JPH06254189A - 人工芝製ゴルフティーグランド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ティー差し性に優れ、かつ、外観に
も優れた人工芝製ゴルフティーグランドを提供せんとす
るものである。 【構成】本発明の人工芝製ゴルフティーグランドは、砂
入り人工芝からなるゴルフティーグランドであって、芝
目内に充填する砂として、砂を内径９０mm、深さ１００
mmの容器に詰め込んで、上方から直径２０mmの鉄製丸棒
を５０mm／分の速度で５０mm差し込んだ時の最大抵抗力
が１０Kg以下のものを使用することを特徴とするもので
あり、また、砂入り人工芝からなるゴルフティーグラン
ドであって、芝目内に充填する砂として、樹脂加工され
たものを使用することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ティー差し性に優れた
人工芝製ゴルフティーグランドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ゴルフ練習場のティーグランドに
は天然の芝が用いられてきた。しかし、近年のゴルフ愛
好者の急増により、ゴルフ練習場の利用頻度は高くな
り、天然芝の維持は極めて困難な状況に陥っている。そ
のため練習場のティーグランドにおいて人工物を敷きつ
めることがかなり普及してきている。その代表的な例は
ゴムシートに穴を開け、その中に弾性体のひだを設けて
ティーを支えるもの、ゴムシートに切り込みを入れ、そ
の切り込みにティーを差し込むもの等がある。

【０００３】一方、人工の葉様物を砂と吸水ポリマーを
混ぜたもの中に立てて樹脂で固めたもの、目の大きい編
地からなる人工芝を利用し、編目を通してティーを貫通
させ、ティーの高低を調節できるようにしたもの等も提
案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前者のものは、ティー
を差し込める場所が限定されるし、また外観も天然とほ
ど遠く、快適なプレー性が提供されるものではなかっ
た。

【０００５】また、後者のものも、必ずしもスムーズな
ティー差し性を与えるものではなかった。すなわち編地
の場合、編地を構成する糸にティーが当たる確率が高
く、差し込み易い場所を探す必要があった。また、砂と
吸水ポリマーを混ぜたものを樹脂で固めたものも外観を
改善するために芝様のものを適当な間隔を置いて植え込
んでいるので、その植え込みの部分にティーを差し込む
ことはできなったし、外観にも限界があり、かならずし
も天然の美観を備えるものではなかった。また吸水ポリ
マーの吸水により人工土を軟化させてティー差し性を改
善しようとしているために、水の補給が必要であるなど
の手間のかかるものであった。

【０００６】本発明は、ティー差し性に優れ、かつ、外
観にも優れた人工芝製ゴルフティーグランドを提供する
ことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題点
を解決するために次の手段を提案するものである。すな
わち、本発明の人工芝製ゴルフティーグランドは、砂入
り人工芝からなるゴルフティーグランドであって、芝目
内に充填する砂として、砂を内径９０mm、深さ１００mm
の容器に詰め込んで、上方から直径２０mmの鉄製丸棒を
５０mm／分の速度で５０mm差し込んだ時の最大抵抗力が
１０Kg以下のものを使用することを特徴とするものであ
り、また、砂入り人工芝からなるゴルフティーグランド
であって、芝目内に充填する砂として、樹脂加工された
ものを使用することを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】従来から、砂入り人工芝製グランドは、運動競
技場として使用されているが、ゴルフティーグランドに
は使用することができなかった。その理由は、ティーを
差し込むことができないという重大な欠点があったから
であった。

【０００９】本発明は、かかる従来グランドの欠点に鑑
み、砂入り人工芝でゴルフティーグランドを形成できな
いものか鋭意研究したところ、特定な砂を充填した砂入
り人工芝であれば、十分実用することができるものを提
供することができることを究明した。すなわち、摩擦抵
抗の低い易滑性の砂を選択的に充填すれば、砂入り人工
芝でも実用的なティー差し性に優れたゴルフティーグラ
ンドを構成することができるのである。

【００１０】ここでいう易滑性とは、内径９０mm、深さ
１００mmの肉厚５mmの鉄製の容器にサンプルの砂を詰め
込み、オートグラフにセットし、上方から直径２０mmの
鉄製丸棒を５０mm／分の速度で、５０mm差し込んだと
き、差し込み終了時点での最大抵抗力を測定して求め
る。この値が、１０Kg以下、好ましくは７Kg以下と小さ
くなるほどティーは容易に差し込むことができる。一
方、通常砂入り人工芝に充填されている砂を用いて上記
易滑性を測定してみたところ、１４〜１６Kgという高い
値を示す。

【００１１】かかる最大抵抗力が１０Kg以下である易滑
性砂としては、たとえば球状に加工された砂やガラスビ
ーズ状の砂、さらには、樹脂加工して樹脂被覆された砂
などを使用することができる。これらの中でも、樹脂加
工砂が供給し易くて、本発明には好ましく使用される。

【００１２】かかる樹脂加工砂は、１００〜１５０℃の
温度で、乾燥、昇温した砂をミキサー中で攪拌させなが
ら、樹脂溶液あるいは樹脂水性エマルジョンを付与する
ことによって得られる。

【００１３】かかる樹脂としては、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の溶液（分
散液を含む）、さらに、アクリル樹脂、ポリエチレン−
酢酸ビニル系共重合樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系
共重合樹脂−塩化ビニル系共重合樹脂、ビニリデン−ア
クリル系樹脂等を水性分散液の形にした樹脂水性エマル
ジョン、さらに、また、フッ素樹脂、シリコン樹脂の溶
液（分散液を含む）などを使用することができる。かか
る樹脂の中でも、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノー
ル樹脂が、耐熱性や耐久性があり、また低摩擦係数であ
ると同時に表面が滑らかで引っ掛かりがなく、ティーを
差し込んだ時の抵抗が小さい樹脂加工砂を与えることが
できるので好ましい。

【００１４】かかる易滑性砂は、好ましくは２０重量％
以上、さらに好ましくは３０〜８０重量％含有させるの
がティー差し性の上からよい。また、易滑性砂を層状に
積層した構造で使用することもできる。この場合は、易
滑性砂の層を下層に、通常の砂を上層に配置させること
が望ましい。かかる積層構造として、各砂層を何段にも
分けることも可能である。積層構造での易滑性砂の量
は、砂層の全体の厚みに対する該樹脂加工砂層の厚みと
して、好ましくは２０％以上、さらに好ましくは３０〜
８０％の範囲にするのが、感触の良いティー差し性を与
える上からよい。すなわち、混合系、積層系のいずれに
おいても、易滑性砂の量が多いと、ティー差し性は向上
するが、ティーを立てるための保持力は小さくなり、テ
ィー倒れを起こす傾向が出てくる。

【００１５】砂の粒子径は、別に制約はないが、１００
〜１０メッシュ（０．１５〜１．７mm）のものが好まし
く使用される。

【００１６】次に、本発明を図面を用いて、さらに詳し
く説明すると、図１は、本発明の人工芝製ゴルフティー
グランドの一例を示す断面図である。１はパイル、２は
パイルの間に充填された砂で、樹脂加工砂（黒色）と通
常の砂の混合砂の例が示されている。３は基布である。
かかる基布としては、たとえばポリプロピレンのスリッ
トヤーンの平織あるいはポリエステルフィラメントの平
織などが使用される。４はバッキング部分で、たとえば
ＳＢＲなどの合成ゴムエマルジョン等で接着固定された
ものである。

【００１７】ティーを差し込み易くするためには、３〜
５cmの長さを有するティーをプレーヤーの好みに応じて
差し込める十分な深さが必要であり、かつ、ティーが比
較的小さい力で差し込めることが要求されるが、さらに
差し込まれたティーが倒れないことも重要である。これ
らの条件を満足させるために、本発明では、パイルの高
さが、好ましくは３．５cm以上、さらに好ましくは４〜
１０cmである人工芝を使用し、砂を好ましくは２．０cm
以上、さらに好ましくは３．０cm以上パイル高さまでの
範囲に充填して人工芝製ゴルフティーグランドを形成す
る。このティーグランドは、差し込み深さおよび差し込
み性のいずれの面からも満足する性能を有するものであ
る。すなわち、ティーのトップが、芝の高さのトップと
同じかそれ以上になればよいのであるから、たとえば人
工芝のパイルの高さが５cmであれば、砂は３cm以上あれ
ばよいのである。

【００１８】人工芝としては、たとえばタフテッド人工
芝およびダブルラッセルで編成した人工芝が用いられ
る。

【００１９】パイルは、耐久性に優れたナイロン６６が
好ましいが、ナイロン６、ポリプロピレン、塩化ビニリ
デン、ポリエステルなどの素材からなるパイルを使用し
てもよい。かかるパイルは、モノフィラメント及びスプ
リットヤーンのいずれを使用してもよい。かかるパイル
の繊度は、トータルデニールで１５００〜５０００デニ
ール、モノフィラメントパイルの場合での単糸繊度とし
ては、２００〜８００デニール、スプリットヤーンパイ
ルの場合の厚みは４０〜１５０ミクロンのものが、それ
ぞれ好ましい。本発明のティーグランドでは、パイル高
さが高いため単糸繊度、厚みとも大きい方がティー差し
性に優れていて好ましい。

【００２０】次に、図２は、ゴルフティーグランドユニ
ットである。５は砂入り人工芝で、６は枠体である。ゴ
ルフティーグランドに使用される人工芝は、少なくとも
３．５cm以上の高さ有するので、施工は一般には埋め込
み方式で行なわれる。しかし、埋め込み方式では、埋め
込み面の平面化に技術を要するので、置き敷き方式の方
が便利で好ましい。すなわち、図２のような砂入り人工
芝を枠体で囲んだ構成を有するユニットを形成し、これ
を置き敷きする方法である。この方法では、枠体を用い
るので、滑り易い砂でも流出を止めることができるし、
また土や他の砂、塵埃、シルトなどとの混合も避けるこ
とができる利点がある。かかる枠体の構造は、たとえば
図のように外側に傾斜している構造が望ましく、砂を支
える力が働き易いように、かつプレーヤーがつまづかな
いような構造がよい。また、枠体の高さは、人工芝のパ
イルの高さではなく、詰め込まれた砂の高さまでとする
のが好ましい。この枠体の材質はゴム状体が好ましく、
木などの固い材質ではゴルフシューズなどのスパイクで
踏んだときの感触が悪い上に、枠体自身が破壊し易いと
いう問題がある。

【００２１】かかるユニットは、たとえば工場で小さな
ユニットを作り、それを現場に運搬し、タイルのように
置き敷き施工することもできる。この場合は、そのユニ
ットを薄い枠体により囲んで運ぶこともでき、施工時に
必要な大きさまで敷き詰め、個々のユニットの枠体を外
し、外周のみ本発明の枠体により１つのゴルフティーグ
ランドを形成することもできる。枠体の固定は種々の方
法が考えられるが、一つは図３に示すような底面８の一
つの端に枠体７を固定したものが簡易で好ましい。施工
はこの底面部８を人工芝構造体の底部に差し込み固定す
るもので、必要に応じて接着剤により固着すればよい。

【００２２】

【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳しく説
明する。

【００２３】実施例１ ５０メッシュの砂にフェノール樹脂を被覆した砂を用い
本発明の最大抵抗力を測定した。樹脂を被覆していない
砂１００％では１４Kgであった。樹脂被覆した砂１００
％では０．９Kgであった。次いで樹脂被覆した砂と樹脂
を被覆していない砂を混合し、樹脂被覆した砂の比率１
０％では１１Kg、２０％では９．５Kg、３０％では５．
３Kg、５０％では３Kg、７５％では１．７Kgであった。
また人工芝をトータルデニール４４００デニール、単糸
繊度５５０デニールのナイロン６６モノフィラメントを
用い、パイル長５cmのタフテッド人工芝として作成し
た。この人工芝に上記の砂を詰め込んでティー差し性を
確認した。その結果、樹脂被覆した砂の比率の高い程、
ティー差し性は容易になるが１０％以下では固すぎて十
分な差し込みはできなかった。最も快適なティー差し性
が得られたのが５０％程度で、８０％以上では若干柔ら
かすぎるきらいがあった。

【００２４】実施例２ 実施例１で用いた樹脂被覆した砂、人工芝を用い、人工
芝の高さ３cmまで樹脂被覆した砂を入れ、その上に樹脂
被覆しない砂を２cm入れた。この砂入り人工芝は快適な
ティー差し性を示した。この砂の構成で２層にし、本発
明の測定を実施した結果、最大抵抗力は６．０Kgであっ
た。

【００２５】

【発明の効果】本発明の人工芝製ゴルフティーグランド
は、天然芝生の場合と同じく、場所を限定することな
く、快適なティー差し性を有し、ティーの高さも自由に
調節して使用することができる。また、極めて耐久性が
よいので、メンテナンス費用が低く、天然芝生に比較し
てトータルコストも極めて低い製品を提供することがで
きる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この図は、本発明の人工芝製ゴルフティーグラ
ンドの断面図である。

【図２】この図は、本発明の人工芝製ゴルフティーグラ
ンドユニットの一例を示す断面図である。

【図３】この図は、本発明の人工芝製ゴルフティーグラ
ンドユニットを構成する枠体の一例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１：パイル ２：樹脂加工砂を含む充填砂 ３：基布 ４：バッキング部分 ５：人工芝 ６：枠体 ７：底面 ８：枠部分 ９：ティー

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 砂入り人工芝からなるゴルフティーグラ
   ンドであって、該砂として、内径９０mm、深さ１００mm
   の容器に詰め込んで、上方から直径２０mmの鉄製丸棒を
   ５０mm／分の速度で５０mm差し込んだときの最大抵抗力
   が１０Kg以下であるものを充填したことを特徴とする人
   工芝製ゴルフティーグランド。
2. 【請求項２】 砂入り人工芝からなるゴルフティーグラ
   ンドであって、該砂として、樹脂加工されたものを充填
   したことを特徴とする人工芝製ゴルフティーグランド。
3. 【請求項３】 樹脂が、熱硬化性樹脂である請求項２記
   載の人工芝製ゴルフティーグランド。
4. 【請求項４】 人工芝の基布表面からのパイルの高さが
   ３．５cm以上で、砂が２．０cm以上パイルの高さ以下の
   範囲で充填されている請求項１または２記載の人工芝製
   ゴルフティーグランド。
5. 【請求項５】 樹脂加工された砂が、少なくとも２０重
   量％含有されている請求項１または２記載の人工芝製ゴ
   ルフティーグランド。
6. 【請求項６】 樹脂加工された砂が、下層に層状に充填
   されている請求項１または２記載の人工芝製ゴルフティ
   ーグランド。
7. 【請求項７】 砂入り人工芝が、詰め込まれた砂の高さ
   以上の高さを有する枠体によりユニット化されている請
   求項１または２記載の人工芝製ティーグランド。