Priority to JP20197492A priority Critical patent/JPH0627025A/ja
Publication of JPH0627025A publication Critical patent/JPH0627025A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定分子の濃度変化を二次高調波発生強度の
変化に転換して検出する分子識別機能性膜及びこれを用
いたセンサーを提供する。 【構成】 分子認識機能膜1を透明基板2上に形成し、
透明なフローセル3内の流路4を流れる測定試料5が直
接分子認識機能膜1に触れるように設置する。発光素子
6から発せられた光(基本波)は、フローセル3及び測
定試料5の流れる流路4を透過して分子認識機能膜1を
照射する。分子認識機能膜1を透過した二次高調波を含
む光は、カットフィルター7で二次高調波以外の波長を
カットされて受光素子8へ入射する。検出した二次高調
波の変化を信号処理部9で処理して測定試料5中に含ま
れる特定試料の濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機及び無機化合物或
いは生体関連化合物等の濃度測定を二次高調波発生によ
って行う分子認識機能膜及びこの膜を使用したセンサー
に関する。
【0002】
【従来の技術】生体は無機物や有機物を高い選択性で認
識する能力を有している。その高い選択性を有する機能
性分子、或いは細胞、組織を始め生体そのものを物質選
択機能部位として、試料溶液中の検体を迅速に簡単に検
出するバイオセンサーが知られている。
【0003】上記センサーの機能は、特定の検体を選択
的に認識して反応させる部分と、この反応による検体の
導伝性、発熱、発光等の変化を捉らえて信号に変換する
部分に分けて考える事ができる。検体を認識してこれと
反応する生体高分子としては、酵素、抗体、受容体等の
蛋白質などが知られており、これらは天然高分子や合成
高分子から成る膜中に分散・固定化して用いられる。一
方、反応を捉らえて信号に変換する部分には、一般的に
酸素電極、過酸化水素電極、イオン電極、ガス電極など
の電極が用いられている。また最近は上記検体の発光を
利用したセンサー等が数多く提案されてきている。
【0004】前記の電極を用いる電気化学的測定法は、
(1)測定に際して電気的、磁気的ノイズが発生しやすい
こと、(2)参照電極を用いるために微量の検体を測定で
きないこと、等の難点がある。これに対して光学的測定
方法は例えば特開昭61-292045、特開昭63-75542、特開
昭63-271162の各号公報に開示されているが、(1)近年の
技術革新により高感度の光検出が可能になったこと、
(2)測定に際して電気的、磁気的ノイズが発生しにくい
こと、(3)参照電極は不要なこと、等の利点があり、更
に光の入射や検知に光ファイバーを用いた場合には、反
応場と光ファイバーとを物理的に接触させる必要がない
ため、反応場の試薬交換が容易となること、また、複数
の波長を用いて複数の検体を同時に測定できる可能性が
あること等の特徴を有している。
【0005】一方前記の二次高調波発生用の材料とし
て、有機非線形光学材料は原理的に無機材料よりも高い
非線形光学特性を実現できる可能性があるため精力的に
研究されている。高い二次高調波発生(SHG)を実現
させるためには、分子分極率の高い分子を、反転中心を
持たない配列構造(非対称配向)に配列させることが必
要である。そのため当初は単結晶材料に関して進められ
てきた研究が、近年ではラングミュアーブロジェット
(LB)法によって形成される非対称配向構造を有する
累積膜についても行われるようになってきている(応用
物理 第60巻 第6号(1991) P586)。このLB法は、
(1)反転中心を持たない配列構造(非対称配向)が容易
に形成できること、(2)常に基板の法線方向に光学軸を
有する薄膜として得られること、(3)分子レベル単位で
薄膜を制御できること、(4)重合性基を導入することに
より、リソグラフィ技術を用いてパターニングが可能な
こと、(5)重金属等の物質を導入して屈折率を制御でき
ること、といった特徴を有しているが、更に、成膜成分
として分子分極率の高い分子を用いると、形成されるL
B膜自身も高い分極特性を示し、従って高い二次高調波
発生を示すという大きな特徴がある。
【0006】上記の二次高調波発生は非線形光学材料の
特性の一つであるが、LB膜の分子配列或いは分子構造
に変化があると非線形光学特性も影響を受ける。この原
理を応用して塩化水素ガスでLB膜成膜成分のプロトン
化反応を行い、このときの二次高調波変化を分析した例
がある(電気化学会 '91春年会 2A22)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のLB法
は二次高調波を発生することができるが、センサーとし
てどのように利用するかについては未だ研究の段階にあ
り、実用に供されていない。上記分子構造の変化と非線
形光学特性とを結びつけた研究にあっても、この技術は
LB膜構成分子が直接的な化学変化を受けるため、分析
機器として使うには不向きであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
願発明は、単分子膜の成膜成分中に分子認識機能を有す
る化合物及び二次高調波を発生する化合物を導入して累
積膜を形成する。従ってこの累積膜は分子認識機能を有
するため、特定分子との吸着、反応触媒作用等によって
分子配列の立体構造に変化が生じ、これに伴って二次高
調波発生機能が変化するので、この変化を検知して前記
特定分子の濃度を測定することができる。前記分子認識
機能を有する化合物と、前記二次高調波を発生する化合
物とは、それぞれ異なる単分子膜成膜成分中に存在して
もよく、この場合には2つの単分子膜を交互に重ねるこ
とで非対称構造の累積膜を容易に形成することができ
る。
【0009】前記二次高調波を発生する化合物は、電子
供与基及び電子受容基に挟まれた発色団を有する化合物
とすることによって二次高調波発生能を強化することが
できる。また前記単分子膜が親水基と疎水基とを有する
化合物を含むものであれば前記LB法によって容易に累
積膜を形成することができる。
【0010】また本発明による分子認識機能膜は、前記
のように特定分子の影響による二次高調波の変化を検知
してこの特定分子の濃度を測定することが可能なためセ
ンサーとして使用することができる。本発明のセンサー
の構成は、一般的に行われているメーカーフリンジ法又
はウエッジ法を転用すればよく(「光学的測定ハンドブ
ック」朝倉書店 IV-1.2.1. 494頁)、基本波を発生し
て分子認識機能膜へ入射する発光素子と、ここから発生
する二次高調波を受光する受光素子と、この受光素子か
らの信号を処理する信号処理部とからなり、上記分子認
識機能膜から発生する測定試料に固有の二次高調波発生
能を測定してその濃度を計測することができる。
【0011】
【作用】本発明の分子認識機能膜は、特定化合物との吸
着、反応触媒作用等によって分子配列の立体構造に変化
が生じ、これに伴って二次高調波発生機能も変化するた
め、この変化を検知して特定化合物の濃度を測定するこ
とができる。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図1は本
発明に基づくセンサーを示す概念図である。分子認識機
能膜1は透明基板2上に形成され、透明なフローセル3
内の流路4を流れる測定試料5が直接分子認識機能膜1
に触れるように設置されている。発光素子6から発せら
れた光(基本波)は、フローセル3及び測定試料5の流
れる流路4を透過して分子認識機能膜1を照射する。分
子認識機能膜1を透過した二次高調波を含む光は、カッ
トフィルター7で二次高調波以外の波長をカットされて
受光素子8へ入射する。こうして検出した二次高調波の
変化を信号処理部9で処理して測定試料5中に含まれる
特定試料の濃度を算出する。
【0013】図2乃至図5は本発明の分子認識機能膜1
及びその構成分子を表したものである。図2(a)の分子
認識機能膜1は分子10及び分子11からなる単分子膜
Aと、分子10及び分子12からなる単分子膜Bとを後
述のヘテロY型構造の形式に重ねたものである。これら
の単分子膜はLB法によって容易に累積膜とすることが
できる。同図中では2層のみ表示してあるが、実際には
2層に限定されるものではない。
【0014】分子10及び11は図3に示す構造を有し
ている。即ち分子10は、図3(a)にあるように疎水基
13及び親水基14からなり、また分子11は疎水基1
5、親水基16及び発色団17らなる。分子11内の疎
水基15は電子供与基を、また親水基16は電子受容基
を兼用しているが、勿論、疎水基と電子供与基、親水基
と電子受容基は別々の基であってもよい。また分子10
に用いる疎水基13及び親水基14は公知のどのような
基でもよいが、分子11との親和性を考慮してそれぞれ
電子供与基を兼ねる疎水基15及び電子受容基を兼ねる
親水基16と同じまたは同種のものを使用することが好
ましい。電子供与基を兼ねる疎水基15としてはアルキ
ル基又はアリール基が好ましく、電子受容基を兼ねる親
水基16としては−COOM基、−SO3M基等が好ま
しい(Mは水素原子又はアルカリ金属原子若しくはアル
カリ土類金属原子を表す)。
【0015】また極性の発色団17としてはニトロ基、
アゾ基、共役ジエン等公知のものを利用することができ
るが、この発色団17は電子供与基と電子授与基とに挟
まれていることが好ましい。以上から、分子10として
はアラキジン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリルア
ルコール、ステアリルメルカプタン、ステアリルアミン
等の化合物が挙げられ、また分子11としては例えば
(化1)乃至(化5)に示すような化合物が挙げられ
る。また分子12は特定分子を識別してその作用を受け
る機能を有する化合物である。分子12としては、例え
ば特定分子を吸着する化合物として、特定の外形を有す
るイオンだけを吸着する機能を有するクラウンエーテル
が挙げられ、また特定の基質のみの反応を触媒する酵素
等も挙げられる。
【0016】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0017】図4はLB法による単分子膜の累積の型を
示す模式図である。本図中、(b)は親水基同士(また図
には表されていないが、疎水基同士も)が接触した対称
型の構造(Y型構造)をとっており安定な膜である。し
かしこの累積膜は構造が対称であるため膜全体としては
分極せず、従って二次高調波発生能力が劣る。一方、
(a)(X型構造)及び(c)(Z型構造)は累積された単分
子膜内の分子が全て一方向に向いている非対称構造であ
る。従って、分子内の電子供与基と電子受容基の効果に
よって膜全体が分極し、二次高調波発生を効率よく行う
ことができる。しかし(b)の対称型構造と違って親水基
と疎水基が接触しているため、かなり不安定な膜であ
る。一方(d)の構造は、2種の単分子膜を交互に累積し
たものであって、各種類の膜単位で見ると、分子が全て
一方向に向いている非対称構造をとっている(ヘテロY
型構造)。このヘテロY型構造は、親水基同士(また図
には表されていないが、疎水基同士も)が接触した構造
であるため安定な膜であり、本発明に係る非対称構造と
して最も望ましいものである。
【0018】上記ヘテロY型構造の累積膜を形成する場
合、例えば図2(a)のように形成する場合を説明する
と、単分子膜Aは疎水基及び親水基を有する分子10と
電子供与基、電子受容基及び発色団を有する分子11と
からなる。従って、単分子膜Aは二次高調波発生機能を
有する膜となる。また単分子膜Bは疎水基及び親水基を
有する分子10と特定分子を識別してその作用を受ける
機能を有する分子12とからなる。即ち単分子膜Bは分
子認識機能膜となる。この単分子膜Bの上に更に単分子
膜A、単分子膜B、単分子膜A、単分子膜B、…………
と重ねて累積膜を形成するが、複数の単分子膜A内の分
子は全て親水基(電子受容基)を上方に向けており、ま
た複数の単分子膜B内の分子は親水基を全て下方に向け
ている(分子12が酵素の場合には酵素は親水性である
ことが多いため、分子10の親水基の側に並ぶ。また分
子12が疎水性の場合はアルキル基等を付加することに
よって、同じく親水基の側に並べることができる)。従
って膜全体として見ると非対称構造の膜となり、単分子
膜Aについては丁度平面電池を直列につないだ形となっ
て膜上面が−に、膜下面が+に分極し、二次高調波発生
を効率よく行うことができる。
【0019】上記の膜をセンサーとして使用した場合、
そのメカニズムは明確ではないが、分子12内の分子認
識機能を有する化合物は特定分子の作用によって膨張、
歪み等の変形を生じ、これが単分子膜Aの発色団含有分
子11に伝達されて分子11の方向性等に影響を与える
ものと思われる。いずれにしても特定分子の作用によっ
て固有の二次高調波発生機能に変化が生じ、しかもこの
変化は特定分子の濃度と相関があるため、これを利用し
て特定分子の濃度を測定することが可能となる。
【0020】図2(b)は1種類の単分子膜が二次高調波
発生機能及び分子認識機能を併せ持つ例である。分子認
識機能を有する分子12が親水性である場合は、この図
のように親水基及び疎水基を持つ分子10によって単分
子膜内に固定することができる。LB法による累積膜を
形成するには、この1種類の単分子膜を重ねる方法もあ
るが、もう1種類の例えば分子10のような親水基及び
疎水基を持つ分子からなる単分子膜を使用して、前記ヘ
テロY型の構造をとるほうが形成も容易であり安定性も
良い。
【0021】図2(c)は1種類の膜が二次高調波発生機
能及び分子認識機能を併せ持つ例である。この膜は分子
認識機能を有する分子12が疎水性であるため、単分子
膜を水面に形成したときに膜の疎水基側に乗り上げた形
となっている。この膜もLB法を用いて容易に累積膜と
することができる。またこの場合も上記(b)の例と同じ
く、もう1種類の例えば分子10のような親水基及び疎
水基を持つ分子からなる単分子膜を使用して、前記ヘテ
ロY型の構造とするほうが形成も容易であり安定性も良
い。
【0022】上記のような、2種類の膜を交互に重ねる
LB法による累積膜は、例えば図5に示すような二槽式
ラングミュアトラフ18を用いて形成することができ
る。二槽式ラングミュアトラフ18には単分子膜を形成
するための槽(トラフ)I及び槽(トラフ)IIが設けら
れている。槽I及び槽IIには水が張られておりそれぞれ
の水面には例えば図2(a)の単分子膜A及びBの各組成
物が有機溶媒に溶解されて滴下されている。この有機溶
剤は揮発して各単分子膜の成分のみが気体膜として展開
される。こうして形成された各単分子膜を図示しないバ
リアで圧縮して所望の表面圧で圧縮して凝縮膜とする。
【0023】上記のように槽I及び槽IIに単分子膜が形
成された状態で透明基板2の膜が形成される部分を図の
ように槽Iに沈める。このとき単分子膜Aが透明基板2
へ移動しても表面圧が変化しないようにバリアを移動さ
せる。本発明に用いる透明基板2は透明性があって試料
或いは溶剤等で劣化しないものであればよく、例えばガ
ラス板等の無機材料やアクリル板等の有機ポリマーによ
って形成されたもの等が挙げられる。次に透明基板2を
沈めた状態のままフレキシブル・ゲート19a、19b
を通過させて槽IIへ移動する。槽IIへ移動させた透明基
板2は仮想線で示してある。なおフレキシブル・ゲート
19a、19bの間の槽IIIは2種類の単分子膜の混濁
を防ぐため設けられた中間槽である。槽IIへ移した透明
基板2の膜形成部分を引き上げることによって単分子膜
Aの上に単分子膜Bが重なる。今度は透明基板2を引き
上げた状態のままフレキシブル・ゲート19b、19a
を通過させて槽Iに戻し、膜形成部分を沈める。以上の
繰り返しによって累積膜を得ることができる。
【0024】以下に本発明の具体的な実施例を説明す
る。実施例1 透明基板2として、屈折率nd=1.523の透明ガラス板を
洗浄して用いた。図5に示した二槽式ラングミュアトラ
フ18を使用し、槽Iには(化1)の化合物(図3の分
子10に属する、発色団を含む化合物)及びアラキジン
酸(図3の分子10に属する疎水基及び親水基を有する
化合物。CH3(CH2)18COOH)をクロロホルムに溶
解した溶液を滴下して単分子膜Aを形成し、表面圧25mN
/mに圧縮した。一方槽IIには、酵素であるグルコースオ
キシダーゼ(図2の分子12に属する、分子認識機能を
有する化合物)及び酵素固定化剤DPPE(図3の分子
10に属する、疎水基及び親水基を有する化合物。Dipa
lmitoylphosphatidylethanolamine シグマ社製)をク
ロロホルムに溶解した溶液を滴下して単分子膜Bを形成
し、表面圧8mN/mに圧縮した。これら酵素及び酵素固定
化剤は上記の他公知の種々のものを使用することができ
る。
【0025】次に上述の累積膜形成方法に従って、透明
基板2上に単分子膜A及びBが交互に合計81層重ねら
れたヘテロY型構造のLB膜を形成した。その後、透明
基板2の片面のみをクロロホルムにさらして形成された
膜の片面を除去した。この透明基板2上に形成された膜
を用いて、先ず未処理のまま二次高調波強度を測定し、
次に純水に膜面を5分間さらしてから測定し、最後に10
0mg/ml濃度のグルコース水溶液に膜面を5分間さらして
から測定した。この結果、二次高調波強度は未処理の場
合及び純水で処理した場合はほぼ同じ強度を示したが、
グルコース水溶液と接触させた場合には明らかな強度低
下を示した。なお、二次高調波強度の測定は、YAGレ
ーザーの基本波(λ=1.064μm)を用いて、上記膜を形
成した透明基板2に膜側から照射し、透過光中の基本波
を赤外線カットフィルターで除去して検出した。
【0026】実施例2 先ず透明基板2として屈折率nd=1.523の透明ガラス板
を2枚準備し、うち1枚の片面には真空蒸着法によりC
r膜(2nm)を形成しておいた。図5に示した二槽式ラン
グミュアトラフ10を使用し、槽Iには(化2)の化合
物(図3の分子11に属する発色団を含む化合物)、ク
ラウンエーテル(図2の分子12に属する分子認識機能
を有する化合物。Bis(12Crown4))及びアラキジン酸
(図3の分子10に属する疎水基及び親水基を有する化
合物。CH3(CH2)18COOH)をクロロホルムに溶解
した溶液を滴下して単分子膜Aを形成し、表面圧23mN/m
に圧縮した。一方槽IIには(化2)の化合物を(化3)
の化合物に変えた以外は槽Iの組成と同じ組成物を用
い、クロロホルムに溶解してこの溶液を滴下し、単分子
膜Bを形成した。表面圧は同じく23mN/mに調整した。上
記クラウンエーテルは上記の他公知の種々のものを使用
することができるが、本例のような2環式のものは、特
定のイオンを吸着した際にクラウンエーテルの構造にね
じれが生じて膜構造の物理的変化が著しくなるため、二
次高調波強度の変化も大きくなるので好ましい。
【0027】次に先ず片面にCr膜を形成しておいたガ
ラス透明基板2を槽IIに下降し、槽Iで上昇し、この操
作を10回繰返してヘテロY型膜を20層形成した。その
後、Cr膜を形成しておいた面とは反対の面をクロロホ
ルムにさらしてこの面に形成された膜を除去した。一方
Cr膜を形成していないガラス透明基板2についてはま
ず槽Iで下降し、槽IIで上昇し、この操作を10回繰返
してヘテロY型膜を19層形成した。その後、片面をクロ
ロホルムにさらして形成された片面の膜を除去した。そ
してこの2つの基板の、膜を除去した面同士を貼り合せ
て本発明に基づく両面に膜を設けた基板を完成した。
【0028】次に実施例1と同じYAGレーザーを用い
て、上記基板を回転させながら(即ち入射角を変えなが
ら)発生する二次高調波強度を測定し、図6に示すフリ
ンジパターンを得た。このようなパターンが生ずる理由
は、それぞれの膜で発生した二次高調波が互いに干渉す
るためであり、入射角によって変化するのは行路長が変
化するためである。そこで二次高調波が極小値をとる角
度に上記基板を固定し、純水に5分間さらした後に二次
高調波強度を測定したところ変化はなかった。次に2mol
/l及び10mol/l濃度の塩化ナトリウム水溶液に5分間さ
らした後に測定したところ、濃度変化に相関性を持って
明らかな二次高調波強度の増加が見られた。
【0029】比較例1 単分子膜Bの形成用組成物中にグルコースオキシダーゼ
を添加しない以外は実施例1と同様にして累積膜をガラ
ス透明基板2上に形成し、二次高調波強度を測定したと
ころ、100mg/ml濃度のグルコース水溶液で膜面を処理し
た場合にも強度変化は生じなかった。
【0030】比較例2 単分子膜Aの形成用組成物中に(化1)の化合物を添加
しない以外は実施例1と同様にして累積膜をガラス透明
基板2上に形成し、二次高調波強度を測定したところ、
未処理、純水処理及び100mg/ml濃度のグルコース水溶液
処理のいずれの場合も二次高調波は検出できなかった。
【0031】
【発明の効果】以上に説明した如く本発明によれば、特
定化合物の吸着機能、この化合物との錯体形成機能、或
いはこの化合物の酵素反応、免疫反応等の触媒作用等、
多種の作用を二次高調波発生強度の変化に転換して検出
することができるため、特定分子の濃度を容易に検出す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくセンサーを示す概略図
【図2】本発明に係る分子認識機能膜の一部を模式的に
示した図
【図3】本発明に係る分子認識機能膜を構成する成分分
子の一部を模式的に示した図
【図4】本発明に係る分子認識機能膜のLB法による累
積型式を模式的に示した図
【図5】二槽式ラングミュアトラフの概略図
【図6】基本波入射角と発生した二次高調波強度との相
関図
【符号の説明】
1…分子認識機能膜、2…透明基板、3…フローセル、
4…流路、5…測定試料、6…発光素子、7…カットフ
ィルター、8…受光素子、9…信号処理部、10、1
1、12…分子、13…疎水基、14…親水基、15…
電子供与基を兼ねる疎水基、16…電子受容基を兼ねる
親水基、17…発色団、18…二槽式ラングミュアトラ
フ、19a、19b…フレキシブル・ゲート。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定化合物との酵素反応等の触媒機能、
    この化合物との吸着機能、或いはこの化合物との錯体形
    成機能等を有する分子認識物質を担体に固定化した分子
    認識機能膜において、前記膜が単分子膜を非対称構造に
    重ねた累積膜であり、この累積膜を構成する複数の単分
    子膜の少なくとも一つには、二次高調波を発生する化合
    物が含有されていることを特徴とする分子認識機能膜。
  2. 【請求項2】 前記二次高調波を発生する化合物が、電
    子供与基及び電子受容基に挟まれた発色団を有する化合
    物である請求項1に記載の分子認識機能膜。
  3. 【請求項3】 前記分子認識機能膜が、親水基と疎水基
    とを有する化合物を含む一種以上の単分子膜を重ねた累
    積膜である請求項1に記載の分子認識機能膜。
  4. 【請求項4】 単分子膜を非対称構造に重ねた累積膜で
    あって、この累積膜を構成する複数の単分子膜の少なく
    とも一つに、二次高調波を発生する化合物が含有されて
    いる分子認識機能膜と、基本波を発生して前記分子認識
    機能膜へ入射する発光素子と、ここから発生する二次高
    調波を検知する受光素子と、受光素子からの信号を処理
    する信号処理部からなるセンサー。
JP20197492A 1992-07-06 1992-07-06 分子認識機能膜及びこれを用いたセンサー Withdrawn JPH0627025A (ja)

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JP20197492A JPH0627025A (ja) 1992-07-06 1992-07-06 分子認識機能膜及びこれを用いたセンサー

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