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JPH06269285A - 酵素の安定化方法及び修飾酵素 - Google Patents

酵素の安定化方法及び修飾酵素

Info

Publication number
JPH06269285A
JPH06269285A JP8542793A JP8542793A JPH06269285A JP H06269285 A JPH06269285 A JP H06269285A JP 8542793 A JP8542793 A JP 8542793A JP 8542793 A JP8542793 A JP 8542793A JP H06269285 A JPH06269285 A JP H06269285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme
modified
reaction
lipase
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8542793A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuharu Noushiyou
康晴 納庄
Sachiko Sasaya
祥子 笹谷
Kozo Oya
甲三 大宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP8542793A priority Critical patent/JPH06269285A/ja
Publication of JPH06269285A publication Critical patent/JPH06269285A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、酵素の表面をイソプレノイド構造を
含有してなる脂溶性物質で被覆修飾することを特徴とす
る酵素の安定化方法、および酵素の表面をイソプレノイ
ド構造を含有してなる脂溶性物質で被覆修飾して得られ
る、耐熱性及び耐有機溶媒性を有する修飾酵素に関す
る。 【効果】本発明の酵素の安定化方法を用いると、得られ
る修飾酵素は特に80℃という高温、且つ有機溶媒中に
おいても充分な酵素活性がみられ安定であるため、融点
の高い基質を用いる合成反応、無溶剤系でのエステル交
換反応等において従来にない優れた効果を有しており、
極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素の安定化方法及び
該方法により得られる修飾酵素に関する。更に詳しく
は、バイオリアクターを用いた各種産業、即ち医薬品工
業、食品工業、農水産業分野、化粧品工業及び有機中間
原料の製造分野等に使用する酵素の安定化方法及び該方
法により得られる修飾酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機合成技術だけでは困難であっ
た有用物質の工業的生産は、いわゆるバイオリアクター
の研究の進歩により急速に進歩をとげている。その中
で、微生物により産生される酵素はその反応の特異性、
立体選択性、温和な反応条件での収率などの面から特に
重要な役割を果たしている。現在、工業的に利用されて
いる酵素はプロテアーゼ、リパーゼをはじめとする加水
分解酵素が主であるが、これらの酵素は本来水溶性であ
るため選択的な加水分解等の反応には良いがその逆反応
である脱水縮合反応を行うためにはある程度の制限を受
けざるを得ない。また温和な反応条件においては酵素本
来の機能を発揮するが、基質が高融点のものの場合であ
るとか、更に反応効率を上げるために比較的高い温度で
の反応を必要とする場合には、酵素は蛋白質であるため
熱変性を受け、失活してしまうという問題が生じる。
【0003】これらの問題を解決するために、Klib
anovらは非水系の有機溶媒中で直接酵素を反応させ
ても酵素はある程度活性を保ち、更に用いる有機溶媒を
選択することで立体選択性などの反応制御も可能なこと
を示した(Zakes,A.M.Klibanov,S
cience,224,1249(1984))。また
非水系の溶媒を用いるために耐熱性もかなり向上したと
されている。このことによりそれまでは不可能とされて
いた有機溶媒中での酵素反応も可能となり大きな進歩を
とげた。しかしながら、その方法では酵素が大量に必要
であり、また酵素の活性が向上しているわけではなく、
しかも不均一系で反応を行うため反応温度を上げても依
然として反応にかなりの時間を要するといった問題があ
る。
【0004】有機溶媒中での酵素反応の効率化をはかる
ためのその他の試みもいくつかなされている。例えば、
反応溶媒系を工夫する試み、即ち逆ミセルを用いて有機
溶媒中での酵素の失活を抑える方法(P.L.Lui
s,Angew,Chem.,Int.Ed.Eng
l.,24,439(1985))であるとか、酵素を
ポリエチレングリコールで修飾する方法(Y.Inad
a et.al.,Biochem.Biophys.
Res.Commun.,122,845(198
4))、水で膨潤した高分子ゲル中に酵素を包括する方
法(S.Fukui and A.Tanaka,En
z.Eng.,6,191(1982))、二鎖型の界
面活性剤で酵素表面を修飾する方法(Okahata
et al.,Tetrahedron Letter
s,Vol.29,NO.40,pp−5133(19
88))等がある。しかしながら、それらの方法は微量
の水の存在のために合成が阻害されるとか、反応速度が
遅いとか、調製に技術を要するなどの問題点を残してお
り、さらには、これらの方法では大幅な耐熱性および反
応効率の向上が望めなかった。
【0005】一方、火山地帯などの高温環境に成育する
耐熱性菌から酵素を抽出精製してそれを利用しようとす
る試みも数多くなされているが、このようなスクリーニ
ング方法では多大な労力を要する上に必ずしも目的とす
る酵素が得られる保証はない。また、耐熱性酵素の構造
と耐熱性の要因を明らかにして一般化しようとする試み
も多くなされているが、個々の耐熱性酵素に於ける構造
と耐熱性の関係が明らかになりつつあるものの、まだ一
般化されるまでには至っておらず、工業的に実用化され
るにはさらなる検討が必要である。
【0006】これらの問題点を解決する方策として、酵
素表面を界面活性剤などの両性物質、望ましくは極限環
境微生物の細胞膜構成両性物質で被覆修飾することによ
って耐熱性及び反応効率の向上が可能となった(特願平
4−292275号)。しかしながら、この方法におい
てもかなりの耐熱性の向上はみられたものの、60℃以
上の高温においては酵素の失活がある程度みられ、また
リパーゼによるエステル交換反応において、無溶剤系で
80℃程度あるいはそれ以上の条件では反応が進行する
程の耐熱性は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、耐有機
溶媒性又は耐熱性において、従来よりそれぞれ個別に対
策が講じられてきてはいるものの、耐熱性および耐有機
溶媒性の両面から酵素を高度に安定化する方法はほとん
ど知られていない。したがって、本発明の目的は有機溶
媒中でしかも60℃以上の高温においても耐熱性を示
し、酵素の失活がほとんど無く、酵素反応により有用物
質を効率良く安定生産出来るように高度に酵素を安定化
させる方法及び該方法により得られる修飾酵素を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々検討を重ねた。即ち、本発明者ら
は酵素の熱変性には酵素表面における水分の関与が大き
いと考え、酵素の表面を高度に疎水性化した場合、酵素
自身の耐熱性、耐有機溶媒性が向上し、反応効率が同時
に大幅に向上すると考えた。さらに修飾する素材を脂溶
性物質とした場合、酵素の表面を完全に被覆できるなら
ば親水性を有した両性物質よりもはるかに耐熱性が向上
するのではないかと考えた。このような考えのもとに鋭
意研究の結果、イソプレノイド構造を含有してなる脂溶
性物質が酵素の表面を被覆修飾する能力をもち、得られ
た修飾酵素が高度に耐熱性及び耐有機溶媒性に優れ、反
応効率が同時に大幅に向上し、特にリパーゼによるエス
テル交換反応においては80℃における無溶剤系でも酵
素が失活することなく反応が進行することを見出し、本
発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明の要旨は、(1)酵素の表面
をイソプレノイド構造を含有してなる脂溶性物質で被覆
修飾することを特徴とする酵素の安定化方法、および
(2)酵素の表面をイソプレノイド構造を含有してなる
脂溶性物質で被覆修飾して得られる、耐熱性及び耐有機
溶媒性を有する修飾酵素に関する。
【0010】本発明で使用されるイソプレノイド構造を
含有してなる脂溶性物質としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば脂溶性ビタミン類、ステロール類、
カロテノイド類、ドリコール類、天然ゴム、精油等の各
種のものが挙げられる。脂溶性ビタミン類としては、特
に限定されることはなく、例えばレチノール、コレシカ
シフェロール、トコフェロール、フィチルメナジオン等
が挙げられる。また、ステロール類、カロテノイド類と
しては、特に限定されることはないが、例えば、コレス
テロール、シトステロール、ラノステロール、エルゴス
テロール、β−カロテンなどが挙げられる。また、ドリ
コール類としてはウンデカプレニルリン酸、ドリコール
リン酸、天然ゴムとしてはTSR(technical specifie
d rubber) 、純化ゴム(PPクレープ)、粉末ゴム、変性
天然ゴム、精油としてはショウノウ油、カユプテ油、ネ
ロリ油、ヒバ油、ベイ油等が挙げられる。これらの脂溶
性物質は単独でも2種以上を併用して用いてもよい。本
発明においては、なかでも脂溶性ビタミン類、ステロー
ル類が好適に用いられる。
【0011】本発明に使用できる酵素としては、特に限
定されるものではない。例えば、ペプチダーゼ、プロテ
アーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、インベルターゼ、ホス
ファターゼ等の加水分解酵素、デヒドロゲナーゼ、ヒド
ロキシラーゼ、デオキシゲナーゼ、オキシゲナーゼ、レ
ダクターゼ等の酸化還元酵素、トランスグルコシダー
ゼ、トランスペプチダーゼ、トランスアミダーゼ、トラ
ンスグルタミナーゼ等の転移酵素、イソメラーゼ等の異
性化酵素、およびその他の脱離酵素、合成酵素等が挙げ
られる。
【0012】酵素の表面を上記の脂溶性物質で被覆する
方法としては、例えば、まず対象となる酵素を至適pH
の緩衝液に溶解させ、0〜5℃において脂溶性物質を酵
素重量に対して0.5〜100倍、エタノール、アセト
ン等の水溶性溶媒、またはクロロフォルム、ヘキサン等
の有機溶媒に溶解させたものを徐々に添加し、0〜5℃
で12〜72時間ゆっくりと撹拌する。撹拌方法として
は撹拌羽根やマグネチックスターラー等の撹拌装置を用
いればよい。析出した沈澱を遠心分離又は濾過などの方
法により分離し、緩衝液、水等で洗浄した後、凍結乾燥
あるいはスプレー乾燥することにより目的とする茶白色
粉体あるいは油状物質の修飾酵素を得ることができる。
酵素の濃度、脂溶性物質の量、濃度等は上記に限られた
わけではなく、用いる酵素、脂溶性物質の種類でそれぞ
れ収率の最適値があり、適宜、任意の量で行えばよい。
【0013】このようにして得られる本発明の修飾酵素
は、酵素の表面がイソプレノイド構造を含有してなる脂
溶性物質で被覆修飾されており、未修飾の酵素に比べ大
幅に耐熱性及び耐有機溶媒性を有するので、高温かつ有
機溶媒中での酵素の反応効率の増大を示す。また、これ
らの修飾酵素は、IR、元素分析、紫外吸収測定等の分
析手段によって修飾酵素中の酵素量を測定することがで
きる。通常、本発明の方法で処理されたものは、得られ
た修飾酵素中に5〜30重量%の酵素成分を含んでいる
のが好ましい。酵素成分が5重量%未満では酵素活性が
低く、複合体が不安定であり、酵素の保護効果が低くな
る。30重量%を越えると脂質成分による保護効果が低
くなる。得られた修飾酵素は水に不溶であり、有機溶媒
(クロロフォルム、ヘキサン、四塩化炭素、テトラヒド
ロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルフォルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド等)には溶解する。更に、耐
熱性、耐有機溶媒性が大幅に向上しており、高融点物質
等の合成にも適用できる。ここで、本発明の修飾酵素に
おける耐熱性とは、少なくとも80℃においても酵素の
活性が実質的に保持されている程度に熱に対して安定で
あることを意味する。また耐有機溶媒性とは、ヘキサ
ン、ピリジン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、テトラヒドロフラン等の各種の有機溶媒に対
して安定であることを意味する。
【0014】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0015】実施例1 トコフェロールで被覆修飾された修飾リパーゼの作成 リパーゼ(天野製薬製、リパーゼM)5gを30mMリ
ン酸緩衝液(pH7.5)200mlに溶かし、5℃に
てマグネチックスターラーで撹拌した。これにDL−α
−トコフェロール(ナカライテスク製)10gをエタノ
ール50mlに溶かし、上記溶液に添加した。24時間
5℃で撹拌を続けた後、遠心分離(1000×g,15
min)にて残渣を採取し、これを30mMリン酸緩衝
液(pH7.5)で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、凍結
乾燥により目的とする修飾リパーゼの粉体を得た。本粉
体は、元素分析、紫外吸収(214nm)、および赤外
吸収スペクトル測定の結果、粉体中に10.6重量%の
酵素を含んでいることがわかった。
【0016】実施例2 コレステロールで被覆修飾された修飾リパーゼの作成 リパーゼ(天野製薬製、リパーゼM)5gを30mMリ
ン酸緩衝液(pH7.5)200mlに溶かし、5℃に
てマグネチックスターラーで撹拌した。これにコレステ
ロール(和光純薬製)10gをクロロフォルム50ml
に溶かし、上記溶液に添加した。24時間5℃で撹拌を
続けた後、遠心分離(1000×g,15min)にて
残渣を採取し、これを30mMリン酸緩衝液(pH7.
5)で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、凍結乾燥により目
的とする修飾リパーゼの粉体を得た。本粉体は、元素分
析、紫外吸収(214nm)、および赤外吸収スペクト
ル測定の結果、粉体中に9.2重量%の酵素を含んでい
ることがわかった。
【0017】実施例3 トコフェロールで被覆修飾された修飾キモトリプシンの
作成 キモトリプシン(シグマ製)5gを30mMリン酸緩衝
液(pH7.9)200mlに溶かし、5℃にてマグネ
チックスターラーで撹拌した。これにDL−α−トコフ
ェロール(ナカライテスク製)10gをエタノール50
mlに溶かし、上記溶液に添加した。24時間5℃で撹
拌を続けた後、遠心分離(1000×g,15min)
にて残渣を採取し、これを30mMリン酸緩衝液(pH
7.5)で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、凍結乾燥によ
り目的とする修飾キモトリプシンの粉体を得た。本粉体
は、元素分析、紫外吸収(214nm)、および赤外吸
収スペクトル測定の結果、粉体中に15.9重量%の酵
素を含んでいることがわかった。
【0018】実施例4 トコフェロールで被覆修飾された修飾β−アミラーゼの
作成 β−アミラーゼ(ナガセバイオケミカル製)5gを50
mM酢酸緩衝液(pH6.0)200mlに溶かし、5
℃にてマグネチックスターラーで撹拌した。これにDL
−α−トコフェロール(ナカライテスク製)10gをエ
タノール50mlに溶かし、上記溶液に添加した。24
時間5℃で撹拌を続けた後、遠心分離(1000×g,
15min)にて残渣を採取し、これを50mM酢酸緩
衝液(pH6.0)で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、凍
結乾燥により目的とする修飾β−アミラーゼの粉体を得
た。本粉体は、元素分析、紫外吸収(214nm)、お
よび赤外吸収スペクトル測定の結果、粉体中に13.4
重量%の酵素を含んでいることがわかった。
【0019】実施例5〜7 実施例1においてDL−α−トコフェロールの代わり
に、シトステロール(ナカライテスク製)、ラノステロ
ール(ナカライテスク製)、またはエルゴステロール
(ナカライテスク製)を用いる以外は同様にして修飾リ
パーゼの粉体を得た。粉体中にそれぞれ9.5、13.
1、14.9重量%の酵素を含んでいた。
【0020】試験例1 実施例1および2で得られた修飾リパーゼと、対照とし
て通常のリパーゼ(天野製薬製、リパーゼM)、および
実施例と同様の方法で修飾する素材を乳化剤であるDK
F−90(第一工業製薬製、HLB9.5)を用いて得
られた修飾酵素をそれぞれ0.1gを30mMリン酸緩
衝液(pH7.5)25ml中で30〜60℃の範囲で
30分熱処理した後、ヘキサン20mlおよびトリオレ
イン(シグマ製)1gを加え、30℃に於いて加水分解
反応を行った。反応の進行はガスクロマトグラフィーに
てオレイン酸、モノオレイン、ジオレイン、及びトリオ
レインの増減により確認し、熱処理を施していないもの
の30℃における反応率を100として比較した。結果
を図1に示すが、図1で明らかなように実施例1、2で
得られた修飾リパーゼは通常のリパーゼに比べ有機溶媒
中での耐熱性が各温度で大幅に向上しており、さらにD
KF−90で修飾したものに比べても耐熱性が向上して
いた。
【0021】試験例2 実施例1および2で得られた修飾リパーゼと、対照とし
て通常のリパーゼ(天野製薬製、リパーゼM)および実
施例と同様の方法で修飾する素材を乳化剤であるDKF
−90(第一工業製薬製、HLB9.5)を用いて得ら
れた修飾酵素をそれぞれ0.1gをヘキサン20ml中
で60℃で1時間〜24時間熱処理した後、30mMリ
ン酸緩衝液(pH7.5)25mlおよびトリオレイン
(シグマ製)1gを加え、30℃に於いて加水分解反応
を行った。反応の進行はガスクロマトグラフィーにてオ
レイン酸、モノオレイン、ジオレイン、及びトリオレイ
ンの増減により確認し、熱処理を施していないものの3
0℃における反応率を100として比較した。結果を図
2に示すが、図2で明らかなように通常のリパーゼは有
機溶媒中での熱処理による活性の低下が大きく24時間
処理すると活性は半分以下に低下している。一方、DK
F−90を修飾素材として用いて得られた修飾酵素は活
性の低下がある程度押さえられているが、実施例1、2
で得られた修飾リパーゼにおいては活性の低下がさらに
大幅に押さえられていた。なお、本試験において有機溶
媒をヘキサンに代えて、ジメチルフォルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、またはピリジンを用いて同様の試験
を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0022】試験例3 トリオレイン0.75g(0.85mmol、シグマ
製)、ステアリン酸1.5g(5.27mmol、シグ
マ製)、をヘキサン30mlに溶解し35℃で実施例1
に示した方法により処理した修飾リパーゼ0.5gを添
加し、エステル交換反応の触媒活性を測定した。同様に
60℃、80℃に於いても上記修飾リパーゼを用いてエ
ステル交換反応を行った。なお、80℃に於いてはヘキ
サンを加えない無溶剤系で反応を行った。対照として、
処理していない通常のリパーゼ(天野製薬製、リパーゼ
M)を用いて35℃において同様にエステル交換反応を
行った。反応の進行は、経時的に反応液を採取し高速液
体クロマトグラフィーにより油脂組成を分析することに
よって把握した。結果を図3に示すが、図3で明らかな
ように、通常のリパーゼそのままではエステル交換能は
ほとんど無いためSOS(1,3−ジスレアロイル−2
−オレオイル−rac−グリセロール)含有量は微量で
あるのに対して、本発明の方法で処理した修飾リパーゼ
ではヘキサン中で35℃においても、60℃において
も、また80℃という高温においても、いずれの温度で
も飛躍的にエステル交換能が増大している。
【0023】試験例4 トリオレイン0.75g(0.85mmol、シグマ
製)、ステアリン酸1.5g(5.27mmol、シグ
マ製)、をヘキサン30mlに溶解し35℃で実施例2
に示した方法により処理した修飾リパーゼ0.5gを添
加し、エステル交換反応の触媒活性を測定した。同様に
60℃、80℃に於いても上記修飾リパーゼを用いてエ
ステル交換反応を行った。なお、80℃に於いてはヘキ
サンを加えない無溶剤系で反応を行った。対照として、
処理していない通常のリパーゼ(天野製薬製、リパーゼ
M)を用いて35℃において同様にエステル交換反応を
行った。反応の進行は、経時的に反応液を採取し高速液
体クロマトグラフィーにより油脂組成を分析することに
よって把握した。結果を図4に示すが、図4で明らかな
ように、通常のリパーゼそのままではエステル交換能は
ほとんど無いためSOS(1,3−ジスレアロイル−2
−オレオイル−rac−グリセロール)含有量は微量で
あるのに対して、本発明の方法で処理した修飾リパーゼ
ではヘキサン中で35℃においても、60℃において
も、また80℃という高温においても、いずれの温度で
も飛躍的にエステル交換能が増大している。
【0024】試験例5 実施例1で示した本発明の方法で処理した修飾リパーゼ
を30mlのヘキサンに溶かし60℃にそれぞれ1時
間、4時間、12時間おいた後、30℃に温度を下げ、
トリオレイン0.75g(0.85mmol、シグマ
製)、ステアリン酸1.5g(5.27mmol、シグ
マ製)、を添加して、エステル交換能が残っているかど
うかを試験例3と同様の方法で確認した。結果を図5に
示すが、図5で明らかなように、本発明の方法で処理し
た修飾リパーゼはヘキサン中で、60℃に於いても12
時間以上ほとんど活性を維持したままであることがわか
った。なお、本試験において有機溶媒をヘキサンに代え
て、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、
またはピリジンを用いて同様の試験を行ったところ、同
様の結果が得られた。
【0025】試験例6 実施例2で示した本発明の方法で処理した修飾リパーゼ
を30mlのヘキサンに溶かし60℃にそれぞれ1時
間、4時間、12時間おいた後、30℃に温度を下げ、
トリオレイン0.75g(0.85mmol、シグマ
製)、ステアリン酸1.5g(5.27mmol、シグ
マ製)、を添加して、エステル交換能が残っているかど
うかを試験例3と同様の方法で確認した。結果を図6に
示すが、図6で明らかなように、本発明の方法で処理し
た修飾リパーゼはヘキサン中で、60℃に於いても12
時間以上ほとんど活性を維持したままであることがわか
った。なお、本試験において有機溶媒をヘキサンに代え
て、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、
またはピリジンを用いて同様の試験を行ったところ、同
様の結果が得られた。
【0026】試験例7 実施例3で得られた修飾キモトリプシン20mgを90
%ヘキサン水溶液(水相として0.15Mリン酸緩衝液
を用いた)に加え、Ac−Phe−OH(ナカライテス
ク製)2.1mg(10μmol)およびリジン塩酸塩
(ペプチド研究所製)1.8mg(10μmol)を添
加し35℃および60℃で24時間撹拌しペプチド合成
反応を行った。生成するAc−Phe−Lys−OHの
検出は1−ブタノール:酢酸:ピリジン:水=4:1:
1:2(w/w)の展開溶媒における薄層クロマトグラ
フィー(メルク製、Kieselgel G nach
Stahl,Type 60)により大まかな収量を求
めた。対照として処理を行っていないキモトリプシン
(シグマ製)を用いて上記と同様のペプチド合成反応を
行った。結果を表1に示す。表1から明らかなように未
処理のキモトリプシンはいずれの温度においても90%
ヘキサン水溶液中ではペプチド合成反応を示さないのに
対して、本発明の処理を行った修飾キモトリプシンは3
5℃においてペプチド合成反応を触媒し、しかも60℃
においても熱変性を起こさず35℃とほぼ同様の活性を
示した。
【0027】
【表1】
【0028】試験例8 2%可溶性澱粉(ナカライテスク製)溶液3mlおよび
50mM酢酸緩衝液(pH6.0)2mlを加え30℃
で撹拌する。これに10%(重量%)β−アミラーゼ
(ナガセバイオケミカル製)/酢酸緩衝液溶液(pH
6.0)1mlを添加した。10分間撹拌後0.1N水
酸化ナトリウム溶液5mlを添加し反応を停止させ、フ
ェーリング・レーマン・ショール法に従って生成還元糖
を測定し、グルコースとして算出した。30℃における
値を活性100%として残存活性を算出した。同様の反
応を40℃〜80℃において行って残存活性を測定し
た。これに対して同様の方法によりβ−アミラーゼのか
わりに、実施例4で得られた修飾β−アミラーゼを重量
で10倍量用い、同様に各温度における残存活性を測定
した。なお、修飾β−アミラーゼにおける残存活性は、
修飾β−アミラーゼ中のタンパク質(13.4%)を基
準に補正を行っている。
【0029】結果を図7に示すが、通常のβ−アミラー
ゼは60℃付近で活性が最大になるが、それ以上の温度
では急激に活性の低下が見られ80℃においては活性は
半分程度に低下しているのに対して、本発明で得られた
修飾β−アミラーゼは30℃における反応性は本来のア
ミラーゼの1割程度に低下するものの、図7に見られる
ように温度が上昇しても活性の低下は見られず、むしろ
分散性が向上し、見かけ上の活性の増大が見られた。即
ち、本発明の処理の行うことにより熱に対する安定性が
大きく向上していた。
【0030】以上の試験例より明らかなように、本発明
の方法により修飾された酵素は、高温、且つ有機溶媒中
においても十分な酵素活性がみられ安定であり、本発明
の方法は酵素の安定化方法として特に80℃という高温
において今までにない効果を示した。
【0031】
【発明の効果】本発明の酵素の安定化方法を用いると、
得られる修飾酵素は特に80℃という高温、且つ有機溶
媒中においても充分な酵素活性がみられ安定であるた
め、融点の高い基質を用いる合成反応、無溶剤系でのエ
ステル交換反応等において従来にない優れた効果を有し
ており、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は試験例1における酵素の残存活性と温度
との関係を示した図である。
【図2】図2は試験例2における酵素の残存活性と熱処
理時間との関係を示した図である。
【図3】図3は試験例3におけるSOS(1,3−ジス
レアロイル−2−オレオイル−rac−グリセロール)
含有量と時間との関係を示した図である。
【図4】図4は試験例4におけるSOS(1,3−ジス
レアロイル−2−オレオイル−rac−グリセロール)
含有量と時間との関係を示した図である。
【図5】図5は試験例5におけるSOS(1,3−ジス
レアロイル−2−オレオイル−rac−グリセロール)
含有量と時間との関係を示した図である。
【図6】図6は試験例6におけるSOS(1,3−ジス
レアロイル−2−オレオイル−rac−グリセロール)
含有量と時間との関係を示した図である。
【図7】図7は試験例8における酵素の残存活性と温度
との関係を示した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素の表面をイソプレノイド構造を含有
    してなる脂溶性物質で被覆修飾することを特徴とする酵
    素の安定化方法。
  2. 【請求項2】 酵素の表面をイソプレノイド構造を含有
    してなる脂溶性物質で被覆修飾して得られる、耐熱性及
    び耐有機溶媒性を有する修飾酵素。
  3. 【請求項3】 修飾酵素中の酵素成分が5〜30重量%
    である請求項2記載の修飾酵素。
JP8542793A 1993-03-18 1993-03-18 酵素の安定化方法及び修飾酵素 Pending JPH06269285A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002034593A (ja) * 2000-07-26 2002-02-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 光学活性α−アミノ酸の製造方法

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