JPH0625341U - 回転研削研磨砥石の基板および該基板を用いた回転研削研磨砥石 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】基板に接着固定される研磨布紙の剥離強度性を
増強させ、研磨布紙の接着角度を自在に選定でき、研削
研磨熱の放熱性を良好にするとともに、被研削物に対し
て研磨布紙を弾性的に強圧させることのできる基板とこ
れを用いた回転研削砥石を提供すること。 【構成】複数の短冊形状の研磨布紙を放射状に瓦葺き接
着すべく円板状の接着面を備えた基板の該接着面に、接
着されるべき研磨布紙に適度な角度を付与しつつ該研磨
布紙同士を非接触状態を保ちながらその基部で接着固定
すべく、円周方向に適度の角度を付与した複数の鋸歯状
接着溝を放射状に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転研削研磨砥石、および該砥石を製造するに際し、その構成物で ある研磨布紙を接着固定するための基板の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４には、現在一般に使用されている回転研削研磨砥石の一例が、要部断面状 態で示されている。図３において、円板状の基板１は、プラスチック製あるいは 研磨材に樹脂をコーティングのうえ成形固化したオフッセット砥石等で成形され ている。基板１の中央にはオフセット凹部２が形成され、このオフセット凹部２ の中心に、研削機の駆動軸を固定する取付穴３が形成されている。

【０００３】 基板１の円環状の表面は平坦に成形された接着面４となっており、この接着面 ４上に、複数の短冊状に成形された研磨布紙５が、その研削面を表面にして一部 が重ね合わされて接着剤６により放射状に接着固定されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記従来の回転研削研磨砥石は、図３の基板１の接着面４が平坦面 に成形され、研磨布紙５は、この平坦面にその基部を接着剤６で平面的に固着さ れているに過ぎない。したがって、この種砥石が高速回転しながら被研削物に強 圧されるという過酷な使われ方をされる性質上、接着面積の少ない研磨布紙５で は剥離する危険性がある。また、研磨布紙５同士が相互に重ね合わされていて、 これら研磨布紙５により構成される研削面は固定しているために、弾性が乏しく 、したがって、良好な研磨面を得ることができない。さらに、研磨布紙５の平面 的接着は、発生する研削、研磨熱を十分に放熱することができない。

【０００５】 本考案は、上記の課題に鑑みてなされたもので、剥離強度性を増強させ、研磨 布紙の自在な接着角度の選定が可能で、研削研磨熱の放熱性を良好にし、被研削 物に対して弾性的に強圧することのできる回転研削研磨砥石とその基板を提供す ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決する本考案による回転研削砥石の基板は、複数枚の短冊形状の 研磨布紙を放射状、かつ瓦葺き状に接着すべく円板状の接着面を備えた回転研削 研磨砥石の基板において、接着されるべき研磨布紙に適度の角度を付与しつつ該 布紙同士を非接触状態に保ちながらその基部で接着固定すべく、接着面に、円周 方向に適度の角度の傾斜を付与した複数の鋸歯状接着溝を放射状に形成したこと を特徴とする。

【０００７】 また、本考案による回転研削砥石は、複数枚の短冊形状の研磨布紙を円板状に 成形した基板の接着面に放射状、かつ瓦葺き状に接着されてなる回転研削研磨砥 石において、基板の接着面に、円周方向に適度の角度の傾斜を付与した複数の鋸 歯状接着溝を放射状に形成し、この鋸歯状接着溝の傾斜面に、その角度に合わせ て研磨布紙同士を非接触状態に保ちつつ、その基部で接着固定したことを特徴と する。

【０００８】 このように、基板の接着面を鋸歯状接着溝で構成すると、溝全体が接着部とな って接着面積が広がるので、研磨布紙の剥離強度性が増強される。また、溝に設 定した傾斜面の角度に応じて、研磨布紙をこの溝に接着固定することができるの で、研磨布紙の自在な角度選定が可能となり、この種砥石の性質である弾性を容 易に調整することができる。さらに、傾斜面に研磨布紙を接着固定すると、研磨 布紙間には角度に応じた隙間ができ、研磨布紙同士を非接触状態に保てるので、 研削研磨熱の放熱性も良好となる。

【０００９】

【実施例】

以下、図示実施例につき本考案を説明する。 図中１０は、本考案による回転研削研磨砥石の基板で、部分的に示してあるが 全体としては円板状に成形されている。基板１０の材質は、従来の回転研削研磨 砥石に用いられている基板と異なるところはない。この基板１０の表面、すなわ ち複数の短冊状の研磨布紙１１を接着する面を、本考案では、複数の鋸歯状接着 溝１２により構成している。

【００１０】 この鋸歯状接着溝１２は、研磨布紙１１をその基部で接着固定するためのもの で、それぞれが円周方向に適度な角度の傾斜面１３を有し、放射状に連続して形 成されている。したがって、各接着溝１２は、傾斜面１３の角度を同一に保持し ており、その溝幅は、半径方向に行くにほど広くなる。傾斜面１３は、その全面 が接着面となるもので、その傾斜角度は、これに接着される研磨布紙１１の弾性 保持と相互非接触状態保持の必要から、３０°ないし６０°の範囲が好ましい。

【００１１】 図２には、上記の基板１０を用いて製造された回転研削砥石２０の一例が要部 断面図として示されている。図は、基板１０の接着面に形成された鋸歯状接着溝 １２の傾斜面１３の角度を３０°にした例である。各鋸歯状接着溝１２の傾斜面 １３全面には、接着剤１４を介して研磨布紙１１の基部が３０°の角度で接着固 定されている。各研磨布紙１１は、表面上は相互が重なり合って見えるが、図２ の断面図で明らかなように、傾斜面１３により、相互は間隔を保って非接触状態 を維持している。そして、この非接触状態が、各研磨布紙１１の一枚一枚に、そ れぞれ押圧変形可能な弾性を付与している。

【００１２】 上記回転研削砥石２０は、したがって、高速回転で被研削物に強圧されると、 適度な角度で接着固定された全研削布紙１１が、その付与された弾性によって、 被研削物に高い柔軟性をもって回転弾接するので、被研削物に対する研磨性能が 遙に向上する。被研削物への強圧時、研削布紙１１の先端は重なり合うが、その 中間部分では相互非接触状態を維持しているので、この非接触部分が、研削研磨 熱を逃がす働きをする。したがって、研削時における放熱効果も向上する。また 、高速回転下で被研削物に強圧されても、各研削布紙１１は、その基部が傾斜面 １３全面と接着溝１２で接着剤１４により接着固定されていて、接着面積が拡大 されているので、剥離強度性能も向上する。さらに、傾斜面１３の角度を変える ことで、研削布紙１１の接着角度を自在に変更でき、この角度に応じた研磨布紙 １１の弾性を調整することができる。

【００１３】 図３には、角度を６０°とした鋸歯状接着溝１２の傾斜面１３に、研磨布紙１ １を接着固定した実施例が示されている。この実施例によっても、前の実施例と 同様の効果を得ることができる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、円周方向に適度な角度の傾斜が付与さ れて放射状に形成された鋸歯状接着溝全体が接着部となって接着面積が広がるの で、高速回転下で被研削物に強圧される研磨布紙の剥離強度性を増強することが できる。また、接着溝に設定した傾斜面の角度に応じて、研磨布紙をこの溝に接 着固定することができるので、研磨布紙の自在な角度選定が可能となり、この種 砥石の特性である研磨布紙の弾性を容易に調整することができる。さらに、傾斜 面に研磨布紙を接着固定すると、研磨布紙間には角度に応じた隙間ができ、研磨 布紙同士を非接触状態に保てるので、研削研磨熱の放熱性も良好となる。

【００１５】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案による研削研磨砥石の基板をこれに接
着固定した研磨布紙とともに示す部分斜視図。

【図２】 傾斜面の角度を３０°とした本考案による研
削研磨砥石の実施例を示す断面図

【図３】 傾斜面の角度を６０°とした本考案のよる研
削研磨砥石の別の実施例を示す断面図

【図４】 従来の研削研磨砥石の全体縦断面図

【図５】 図３のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図

【００１６】

【符号の説明】

１０ 本考案による研削研磨砥石の基板 １１ 研磨布紙 １２ 鋸歯状接着溝 １３ 傾斜面 １４ 接着剤 ２０ 本考案による研削研磨砥石

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数枚の短冊形状の研磨布紙を放射状、か
   つ瓦葺き状に接着すべく円板状の接着面を備えた回転研
   削研磨砥石の基板において、 接着されるべき研磨布紙に適度の角度を付与しつつ研磨
   布紙同士を非接触状態に保ちながらその基部で接着固定
   すべく、接着面に、円周方向に適度の角度の傾斜を付与
   した複数の鋸歯状接着溝を放射状に形成したことを特徴
   とする回転研削研磨砥石の基板。
2. 【請求項２】複数枚の短冊形状の研磨布紙を円板状に成
   形した基板の接着面に放射状、かつ瓦葺き状に接着され
   てなる回転研削研磨砥石において、 基板の接着面に、円周方向に適度の角度の傾斜を付与し
   た複数の鋸歯状接着溝を放射状に形成し、この鋸歯状接
   着溝の傾斜面に、その角度に合わせて研磨布紙同士を非
   接触状態に保ちつつ、その基部で接着固定したことを特
   徴とする回転研削研磨砥石。